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フィリーズがスイープ負けを回避 シュワーバーお目覚めの2本塁打
【ドジャース2-8フィリーズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月8日(日本時間9日)
フィリーズの大砲カイル・シュワーバーは完璧なタイミング、完璧な方法でスランプを抜け出した。負ければ敗退が決まるナショナル・リーグ地区シリーズ(NLDS)第3戦、ドジャース先発の山本由伸から飛距離455フィート(約138.7メートル)の同点アーチを放ったのだ。
1点ビハインドで迎えた四回、シュワーバーは山本からドジャースタジアムの右翼席を越えていく特大アーチ。打った瞬間にそれとわかる、見事な一発だった。
シュワーバーの一発をきっかけに、フィリーズは四回に3点を奪って逆転に成功。八回には一挙5点を追加し、8-2で勝利してスイープ負けを回避した。
シュワーバーのソロ本塁打は、スタットキャストの計測によると、打球速度117.4マイル(約188.9キロ)。これはシュワーバーのキャリア(レギュラーシーズンも含む)の中で2番目に速い打球速度だった。シュワーバーの本塁打でこれを上回るのは、2022年のナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)第1戦でダルビッシュ有から放った119.7マイル(約192.6キロ)の一発だけ。このシュワーバーの同点アーチがフィリーズ打線に勢いをつけ、シュワーバー自身も八回にクレイトン・カーショウからダメ押しの2ラン本塁打を放った。
この試合で放った2本塁打は、シュワーバーにとってポストシーズン通算22本目と23本目の本塁打となり、ヤンキースのレジェンド、バーニー・ウィリアムスを抜いて歴代3位に浮上。シュワーバーを上回るのは、マニー・ラミレス(29本塁打)とホセ・アルトゥーベ(27本塁打)の2人だけだ。
シュワーバーにとって、ポストシーズンでの豪快なアーチは決して目新しいものではない。
この試合1本目の本塁打は、ポストシーズンで通算5本目となる飛距離450フィート(約137.2メートル)以上の一発だった。これはスタットキャスト史上最多である。そもそも同様の本塁打を複数放っている選手もほかに1人しかいない。それはフレディ・フリーマンで、しかも2本だけだ。
シュワーバーは1本目の本塁打でレギュラーシーズンから続いていた22打数ノーヒットのスランプを脱出。NLDSでは初戦から8打数ノーヒット(5三振)と不振が続いていたが、見事な2本塁打でフィリーズ打線を勢いに乗せた。シュワーバーの1本目はチーム初安打でもあり、ドジャース先発の山本に三回まで無安打に封じられたフィリーズ打線は四回に3点を奪って逆転し、試合の主導権を握った。
2025.10.9 13:27 Thursday
ブルージェイズが3勝1敗でヤンキース撃破 2016年以来のALCS進出が決定
【ヤンキース2-5ブルージェイズ】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、10月8日(日本時間9日)
このニュースを広めよう。トロント・ブルージェイズがアメリカン・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)に出場する。
ブルージェイズは敵地ヤンキースタジアムで行われたア・リーグ地区シリーズ(ALDS)第4戦に5-2で勝利し、シリーズ通算3勝1敗でヤンキースを撃破。ア・リーグ東地区で10年近く「目の上のたんこぶ」のような存在だった強豪チームをついに打ち破った。
今季のブルージェイズは誰も目覚めたくない夢のようなシーズンを過ごしている。
