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ドジャースの左腕コップがロースター40人枠入り ルール5ドラフト対策
ドジャースは、来月行われるルール5ドラフトからプロスペクト(若手有望株)を守るために、米東部時間18日午後6時(日本時間19日午前8時)の期限までに、左腕ロナン・コップをロースターの40人枠に追加した。
新たにロースターの40人枠に追加されたのはコップだけで、プロテクトされなかったほかの選手はルール5ドラフトで流出する可能性があるが、ドジャースはプロテクトが必要な有力選手がほとんどいなかった。MLBパイプラインの有望株ランキング全体トップ100にランクインしている7人の有望株はいずれもルール5ドラフトの対象外。球団のトップ30有望株に目を向けても、ルール5ドラフトの対象になるのは、23位の右腕ピーター・ヒューベックと25位の遊撃手ノア・ミラーだけだった。
18歳以下で初めてメジャー球団と契約を結んだ選手は5シーズン以内、19歳以上でプロ入りした場合は4シーズン以内に40人枠入りしなければルール5ドラフトの対象となる。なお、今年のルール5ドラフトは、12月7~10日(同8~11日)にフロリダ州オーランドで開催されるウィンターミーティングの期間中に行われる。
ドジャースのロースター40人枠には現在、コップも含めて39人の選手が登録されている。6日(同7日)に40人枠入りした左腕ロビンソン・オルティスを16日(同17日)に右腕タイラー・ガフとのトレードでマリナーズへ放出したため、枠が1つだけ空いている状態だ。
23歳のコップは2021年ドラフト12巡目指名で入団。今季はマイナー2Aタルサで開幕を迎え、シーズン途中で3Aオクラホマシティに昇格した。合計49試合に登板して57回2/3を投げ、2勝4敗2セーブ、2ホールド、防御率3.43を記録。投球イニングを大きく上回る91個の三振を奪い、42四球を与えた。
9イニングあたり14.20個の三振を奪った計算になり、これは2Aと3Aで50イニング以上を投げた投手の中で4番目の数字だった。
18日(同19日)にプロテクトされた有望株はコップだけだったが、ドジャースは6日(同7日)の時点でもう1人、有望なマイナー選手をロースターの40人枠に加えている。今季マイナー3Aのパシフィックコースト・リーグでMVPに輝いた外野手のライアン・ウォードだ。
ウォードは昨年のルール5ドラフトの際にプロテクトされなかったが、獲得に動く球団はなかった。2019年ドラフト8巡目指名で入団し、2023年には3Aに昇格。3Aで3年目のシーズンとなった今季、飛躍を遂げた。
今季は143試合に出場し、打率.290、36本塁打、122打点、16盗塁、OPS.937の好成績をマーク。昨季より123打席多かったにもかかわらず、三振を20個減らした。ドジャースの外野陣(特に左翼手)が打撃不振に苦しむ中、マイナーでのウォードの活躍は注目を集めていたが、結局2025年シーズン中にメジャー昇格を果たすことはなかった。
しかし、28歳となる来季は状況が変わるかもしれない。先週行われたゼネラルマネージャー(GM)会議において、ブランドン・ゴームスGMはウォードにメジャーでの出場機会を与えるつもりであることを明言。自慢の打撃力を活かし、外野手不足をカバーする手助けになることを期待しているようだ。
2025.11.19 12:14 Wednesday
パイレーツ・スキーンズがトレードの噂を否定 「事実ではない」
満票でナショナル・リーグのサイ・ヤング賞を受賞してから1週間も経たないうちに、ポール・スキーンズ(パイレーツ)は『ダン・パトリック・ショー』に出演。最近浮上したトレードの噂について言及した。
先週、NJアドバンスメディアのランディ・ミラーは、匿名のパイレーツのチームメイトの発言を引用し、「スキーンズが2029年シーズン終了後にフリーエージェント(FA)になるより前にヤンキースでプレーしたいと話しているのを聞いた」と報じた。しかし、スキーンズはただちにこの報道を否定。パトリックとのトークの中で、改めて否定した。
