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大谷翔平がNLCSのMVPに選出 打撃不振も、第4戦に歴史的活躍

 大谷翔平(31)は、素晴らしいフィナーレを演出する方法を確かに知っている。

 ドジャースは17日(日本時間18日)、ナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)の突破に王手をかけ、第4戦を迎えた。球界でも25年ぶりの世界一連覇という究極の目標に向け、また大きな一歩を踏み出そうとしていた。

 大谷はNLCSでは深刻な打撃不振に陥っており、ほとんどチームに貢献できていなかった。しかし、デーブ・ロバーツ監督だけはチーム最大のスターに揺るぎない信頼を寄せていた。 「大谷にとって、このシリーズで存在感を示すチャンスだと思う。だから、彼のベストパフォーマンスが見られるはずだ」 第4戦では二刀流として歴史的な活躍を見せ、そのたった1試合の活躍のみでシリーズMVPに輝いた。

 5-1でブルワーズを下したこの試合、大谷は先発投手としては七回途中無失点、10三振の好投を見せ、指名打者としては3本塁打を放った。昨季、史上初の「50本塁打50盗塁」を達成したマーリンズ戦での大活躍は大谷の代名詞ともなったが、この試合では二刀流としてさらにオールラウンドに活躍し、歴史に名を刻んだ。

 初回、投手・大谷は先頭打者に四球を与えたが、3者連続三振を奪い、力強いスタートを切った。そのうち2打者は時速100マイル(161キロ)を超える剛速球。2008年にピッチトラッキングシステムが導入されて以来、ポストシーズンで時速100マイルを超える球で複数の三振を奪った初のドジャースの先発投手となった。

 そして初回、今度は打撃で魅せた。ブルワーズ先発のキンタナから圧巻の先頭打者本塁打を放って先制。そして、四回には飛距離469フィート(143メートル)の場外弾で追加点を挙げた。

 投手・大谷は七回に2人の走者を許して降板したが、6回0/3、無失点、2安打、10三振、3四球の快投。シーズン初めて2桁三振を達成した。

 そしてスタンディングオベーションを浴びながら降板した直後の七回、大谷はこの日3本目の本塁打を左中間に突き刺した。

 投打で圧倒的な支配力を見せつけた。大谷が2桁三振を奪いながら2本塁打を放ったのは、キャリアで2度目。他にこれを1度以上成し遂げた選手は存在しない。

2025.10.18 13:33 Saturday

PSで急増の申告敬遠 戦略的に効果はあるのか?

 故意四球はレギュラーシーズンでは激減しているにもかかわらず、今季のポストシーズンでは急増している。

 10月16日現在、今ポストシーズンでは24度の故意四球が記録された。昨季は21度、一昨年は12度に過ぎなかった。これは2018年の26度以来、ポストシーズンでは最多だ。ポストシーズンのフォーマットが拡大されたのも関係しているが、まだワールドシリーズにも達していない現段階では、故意四球の頻度は高くなっている。

 一方、レギュラーシーズンでは故意四球の割合は年々減っている。過去3シーズンは毎年「史上最低の故意四球率」が記録されている。これは明らかにナ・リーグにもDH制が導入され、投手の前の打者に故意四球を与える必要がなくなったことが関係している。

 故意四球の減少にある考えはシンプルだ。史上初めて1年間にわたって故意四球を与えなかった2019年のアストロズを率いたAJ・ヒンチ監督は言う。 「ただで打者を出塁させることが正しいと思わない」

 データから見れば、ヒンチ監督の意見は正しく、故意四球は理に適っていない選択だ。MLBのシニアデータアーキテクトであるトム・タンゴ氏がかつて自身の著作で示したように、故意四球が投手側に有利になると数学的に証明される唯一の状況は、九回裏1死二、三塁あるいは三塁の場合のみ。それでも、勝率への影響はごくわずかだ。 「もし打者が全員同じ能力を持っていたら、故意に四球を与えるのは、せいぜい損益ゼロの動きで、試合の早い段階でそうするのは逆効果だ。なぜなら、無失点のイニングの確率を上げるよりも、ビッグイニングの確率を上げるからだ」

