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ブルージェイズ退団のマティングリーがフィリーズのベンチコーチ就任へ

 ドン・マティングリーは2026年シーズンのフィリーズのベンチコーチに就任することになりそうだ。

 フィリーズとマティングリーはまだ契約を結んでいない。しかし、フィリーズのデーブ・ドンブロウスキー編成本部長は8日(日本時間9日)、フロリダ州オーランドで行われているウィンターミーティングにおいて、マティングリーとの交渉が進んでいることを明らかにした。

「まだ最終の詳細を詰めている段階なので、正式に発表することはできない。でも、ドンとの話し合いを進める中で、交渉成立に向けて尽力しており、無事に契約を結べることを願っている」とドンブロウスキー編成本部長は語った。

 64歳のマティングリーは、無事に就任が決まれば、メジャーリーグ・フィールドコーディネーターへの配置転換が決まっているマイク・カリトリの後任となる。ヤンキースの選手として殿堂入りクラスのキャリアを過ごしたマティングリーは、監督やコーチとしても豊富な実績を持っている。2011~15年にドジャース、2016~22年にはマーリンズで監督を務めた。直近3シーズンはブルージェイズでベンチコーチ、2004~10年には名将ジョー・トーレの下でヤンキースとドジャースのコーチを務めていた。

 マティングリーとフィリーズのロブ・トムソン監督はヤンキースの球団組織にいたときからの知り合いである。

「(マティングリーがベンチコーチに就任してくれるなら)素晴らしいことだ。球団にとって完璧にフィットすると思う。彼の知性、存在感、そして経験値は大きな武器になる。本当にいい補強になるよ」とトムソン監督はマティングリーの加入を歓迎する。

 トムソン監督は来季が契約最終年となる。しかし、ドンブロウスキー編成本部長はスプリングトレーニングが始まる前に、指揮官との契約を延長する方針であることを明かしている。

 また、ドンブロウスキー編成本部長は、マティングリーがベンチコーチに就任することについて、トムソン監督やマティングリー本人だけでなく、ゼネラルマネージャー(GM)のプレストン・マティングリー(=ドン・マティングリーの息子)とも話し合いを行ったようだ。

 誰も今回の方向性について、否定的な姿勢を見せなかったという。

 ドンブロウスキー編成本部長は、父がコーチ、息子がGMとなった場合の懸念材料として、クラブハウスとフロントオフィスが直接的な連絡を取っていると選手が感じることがクラブハウス内の潜在的な問題になる可能性を指摘するが、心配はしていないようだ。

「クラブハウスからフロントオフィスに届くべきではない情報があるのかないのか、それが何なのか、ということについては心配していない。懸念するようなことではないと思う。話している相手がどれほど信用できる人物であるかということを認識するのは大切だ。ドンとプレストンは2人とも絶大な信頼を置ける人物であり、漏れてはいけない情報が漏れることはないだろう。機密情報は機密情報として保たれるはずだ」とマティングリー親子への信頼を口にした。

 マティングリーGMは「球団組織内の全員が同じ目標を共有している。ワールドシリーズに勝ちたいということだ。父は我々のロースターやスタッフに本当にフィットすると思う。とても楽しみだ」と父との共闘について言及した。

2025.12.9 11:38 Tuesday

パドレスはミラーを先発に回さない方針 強力ブルペンを維持へ

 パドレスはおそらく球界最強のブルペンを擁してオフシーズンを迎えた。そして、それを来季も維持する方針だ。

 剛腕メイソン・ミラーの2026年シーズンの役割について、数カ月間にわたって様々な憶測が飛び交っていたが、クレイグ・スタメン新監督は8日(日本時間9日)、引き続きブルペンで起用する方針であることを明かした。エイドリアン・モレホンとデービッド・モーガンも引き続きブルペンの一角を担う予定だという。先発陣が手薄というチーム事情もあり、この3投手には先発転向の可能性が取り沙汰されていたが、球団内で議論を重ねた結果、強力ブルペンを維持する方向で決着がついたようだ。

 スタメン新監督は「これらの決断は完全に最終的なものではない」と付け加えた。しかし、フロリダ州オーランドで行われているウィンターミーティングの初日、スタメン新監督とA・J・プレラー編成本部長はともに、チームの最大の強みを、実際に「強み」のまま維持していくことの重要性に言及した。

「ブルペンにはたくさんの優秀な投手がいる。だから、試合の様々な部分でたくさんのイニングをブルペンに任せることができる。(リリーフ投手の)先発転向の可能性については、現在も話し合いを続けているが、基本的には各投手の現在の役割を継続していく方向で調整している」と指揮官は語った。

ミラーはブルペン残留へ

 ミラーは夏場の大型トレードでパドレスに加入した。レオ・デブリーズという超有望株を含む、6選手が絡む大型トレードだった。

 ミラーはリリーフ投手として2025年シーズンを終えたが、パドレスは2023年にアスレチックスで先発投手として鮮烈なデビューを飾ったミラーを先発に復帰させる可能性を完全には排除していなかった。

 もしかしたら、いずれは先発復帰が実現するかもしれない。パドレスはミラーの保有権を2029年シーズンまで(=あと4年)持っているからだ。しかし、少なくとも現時点では、パドレスは2026年シーズンにミラーをリリーフ投手として起用する方針だ。クローザーのロベルト・スアレスがフリーエージェント(FA)でチームを離れる可能性が高いことを考えると、ミラーがその後任としてクローザーを務めることになるだろう。

「(オフシーズンの)スタート地点としては悪くない。ミラーはリーグ屈指のリリーフ投手だからね。ブルペンの後ろに強力な投手が控えていることは重要だし、ミラーはどんな投手にも劣らないほどのインパクトがある選手だ」とプレラー編成本部長は語った。

 パドレスは10月の戦いでミラーの圧倒的な実力を目の当たりにした。ミラーはポストシーズン初登板から8者連続三振を記録したのだ。パドレス移籍後、レギュラーシーズンでは22試合に登板し、防御率0.77、三振率54.2%という驚異的な成績をマークした。

