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歴史的快投の新人イェサベージ ベテランも舌を巻く22歳がブルージェイズをあと1勝に導く
【ドジャース1-6ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月29日(日本時間30日)
ブルージェイズのベテラン選手たちがトレイ・イェサベージの名前を聞いたのは、2025シーズンもかなり進んだ頃だった。イェサベージのような立ち位置の選手は、通常は球団の将来を担う存在と考えられる。そして、目先の勝利を目指すMLBチームにとってそういった選手は、トレードデッドラインで重要な選手を獲得するための対価に過ぎない。
しかし、ワールドシリーズ制覇まであと1勝に迫るア・リーグ王者は、今やトレイ・イェサベージの名前を間違いなく知っている。そして球界で最も資金力のあるチームも、そしてその他のチームも。
ブルージェイズはワールドシリーズ第5戦に、イェサベージの快投で勝利。打線もデービス・シュナイダーとブラディミール・ゲレーロJr.の先頭からの2者連続本塁打などもあり、ドジャースを6-1で破り、世界一に王手をかけた。
1Aでシーズンをスタートし、9月15日に3Aバッファローからブルージェイズに昇格。22歳のイェサベージは今やチームを優勝の瀬戸際へと導いている。そのシンデレラストーリーの最新にして最高の場面について、 「ハリウッドでもこれほど素晴らしいものは作れなかっただろうね」と、イェサベージは語る。
最大7戦のシリーズで2勝2敗のタイとなった場合、第5戦の勝者は68回中48回(67.6%)でシリーズを制している。現行のフォーマットでは、アウェイで第5戦に勝利して3勝2敗のリードを奪い、その後ホームに戻って第6戦以降に挑んだチームは、27回中20回(74.1%)シリーズを制している。
イェサベージは7イニングを投げ、わずか1失点、12三振(ワールドシリーズにおける新人記録)、無四球と好投。ワールドシリーズにおいて、これほど多くの三振を奪いながら無四球だったのはイェサベージが初めてであり、しかもMLB8戦目の先発、そしてポストシーズン初のアウェイでの先発で達成した。
「イェサベージは本当に落ち着いている。彼にとって、この瞬間は大したことではない。あの若さで信じられないくらいだ。だから、彼を指導し、育ててくれた人に敬意を表するよ。プレッシャーの中でも本当に、本当に冷静なんだ。信じられないよ」と、ベテラン右腕のクリス・バシットは語った。
しかし、ブルージェイズが過去2日間でドジャースに対して成し遂げたことも信じられないことだ。
ブルージェイズは第3戦、延長18回の壮絶な死闘に破れ、疲弊した。それは球団を壊滅させるほどの敗北であり、隅っこで丸まって親指をしゃぶりたくなるような苦痛だった。
しかし、第4、5戦は見事に立ち直り、ドジャースを圧倒。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、「気分は良くない。ブルージェイズの選手たちがヒットを打ったり、球団を前進させたりする方法を模索しているのは明らかだ。だが、われわれはそれをうまくやっていない」と語る。
第4、5戦では、ブルージェイズの球団の顔であるゲレーロが2本塁打を放ち、投手陣はドジャース打線を.161(62打数10安打)に抑え、観客を完全に静まり返らせた。
特に第5戦では、あっという間に主導権を握った。多くのファンがロサンゼルスならではの渋滞に巻き込まれ、まだドジャースタジアムに入れてもいない時間帯に、2本の本塁打をドジャース先発のブレイク・スネルに浴びせた。
負傷したジョージ・スプリンガーに代わってリードオフを務めたシュナイダーとゲレーロJr.は、内角のフォーシームを同じようなスイングでとらえた。わずか3球、本塁打が2本、ブルージェイズは2-0とリードした。