「数時間イライラしていたけど、気持ちを切り替えて(報道が出た)その日の夜遅くにメディアに話をした。仕方がないことだ。良いことも悪いことも、いずれ明らかになる。これは明らかに事実ではない」とスキーンズは語った。
スキーンズはメジャー最初の2シーズンで55試合に先発し、防御率1.97、WHIP0.95を記録。2年連続でオールスターに選出され、昨季は新人王、今季はサイ・ヤング賞に輝いた。今季は187回2/3を投げ、防御率1.97をマーク。30人の投票者全員から1位票を獲得し、球団史上4人目となるサイ・ヤング賞に満票で選出された。
スキーンズは間違いなくナ・リーグ最高の先発投手、そしてタイガースのタリック・スクーバルと並び、おそらくメジャー最高の先発投手として2026年シーズンを迎える。パイレーツはスキーンズがFAになるまで、あと4年保有することができ、スキーンズが年俸調停の権利を取得するのは来季終了後。パイレーツがスキーンズの放出を急ぐ理由は全くない。
2025.11.19 11:27 Wednesday
レッドソックスが一塁手ロウと右腕ウィンコウスキーのDFAを発表
MLBで各球団のロースターが大きく変動する季節が到来した。18日(日本時間19日)、レッドソックスは来月のルール5ドラフトに備えて各球団がロースターの40人枠を確定する期限を前に、一塁手ナサニエル・ロウと右腕ジョシュ・ウィンコウスキーのDFA(designate for assignment:選手をロースターの40人枠から外す措置)を発表。4件のトレードを成立させるなど、慌ただしく動いた。
レッドソックスはロウのDFAと同時に、レイズとのトレード成立を発表。救援右腕ルイス・ゲレーロを放出し、ユーティリティ内野手のトリスタン・グレイを獲得した。ゲレーロは6日(同7日)の時点ですでにDFAとなっていたが、レッドソックスはグレイを獲得するためにロースターの枠が必要だったため、ロウをDFAとした。
その後、さらに3件のトレードが成立。左腕ブレナン・バーナーディーノとのトレードでロッキーズからマイナー外野手のブレイデン・ウォード、左腕クリス・マーフィーとのトレードでホワイトソックスからマイナー捕手のロニー・ヘルナンデス、マイナー右腕のアレックス・ホープとのトレードでマリナーズからマイナー捕手のルーク・ヘイマンを手に入れた。
これらの動きに加え、左腕シェーン・ドロハン、右腕デービッド・サンドリン、右腕タイラー・ウーバースタインの3人がマイナー3Aウースターからメジャーのロースター40人枠に追加された。
各球団が自軍の選手に来季の契約を提示する期限(通称ノンテンダーデッドライン)は21日(同22日)。ロウはノンテンダーFAの有力候補だったが、レッドソックスはロースターの枠を必要としていたため、ノンテンダーの期限を待たずにロウをDFAとした。
ロウは8月中旬にナショナルズを解雇されたあと、レッドソックスに加入。レッドソックスは5月上旬にトリストン・カサスが左膝蓋腱を断裂して今季絶望となり、一塁のレギュラーを固定できない状況が続いていたが、ロウがその穴を埋めた。
ロウはレッドソックス移籍後、34試合に出場し、100打数で打率.280、6二塁打、1三塁打、2本塁打、16打点、出塁率.370、長打率.420を記録した。
カサスは2026年シーズンに復帰予定。さらに、レッドソックスは打線のパワーアップのためにDHもしくは一塁手の補強を検討しているため、来季に向けて、ロウは完全な余剰戦力となっていた。
ロウと同じくDFAとなったウィンコウスキーは、今季わずか6試合の登板に終わり、防御率3.86。6月上旬に右肘の屈筋を痛めて負傷者リストに登録され、そのままシーズンを終えた。
レッドソックスがトレードで獲得した選手を順番に見ていくと、グレイは左打ちの内野手で、今季はレイズで30試合に出場。内野4ポジションをこなしながら打率.231、5二塁打、3本塁打、9打点を記録した。2017年ドラフト13巡目指名でプロ入りし、2023年にレイズでメジャーデビュー。これまでにレイズ、マーリンズ、アスレチックスでプレーし、メジャー通算47試合に出場している。