 レギュラーシーズンで故意四球が減少する理由は、データの裏付けがある。しかし、ポストシーズンで故意四球を与えられるのは、話題の球界のスターたちであり、「同じ能力を持つ打者」ではない。これまでの23度の故意四球は成功したのかを分析してみよう。

・11のインプレーアウト ・4三振 ・単打3本 ・二塁打3本 ・四球2 ・犠牲フライ1本

 故意四球後の打撃成績は打率.273、出塁率.333、長打率.409だ。故意四球を与えたイニングで得点が入ったのは11度、つまり半分程度だった。故意四球を与えたイニングでの平均失点は0.91で、1イニングに1点に近い数字だった。

 一方、故意四球を受けた16人の打者はほとんどがスター選手だ。アーロン・ジャッジ、カル・ローリー、大谷翔平といったMVP候補、そしてフリオ・ロドリゲス、ライリー・グリーン、ブラディミール・ゲレーロJr.、マックス・マンシーといったスラッガーが揃う。

 故意四球を受けた打者の今季の打撃成績は、打率274、出塁率.350、長打率.506。これは今季のホセ・ラミレスの打撃成績とほぼ同等だ。ラミレスは将来の殿堂入り候補であり、今季は平均より33%優れた攻撃力を発揮した。

 そして故意四球を受けた打者の走者がいる状況での打撃成績は、打率.286、出塁率.362、長打率.523に上昇する。これは平均より45%程度優れており、ざっと球界で7番目に優れた打者だったケテル・マルテと同じだった。

 とはいえ、良い打者の次の打者も、故意四球を与えられる前の打者ほどではなくとも優秀だ。タンゴ氏が述べているように、打者の能力を考慮しても、「傑出した打者に故意四球を与えることは、ほぼ確実に(攻撃側)チームの得点力を向上させる」ことになる。

 ただ、故意四球後の結果が悪かった場合、故意四球を与えなかった場合の結果も恐らくかなり悪いだろう。多くの場合は「取り得る最悪の選択肢は何か」を比較しなければならない。故意四球を与える選択肢がある状況では、以下の条件の少なくとも1つが当てはまる。そしてほとんどの場合、複数の条件が当てはまる。

・非常に優秀な打者が打席に立つ。 ・すでに少なくとも1人の走者が塁上にいる(234回中22回) ・すでに3ボール0ストライクのカウントになっている(過去2回) ・投手と打者の相性が悪かった。

 つまり、故意四球を検討する時点で、守備側は既に悪い状況に陥っている。

 ここで問題は、「走者が一人多い状態で実力が劣る打者と対戦する方が良かったのか、それとも走者がいない状態で優秀な打者と対戦する方が良かったのか」ということになる。

 ただ、これは状況にもよる。

 ヤンキースとブルージェイズによる地区シリーズ第3戦の三回、1点ビハインドのヤンキースは無死二塁の場面でゲレーロJr.に故意四球を与えた。しかし、この敬遠策は失敗した。ヤンキースの投手だったロドンは次の打者を打ち取ったものの、そこから3者連続で単打を浴びて逆転された。試合序盤での四球は、一般的には絶対に避けるべきものだ。

 しかし、ロドンはゲレーロJr.に対して非常に相性が悪かった。過去21度の対戦では一度も三振を奪えておらず、その試合の序盤では本塁打も打たれていた。敬遠策は失敗したが、果たしてゲレーロJr.と勝負するほうが良かったとも言い切れない。

 一方、こうした試合の流れを決定づける状況でのみ、故意四球は行われるわけではないのも事実だ。今ポストシーズンでの24度の故意四球のうち、12度は試合の勝敗がほぼ決定していた状況(勝利確率85%以上)で行われた。

 そして実際のところ、今ポストシーズンでは故意四球は試合の勝敗に大きな影響を与えていないことが分かっている。

2025年のポストシーズンの故意四球による勝利確率

・故意四球があり得る状況になった場合:攻撃側の勝利確率74% ・実際に故意四球を与えた場合:攻撃側の勝利確率75% ・その次の打者:攻撃側の勝利確率74% ・攻撃終了時:攻撃側の勝利確率75%

