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メッツのオフシーズンの計画は? 番記者がファンからの質問に回答
あと1週間もすれば、ワールドシリーズが終了する。オフシーズンのスタートが迫っており、フリーエージェント(FA)やトレードといったオフシーズンの話題に大きな注目が集まることになるだろう。
実際にオフシーズンが始まるのを待つ間、ソーシャルメディアで寄せられたメッツに関する質問に回答していこう。なお、一部の質問は長さや分かりやすさを考慮して編集されている。
【Q】来季メッツに残る可能性が高いのはピート・アロンソとエドウィン・ディアスのどちらか?
【A】どちらの選手についても残留の可能性は否定しない。両者とも傑出した才能を持っており、それに匹敵する選手はFA市場にほとんどいないからだ。たとえば、もしメッツがアロンソを引き留めない場合、アロンソの代わりを見つけるのは難しく、よりよいチームを作ることも困難になる。同じことがディアスにも言える。
質問に答えるとすれば、アロンソのほうが残留の可能性は高いと思う。アロンソは今オフ、クオリファイングオファーの対象とならないため、FA市場で好条件のオファーを得られる可能性もあるが、ほかのどのチームよりもメッツのほうが相性がいいと断言できる。もちろん、デービッド・スターンズ編成本部長は、避けられるのであれば、アロンソに5~7年の長期契約を与えることは回避したいと考えるだろう。しかし、アロンソの能力、メッツのロースターの穴、そして球団におけるアロンソの重要性といったすべての要素を考慮すると、メッツとアロンソが互恵的な合意に至らないとは考えにくい。
同じ状況にあるディアスと比較してみよう。ディアスを引き留めず、別のクローザーを獲得した場合、メッツが弱体化するのは事実だろう。しかし、アロンソと比べると、ディアスはトレード市場にもFA市場にも代役の選択肢は多い。また、リリーフ投手を必要としているチームは多く、アロンソと同様に、ディアスを欲しがるチームも多いはずだ。さらに、スターンズ編成本部長はリリーフ投手に大金を投じたことがなく、来季で32歳になるディアスが過去5年間で大活躍したのは2シーズンだけという現実もある。1億ドル近い資金を複数の選手に分散させるのではなく、1人のリリーフ投手に投入するのは、スターンズ編成本部長らしくないやり方だ。
とはいえ、ディアスは「ただのリリーフ投手」ではない。ディアスの残留があり得ないと言うつもりもない。ロースターにおける重要性を考えれば、ディアスが残留する可能性も十分にあるだろう。しかし、アロンソのほうが残留の可能性は高いと思う。
【Q】タイガースのタリック・スクーバルをトレードで獲得する可能性は?
【A】これはメッツのファーム組織がいかに進化したかを示すという点だけでも興味深い。昨オフ、メッツはギャレット・クローシェをトレードで獲得するだけの対価を用意できないと考えられており、実際にクローシェはレッドソックスへ移籍した。しかし、今オフのメッツは、スクーバル獲得に意欲的であるだけでなく、まもなく2度目のサイ・ヤング賞を受賞する左腕を獲得できるだけの対価を用意できる数少ないチームの1つであると考えられているのだ。
もちろん、スクーバル獲得に向けては多くの障害が立ちはだかる。素晴らしい有望株を持っているのはメッツだけではない。また、トレード市場での競争の場合、メッツの資金力は大きな武器とはならない。さらに、タイガースがスクーバル放出に動くという保証もない。ただし、もしタイガースがスクーバルを放出するのであれば、メッツが獲得できる可能性があるのは事実だ。
今夏のトレード期限の時点では、メッツは先発投手の補強のために有望株を放出することにほとんど興味を示さなかった。しかし、結果的には先発投手の駒不足により、ポストシーズン進出を逃すことになった。スターンズ編成本部長はそのことを自覚している。「何か違うこと」をしなければならないと分かっている。「何か違うこと」とは、有望株のカーソン・ベンジやジェット・ウィリアムスを使って1年後にFAとなるスクーバルを獲得することを意味するのだろうか。そうかもしれないし、そうではないかもしれない。重要なのは、メッツがスクーバル獲得を望むのであれば、それが実現する可能性があるということだ。
【Q】ブレット・ベイティは今季、必要不可欠な戦力であることを証明したのか。それとも、まだ何かを証明しなければならない段階なのか。
【A】今季のベイティの成長を否定するのは難しい。7月上旬の時点では打率.219、OPS.664と低迷していたが、7月4日からレギュラーシーズン終了まで、213打席で打率.292、出塁率.357、長打率.479、OPS.836の好成績をマークした。さらに、弱点とみられていた三塁守備を、シーズンを通して強みへと変えていった。メッツは三塁以外の部分に弱点を抱えており、三塁にはベイティ以外にも期待の若手選手が揃っているため、三塁手の補強に動く可能性は低いと思う。
2025.10.27 09:33 Monday
フィリーズ・ウィーラーが順調に回復中 「痛みは全くない」
フィリーズは、先月に胸郭出口症候群の手術を受けたザック・ウィーラーの回復状況について、明るいニュースを伝えた。