26歳のウォードは、今季マイナー2A(53試合)と3A(44試合)でプレーし、打率.290、74得点、57盗塁、出塁率.395を記録。2Aでは平凡な成績に終わったが、初めて3Aに昇格すると、打率.331、45得点、35盗塁、出塁率.440、OPS.906の大活躍を見せた。
21歳のヘルナンデスは、直近2シーズンをマイナー1Aでプレー。2年間で合計178試合に出場し、打率.262、28二塁打、1三塁打、5本塁打、80打点、出塁率.367、長打率.331を記録している。
22歳のヘイマンは、今年のドラフト14巡目でマリナーズから指名を受けてプロ入り。まだプロデビューを果たしておらず、マイナーでの出場経験はない。
ロースターの40人枠に追加された3人の投手についても見ておく。26歳のドロハンは、今季マイナーのハイAと3Aで合計15試合(うち14先発)に登板し、5勝2敗、防御率3.00、77三振、被打率.202を記録。50イニング以上を投げたレッドソックスのマイナーの投手の中で、9イニングあたりの三振数(12.83)は3番目に多かった。
24歳のサンドリンは、今季マイナー2Aと3Aで合計32試合(うち14先発)に登板し、9勝6敗、防御率4.50、107三振、40四球を記録。球団10位の有望株と評価されており、今季はマイナー2Aイースタン・リーグの週間最優秀投手に2度選出された。
26歳のウーバースタインは、今季マイナー2Aと3Aで合計25試合(うち21先発)に登板し、6勝5敗、防御率3.58、137三振、41四球を記録。シーズン最後の3先発では3勝0敗、防御率1.13、20三振と素晴らしい活躍を見せた。
2025.11.19 10:53 Wednesday
メッツがモンタスをDFA トミー・ジョン手術で来季全休の見込み
フランキー・モンタスの波乱に満ちたメッツ在籍期間は、わずか9試合の登板で終了することになった。
18日(日本時間19日)、メッツはモンタスのDFA(designate for assignment:選手をロースターの40人枠から外す措置)を発表した。モンタスはシーズン終盤にトミー・ジョン手術を受け、2026年シーズンを全休する見込みのため、今回のDFAは手続き上の措置と言える(要するに、ロースターに残しておく意味がない)。シーズン終了後、モンタスは年俸1700万ドル(約25億5000万円)の選手オプションを行使していた。
メッツはモンタスの年俸を負担する義務がある。しかし、今回のDFAによって、モンタスはメッツの球団組織を離れることになったため、本拠地シティフィールドや球団のキャンプ施設を利用してリハビリを行うことはできない。また、モンタスのDFAによって空いたロースターの枠を利用し、メッツは球団16位の有望株であるニック・モラビトを新たにロースターの40人枠に加えている。
昨オフ、メッツはモンタスと2年3400万ドル(約51億円)で契約。これは、同じく昨オフ加入したクレイ・ホームズ、グリフィン・キャニングとともに、先発ローテーションを安定させてくれることを期待したものだった。32歳のモンタスは、レッズとブルワーズでプレーした2024年シーズンは健康を維持し、30試合に先発して7勝11敗、防御率4.84を記録。しかし、メッツ1年目はスプリングトレーニングで右広背筋を断裂して早々に離脱し、6月下旬まで復帰できなかった。
戦列復帰後、7試合に先発したものの、防御率6.68と実力を発揮できず。メッツはその後、ブルペンへの配置転換を決定したが、モンタスは2試合にリリーフ登板しただけで右肘の内側側副靭帯を断裂し、シーズンを終えた。
モンタスはメジャー10年間で6チームを渡り歩き、通算169試合(うち136先発)に登板。783イニングを投げ、47勝48敗、2ホールド、防御率4.20を記録している。
2025.11.19 09:43 Wednesday
外野手補強を目指すドジャース ベリンジャーとの「再会」に興味を示す