 もちろん敬遠策が見事に成功した場合もあれば、成功しなかった場合もある。しかし、総合的に見れば差はほとんど出ない。

 故意四球の話題で特に取り沙汰されるのが、ポストシーズンでは不調に陥る期間があった大谷の敬遠する是非だ。大谷の次を打つベッツは敬遠策のあと、一度は併殺打を記録したが、2四球、1本のタイムリーを記録している。大谷の敬遠は間違いなのだろうか。

 必ずしも間違いではない。

 まず大谷が突如として不振に陥ることは、2本塁打を放ったナ・リーグワイルドカードシリーズの時点では想像もつかないことだった。そして第二には、大谷の苦戦は特定のタイプの投手(低いアームアングルから内角を攻め立てる力強い左腕)に対して起きているということだ。故意四球が与えられた4度は、いずれも右腕相手であり、理論上は右打者のベッツの方が分は良かったかもしれない。

 しかし、大谷は依然として大谷だ。特定の投手に対して沈黙しても、その脅威は変わらない。「走者がいる状態で大谷を右投手と対戦させる」ことが最悪の選択だとすれば、「走者がいる状態でベッツと対戦させる」ことも最悪だ。

 故意四球はデータから見れば、誤った選択だ。

 しかし、故意四球を与えるかどうかという状況に追い詰められてしまえば、「不利なマッチアップを受け入れ、強打者と対戦する」ことも、「故意四球を与え、その次の優秀な打者と対する」ことも、両方とも分が悪い。

 結局は、故意四球という誤った選択を避けるための最良の方法は、そもそもそのような選択を迫られるピンチを作らないこと。言うは易く行うは難しであることは明らかではあるが。

2025.10.18 13:05 Saturday

ドジャースがワールドシリーズ進出 大谷が3本塁打&10三振と無双

【ドジャース5-1ブルワーズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月17日(日本時間18日)

 ナ・リーグ連覇に王手をかけていたドジャースは、大谷翔平(31)の投打にわたる活躍でナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)の第4戦に勝利。ブルワーズをスイープ(4連勝)で下し、2年連続のワールドシリーズへ駒を進めた。大谷は打っては先頭打者弾を含む3本塁打、投げては七回途中無失点10三振の快投のワンマンショーでドジャースを勝利に導いた。

 初回から大谷は投打にエンジン全開だった。まずは投手として3つのアウトをすべて三振で奪うと、直後の打撃では先頭打者本塁打で先制点をもたらした。この本塁打で大谷はポストシーズンで初めて先頭打者本塁打を放った投手となった。

 そして四回の第3打席では再び本塁打を放ち、リードを4-0に広げた。ポストシーズンでマルチ本塁打を放ったのは、この日の大谷が史上初だった。

 そのリードを投手・大谷が守った。この日も大谷は七色の変化球を駆使し、ブルワーズ打線を翻弄。1巡目はフォーシームとスイーパーを中心に攻め、四回までにフォーシームで3三振、スイーパーで2三振を奪った。四回以降は決め球をスプリットに切り替え。スプリットはわずか9球しか投じていないものの、5度のスイングを誘ってすべて空振りを奪い、四~六回の間に5三振と抜群の切れ味を発揮した。

 投手・大谷は七回に走者2人を背負って降板。6回無失点、10三振、3四球、2安打と、投手としては今季最高のパフォーマンスだった。

 しかし、なおも衝撃は続いた。七回の第4打席、大谷はブルワーズの守護神メギルの直球をとらえ、左中間にこの日3本目の本塁打。1つの試合で2桁三振を奪い、3本塁打を放ったのは、レギュラーシーズンとポストシーズンを合わせてもこの日の大谷が史上初だった。

2025.10.18 12:24 Saturday

「きょうどうやって勝つかだけ考える」 王者ドジャースが3連勝

【ドジャース3-1ブルワーズ】ミルウォーキー/ドジャースタジアム、10月16日(日本時間17日)

 ドジャースの二塁手トミー・エドマンは、「プレーオフを経験するということは、特別な意味を持つ」と語った。初めてプレーオフに出場する者にとって、「過去に何度も同じような瞬間を経験してきた者と比べると、心臓の鼓動を静めるのは間違いなくずっと難しい」。