モレホン、モーガン、人員余剰気味のブルペンについて

 先発転向の可能性が取り沙汰されていたリリーフ投手はミラーだけではない。モレホンもデビュー当初は先発投手だった。一方、モーガンはまだメジャー1年目のシーズンを終えたばかりだが、持っている球種や、投球フォームの安定性・再現性などを考えると、先発投手として成功するために必要な能力を持っているように見える。

 しかし、両投手ともブルペンに残る可能性が高い。パドレスはミラーの場合と同様に、現状に大きな問題はないため、わざわざ修正する必要がないと考えているようだ。

「以前、パドレスはモレホンを先発で起用したことがある。彼はメジャーで成功を収めるために、様々な道筋があった。ブルペンで起用してみたところ、圧倒的な活躍を見せたんだ。支配的な投球ができる場所(=ブルペン)に彼を置いておくことがチームにとって重要だと思う」とスタメン新監督は語った。

 ミラー、モレホン、モーガンがブルペンに残ることが濃厚となり、パドレスのリリーフ陣は人員余剰気味になっている。さらに最近、タイ・アドコックとダイソン・アコスタの両右腕とメジャー契約を結んだため、空いているポジションはほとんどない状況だ(アドコックとアコスタにはマイナーオプションがあるため、開幕ロースターから外れる場合、マイナーに落とすことが可能)。

 リリーフ投手が人員余剰気味になっている一方で、パドレスは多くの補強ポイントを抱えている。リリーフ投手のうち、1人または2人をトレード要員として、戦力補強を画策する可能性もあるだろう。

先発ローテーションは補強が急務

 リリーフ投手の先発転向が検討されていたのは、先発陣の層が極めて薄いというチーム事情があったからだ。ニック・ピベッタは来季も先発の軸となるだろう。ジョー・マスグローブはトミー・ジョン手術から戻ってくる予定だ。ランディ・バスケスもローテーションの後方に名を連ねると思われる。

 しかし、ディラン・シースはFAとなり、ブルージェイズと契約した。マイケル・キングもFAによる他球団移籍が濃厚だ。ダルビッシュ有は右肘の手術により、2026年シーズンを全休することが決まっている。

 こうした事情もあり、層の厚いブルペンから1人または2人を先発に回すのではないかという憶測が飛び交っていた。しかし、リリーフ投手を先発に回さないのであれば、パドレスは先発ローテーションの穴をどのように埋めるのだろうか。

「球団内では、各選手をスプリングトレーニングに向けてどのように準備させるかについて引き続き話し合っていく。そして、ウィンターミーティングやオフシーズンを通して、トレードやFA市場での戦力補強についても検討していく」とプレラー編成本部長は語った。

 プレラー編成本部長は、スタメン新監督と同様に「今回の決定は必ずしも最終的なものではない」と強調した。しかし、3人全員がリリーフ投手としてブルペンに残るのであれば、パドレスは今後数週間、「先発補強」という明確な課題を抱えることになるだろう。

2025.12.9 10:47 Tuesday

ダイヤモンドバックスが先発補強 右腕ソロカと1年契約で合意

 ダイヤモンドバックスがウィンターミーティング開幕早々に先発補強を実現させた。8日(日本時間9日)、MLB.comが関係者から得た情報によると、フリーエージェント(FA)の右腕マイケル・ソロカと1年750万ドル(約11億2500万円)で契約合意。出来高を含めると、ソロカは最大950万ドル(14億2500万円)を得る可能性があるようだ。なお、まだ球団からの正式発表は行われていない。

 メリル・ケリーを夏場のトレード期限に放出し、シーズン終了後にはザック・ギャレンがクオリファイングオファーを拒否してFAとなったため、ダイヤモンドバックスは先発ローテーションに2つの大きな穴が開いていた。ファーム組織に才能ある若手投手たちがいるものの、チームとしては2026年のポストシーズン進出を目指しており、メジャーである程度の実績を持つ先発投手の獲得を目指している。

 現有戦力で先発ローテーションを担うのはエデュアルド・ロドリゲス、ブランドン・ファート、ライン・ネルソンの3人。ソロカはそこに加わることになる。

 今季のダイヤモンドバックスは、開幕時点のペイロール(年俸総額)が球団史上最高の1億9500万ドル(約292億5000万円)だったが、2026年は減額される見込みだ。ゼネラルマネージャー(GM)のマイク・ヘイゼンは「ポストシーズン進出を狙えるチームを作ることができるだけのリソースはある」と述べており、課題の先発ローテーションとブルペンを強化するためであれば、トップクラスの有望株や、場合によってはスター二塁手のケテル・マルテをトレードで放出することも厭わない姿勢を示している。

 今季のソロカは22試合(うち17先発)に登板して89回2/3を投げた。これはブレーブスで輝かしいルーキーシーズンを過ごした2019年以降では最多の数字だった。2019年のソロカは、21歳にして29先発で防御率2.68という素晴らしい活躍を見せ、オールスターに選出。新人王投票で2位、サイ・ヤング賞投票でも6位にランクインした。

 現在28歳のソロカは、今季はナショナルズとカブスの2球団でプレー。2度の右アキレス腱断裂で2021年と2022年の2シーズンを全休するなど、負傷続きのキャリアを過ごしているが、今季はかつての輝きの片鱗を見せる場面もあった。防御率は4.52と低調だったが、スタットキャストによる予想防御率は3.43、予想被打率も.210と上々の数字が残っており、これらは今季のソロカがやや不運だったことを示唆している。

 ナショナルズで16試合に先発したあと、7月末にマイナー2選手とのトレードでカブスへ移籍したが、最初の登板でわずか2イニングを投げただけで右肩を痛めてしまい、1カ月以上の戦線離脱を強いられた。9月後半にリリーフとして復帰すると、5試合を自責点0に抑えるなど、効果的な投球を見せた。

 今季ナショナルズで先発した16試合のうち、6イニング以上を投げたのはわずか4試合で、大半の試合では長いイニングを投げることができなかった。4つの球種のうち、最も良かったのはスラーブで、被打率.118、被長打率.245、空振り率38.3%の好成績をマーク。そのほか、フォーシーム、対左打者にはチェンジアップ、対右打者にはシンカーを投げる。