コディ・ベリンジャーはキャリア序盤にドジャースで大きな成功を収めた。2017年にナ・リーグ新人王、2019年にナ・リーグMVPを受賞し、2020年にはワールドシリーズ制覇を経験。ところが、ケガの影響もあって2021年以降は急激に成績が悪化し、最終的に2022年シーズン終了後、ドジャースから翌年の契約を提示されず、ノンテンダーFAとなった。
しかし、ベリンジャーのドジャース時代は第2章を迎えるかもしれない。ESPNのジェフ・パッサンによると、ワールドシリーズ連覇を達成したドジャースは、外野手補強を目指す中でベリンジャーに興味を示しているという。
ドジャース退団後、ベリンジャーは2023年にカブスで復活を遂げ、シルバースラッガー賞とカムバック賞を受賞。ヤンキースへ移籍した今季は、MVPに輝いた2019年以降では最多となる29本塁打を放ち、98打点、OPS.813をマークした。ファングラフス版のWARは4.9を記録し、外野手9位の好成績だった。
ベリンジャーは外野の全3ポジション(と一塁)を守ることができ、今季はOAA(Outs Above Average:平均よりどれだけ多くアウトを奪ったかを表す守備指標)で+7、フィールディングランバリュー(守備による得点貢献度)でも+9を記録するなど、平均以上の守備力を持っている。ヤンキースでプレーした今季は左翼手としての出場機会が多く、左翼手が打率.229、長打率.385と不振だったドジャースにとって、大きなアップグレードとなることは間違いない。また、走塁面でもチームに貢献できる選手であり、直近4シーズンで3度の2ケタ盗塁を記録している。
2014年ナ・リーグMVPのクレイトン・カーショウが引退したドジャース。外野手補強としてベリンジャーを獲得し、来季の打線は大谷翔平、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマン、ベリンジャーの「MVPカルテット」が上位に並ぶことになるかもしれない。
2025.11.19 09:07 Wednesday
シュワーバー争奪戦に意外な名前が パイレーツがサプライズ参戦へ
驚くべきことではないが、ESPNのジェフ・パッサンによると、フィリーズからフリーエージェント(FA)となったカイル・シュワーバーは今オフの移籍市場でかなりの人気物件となっているようだ。再契約を目指すフィリーズのほか、メッツやブルージェイズが獲得に乗り出しており、MLBネットワークのジョン・ポール・モロシは18日(日本時間19日)、レッドソックスも動向を注視していることを報じた。さらに、パイレーツが「サプライズ参戦」していることも明らかになった。
パッサンによると、パイレーツはマリナーズからFAとなったジョシュ・ネイラーの獲得を狙っていたようだ。しかし、ネイラーは5年契約でマリナーズ残留が決定。その後、パイレーツは補強ターゲットをシュワーバーに変更したとみられる。
パイレーツはこれまで、FA市場では積極的に動いてこなかった。2015年、左腕フランシスコ・リリアーノと3年3900万ドル(約58億5000万円)の契約を結んだのが球団史上最大のFA契約である。しかし、パッサンによると、パイレーツは今オフ、積極的にお金を使う準備ができているという。
今季のパイレーツはメジャー最少の117本塁打に終わった。シュワーバーの獲得に成功すれば、打線の迫力が格段に増すことは間違いない。シュワーバーは今季、自己最多の56本塁打を放ち、大谷翔平(ドジャース)との争いを制して本塁打王のタイトルを獲得。この56本塁打は、パイレーツのシーズン最多記録(1949年ラルフ・カイナーによる54本塁打)を上回る数字である。
パイレーツがシュワーバーを獲得すれば、球団史上最大のFA契約となるのは確実。FA以外も含めた球団史上最大の契約であるブライアン・レイノルズ(8年1億675万ドル=約160億1250万円)を上回る可能性も高い。念願の長距離砲獲得は実現するのか。「サプライズ参戦」の行方に注目が集まる。
2025.11.19 08:42 Wednesday
2026年度殿堂入り投票の注目ポイント7選 最有力候補はベルトランか
2026年度の全米野球記者協会(BBWAA)によるアメリカ野球殿堂入り投票の候補者が発表された。