デーブ・ドンブロウスキー編成本部長は、23日(日本時間24日)にポッドキャスト番組「ファウルテリトリー」に出演した際、その週にシチズンズバンクパークでウィーラーに会ったことを明かした。ウィーラーは術後のリハビリを行うため、今オフはフィラデルフィアで過ごす予定になっているという。
ドンブロウスキー編成本部長は「彼は全く痛みを感じていない」と番組内でコメント。「状態はとてもいいと話していたよ。これで状況は明らかになったはずだ。後遺症もないみたいだし、再発する心配もなさそうだ。よって、彼は今、いい状態にあると言っていいだろう。復帰時期についてだが、我々は彼の準備が整うまでに6~8カ月かかると予想している。ただし、彼は非常に才能豊かなアスリートだ。才能と遺伝子において、まさに一流だ。その点ではブライス・ハーパーに似ている。予想よりも早く回復し、来季の開幕に間に合うことを期待しているよ。ひとまず現時点では、彼は非常にいい状態だ」と早期復帰にも期待を寄せた。
もしウィーラーが来季の開幕に間に合わない場合、フィリーズの開幕ローテーションはクリストファー・サンチェス、ヘスス・ルザード、アーロン・ノラ、タイワン・ウォーカー、そして有望株のアンドリュー・ペインターによって構成される可能性がある。
レンジャー・スアレスはフリーエージェント(FA)になる。フィリーズはスアレスとの再契約を望んでいるが、カイル・シュワーバー、J・T・リアルミュート、スアレスの全員と再契約するのは難しいだろう。
ほかの先発投手では、今季途中に加入したウォーカー・ビューラーもワールドシリーズ終了後にFAとなる。
2025.10.27 08:37 Monday
「脱帽だ」 完投の山本にブルージェイズが敬意を示す
【ブルージェイズ1-5ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月25日(日本時間26日)
ブルージェイズ打線の大きな特徴は、打席での粘りだ。相手投手を疲労困憊させて早めの降板に追い込み、投手時を苦しめてきた。
しかし、ワールドシリーズ第2戦では、ポストシーズンでほぼ敵無しだったブルージェイズ打線は、ついに彼らを完全に封じ込める投手に遭遇した。山本由伸はブルージェイズ打線を1失点完投で圧倒し、第2戦でドジャースに勝利をもたらした。シリーズは1勝1敗のタイに持ち込まれた。
山本は2001年にカート・シリングが3試合連続で完投して以来、ポストシーズンで2試合連続完投を達成した初の投手となった。効果的な6球種を織り交ぜ、ブルージェイズ打線を幻惑した。
高い攻撃力を誇った2025年のブルージェイズに対して、完投した投手はこれまでいなかった。レッドソックスのギャレット・クローシェとロイヤルズのマイケル・ワカがそれぞれ8回を投げ抜いたが、今季はそれが最長だった。
「ポストシーズンで2試合連続の完投。本当に素晴らしかった。山本はわれわれの打線を苦しめていた。ゾーンに投げ込めていたし、スプリットもゾーン内外に出し入れされていた。本当に素晴らしいパフォーマンスだった」と、ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督は山本を称賛した。
第1戦でブレイク・スネルを消耗させたのと同様、ブルージェイズは初回に山本からチャンスを作った。しかし、山本は無死一、三塁のピンチを23球かけて無失点で切り抜けた。三回にはアレハンドロ・カークの犠牲フライで同点に追いつき、逆転のチャンスをつかむかと思われた。しかし、この犠牲フライが最後のチャンスだった。山本はここから20打者を連続で凡退させ、105球(ストライク73球)で試合を締めくくった。
「山本はただ、自分の投げたいところに球を投げられていた。1回のピンチを良い形で切り抜けた。とにかく自分の投球をしっかりこなしていた。自分の仕事をやり遂げたんだ」と、ブルージェイズのネイサン・ルークスと脱帽した。
山本が際立っていたのは、レギュラーシーズンとなんら変わらないパフォーマンスを見せた点だ。独特の奇抜な投球フォーム、レッグキックと短いテイクバックで、ブルージェイズの打者はタイミングを取るのに苦しんだ。
「みんなと同じように、この試合に向けて相当な準備をしてきた。(われわれは)準備万端だった。山本を称賛するしかない。彼はすべての球種をピッチトンネルに通し、球速もキープし、直球を本当に良く制球した。準備不足が原因だったとは思わない。彼の打者を騙す技術がすごかった。投球フォームにも間違いなく騙しの要素があった。彼は最高の状態だった」と、シュナイダー監督は山本を手放しで称賛した。
8三振のうち、4三振を奪ったカーブ、17度の空振りのうち6度を奪ったスプリットなど、球種構成も完ぺきだった。
ブルージェイズ打線は好調であれば、四球を稼ぐこともできる。しかし、山本は四球による反撃の隙も見せなかった。1死球こそ与えたが、四球はゼロ。ブルージェイズ打線が四球を選べなかったのはレギュラーシーズン中はわずか7試合で、これはMLBでも4番目に少ない。
「山本はただ座ってミスを待っていられるような投手ではない。今夜はほとんどミスをしなかった。改めて脱帽だ。2試合連続完投は特別なことだ」と、ブルージェイズ打線を牽引してきたジョージ・スプリンガーは語った。
ブルージェイズの良かった点を見つけるとすれば、山本に対してボールを前に飛ばせたということだろう。ゴロアウトは11度、フライアウトも3度。ボールを前に飛ばし続ける限り、それは良い結果に結びつくかもしれない。それがコンタクト力に長けるブルージェイズの考え方だ。