ヤンキースを撃破し、ブルージェイズはカナダに戻ってゆっくり休むことができる。ALDSのもう1つのカード、タイガース対マリナーズは第5戦までもつれたため、ALCSの対戦相手はまだ決まっていない。ブルージェイズがALCSに進出するのは驚異的な快進撃を見せた2015~16年以来。当時のチームは才能豊かな選手が揃い、試合に勝つだけでなく、乱闘でも強さを発揮していたが、今季のブルージェイズは予想外の形でカナダを沸かせた。
野球が人々を驚かせ、魅了する力を持っていなかったとしたら、いったい誰が162試合も野球の試合を見るだろうか。今季のブルージェイズはここまで本当に魅力的な戦いを続けている。
ALDS第4戦、ブルージェイズは初回にブラディミール・ゲレーロJr.のタイムリーで先制。同点で迎えた五回にジョージ・スプリンガーの犠牲フライで勝ち越すと、七回にネイサン・ルーカスの2点タイムリーで貴重な追加点を奪い、八回にはマイルズ・ストローのタイムリーでダメ押しした。
昨季74勝に終わったブルージェイズは「内部の改善」を合言葉に、スプリングトレーニングに臨んだ。当初、ゲレーロJr.の契約延長交渉が不調に終わり、チームには暗雲が立ち込めていた。シーズン前の予想も「勝率5割前後」というものが大半。しかし、選手たちはその予想を覆した。
ブルージェイズは第1シードでポストシーズンに進んでおり、ALCSでは第1・2・6・7戦をホームで開催できる。総額5億ドルの超大型契約を結んだゲレーロJr.はALDSの4試合で17打数9安打、打率.529、3本塁打、9打点、OPS1.609の大活躍を見せ、大きな期待に見事に応えてみせた。
2025.10.9 11:56 Thursday
カブスが初回4得点で逆転して逃げ切り 地区シリーズのスイープ負けを回避
【カブス4-3ブルワーズ】シカゴ/リグレーフィールド、10月8日(日本時間9日)
カブスの鈴木誠也は本拠地リグレーフィールドで行われたナショナル・リーグ地区シリーズ(NLDS)第3戦に「4番・右翼」でスタメン出場。三回の第2打席でセンターへの二塁打を放ち、4打数1安打だった。試合はカブスが4-3で逃げ切り。スイープ負けを回避し、第4戦以降に望みをつないだ。
打球がリグレーフィールドの右翼フェンス上部のバスケットに吸い込まれた瞬間、カブスのリードオフマン、マイケル・ブッシュは雄叫びを上げた。ブルワーズに1点を先制される苦しい展開だったが、強風を切り裂いたブッシュのソロ本塁打によって、試合は振り出しに戻った。
ブッシュが先頭打者アーチを放つのはNLDSの3試合で2度目。ブッシュの本塁打がカブス打線に火をつけ、2死満塁からピート・クロウ=アームストロングが勝ち越しの2点タイムリーを放つなど、この回一挙4得点で試合をひっくり返した。
カブス先発のジェイムソン・タイオンは4回5安打2失点の力投。クレイグ・カウンセル監督は五回から継投に入り、4番手のアンドリュー・キットリッジが七回にジェイク・バウアーズにソロ本塁打を浴び、1点差に迫られたものの、八回無死二塁のピンチを5番手のケイレブ・シールバーと6番手のブラッド・ケラーが切り抜け、4-3で勝利した。
これでカブス対ブルワーズのNLDSはカブスが1勝2敗。第4戦も今季ポストシーズンを含めて53勝30敗の好成績を残しているリグレーフィールドで行われ、カブスは2勝2敗のタイに持ち込むことを目指す。
ちなみに、現行のフォーマット(2-2-1)で行われた地区シリーズのうち、初戦から連敗したケースは34度あるが、第4戦まで持ち込んだケースはそのうち14度だけ。第4戦に勝利し、第5戦までもつれたのはそのうち5度。連敗からの3連勝が過去3度だけ実現している。カブスは史上4例目となることができるだろうか。
2025.10.9 09:47 Thursday