投票対象となった選手は27人で、そのうち15人は前年度から継続、残り12人が2026年度からの新たな候補者となっている。殿堂入り投票の結果は2026年1月20日(日本時間21日)にMLBネットワークの番組内で発表予定。ここでは7つの注目ポイントを紹介していこう。
【1】カルロス・ベルトランは殿堂入りできるか
一言で表すなら、答えは「イエス」だ。
ベルトランの得票率は過去2度の投票で46.5%から70.3%まで急上昇した。2025年度の投票では殿堂入りに惜しくも19票足りなかったが、4度目の挑戦となる2026年度の投票では、有力な新規候補がいないため、殿堂入りスピーチの準備を始めてもいいだろう。
1999年ア・リーグ新人王のベルトランは、9度のオールスター選出、3度のゴールドグラブ賞、2度のシルバースラッガー賞、2013年ロベルト・クレメンテ賞、2004年アストロズ時代のポストシーズンでの大活躍など、輝かしいキャリアを過ごした。その中で最も偉大な記録は、メジャー史上わずか5人しか達成していない通算400本塁打&300盗塁だろう。バリー・ボンズ、アレックス・ロドリゲス、ウィリー・メイズ、アンドレ・ドーソン、そしてベルトランだけが達成している大記録だ。
【2】アンドリュー・ジョーンズにも殿堂入りのチャンス到来
2020年度から2023年度にかけて、ジョーンズの得票率は約3倍に増加した(19.4%から58.1%)。この急上昇により、2025年度までには殿堂入りを果たすと予想する者もいたが、得票率の上昇ペースは鈍化。2024年度は3.5%アップ、2025年度は4.6%アップで、66.2%となった。
歴代屈指の守備力を誇る中堅手で、通算434本塁打を記録しているジョーンズは、今回が9度目の挑戦となる。ベルトラン同様、いずれは殿堂入りを果たすことになるだろう。ただし、今回殿堂入りするためには、得票率の10%近い上昇が必要であり、確実とは言えない。
【3】アンディ・ペティットとチェイス・アトリーは得票率アップを目指す
ペティットが殿堂入り候補となった最初の6年間は波乱万丈だった。2019年度から2024年度にかけて、得票率は9%から17%の間で推移。2023年度は17.0%だったが、2024年度は13.5%に落ち込んだ。しかし、7度目の挑戦となった2025年度に息を吹き返し、前年度の2倍以上となる27.9%を記録。2025年度の投票において、前年度から引き続き候補者となった14人の中で最大の増加幅(14.4%アップ)だった。
ヤンキース時代に5度のワールドシリーズ制覇を経験したペティットは、レギュラーシーズンで通算256勝を挙げ、ポストシーズンでの通算19勝は歴代最多。BBWAAの投票対象となる期間はあと3年しか残っていないため、殿堂入りに必要な得票率75%をクリアできるかどうかは時間との戦いになるが、7度目の挑戦が終わった時点の状況としてはラリー・ウォーカーに似ている。ウォーカーは7度目の挑戦で得票率21.9%だったが、最終的にはラストチャンスの10度目の挑戦で殿堂入りを果たした。
ペティットに比べると、アトリーにはまだまだ時間がある。2度目の挑戦となった2025年度は前年度から11%アップの39.8%を記録。4度のシルバースラッガー賞に輝き、全盛期には球界最高の二塁手と呼ばれたアトリーは、殿堂入りの基準となる75%に到達するまでもう少し時間がかかりそうだが、順調に進んでいると言えそうだ。
【4】フェリックス・ヘルナンデスは2度目の挑戦で得票率大幅アップなるか
ペティットと比較すると、「キング・フェリックス」が初めての殿堂入り投票を終えた時点の感触は悪くないはずだ。マリナーズ一筋で15年間プレーしたヘルナンデスは、2025年度の殿堂入り投票で得票率20.6%を記録。低いように思われるが、たとえばマイク・ムシーナは2014年度に20.3%からスタートし、2019年度に殿堂入りを決めた。また、ビリー・ワグナーの殿堂入りへの道のりは、2015年度の得票率10.5%からスタートした。初年度の20.6%は悪くない数字だ。