 2シーズンを全休したソロカにとって、今季は復帰後3年目のシーズンだった(2023年はわずか7登板だったため、フルシーズンとしては復帰後2年目)。2023年はブレーブスで防御率6.40に終わり、シーズン終了後にトレードでホワイトソックスへ移籍。2024年はホワイトソックスで25試合(うち9先発)に登板したが、0勝10敗、防御率4.74と1つも勝てなかった。その後、1年900万ドル(約13億5000万円)でナショナルズと契約し、今年7月末にカブスへ移籍した。ダイヤモンドバックスがキャリア5球団目となる。

2025.12.9 09:46 Tuesday

強打者獲得を目指すパイレーツ シュワーバーに4年契約を提示か

 パイレーツは資金力に乏しいという事情もあり、フリーエージェント(FA)市場では伝統的に出費が少ないチームの1つだ。しかし、今オフは従来よりも積極的に資金を投じる準備があるとの噂が飛び交っている。そして、それを裏付けるような報道が出てきた。

 ジ・アスレチックのケン・ローゼンタールによると、パイレーツはフィリーズからFAとなっている強打者カイル・シュワーバーに4年契約を提示したようだ。ローゼンタールは、その4年契約の総額が「確実に1億ドル(約150億円)を超えている」ことを報じている。しかし、「依然として獲得の可能性は低い」とも伝えており、シュワーバー争奪戦において、パイレーツが「大穴」のような存在であることに変わりはない。

 シュワーバーは今季フィリーズで全162試合に出場し、打率.240、56本塁打、132打点、108四球、10盗塁、出塁率.365、OPS.928を記録。大谷翔平(ドジャース)との争いを制し、本塁打・打点の二冠に輝いた。ナ・リーグMVP投票では大谷に次ぐ2位に終わったが、MLB選手会が選ぶナ・リーグMVPに選出されている。

 パイレーツが総額1億ドル以上の契約を結んだのは球団史上1度だけ(ブライアン・レイノルズと8年1億675万ドル=約160億1250万円で契約延長)。FA市場での契約に限定すると、2014年オフにフランシスコ・リリアーノと3年3900万ドル(約58億5000万円)で再契約したのが最高額だ。

 パイレーツがシュワーバー獲得を目指しているのは、大黒柱のポール・スキーンズの保有権があるうちに勝負に出たいという狙いがあるのだろう。パイレーツの資金力を考えると、4年後にFAとなるスキーンズを大型契約で引き留めるのは現実的ではなく、スキーンズを保有できる4年間が「勝負期」ということになりそうだ。

2025.12.8 12:53 Monday

ボンズとクレメンスはまた落選 殿堂入りのチャンスは残り1回?

 7日(日本時間8日)、時代委員会によるアメリカ野球殿堂入り投票の結果発表が行われ、16票中14票を獲得したジェフ・ケントが殿堂入りを果たした。一方、ケントともにジャイアンツ打線を牽引したバリー・ボンズは5票未満で落選。ロジャー・クレメンス、ゲーリー・シェフィールド、フェルナンド・バレンズエラも同じく5票未満に終わった。

 現在、時代委員会の殿堂入り投票には3つの区分がある。「主に1980年以降に活躍した選手」、「主に1980年以降に活躍した監督・球団幹部・審判」、「ニグロリーグを含む、1980年以前に活躍した人物」の3つだ。よって、3年周期のローテーションとなっている。

 実は、時代委員会の殿堂入り投票は今年3月にルール変更が発表されており、5票未満に終わった候補者は次のサイクルでは投票対象から除外される。つまり、ボンズ、クレメンス、シェフィールド、バレンズエラの4人は3年後、2028年の投票では候補者になることができないのだ。再び候補者になる可能性があるのは6年後、2031年の投票となる。

 また、時代委員会の殿堂入り投票で5票未満が複数回あった候補者は、それ以降の殿堂入り資格を失うというルールも追加されている。要するに、今回5票未満だったボンズ、クレメンス、シェフィールド、バレンズエラは2031年の投票で候補者として復活し、5票未満に終わった場合、完全に殿堂への道が閉ざされることになる。

 通算173勝、防御率3.54、WAR41.4(ベースボール・リファレンス版)のバレンズエラはともかく、ボンズ、クレメンス、シェフィールドの3人は通算成績だけを見れば、殿堂入りに値する選手たちだ。

 ボンズは史上最多となる7度のMVPを受賞。2001年の73本塁打はシーズン最多記録、22年間で放った762本塁打は通算最多記録としてメジャーの歴史に残っている。また、通算2558四球も史上最多。さらに、キャリア前半は球界有数の5ツールプレーヤーとして活躍したため、ゴールドグラブ賞8度、通算514盗塁と守備・走塁の実績も抜群だ。

 クレメンスは史上最多となる7度のサイ・ヤング賞を受賞。2度の投手三冠を含め、最優秀防御率のタイトルを7度獲得し、通算354勝&4672奪三振の実績を誇る。初めてのサイ・ヤング賞はレッドソックス時代の1986年、23歳のシーズンで、最後のサイ・ヤング賞はアストロズ時代の2004年、41歳のシーズンだった。

 上記2人には劣るものの、シェフィールドも通算2689安打、509本塁打、1676打点、253盗塁、OPS.907と見事な数字を残している。打撃タイトルは首位打者1度だけだが、オールスターに9度選出され、シルバースラッガー賞も5度受賞。1997年にはマーリンズの一員としてワールドシリーズ制覇も経験した。

 この3人に共通しているのは薬物(筋力増強剤)使用に関する問題だ。これだけの実績がありながらも、全米野球記者協会(BBWAA)による10年間の記者投票の中で、ボンズは最高で得票率66.0%、クレメンスは65.2%にとどまり、シェフィールドも63.9%まで伸ばすのが精一杯だった(当選ラインは75%)。ボンズとクレメンスは2023年の時代委員会でも候補者となったが、支持を伸ばせず落選している。

