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22歳イェサベージがワールドシリーズ第1戦に先発 シンデレラストーリー続く

 トレイ・イェサベージは今季、スーツケースの荷解き以外のことはすべて経験した。4月8日(日本時間9日)に1A・ダニーデンでプロデビューを果たした22歳は、10月24日(同25日)にワールドシリーズ第1戦に先発する。

 イェサベージはこれまで5つの都市、数十のホテルに滞在。今もロジャースセンターの地下駐車場にある愛車のトヨタ・タンドラには、荷物の残りが詰め込まれている。 「今の僕のトラックを見てほしい。トレーラーハウスみたいなんだ」

 22歳88日のイェサベージは、ワールドシリーズ第1戦の先発投手として史上2番目に若い投手となる(史上最年少は1947年ドジャースのラルフ・ブランカが当時21歳267日で先発)。

 その記念すべき先発は、難しいことに大谷翔平から始まる。まず大谷、そしてムーキー・ベッツ、フレディー・フリーマン。イェサベージは大谷について問われると、「特別な選手だ。投打両方で相手にダメージを与えられる。だが、われわれが今ワールドシリーズにいるのには理由がある。だから、とにかく自分たちらしくプレーすることが重要だ。彼を無力化するために調整が必要なら、それを調整する」と返した。

 イェサベージ最大の武器はスプリットだ。スプリットが威力を、そしてイェサベージが投手としての自我を発揮できるとき、最高のパフォーマンスとなる。それがイェサベージのシンデレラストーリーを生み出した。

 イェサベージには他の22歳には真似できない静かな自信がある。まだ自分のカリスマ性に気づいていない、若者イェサベージのありのままの姿がそこにはある。

 イェサベージはシンプルさを好む。ある程度のデータは考慮するだろうが、ダグアウトでタブレット端末をスクロールする姿を見かけることはほぼない。 「僕はかなり基本に忠実なんだ。とにかく基本に忠実で。マウンドで考えすぎたくない。だって、何も考えずに意識を失っている時が一番調子がいいんだから」

 ブルージェイズが仮に球団史上3度目の世界一になれば、イェサベージの物語は永遠に語り継がれ、トリビアクイズのネタになるだろう。他の29球団のファンは球団のトップ有望株を速く昇格させたいと思ったときに、イェサベージの名前を挙げるだろう。ほらきっとうまくいくから、と。

 イェサベージは1Aからシーズンを始め、マイナーリーグの4つのフルシーズンレベルすべてを経験してMLBに昇格した。これは稀有なケースだが、前例がないわけではない。

 イェサベージは、ディラン・スミス(2025年)、エドガルド・エンリケス(24年)、オリオン・カークリング(23年)、スペンサー・ストライダー(21年)、AJ・ミンター(17年)、ケンドール・グレイブマン(14年)、アディソン・リード(11年)、ダン・ランズラー(09年)、ダニエル・ハドソン(09年)らに加わった。驚くべきことに、これらの投手はいずれもワールドシリーズに出場することはなかったが、ストライダーを擁したブレーブスとエンリケスを擁したドジャースは、後に優勝を果たした。

 イェサベージを第1戦に先発させる決断は、ブルージェイズにとって容易ではなかった。

 エースのケビン・ゴーズマンはア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)の第5戦に先発し、第7戦でもリリーフ登板をこなしていた。ゴーズマンは1日長い休養を得て、第2戦の先発に臨む。

 「われわれは選手全員と話し合い、彼らの身体的な状態、これまでの休息の取り方、シリーズ後半での特定の選手の状態、そして各選手がドジャースに対してどのような戦い方をするのかを確認しようとした。全員のフィードバック、全員の意見を聞きたかった。コーチ、メディカルスタッフ、ゲームプランナーなど、全員の意見を聞きたかった。でも、彼らの意見も聞きたかった。彼らと話し合った結果、ケビンを1日休ませるのは理にかなっていると感じた」

 イェサベージはトロントで真の「唯一無二」の投手になれるかもしれない。確かに世界一になった1993年のブルージェイズにはパット・ヘントゲンのような若い投手もいたが、ヘントゲンは当時24歳でメジャーリーグで216回1/3を投げ、マイナーリーグでもプロスペクトとして600回以上を投げていた。イェサベージは、かつてない速さで到来する新時代の投手だ。4月にはワールドシリーズ第1戦は想像を絶するものだったが、この驚異の新人はあらゆる試練を乗り越え続けている。

2025.10.24 12:00 Friday

強打者ビシェットがワールドシリーズで急造セカンドに?

 ブルージェイズのボー・ビシェットはワールドシリーズに出場する準備を整えている。問題はどのポジションで出場するかだ。

 ワールドシリーズを2日前に控えた22日(日本時間23日)、ビシェットは本拠地ロジャースセンターで行われた練習で、セカンドとしてノックを受けた。

 ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督は23日(同24日)、ビシェットが本職ショート、セカンド、あるいはDHとしてワールドシリーズに出場する可能性があると述べた。 「いよいよ最終盤を迎えている。正直に言うと、その3つ全てが実現する可能性はある。きょうの練習後にビシェットと話し、全てをこなせるかどうかを確認して、最善の判断を下す必要がある」

 ビシェットはレギュラーシーズン139試合に出場し、打率.311、18本塁打、94打点を記録。しかし、左膝の捻挫で9月上旬から欠場し、地区シリーズとア・リーグ優勝決定シリーズではロースター(出場選手登録)漏れした。

 ビシェットはワールドシリーズに出場する準備ができていると語るが、その役割は依然として不透明なままだ。

 ビシェットの負傷に伴い、ブルージェイズはセカンドのアンドレス・ヒメネスをショートへコンバート。セカンドにはユーティリティのアーニー・クレメントを起用していた。ポストシーズンに入ってからはクレメントが打撃好調となった一方で、レフトのアンソニー・サンタンデールが負傷。クレメントをサードに、サードのアディソン・バージャーを外野に回し、セカンドには控えのアイザイア・カイナー=ファレファが入っている。

 ビシェットはカイナー=ファレファに代わってスタメンに復帰するだろう。問題はどのポジションを守るのか。

 本職のショートに戻るには、守備面の懸念がある。ビシェットの遊撃守備は悪く、守備指標OAAでは-13を記録。代役ショートのヒメネスは本職セカンドで圧倒的な守備力を持ち、ショートとしての起用でも堅実な数字を残している。

 また、DHとして復帰する場合も、守備力に不安を残す。ビシェットがDHに入る場合、これまでDHを務めてきたジョージ・スプリンガーを外野に回す必要がある(バージャーをサードに戻し、クレメントがセカンド)。スプリンガーの外野守備は衰えており、さらにア・リーグ優勝決定シリーズでは膝に死球も受けた。

 セカンドとして復帰するのは、シュナイダー監督も認めたように「大胆な話」だ。ビシェットはMLB7シーズンでセカンドを守った経験はなく、マイナーでの20試合の経験しかない。「ビシェットは自分がどう感じているか、そしてもし出場したらどう感じるかについて、かなり現実的な考えを持っている。だから、これは私たちが引き続き検討していく必要がある問題だ。もし彼が二塁手としてプレーすることに抵抗がなければ、私は選手たちの意見に耳を傾け、彼らを信頼するつもりだ」と、シュナイダー監督は述べた。