 エドマンがかつてそういうタイプの選手だったとしても、今はもう違う。大谷翔平、ムーキー・ベッツ、ウィル・スミス、フレディー・フリーマン、そしてこのドジャースの巨大なチームに加入した他の誰にとっても、それは同じだ。彼らは皆、この状況に何度も遭遇し、勝利を収めてきた。彼らが対戦相手にかけるプレッシャーは容赦なく、その力は克服するのが難しい。

 ナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)の第3戦、ドジャースはまたしても第1シード・ブルワーズを破り、リーグ連覇に王手をかけた。

 ポストシーズンの最大7戦のシリーズにおいて、3勝0敗とリードしたチームは過去41チーム中40チームが勝利している。そのうち、31度はスイープ(4連勝)で決した。3連勝から敗退したチームは歴史上、2004年のア・リーグ優勝決定シリーズのヤンキースしかいない(奇しくもそのヤンキースを打ち破ったレッドソックスには、ドジャース監督のデーブ・ロバーツがおり、鍵を握る活躍を見せた)。

 負ければ王手をかけられる第3戦、ブルワーズは勝利に近づくことすらなかった。早々に先制点を奪われ、たまらず新人ジェイコブ・ミジオロウスキーを投入。ミジオロウスキーは最初に対戦した16打者のうち15人を打ち取り、9三振を奪ったが、六回に息切れして追加点を奪われた。新人の奮闘を援護できず、打線はドジャース先発のタイラー・グラスナウとブルペン陣の前に沈黙した。

 レギュラーシーズン中はメジャー3位の総得点を記録したブルワーズ打線は、NLCSの3戦で1得点ずつに抑え込まれている。第1、2戦ではスネル、山本の2人の先発に圧倒されたが、第3戦ではドジャース唯一の弱点とされていたブルペン陣にも封じられた。

 「挑戦的だ。彼ら(ドジャース)は世界最高の選手だよね?このシーズンのこの時期になると、最高の投手陣が揃うんだ」と、ブルワーズのジェイク・バウアーズは語った。

 追い詰められたブルワーズは、第4戦はベテランのホセ・キンタナを投入するだろう。左腕のキンタナの起用は、打者・大谷封じには効果があるだろう。しかし、逆転でのシリーズ突破はおろか、シリーズを再びミルウォーキーに持ち込むだけでも大きな挑戦となる。シーズン最高勝率のチームが最大7戦のシリーズで0勝3敗となった過去7度の事例では、7度すべてスイープ(4連敗)で決着している。

 「あまり先走りすぎないように気をつけている。ワールドシリーズは考えていない。きょうどうやって勝つかだけを考えている。それがわれわれが多くの試合に勝てている理由だと思う」と、エドマンは語る。

 一方、ブルワーズ・ナインは現実を受け止めている。今季のレギュラーシーズンで最高勝率を挙げたブルワーズは、がけっぷちに立たされた。「これまで見せてきた以上の成果が必要になる」とは、三塁手のケイレブ・ダービン。「言うまでもないことだが、1勝する前に4勝することはできない」と、指名打者のクリスチャン・イェリッチは語る。

 さらに好調だった1番打者ジャクソン・チューリオが第3戦で負傷交代を余儀なくされ、状況は悪化する一方だ。この窮地を抜け出す唯一の方法は、イェリッチの言葉を借りるならば、課題を「小さな目標」に細分化することだと彼らは信じている。そして、自分たちに過度なプレッシャーをかけてはいけないことも理解している。

 第3戦の前、ブルワーズのパット・マーフィー監督は試合前にいつもの芝居がかった振る舞いをしており、報道陣と冗談を言い合ったり、野球以外の話題で盛り上がったりしていた。

 ある記者がマーフィー監督の目に付く気の緩みについて質問したところ、マーフィー監督はこう答えた。 「これはただの演技だよ。気が緩んでなんかいない。ものすごく緊張しているんだ」

 その数時間後、NLCSで0勝3敗と劣勢に立たされたマーフィー監督は、もはや緊張する理由はほとんどないと悟った。この時点で、ブルワーズにはもう失うものがない。ブルワーズは強大なドジャースの前に屈する新たなチームとなるのか、それとも歴史的な形でドジャースを驚かせる相手になるのか、そのどちらかだ。