 薬物使用疑惑がある選手のうち、ボンズやクレメンスなど一部のスーパースターだけがスケープゴートにされている感は否めないが、こうした選手たちに対する厳しい姿勢は一貫している。ボンズやクレメンスの殿堂入りへの挑戦は、再び候補者になるであろう2031年の投票がラストチャンスとなってしまうかもしれない。そして、2031年までの6年間で球界の考え方が大きく変わらない限り、厳しい結果に直面することになりそうだ。

2025.12.8 12:06 Monday

二塁手最多本塁打のジェフ・ケントが時代委員会の投票で殿堂入り

 7日(日本時間8日)、時代委員会によるアメリカ野球殿堂入り投票の結果発表が行われ、強打の二塁手として活躍したジェフ・ケントが殿堂入りを果たした。

 今回の時代委員会の殿堂入り投票は、1980年以降に活躍した選手が対象。当選するためには16票中12票(得票率75%)以上を獲得することが必要だったが、ケントは14票(87.5%)を獲得し、殿堂入りを決めた。

 ほかの候補者は、カルロス・デルガドが9票、デール・マーフィーとドン・マティングリーが6票を獲得。バリー・ボンズ、ロジャー・クレメンス、ゲーリー・シェフィールド、フェルナンド・バレンズエラはいずれも5票未満に終わった。

 ケントは二塁手としては珍しく、攻撃力の部分でキャリアの名声を築き上げた。通算377本塁打のうち351本を二塁手として放ち、これは二塁手史上最多。また、通算1518打点も二塁手としてはトップクラスの数字だ。

 堅実なキャリアを過ごしていたケントがスターダムにのし上がったのは、1997年のジャイアンツ移籍以降だ。ボンズと強打者デュオを形成し、ジャイアンツではウィリー・メイズとウィリー・マッコビー以来、最も恐れられるコンビとなった。ジャイアンツ移籍後の6年間で打率.297、OPS.903をマークし、毎年100打点以上を記録。2000年にはボンズとの争いを制し、ナ・リーグMVPに選出された。

 オールスター選出5度、シルバースラッガー賞4度の実績を誇り、30代後半になっても活躍を続けた。ポストシーズンでの活躍も素晴らしく、49試合に出場して9本塁打、OPS.840をマークしている。

 今回、投票した16名は、殿堂入り選手のファージー・ジェンキンス、ジム・カート、フアン・マリシャル、トニー・ペレス、オジー・スミス、アラン・トラメル、ロビン・ヨーント、球団幹部のマーク・アタナシオ、ダグ・メルビン、アルテ・モレノ、キム・アング、トニー・リーギンス、テリー・ライアン、メディア関係者のスティーブ・ハート、タイラー・ケプナー、ジェイソン・スタークという顔ぶれだった。

2025.12.8 10:30 Monday

マリナーズとナショナルズのトレードを様々な角度から徹底分析

 マリナーズとナショナルズはともに戦力アップを目的として6日(日本時間7日)にトレードを成立させた。ナショナルズはリリーフ左腕のホゼ・A・フェレアをマリナーズへ放出。その対価として、MLBパイプラインでメジャー全体42位の有望株と評価されているハリー・フォード、マイナー右腕のアイザック・ライオンを獲得した。

 マリナーズは7日(同8日)にフロリダ州オーランドで始まるウィンターミーティングに向けて、ブルペンの補強を最優先事項としていた。フリーエージェント(FA)市場ではなく、トレードを通してブルペンの補強を行ったのは特に驚くべきことではない。25歳のフェレアがFAになるのは2029年シーズン終了後であり、マリナーズはフェレアをあと4シーズン保有できる。

 一方、ナショナルズが有望株捕手のフォードを獲得したことは、チームが現在の正捕手であるキーバート・ルイーズに対してどのような見通しを持っているかを示すものであると思われる。ルイーズは8年5000万ドル(約75億円)の長期契約を結んでおり、来季は8年契約の4年目。しかし、2024年以降のOPS+は72(平均100、ルイーズは平均を28%下回っている)にとどまっており、フォード獲得で捕手のアップグレードを狙っているのだろう。

◆トレードの詳細

マリナーズ獲得:左腕ホゼ・A・フェレア ナショナルズ獲得:捕手ハリー・フォード、右腕アイザック・ライオン

◆マリナーズにとって何を意味するか (マリナーズ担当:ダニエル・クレーマー)

 今回のトレードは一見、マリナーズのフロントオフィスによる奇妙な決断であるように思われる。なぜなら、フォードは長い間、マリナーズの長期的プランの重要なピースと考えられてきただけでなく、ベテラン控え捕手のミッチ・ガーバーがFAとなったため、マリナーズのロースター40人枠にはカル・ローリーとフォードしか捕手がいなかったからだ。

 しかし、マリナーズが今回のトレードに喜んで応じたという事実は、フェレアをどれほど高く評価しているかを示していると言えるだろう。また、控え捕手については、ほかの手段で簡単に埋められると考えているのかもしれない。

 マリナーズは今オフの最優先事項だったジョシュ・ネイラーとの再契約(5年9250万ドル=約138億7500万円)を済ませたあと、ゲーブ・スパイアーに次ぐリリーフ左腕の補強が重要課題となっていた。今後はフォードに代わる控え捕手だけでなく、打撃力のある内野手、さらにリリーフ右腕の補強を目指すことになりそうだ。

◆ナショナルズにとって何を意味するのか (ナショナルズ担当:ジェシカ・カメラート)

 今回の取引は、新しく就任したポール・トボーニ編成本部長による初めてのトレードとなった。少なくとも2031年シーズンまで保有できるフォードを獲得したことにより、先行き不透明だったナショナルズの捕手陣に新たな風が吹くことになる。

 2023年のスプリングトレーニング期間中に8年契約を結んだフォードは今季、脳震盪で戦列を離れた。ナショナルズはルイーズがスプリングトレーニングに間に合うと考えているものの、万全の状態でプレーできるかどうかはまだ分からない。なお、先月の時点で控え捕手のライリー・アダムスとの年俸調停を回避し、1年契約を結んでいる。

