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名捕手モリーナがコーチ就任に向けて古巣カージナルスと交渉中
19年間のメジャー生活の中で2度のワールドシリーズ制覇、10度のオールスター選出、9度のゴールドグラブ賞など輝かしい実績を残した名捕手ヤディアー・モリーナは、現役引退から3年が経過し、現場復帰に意欲を示している。2026年シーズンから監督またはコーチとして、メジャーリーグのダグアウトに戻りたいと考えているようだ。
現在43歳のモリーナは、16日(日本時間17日)に自身のインスタグラムを更新し、「MLB、メキシコ、あるいは自分が情熱を注ぐスポーツ(=野球)に貢献し、恩返しができる場所ならどこでも、コーチまたは監督としてフィールドに戻る準備はできている」と宣言した。
関係者の話によると、モリーナはここ最近、コーチとして古巣カージナルスに復帰する可能性について、ハイム・ブルーム編成本部長とオリバー・マーモル監督と話し合いの場を設けたという。
モリーナは、マーモル監督が一塁ベースコーチやベンチコーチを務めていた頃から極めて良好な関係を築いている。マーモル監督の就任1年目は、モリーナの現役ラストイヤーだった。モリーナは今季終盤、本拠地ブッシュスタジアムで行われた試合でゲストコーチを務め、試合前のメンバー表交換でフィールドに現れた際にはカージナルスファンから大歓声を浴びた。
現場復帰に意欲を見せる名捕手は、プエルトリコの地元メディアに対し、来季から古巣カージナルスのコーチングスタッフに加わることについて交渉中であることを明かしている。
プエルトリコの地元メディアによると、モリーナは「カージナルスにコーチとして復帰し、マーモル監督を手助けすることについて、球団と連絡を取り合っている。彼は依然としてリーダーであり、私は彼のそばにいたいと思う。まだ具体的なことは何も決まっていないが、話し合いを進めている」と語ったという。
モリーナがコーチ業に興味を示した時期は、元同僚のアルバート・プホルスが監督業に興味を示した時期と重なる。プホルスは2022年に古巣カージナルスへ復帰し、モリーナとともに現役引退。カージナルスでは12シーズン(2001~11年、2022年)プレーし、2度のワールドシリーズ制覇を経験したほか、ナ・リーグMVPに3度輝いた。
2度のワールドシリーズ制覇の際にモリーナ、プホルスとチームメイトだったスキップ・シューマッカーは先日、レンジャーズの監督に就任することが発表された。また、2011年のワールドシリーズ優勝メンバーの一員であるニック・プントは、ツインズの新監督候補となっていることが報じられている。
モリーナはカージナルス一筋のメジャー生活を過ごし、1球団での捕手出場2184試合はMLB史上最多。また、アダム・ウェインライトとのバッテリーで記録した213勝、先発バッテリー328試合もMLB記録となっている。さらに、捕手として18年連続開幕戦スタメン出場(2005~22年)もMLB記録。プラチナグラブ賞を4度受賞したほか、盗塁阻止率でもMLBトップを4度記録しており、打撃面でも通算2168安打、176本塁打、1022打点を積み上げた。
モリーナは今季2度、ゲストコーチとしてブッシュスタジアムを訪問。モリーナがセントルイスに戻ってきたのは、2023年シーズン最終戦でウェインライトの引退セレモニーが行われたとき以来だった。2023年12月、モリーナはジョン・モゼラック編成本部長(当時)付の特別アシスタントに就任したものの、プエルトリコで暮らす家族の事情もあり、その役割を遂行することができなかった。
今年8月8~10日と9月5~7日にゲストコーチを務めた際、モリーナは「自分にとって大きな意味を持つスポーツ(=野球)に再び力を注ぎたい」と語った。息子のヤニュエル・モリーナがテキサス大学アーリントン校に進学し、野球をプレーすることが決まったため、今こそがフルタイムのコーチとして現場復帰する絶好の機会だと考えているようだ。