 バウアーズは語る。 「前にもあったことだろう?だったらなぜ、われわれにできないのか?」

2025.10.18 09:49 Saturday

フィリーズが今オフにカステヤノスを放出へ 今季は打撃不振

 フィリーズはベテラン外野手ニック・カステヤノスを今オフにトレードするか、リリース(解雇)する見込みだと、ジ・アスレチックのマット・ガルブ記者が報じた。カステヤノスは今季打撃不振に陥り、来季は5年契約の最終年に差し掛かる。

 34歳のカステヤノスは、2022年に5年契約でフィリーズに加入。通算4シーズンで82本塁打、オールスター選出1度と貢献を重ね、ポストシーズンでも勝負強い打撃を見せてきた。しかし、守備・走塁での貢献度が低く、トータルの貢献度を示すfWARでは、通算4シーズンで0.7と低迷していた(平均的なレギュラー選手は1シーズンあたり2.0WARを残すと言われている)。

 ただ、今季は打率.250、OPS.694と打撃不振に苦しみ、定位置を失陥。同記者によれば、出場機会の減少がフィリーズとカステヤノスとの間に緊張関係をもたらしており、それも今オフ中の放出の遠因だという。

 カステヤノスは来季2000万ドルの契約を残している。フィリーズがカステヤノスをトレード放出するためには、来季の年俸の大部分を負担する必要があるだろう。もっとも、フィリーズはカステヤノスがレギュラーを務めていた過去2シーズンも、不良債権化していたカステヤノスの放出を試みたが、失敗した。リリース(解雇)すれば、年俸を全額負担する必要がある。

 来季はフィリーズにとって、再編を迫られるシーズンだ。主砲カイル・シュワーバーと正捕手JT・リアルミュートがFAとなり、ここ数年のチームの屋台骨を支えていた選手たちに退団の可能性がある。また、外野のレギュラーを務めたマックス・ケプラーとハリソン・ベイダー(相互オプション)もFAとなるだろう。DHと外野に空席が生じるにもかかわらず、フィリーズはカステヤノスと袂を分かつ見込みだ。

2025.10.18 09:47 Saturday

41歳シャーザーが気迫の投球 ブルージェイズがALCSをタイに戻す

【マリナーズ2-8ブルージェイズ】シアトル/T-モバイルパーク、10月16日(日本時間17日)

 1勝2敗でア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)の第4戦を迎えたブルージェイズは、先発マックス・シャーザーの熱投に助けられ、敵地で快勝。連勝でシリーズを2勝2敗のタイに戻した。シャーザーは5回2/3、2失点、5三振、4四球、3安打と粘りの投球。五回には降板を拒否して続投し、ピンチをしのぐなど気迫あふれるパフォーマンスだった。

 ブルージェイズは負ければシリーズ敗退に王手をかけられる第4戦の先発を、レギュラーシーズンでは17先発で防御率5.19、ヤンキースとの地区シリーズ(ALDS)ではロースター(出場選手登録)にすら入れなかった41歳に託した。本拠地で連敗し、いきなり劣勢に立たされた中、先発を任されたシャーザーはこう語っていた。 「(逆転は)不可能じゃない。野球だからね。流れがいつ変わるかなんて誰にもわからない」

 その流れが変わる瞬間が、シャーザーの気迫によってもたらされた。シャーザーは六回途中2失点の熱投でマリナーズ打線を抑え、ブルージェイズを勝利に導いた。

 初回、シャーザーは2四球を与えたものの、勝負強い活躍が続く4番ポランコをダブルプレーに打ち取って無失点。しかし、二回先頭のネイラーに本塁打を浴び、慌ただしい立ち上がりとなったが、そこから3度のサイ・ヤング賞を獲得したゆえんを見せた。

 三回も先頭に四球を与えたものの、その走者を牽制でアウトに仕留めた。シャーザーの牽制刺は2016年のレギュラーシーズン以来、さらに一塁での牽制刺に限れば2013年以来の珍事だった。百戦錬磨のベテランらしい判断で走者の裏をかき、ピンチの芽を摘んだ。

 打線に5点の援護を受けたシャーザーは、四回も走者を背負いながら無失点。五回も先頭に安打を浴び、2死までこぎ着けたが、1番アロザレーナを迎え、ジョン・シュナイダー監督がマウンドに訪れた。