 長期間にわたって活躍できる可能性のある捕手を獲得した一方、ナショナルズのブルペンには大きな疑問符がつくことになった。フェレアは今季途中にカイル・フィネガンがタイガースへトレードされたあと、クローザーの役割を引き継いでいたからだ。来季は右腕コール・ヘンリーのクローザー抜擢も考えられるが、今オフ中にクローザー候補の投手を獲得する可能性もあるだろう。

◆有望株専門家による分析 (MLBパイプライン:サム・ダイクストラ)

 今オフ、フォードの名前はトレードの噂の中で何度も挙がっていた。「移籍市場の影響を受ける可能性がある有望株」といった記事や「大型トレードを成立させることが可能なファーム組織」について扱ったポッドキャストの中でもフォードの名前が出てきた。そして6日(同7日)、その答えが出た。ローリーという不動の正捕手がいる以上、こうなる運命だったのだ。

 来年2月に23歳の誕生日を迎えるフォードは、シーズン60本塁打を記録するような正捕手がいなければ、2025年シーズンにメジャーでより多くの出場機会を得ていただろう。マイナー3Aタコマでは97試合に出場し、打率.283、16本塁打(自己最多)、出塁率.408、長打率.460、OPS.868を記録。ボール球に手を出す割合は21%しかなく、今季のメジャーに当てはめると上位9%に入る好成績だった。この辛抱強さが打撃力の向上につながり、打球速度も平均レベルから平均をやや上回るレベルまで上昇している。走塁面では数字を落とした(2024年の35盗塁から今季は7盗塁に激減)が、身体能力の高さは健在。メジャーの正捕手を務められるだけの守備力も持ち合わせている。

 では、なぜマリナーズはこのタイミングでフォードを放出したのか。フェレアを獲得したかったという理由はもちろんだが、有望株ランキング全体トップ100にランクインしているマリナーズの8選手のうち、フォードは明らかにメジャーでの出場機会をブロックされた存在だった。また、コルト・エマーソン(ヒットを打つ能力)やラザロ・モンテス(長打力)のように、打者として突出したツールを持っているわけでもない。ローリーが大幅に成績を落としたり、負傷で長期離脱したりしない限り、フォードが近い将来に正捕手となる可能性は低く、くすぶっている間に価値を落とす可能性があったのだ。

 一方、フォードはいいタイミングでナショナルズへ移籍できたと言える。かつてのトップ100有望株であるルイーズは、直近2年間のWAR(ベースボール・リファレンス版)がいずれも1を下回っており、もはや不動の正捕手ではない。つまり、スプリングトレーニングでアピールできれば、フォードが正捕手の座を奪取するチャンスは十分にある。

 ナショナルズはジェームス・ウッド、ディラン・クルーズ、デイレン・ライル、CJ・エイブラムスといった若手を軸に打線を形成しようとしている(エイブラムスはトレードの噂もあるが)。フォードの加入は、若手が中心となる打線にさらなる勢いをもたらすことになりそうだ。

◆さらに深掘り (コンテンツ編集担当:アンドリュー・サイモン)

 MLB.comのマイク・ペトリエロが指摘しているように、今オフの移籍動向を見ていると、「なぜチームがその投手を獲得したのか」を評価する際に防御率を見るだけでは十分ではないことが分かる。たとえば、ブルージェイズは防御率4.55のディラン・シース、メッツは防御率4.79のデビン・ウィリアムスを獲得した。レッドソックスは防御率4.28のソニー・グレイを獲得し、新たにトレードで手に入れたヨハン・オビエドも今季の防御率は3.57だったものの、通算では4.24に過ぎず、トミー・ジョン手術で1年を棒に振る前のシーズン、2023年の防御率は4.31だった。そして、マリナーズが獲得したフェレアは今季の防御率が4.48、メジャー通算では142試合に登板して4.36だ。

 当然、投手の評価は防御率を見るだけでは十分ではない。防御率に隠れているパフォーマンスを見ることが重要であり、「その選手をさらに成長させることができる」とチームが確信している場合もある。もちろん、フェレアの場合はFAになるまであと4年保有できるということもマリナーズにとって大きなプラス材料だ。では、マリナーズは有望株捕手のフォードを手放してまで獲得したフェレアに何を期待しているのだろうか。

・フェレアはFIP(3.03)、xFIP(3.09)、SIERA(2.85)と優れた数字を残し、スタットキャストによる予想防御率も3.61とまずまず。これらの様々なバージョンの「防御率」は方向性としてはすべて似たようなことを示している。それは、フェレアが今季、防御率よりも優れたパフォーマンスをしていたということだ。

・スタットキャストによると、今季のナショナルズは捕手のフレーミング指標がメジャー最低で、OAA(Outs Above Average:平均よりどれだけ多くアウトを奪ったかを表す守備指標)と守備得点もメジャーで2番目に悪かった。これはフェレアが守備陣から十分なサポートを得られなかったことを示唆している(ただし、マリナーズもOAAと守備得点で苦戦していた)。

・平均98マイル(約158キロ)近いシンカーを投げることができる左腕で、チェンジアップも平均88マイル(約142キロ)近いスピードが出る。両球種とも平均より大きく変化するのが特徴だ。

・今季のフェレアは3つの点で特に優れていた。1つ目は四球の少なさ(四球率はメジャーの上位5%)、2つ目はゴロの打球の多さ(ゴロ率は上位1%)、3つ目は長打性の打球を防ぐ能力(被バレル率は上位7%)である。

 これらを総合的に考えると、マリナーズ側の視点から見れば、フォードを放出してフェレアを獲得するという動きはそれほど奇妙ではないように見える。ワールドシリーズ出場を目指すチームにとって、多少のリスクはあるものの、魅力的な選択肢だと言えるだろう。

◆知っておくべきデータ (MLB.comリサーチチーム)

 フェレアのチェンジアップはどれほど強力な武器なのか。今季、チェンジアップに対して100回以上のスイングがあった投手は126人いた。フェレアの空振り率は47%だったが、これを上回ったのはわずか4人だけ。その中にはロイヤルズのエース左腕コール・レイガンズ、ナ・リーグ新人王投票2位のケイド・ホートン、フェレアのチームメイトだったマッケンジー・ゴアらが含まれる。また、2年連続サイ・ヤング賞のタリック・スクーバルはフェレアのすぐ後ろにランクインした。