2025.10.24 10:38 Friday

ア・リーグのシルバースラッガー賞ファイナリストが発表

 23日(日本時間24日)、ルイビルスラッガーは2025年度シルバースラッガー賞の前日のナ・リーグに続き、ア・リーグファイナリストを発表。ナ・リーグ受賞者の発表は11月6日(日本時間7日)、ア・リーグ受賞者は7日(同8日)に発表される。

 ポジションごとのファイナリストと受賞者は、ナ・リーグの監督とコーチによる投票によって決定される。全30球団に4票(監督とチームが選んだコーチ3人)が与えられる。投票は、OPS、OPS+、本塁打、打点、打率、総塁数、得点などの攻撃面のスタッツに加え、監督とコーチによる選手の攻撃面の総合的な評価に基づいて行われる。

 ファイナリストは以下の通り。

ファースト:ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)、ニック・カーツ(アスレチックス)、ビニー・パスカンティーノ(ロイヤルズ)

セカンド:ジャズ・チザムJr.(ヤンキース)、ブランドン・ラウ(レイズ)、ホルヘ・ポランコ(マリナーズ)

サード:アレックス・ブレグマン(レッドソックス)、ジュニア・カミネロ(レイズ)、ホセ・ラミレス(ガーディアンズ)

ショート:ボー・ビシェット(ブルージェイズ)、ジェレミー・ペーニャ(アストロズ)、ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)

外野手:コディ・ベリンジャー(ヤンキース)、バイロン・バクストン(ツインズ)、ライリー・グリーン(タイガース)、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)、フリオ・ロドリゲス(マリナーズ)、ジョージ・スプリンガー(ブルージェイズ)

キャッチャー:シェイ・ランゲリアーズ(アスレチックス)、サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)、カル・ローリー(マリナーズ)

DH:ヤンディ・ディアス(レイズ)、ブレント・ルーカー(アスレチックス)、ジョージ・スプリンガー(ブルージェイズ)

ユーティリティ:マイケル・ガルシア(ロイヤルズ)、ザック・マッキンストリー(タイガース)、ベン・ライス(ヤンキース)

チーム:ニューヨーク・ヤンキース、シアトル・マリナーズ、トロント・ブルージェイズ

2025.10.24 09:50 Friday

「なりたい自分になれる」吃音症の子どもにスプリンガーが贈るメッセージ

 ジョージ・スプリンガーに新たなレガシーが加わった。これまでワールドチャンピオン、ワールドシリーズMVP、4度のオールスター選出など華々しい実績を積み上げ、今度はブルージェイズ史上最高の瞬間の一つを生み出した。スプリンガーはア・リーグ優勝決定シリーズの第7戦で決勝点を生む逆転3ランを放ち、ブルージェイズを1993年以来のワールドシリーズに導いたのだ。

 またしてもヒーローとなったスプリンガーが知られているのは、その大舞台での強さだけではない。スプリンガーは吃音のある子どもたちの支援活動を行っていることでも知られる。

 スプリンガー自身も子どもの頃から吃音症に悩まされていた。今やMLBのスター選手となり、その影響力を活用して吃音のある子どもたちを励ましている。10月22日は国際吃音啓発デーであり、スプリンガーがSAY(子どものための吃音協会)などの団体で行ってきた活動に光を当てる機会となっている。

 「チームメートやコーチに聞いてくれたら分かるよ。僕は話すのが好きなんだ。望まれていなくても一日中話し続けるよ。でも昔はそうじゃなかった。吃音のある子ども、あるいはそういったお子さんを持つ親、吃音を持つ人に出会ったことがある人に、物事は楽になっていくと証明できればいいなと思う。やりたいことをできる。言いたいことを言える。なりたい自分になれるんだ」と、スプリンガーは語る。

 ブルージェイズの本拠地ロジャースセンターの隣にそびえ立ち、トロント市内からどこでも見えるCNタワーは、国際吃音啓発デーを記念して緑色にライトアップされた。

 吃音症は世界人口の約1%が抱えていると推定されている。アメリカでは300万人以上、カナダでは40万人に相当する。全米吃音協会によれば、最大5%の子どもが吃音の時期を経験し、その時期は2歳から5歳の間に始まることがおおという。幼少期に吃音症だった子どもの多くは最終的に無おるが、スプリンガーを含め成人になっても吃音に悩まされる人も少なくない。

 スプリンガーは毎年恒例のチャリティイベントを主催する際、そこで出会う子どもたちに話を戻して、彼らがどれほど自分を助けてくれたかを語ってきた。それに、スプリンガー自身もまだ36歳の若者なのだ。

 スプリンガーはブルージェイズ最大の個性だ。ポストシーズンは緊張感が高まり、10月が進むにつれてよりシリアスな展開になるが、スプリンガーは常にパーティーの中心人物であり、あらゆる会場を音とエネルギーで満たしてくれる。

 スプリンガーは言う。 「自分でコントロールできない何かに、なりたい自分になることを諦めさせてはいけない。この世には、助けてくれる本当に良い人もたくさんいるし、吃音を気にしない本当に良い人もたくさんいる。皆んなにわかってほしい最も重要なことの一つは、ただ受け入れる必要があるということだ。ありのままの自分を受け入れ、自分の話し方を受け入れてほしい」

 スプリンガーは、吃音に悩む人々、特に子供たちにとって、重要な人物だ。長年にわたり吃音について公に語ってきただけでなく、それを自分の一部として受け入れてきたMLBスターは、彼らにとって尊敬すべき存在だ。そして今、スプリンガーはブルージェイズにとって32年ぶりのワールドシリーズ優勝を目指し、野球界最大の舞台に立っている。

2025.10.23 17:32 Thursday

シルバースラッガー賞のナ・リーグファイナリストが発表

 22日(日本時間23日)、ルイビルスラッガーは2025年度シルバースラッガー賞のナ・リーグファイナリストを発表。ア・リーグはあす発表される。ナ・リーグ受賞者の発表は11月6日(日本時間7日)に行われる。

 ポジションごとのファイナリストと受賞者は、ナ・リーグの監督とコーチによる投票によって決定される。全30球団に4票(監督とチームが選んだコーチ3人)が与えられる。投票は、OPS、OPS+、本塁打、打点、打率、総塁数、得点などの攻撃面のスタッツに加え、監督とコーチによる選手の攻撃面の総合的な評価に基づいて行われる。

 ファイナリストは以下の通り。

ファースト:ピート・アロンソ(メッツ)、フレディー・フリーマン(ドジャース)、マット・オルソン(ブレーブス)

セカンド:ニコ・ホーナー(カブス)、ケテル・マルテ(ダイヤモンドバックス)、ブライス・トゥラング(ブルワーズ)

サード:マット・チャップマン(ジャイアンツ)、マニー・マチャド(パドレス)、マックス・マンシー(ドジャース)、オースティン・ライリー(ブレーブス)

ショート:フランシスコ・リンドーア(メッツ)、ヘラルド・ペルドモ(ダイヤモンドバックス)、トレイ・ターナー(フィリーズ)

外野手:コービン・キャロル(ダイヤモンドバックス)、ピート・クロウ=アームストロング(カブス)、フアン・ソト(メッツ)、カイル・スタワーズ(マーリンズ)、カイル・タッカー(カブス)、ジェームズ・ウッド(ナショナルズ)