今年8月8日、モリーナはカージナルス対カブスの試合前に「将来的には監督を務めたいと考えているが、今は家族に集中している。家族はそれに値する存在だからね。でも、将来的にはコーチを務め、(監督就任という目標に向けて)一歩ずつ着実に進んでいきたい」と現場復帰の可能性を示唆していた。
ゲストコーチに就任した際、「カージナルスの捕手たちにアドバイスをして、彼らを助け、成長させたいと思っている。何かを大きく変えるために来たわけではなく、彼らの手助けをしたいんだ。自分にできる範囲で若手選手の力になりたい。そして、野球を楽しみたい。プレーすることを恋しく思ったことはないが、フィールドにいられないのは寂しかった。セントルイスに戻ってきただけでも、私にとっては大きな意味がある。この街の人々は、私だけでなく、私の家族のことまで気にかけてくれるんだ」とセントルイスへの愛着を語っていたモリーナ。古巣カージナルスにコーチとして戻ってくる可能性は高そうだ。
2025.10.21 08:25 Tuesday
新人イェサベージの力投でブルージェイズ勝利 ALCSは3勝3敗で第7戦へ
【ブルージェイズ6-2マリナーズ】トロント/ロジャースセンター、10月19日(日本時間20日)
マリナーズが球団史上初のワールドシリーズ(WS)進出に王手をかけて迎えたアメリカン・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)第6戦は、新人右腕トレイ・イェサベージの力投もあり、ブルージェイズが6-2で勝利。地元トロントの大歓声を受けて「絶対に負けられない一戦」を制し、シリーズの対戦成績を3勝3敗のタイに持ち込んだ。第7戦の勝者がWSでドジャースと対戦することになる。
ブルージェイズは先発のイェサベージが3者三振の快投を見せた直後の二回、マリナーズの2つのエラーで無死一、二塁のチャンスを作り、アディソン・バージャーのライト前タイムリーで先制。続くアイザイア・カイナー=ファレファもサードへのタイムリー内野安打を放ち、2-0とリードを広げた。
イェサベージは三回1死満塁のピンチを迎えたが、マリナーズの主砲カル・ローリーをファーストゴロ併殺打に仕留めて無失点。イェサベージにとって、レギュラーシーズンとポストシーズンを通してメジャーの舞台で記録した初めての併殺打だった。
その直後、ブルージェイズはイェサベージの力投に応え、2死からアーニー・クレメントが三塁打を放ってチャンスを作ると、バージャーが右中間への2ラン本塁打を放ち、4点リードに。イェサベージは四回にも1死満塁のピンチを背負ったが、今度はJ・P・クロフォードをセカンドゴロ併殺打に仕留め、またも無失点で切り抜けた。
イェサベージは五回にもフリオ・ロドリゲスをショートゴロ併殺打に仕留め、メジャーの舞台での最初の併殺打3本をこの試合で記録したことに。直後に主砲ブラディミール・ゲレーロJr.がソロ本塁打を放って5-0とリードを広げ、今年のポストシーズンで早くも6本目のアーチとなったゲレーロJr.は、球団のポストシーズン通算最多本塁打記録(ジョー・カーターとホセ・バティースタの6本)に並んだ。
イェサベージは六回2死からジョシュ・ネイラーにソロ本塁打を浴び、続くランディ・アロザレーナにヒットを許して降板。この走者がエウヘニオ・スアレスのタイムリーで生還したため、2失点目が記録されたものの、5回2/3(87球)を投げて6安打、7三振、3四球と堂々たるピッチングを披露した。ブルージェイズは七回1死一、二塁の場面でマリナーズの守備のミスにより1点を追加。イェサベージ降板後はルイス・バーランド、ジェフ・ホフマンとつないでマリナーズ打線の反撃を封じ、6-2で勝利した。
これでALCSは3勝3敗。第7戦にマリナーズが勝てば球団史上初のWS進出、ブルージェイズが勝てば1993年以来32年ぶり球団史上3度目のWS進出となる。1977年創設の「同級生」2チームが運命の最終決戦に臨む。