 また、規定数以上のチェンジアップを投げた267人の投手の中で、フェレアは(球速とリリースポイントが近い投手と比較したときの)縦変化が27番目、横変化が8番目に大きかった。フェレアのほかに、縦方向にも横方向にも平均より3インチ(約7.6センチ)以上変化するチェンジアップを投げるのは、魔球「エアベンダー」を武器とするウィリアムスだけだった。

2025.12.8 09:53 Monday

今オフFA市場で最も希少な存在? 右打ちの外野手が歴史的レベルで減少

 このオフシーズン、外野手が欲しいならば、優秀な選手と契約すべきだ。FA市場最大の大物と目されるカイル・タッカー、高評価を受けるであろうコディ・ベリンジャー、主にDHの選手ではあるもののカイル・シュワーバーもいる。ヤンキースは既に34本塁打を放ったトレント・グリシャムにクオリファイング・オファーを提示し、チームに引き止めた。

 ここで挙げた4人の選手には共通点がある。それは左打ちということだ。右打ちの外野手を探しているなら、別の選択肢に目を向けなければいけない。ロブ・レフスナイダー、ミゲル・アンドゥハー、ハリソン・ベイダーらがFA市場の中で最高の右打ちの外野手だ。レフスナイダーとアンドゥハーは左腕に強く、ベイダーは守備が上手い。それぞれに魅力的な点があるが、これらの選手はスター選手ではないどころか、それに近い選手でもない。強豪チームであればレギュラーでもなく、プラトーンやベンチを任されるタイプの選手だろう。

 それ以外の右打ちの外野手は、アンドリュー・マカッチェン、トミー・ファム、スターリング・マルテ、クリス・テイラーといった30代後半に差し掛かるかつてのスター選手が揃う。あるいはレーン・トーマスのような不振とケガに苦しんだ選手もいる。

 今オフのFA市場は明らかに右打ちの外野手の層が薄い。そして、右打ちの外野手はFA市場だけではなく、リーグ全体で希少な存在になっている。今や右打ちの外野手を探すのは、誇張なくかつてないほど困難なのだ。

 今オフ初め、オリオールズは保有期間残り1年のテイラー・ウォードを獲得するため、保有期間4年の先発右腕グレイソン・ロドリゲスを放出した。この一見すれば衝撃的なトレードも、右打ちの外野手不在の背景から少しは説明がつくかもしれない。今後も同様の動きが起きる可能性はある。

 右打ちの外野手がかつてないほど減ってしまったのはどういうことだろうか?

 2025年、400打席以上に立ち、平均以上の打撃成績(OPS+100を超えた)右打ちの外野手は16人いた。アーロン・ジャッジ、ロナルド・アクーニャJr.、フリオ・ロドリゲス、バイロン・バクストンといったスター選手に加え、ベイダー、ウォード、ランディ・アロザレーナといったベテラン選手、そしてジャクソン・チョーリオ、アンディ・パヘス、ワイアット・ラングフォードといった若手選手も活躍した。

 打てる右打ちの外野手がレギュラーで16人。ほとんど2チームの1人の計算になる。これは2024年より1人少ない。また、過去10年間と比べても大幅に少ない。さらに深刻なことに、この数字は過去60年以上の中で最低だ。

 フルシーズンを通して平均以上の打撃成績を残した右打ちの外野手がこれほど少なかったのは、1960年(15人)に遡る。しかし、1960年は翌年にエクスパンションが行われる前、MLBが16球団だった最後のシーズンだ。その後、1960年代後半に24球団にまでリーグは拡張され、現行の30球団体制に至っている。いかに今、右打ちの外野手が少ないかが分かる。

 割合で見れば、2025年に200打席以上に立ったすべての選手の中で、打てる右打ちの外野手はわずか16人に1人だった。これは1947年以降、最低の割合だ。1956年には6人に1人、そして2010年ですら8人に1人の割合だった。かつてはウィリー・メイズ、ハンク・アーロン、フランク・ロビンソン、ロベルト・クレメントなど、右打ちのスター外野手がいた。今はそうではない。一体何が起こっているのか?

 一つの原因は、単に「レギュラーの右打ちの外野手が減っている」ということだ。打撃成績の条件を取り除いても、レギュラーの右打ちの外野手が26人しかいなかったのは1966年以来の出来事だ(前述の通り1966年も今より球団数は少ない)。

 さらに言えば、そもそも右打者が減っている。左打者の数が減っていた5年前とは大きな違いだ。2023年に内野の守備シフトが制限されても、安打数や打率に大きな影響を与えることはなかった。しかし、多くの球団が左打者をラインナップに組み入れるようになった。

 しかし、主にそれは生産性に関係している。

 右打ちの外野手が記録したwRC+(得点を生み出す能力を測る指標。簡単に言えば、高性能のOPS+)はちょうど100だった。wRC+のような加重を取り入れた指標では100を平均としているため、これは「右打ちの外野手の攻撃力は平均レベル」ということを意味する。

 攻撃力が平均レベルならば心配する必要はないかもしれないが、外野手は平均以上の攻撃力を求められるポジションだ。このwRC+100という今季の数値は、1920年に「飛ぶボールの時代(ライブボール・エラ)」が戻ってきたから、3番目に低い。そして、歴代最低のランキングを見てみれば、直近の2023、2024年シーズンもランクインしており、戦争中でスター選手が不在だった1940年代半ばのシーズンも含まれることが分かる。

1920年以降、右打ちの外野手の打撃成績が低かったシーズンランキング

ワースト1位:1997年(wRC+97) 2位:2024年(wRC+99) 3位:2025年、1934年、1944年(wRC+100) 4位:2023年、1942年、1946年(wRC+101)

 2025年の右打ちの外野手のOPSは、遊撃手にも劣っていた(OPS.723対.718)。2006年には、右打ちの外野手のOPSは遊撃手より63ポイントも高かった。