キャッチャー:ウィリアム・コントレラス(ブルワーズ)、ハンター・グッドマン(ロッキーズ)、ウィル・スミス(ドジャース)

DH:大谷翔平(ドジャース)、カイル・シュワーバー(フィリーズ)、クリスチャン・イェリッチ(ブルワーズ)

ユーティリティ:アレック・バーレソン(カージナルス)、ジェイク・クロネンワース(パドレス)、ブレンダン・ドノバン(カージナルス)

チーム:アリゾナ・ダイヤモンドバックス、シカゴ・カブス、ロサンゼルス・ドジャース

2025.10.23 16:31 Thursday

2025-26オフシーズンのFA選手ランキング! 村上7位、岡本30位

 ワールドシリーズが目前に迫り、他の28チームはすでに2026年に向けて計画を進めている。そこで、MLB.comは2025-26のオフシーズンに向けて、フリーエージェント(FA)選手30人をランク付け。中にはオプトアウト権(契約破棄条項)を持ち、まだ正式にFAになっていない選手も含まれている。

1)カイル・タッカー、ライト、カブス(28歳)

 タッカーはカブスに移籍した今季、6月までに17本塁打、52打点、20盗塁、OPS.931を記録した。しかし、右手骨折の影響で夏場に低迷。それでも2021年以降は毎年4.0以上のfWARを残すなど安定感は抜群で、今冬のFA市場でもNo.1の選手であることは間違いない。

フィットするチーム:カブス、ドジャース、ジャイアンツ

2)アレックス・ブレグマン、サード、レッドソックス(32歳)

 ブレグマンは昨オフ、レッドソックスと3年1億2000万ドルの契約を結んだ。ただ、その契約にはオプトアウト権が含まれており、ブレグマンはそれを行使する予定だ。ブレグマンは今季114試合の出場にとどまったが、OPS.822、18本塁打と変わらぬ活躍を見せた。

フィットするチーム:フィリーズ、レッドソックス、タイガース

3)カイル・シュワーバー、外野手/DH、フィリーズ(33歳)

 33歳のシーズンを迎える選手がランキングの上位に来ることは稀だが、シュワーバーは例外だ。今季162試合に出場して56本塁打、132打点でリーグ二冠を獲得。bWAR(4.7)とfWAR(4.9)で自己ベストを更新した。

フィットするチーム:フィリーズ、レンジャーズ、レッズ

4)ボー・ビシェット、ショート、ブルージェイズ(28歳)

 2021年から2年連続でリーグ最多安打、2023年には2度目のオールスター選出を果たしたビシェットにとって、2024年は悪夢のようなシーズンだった。しかし、今季はかつての輝きを取り戻し、139試合で18本塁打、94打点、OPS.840を記録した。守備力は低いものの、人手不足のショート市場では人気になるだろう。

フィットするチーム:ブルージェイズ、ブレーブス、タイガース

5)コディ・ベリンジャー、ファースト/外野手、ヤンキース(30歳)

 2024年からカブスと3年間の再契約を結んだが不安定な成績に終わり、ベリンジャーは昨オフにヤンキースへ放出された。今季はヤンキースで152試合に出場し、29本塁打、98打点、OPS.814を記録し、ナ・リーグMVPに輝いた2019年(8.7)以来最高のbWAR(5.0)を稼いだ。ベリンジャーは古巣ヤンキースに完璧にフィットしているが、長期のオファーで引き抜きを狙う球団も現れるかもしれない。

フィットするチーム:メッツ、タイガース、ヤンキース

6)ピート・アロンソ、ファースト、メッツ(31歳)

 ブレグマンと同様、アロンソも昨オフの市場で長期契約を結び損ねた。メッツにオプトアウト権付きの2年契約で復帰した今季は162試合に出場し、38本塁打、126打点、OPS.871と華々しい復活。クオリファイングオファーを受けることもなく、昨季より多くの関心を集めるだろう。

フィットするチーム:ジャイアンツ、メッツ、レッドソックス

7)村上宗隆、ファースト/サード(26歳)

 村上はスカウトに「本物のパワー」と評されるほどのパワーヒッター。日本での8シーズンでは246本塁打を放ち、2022年には王貞治氏を超えるシーズン56本塁打を記録。村上はヤクルトスワローズからポスティングされる見込みで、松井秀喜以来の日本人スラッガーとなる。

フィットするチーム:ドジャース、マリナーズ、ヤンキース

8)マイケル・キング、先発投手、パドレス(30歳)

 キングはブルペンから先発への転向、さらにパドレス移籍を機にトップクラスの先発投手として頭角を現した。昨季はエース級の活躍だったものの、今季は負傷もあって15先発にとどまった。しかし、来季の相互オプションを破棄してFAとなる見込みだ。

フィットするチーム:ブルージェイズ、パドレス、ヤンキース

9)フランバー・バルデス、先発投手、アストロズ(32歳)

 バルデスはもともと、今オフのFA市場でトップクラスの先発投手と期待されていた。シーズン最初の21先発では11勝4敗、防御率2.62を記録したが、最後の10先発では2勝7敗、防御率6.05と低迷。また被弾後にキャッチャーに意図的に投球を当てた疑惑も出た。それでも、バルデスのイニングイーターぶりは市場で高評価されるだろう。

フィットするチーム:アストロズ、ブルージェイズ、カージナルス

10)ディラン・シース、先発投手、パドレス(30歳)

 シースは今季32先発で8勝12敗、防御率4.55と振るわなかった。球速、空振り率、奪三振率は依然として優秀だが、四球や被弾の多さに苦しめられた。5年連続で32先発以上をこなし、200以上の三振を奪っている耐久性と奪三振力は、投手不足の球団から注目を集めるだろう。

フィットするチーム:エンゼルス、メッツ、オリオールズ

11)レンジャー・スアレス、先発投手、フィリーズ(30歳)

 スアレスは2024年に初めてオールスターに選出され、今季はさらにステップアップ。先発投手として4シーズン連続で振る稼働し、防御率3.59と堅実な成績を残している。先発2番手、あるいは3番手として好条件の契約を得るだろう。

フィットするチーム:ブルージェイズ、ジャイアンツ、フィリーズ

12)エウヘニオ・スアレス、サード、マリナーズ(34歳)

 スアレスは前半戦106試合で36本塁打を放ち、トレード市場の目玉となったが、マリナーズに移籍後はOPS.683と低迷した。シュワーバー、アロンソより年齢と三振率が高いスアレスは、その2人よりリーズナブルな契約で済む大砲だ。

フィットするチーム:エンゼルス、マリナーズ、パイレーツ

13)トレント・グリシャム、外野手、ヤンキース(29歳)

 2024オフにフアン・ソトがヤンキースへトレードされた際、グリシャムはおまけにすぎなかったが、今季はソトが抜けた穴を埋める存在になった。自己ベストの34本塁打、74打点、OPS.811、OPS+125を記録。安定したセンター守備に加え、四球率やボール球スイング率も優秀だ。ヤンキースはクオリファイングオファーを出す可能性があるが、ベリンジャーとの再契約や若手選手との兼ね合いで決断は変わるだろう。

フィットするチーム:メッツ、レンジャーズ、ロイヤルズ

14)エドウィン・ディアス、救援投手、メッツ(32歳)