2025.10.20 11:55 Monday
FAまであと1年 タイガースはスクーバルのトレードに動くのか
球界最高の投手、タリック・スクーバルは1年後にフリーエージェント(FA)が迫っている。FA前の最終年もタイガースの一員としてプレーするのだろうか。それとも、球界の勢力図を一変させるような大型トレードが成立するのだろうか。
「ジ・アスレチック」のウィル・サモン記者によると、タイガースが今オフ中にスクーバルを放出する「兆候」があるという。また、もしそうなった場合、メッツが争奪戦に加わる可能性が高いとみられている。
もちろん、スクーバルがFAを迎える前に、タイガースとの契約延長に合意する可能性も残されている。しかし、MLB.comでタイガースの番記者を務めるジェイソン・ベックが指摘するように、FA市場でスクーバルを巡って大争奪戦が繰り広げられるのは確実であり、スクーバルがタイガースとの契約延長に応じる可能性は極めて低いだろう。
さらに、契約延長の可能性を巡り、タイガースとスクーバルの間には大きなギャップがあることが報じられている。MLBネットワークのジョン・ヘイマン記者によると、昨オフにタイガースがスクーバルと契約延長の交渉を行った際、双方の希望額には2億5000万ドル(約375億円)もの開きがあったようだ。
「デトロイト・フリープレス」はタイガースがスクーバルに提示した条件について、より詳細な報道を行っており、「総額1億ドル(約150億円)未満の4年契約」だったことを明かしている。つまり、スクーバルは昨オフの時点で少なくとも3億ドル(約450億円)以上の大型契約を求めていたことになる。
スクーバル争奪戦に加わる可能性が高いとみられるメッツには、トレードの駒になりそうな有望株が複数いる。今季終盤に先発ローテーション入りしたノーラン・マクリーン、ジョナ・トン、ブランドン・スプロートの「新人トリオ」はその代表格だろう。また、「SNY」のアンディ・マルティノ記者によると、タイガースは過去に内野手のブレット・ベイティに興味を示していた時期があるという。
メッツがエース級の先発投手の獲得を切望していることは間違いない。今季のメッツは9月に先発防御率5.94とローテーションが崩壊し、ポストシーズン進出を逃す大きな要因となったからだ。タイガースがスクーバル放出を決断すれば、メッツは有力な移籍先候補の1つとなるだろう。
2025.10.20 10:35 Monday
今季メジャー最高勝率のブルワーズ 最多勝右腕ペラルタのトレードを検討か
今季メジャー最高勝率を記録したブルワーズは、主力選手がFAを迎える前にトレードで放出するのが定番化している。ナショナル・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)でドジャースに4連敗して敗退が決まり、今オフも再び主力選手の動向が注目を集めそうだ。
「ジ・アスレチック」のアンディ・マカラー記者によると、ブルワーズは今オフ、エース右腕のフレディ・ペラルタのトレードを模索する可能性があるという。ペラルタは来季の契約が球団側に選択権のあるオプション(年俸800万ドル)となっており、これが行使されるのは確実。しかし、来季終了後にはFAとなるため、ブルワーズが放出に踏み切る可能性は高いとみられる。
29歳のペラルタは今季33試合に先発して176回2/3を投げ、17勝6敗、防御率2.70、204三振の好成績をマーク。3年連続の200三振を達成したほか、17勝と防御率2.70はともに自己ベストで、最多勝のタイトルも獲得した。
ブルワーズは2022年のトレード期限に守護神ジョシュ・ヘイダーを放出。2024年2月にはエース右腕のコービン・バーンズをトレードし、昨オフにはヘイダーの後継者としてクローザーを務めていたデビン・ウィリアムスも手放した。1年後にFAが迫る中、ペラルタも同様の扱いになる可能性が高い。