 たとえば、メッツは今季、右打ちの外野手がわずか3本の本塁打しか打っていない。マルテが1本、タイロン・テイラーが2本だ。メッツが左打ちの外野手(フアン・ソト、ブランドン・ニモら)を重用したことも関係しているが、これは2017年のロッキーズの2本以来、球界最小だ。

 カージナルスも同様だ。カージナルスの右打ちの外野手は打率.200、出塁率.263、長打率.287という成績に終わった。OPS.550は、データが手に入る1969年以降では史上最低だった(これは唯一の右打ちの外野手でレギュラーだったジョーダン・ウォーカーの不振の影響とはいえ、それでも低い)。また、ガーディアンズは全ポジションにおいて200打席以上に立った右打者が1人(ガブリエル・アリアス)しかいなかった。これは1900年以降で2度目の珍記録だ。

 一方、レッドソックス、ツインズ、カージナルス、ダイヤモンドバックスなど、左打ちの外野手を多く抱える球団もいる。しかし、それらのチームが左打ちの外野手をトレードするのは想像以上に難しいかもしれない。一方で、右打ちの外野手を必要とするチーム(メッツ、ガーディアンズ、ロイヤルズ、レッズなど)は、オリオールズがしたような大胆なトレードをしなければいけないかもしれない。

 そうなると、テオスカー・ヘルナンデス(ドジャース)、ルイス・ロバートJr.(ホワイトソックス)、ジェイク・マイヤーズ(アストロズ)、あるいはバイロン・バクストン(ツインズ)が噂に上っている通りトレードされれば、想像以上に関心を集めるかもしれない。もしストーブリーグが本当に需要と供給を反映しているならば、パワーのある右打ちの外野手の供給は著しく不足していることになる。

2025.12.7 14:12 Sunday

2025ウィンターミーティングの見どころを紹介

 ストーブリーグの一大イベント・ウィンターミーティングの時期がやってきた。球界の視線はフロリダ州オーランドへと集まる。7日(日本時間8日)からウィンターミーティングが開催されるからだ。

 ウィンターミーティングは代理人、全球団の編成陣らが一堂に集結し、大きな契約・トレードが決まることも珍しくない。さらに2026年ドラフトの1巡目指名順を決めるドラフトロッタリー、最終日に予定されるルール5ドラフトなど、球界の未来に関わる注目イベントも行われる。ここでは、ウィンターミーティングの見どころを一挙に紹介する。

トレード

 昨年はフアン・ソト、マックス・フリードの大型契約が決まった後に、トレード市場が活性化。レッドソックスが多数の有望株が絡む大型トレードで、ホワイトソックスからエース左腕ギャレット・クローシェを獲得した。

 今オフのトレード市場で注目を集めるのは、タイガースのエース左腕で、2年連続でサイ・ヤング賞を受賞したタリック・スクーバル。フリーエージェント(FA)まで残り1年となったエース投手をタイガースがトレードするのではないかと噂されている。さらにナショナルズのエース左腕マッケンジー・ゴア、ツインズのバイロン・バクストン、フィリーズのニック・カステヤノスといったビッグネームにもトレードの噂がある。

 有望株事情に詳しいジム・キャリスとジョナサン・メヨが「MLBパイプライン・ポッドキャスト」で議論したように、今オフ大型トレードに動く可能性があるのはドジャース、メッツ、マリナーズ、レッズなど。既にオリオールズとエンゼルスがグレイソン・ロドリゲスとテイラー・ウォードを、レンジャーズとメッツがマーカス・セミエンとブランドン・ニモを1対1でトレードするなど、トレード市場は活況だ。

 さらにウィンターミーティング直前にもトレード市場は動き、6日(同7日)にはマリナーズが有望株ハリー・フォードを放出して、ナショナルズから救援左腕ホセ・A・フェラーを獲得。そして4日(同5日)には、パイレーツが先発右腕ヨハン・オビエドらを放出して、レッドソックスから球界85位有望株のジョスティンソン・ガルシアらを獲得した。

ドラフトロッタリー

 第4回ドラフトロッタリーは、現地9日午後5時30分(日本時間10日午前7時30分)から開催される。ドラフトロッタリーの様子はMLBネットワークで放送され、MLB.comで配信される。ロッタリーでは2026年ドラフトの上位6位の指名順が決定され、対象となる15チームすべてに大きな影響を与える。

 ロッタリー制度はまだ導入されてから数年しか経っていないものの、その恩恵は既に現れている。2022年のウィンターミーティングで行われた第1回ドラフトロッタリーでは、パイレーツが全体1位指名権を獲得し、2023年ドラフトでポール・スキーンズを指名した。第2回ドラフトロッタリーでは、全体1位指名権を得る確率がわずか2.0%だったガーディアンズが全体1位を引き当て、トラビス・バザーナを指名した。

 今年のドラフトロッタリーでは、ホワイトソックスが対象球団中で最も高い27.73%の全体1位の確率を割り当てられている。その後、ツインズ、パイレーツ、オリオールズ、アスレチックス、ブレーブスの順で全体1位の確率が高い。ポストシーズンを逃したものの、ロッキーズ、エンゼルス、ナショナルズは今年のドラフトロッタリー対象外であり、全体10位以内での指名はできない。

ルール5ドラフト

 今年のルール5ドラフトは現地10日午後2時(日本時間11日午前4時)から開催され、MLB.comで中継が配信される。

 ルール5ドラフトの指名対象は40人枠外の有望株。その中でも18歳以下で契約しながら5年が経過した選手、19歳以上で契約しながら4年が経過した選手が対象となる。

 ルール5ドラフトでは、選手を指名した球団は10万ドルを前所属の球団に支払う必要がある。さらに指名された選手は基本的にシーズンを通して26人ロースターに残らなければならない。そして指名された選手をロースター(出場選手登録)から外す場合、その選手はウエーバーで他球団に移籍するか、前所属の球団に5万ドルで返却される。

 ルール5ドラフトは常に予測不可能だ。昨年は2004年以来最多となる83人の選手が指名された。

 ルール5ドラフトからはスター選手も生まれており、殿堂入り外野手のロベルト・クレメントらが指名を機に羽ばたいた。近年は右腕シェーン・スミス(ホワイトソックス)、右腕ライアン・プレスリー(元アストロズなど)、外野手アンソニー・サンタンデール(現ブルージェイズ)らが成功例として挙げられる。