タイガースが鮮やかな逆転勝ち 地区シリーズの決着は第5戦へ
【タイガース9-3マリナーズ】タイガース/コメリカパーク、10月8日(日本時間9日)
タイガースは2年連続で「勝てば地区シリーズ突破、負ければ敗退」の一戦をタリック・スクーバルに託す。そこに到達するまでの道のりは、タイガースファンがしばらくの間、目にしてきたものとは全く異なっていた。
アメリカン・リーグ地区シリーズ(ALDS)第4戦、マリナーズは3点をリードし、シリーズ突破に大きく前進したように見えた。しかし、タイガースが五回に3連続タイムリーで同点に追いつき、試合の流れを変えた。六回にはライリー・グリーンがポストシーズン初本塁打を放ち、勝ち越しに成功。これでタイガース打線に火がつき、この回一挙4点を奪った。最終的には9-3で勝利。シリーズの決着は第5戦に持ち込まれた。
試合前半とは対照的な、驚くべき結果だった。タイガースのA・J・ヒンチ監督は先発のケーシー・マイズを3イニングで降板させるなど早めの継投に動き、四回からタイラー・ホルトンを投入。そのホルトンが無死満塁の大ピンチを招くと、カイル・フィネガンを投入し、マリナーズファンからこの試合最大の歓声が送られる中、最少失点で切り抜けた。一方、9月7日(同8日)以降、1度もホームで勝てていないタイガースファンからはブーイングが送られていた。
五回、マリナーズはカル・ローリーのタイムリーでランディ・アロザレーナが生還し、3-0とリードを拡大。マリナーズの攻撃が終わったあと、イニング間の催し物もタイガースファンを元気づけることはできなかった。しかし、ディロン・ディングラーのタイムリー二塁打で1点を返すと、球場の雰囲気が一変。マリナーズ先発のブライス・ミラーを降板に追いやった。
パーカー・メドーズが打席に立ち、ケリー・カーペンターの打席も迫る中、マリナーズのダン・ウィルソン監督はリリーフ左腕のゲーブ・スパイアーを投入した。ヒンチ監督も動き、メドーズの代打にジャーマイ・ジョーンズを起用。ジョーンズのタイムリー二塁打でディングラーが生還し、試合は1点差となった。
ハビアー・バイエズは左翼ポール際へ本塁打性の打球を放ったが、惜しくもファウルに。しかし、バイエズはレフトへのタイムリーを放ち、試合を振り出しに戻した。
スパイアーが左打者のカーペンターとコルト・キースを抑え、試合は3-3の同点で六回へ。左打者のグリーン対策としてスパイアーが続投したが、グリーンはカウント1-0からのスライダーを捉え、右中間へ勝ち越しのソロ本塁打を叩き込んだ。飛距離は454フィート(約138.4メートル)を記録し、グリーンにとって自己2位の飛距離。コメリカパークの大歓声はダウンタウンまで響き渡った。
タイガースはその後、バイエズにも本塁打が飛び出し、この回一挙4点を勝ち越し。七回にグレイバー・トーレスがソロ本塁打を放つと、八回にも1点を追加し、9-3とリードを広げた。
フィネガンが2イニングを投げたあと、六回からは第1戦に先発したトロイ・メルトンがマウンドに上がり、3回2安打無失点の好リリーフ。6点リードの最終回はクローザーのウィル・ベストが締めくくった。
2025.10.9 07:43 Thursday
「良い千賀」と「悪い千賀」 来季はどちらの千賀がマウンドに立つのか
2025年シーズンが終わりに近づく中、「ゴーストフォーク」で有名な男は幽霊のようにメッツを追いかけていた。
千賀滉大は9月上旬、マイナー3Aシラキュースへ降格。マイアミでのシーズン最後の3連戦でメッツに合流したものの、球団は千賀をメジャーのロースターに復帰させず、そうするつもりもなかった。状況をよく知る関係者によると、メッツはポストシーズン進出後、先発ローテーションに複数の負傷者が発生した場合に備え、千賀を招集しただけだったという(実際はポストシーズンに進出できず)。その時点でメッツは千賀、ジャスティン・ヘイゲンマン、ブランドン・ワデルの誰を起用すべきかを検討していたようだ。