「ブルージェイズ打線は僕を攻略できたわけではなかったと思う。試合の初球、内角高めの直球。98マイル(約157.7キロ)出ていた。不運だった。そしてそれからブラッド(ゲレーロJr.)。あれはただの悪いボールだった。それ以降は順調に投げられたと思う」と、スネルは振り返った。
しかし、本当にただの不運だったのか。シュナイダーはブルージェイズはスネルの直球を待っていたと言う。 「第1戦では直球がなかなか定まらなかったけど、それでもチェンジアップは効果的に投げていた。だから直球でストライクを狙ってから、そこから緩急をつけてくると予想した」
これは他に類を見ない奇襲だった。ワールドシリーズで試合開始直後に連続ホームランを打ったことはかつてなかったからだ(ポストシーズンの試合開始直後に連続ホームランを打ったのは、他に2002年のアスレチックスが地区シリーズで放ったものだけである)。ブルージェイズが試合開始直後に連続本塁打を打ったことも、あるいはドジャースが打たれたことも、そしてスネルが打たれたこともなかった。
援護をもらったイェサベージは好調だった。第1戦ではスプリットの感覚をつかむのに苦労したが、今回は問題なかった。三回にはポストシーズン男として知られるキケ・ヘルナンデスに本塁打を浴びたが、それでも試合を支配し続けた。ポストシーズンで新人が複数回の登板で2桁三振を記録したのは史上初、ワールドシリーズで5イニング目までに2桁三振を奪ったのはこの試合を観戦していたドジャースのレジェンド、サンディ・コーファックス以来2人目だった。
「早めにゾーンに投げて、自分のカウントにして、追い込んでから好きなように投げるだけだ」と、イェサベージは語る。
イェサベージのチームメートの中には、殿堂入り間違いなしのキャリアを送る選手もいるが、このパフォーマンスに畏敬の念を抱いていた。
「メジャーリーグに来た時のことを思い出すよ。2008年のシーズンには、ワールドシリーズに投げるなんて想像もできなかった。本当にクレイジーな話だったよ…イェサベージは本物だ。今の彼は誰とでも戦える」と、マックス・シャーザーは語る。
そんなイェサベージにはある楽しみがある。メジャー昇格がシーズン終盤だったため、給料はこれまで多くはなかった。しかし、ポストシーズンに進出したことで、配当金をもらえることになった。 「プレーオフの配当金はいつ入ってくるにせよ嬉しいものだろうね」と、イェサベージ。
チャンピオンリングも良いものだろう。
2025.10.30 16:42 Thursday
WS第5戦から何を学んだか 第6戦の見どころは
【ドジャース1-6ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月29日(日本時間30日)
勝った方が王手をかけるワールドシリーズ第5戦は、トレイ・イェサベージが12三振の快投で、ブルージェイズを勝利に導いた。ドジャース有利の下馬評を覆し、ブルージェイズは世界一にあと1勝に迫った。31日(日本時間11月1日)に行われる第6戦を前に、第5戦の注目ポイントを抑えておこう。
ブルージェイズはドジャースの先発投手陣を追い込んでいる。ドジャースは最大の試練に直面。
第5戦では、試合開始からわずか3球でブルージェイズは2-0とリードしていた。デービス・シュナイダーがブレイク・スネルから初球を本塁打、ブラディミール・ゲレーロJr.が2球目を本塁打としていた。ワールドシリーズで先頭から2者連続本塁打は史上初だった。
「それが試合前に決めたアプローチだった。打つ準備を整えること」、とジョン・シュナイダー監督は振り返る。
ブルージェイズ打線はまたしてもハイレベルな先発投手を平凡な投手に見せてしまった。ブルージェイズ打線はこの日七回途中5失点のスネル、大谷翔平、タイラー・グラスナウ、マックス・フリード、カルロス・ロドン、そしてマリナーズの先発投手陣に対しても、同じことをしてきた。