ヘルナンデスは最優秀防御率2度、オールスター選出6度の実績を誇り、2010年にア・リーグのサイ・ヤング賞を受賞。2012年には完全試合を達成した。これらの事実は、ヘルナンデスが殿堂入りに相応しい選手であることを示している。2026年度の新規候補に有力選手がいないことも追い風となるだろう。今回の殿堂入り投票で、ヘルナンデスは一気に得票率をアップさせる可能性を秘めている。
【5】新規候補12人の筆頭はコール・ハメルズ
ハメルズは、同じエース左腕として有資格1年目で殿堂入りを果たしたCC・サバシアと同じ道のりを歩むことを期待しているかもしれない。しかし、ハメルズはサバシアほどの成績を残していない。現役生活がサバシアほど長くなかったからだ。サバシアはハメルズより138試合多く先発し、約900イニング多く投げている。それでも、ハメルズはメジャーの舞台で素晴らしい活躍を見せた。
オールスターに4度選出されたハメルズは、全盛期と呼べる2007~16年の10年間で2082イニングを投げ、ERA+126を記録(平均より26%優秀)。通算防御率3.43は、ワイルドカード時代(1995年以降)に2000イニング以上を投げた先発投手の中で13位タイの数字だ。通算2560三振を奪い、フィリーズ時代の10年間で奪った1844三振は、スティーブン・カールトン(殿堂入り)、アーロン・ノラ(現役)、ロビン・ロバーツ(殿堂入り)に次いで球団史上4位となっている。
2008年のポストシーズンではリーグ優勝決定シリーズとワールドシリーズのMVPをダブル受賞。2014年のブレーブス戦で継投ノーヒッターを達成し、翌2015年のカブス戦では単独でノーヒッターを成し遂げた。2015年途中にレンジャーズへトレードされたため、結果的にはフィリーズでの最終登板でノーヒッターを達成したことになった。
【6】新規候補でほかに注目すべき選手は?
新規候補でもう1人、注目すべき選手を挙げるとすれば、ライアン・ブラウンだろう。ブルワーズの球団史上最多本塁打記録保持者(352本)である。ブルワーズでの最初の6年間は素晴らしく、202本塁打を量産。1900年以降の近代野球において、最初の6シーズンで202本塁打はフランク・ロビンソンと並び、7位タイの数字だ。同期間中、打率.313、出塁率.374、長打率.568の好成績を残し、オールスター選出5度。2007年にナ・リーグ新人王を受賞すると、2011年にはナ・リーグMVPに輝いた。
しかし、2011年と2012年にパフォーマンス向上薬の使用疑惑が浮上し、素晴らしい成績の信ぴょう性が疑問視されるようになった。2013年には薬物規定違反で65試合の出場停止処分を受けることに。14年間のキャリアでOPS+134(平均より34%優秀)、通算1963安打、1154打点をマークしたが、出場停止処分を受けたという事実はキャリアの汚点となった。
ロイヤルズの看板選手として活躍したアレックス・ゴードンも今回から殿堂入り投票の候補者となった。2005年ドラフト全体2位指名でプロ入りしたゴードンは、球団史上7位の通算1643安打を記録し、ベースボール・リファレンス版のWAR(34.8)でも球団歴代トップ10に名を連ねている。抜群の守備力で鳴らした選手であり、ゴールドグラブ賞を8度、プラチナグラブ賞も2度受賞した。
メジャー史上最高の韓国人選手である秋信守(チュ・シンス)や強打者エドウィン・エンカーナシオンも候補者となった。秋信守は15年間で通算出塁率.377を記録。エンカーナシオンは16年間で通算424本塁打を放った。
ほかには、メジャーで15年間プレーし、2019年のワールドシリーズでヒーローとなったハウィー・ケンドリック、主にオリオールズで活躍したニック・マーケイキス、ワールドシリーズ制覇2度のハンター・ペンス、オールスター選出2度の左腕ジオ・ゴンザレス、オールスター選出3度のマット・ケンプらがいる。
【7】マニー・ラミレスのラストチャンス
数字だけを見るならば、マニーは何年も前に殿堂入りしているはずだ。同世代で最も恐れられた打者の1人であるラミレスは「500本塁打クラブ」の一員であり、通算長打1122本は歴代18位にランクイン。12度のオールスター選出、9度のシルバースラッガー賞のほか、レッドソックス時代に2度のワールドシリーズ制覇を経験した。