2023年の同時期と比較してみよう。5年7500万ドルの契約は「お買い得」のように思われた。千賀はメジャー1年目からオールスターに選出され、ナショナル・リーグの新人王投票では2位にランクインしたのだ。
翌年、千賀は負傷に悩まされ、わずか1試合の先発登板に終わった。ポストシーズンで復帰したものの、本来のピッチングではなく、5イニングで7失点を喫した。
今季の千賀は、球団がスプリングトレーニングで慎重な姿勢を見せたにもかかわらず、再び好調なスタートを切った。しかし、6月中旬にハムストリングを負傷したことで本来のピッチングを見失い、リハビリ登板とメカニクスの不安定さを繰り返す悪循環に陥った。負傷離脱前、千賀は13度の先発登板で防御率1.47を記録。ところが、復帰後は9度の先発登板で防御率5.90に終わり、マイナー降格となった。千賀の将来は短期的にも長期的にも不透明となっている。
シーズン最終戦のあと、千賀は「やっぱりケガをして以降、自分の身体が思うように動かなくなったというのは強く感じたし、それが結果に出てしまった部分もあった。なかなか最後のほうは苦しいシーズンだったし、後半1カ月は役に立たなかったというところは、やっぱりいろいろ思うところはある」と語った。
千賀の契約は残り2年3000万ドル分が残っている。直近2シーズンでは合計118回2/3しか投げておらず、メッツは先発ローテーションの座を確約しないだろう。ノーラン・マクリーン、ブランドン・スプロート、ジョナ・トン、ショーン・マナイア、クレイ・ホームズ、デービッド・ピーターソンと先発のコマが揃っているだけでなく、今オフはさらなる先発投手の補強に動く可能性もある。
デービッド・スターンズ編成本部長は「コウダイは2年連続で非常に不安定で厳しいシーズンを過ごしている。彼には才能があり、ポテンシャルを秘めた選手であることはわかっている。その才能を引き出すために、我々はあらゆる手を尽くすつもりだ。しかし、来季30試合に先発するという目標を彼に課すことができるだろうか。それは愚かな行為だと思う」と千賀が置かれている状況を総括した。
では、どちらのバージョンの千賀が本物なのだろうか。メジャー通算52先発で防御率3.00をマークし、9イニングあたり10個以上の三振を奪っている千賀なのか。それとも、果てしないリハビリとメカニクスの調整で球団関係者を苛立たせる千賀なのか。
千賀の契約状況を考えると、メッツは以前のような千賀が戻ってくることを期待する以外の選択肢はないだろう。今オフの補強にかかわらず、千賀はコンディションさえ万全であれば、先発ローテーションに復帰できるはずだ。しかし、ハムストリングを負傷したあと「身体が変わった」と話す33歳の右腕にとって、完全復活は保証されたものではない。千賀は「ケガをしたあと、身体は変わっていると思うので、そこはまた前向きに捉えていきながら、しっかり自分を強くして、良いパフォーマンスを来年出せるように準備したい」と話している。
今のところ、メッツは千賀を当てにすることはできないというのが現実だ。だからといって、千賀が戦力になるという期待が全くないわけではない。
「濃いオフを過ごせたらなと思っている」と語った千賀。メッツにできるのは、千賀と協力して希望を持ち続け、復活を待つことだけだ。
2025.10.9 07:08 Thursday
ブルワーズ・チューリオ ハムストリングの不安を抱えながらもスタメン出場
ブルワーズのパット・マーフィー監督は7日(日本時間8日)、ジャクソン・チューリオがハムストリングの張りを抱えていることを明かした。しかし、チューリオは8日(同9日)に行われるナショナル・リーグ地区シリーズ(NLDS)第3戦に「2番・左翼」でスタメン出場する。