フリーエージェント(FA)市場

 フリーエージェントとの契約は、新旧の所属球団のドラフト順位に影響を及ぼす可能性がある。

 仮にクオリファイング・オファーを拒否してFAとなった選手と他球団が契約した場合、前所属の球団は補償のドラフト指名権を得られる。前所属の球団が収益分配の対象ではなく、なおかつぜいたく税を超過していなければ、得られる指名権は戦力均衡ラウンドB終了後の補償指名権だ。また、前所属がぜいたく税を超過していた場合、補償指名権は4巡目終了後。そして、前所属が収益分配対象で、その選手が5000万ドル(約77億円)以上の契約を結んだ場合、補償指名権は1巡目終了後(戦力均衡ラウンドAの前)に与えられる。5000万ドル未満の場合は、戦力均衡ラウンドBの終了後となる。

 今オフ、クオリファイング・オファーを提示された13選手の内、今永昇太(カブス)ら4選手がそれを受諾。これは過去最多だった。一方で、カイル・シュワーバー、カイル・タッカー、レンジャー・スアレス、フランバー・バルデス、ボー・ビシェット、エドウィン・ディアス、ザック・ギャレン、マイケル・キング、ディラン・シースはクオリファイング・オファーを拒否してFAを選んだ。

 既にシースはブルージェイズと7年契約を結んだため、パドレスは補償指名権を得ることが確定。ぜいたく税を超過しているパドレスに与えられる補償指名権は4巡目終了後だ。クオリファイング・オファーを提示しながら拒否されたメッツ、フィリーズ、アストロズ、ブルージェイズ(以上はぜいたく税超過)、カブス、ダイヤモンドバックスは、選手が移籍した場合、補償指名権を手に入れる可能性がある。

 

2025.12.7 13:11 Sunday

ジャリエル・ロドリゲスがブルージェイズの40人枠を外れる この動きを解説

 ブルージェイズは救援右腕ジャリエル・ロドリゲスを40人枠から外した(アウトライト)。ウィンターミーティングを直前に控えた中、驚きの動きを見せた。

 この動きはブルージェイズがロドリゲスをアウトライト・ウエーバーにかけ、他のどの球団も獲得の意志を見せず(クレームせず)、ロドリゲスがウエーバーをクリアしたことを意味する。アウトライト・ウエーバーをクリアして40人枠を外れ、マイナーへ降格する場合、メジャーリーグで5年以上のサービスタイム(出場登録日数)を経た選手はマイナー降格を拒否できる。そして、3年以上のサービスタイムを経た選手、もしくは以前にアウトライトされた選手はアウトライトを拒否してフリーエージェント(FA)となることができる。しかし、ロドリゲスはサービスタイムが2年しかなく、アウトライトを受けた経験もないため、マイナーへ降格することとなる。

 ロドリゲスは中日ドラゴンズでプレーした後、2024年にブルージェイズと5年3200万ドル(約49億円)の契約を結んだ。契約は3年2130万ドル(約33億円)残るが、この年俸は保証される。また、ロドリゲスは他のマイナーリーグの選手と同様、いつでもトレードされる可能性がある。トレードされなければ、来季のスプリングトレーニングはマイナーの選手として参加することになる。

 28歳のロドリゲスはメジャー2年目の今季、リリーフに専念して66登板で2セーブ、14ホールド、防御率3.08をマーク。前半戦は防御率2.47と好調だったが、後半戦は息切れし、ワールドシリーズでもロースター(出場選手登録)を外れた。

 ブルージェイズはブルペン補強を模索しているが、前半戦はブルペンの重要な一員だったロドリゲスをなぜ40人枠から外したのか。

 ブルージェイズの目的は、チームの戦力として維持しながら、40人枠の余剰を生み出すことにあったと考えられる。

 前述の通り、現在のロドリゲスはアウトライトされ、マイナー降格の措置を拒否することができない。過去にアウトライトされた経験もなく、サービスタイムが3年に満たないためだ。

 そして、アウトライト・ウエーバーにかければ、他球団から獲得されるリスクもあるが、それも低かった。ロドリゲスは3年2130万ドルの契約と、その成績からすれば割高な契約を残している。仮に他球団がロドリゲス獲得に手を挙げた(クレームした)場合、獲得した球団は残り契約のすべてを負担しなければならなかった。

 ブルージェイズはロドリゲスが投手陣に必要になった場合、いつでも40人枠に再び加え、メジャーに昇格させることができる。ロドリゲスを戦力層の一部としてキープしながら、40人枠から外して空き枠を作れるタイミングとして、今オフは最適だった。あるいは、年俸を一部負担した上で他球団にトレードする選択肢もあるだろう。いずれにせよ、ロドリゲスをこのまま40人枠に留める場合よりも、ブルージェイズはロースターの柔軟性を手に入れたことになる。

 今回のロドリゲスと似た措置は、ブルージェイズの控え外野手マイルズ・ストローの身にも起こったことがある。ストローは2022年に古巣ガーディアンズと5年2500万ドルの延長契約を結んだが、その後成績が低迷。2024年の開幕前にストローはアウトライトされ、マイナーに降格した。その後、2024年のシーズン中に40人枠に登録(セレクト)され、7試合に出場。シーズン後に再びアウトライトされたものの、ストローはそれを拒否してFAで退団せず、2025年1月にブルージェイズへトレードされた。そしてブルージェイズでは40人枠を勝ち取り、今季は控え外野手として貢献した。

 ブルージェイズは今オフ、大型補強を敢行。既にエース級のディラン・シース、韓国球界で大活躍したコディ・ポンセを先発ローテーションに加え、内野手ボー・ビシェットとの再契約、スター外野手カイル・タッカーとの契約も噂されている。ブルペン陣の補強も検討されており、40人枠のスポットを遅かれ早かれ捻出する必要があったはずだ。ロドリゲスのアウトライトにより、ブルージェイズの40人枠は現在38人に減った。

2025.12.7 12:14 Sunday

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