「打球が上手いこと抜けなかった。山本に対してできることがそれで制限されてしまったね。脱帽だよ。次の試合に切り替えるよ」と、ルークスは語る。ブルージェイズの選手たちは山本に対して敬意を示し、既に次へと目を向けた。
2025.10.26 15:51 Sunday
「すごくホッとした」 ドジャースが負けられないWS第2戦に勝利
【ブルージェイズ1-5ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月25日(日本時間26日)
第2戦のウイニングボールを捕球した三塁手マックス・マンシーは、そのボールをトスするのではなく、山本由伸のグラブに直接手渡した。山本はトスで受け取ろうとしたが、マンシーは山本が成し遂げたことに敬意を表したのだ。
もしこのワールドシリーズをドジャースが制覇するならば、その理由は山本のパフォーマンスだろう。第1戦に大敗したドジャースは、山本の完投そして、七回にマンシーとウィル・スミスが放った2本塁打によって、第2戦に5-1で勝利。シリーズを1勝1敗のタイに持ち込んだ。
「初戦落としていたのはすごく大きかったですけど、落としただけに当然ですけど今日は絶対勝たないといけないなとすごく気持ちが入りました」と山本は語った。
この第2戦の完勝は、なぜドジャースが世界一の大本命と言われていたかを思い出させる試合だった。 確かにブルージェイズの層が厚く、忍耐強さを備え、強力な打線は、ドジャースのブルペン陣を圧倒する能力がある。しかし、ドジャースの先発投手が食い下がれば、そうはならない。
投手として史上最高額の契約を結んだ日本の剛腕・山本は、第1戦でドジャースを圧倒したブルージェイズ打線相手に、三回に犠牲フライで1点を失っただけで1失点完投。9回1失点、4安打、8三振、無四球の好投で、さらに最後の20打者をパーフェクトで打ち取った。ポストシーズンにおける2試合連続完投は、2001年のダイヤモンドバックスを球団初の世界一に導いた大投手カート・シリング以来の快挙だ。
「休養があったとはいえ、本当に素晴らしかった。山本はわれわれの打線を苦しめていた。ゾーンに投げ込めていたし、スプリットもゾーン内外に出し入れされていた。本当に素晴らしいパフォーマンスだった」 敵将ジョン・シュナイダーも脱帽した。
1993年ワールドシリーズ第6戦で連覇を決めるサヨナラ本塁打を放ったジョー・カーターを始球式に招き、その伝説の瞬間を再現する機運を高めていたブルージェイズ。しかし、それに対してドジャースは、スミスとマンシーが2本のソロで、ブルージェイズのエース右腕・ゴーズマンを打ち砕き、アンサーを返した。
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「すごくホッとした」と勝ち越し劇について吐露。ドジャースにとっては、まさに安堵に次ぐ安堵だった。
アレックス・ベシアを失い、第1戦では崩壊したブルペン陣への信頼がさらに薄れる中、ロバーツ監督は山本の貢献を喜んだ。山本はテンポの速い、昔ながらの投手戦を演じ、見事に勝利した。
「第2戦の先発投手」という肩書きは、先発2番手という印象を与えがちだ。しかし、山本とゴーズマンはどちらとも、その役割には十分すぎるほどの実力を持っていた。
山本は今季、ドジャースの投手陣で誰より多い173回2/3を投げ、ERA+167(リーグ平均より67%優秀)をマーク。ゴーズマンは過去4シーズン、ブルージェイズの先発ローテーションの要として活躍し、その期間でMLB4位の733回2/3、同3位の793三振を挙げていた。レギュラーシーズン中はエースとしてチームを牽引した山本と、ア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦でリリーフ登板した影響で第2戦に回されたゴーズマンの投げ合いは、まさにエース同士の投げ合いと呼ぶに相応しかった。
そして、2投手はまさにエースの投球だった。
山本はブルージェイズ打線に持ち前の豊富なレパートリーで挑み、そのすべてが機能した。強烈なスプリット、ヨーヨーのように動くカーブ、猛烈なフォーシーム、カッター、スライダー、シンカー。すべてが軽快に、鋭く変化し、グルーヴを生み出していた。第1戦では先発ブレイク・スネルの制球が乱れる瞬間を狙いすましていたブルージェイズ打線に対し、山本は一切崩れなかった。
「初回にちょっとランナーをためたり、そのあとデッドボールから失点したりあったんですけど。しっかりと冷静にね、投げられたのでよかったと思います」と、山本は振り返る。
一方、ゴーズマンも素晴らしい投球で応じた。ドジャースは初回に先制点を奪ったが、ゴーズマンは初回の3アウト目から17人の打者を連続で打ち取った。
七回にスミスが打席に立つまでは。
シーズン終盤に右手の細骨を骨折し、痛みを抱えながらプレーしていたスミスにとって、七回の勝ち越し弾はポストシーズン初の長打だった。ゴーズマンに対してフルカウントと粘り、内角の直球をとらえ、レフトスタンド2階席へ運んだ。
ここでゴーズマンの快進撃は終わった。その後、ドジャースのポストシーズン通算本塁打王であるマンシーも、本塁打で続いた。奇しくも、カーターが放った有名のサヨナラ本塁打とほぼ同じ地点に着弾した。