主力選手を次々に放出しながらも安定した強さをキープしているのがブルワーズの強みでもある。直近8年間で7度のポストシーズン進出を果たし、今季は球団新記録の97勝をマーク。言い換えれば、もしペラルタを放出したとしても、ブルワーズは必ず代役を見つけ、戦力をキープできる可能性が高いということだ。今後の動向が注目される。
2025.10.20 09:17 Monday
負ければ敗退のALCS第6戦 ブルージェイズ・スプリンガーがスタメン出場
ブルージェイズファンにとって朗報だ。19日(日本時間20日)に行われるアメリカン・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)第6戦、ジョージ・スプリンガーがスタメンに名を連ねている。「1番・DH」で出場予定だ。
スプリンガーは17日(同18日)に行われた第5戦の七回、ブライアン・ウーが投じた96マイル(約154キロ)のシンカーを右膝に受け、負傷交代した。検査の結果、骨に異常はないことが判明し、ブルージェイズはスプリンガーが第6戦に出場できることを確信していたが、第6戦のスタメンが発表されるまでスプリンガーの出場可否は確定していなかった。
ジョン・シュナイダー監督は「今朝、彼とテキストメッセージをやり取りして状態を確認した。彼は基本的に『口出ししないでほしい』と言っていたんだ。今日連絡を取ったときも同じだった。試合に出る準備はできているのだろう。少し痛みが残っているみたいだし、右膝にもボールの縫い目の跡がついているようだが、彼が『大丈夫』と言うのだから信じるよ。キャリアの中で多くの困難を乗り越えてきた選手だし、大丈夫だと思う」と語った。
36歳のスプリンガーは今季、自己ベストの打率.309を記録し、ほかにも32本塁打、OPS.959の好成績をマーク。今季のメジャーリーグの中でもトップクラスの復活劇だった。ポストシーズンではここまで打率.256、3本塁打、5二塁打を記録している。
ブルージェイズはマリナーズとのALCSで2勝3敗と追い込まれている。まずは第6戦に勝利し、シリーズを第7戦に持ち込むことを目指す。
2025.10.20 06:41 Monday
ドジャースがスター外野手タッカーの獲得に関心 予算も許容範囲内か
17日(日本時間18日)に行われたナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)第4戦に勝利し、2年連続でワールドシリーズに進出したドジャース。四半世紀ぶりの連覇を狙うスター軍団には、既に王朝建設の予感が漂っている。
そして、ドジャースはワールドシリーズ終了後から始まるストーブリーグで、新たにスター選手をチームに加えるかもしれない。MLBネットワークのジョン・ヘイマン記者がニューヨークポスト紙に寄稿した記事によれば、ドジャースはフリーエージェント(FA)となる外野手カイル・タッカーの獲得に興味を寄せているという。
28歳のタッカーは今季、カブスで136試合に出場し、22本塁打、25盗塁、打率.266、出塁率.377、OPS.841と活躍。走攻守の貢献度を測る総合指標fWAR(代替可能な選手と比べて何勝分上積みできたかを示す)では5シーズン連続で4.0以上をマークしている、安定感が持ち味のオールラウンドなスター選手だ。
ヘイマン記者は「ドジャースの関係者はタッカーを高く評価していると言われているが、外野は彼らの唯一の弱点だ」と述べ、弱点強化のためにタッカー獲得を目指す可能性を指摘。
ドジャースの外野陣は若手のアンディ・パヘスがセンターで台頭したものの、両翼が低迷。ライトのテオスカー・ヘルナンデスは勝負強い打撃は健在なものの、守備では穴になっている。仮にタッカーを獲得できれば、テオスカーをレフトに回し、攻撃力と守備力を大幅にアップデートできるだろう。