 チームメートのアロンソとは異なり、ディアスはまだオプトアウト権の行使を表明していない(契約は残り2年3700万ドル)。ディアスは今季66回1/3で防御率1.63、28セーブ、98三振をマークした。膝蓋腱断裂から復帰2年目でかつての輝きを取り戻した。

フィットするチーム:メッツ、オリオールズ、ヤンキース

15)ジョシュ・ネイラー、ファースト、マリナーズ(29歳)

 ネイラーはトレード移籍を挟んで好調を維持し、今季20本塁打30盗塁、OPS.815を記録。ファースト守備の堅実さ、三振率の低さも魅力的だ。ただ、選球眼は良くない。

フィットするチーム:マリナーズ、ナショナルズ、ロッキーズ

16)ルイス・アライズ、ファースト、パドレス(29歳)

 アライズは2022年から3年連続で首位打者を獲得し、3度オールスターに選出された。しかし、今季は打率.292、OPS.719とやや成績が落ちた。ただ、依然として空振り率、三振率、スクエアアップ率でリーグトップの成績を残すトップクラスのコンタクトヒッターだ。守備力は平均以下(OAA-9)だが、打線で存在感を発揮できるだろう。

フィットするチーム:エンゼルス、ジャイアンツ、レンジャーズ

17)ロベルト・スアレス、救援投手、パドレス(35歳)

 2年連続でオールスターに選出されたスアレスは、残り2年間のプレイヤーオプション(選手側に選択権のある契約)を辞退してFA市場に出ると予想される。今季のセーブ王は剛速球を武器に三振の多さと四球の少なさを両立している。

フィットするチーム:ブレーブス、ドジャース、オリオールズ

18)ザック・ギャレン、先発投手、ダイヤモンドバックス(30歳)

 2020年から2024年にかけて、ギャレンはリーグで最も安定した先発投手の一人だった。128先発で50勝31敗、防御率3.34を記録し、エースとして活躍した。しかし、今季は13勝15敗、防御率4.83と不振。決め球のナックルカーブが被長打率.438(2024年は.230)と打ち込まれた。耐久性に優れるギャレンは、短い契約で再びFA市場に出ることを狙うのが既定路線で、人気物件となるだろう。

フィットするチーム:アストロズ、ダイヤモンドバックス、メッツ

19)JT・リアルミュート、捕手、フィリーズ(35歳)

 リアルミュートはフィリーズとの5年契約を満了し、7年を過ごしたフィラデルフィアを去るかもしれない。かつて捕手として屈指の水準にあった打力はかげり、今季は134試合でOPS.700。守備面もブロッキング、フレーミングの数値は低いが、盗塁阻止は依然として優秀だ。かつての実力はないが、捕手不足のFA市場では最良の選択肢となるだろう。

フィットするチーム:フィリーズ、レンジャーズ、ツインズ

20)シェーン・ビーバー、先発投手、ブルージェイズ(31歳)

 トミージョン手術から復帰したビーバーは、ブルージェイズで7先発、防御率3.57と好投。安定した制球力は相変わらずだった。来季はトミージョン手術からの本格復帰を目指すシーズンになる。

フィットするチーム:ブルワーズ、カブス、レンジャーズ

21)デビン・ウィリアムズ、救援投手、ヤンキース(31歳)

 2022年から2024年はブルワーズで防御率1.66を記録し、リーグ屈指のクローザーとして君臨。しかし、ヤンキースに加入した今季は不安定なパフォーマンスだった。来季は短期の契約を結び、FA市場に出直すことが予想される。ウィリアムズはクローザーへのこだわりを表明している。

フィットするチーム:ブルージェイズ、ブレーブス、タイガース

22)ジャック・フラハティ、先発投手、タイガース(30歳)

 フラハティは残り1年2000万ドルの契約を破棄してFA市場に出るかは不透明だ。今季は8勝15敗、防御率4.64と、昨季と比べると成績を落とした。ただ、今回はクオリファイングオファーの対象ではないため、市場はある程度加熱するかもしれない。

フィットするチーム:ブレーブス、メッツ、オリオールズ

23)ホルヘ・ポランコ、内野手、マリナーズ(32歳)

 ポランコは今季138試合で26本塁打、OPS.821、OPS+134と好成績を残した。さらにポストシーズンでは3試合連続で決勝打を放ち、マリナーズをワールドシリーズまであと1勝のところまで導いた。ポランコはプレイヤーオプションを破棄し、FA市場に出るだろう。

フィットするチーム:エンゼルス、ロッキーズ、ツインズ

24)メリル・ケリー、先発投手、ダイヤモンドバックス(37歳)

 このランキングで最年長のケリーは、30代後半に差し掛かっても堅実なローテ投手として活躍している。2022年から108先発をこなし、防御率は3.47。今季もトレード移籍を挟んで12勝9敗、防御率3.52、さらにMLB14位の184イニングを投じた。奪三振力は平均以下だが、その制球力は年々磨きがかかっている。

フィットするチーム:ダイヤモンドバックス、パドレス、パイレーツ

25)グレイバー・トーレス、セカンド、タイガース(29歳)

 トーレスはFA市場への出直しを狙ってタイガースと1年契約を結び、前半戦は狙い通り復活を遂げた。2019年以来となる3度目のオールスターに選出されたが、後半戦からは成績を落とした。それでもトータルの打撃成績は優秀で、アプローチの良さが際立った。一方で、守備力には不安を抱える。

フィットするチーム:カージナルス、ガーディアンズ、ツインズ

26)ライアン・ヘルスリー、救援投手、メッツ(31歳)

 カージナルスでは絶対的クローザーとして活躍し、トレード市場でも人気物件だったが、メッツへのトレード後に暗転。22登板で防御率7.20と打ち込まれ、ポストシーズン逸の一因ともなった。しかし、その2ヵ月の不調がヘルスリーの価値に傷をつけることはないだろう。ヘルスリーは過去3シーズンで防御率1.83、82セーブを挙げている。

フィットするチーム:カブス、ジャイアンツ、レンジャーズ

27)ルーク・ウィーバー、救援投手、ヤンキース(32歳)

 ウィーバーは今季最初の2ヵ月は24登板で防御率1.05を記録したが、負傷者リスト入りを境に成績が低迷。最後の40登板では防御率5.31と苦しんだ。ポストシーズンでも苦戦したが、直近2シーズンのパフォーマンスは優秀で、多くの球団の関心を呼ぶだろう。また、ブルペン転向前は先発投手としてプレーしてきたウィーバーは、再転向の可能性も示唆している。

フィットするチーム:アスレチックス、ダイヤモンドバックス、ヤンキース

28)クリス・バシット、先発投手、ブルージェイズ(37歳)

 ベテランのバシットは30代後半に差し掛かってもイニングイーターとして活躍し、4シーズン連続で170イニング以上を投じている。三振率は平均程度だが、複数の変化球を織り交ぜて弱い打球を打たせるのが真骨頂。ゴロ率と四球率も優秀だ。1年あるいは2年契約で先発3、4番手を務めることになりそうだ。

フィットするチーム:ブルワーズ、ナショナルズ、オリオールズ

29)ルーカス・ジオリト、先発投手、レッドソックス(31歳)

 トミージョン手術を受けて2024年を全休したジオリトは、今季レッドソックスで10勝4敗、防御率3.41と復活。しかし、右肘の違和感でポストシーズンを欠場したため、コンディションは依然として懸念される。