「2人の本当に良い打者に対する、2球の良い投球だった。それが違いを生んだ」と、ゴーズマンは良いボールを本塁打にしたスミスとマンシーを称えた。
八回にもドジャースは2点を追加したが、山本には必要ない援護だったかもしれない。追加点をもらった八回は3者連続三振、九回も続投して三者凡退で締めくくった。
「(山本は)負けることは選択肢にないと言っていた。まさに、その言葉通りの投球だった」と、ロバーツ監督は称えた。
これでシリーズの行方は振り出しに戻った。
2025.10.26 15:28 Sunday
先発ゴーズマンの好投虚しく ブルージェイズがWS第2戦に敗れる
【ブルージェイズ1-5ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月25日(日本時間26日)
ワールドシリーズは過酷な戦いだ。それもドジャースが相手チームならば。
ケビン・ゴーズマンはワールドシリーズ初先発ながら第2戦で好投し、圧倒的な存在感を示した。しかしだからこそ、敗北はより残酷な結果となった。ドジャースを倒せるのは偉大な投手だけであり、第2戦に勝利するためには、ゴーズマンの好投は十分ではなかった。
レギュラーシーズンの5月か6月にこんなパフォーマンスだったら、チームは大喜びしただろう。おそらく勝利して球場を後にしていたはずだ。しかし、相手はドジャース。しかもマウンドには山本由伸がいた。山本はゴーズマンと6イニングにわたって激しい投手戦を繰り広げたが、山本の輝きは試合の最後まで続いた。
「ああ、ケヴ(ケビン・ゴーズマン)は本当に素晴らしかった」と、ジョン・シュナイダー監督はしゃがれた声でエースへの称賛を絞り出した。 「ケヴは山本と本当に1球1球戦っていたと思う。どちらも球数は少なかった。昔ながらの投手戦だった。そしてドジャースが試合を決めるスイングをした」
ゴーズマンから七回に勝ち越し弾を放ったスミスは「ゴーズマンは僕にすべて直球を投げた。彼のペースが少し落ちて、僕はカウントを戻すことができた。彼はミスを犯して、僕はその打球をフェアにとどめることができた」と、勝負を分けた打席を振り返った。
第2戦は紙一重の戦いだった。ブルージェイズがドジャースを倒すには、飛行機を針の穴に通すような技術が求められる。ドジャースに勝つには、ただ良い試合をするだけでは足りない。 「僕はもっと良い投球ができたはずだった。そして相手はそれを上回った」と、ゴーズマンは被弾を悔やんだ。
第1戦で、ブルージェイズは素晴らしい勝利を収めた。打線が爆発し、六回に9得点のビッグイニングを作り、11-4で大勝。しかし、この日の山本から9得点挙げるには、ブルージェイズにはあと10試合必要だったかもしれない。
「山本の夜だった。彼の夜だったんだ。素晴らしい仕事をされた」と、ブラディミール・ゲレーロJr.は通訳を介して語った。
ゴーズマンが肩を落とす必要はない。第2戦で見せた力強さと信念を次回の先発、おそらくトロントで行われる第6戦でも再現しなければいけない。そのときはおそらくゴーズマンはチームを救うためか、世界一を決めるために投げるだろう。
ゴーズマンがブルージェイズのブルペンから出てきた瞬間から、彼には普段は見られない鋭さが漂っていた。ブルペンからダグアウトまでの長い道のりを、カメラがゴーズマンと捕手のアレハンドロ・カークを追いかけ、ロジャースセンターのセンターフィールド上部に設置された巨大スクリーンに二人の顔を映し出した。カークは目を閉じ、首を左右に振りながら先発投手の傍らをのんびりと歩いていたが、ゴーズマンはただまっすぐ前を睨みつけていた。瞬きもせず、フィールドをぐるりと見渡していた。メジャーリーグで13年間投げ続けてきた彼が、ついにこのワールドシリーズで先発登板を果たすことができたのだ。
ゴーズマンはバランス感覚に長けた選手だ。彼は長年かけてそれを培ってきた。敗北のあとも、ゴーズマンはこの瞬間とそれに至るまでの道のりが何を意味するのかをはっきりと理解していた。 「本当に楽しかったよ。34歳で初めてのワールドシリーズだから、本当に楽しかった。ピッチングは最高だったよ。1回にゼロで投げられたらよかったのにと思ったけど、そこから抜け出して調子を上げた。ここは投げていて楽しい場所だ。試合前にファンの皆さんがどれだけ興奮しているか、よく分かったよ。さあ、ロサンゼルスへ行こう」
第3戦から最大で5戦までを戦う敵地ロサンゼルスでは、ブルージェイズは再び素晴らしい活躍を見せなければならない。第3戦先発のマックス・シャーザーは再び時計の針を戻し、全盛期の投球を再現しなければならない。第4戦先発のシェーン・ビーバーは、トレードデッドラインにおける大胆なトレードで彼を獲得したチームに対する信頼に応え、圧倒的な投球を見せなければならない。そして打線は、タイラー・グラスナウと大谷翔平から得点する方法を見つけなければならない。
これは大きな要求だ。しかし、ワールドシリーズを勝ち抜くハードルは高い。銀メダルはないのだ。第1、2戦はブルージェイズ打線と山本がそれぞれ素晴らしいパフォーマンスで、チームに勝利をもたらした。もしこれが6月だったら、ゴーズマンはもっと称えられていただろう。しかし、ワールドシリーズにそれはない。
And it looks like we have ourselves a Series.?