懸念は、既に多くのスター選手を抱えるペイロール(年俸総額)だ。ドジャースのペイロールは既に球界2位の3億9600万ドルに達している。
しかし、勝利のために資金に糸目をつけない姿勢のドジャースのペイロールの上限はようとして知れない。昨オフは総額7億6500万ドルの巨額契約を結んだフアン・ソトの争奪戦に加わっていたと報じられている。
1年あたり4000万ドルを超えると見られるタッカーの契約も、ドジャースの許容範囲内かもしれない。
今オフ、ドジャースは複数のベテラン選手の年俸が浮く見込みだ。マイケル・コンフォート(1700万ドル)、カービー・イェーツ(1300万ドル)、マイケル・コペック(520万ドル)ら、不振とケガに苦しんだベテラン選手がフリーエージェント(FA)となる。さらに引退を表明したクレイトン・カーショウ(750万ドル)、シーズン中に解雇されたクリス・テイラー(1300万ドル)の分も同様だ。また、ケガに苦しめられた年俸調停期間の投手(エバン・フィリップス、トニー・ゴンソリン)をノンテンダーFA(契約を提示せずにFA)とする可能性もある。
その一方で、現状のロースターで年俸が上昇する選手は不在。年俸が上昇するのは来季は1565万ドルに年俸がほぼ倍増するトミー・エドマン程度で、パヘスや佐々木朗希といった若手の主力もまだ最低年俸で雇うことができる。
こうしたドジャースの予算事情を考えれば、タッカーの獲得は決してありえない話ではない。弱点であるブルペン補強、野手陣を支えるマックス・マンシー(来季は球団に選択権のある1年契約)やキケ・ヘルナンデス(FA)を呼び戻してもまだ余裕はある。
今季もポストシーズンで圧倒的な強さで連覇へと迫るドジャース。来季はさらに銀河系球団となる可能性もある。
2025.10.19 15:31 Sunday
ALCS第6戦の見どころ マリナーズが歴史を作るか、ブルージェイズが粘るか
17日(日本時間18日)は近年のポストシーズンでも、最もスリリングな一夜となった。マリナーズが八回の逆転劇で球団初のワールドシリーズ進出に王手をかけ、一方のナ・リーグでは大谷翔平が歴史に残るパフォーマンスでドジャースのリーグ連覇を決めた。
ドジャースがワールドシリーズへの切符をつかんだ今、残されるのはブルージェイズとマリナーズによるア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)の行方だ。マリナーズが歴史を作るのか、はたまたブルージェイズが第7戦に持ち込むのか。運命のALCS第6戦の見どころを確認しておこう。
ALCS第6戦:マリナーズ対ブルージェイズ(マリナーズが3勝、ブルージェイズが2勝)
先発マッチアップ:ローガン・ギルバート(マリナーズ)対トレイ・イェサベージ(ブルージェイズ)
新人右腕イェサベージにかかる重圧
ブルージェイズの関係者は皆、イェサベージの年齢以上の成熟ぶりに感嘆している。大先輩の先発投手ケビン・ゴーズマン、マックス・シャーザー、そしてジョン・シュナイダー監督も、イェサベージを絶賛する。 「イェサベージがまだ22歳だという事実を忘れてしまう」と、シュナイダー監督は語る。
しかし、イェサベージはまだ22歳だ。しかも、まだMLBの舞台では5試合しか投げたことがない。たったの5試合だ。そのうち2試合はポストシーズンでの登板だが、好投できたのは1試合だけだ。
ヤンキースとの地区シリーズでは好投した。しかし、マリナーズとのALCS第2戦では4回5失点と苦戦し、ブルージェイズは大敗を喫した。
キャリア6試合目の登板となる第6戦は、ブルージェイズの過去30年の歩みの中でも最も重要な試合となる。仮にイェサベージが苦戦しても、ブルージェイズは先発投手のクリス・バシット、エリック・ラウアーがブルペンに控えている。しかし、もし序盤からマリナーズ打線につかまった場合、手遅れとなるリスクもある。もちろんヤンキース戦で見せた活躍を再現できれば、イェサベージはカナダの伝説となるだろう。
ジョージ・スプリンガーは大丈夫か?