フィットするチーム:エンゼルス、アストロズ、ダイヤモンドバックス

30)岡本和真、内野手(29歳)

 日本で数々の輝かしい実績を持つスラッガー、岡本は今オフにポスティングされる。2018年にレギュラーを獲得してからオールスターに6度選出、3度の本塁打王を獲得した。MLBのより球速がある投手への対応力、守備位置の問題は不透明だ。

フィットするチーム:カブス、メッツ、ヤンキース

その他の選手:セドリック・マリンズ、ハリソン・ベイダー、ウォーカー・ビューラー、ザック・エフリン、ポール・ゴールドシュミット、リース・ホスキンス、ダスティン・メイ、ライアン・オハーン、マーセル・オズナ、ジャスティン・バーランダー、ブランドン・ウッドラフ

2025.10.23 15:37 Thursday

ジャイアンツの新監督に47歳ヴィテロ氏 プロコーチ経験なしの異例採用

 22日(日本時間23日)、ジャイアンツがトニー・ヴィテロ氏を次期監督に迎える契約を締結した。2018年から強豪テネシー大学で監督を務めた47歳のヴィテロ氏は、プロでのコーチ経験なしで直接MLBの監督に転向した初の大学野球監督となる。

 「この機会をいただき、大変光栄に思います。感謝の気持ちでいっぱいです。選手たちを率いてサンフランシスコ・ジャイアンツを代表できることに興奮しています。ジャイアンツのファンが誇りに思えるような文化を築くために、早く仕事に取り組みたいと思っています」、とヴィテロ氏は声明で述べた。

 ヴィテロ氏がテネシー大学に着任する前、ボランティアーズ(テネシー大学の野球チームの通称)は10年以上もNCAAトーナメント(大学野球のプレーオフ)から遠ざかっていた。ヴィテロ氏はチームの立て直しに貢献し、2024年には初の男性カレッジワールドシリーズ優勝を果たした。それ以外も4年で3度の男性カレッジワールドシリーズ進出を果たすなど、テネシー大学は強豪に変貌。ヴィテロ氏が監督を務めた8シーズンの勝率は、なんと.722に上る。

 ヴィテロ氏が新しく率いるジャイアンツには、テネシー大学のOBも多い。2025年ドラフト1巡目では同大から内野手ギャビン・キレンを指名。2023年ドラフト4巡目で指名した内野手マウイ・アフナも同大の出身だ。さらに今夏のトレードで獲得した2人の若手選手(外野手ドリュー・ギルバート、先発投手ブレイド・ティドウェル)は2022年の同大の看板選手として活躍し、それぞれ1巡目と2巡目で指名を受けた。

 ヴィテロ氏はテネシー大学の監督に就任する前は各地の大学でコーチを歴任し、多くのメジャーリーガーを育成。2003年から2017年までミズーリ大学、テキサスクリスチャン大学、アーカンソー大学でコーチを務め、著名な教え子としては先発投手マックス・シャーザー、カイル・ギブソン、ギャレット・クローシェ、外野手アンドリュー・ベニンテンディらがいる。

 ジャイアンツはボブ・メルビン監督を解任し、後任を探していた。4球団・20年にわたる監督歴で3度の最優秀監督賞に輝いた名将は、ジャイアンツで過ごした2シーズンで結果を残せなかった。レギュラーシーズンでは161勝163敗に終わり、ポストシーズン進出はなし。編成トップのバスター・ポージーは大鉈を振るい、契約期間を残して監督を解雇した。

 後任の候補として、ジャイアンツで捕手としてプレーした経験のあるニック・ハンドリー(レンジャーズフロントで特別アシスタント)、ガーディアンズのアソシエイトマネージャーのクレイグ・アルバーナズ、米国代表の監督を務めるマーク・デローサ、そして先日エンゼルスの監督に就任したカート・スズキら、球界関係者あるいは元選手の名が挙がっていた。

 しかし、ポージーはその中で最も異色の人材を採用。声明では「トニーは、今日の大学野球界で最も聡明で、革新的で、最も尊敬されるコーチの一人です。」、「候補者選びを通して、トニーのリーダーシップ、競争心、そして選手育成への献身が際立っていました。強く団結力のあるチームを築く彼の能力と、野球への情熱は、私たちの組織の価値観と完全に一致しています。ジャイアンツの未来に目を向ける中で、彼がもたらすエネルギーと方向性、そしてこれから作られるであろう思い出を楽しみにしています」と述べ、大学では情熱的な姿勢で選手を導き、育成してきたヴィテロ氏のスタイルを気に入ったようだ。

 大学野球の名将から転身した監督といえば、現ブルワーズのパット・マーフィー監督だ。ただ、マーフィー監督はMLBのフロント職、マイナーの監督、MLBのベンチコーチなど、監督就任まで豊かなキャリアを積んでいた。

 前例のない異色の採用は吉と出るだろうか。

2025.10.23 12:05 Thursday

「球界最強左腕」タイガース・スクーバルの獲得に必要な条件とは?

 今季序盤、パイレーツがポール・スキーンズをトレードで放出するというアイディアについて、球界全体で多くの議論が交わされた。

 保有期間が来季以降まだ4年も残っているにもかかわらず、球界最高の投手をトレードで放出するのは狂っていると考える人もいた。一方、スキーンズ放出によって得られる莫大な対価によって、低迷が続くパイレーツに活気がもたらされると考える人もいた。

 スキーンズは依然としてパイレーツに在籍しており、近いうちにトレードされるという兆しもない。しかし、もし「球界で2番目に優れた投手」が獲得可能だとしたら、どうなるだろうか。

 スキーンズを獲得するより、「球界で2番目に優れた投手」を獲得するほうが現実的だろう。

 タリック・スクーバルはフリーエージェント(FA)まで残り1年となり、タイガースは頭を悩ませている。再建期を終え、2年連続で地区シリーズに進出するなど勢いのあるチームだが、スクーバルを放出すれば、2026年のタイガースにマイナスの影響を与えるのは間違いない。しかし、このエース左腕がFA市場で求める契約条件を考えると、スコット・ハリス編成本部長は、スクーバルをデトロイトに留めておくだけの金額を支払えるのか、それともスクーバルを放出して有望株を含む対価を獲得するほうが長期的に見て有益なのかをしっかり見極める必要がある。

 アメリカン・リーグ某球団の幹部は「もし十分なオファーが届けば、タイガースはスクーバル放出を検討するだろう。実際に放出する勇気があるかどうかは分からないけれどね」と語っている。

 11月20日に29歳の誕生日を迎えるスクーバルは、左屈筋腱の手術から復帰した2023年に飛躍の兆しを見せ、15先発で7勝3敗、防御率2.80を記録。翌2024年にはエースの地位を確立し、18勝4敗、防御率2.39の好成績を残して満票でア・リーグのサイ・ヤング賞に選出された。

 支配的なピッチングは今季も続き、13勝6敗、防御率2.21を記録。投球イニング(195回1/3)と三振(241)はキャリアハイを更新した。こうした活躍により、ア・リーグでは1999~2000年のペドロ・マルティネス以来となる2年連続サイ・ヤング賞が有力視されている(ナショナル・リーグでは2018~19年にジェイコブ・デグロムが連続受賞)。