しかし、第6戦で待ち受けるのは、今ポストシーズン最高の投手である山本由伸。ロジャースセンターで行われた第2戦を含め、2試合連続で完投中だ。 「いいチームだなと思いましたし、最高の準備をして、100%の自分で挑めたらなと思います」と山本は意気込みを語る。
もしブルージェイズが山本を攻略できるならば、あるいは少なくとも序盤から彼を苦しめられれば、32年ぶりのワールドシリーズ制覇が見えてくる。しかし、その難易度は高いだろう。
イェサベージが大舞台で強心臓を発揮
イェサベージが第5戦の先発マウンドに立つことに、多少の不安を感じたのも無理はなかった。第1戦は不安定な先発でわずか4イニングしか投げられず、それも慣れ親しんだロジャースセンターでのことだった。今回は、敵地ドジャースタジアムに足を踏み入れなければならなかった。
しかし、イェサベージは12三振と快投。代名詞のスプリットの投球割合が少なかった第1戦と比べ、スプリットとスライダーのコンビネーションを生かし、21度の空振りを奪った。ワールドシリーズでは新人の1試合最多三振であり、無四球で12三振は史上最多だった。
「あのステージと彼の記録を考えると、歴史的な出来事だ。スライダーとスプリットは衝撃的だった」と、シュナイダー監督も称賛。しかし、22歳右腕は既に次を見据えている。 「精神的には、第6戦に向けて準備は万端だ。でも、とにかく次に何が起こっても準備はできている。もし次があるならの話だけどね」
ドジャースの実力を試すときが来た
今ポストシーズンで初めて、ドジャースは窮地に立たされている。直近18イニングで得点はわずか3と、打線が湿っている(しかも、第3戦では延長9イニングでわずか1得点しか挙げられていない)。
第6戦は山本が、第7戦はグラスナウもしくは大谷を起用する可能性もあるため、理論上はドジャースが投手マッチアップでじゃ優位に立っている。しかし、攻撃陣が目覚めなければ、それも意味をなさないかもしれない。 デーブ・ロバーツ監督は言う。 「とにかくフレッシュな状態で臨むしかない。この中心メンバーで敗退が決まる試合を何度も戦ってきた。勝つ方法を見つけなければならない。それだけだ」
ドジャースにとって、昨季のポストシーズンにおける決定的な瞬間は、地区シリーズ(NLDS)でパドレスに1勝2敗とリードされた時だった。サンディエゴの厳しい環境の中、第4戦を力強い勝利で取り返し、ロサンゼルスでの第5戦にも勝利した。今季もそれを再現できるか。再現するならば、ドジャースは2試合ともアウェイで勝利しなければいけない。
2025.10.30 14:45 Thursday
ブルージェイズが世界一に王手 新人イェサベージが歴史的快投
【ドジャース1-6ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月29日(日本時間30日)
勝った方が世界一に王手をかけるワールドシリーズ第6戦は、ブルージェイズが勝利。先発の22歳トレイ・イェサベージが7回1失点、12三振、無四球の記録的好投でチームを牽引し、打線も6点を奪って援護した。ブルージェイズは3勝2敗とリードし、世界一に王手をかけた。
初回、ブルージェイズは先頭のデービス・シュナイダーが初球をとらえて先制ソロ。さらに続くブラディミール・ゲレーロJr.も2球目をとらえてソロを放ち、ドジャース先発のブレイク・スネルに対してわずか3球で2点を奪った。ゲレーロJr.は今ポストシーズンで8本目の本塁打で大谷翔平と並び、ポストシーズン本塁打記録の10本に迫った。
しかし三回、ブルージェイズ先発のトレイ・イェサベージに対し、ドジャースも反撃。1人の走者も許さず、5者連続三振を奪っていた22歳右腕から、キケ・ヘルナンデスが本塁打を放ち、1点差に迫った。一方のブルージェイズもすぐに反撃し、四回にドールトン・バーショの三塁打から犠牲フライで1点を追加し、再びリードを広げた。
ブルージェイズが3-1とリードしたまま中盤を迎え、試合は両先発の好投で均衡状態に陥った。