チューリオはブルワーズが7-3でカブスに勝利した第2戦の試合中、脚の違和感を覚え始めた。マーフィー監督によると、九回にブランドン・ロックリッジがチューリオに代わって守備に就いたのはそれが理由だったという。4点リードで残り3アウトという状況だったが、チューリオの交代は単なる休養以上の意味を持っていた。
「彼はまた違和感を覚えたようだ」とマーフィー監督。「今日(=第2戦の当日)は治療に充てる。明日は身体を軽く動かして、第3戦に向けた準備ができることを願っているよ」と指揮官はチューリオが軽症であることを願っていた。
ブルワーズは7日(同8日)、第3戦に向けてリグレーフィールドで練習を行った。第2戦でも同様の不確実性があり、チューリオの状態はマーフィー監督が試合前に記者会見を行うまで明らかにならなかった。しかし、チューリオは当然のようにスタメン出場し、四回にリードを広げる3ラン本塁打。ブルワーズは7-3で勝利し、ナショナル・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)進出に王手をかけた。
チューリオが100%の状態ではないことを示す兆候はほかにもあった。六回、チューリオが内野安打で出塁したあと、遊撃ダンズビー・スワンソンの悪送球で二塁へ進んだ場面だ。チューリオはその後、2イニング守備に就いたが、九回にロックリッジと交代した。
チューリオは10月の戦いで見事な活躍を続けている。NLDSの最初の2試合で7打数5安打6打点の大活躍。昨年のワイルドカードシリーズも含め、ポストシーズン通算5試合で18打数10安打、3本塁打、9打点の大暴れだ。
「ほかの21歳の若者と同じように、彼にも不安や挫折してしまうようなことがあるのかもしれない。でも、彼が自分自身にかけている期待、そしてフィールド上で見せてくれているプレーは本当に素晴らしい。彼はそこに限界を設けないんだ。本当に素晴らしい人間だよ」と指揮官はメジャー2年目の若手外野手を称賛する。
「プレッシャーのかかる場面で力を発揮できるのは、あの年齢の選手としては珍しいことだ。たいていの場合、プレッシャーに負けたり、自分の能力に限界を設けたりしてしまう。でも、ジャクソンはそういう場面で燃えるんだ」とマーフィー監督はチューリオへの厚い信頼を口にした。
2025.10.9 06:21 Thursday
ブルージェイズ逆転負け 主砲の一発で先制するも守備のミスが響く
【ヤンキース9-6ブルージェイズ】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、10月7日(日本時間8日)
歴史に残るヘビー級の試合で、ブルージェイズはグローブを上げ続けることができなかった。
三回の攻撃が終了した時点で6-1とリードし、ヤンキースタジアムの観客は不満をぶつける対象をブルージェイズからヤンキースへ変えようとしていた。ブルージェイズは「自分たちの野球」をすればよかった。しかし、今年のポストシーズンで初めて、つけ入る隙を与えてしまった。
6-9で逆転負けを喫し、アメリカン・リーグ地区シリーズ(ALDS)のスイープを逃したブルージェイズにとって、自滅と言っていい試合展開だった。アーロン・ジャッジが放った左翼ポール直撃の同点3ランは、確かにポストシーズンの歴史に残る印象的な一打だ。しかし、この同点弾を生んだのは、ブルージェイズの守備のミスだった。ミスが試合の行方を決定づけた。
試合序盤は完全にブルージェイズが主導権を握っていた。主砲ブラディミール・ゲレーロJr.の3試合連発となる2ラン本塁打で初回に先制。その直後、アイザイア・カイナー=ファレファのエラーでピンチが広がり、ジャンカルロ・スタントンのタイムリーで1点を返されたが、三回に4点を追加し、6-1とリードを広げた。ところが、四回1死走者なしの場面で決定的なミスが発生した。オースティン・ウェルズが高々と打ち上げたフライを三塁アディソン・バージャーが落球したのだ。