 では、タイガースからスクーバルを獲得するには、どんな対価が必要になるのだろうか。近年のトレードから傾向を探ってみよう。

 ナ・リーグ某球団の幹部は「このレベルの投手を短期契約で獲得できる機会はめったにない。タイガースが放出を決断すれば、トレード相手に困ることはないだろう」と語る。

 最も類似した例と言えるのは、2024年2月にブルワーズがコービン・バーンズ(2021年ナ・リーグのサイ・ヤング賞投手)をオリオールズへ放出したトレードだろう。ブルワーズはFAまで残り1年となったバーンズを放出し、メジャー全体トップ100にランクインしていた2人の有望株(DL・ホールとジョーイ・オーティズ)とドラフト全体34位の指名権を獲得した。

 3人の球団幹部がバーンズのトレードを有力な比較対象として挙げたが、この3人全員が「タイガースはスクーバル放出によって、より多くの対価を獲得できる」と考えている。

 ナ・リーグ某球団の幹部は「トレードの対価の最低ラインは、ブルワーズがバーンズの対価として獲得したものよりも上になるだろう。どれくらい上になるかは誰にも分からない」とした。

 一方、ア・リーグ某球団の幹部は「トップ100にランクインするような有望株が2~3人必要になるだろう。スクーバルはバーンズと比較してもレベルが違う投手だが、バーンズのトレードの対価は参考になると思う」と語った。

 昨年、レッドソックスがホワイトソックスからギャレット・クローシェを獲得したとき、トレードの対価にはトップ100以内の有望株が2人(カイル・ティールとブレイデン・モンゴメリー)、球団内で上位の有望株が2人(チェイス・マイドロスとウィケルマン・ゴンザレス)が含まれていたが、トレード時点でクローシェの保有期間は2年残っていた。

 ア・リーグ某球団の幹部は「クローシェは2年残っていたが、スクーバルの対価としては、あれくらいが妥当だと思う」との見解を示している。

 近年では、FAまで残り1年となった3人のスター外野手もトレードによる移籍を経験している。ムーキー・ベッツ(2020年2月)、フアン・ソト(2023年12月)、そしてカイル・タッカー(2024年12月)だ。

 ドジャースは年俸2700万ドル(約40億円)のベッツを獲得するために球団1位(アレックス・バーデューゴ)、3位(ジーター・ダウンズ)、28位(コナー・ウォン)の有望株を放出した。トレードから5カ月後、12年3億6500万ドル(約548億円)の大型契約を結び、ベッツは現在もドジャースで活躍を続けている。

 ア・リーグ某球団の幹部は「ベッツの対価は期待外れだった。ただし、トレード前から年俸が高騰していたため、獲得に動けるチームが限られていたことを考慮する必要はある」と評価した。

 ソトは2022年のトレード期限にナショナルズからパドレスへトレードされていたが、FAまで残り1年となったタイミングで再びトレードされ、ヤンキースへ移籍した。

 ヤンキースはソトとトレント・グリシャムを獲得するために、捕手のカイル・ヒガシオカ、マイケル・キングとジョニー・ブリトーの両右腕、さらにトップ100有望株のドリュー・ソープと球団13位の有望株だったランディ・バスケスを放出した。ソトはニューヨークで見事な活躍を見せ、当時のキャリアハイとなる41本塁打を放ってOPS.989を記録。ア・リーグMVP投票で3位にランクインし、15年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。

 しかし、ソトのヤンキース在籍はわずか1年で終了した。オールスター選出4度のソトは、シーズン終了後にメッツと15年7億6500万ドル(約1148億円)の超大型契約を締結。同じニューヨークの球団へ移籍し、史上最高額の契約を手にした。

 カブスはFAまで残り1年となったタッカーを獲得するために、内野手のイサーク・パレイデス、右腕のヘイデン・ウェスネスキー、そして全体73位の有望株だったキャム・スミスをアストロズへ放出した。これはFAまで残り1年となったスター選手が関与した最新のトレードだ。

 タッカーはカブスで136試合に出場して22本塁打、73打点、OPS.841を記録し、4年連続でオールスター選出。ワイルドカードシリーズでパドレスを撃破したが、地区シリーズでは同地区のブルワーズに敗れた。タッカーはポストシーズン8試合で打率.259、1本塁打、1打点、OPS.745にとどまった。

 タッカーは今オフのFA市場で最高の選手と目されているが、球界全体の共通認識となっているのは、カブスはタッカーが求めるような契約を結ぶ球団ではないということだ。つまり、カブスはタッカー獲得のために大きな対価を支払ったにもかかわらず、タッカーがカブスに在籍するは1年限りとなるだろう。

 スクーバル獲得を狙う球団の幹部たちが自問自答しなければならない質問はシンプルだ。たとえスクーバルほどの才能がある選手であっても、1年でチームを去る可能性が高い選手を獲得するために莫大な対価を支払う必要はあるのか?

 ナ・リーグ某球団の幹部は「トレードは各球団のメリットに基づいて評価されるべきだが、短期契約の選手を獲得することがポストシーズン進出につながるのであれば、トレードを実行する価値は間違いなくある。優勝したという記録は永遠に残るものだからね」と語る。

 ア・リーグ某球団の幹部は「今、勝ちたいチームにとって(今オフ中に)スクーバル獲得に動くのは理にかなっていると思う。獲得に必要な対価はトレード期限ほど高くはならないからね」とした。

 過去のトレードを参考にしつつ、今オフ、スクーバルの獲得に動く可能性があるチームを考えてみよう。

 今季ポストシーズン進出を逃したことを考えると、メッツは間違いなくスクーバル争奪戦の有力候補だ。デービッド・スターンズ編成本部長はFA市場で投手と大型契約を結ぶことに消極的だが、スティーブ・コーエン・オーナーは今オフ、積極的に動くつもりだ。スクーバル獲得を超えるインパクトを持つ動きはない。

 メッツにはスクーバルの対価となり得る若手投手が多くいる。たとえば、ブランドン・スプロート、ジョナ・トンといった選手たちだ。また、カーソン・ベンジやジェット・ウィリアムスといった若手野手もタイガースの関心を引く可能性がある。この4選手はいずれも有望株ランキングのトップ100にランクインしており、このうち3人(もしくは4人全員)を放出するのはメッツにとって大きな負担となるが、メッツにはスクーバルと長期契約を結ぶだけの資金力があることを忘れてはならない。

 レッドソックスは昨オフ、クローシェを獲得するという大きな動きを見せたが、もし2026年シーズンにクローシェとスクーバルが同じローテーションに並べば、他球団にとって大きな脅威となる。トップ100の有望株投手が2人(ペイトン・トーリーとカイソン・ウィザースプーン)、トップ100の有望株野手も2人(フランクリン・アリアスとジョスティンソン・ガルシア)いるため、スクーバルを獲得するための対価を提供することは可能だ。

 ほかには、強豪3チーム(ドジャース、フィリーズ、パドレス)も除外できない。これらの球団のフロントオフィスには大型トレードを成立させてきた歴史があるからだ。

 ドジャースがスクーバルを獲得するためには、球団1位&全体13位の有望株であるホスエ・デポーラを手放す必要があるかもしれない。ドジャースは有望株ランキングのトップ100に7選手を送り込んでいるほか、安価で保有できる佐々木朗希もいるため、アンドリュー・フリードマン編成本部長がさらなる投手補強を決断すれば、トレードの駒に使える若手有望株は豊富に揃っている。