しかし七回、ついにブルージェイズがスネルをとらえた。先頭のアディソン・バージャーが安打を放ち、暴投で二塁へ進塁。1死後に四球でチャンスを広げ、再び暴投で1死一、三塁となった。
スネルがシュナイダーを三振に仕留めて2死二、三塁となり、ゲレーロJr.を迎える場面で、ドジャースは2番手エドガード・エンリケスに継投。エンリケスは暴投で三塁走者をかえし(ゲレーロJr.は四球)、さらに続くボー・ビシェットにタイムリーを浴びた。ドジャースの継投策が失敗し、ブルージェイズは貴重な追加点を入れた。
援護点をもらったイェサベージはなおも快投を続けた。自己最長の7回(104球)を投げ、1失点、12三振、無四球、3安打と、ドジャース打線を圧倒。1つのポストシーズンで複数回の2桁三振を記録した新人はイェサベージが史上初、ワールドシリーズにおいて最初の5イニングで2桁三振を奪ったのは1963年のサンディ・コーファックス(ドジャース)以来2人目、さらに12三振でワールドシリーズの1試合における新人奪三振記録を更新するなど、まさに歴史的なパフォーマンスだった。
ブルージェイズは八回にも安打と暴投を絡めて追加点を入れ、6-1とリードを広げ、そのまま逃げ切り。第5戦に勝利し、3勝2敗で世界一に王手をかけた。移動日を挟んで31日(日本時間11月1日)に行われる第6戦では、第2戦で投手戦を演じたケビン・ゴーズマンと山本由伸が再び投げ合う予定だ。
2025.10.30 12:53 Thursday
ドジャースがWS第3戦に勝利 延長18回の死闘を制す
【ドジャース6×-5ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月27日(日本時間28日)
ドジャース、ブルージェイズともに1勝1敗で迎えたワールドシリーズ第3戦は、延長13回に及ぶ熱戦をドジャースが制した。ドジャースは大谷翔平(31)の4長打の活躍で5-5の同点に追いつき、さらに佐々木朗希(23)の好リリーフもあって試合は延長に突入。両チームともに決死の継投でピンチをしのぎ続け、延長18回についにフレディー・フリーマンがサヨナラ本塁打で試合を決めた。
二回、テオスカー・ヘルナンデスがブルージェイズ先発のマックス・シャーザーをとらえ、先制ソロを放った。そして三回には大谷翔平も今ポストシーズン7号のソロで続き、ドジャースが序盤で2-0とリードした。
しかし、四回にブルージェイズ打線が反撃。ドジャース先発のタイラー・グラスナウに対して、四球と失策で走者を出し、アレハンドロ・カークが逆転3ランを放った。なおもブルージェイズは連打でチャンスを作り、犠牲フライで4点目を加えた。
五回からは両軍ともに途中で先発を見切り、ブルペン勝負へと以降。ブルージェイズはシャーザーが1死一塁で大谷を迎える場面で、左腕のフルハーティを投入した。得意のスイーパーで攻めるフルハーティに対し、大谷はフルカウントからの6球目を詰まりながら左中間に飛ばし、タイムリー二塁打。さらに後続のフリーマンのタイムリーで大谷が生還し、ドジャースは4-4の同点に追いついた。
その後も一進一退の攻防が続いた。七回にブルージェイズは、ビシェットのタイムリーでゲレーロJr.が激走し、一塁から生還して勝ち越し。しかし直後のドジャースの攻撃では、大谷が今ポストシーズン8号の本塁打を放ち、ドジャースがすかさず同点に追いついた。
5-5で迎えた八回、ドジャースは1死一、二塁のピンチを背負い、ここで佐々木朗希を投入。佐々木は2本の内野ゴロでピンチを切り抜け、九回も走者を出しながら無失点に抑えた。
直後の九回の攻撃では、ドジャースは1死走者なしで大谷が打席に入った。しかし、ブルージェイズは申告敬遠を選択。ワールドシリーズにおいて走者なしの場面で敬遠された打者は、敬遠が公式記録となった1955年以降ではアルバート・プホルス(2011年)についで2人目となった。大谷はすかさず盗塁を試みたが、捕手カークの好送球と二塁手カイナー=ファレファの執念のタッチでアウトとなった。ドジャースは九回も無得点に終わり、試合は延長戦へと突入する。