2死走者なしになるはずだったが、1死二塁のピンチとなり、トレント・グリシャムが四球を選んで「一発が出れば同点」の状況に。ここでジャッジが左翼ポール直撃の同点3ランを放ち、ゲレーロJr.から主役の座を奪い返した。
これだけでは終わらなかった。五回に2点を勝ち越されると、六回には右翼アンソニー・サンタンデールがコディ・ベリンジャーの打球を上手く処理できず、1死二、三塁のピンチに(記録は二塁打)。ここでベン・ライスに犠牲フライを許し、ヤンキースに9点目を奪われた。
少なくとも三回以降の試合展開は、今季のブルージェイズのものではなかった。トレード期限に加入した元サイ・ヤング賞投手のシェーン・ビーバーは三回途中5安打3失点(自責点2)で降板。守備のミスに比べれば、致命的なものではなかったが、先発の役割を果たせなかったのは事実だ。
2023年から2年連続でチームのゴールドグラブ賞に輝いた鉄壁の守備にミスが出たのも痛かった。アレハンドロ・カーク、アンドレス・ヒメネス、ドールトン・バーショが形成するセンターラインは球界屈指。ロースター全体を通して、堅実な守備を見せるチームだが、ポストシーズンでは奇妙な出来事が起こることもある。ヤンキースタジアムの雰囲気に呑まれたことは否定できないだろう。
ALDSの第2戦までブルージェイズは絶好調で合計23得点を挙げた。しかし、その勢いは第3戦で陰りを見せた感がある。第4戦、ヤンキースは驚異の新人右腕キャム・シュリットラーが控えており、ブルージェイズはブルペンゲームが濃厚。2勝1敗とリードしているブルージェイズが優位の状況に変わりはないが、もし第4戦を落とせば、その状況は一変する。
今季ここまで165試合を戦ってきたブルージェイズだが、最悪の試合が最悪のタイミングで訪れた(5点リードからの逆転負けは今季初)。この苦境を乗り越え、チームの勢いを維持することはできるだろうか。
2025.10.8 13:45 Wednesday
ヤンキースがスイープ負けを回避 ジャッジの同点弾などで5点差逆転勝ち
【ヤンキース9-6ブルージェイズ】ニューヨーク/ヤンキースタジアム、10月7日(日本時間8日)
アメリカン・リーグ地区シリーズ(ALDS)第3戦の序盤、ヤンキースは「冬」の到来を待つだけ、という状況だった。5点のビハインドを背負い、本拠地ヤンキースタジアムの観客も意気消沈。10月の「失望」が現実のものとなりつつあった。しかし、頼れる主砲のアーロン・ジャッジがすべてを変えた。
四回、右腕ルイス・バーランドと対戦したヤンキースのキャプテンは、内角のフォーシームを左翼ポールにぶち当てる一発を放ち、ポストシーズンに印象的な名場面を刻んだ。この一打でヤンキースは絶望的と思われたビハインドをはね返し、6-6の同点に追いついた。
次のイニング、ジャズ・チザムJr.が勝ち越しのソロ本塁打を放ち、ヤンキースタジアムは再び大きく揺れた。最終的にヤンキースは9-6で勝利。スイープでの敗退を免れただけでなく、チームに勢いをもたらす1勝になったと言えるだろう。
試合序盤の見通しは決して明るいものではなかった。先発のカルロス・ロドンがブルージェイズ打線に捕まり、ブラディミール・ゲレーロJr.に3試合連続の本塁打を浴びるなど6失点。ブルージェイズは1点リードで迎えた三回に一挙4点を奪い、6-1とヤンキースを突き放した。
ヤンキースはALDSの第1戦と第2戦でともに2ケタ失点。2試合合計で8得点/23失点とブルージェイズに圧倒され、第3戦でも「お馴染みの光景」が繰り広げられるかに思われた。