 フィリーズのデーブ・ドンブロウスキー編成本部長は有望株アンドリュー・ペインターを若き日のジャスティン・バーランダーに匹敵する存在と評価し、トレードでの放出を拒んできた。しかし、フィリーズのロースターは高齢化が進んでおり、ワールドシリーズ制覇を狙うための時間がなくなりつつある中、2026年は極めて重要なシーズンとなる。スクーバル獲得に乗り出す可能性もあり、ペインターのほかにもタイガースの関心を得られそうなトップ100有望株が2人(エイダン・ミラーとジャスティン・クロフォード)いる。

 今年のトレード期限に慌ただしい動きを見せたパドレスは、トップ100にランクインしている有望株が2人だけ(77位のイーサン・サラスと95位のクルーズ・スクールクラフト)になってしまった。しかし、A・J・プレラー編成本部長は最もクリエイティブな球団幹部の1人だ。プレラー編成本部長が何かを決断したとき、決して侮れない存在となる。マイケル・キングとディラン・シースがFAになることを考えると、先発ローテーションの補強は必須であり、スクーバル獲得はその解決策の1つとなるだろう。

 タイガースがスクーバル放出を決断すれば、上記のチーム以外にも多くのチームが獲得に乗り出すはずだ。しかし、タイガースも再建期を終えて勝負モードに突入しており、タイガースからスクーバルを獲得するためには、将来に役立つだけでなく、2026年にタイガースが3年連続のポストシーズン進出を成し遂げるのを手助けするような選手を対価に含めることが必要になる。

 ア・リーグ某球団の幹部は「スクーバル獲得のためには、トレードの対価にメジャーリーガーを含める必要があるだろう。そのトレードによってタイガースがレベルアップできるということを示さなければならない」と語り、有望株だけのパッケージではトレードを成立させることは難しいとの見解を示した。

2025.10.22 13:37 Wednesday

21世紀初のワールドシリーズ連覇の鍵を握るドジャースの「エース4本柱」

 メジャーリーグの先発ローテーションにエース格の投手が4人揃うのは非常に珍しい。

 ブレイク・スネル、山本由伸、タイラー・グラスナウ、そして大谷翔平。今年のポストシーズン、圧倒的な投手力によって勝ち上がってきたドジャースにとって、先発ローテーションは球団史上でも屈指の充実度だ。

 昨年、ドジャースは先発の駒が不足しているにもかかわらず、ワールドシリーズ制覇を成し遂げた。今年は4人の先発投手が21世紀初のワールドシリーズ連覇を目指すチームの原動力となっている。

 アンドリュー・フリードマン編成本部長はリーグ優勝を決めたあと、「10月に入る前から、先発投手がこのチームの強みであることは分かっていた。しかし、彼らの活躍は予想以上だった。彼らが4試合に投げ、互いにバトンをつなぐ姿を見るのは、信じられないほど素晴らしい体験だった」と語り、4人の先発投手の活躍ぶりを称賛した。

 21日(日本時間22日)、デーブ・ロバーツ監督は敵地ロジャースセンターで行われるワールドシリーズ第1戦にスネル、第2戦に山本を先発させることを発表した。第3戦以降の先発投手はまだ発表されていないが、リーグ優勝決定シリーズと同じローテーションになる可能性が高い。つまり、第3戦にグラスナウ、第4戦に大谷が先発することになるだろう。

 これにより、スネルは中4日で第5戦に先発することが可能。グラスナウも中4日で第7戦に先発できる。また、山本は中5日で第6戦に先発することになるだろう。大谷が先発するのは1試合だけになるが、シリーズが長引いた場合、リリーフで登板する可能性がある。

 この先発ローテーションはリーグ優勝決定シリーズで見事に機能。4人の先発投手が1試合ずつ投げ、メジャー最高勝率のブルワーズをスイープした。

【第1戦】スネルが8イニングを最少打者数の24人で無失点に抑え、わずか1安打、10三振の快投

【第2戦】山本が先頭打者アーチを浴びたものの、それ以降は得点を与えず、メジャー初完投を達成

【第3戦】グラスナウが5回2/3を投げ、8三振、1失点の好投

【第4戦】大谷が6回0/3を投げ、10三振、無失点の好投(3本塁打を放ち、史上最高の個人パフォーマンスとなったことは言うまでもない)

 クローザーの佐々木朗希はリーグ優勝決定シリーズ第3戦の試合後、記者会見で「完投してくれないかなと思って見ています」と先発陣について言及した。

 この先発陣がワールドシリーズでも同様のパフォーマンスを見せる可能性がある。対戦チームのブルージェイズにとっては厳しい試練となるはずだ。

 新人捕手のドルトン・ラッシングは「各投手が自分の武器を持ち、自分の投球スタイルを持っている。それぞれに独自の個性がある。それが各投手を優れた選手にしているし、それによってお互い学び合うこともできる。エース級が4人揃っていることで新たな基準が打ち立てられたんだ」と語っている。

 ここでは今年のポストシーズンにおける各先発投手の武器となっている球種を見ていこう。

◆スネルのチェンジアップ

 スネルはレギュラーシーズン中、フォーシームの割合が最も多かったが、ポストシーズンではチェンジアップの割合を増やしている。チェンジアップに対し、相手打者は22打数2安打(打率.091)と苦戦しており、58度のスイングで38度の空振りを喫している(65.5%)。

 リーグ優勝決定シリーズ第1戦の試合後、スネルは「チームの指示に従ってピッチングを組み立てている。相手打者が特定の球種に対してかなり積極的だと感じたし、実際にその通りだった」と話した。

◆山本のスプリット

 山本は地区シリーズ第3戦でフィリーズに対して不甲斐ない投球(4回0/3を投げて3失点)を見せたあと、髪を暗くしてリセットを図った。しかし、敵地ミルウォーキーで完投した山本にとって、真の決定打となったのはスプリットを巧みに操ったことだ。山本はブルワーズ打線からスプリットで8つの空振りと3つの見逃しストライクを奪った。

 ブルワーズのパット・マーフィー監督は「彼のスプリットは速球のように見える。同じトンネルを通ってくるんだ。全く同じに見える。完璧な投球フォームだし、失投もない。速球のように見えるボールが突然落ちていく。その一方で、速球はどんどん伸びていく」と脱帽していた。

◆グラスナウのスライダー

 グラスナウのスライダーは制球面でやや不安定さがあるものの、上手く機能しているときには非常に厄介なボールとなる。今年のポストシーズンでは11打数1安打(打率.091)と相手打者を圧倒しており、20度のスイングで10度の空振りを奪っている(50%)。シンカーとの相性も抜群で、制球を乱したときは、それを修正するためにシンカーを使うケースが多い。

 リーグ優勝決定シリーズ第3戦の試合後、グラスナウは「かなりシンカーに頼った。制御不能になりかけたけれど、シンカーを1球投げることによって、ピッチングを修正できるんだ」と語った。

◆大谷のスプリット

 レギュラーシーズン中、大谷はわずか4.6%しかスプリットを使わなかった。ポストシーズンでも割合が突出して多いわけではないが、その効果は絶大だ。相手打者は大谷のスプリットに対して10度スイングしたが、バットに当たったのは1度だけ。スプリットを武器として使うことで投球の幅が大きく広がっている。