延長11回、ブルージェイズは2死走者なしから再び大谷を申告敬遠。続くベッツが安打でつないだが、フリーマンが外野フライに倒れて無得点に終わった。
続く12回のブルージェイズの攻撃では、ブルージェイズは控え野手全員を使い切る執念の攻撃で満塁のチャンスを演出する。そして、ドジャースはこの2死満塁のピンチでクレイトン・カーショウを投入。カーショウはネイサン・ルークスとの8球に及ぶ打席を制し、二塁ゴロで満塁のピンチを脱した。
ドジャースは延長15回から登板したブルペン最後の投手ウィル・クラインが奮闘。キャリア通して初めて4イニングを投げ、ブルージェイズ打線をわずか1安打に封じ込め、18回は2死二、三塁のピンチを三振で脱した。
そして直後の18回の攻撃で、先頭のフリーマンがバックスクリーンへサヨナラ本塁打。6時間超に及び、両軍合わせて19人の投手、25人の野手を注ぎ込んだ死闘はドジャースに軍配が上がった。ドジャースは2勝1敗でブルージェイズをリードし、あすの第4戦を迎える。
大谷はまたしても歴史的パフォーマンスを披露。第1打席は二塁打、第2打席はポストシーズン7号ソロ、第3打席はタイムリー二塁打、第4打席はポストシーズン8号ソロ、第5、6、7、8打席は申告敬遠で、4打数4安打3打点だった。ワールドシリーズで1試合4長打は1906年のフランク・イズベル以来、史上2人目の快挙。1度のポストシーズンで3度のマルチ本塁打は史上初。さらに1度のポストシーズンで12塁打以上を複数回記録したのはベーブ・ルース以来。そして、ドジャースのポストシーズン本塁打記録の8本(コリー・シーガー)に並び、MLB記録である10本にも迫った。
2025.10.28 17:09 Tuesday
パドレスの今オフの優先事項5選 最重要は「適切な監督」を見つけること
サンディエゴでは忙しいオフシーズンが始まっている。主力選手の多くは2026年シーズンも契約が残っており、引き続き充実した戦力で戦える見込みだが、オフシーズンに取り組まなければならないエリアも複数ある。ここでは今オフのパドレスにとって最も重要だと思われる点を、5位から1位まで主観的なランキングで紹介していこう。
5位:ベンチの選手層
フレディ・ファーミンは正捕手の座を固めた。ラモン・ローレアーノの球団オプション(=球団側が選択権を持つ契約オプション)は球団側に有利な内容となっており、正左翼手として来季もチームに残る可能性が高い。ギャビン・シーツは少なくとも強力なプラトーン要員として、チーム内で居場所を得た。パドレスは過去10カ月間の動きによって、来季のオフェンス面のニーズをある程度、満たしてきた。
しかし、こうした選手たちに続く「ベンチ」の枠は空いている。エリアス・ディアスとホセ・イグレシアスはフリーエージェント(FA)になる。つまり、捕手と内野手の控えが必要になるということだ。パドレスは夏のトレードでブルージェイズからウィル・ワグナーを獲得したが、それでも控え内野手の補強は必要だろう。
ブライス・ジョンソンは来季も控え外野手としてロースターに入る可能性がある。しかし、パドレスはそれ以上に強力な控え野手が必要だ。言い換えれば、パドレスは「2026年版のギャビン・シーツ」を見つける必要があるのだ。
4位:先発投手の選手層
ローテーションについては、のちほど改めて言及するが、まずはローテーションの後ろの部分から見ていこう。ランディ・バスケスは自分のポジションを勝ち取った。夏の間、素晴らしい活躍を見せたが、各種の指標は今一つだった。通常、各種の指標が悪ければ、成績は悪化していくものだが、バスケスに関しては逆のことが起こった。空振りを奪えるようになり、与四球も減少。主力投手になれる可能性を秘めていることを示した。