しかし、ラミレスの殿堂入りに向けた道のりは、複数回にわたる薬物規定違反によって複雑化しており、それはBBWAAの殿堂入り投票における得票率にも反映されている。2025年度は34.3%を記録し、9年間で最も高い得票率だったが、殿堂入りの基準である75%には遠く及ばない。
今回が10度目の挑戦で、ラミレスにとってラストチャンスとなる。BBWAAの投票による殿堂入りは難しく、時代委員会の投票による殿堂入りのほうが可能性は高いだろう。
2025.11.18 12:27 Tuesday
レッドソックス ブレグマン引き留め失敗ならアロンソ争奪戦に参戦か
アレックス・ブレグマンはレッドソックスに加入した今季、フィールド上で活躍しただけでなく、クラブハウスでも影響力を発揮した。打撃力、守備力、リーダーシップを兼ね備えるブレグマンをレッドソックスは引き留めたいと考えているはずだが、ブレグマンは来年3月で32歳。フリーエージェント(FA)市場において、レッドソックスがブレグマンの希望通りの長期契約を与えるかどうかは分からない。
もしブレグマンが他球団と契約した場合、レッドソックスは素早くピート・アロンソ獲得へ方向転換する可能性がある。MLBネットワークのジョン・ポール・モロシは17日(日本時間18日)、レッドソックスはブレグマンと再契約するか、あるいはポーラーベアー(アロンソの愛称)獲得に向けて「本気を出すだろう」と予想した。
「レッドソックスは、ピート・アロンソをメッツから引き抜く最有力候補であると私は考えている。もしアレックス・ブレグマンと再契約しない場合、アロンソがレッドソックスへ移籍するのは現実的な話だと思う」
MLBネットワークのジョン・ヘイマンによると、メッツはアロンソとの再契約に向けた交渉を最近スタートさせたという。しかし、右打ちのスラッガーは、左翼に巨大フェンスの「グリーンモンスター」がそびえ立つフェンウェイパークに完璧にフィットするだろう。レッドソックスの一塁手は今季、長打率.386に終わった。アロンソは今季.524をマークし、通算でも.516を記録している。
ブレグマンが他球団へ移籍した場合、レッドソックスは三塁に大きな穴が開くことになるが、その穴は若手有望株のマルセロ・マイヤーを起用することで埋められるはずだ。1つ問題があるとすれば、レッドソックスの一塁にはケガからの復活を目指すトリストン・カサスがいるということ。レッドソックスがアロンソを獲得した場合、カサスをトレードしなければ、アロンソとカサスのどちらかがDHに回ることになるため、吉田正尚の出場機会にも大きな影響を与えそうだ。
2025.11.18 10:20 Tuesday
左腕カイル・ハートがパドレス残留 球団オプション付きの1年契約
17日(日本時間18日)、パドレスは左腕カイル・ハートと2027年シーズンの球団オプションが付属した1年契約を結んだことを発表した。契約条件の詳細は現時点では明らかにされていない。
ワールドシリーズ終了後、パドレスは32歳のハートに関して、年俸500万ドル(約7億5000万円)の球団オプションを破棄。これにより、ハートはフリーエージェント(FA)となったが、より安価な契約でパドレスがハートを呼び戻す可能性はあるとみられていた。そして、それが実現した。
パドレスに加入した今季は苦戦続きで、20試合(うち6先発)に登板して防御率5.86。シーズンの大半をマイナー3Aのエルパソとメジャーを行き来しながら過ごすことになった。しかし、シーズン終盤になると、ブルペンの一員として開花の兆しを見せ始めた。球速がアップしただけでなく、最大の武器であるスイーパーの変化量も大きくなり、威力が増した。
来季、ハートがどんな役割を担うかはまだ不透明だ。今季はリリーフで投げたほうが内容は良かった。しかし、ディラン・シースとマイケル・キングがフリーエージェント(FA)となり、ダルビッシュ有は右肘手術で来季全休が確定しているため、パドレスが必要としているのは先発投手だ。ハートが両方の役割をこなす可能性もある。少なくとも先発候補の一角として、スプリングトレーニングを迎える可能性もありそうだ。