2025.10.26 15:28 Sunday
第1戦のヒーロー、バージャーは再び同僚のソファで就寝
ブルージェイズのアディソン・バージャーは今朝もデービス・シュナイダーの部屋のソファで目を覚ました。
第1戦でワールドシリーズ史上初の代打満塁弾を放ち、ブルージェイズの勝利に貢献した試合後、シュナイダーは長年のチームメートであり友人のバージャーが、部屋に泊まりに来たことを明かした。
「バージャーはマイルズ(・ストロー)と泊まっていたんだけど、昨晩は僕の部屋に泊まっていたよ。僕の彼女もいたんだけど、彼は『君たちと一緒に寝ていい?』と言っていたんだ。だから僕は『ダメ。ソファで寝て』って。広げられるタイプのソファで、一晩中ギシギシ鳴ってたよ。真夜中に彼がそこで寝ているのを見て、めっちゃおかしかった。彼は頭がおかしいんだけど、面白い人なんだよね」
第1戦の前夜、ロジャースセンターのフィールドを見下ろすホテルの部屋で3人が眠っていた時、窓から奇妙な音が聞こえた。フィールドでは、ファレル・ウィリアムズとヴォイシズ・オブ・ファイア合唱団が、ワールドシリーズ開幕戦前のパフォーマンス(国歌斉唱を含む)のリハーサルを行っていた。フィールドのあちこちでパフォーマーたちが踊り、体を揺らしていた。シュナイダーは目をこすり、バージャーは引き出し式のソファに座り直していた。
当初、バージャーがソファに寝たのは、彼が自分の個人部屋を手に入れるまでの一晩だけのことのようだったが、野球選手は迷信深いものだ。そのため、バージャーは第1戦の後、すぐにまたソファに戻った。
「バージャーは自分の部屋をもらうと思っていたんだけど、『また一緒に寝てもいい?』って言われたんだ。だから『もちろん、いいよ』って答えた」
ただ、シュナイダーの彼女にとっては、これは難しいお願いだったのではないだろうか?彼女は本当にバージャーをまたソファに眠らせたかったのだろうか。 「彼女はそれで良いと思っている。それに相手はバージャーだしね。そもそも彼は口数があまり多くないからね」と、シュナイダーは言う。
バージャーは少しいびきをかいていたが、シュナイダーは気にしていなかった。第1戦の活躍が続くなら、いくらいびきをかいても構わない。
ブルージェイズは第2戦に敗れ、1勝1敗で敵地ロサンゼルスに乗り込み、第3戦から最大で第5戦までを戦う。シュナイダーは、次トロントに戻ってくるときは第6、7戦のためではなく、優勝パレードのときであることを望んでいる。
ただ、ロサンゼルスへの遠征の前に一つだけ明確にしておいたことがある。 「バージャーはロサンゼルスで私と一緒に泊まるつもりはないよ。ブルージェイズがホテル代を払ってくれるから、彼は私と一緒に泊まるつもりはないんだ」
2025.10.26 14:15 Sunday
山本由伸が2試合連続の完投 ドジャースがWS第2戦に勝利
【ブルージェイズ1-5ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月25日(日本時間26日)
山本由伸(27)が圧巻の1失点完投で、ドジャースをワールドシリーズ第2戦勝利に導いた。先発の山本は三回に1点を失って同点に追いつかれたが、四回から一人も走者を許さない快投。打線もウィル・スミス、マックス・マンシーが七回にブルージェイズ先発のケビン・ゴーズマンから本塁打を放ち、勝ち越した。ワールドシリーズは両チーム1勝1敗で舞台をロサンゼルスに移し、27日(日本時間28日)に第3戦が行われる。
初回、ドジャースは2死からフリーマンが二塁打を放ち、続くスミスのタイムリーでブルージェイズ先発のゴーズマンから先制。初回の守備では、先発の山本が無死一、三塁のピンチを招いたが、2三振で無失点で切り抜けた。
山本も三回、1死一、三塁からカークに犠牲フライを浴び、同点に追いつかれた。
1-1の同点となってからは、山本、ゴーズマンの両投手が圧巻の投手戦を展開。山本は四回からパーフェクト投球を続け、第1戦で猛打を振るったブルージェイズ打線を沈黙させた。一方のゴーズマンも初回の3死目から一人の走者も許さなかった。
しかし七回、ドジャース打線がついにゴーズマンをとらえた。1死から先制タイムリーのスミスがレフトスタンドへ勝ち越しソロ。さらに2死となってから、マンシーもレフトスタンドにソロ本塁打を放って3点目を挙げ、ゴーズマンを降板させた。
八回にも援護点を受けた山本は、八回の守備で三者連続三振。それまで93球を投じていたが、九回も続投。九回も三人で抑え、9回1失点、8三振、4安打、無四球で完投勝利を挙げた。 ポストシーズンにおける2試合連続完投は、2001年のカート・シリング(ダイヤモンドバックス)以来の快挙。伝説のエース投手に並ぶ快投で、山本がドジャースを勝利に導いた。
2025.10.26 12:33 Sunday
前夜は同僚宅のソファで寝泊まり 居候バージャーがWS史上初の代打満塁弾
【ブルージェイズ11-4ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月24日(日本時間25日)