 しかし、シャーザーはマウンドに訪れたシュナイダー監督に対し、激しくまくしたて降板を拒否。その後、アロザレーナをその日4度目の三振に抑え、見事にピンチを脱した。

 その後、六回も続投したシャーザーは、ローリーとフリオの2・3番コンビを見事に抑えたものの、ポランコに四球を与えたところで降板。2番手フルハティがタイムリーを浴びて2失点目が加算されたが、5回2/3、2失点と見事なゲームメークを見せた。

 六回に5-2と3点差に迫られたブルージェイズは、直後の七回にブラディミール・ゲレーロJr.の本塁打ですぐさま突き放した。さらに八回には三回に逆転弾を放ったアンドレス・ヒメネスが再び2点タイムリーを放ち、大量リードを奪った。

 ブルージェイズはそのまま8-2でマリナーズに勝利。第3、4戦に連勝し、シリーズを2勝2敗のタイに戻した。勝った方がシリーズ突破に王手をかけられる第5戦は、ブルージェイズがエースのケビン・ゴーズマン、マリナーズが第1戦好投のブライス・ミラーを立てる。

2025.10.17 12:28 Friday

“マジシャン”大谷の投球戦略 スプリットを復活させた理由

 大谷翔平は常に秘密兵器を持っている。7つの球種を操り、しかもどれも厄介な球種を持つエースならではの稀有な能力だ。そして今季のポストシーズンで、マジシャン・大谷は既に最新の技を繰り出している。

 大谷はこの大一番でスプリットを復活させた。かつて大谷の代名詞だったスプリットは、2025年のレギュラーシーズンではほぼ投じられてこなかった。しかし、フィリーズとの地区シリーズ(NLDS=5回戦制)の第1戦で、フィリーズの強力打線を相手に大谷はスプリットを復活。カイル・シュワーバー、ブライス・ハーパーといったリーグを代表する強打者から三振を奪った。

 したがって、あす17日(日本時間18日)に行われるナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)第4戦で投手・大谷と対するブルワーズも、あらゆることに備えなければいけない。ただ、大谷が投げてくるあらゆる球種に備えるのは不可能だ。

 エンゼルス時代は幾度となく三振を奪ってきた決め球・スプリットは、ドジャース移籍後はほとんど見られなくなっていた。しかし、この大一番でスプリットは復活した。この背景には何があるのか。

 覚えておいてほしいのは、大谷がMLBに挑戦した当初、スプリットは最大の武器だったということだ。それだけではなく、球界有数の球種だったと言っても過言ではない。

 しかし、年を追うごとに大谷はスプリットをコントロールできなくなっていた。ストライクゾーンから遠く離れた、無駄な球が増えていった。そしてついに大谷はスプリットを封印した。

 代わりに、大谷はスイーパーを多用し、2022年と2023年は第1球種となった。そしてドジャースに移籍してトミージョン手術からのリハビリを終えた今季は、フォーシーう、スイーパー、新しいハードスライダー、カーブを決め球として用いた。投手のレパートリーが多様化の一途をたどる現代らしいアプローチだ。

 そして、ついにかつての決め球・スプリットは、全体の5%に満たない割合に減ってしまっていた。

大谷のシーズン別スプリット投球割合

・2018年: 22% ・2021年: 18% ・2022年: 12% ・2023年: 6% ・2025年: 5%

 そして、フィリーズ戦で突然、大谷はスプリットを復活させた。スプリットの投球割合は10%を超え、前述のように強打者から三振を奪った。

 そしてはるかに重要なのは、スプリットの使用割合が増えたことではなく、大谷のスプリットが良い状態に戻ったということだ。大谷のスプリットのクオリティは完全に復活していた。

 大谷のスプリットは、ハーパーとシュワーバーから4度の空振りを奪った。大谷がスプリットでこれだけ多くの空振りを奪った試合は、2023年6月27日に遡る。

 鍵となったのは、コントロールの復活だ。フィリーズ戦では大谷のスプリットはストライクゾーン下辺に見事に集まり、相手のスイングを誘いやすかった。

 これが大谷がスプリットを投げたいスポットだ。相手に追いかけさせるボール球であっても、無駄球にはならない。エンゼルス時代末期のように、ゾーン付近に散らばる球ではなく、ゾーン下辺に集中させることが重要だ。