しかし、バスケス以外の層は薄い。ダルビッシュ有の今後は不透明で、ジョー・マスグローブもトミー・ジョン手術明けであり、先発ローテーションの中心部分に不安を残していることを考えると、今まで以上に先発投手の層を厚くしておくことが必要になるだろう。
問題は、夏場のトレードでメジャーレベルの投手を大量にトレードで放出した一方、メイソン・ミラーとともにアスレチックスから移ってきたJP・シアーズが移籍後、苦戦を強いられたことだ。先発投手の層に厚みを加える戦力として、複数の投手を獲得することが必要になりそうだ。
3位:長打力
パドレスは2026年シーズンに本塁打数でトップに立つ必要はない。しかし、2025年シーズンと同じようにメジャー28位で終わることは許されない。最も重要なのは、フェルナンド・タティスJr.やジャクソン・メリルといった現有戦力のパワーポテンシャルを最大限に引き出すことだろう。しかし、外部からの補強に動くのも悪くない。
言い換えれば、ルイス・アライズはパドレスが追いかける必要のないFA選手だ。一塁もしくは指名打者(DH)の枠が空くものの、ここにはアライズのようなアベレージヒッターではなく、パワーヒッターを補強するのが適切だろう。
A・J・プレラー編成本部長は「得点力を上げる方法はたくさんある。本塁打を増やすのは、もちろん素晴らしいことだ。我々はそれができると思うし、本塁打を増やせるようにしていきたいと考えている」と語る一方、「しかし、重要なのは、粘り強い打席と本塁打を打つ打席のバランス、つまり一貫して攻撃的なプレッシャーを与え続けることだと思う。これは我々が常に話していることだ。今オフは、その点をもう少し改善する方法を見つけなければならない」と本塁打の増加だけに注力することに関して慎重な姿勢を見せた。
2位:エース級の先発投手
過去2シーズンで合計110試合に先発したディラン・シースとマイケル・キングがFAになる。ニック・ピベッタは先発の柱として来季も残り、マスグローブも手術から戻ってくるが、シースとキングが担っていた多くのイニングをカバーしなければならない。
ピベッタと交わした契約に重要性は、いくら強調してもしすぎることはない。今年2月、スプリングトレーニング初日に契約し、2025年シーズン全体を通して先発ローテーションを安定させた。しかも、その契約内容は扱いやすいものだった。
端的に言えば、もしパドレスがシースやキングを引き留められないなら、「次のニック・ピベッタ」を見つける必要がある。そして、シースとキングがチームを去る可能性は高いと思われる。
1位:適切な監督
ロースターに関する様々な疑問はさておき、現有戦力は依然として大きな可能性を秘めている。適切な補強を行うことができれば、ポストシーズン進出を狙えるチームになるだろう。そして、適切な人物が指揮を取れば、ワールドシリーズ進出に相応しいチームになるかもしれない。
マイク・シルト監督の退任により、パドレスは新たな監督探しを強いられている。関係者によると、新監督決定に向けたプロセスは順調に進んでいるようだ。シルト政権下のパドレスは、球団史上初となる2年連続90勝を達成した。
新監督は、シルト監督が築いた土台に新たな戦力を築き上げ、10月の戦いで次のステップを踏み出す必要がある。今オフのパドレスにとって、適切な監督を見つけ出すことは、おそらく最も重要な動きとなるだろう。
2025.10.27 10:55 Monday
メッツのオフシーズンの計画は? 番記者がファンからの質問に回答
あと1週間もすれば、ワールドシリーズが終了する。オフシーズンのスタートが迫っており、フリーエージェント(FA)やトレードといったオフシーズンの話題に大きな注目が集まることになるだろう。
実際にオフシーズンが始まるのを待つ間、ソーシャルメディアで寄せられたメッツに関する質問に回答していこう。なお、一部の質問は長さや分かりやすさを考慮して編集されている。
【Q】来季メッツに残る可能性が高いのはピート・アロンソとエドウィン・ディアスのどちらか?