アディソン・バージャーがワールドシリーズ史上初の代打満塁弾を放ち、トロントの本拠地ロジャースセンターを揺らした。
ブルージェイズがこの勢いを維持し、1992年と1993年の連覇以来となる世界一を成し遂げれば、名場面が次々と生まれるはずだ。その時が来れば、ワールドシリーズ第1戦で9得点を挙げた六回の攻撃は、「ザ・イニング」と呼ばれるようになるかもしない。
バージャーの満塁弾は、ブルージェイズの下位打線が総力を挙げて3点を勝ち越し、さらにアレハンドロ・カークの2ランでダメ押しに成功する間に生まれた。その本塁打は32年前にジョー・カーターが連覇を決めるサヨナラ本塁打を放った時以来の熱狂の渦をロジャースセンターに巻き起こした。バージャーにとっては野球人生最大の瞬間だった。目を大きく見開いてベースを回り、球場にいた全員と同じように衝撃を受けていた。 「足の感覚さえなかった。まるで意識を失っているようだった」 素晴らしい瞬間、素晴らしいイニング。ブルージェイズはワールドシリーズ制覇にあと3勝に迫った。
「マックス(・シャーザー)と話していたんだけど、基本的にすべてを経験してきた彼でさえ、ワールドシリーズであんなイニングを経験したことがないと言っていたよ。本当にクールな光景だった」と、ジョン・シュナイダー監督は話した。
ワールドシリーズの歴史上、ブルージェイズが六回に挙げた9得点を上回る1イニングの攻勢は、1968年のタイガースと1929年のフィラデルフィア・アスレチックスのみ(両チームとも10得点)。また、ブルージェイズはこの試合で11得点を挙げ、第1戦史上4位タイの記録を成し遂げた。
「あれはまさにうちの攻撃の真髄だ。チーム全体の努力の賜物で、全員が自分の仕事をこなしているだけだ」 ポストシーズンで打率.435と驚異の打棒を振るっているアーニー・クレメントは語った。
デービス・シュナイダーは、ブルージェイズのファンが「2025年ワールドシリーズ第1戦でアディソン・バージャーが満塁本塁打を打った時、誰の代打だったんだ?」と尋ねる数年後のクイズのネタになるかもしれない。シュナイダー監督は左腕スネルが先発したこの日、バージャーをベンチスタートさせ、代打のタイミングを窺っていた。
ここで驚くべきことは、ドジャースが左腕のアンソニー・バンダを投入したことだ。バージャーは今季右腕から20本塁打を放ったのに対し、左腕からはわずか1本塁打と左腕には相性が悪い。しかし、次の打順には右の強打者ブラディミール・ゲレーロJr.が控えていた。
シュナイダー監督の狙いはバージャーを代打に送ることでドジャースに左腕を起用させ、ゲレーロJr.により有利なマッチアップを仕組むことだった。左腕に対して相性が悪いバージャーに対しては、シュナイダー監督は犠牲フライを期待していた。本塁打を打つのは、次のゲレーロJr.と想定していた。 「・・・われわれが期待していた以上の結果だったね」と、シュナイダー監督は語った。
この六回の猛攻はすべてを覆した。それまでの5回の攻防は、まさに予想通りの一進一退の展開。ブルージェイズはギリギリで粘り、強豪ドジャース相手に反撃の機会を狙っていた。しかし、打者一巡の猛攻によって、一気に試合をものにした。
バージャーの本塁打の背景には、さらに衝撃的なことがある。バージャーはこの第1戦の前夜、なんとチームメートのデービス・シュナイダーの家のソファで寝泊まりしていたのだ。
居候を泊めたシュナイダーはこう語った。 「バージャーはマイルズ(・ストロー)と泊まっていたんだけど、昨晩は僕の家に泊まっていたよ。僕の彼女もいたんだけど、彼は『君たちと一緒に寝ていい?』と言っていたんだ。だから僕は『ダメ。ソファで寝て』って。広げられるタイプのソファで、一晩中ギシギシ鳴ってたよ。真夜中に彼がそこで寝ているのを見て、めっちゃおかしかった。彼は頭がおかしいんだけど、面白い人なんだよね」
2025年のブルージェイズの姿を象徴する出来事とも言えるだろう。気骨のあるベテラン、スーパースター、そしてまるで両親が同じ週末に出かけたかのような生活を送っている20代の若者たちがいる。それでも、なぜかうまく機能している。これは、どんなに努力しても作り出せないクラブハウスのケミストリーだ。自然に、そして意外な形で生まれる必要がある。今季のほとんど全てが、自然に、そして意外な形で起こった。そう思えてくる。
バージャーのスパイクは今、野球殿堂入りすることになった。彼はワールドシリーズ史上唯一の代打満塁本塁打という、唯一無二の瞬間を刻み、この街にとって忘れられない瞬間を刻んだ。この街にとって忘れられないチームとなったブルージェイズは、あと3勝に迫っている。
2025.10.25 18:14 Saturday
第1戦で発揮されたブルージェイズの真骨頂 積極打法が奏功
【ブルージェイズ11-4ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月24日(日本時間25日)