 大谷が突如としてスプリットを増やした理由は何だろうか。

 それはフィリーズの左打者に対して、2巡目で目先を変えるためだった。スプリットは大谷にとって、左打者に有効な3つの球種の1つだ。残りの2つであるカーブとハードスライダーは、共に2025シーズン中に開発し、使用頻度を高めてきた。この2球種はスプリットと並んで、フィリーズ打線に効果を発揮した。

 たとえば、カーブは6月の投手復帰以降、8月までは一度も投げられていなかった。しかし、ポストシーズンに進出する頃にはカーブに自信を深め、NLDS第1戦では18%の割合で使用。そしてカーブでは7スイング中6度の空振り、5打席で4三振を奪った。

 つまり、ポストシーズンの大谷は、新しい技(カーブとスライダ)を用いる一方で、古い技(スプリット)を復活させたのだ。

 ポストシーズンの試合で、球界屈指の強打者たちを相手に、形を変える武器を繰り出す大谷の自信、そして成功は、ポストシーズンでも予測不可能な投球戦略を適応させ、その新しい戦略を即座に実行する彼の能力を物語っている。

 フィリーズが打者・大谷を攻めるプランを持っていたのと同じように、投手としての大谷はフィリーズの最強打者に対するプランを持っていた。

 ブルワーズとの一戦でも、大谷はプランを持って臨むことだろう。スプリットを使うかどうかはまだ分からないが、何かが起こる可能性はある。

2025.10.17 11:43 Friday

ドジャースがNLCS突破に王手 大谷は三塁打で先制のホームを踏む

【ドジャース3-1ブルワーズ】ミルウォーキー/ドジャースタジアム、10月16日(日本時間17日)

 ドジャースが2勝0敗で迎えたナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS=7回戦制)の第3戦は、またしてもドジャースが先発投手の好投によって勝利。先発タイラー・グラスナウが六回途中1失点、8三振の好投でブルワーズ打線を寄せ付けなかった。大谷翔平(31)は先頭打者として三塁打を放って先制点を演出。不振脱出の兆しを見せ、ワールドシリーズ進出に王手をかける一勝に貢献した。

 初回、ドジャースは先頭の大谷が三塁打。追い込まれてからスライダーを拾ってライト線に落とし、快足を飛ばして三塁まで到達した。続くベッツのタイムリー二塁打で大谷が先制のホームを踏み、この日もブルペンデーで挑んだブルワーズ投手陣の出鼻をくじいた。

 先発グラスナウは二回に同点に追いつかれたものの、そこから本調子を取り戻した。三、四回はすべてのアウトを三振で奪い、五回も三者凡退に抑えた。

 一方のブルワーズは2番手ジェイコブ・ミジオロウスキーが好投した。一回1死一、二塁のピンチでマウンドに上がり、まず2者連続三振でピンチを脱出すると、その後も三振ショーを展開。代名詞の100マイルを超える剛速球ではなく、スライダーを最も多く投じる配球で裏をかき、5回で9三振を奪った。

 しかし、ミジオロウスキーは球速が落ちた六回にドジャース打線に捕まった。1死から単打と四球でピンチを招き、エドマンにタイムリーを献上。痛恨の勝ち越し点を与え、さらに降板後に味方のエラーで再び失点し、ミジオロウスキーには2失点目(非自責点)が加わった。

 勝ち越したドジャースは、ブルペン陣も奮闘。無失点リレーでつなぎ、最後は佐々木朗希が九回をしめくくってセーブを挙げた。

2025.10.17 09:59 Friday

ブルージェイズの外野手サンタンデールがALCSロースター外れる

 16日(日本時間17日)、ブルージェイズは外野手アンソニー・サンタンデールをア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)のロースター(出場選手登録)から外すことを発表。代わりに外野手ジョーイ・ロパーフィードを登録した。規定により、ブルージェイズがワールドシリーズに進出した場合でも、サンタンデールはワールドシリーズのロースター入りは叶わない。