ブルージェイズの売りは強力打線だ。ポストシーズンでは正遊撃手の好打者ボー・ビシェットを欠きながらも打ちまくる打線における最強打者は、レギュラーシーズンではブラディミール・ゲレーロJr.ではなくスプリンガーだった。大舞台の経験も豊富なスプリンガーはポストシーズンでもOPS.933と好調だ。
しかし、第5戦でスプリンガーは膝に死球を受け、負傷交代。膝に直球が直撃した光景は、少々恐ろしいものだった。負傷交代するスプリンガーにブーイングを浴びせたマリナーズファンに対し、シュナイダー監督は苛立ちを隠さなかった。ただ、シュナイダー監督はスプリンガーが第6戦に出場できると信じている。 「ジョージは最強のタフさを持っている。第6戦のスタメンに入れなければ、彼は本当にダメージを受けるはずだ」 しかし、スプリンガーの死球後の様子はとても痛ましかった。ブルージェイズ打線はそれでもスプリンガーを失うわけにはいかない。ただ、100%を大きく下回る状態でプレーさせるわけにもいかない。大黒柱のゲレーロJr.は史上稀に見る好調を維持しているが、サポートできる打者がいなければマリナーズは躊躇なく勝負を避けるだろう。
マリナーズはついにその瞬間をつかめるか
今、マリナーズはその球団史で最もワールドシリーズに近づいている。過去3度のALCSでは2勝以上挙げることができなかった。史上最多の116勝を挙げた2001年のチームですら、1勝4敗で敗退している。
そしてその後、マリナーズは21年間ポストシーズンから遠ざかった。マリナーズは第1、2戦に敵地ロジャースセンターで勝利したとはいえ、油断はできない。第6戦ではトロントの観客は熱狂的な雰囲気を作り出すだろう。トロントの観客も、ブルージェイズの久々のワールドシリーズ進出を待ち望んでいるのだ。
しかし、それらをすべて差し引いても、マリナーズはすべての歯車が噛み合っている。強みである先発ローテーションに加え、打席に立つ度に歴史を作っているかのような主砲カル・ローリーの打棒、そして大砲エウヘニオ・スアレスの復活によって打線は厚みを増した。今のマリナーズは、栄光の瞬間をまさに迎えるチームのオーラを放っている。
ただ、目標に大きく迫っているとはいえ、マリナーズはまだ歴史を作っていない。仮にこのチャンスを逃して敗退すれば、幾度となく心痛めてきたチームとファンにとっては、これ以上ないほど辛い出来事になるはずだ。マリナーズは未知の領域、約束の地・ワールドシリーズまであと1勝に迫っている。あとは、最後の勝利をつかむだけだ。
2025.10.19 14:21 Sunday
過去と現在が交差するマリナーズ 名打者エドガーの教えで打線が活性化
「ザ・ダブル」がマリナーズの伝説となってから30年、エドガー・マルティネスが再びポストシーズンに戻ってくる。今回はコーチとして、新世代の選手たちが1995年のチームの悲願を成就するのを見守ろうとしている。
殿堂入りの名打者マルティネスは、1995年のア・リーグ地区シリーズ第5戦の11回裏にサヨナラ二塁打(「ザ・ダブル」)を放ち、マリナーズを球団初のア・リーグ優勝決定シリーズへと導いた。当時の本拠地キングドームで巻き起こった割れんばかりの歓声は、今もマルティネスの耳にこだまする。今、マリナーズが球団初のワールドシリーズ進出に王手をかける中、マルティネスは当時の記憶と重なる部分を感じている。
「1995年も今年も、本当に似たような状況だった。1995年は(地区で)エンゼルスを追っていましたが、今年はヒューストンだったね。あの頃の思い出が蘇ってきた。今回はさらに上を目指したいね」と、ブルージェイズとのALCS第5戦を前にマルティネスはそう語っていた。