今年2月、ハートはパドレスと今回と同じような1年契約を結んだ。昨季は韓国プロ野球のNCダイノスでプレーし、チェ・ドンウォン賞を受賞。これは最優秀投手を表彰するものであり、MLBのサイ・ヤング賞にあたる。
それ以前は7シーズンにわたり、3球団のマイナーチームを渡り歩いていた。2020年にレッドソックスでメジャーデビューしたが、登板はわずか4試合(うち3先発)。2020年シーズンの「ロスト・ボーイズ」の一員となった。「ロスト・ボーイズ」とは、2020年にデビューし、無観客の状態でしかプレーしなかった選手のことを指す。しかし、今季パドレスに加入し、3月31日(同4月1日)に満員のペトコパークで先発登板したことで、そのレッテルを脱ぎ捨てることに成功した。
先発投手が不足しているのは明らかだが、今季終盤の成功を再現できるのであれば、ブルペンのほうが適任だろう。パドレスのブルペンは球界屈指の陣容を誇ると評価されている。しかし、ブルペンのトップ左腕であるエイドリアン・モレホンに次ぐ存在は確立しておらず、試合中盤のイニングをカバーするリリーフ左腕として、ワンディ・ペラルタ、松井裕樹、そしてハートが競争を繰り広げることになるかもしれない。
2025.11.18 09:17 Tuesday
便利屋左腕のライアン・ヤーブローが1年契約でヤンキース残留へ
ヤンキースは来季序盤に先発投手陣の層の厚さが試されることを予想している。複数の主力先発投手が負傷者リスト入りしてシーズン開幕を迎える予定だからだ。ブライアン・キャッシュマンGMは選手層を厚くするための補強に動くことを明言。その一環としてライアン・ヤーブローとの再契約に向けて動いているようだ。
17日(日本時間18日)、MLB.comが関係者から得た情報によると、ヤンキースはヤーブローと1年250万ドル(約3億7500万円)で再契約を結ぶことで合意。身体検査の結果待ちとなっており、球団からの正式な発表はまだ行われていない。
今季のヤーブローは3月下旬にブルージェイズとのマイナー契約を破棄し、メジャー契約でヤンキースに加入。貴重なスイングマン(谷間の先発とロングリリーフを兼任する投手)として19試合(うち8先発)に登板し、3勝1敗、防御率4.36を記録した。
先発では防御率3.83をマーク。しかし、6月に右脇腹を痛めて負傷者リスト入りし、2カ月以上の長期離脱を強いられた。今季は特に左打者に対して強さを発揮。被打率.198、被長打率.360の好成績を残した。
大晦日に34歳の誕生日を迎えるヤーブローは、メジャー8年間で通算215試合に登板しており、そのうち76試合が先発。メジャーデビューから2年連続で2ケタ勝利を挙げるなど、通算56勝41敗4セーブ、2ホールド、防御率4.22の実績を誇る。
ヤンキースはゲリット・コール、カルロス・ロドン、クラーク・シュミットを欠いた状態で来季開幕を迎える見込み。マックス・フリードを筆頭に、ほかの先発投手にかかるプレッシャーが増すことになる。
キャッシュマンGMは、先日行われたGM会議において「投手陣の層は厚いが、来季序盤は層の厚さが試されるだろう。先発ローテーションに負担がかかってしまうが、これ以上負傷者が出なければ、なんとか乗り越えられると願っている。先発5番手が必要なときに、試合のないオフ日が上手く機能してくれることを期待している」と語っていた。
さらに「シーズン序盤に限らず、2月、3月、そして4月序盤といった早い時期にも先発投手陣が健康に恵まれることを願っているが、必ずしもそうなるとは限らない。もちろん、シーズン早々に慌てる必要がないように、チームを守るための方法を検討していく」と付け加えた。
先発もリリーフもこなせるヤーブローとの再契約は「チームを守るための方法」の1つと言えるだろう。2014年ドラフト4巡目でマリナーズに入団し、2018年にレイズでメジャーデビューしたあと、ロイヤルズ、ドジャース、ブルージェイズ、そしてヤンキースを渡り歩いてきたベテラン左腕は、来季もヤンキースにとって貴重な戦力となるはずだ。
2025.11.18 08:43 Tuesday