まさにブルージェイズ打線の真骨頂が発揮された第1戦だった。ブルージェイズ打線はコンタクト力(バットをボールに当てる能力)と長打力の両方を兼ね備えている。長打力が重視され、三振を許容する風潮が強い現代野球において、長打と三振の少なさを両立させるのは至難の業だ。しかし、ブルージェイズはレギュラーシーズンではMLBベストの三振率(17.8%)を記録する一方、OPSでもMLB3位、総得点MLB4位と、パワーも発揮できる。
そして、もう一つの特徴が「積極打法」だ。ブルージェイズ打線はポストシーズンにおいて、ストライクに積極的にスイングを仕掛ける。ストライクゾーンに投じられた投球に対するスイング率71.0%は、今ポストシーズンに進出したチームの中でダントツ(唯一の70%超え)であり、2015年以降でポストシーズンに進出した全124チーム中でも歴代15位に入る。
ただ積極的にスイングを仕掛けられても、長打を打たれないならば投手としてはリスクが低い。しかし、ブルージェイズ打線は今ポストシーズンでダントツの長打率.523(2位のドジャースでも.430)を誇る。ブルージェイズ打線に対する投手は、打席を有利に進める上でストライクが必要だが、ストライクゾーンに投げ込むのはリスクが伴い、そこにジレンマを抱える羽目になる。
今ポストシーズンではほぼ無敵の快投を続けていたブレイク・スネルでさえ、そのジレンマに囚われた。スネルはこれまでのポストシーズンで3先発をこなし、21回でわずか2失点、28三振と絶好調。これまでの3先発では初球ストライク率65.8%と、積極的にストライクを投じてきた。
しかし、ブルージェイズ打線と対したワールドシリーズ第1戦では、初球ストライク率は45.4%にとどまった。スネルはストライク先行の投球ができず、真綿で首を締められるようにブルージェイズ打線に追い詰められていった。
初回、スネルは2四球と単打で3人の走者を許し、3死目を奪うまで29球を要した。二回も2安打を打たれ、三回も安打を許しながら併殺で無失点で抑えた。初回は5打者との対戦のすべてでボール球を投じ、序盤ではストライクを満足に投げられていなかった。
しかし、四回は不用意な初球の入りが裏目に出た。無死1塁でバーショに甘く入った初球のフォーシームを完ぺきに捉えられ、同点2ランを浴びた。
五回も先頭に安打を許しながら、なんとか併殺で切り抜けたが、その時点で球数は84球。決して調子が良いとは言えず、交代も考えられる状況だったが、ドジャースはブルペン陣に不安を抱える。切り札アレックス・ベシアがワールドシリーズを欠場し、信頼が置ける投手は佐々木朗希のみという状況では、六回までエースを引っ張らざるを得なかった。
しかし、スネルはついに六回に決壊。先頭から四球、単打を与え、続くバーショには8球粘られた末に死球を当てた。デーブ・ロバーツ監督はここでスネル降板を決断し、2番手シーアンを投入する。
試合後にスネルはこう語った。 「ストライクを投げれば、彼ら(ブルージェイズ打線)は振ってくるだろう・・・。四球も出していたし、打者有利のカウントを作ってしまっていた。もっと良いスポットに投げないといけなかった」 ストライクを投げれば積極的にスイングを仕掛けられ、しかも長打もありえる。そのプレッシャーがエースの制球を乱していた。
2番手のシーアンはスネルとは異なり、ストライク先行の投球を実践した。しかし、それでも結果は変わらなかった。
シーアンは4打者との対戦ですべて初球をストライクゾーンに投じた。しかし、代わりばなのクレメントには初球ファウルのあと、2球目でタイムリーを献上。続く代打ルークスは初球で空振りを奪ったものの、9球粘られて押し出し四球を与えた。さらに9番ヒメネスとの対戦でも、1、2球目はファウルで追い込んだものの、追い込んでからのチェンジアップをタイムリーにされた。1番スプリンガーにも初球を打たれたが、これがショートゴロとなり、シーアンはこの日最初にして最後のアウトを奪った。
そもそも無死満塁の場面で本来は先発投手のシーアンを投入した判断は、決して間違ってはいない。レギュラーシーズン中、シーアンの奪三振率30.6%はMLB上位9%、空振り率32.9%は上位7%に入る高水準。制球が不安定なブレイク・トライネンより、ローリスクな選択肢だったと言える。
今はブルージェイズ打線を称えるほかないだろう。MLBで最も三振が少ないブルージェイズ打線は、奪三振力が高いシーアンをものともせず打ち砕いた。早めのカウントで仕掛けて打者不利のカウントとなっても、決して三振せずに打球をインプレーにする。そのコンタクト力が鮮やかな攻勢を生み出した。
勝ち越し打を放ったクレメントは、ヤンキースを下した地区シリーズ後に、ブルージェイズの積極打法についてこう語っていた。 「僕たちは1打数無安打に終わるくらいなら、1ストライク0ボールになっても構わない。もし相手にやられたとしても、スイングを仕掛けて残りの打席を全力で戦う。でもこれは考え方の問題だ。ど真ん中に来た初球を振ってアウトになっても仕方ない。これが僕の考え方だ。ただ、外角に2球分外れたボールを振って内野ゴロに倒れたら、誰にとっても良いことにならない」 まさにその言葉通りのアプローチをブルージェイズの打者は実践していた。