マリナーズの往年の名捕手ダン・ウィルソン監督が就任して1年目、マリナーズは既に現役のファン世代が話として聞いたことしかない境地に達している。ウィルソン監督は今のシアトルの街の活気、マルティネス、イチロー、ジェイ・ビューナーといった多くのマリナーズのかつてのスターたちがこの快進撃に助力していることに、どこか懐かしいものを感じ取っている。 「エドガーとあの時のことをよく話すよ。お互いに顔を見合わせて、あの頃のことを思い出すんだ。 2001年のようにT-モバイルパークをまた見ることができるなんて、本当に最高の気分だ。前回同じ経験をした仲間たちが周りにいると、改めて特別な気持ちになる」
マルティネスはお飾りの存在ではない。ケビン・サイツァー、ボビー・マガリャネス打撃コーチと共に、打撃戦略のシニアディレクターを務め、マリナーズ打線を助けている。ウィルソン監督は、マルティネスのコーチとしての復帰は就任後、最も簡単な決断だったと語る。 「最初に声をかけたのはエドガーだった。彼以上に攻撃をうまくこなせる選手は知らない。彼は素晴らしい打者だった。それだけでなく、それを説明する能力も持っている。肉体面だけでなく、精神面でもね。まさに総合的な能力だ」
マリナーズのスター外野手フリオ・ロドリゲスも、マルティネスの最も熱心な教え子の1人だ。フリオによれば、2人の絆はバッティングケージの中にとどまらない。 「人生や野球について語り合う中で、本当に良い関係を築くことができた。エドガーは私のような若い選手、そしてクラブハウスの全員に、本当に多くのものを与えてくれると思う」
その影響力はマリナーズの打者に大きく現れている。マルティネスは今季の大半、ホルヘ・ポランコと多くの時間を共にしてきた。ポランコはポストシーズンでも大活躍。タイガースとの地区シリーズ第5戦では、マルティネスの「ザ・ダブル」を彷彿とさせるサヨナラ打を放った。
「ポランコの活躍は素晴らしい。オフシーズン中にスイングを調整したんだ。去年はオープンスタンスだったけど、今年は少しクローズドスタンスになった。手の位置も違うし、ボールに対してより短く、ダイレクトに反応するようになった。それが彼の全てだ」と、マルティネスはポランコへの指導について語った。
マルティネスが選手のときは、本能と反復がものを言った。しかし、現代では選手はデータ主導の野球をプレーしている。2015年から2018年もマリナーズで打撃コーチを務めたマルティネスは、こうした進化を積極的に受け入れている。 「今、入手できる情報量、スイングや投球を分析するために使われている技術は、本当に驚異的だ。私が現役だった頃は、こうした情報はすべて非常に役に立っただろう。当時は、目に見えるものに頼るしかなかったから」
マルティネスは自身の役割について、大量の分析データを明確で実用的な指導へ絞り込むことだと語っている。そして、データの扱いに長け、マルティネスの洞察を各選手に合わせて調整してくれるサイツァーとマガリャネス両コーチに感謝している。 「考えすぎると、打撃はすごく複雑になってしまう。物事がシンプルな方が、パフォーマンスは上がる。一番シンプルなのは、ボールを見て、打つこと。リトルリーグの選手だった頃に言われたことだよね」
これは若いマリナーズの中心選手たちに響くメッセージだ。レギュラーシーズンで60本塁打を放ったカル・ローリーは、マルティネスの「ボールの後ろにとどまれ」というアドバイスを生かし、フォームを微修正した。
「カルは今、リーグのことをもっとよく理解している。自分のスイングをずっと良く理解している。調整もできる。ホームランを打てる才能は昔からあったが、今はパワーのある良い打者だ。投手がミスをすれば、それをうまく利用してくれる」と、マルティネスは成長を続けるローリーに太鼓判を押す。
マルティネスの落ち着いた明るい口調は、ウィルソン監督のスタイルを反映している。マリナーズはALCSの第3、4戦に敗れたが、ウィルソン監督に動揺はなかった。マルティネスは「われわれのチームは常に調整ができた。メッセージは変わらない」と語る。
マリナーズは今、歴史を作るチャンスを手にしている。まだ見ぬ舞台(ワールドシリーズ)に到達するには、あと1勝が必要だ。ウィルソンが監督室に、マルティネスがバッティングケージに、イチローが外野でユニフォームを着ている。球団の過去と現在がこれほどまでにつながることはあるだろうか。