しかし、ヤンキースの選手たちは諦めず、粘り強く戦い続けた。三回にジャッジのタイムリー二塁打とジャンカルロ・スタントンの犠牲フライで3点差に詰め寄ると、四回には1死一、二塁のチャンスが到来。ここでジャッジが打席に入り、ヤンキースタジアムは「M-V-P!」の大歓声に包まれた。
敵地ロジャースセンターでの第1戦では無死満塁の好機で三振に倒れたジャッジだが、今回はファンの期待に応えた。三塁アディソン・バージャーの落球とトレント・グリシャムの四球でもらったチャンスで打席に立ち、カウント0-2からの3球目、内角への99.7マイル(約160.5キロ)のフォーシームを強振。痛烈な打球が左翼ポール際へ飛んでいった。
ジャッジは身体を傾けながら、「フェアになれ」と祈るかのように打球の行方を見守った。まるで永遠のように感じられるほど長い時間が経過したあと、打球は左翼ポールに直撃。ジャッジがベースを1周すると、ヤンキースタジアムは歓喜と安堵に包まれた。
ジャッジは同地区のレッドソックスとブルージェイズを相手に安打を量産しており、今年のポストシーズンはすでに11安打を記録(自己最多)。まだ本塁打は出ていなかったが、今年のポストシーズン初本塁打が最高のタイミングで飛び出した。
この一打は、ストライクゾーンの中心から1.2フィート(36.6センチ)内側に投げられたボールを打ったものであり、ピッチトラッキングが開始された2008年以降、球速99マイル(約159.3キロ)以上で、これだけ内側に投げられたボールが本塁打になったのは初めてだった。また、ジャッジがストライクゾーン外のボールを本塁打にしたのも今季初だった。
ホームベースに近づくと、ジャッジはヘルメットを軽くたたき、グリシャムと前腕をぶつけ合って喜んだ。その後、ダグアウトでハイタッチの嵐の中に姿を消し、ハイタッチをひと通り終えると、テレビカメラを指差した。
同点弾を放った直後、五回の守備に就いたジャッジは、ファンの歓声に迎えられながらアンソニー・サンタンデールのライナーを好捕。再びファンを喜ばせた。
五回にチザムJr.の一発などで2点を勝ち越したヤンキースは、六回にベン・ライスの犠牲フライでさらに1点を追加。ブルペンは合計6回2/3を無失点に抑える力投を見せ、ALDS第4戦以降に望みをつないだ。
2025.10.8 13:11 Wednesday
タイガース1勝2敗と追い込まれる 先発フラハティが踏ん張れず
【タイガース4-8マリナーズ】デトロイト/コメリカパーク、10月7日(日本時間8日)
コメリカパークでは雨が降り、タイガースとマリナーズが対戦するアメリカン・リーグ地区シリーズ(ALDS)第3戦は3時間遅れでスタートした。タイガースが16日ぶりのホームゲームに臨む中、満員の観客席ではオレンジ色のタオルが振られ、タイガースの選手たちを後押ししていた。
タイガースの関係者が想像していた以上の光景だったが、試合は4-8で敗戦。久々のホームゲームを待ちわびていた地元ファンに勝利を届けることはできなかった。
シーズン終盤の苦戦を乗り越え、ポストシーズンに進出したタイガース。ワイルドカード・シリーズも含め、2週間以上にわたる遠征を終えてホームに戻ってきた。タイガースが本拠地コメリカパークで勝利したのは9月6日(同7日)が最後。1勝2敗と追い込まれたタイガースは、2025年シーズンの戦いを延長するために、ALDS第4戦で約1カ月ぶりとなるホームでの白星を挙げることがマストとなる。
A・J・ヒンチ監督はマリナーズ先発の右腕ローガン・ギルバートに対し、上位打線に左打者を多く並べた。また、休養十分のブルペンも先発のジャック・フラハティをサポートする準備ができていた。マリナーズの強みに対抗すべく、ヒンチ監督はあらゆる手を尽くしたのだ。しかし、マリナーズは投打両面でタイガースを上回った。タイガースは最終回に3点を返して意地を見せたものの、試合前半のビハインドをはね返すことができなかった。