第1戦で猛攻を浴びたドジャースは、山本由伸が先発する第2戦では是が非でも連敗を避けたいだろう。
しかし、スネルのように慎重に入れば球数がかさみ、シーアンのようにストライク先行でも悪い結果に終わり、ドジャースは苦い記憶を植え付けられたはずだ。MLB屈指の強力打線に対して、あすの山本由伸はどう対抗するだろうか。
2025.10.25 17:46 Saturday
弱点のブルペン陣が不安を露呈 ドジャースがワールドシリーズ第1戦を落とす
【ブルージェイズ11-4ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月24日(日本時間25日)
ドジャースは先発投手の好投に慣れてしまっていたかもしれない。今季のポストシーズンにおいて、ドジャースの先発投手陣は防御率1.40のパフォーマンスで、チームをワールドシリーズまでわずか1敗で導いてきた。
しかし、毎試合のように歴史的な好投を期待できるわけではない。ドジャースは弱点のブルペン陣が一皮剥けなければ、ワールドシリーズ終盤で苦戦を強いられるだろう。
先発のブレイク・スネルはこの日、調子が悪く、六回にブルージェイズ打線につかまった。悪夢のような六回で、スネルはノックアウトされ、リリーフしたエメット・シーアンとアンソニー・バンダは9点を失った。そして、ドジャースはワールドシリーズ第1戦に4-11で大敗した。
「マウンドに立てば、常に仕事を果たそうとする。ただ、ブルペン陣に関して言えば、きょうはそれができなかった。それができれば、あとは完ぺきだった。とにかく自信をつけることが大事だと思う。でも、今夜は本当に酷かった」と、バンダは振り返る。
ドジャースは今ポストシーズンで初めて劣勢に立たされている。これまで最大7戦のポストシーズンシリーズでは、ホームで第1戦に勝利したチームは、67.6%(69/102)の割合でシリーズを制している。
「厳しい試合だったけど、その後は相手が勢いづいて、より良い試合を展開した。4試合ある。4試合勝たないと」、六回途中5失点を喫したスネルは語った。
今ポストシーズンでのドジャースの勝ち方は、概ね固まっている。まずは先発投手がクオリティスタート、もしくはそれ以上の好投をする。打線が必要最低限の得点を重ねる。そして最後に、ブルペン陣の数少ない信頼できる投手にボールを託す。
ドジャースはここまで9勝1敗でポストシーズンを勝ち上がり、このパターンは機能していた。しかし、ブルペン陣で数少ない信頼できる投手だったアレックス・ベシアがワールドシリーズを欠場する見込みで、暗雲が垂れこめた。
デーブ・ロバーツ監督は既に84球を投じ、調子が悪い中で2失点にまとめていたスネルを引っ張った。しかし、スネルは先頭から2四死球、1安打で無死満塁のピンチを招き、その試みは失敗。
無死満塁で右打者のクレメントを迎える場面で、右腕シーアンを投入した。レギュラーシーズンでは先発投手を務めたシーアンは、今ポストシーズンではリリーフに回っている。ただ、ピンチの場面でのリリーフはおろか、走者なしの場面でも苦戦していた。
ただ、ロバーツ監督には選択肢が限られていた。ブルペン陣の右腕には他にブレイク・トライネンがいたが、トライネンのパフォーマンスは予測できない。エドガード・エンリケスとウィル・クラインはワールドシリーズからロースターに加わったばかり。守護神の佐々木朗希は決して九回専門の投手ではないが、リードしていない状況の六回では投入できなかった。
残された選択肢はシーアンだった。しかし、シーアンは最初の3打者に2安打、1四球で3点を許した。
シーアンが1死を奪い、ドジャースは代打バージャーに合わせて左腕バンダを投入。しかし、バンダは左打者のバージャーを抑えられず、ワールドシリーズ史上初の代打満塁弾を献上した。さらにカークにも2ランを浴び、9失点を喫した悪夢の六回は終わった。
七回に大谷翔平が2ランを放ったが、ブルージェイズの流れは変えられなかった。
「ブルペン陣の構成を考えると、シーアンとバンダの力は必要だ。まだ道のりは長いし、良い投球をしてもらう必要がある」と、ロバーツ監督は打たれた2投手をフォローした。
一方で、打線も振るわなかった。得点圏では7打数3安打だったが、7残塁は理想的な結果ではない。
「1試合で10、11得点する力がわれわれにはある。ただポストシーズンでそれをやるのは難しい」と、ムーキー・ベッツは語る。
しかし、攻撃力がどんなに高くても、ブルペン陣が9失点したのを埋め合わせることはできない。ドジャースは不安定なブルペン陣を抱えながら、ここまで勝ち進んできた。もしあと4勝を挙げるならば、ドジャースは今季を通して直面してきた最大の疑問に対して、答えを出さなければいけない。
2025.10.25 15:49 Saturday