「必要な要素はすべて揃っている」と、マルティネス。 「選手たちは長い間一緒にプレーしてきた。彼らは十分に成熟しており、トップレベルに到達できるレベルに達している」 球団レジェンドたちの期待に応え、マリナーズは歴史を変えられるだろうか。
2025.10.19 13:51 Sunday
佐々木朗希、ブルペン転向の決断の裏側
ドジャースの球団編成部長アンドリュー・フリードマンは9月、右肩のインピンジメントで長期離脱していた佐々木朗希と面談した。フリードマンはそこで、佐々木にポストシーズンに出場できるとすればブルペン転向が必要になると伝えた。23歳の佐々木にはリリーフ経験がなかった。
「もしやりたくないなら、それは理解する。リスクは伴うから。でも、もしやりたいなら、君がチームを優勝に導ける現実的な道筋があると思っている」 フリードマンは佐々木にそう言ったことを覚えている。
フリードマンはその場で佐々木に答えを求めなかった。考えるように伝えた翌日、佐々木はフリードマンに電話で「参加する」と答えた。
その後まもなくして、佐々木は3Aオクラホマシティで2度のリリーフ登板をこなした。しかし、それから1ヵ月も経たないうちに、佐々木はナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)の第4戦の最終回のマウンドに上り、チームを2年連続のワールドシリーズへ導いた。
「彼が期待に応えてくれたことは言葉では言い尽くせない」と、フリードマンは語る。
佐々木にとって、ブルペン転向は未知の経験の連続だった。ワイルドカードシリーズでレッズ相手にリリーフ登板したのは、レギュラーシーズン最終週の2登板に続き、リリーフとしてはわずか3登板目だった。その3日後には、フィラデルフィアの熱狂的な観客を前にしながら、地区シリーズ第1戦でキャリア初セーブを挙げた。そしてその第4戦では、3回無安打の好リリーフでチームをサヨナラ勝利、そして地区シリーズ突破に導いた。
そして迎えたNLCS第4戦、デーブ・ロバーツ監督は初めての連投を佐々木に課した。 「ポストシーズンでは、選手たちがやったことがないことがたくさん起きる。でも、優勝したいなら、リスクを負う覚悟ができていなければならない。そして、私としては、今夜の朗希に完全に自信を持っていた」
ロバーツ監督の佐々木への信頼は報われた。100マイル(161キロ)以上をマークしていた直球の球威はやや落ち、先頭に安打を許したものの、佐々木は危なげなく九回を締めくくった。
つい最近まで、佐々木はドジャースのポストシーズンの計画に含まれないこともありえた。佐々木がブルペン転向を了承したときでさえ、フリードマン自身も佐々木がポストシーズンの構想に含まれる確信を持っていなかった。不確定要素が多すぎたのだ。
しかし、佐々木は戻ってきた。
転機となったのは9月18日のリハビリ登板だった。佐々木は1回(16球)を挙げ、無安打、2三振と好投。それだけではなく、直球はかつての球速を取り戻し、スプリットも切れ味が蘇っていた。佐々木は完全に、腹斜筋と肩をケガする前の2023年の姿に戻っているように思われた。
「その時、私たちは『よし、佐々木なら本当に助けになってくれる』と思った」と、フリードマンも確信に至った。
佐々木はチームの助けになったどころではなかった。ポストシーズンでのドジャースのブルペン陣において、佐々木は最も信頼できる投手の一人として頭角を現した。その安定した存在感から、ロバーツ監督は彼を第一候補と位置付けている。連投のテストをクリアした今、四半世紀ぶりの連覇にあと4勝に迫るドジャースは、佐々木にさらに頼ることだろう。
ロバーツ監督の信頼は堅い。 「朗希に自信を持っている。彼を信頼している。才能を信じている。メンタルを信じている」
2025.10.19 12:48 Sunday