マリナーズは三回に3連打で2点を先制。1点目は左翼ライリー・グリーンから本塁へのスローイングが悪送球となって生まれたものだった。
早めの継投を好むヒンチ監督だが、2点を先制されたあともフラハティを続投させることを選択。フラハティは無死一、二塁からフリオ・ロドリゲスとホルヘ・ポランコを連続三振に仕留め、ジョシュ・ネイラーには右中間への大飛球を打たれたものの、センターフライに打ち取ってピンチを切り抜けた。しかし、四回先頭のエウヘニオ・スアレスにソロ本塁打を浴び、1死一塁となって降板。この走者がカル・ローリーのタイムリーで生還したため、3回1/3で降板したフラハティには4失点(自責点3)が記録された。
ヒンチ監督が打線を組み替え、ケリー・カーペンターを1番打者に起用したのは、マリナーズのダン・ウィルソン監督に「右腕のギルバートを左打者のカーペンターと3度対戦させるか」という決断を迫るためだった。ウィルソン監督には、3巡目もギルバートを続投させる、もしくはリリーフ左腕のゲーブ・スパイアーを早めに投入する、という2つの選択肢があった。
カーペンターの3打席目は五回1死一、三塁のチャンスで回ってきた。ウィルソン監督はスパイアー投入ではなく、ギルバートの続投を選択。タイガースにとっては4点ビハインドから追い上げるチャンスだったが、カーペンターのセカンドゴロが併殺崩れとなる間に1点を返すだけにとどまった。
タイガースは7点ビハインドの九回に3点を返して意地を見せたが、4-8で敗戦。打線がなかなかチャンスをモノにできないという状況がポストシーズンに入ってからも続いている。ヒンチ監督は打線を組み替えたり、代打を起用したりして、なんとか優位なマッチアップを作り出そうとしているが、それが得点につながるかどうかは、最終的には打者次第だ。
追い込まれて迎えるALDS第4戦。タイガースの打者たちには奮起が求められる。
2025.10.8 11:58 Wednesday
マリナーズがALCS進出に王手 ギルバートの好投に打線が3本塁打で応える
【タイガース4-8マリナーズ】デトロイト/コメリカパーク、10月7日(日本時間8日)
マリナーズのローガン・ギルバートはアメリカン・リーグ地区シリーズ(ALDS)第3戦に先発。序盤は比較的おとなしかったが、ゆっくりと着実にマウンド上での力強い姿を取り戻していった。
ギルバートのニックネームは「ウォルター」。それはギルバートの人間性だけでなく、精神性も表している。マウンドの外では穏やかだが、マウンド上では力強いピッチングで三振を量産する。敵地コメリカパークで行われたALDS第3戦の序盤、ギルバートはまだ殻を破れていなかったが、試合が進むにつれて、力強さを増していった。
「粘り強い」と言われるタイガース打線を相手に、ギルバートは敵地ながらも素晴らしいピッチングを見せた。自慢のスプリットを武器に相手打線を翻弄し、6回4安打1失点の好投。7つの三振を奪い、四球は1つも与えなかった。
打線は三回に2点を先制すると、四回にもエウヘニオ・スアレスのソロ本塁打などで2得点。六回にはJ・P・クロフォードのソロ本塁打で5-1と突き放し、5点リードで迎えた九回にはカル・ローリーにダメ押しの2ラン本塁打が飛び出した。ギルバートの好投を打線が援護し、タイガースに8-4で勝利。2001年以来24年ぶり、球団史上4度目となるアメリカン・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)進出まであと1勝に迫った。
ちなみに、周知の事実ではあるが、マリナーズは全30球団の中で唯一、ワールドシリーズ出場の経験がないチームである。
2025.10.8 11:25 Wednesday