 サンタンデールのブルージェイズとしての1年目は不本意な形で幕を閉じた。左肩の炎症で夏場の試合の大半を欠場し、レギュラーシーズンは出場わずか54試合。打率.175、6本塁打と打撃不振に苦しみ、5年9250万ドル(約138億円)の大型契約の期待に応えられなかった。

 サンタンデールはレギュラーシーズン最終週とポストシーズンに間に合うよう懸命にリハビリを続けたが、ポストシーズンでも15打数3安打、長打なしと不振を脱出できなかった。さらにALCS第2戦からは背中の張りのために欠場していた。

 サンタンデールが来季の開幕に間に合うかは不透明だ。しかし、今のブルージェイズは1勝2敗と負け越しているALCSで勝利を収めなければならない。

 「もちろんサンタンデールでいてくれたらとは思っているが、それも試合の一部だし、シーズンのこの時期だから仕方ない。ここまで来るのにサンタンデールは本当に苦労してきた。次の選手が立ち上がる番だ。マリナーズは彼がいなくても落ち込むことはないだろう。正直言って、喜んでいるはずだ」と、第5戦の先発投手ケビン・ゴーズマンは語る。

 代替登録されたロパーフィードは26歳の外野手。菊地雄星(現エンゼルス)とのトレードでアストロズからブルージェイズに加入し、今季は41試合で打率.333、OPS.879の好成績を残した。外野3ポジションに加え、一塁も守れる汎用性も魅力だ。

 さらに準備を怠らない姿勢はコーチ陣から高評価。MLB昇格時は、選手として可能な限りの打撃練習をこなし、出場に備えていた。

 サンタンデールの代替としては、正遊撃手ボー・ビシェットも検討された。レギュラーシーズンではブルージェイズ打線の中軸を担いながら、ポストシーズンを左膝の負傷で欠場しているビシェットは、ALCSのロースター入りを目指したが落選。サンタンデールの代役として登録される可能性もあったが、まだ左膝が完治していなかった。

2025.10.17 09:25 Friday

ALCS第4戦に先発するシャーザー 6球団でのPS出場は最多タイ記録に

 マリナーズとのアメリカン・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)第3戦に勝利し、シリーズの対戦成績を1勝2敗としたブルージェイズは、引き続き敵地T-モバイルパークで行われる第4戦にマックス・シャーザーが先発する。

 メジャー通算221勝の実績を誇る41歳のシャーザーは、サイ・ヤング賞に3度輝き、ナショナルズ時代の2019年とレンジャーズ時代の2023年にはワールドシリーズ制覇。昨季までに所属した6球団のうち、ダイヤモンドバックスを除く5球団でポストシーズンの舞台を経験した。

 そして、ブルージェイズに加入した今季は17度の先発登板で5勝5敗、防御率5.19と自己最悪の成績に終わったものの、チームは10年ぶりの地区優勝を達成してポストシーズン進出。ALCS第4戦に先発すれば、シャーザーにとって6球団目のポストシーズン出場となる。

 6球団でのポストシーズン出場はメジャータイ記録であり、過去にケニー・ロフトン、デービッド・ウェルズ、フェルナンド・ロドニー、ジョシュ・ドナルドソンの4人しか達成していない。シャーザーが5人目となるが、そのうちワールドシリーズ制覇を経験したのはウェルズ、ロドニー、シャーザーの3人だけ、複数回のワールドシリーズ制覇となれば、ウェルズとシャーザーだけだ。

 勝てばシリーズの対戦成績を2勝2敗のタイに持ち込むことができる第4戦。将来のアメリカ野球殿堂入りが確実視される右腕は、チームを勝利に導くことができるだろうか。

 なお、5球団でポストシーズンに出場した選手は、シャーザーのほかに20人いる。その顔ぶれは以下の通り。

ドン・ベイラー カルロス・ベルトラン ボビー・ボニーヤ チャド・ブラッドフォード エリス・バークス オーランド・カブレラ アロルディス・チャップマン オクタビオ・ドテル アラン・エンブリー カーティス・グランダーソン リッキー・ヘンダーソン ジェイソン・ヘイワード ダニー・ジャクソン クレイグ・キンブレル J・D・マルティネス パット・ニーシェック ジョン・オルルド トミー・ファム レジー・サンダース ジム・トーミー

2025.10.16 13:21 Thursday

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