 リーグ優勝決定シリーズ第4戦、大谷が投打で歴史的なパフォーマンスを見せた試合でもそうだった。マーク・プライアー投手コーチが話していたように、大谷はスプリットの感覚をつかみさえすれば、「何でもやりたいことができる」のだ。

2025.10.22 11:26 Wednesday

スプリンガーの逆転3ランを生んだ「決断」 両チームの思惑とは

「決断」は試合、シリーズ、そしてシーズンの成否を分ける。アメリカン・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)第5戦ではブルージェイズのジョン・シュナイダー監督がマリナーズ打線の中軸に対してブレンドン・リトルを起用。しかし、この継投は失敗に終わり、マリナーズはカル・ローリーとエウヘニオ・スアレスが本塁打を放ち、物語のような瞬間を演出した。

 20日(日本時間21日)に行われた第7戦はブルージェイズが4-3で勝利したが、「勝てばワールドシリーズ進出、負ければ敗退」という一戦で七回のマリナーズの「決断」が試合の流れを一変させた。マリナーズのダン・ウィルソン監督はブルージェイズの強打者ジョージ・スプリンガーに対してエデュアルド・バザードを起用。しかし、スプリンガーが逆転3ランを放ってロジャースセンターを大熱狂させ、ブルージェイズは1993年以来32年ぶりとなるワールドシリーズ進出を決めた。

 では、第7戦の勝敗を分けた「決断」を詳しく見ていこう。

◆状況

 マリナーズは球団史上初のワールドシリーズ進出まであと9アウトに迫っていた。生え抜きのスター選手であるフリオ・ロドリゲスとローリーが本塁打を放ち、3-1とリード。ジョージ・カービーとブライアン・ウーの2人が六回までブルージェイズ打線を1点に抑えていた。

 ウィルソン監督は五回から登板していたウーを七回も続投させることを選択。ブルージェイズは下位打線からの攻撃だったが、ブルージェイズの7~9番打者はALCSの83打席で打率.284、4本塁打、4二塁打、12打点、OPS.838という好成績を残していた。

 先頭のアディソン・バージャーが5球で四球を選んで出塁。アイザイア・カイナー=ファレファは真ん中のスイーパーを弾き返し、センターへのヒットを放った。

 このカイナー=ファレファのヒットについて、ウィルソン監督は「ゴロを打たせることを狙い、その通りになったが、野手の間に飛んでしまった」と語った。

 マリナーズのピート・ウッドワース投手コーチがマウンドを訪れ、一息ついたあと、ウーは9番打者のアンドレス・ヒメネスと対戦。送りバントの可能性が高いと予想され、実際にヒメネスはバントを決めて1死二、三塁となった。

 ここでブルージェイズ打線は上位に回り、リードオフマンのスプリンガーが打席に入った。

◆決断

 スプリンガーに対し、ウィルソン監督はバザードを起用した。レギュラーシーズンでは78回2/3を投げて防御率2.52をマーク。ALCSでも5イニングでわずか1失点と安定したピッチングを見せていた。

 ウィルソン監督は「バザードは1年を通して安定した働きを続けてきた。とても安定感があり、1年を通して素晴らしい仕事をしてくれた。特にこのシリーズでは、彼のピッチングを見て、本当に安心感を覚えた。だから、彼を起用したんだ」とバザードを起用した理由を説明した。

 シーズンで最も重要な試合の最も重要な場面だった。しかし、ウィルソン監督は今季チームで最も優れた投手だったウーを続投させなかった。

 また、ウィルソン監督はチームで最高のリリーフ投手2人、セットアッパーのマット・ブラッシュとクローザーのアンドレス・ムニョスも起用しなかった。

「ウーはいいピッチングをしていたが、そろそろ代え時だと思った。勝ちパターンの投手を起用しようと思い、あのような決断になったんだ」とウィルソン監督は語った。

 ウーは「僕たちは常にマウンドに立ち続けたいと思っている。でも残念ながら、あの場面は2度目のマウンド訪問だったから、投手交代以外の選択肢はなかったんだ」と付け加えた。

 注目すべきは、スプリンガーとムニョスが今年のレギュラーシーズンとポストシーズンで1度も対戦していなかったことだろう。

 ムニョスは「全員が準備万端だった。でも、監督やコーチはあの場面ではあれがベストの選択だと考えた。シーズンを通してずっとそうだったから、僕たちはみんなあの決断を支持しているよ。しかし、今日は上手くいかなかった。判断が間違っていたわけではない。今日はそういう日ではなかったということ。それだけさ」とウィルソン監督の継投に理解を示した。

 スプリンガーはキャリア終盤に差し掛かっているかもしれないが、まだ終わりではない。36歳のスラッガーはレギュラーシーズンで32本塁打を放ち、ポストシーズンの経験も豊富だ。それはマリナーズファンもよく知っているだろう。スプリンガーはポストシーズンの通算78試合で打率.264、23本塁打、47打点、OPS.883を記録している。

 スプリンガーとの勝負を避け、次の左打者ネイサン・ルーカスの打席で併殺打を狙うという考えはあったのだろうか。

「難しい判断だった」とウィルソン監督。「本当に難しい判断だ。逆転のランナーを一塁に置きたくなかった。それに、もしルークスから併殺打を奪えなかった場合、ブラディミール・ゲレーロJr.に回ってしまう。そうしたことも考えて、スプリンガーと勝負することにしたんだ」と説明した。

 スプリンガーは第5戦で右膝に死球を受け、途中交代を強いられた。出場が危ぶまれていた第6戦と第7戦にスタメン出場したものの、本調子ではなく、シリーズを決定づける本塁打を放つ前の8打席で無安打(2四球)に終わっていた。

 シュナイダー監督は相手の策への対応を考えていた。マリナーズがスプリンガーとの勝負を避け、ルーカスに対して左腕ゲーブ・スパイアーをぶつけてくる可能性があると予想した。

 その場合、シュナイダー監督はルーカスに代打を送る必要があっただろう。

「ジョージを敬遠するんじゃないかと思っていた。相手がどちらの戦術を取るか、私は分からなかったんだ。でも、最終的にジョージと勝負してくれたのは、我々にとってよかった」とシュナイダー監督。「重要な打席でジョージに期待しないなんてことはないよ」とスプリンガーへの信頼は変わらなかった。

◆結果

 バザードはスプリンガーに対して2球を投じた。1球目は内角に外れるシンカー。2球目はストライクゾーンへのシンカーだった。スプリンガーによると、三塁走者のバージャーを生還させることだけを考えていたという。

 しかし、スプリンガーはひと振りで試合の状況を一変させた。

 バザードは「シンカーをもう少し内寄りに投げるつもりだったけれど、少しだけ甘く入ってしまった。そこを仕留められたんだ。最高のシンカーを投げたつもりだし、昨日の試合では同じようなシンカーで打ち取ることができた。昨日は内野ゴロ、今日はホームランになってしまった」と振り返った。

 ロジャースセンターは大歓声に包まれた。マリナーズは奈落の底に突き落とされた。ちなみに、マリナーズの守護神ムニョスは1点ビハインドの八回に登板した。

 ウィルソン監督は「決断を下すとき、生きるか死ぬかの決断を迫られることもある。今季のバザードのピッチングを見て、我々は彼なら抑えてくれると思って送り出した。ただ、それが上手くいかなかっただけだ」と語り、自身の決断を後悔するような素振りは見せなかった。

2025.10.22 10:05 Wednesday

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