【A】どちらの選手についても残留の可能性は否定しない。両者とも傑出した才能を持っており、それに匹敵する選手はFA市場にほとんどいないからだ。たとえば、もしメッツがアロンソを引き留めない場合、アロンソの代わりを見つけるのは難しく、よりよいチームを作ることも困難になる。同じことがディアスにも言える。
質問に答えるとすれば、アロンソのほうが残留の可能性は高いと思う。アロンソは今オフ、クオリファイングオファーの対象とならないため、FA市場で好条件のオファーを得られる可能性もあるが、ほかのどのチームよりもメッツのほうが相性がいいと断言できる。もちろん、デービッド・スターンズ編成本部長は、避けられるのであれば、アロンソに5~7年の長期契約を与えることは回避したいと考えるだろう。しかし、アロンソの能力、メッツのロースターの穴、そして球団におけるアロンソの重要性といったすべての要素を考慮すると、メッツとアロンソが互恵的な合意に至らないとは考えにくい。
同じ状況にあるディアスと比較してみよう。ディアスを引き留めず、別のクローザーを獲得した場合、メッツが弱体化するのは事実だろう。しかし、アロンソと比べると、ディアスはトレード市場にもFA市場にも代役の選択肢は多い。また、リリーフ投手を必要としているチームは多く、アロンソと同様に、ディアスを欲しがるチームも多いはずだ。さらに、スターンズ編成本部長はリリーフ投手に大金を投じたことがなく、来季で32歳になるディアスが過去5年間で大活躍したのは2シーズンだけという現実もある。1億ドル近い資金を複数の選手に分散させるのではなく、1人のリリーフ投手に投入するのは、スターンズ編成本部長らしくないやり方だ。
とはいえ、ディアスは「ただのリリーフ投手」ではない。ディアスの残留があり得ないと言うつもりもない。ロースターにおける重要性を考えれば、ディアスが残留する可能性も十分にあるだろう。しかし、アロンソのほうが残留の可能性は高いと思う。
【Q】タイガースのタリック・スクーバルをトレードで獲得する可能性は?
【A】これはメッツのファーム組織がいかに進化したかを示すという点だけでも興味深い。昨オフ、メッツはギャレット・クローシェをトレードで獲得するだけの対価を用意できないと考えられており、実際にクローシェはレッドソックスへ移籍した。しかし、今オフのメッツは、スクーバル獲得に意欲的であるだけでなく、まもなく2度目のサイ・ヤング賞を受賞する左腕を獲得できるだけの対価を用意できる数少ないチームの1つであると考えられているのだ。
もちろん、スクーバル獲得に向けては多くの障害が立ちはだかる。素晴らしい有望株を持っているのはメッツだけではない。また、トレード市場での競争の場合、メッツの資金力は大きな武器とはならない。さらに、タイガースがスクーバル放出に動くという保証もない。ただし、もしタイガースがスクーバルを放出するのであれば、メッツが獲得できる可能性があるのは事実だ。
今夏のトレード期限の時点では、メッツは先発投手の補強のために有望株を放出することにほとんど興味を示さなかった。しかし、結果的には先発投手の駒不足により、ポストシーズン進出を逃すことになった。スターンズ編成本部長はそのことを自覚している。「何か違うこと」をしなければならないと分かっている。「何か違うこと」とは、有望株のカーソン・ベンジやジェット・ウィリアムスを使って1年後にFAとなるスクーバルを獲得することを意味するのだろうか。そうかもしれないし、そうではないかもしれない。重要なのは、メッツがスクーバル獲得を望むのであれば、それが実現する可能性があるということだ。
【Q】ブレット・ベイティは今季、必要不可欠な戦力であることを証明したのか。それとも、まだ何かを証明しなければならない段階なのか。
【A】今季のベイティの成長を否定するのは難しい。7月上旬の時点では打率.219、OPS.664と低迷していたが、7月4日からレギュラーシーズン終了まで、213打席で打率.292、出塁率.357、長打率.479、OPS.836の好成績をマークした。さらに、弱点とみられていた三塁守備を、シーズンを通して強みへと変えていった。メッツは三塁以外の部分に弱点を抱えており、三塁にはベイティ以外にも期待の若手選手が揃っているため、三塁手の補強に動く可能性は低いと思う。
2025.10.27 09:33 Monday








