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大谷翔平はいかに最強打者になったのか? 成長をデータで分析

 大谷翔平は球場でこれまで誰も見たことのないようなことをやっている。

 読者の皆さんにとっては当たり前のことかもしれないが、近年の大谷の活躍を振り返るのに悪い時期というのはない。この二刀流の天才は3年連続でMVPに輝き、そのうち2回はドジャース時代に受賞。また、大谷はロサンゼルス・ドジャースのワールドシリーズ連覇にも貢献した。  ドジャースに入団1年目、大谷は「50-50(50本塁打50盗塁)」の新記録を打ち立てた。そして今季、リーグ優勝を決めたポストシーズンの試合では、打っては3本塁打を放ち、投げては6回無失点、10三振の前人未到のパフォーマンスを見せた。ワールドシリーズでは1試合に4長打、そして9度の出塁を記録した。  大谷の成功の明白な理由は誰もが知っている。2024年以降、大谷はどの打者よりも多くのボールをバレルゾーン(理想的な打球速度と打球角度の組み合わせ)に打ち込み、同期間における盗塁数(79)はMLB4位であり、2025年にはかつてないほどの好調ぶりでマウンドに復帰した。しかし、もし可能なら、大谷に関してあまり報道されていないのは、過去の弱点をどのように克服し、真のスーパースターへと成長したかということだろう。  大谷の成功の秘訣のうち、特に打者としての活躍に注目して、過小評価されている点をいくつか見てみよう。

どの球種も大谷に対して安全ではない

 大谷はエンゼルスでプレーした最初の3シーズン、直球に強い打者だった。直球に対しては長打率.586を記録し、556打席で36本塁打を放った。しかし、変化球(ブレーキングボールやオフスピードボール)に対しては弱く、長打率.396、本塁打は11本にとどまった。大谷はエンゼルスで2021年にブレイクし、自身初のMVP受賞という快挙を成し遂げた。このシーズンを境に、あらゆる球種を力強く打ち分ける打者として成熟の兆しが見え始めた。直球、変化球、そして緩急を問わず、その強さはエンゼルスでの最終シーズンとなった2023年以降、さらに強烈なものとなっている。

大谷の球種別長打率(2021年以降)

2021年:対直球.630 / 直球以外.557 2022年:対直球.582 / 直球以外.460 2023年:対直球.783 / 直球以外.558 2024年:対直球.577 / 直球以外.714 2025年:対直球.648 / t

ジャイアンツ:ボー・ビシェット

 ジャイアンツは過去4シーズン、毎年79-81勝を挙げているが、勝率5割を超えた(プレーオフに出場した)シーズンはわずか1度しかない。三塁手マット・チャップマン、遊撃手ウィリー・アダメス、一塁手ラファエル・デバースを獲得したにもかかわらず、ジャイアンツはスター選手の獲得を切望している。タッカーやFA市場でトップの先発投手も選択肢に入るだろうが、ビシェットはジャイアンツの弱点である二塁を埋め、スター揃いの内野陣を完成させるだろう。ビシェットのコンタクト・ラインドライブ重視の打撃スタイルは、広大なオラクルパークでは本塁打が減るかもしれないが、多くの安打を生み出すだろう。

メッツ:コディ・ベリンジャー

 ベリンジャーがヤンキース、あるいはドジャースに復帰する可能性は十分に考えられる。しかし、ベリンジャーの持つ強みは、ピート・アロンソ、ジェフ・マクニール、ブランドン・ニモという3人の柱を失ったメッツのロースター(出場選手登録)にとって理想的な組み合わせと言えるだろう。ベリンジャーは、メッツが現在空席となっている3つのポジション、つまりセンター、レフト、そして一塁をカバーしてくれるだろう。また、打線に強打者が加わるだけでなく、2025年には明らかに平均以下の守備を強化するというメッツの目標達成にも貢献するだろう。ヤンキースからもう一人のキーマンを獲得することも、悪くないボーナスとなるだろう。

オリオールズ:レンジャー・スアレス

 オリオールズは今オフ、どの球団よりも積極補強を行っており、2025年の惨敗を過去のものにしようと躍起になている。ピート・アロンソとテイラー・ウォードを打線に加え、ライアン・ヘルスリーを守護神に迎え、大型トレードでシェーン・バズを獲得して、ウォードの対価として放出したグレイソン・ロドリゲスからのアップグレードを図った。しかし、先発ローテはケガに苦しんだ投手たちに依存しており、依然として手薄だ。スアレスはイニングを消化するタイプではなく(フルタイムの先発として4シーズンで平均147イニング)、そして典型的なエースのような投球をする投手でもない。しかし、スアレスは仕事をこなし、失点を抑えられる。ポストシーズンでも輝かしい実績を残した。

ヤンキース:今井達也

 2020年シーズン後に田中将大が退団してから、ヤンキースは日本人投手がプレーしていないが、今そのブランクにピリオドを打つ良い機会だ。ヤンキースは先発投手の補強が切実に必要というわけではないかもしれないが、肘の手術から復帰した3人の投手(カルロス・ロドン、ゲリット・コール、クラーク・シュミット)に頼っているのも事実。さらにコールとシュミットはトミー・ジョン手術からのリハビリ中だ。キャム・シュリトラーとウィル・ウォーレンは2025年には共に新人で経験が浅く、ルイス・ギルは防御率は堅調だったものの、11回の先発登板で不安定なパフォーマンスだった。NPBから移籍してくる選手にはリスクがないわけではないが、NPBでコンスタントに素晴らしい成績を残している27歳の今井は、マックス・フリードの次の2番手として、ローテーション崩壊を防ぐ保険となる。

カブス:フランバー・バルデス

 カブスがタッカーの引き止めや穴埋めをしないのならば、先発1・2番手級を補強する必要があるのは明らかだ。マシュー・ボイドは今季素晴らしい投球だったが、もうすぐ35歳になり、これまでもケガがちのキャリアを送ってきた。ケイド・ホートンはまだMLBで22先発の経験しかない。今永昇太は今季後半に痛恨の不振に陥った。ナ・リーグ中地区首位のブルワーズの牙城を崩すことができていないカブスにとって、この布陣は十分ではない。バルデスはFAの先発投手の中で、最も洗練された経歴(2022年から年間平均30先発、防御率3.21)を持ち、ダンズビー・スワンソンとニコ・ホーナーを筆頭に内野守備が強力なカブスと相性が良い、ゴロを打たせる投球スタイルが真骨頂だ。

マリナーズ:エウヘニオ・スアレス

 マリナーズに最初に在籍した2022-23年ではファンとクラブハウスに愛されたスアレスだが、今夏にトレードで復帰してからは目立たないパフォーマンスに終わった(53試合でOPS.682)。それでも、マリナーズにはスアレスを引き留める感情以上の理由がある。現在、マリナーズの正三塁手と予想されているのはベン・ウィリアムソン(1年目の今季はOPS.604)であり、トッププロスペクトのコルト・エマーソンがシーズン途中から定位置争いに加わると見られている。マリナーズは左腕キラーのロブ・レフスナイダーと1年契約を結んだばかりだが、それでもスアレスを指名打者に回す余裕がある(マリナーズは来季の三塁手の成績予測がMLB22位、指名打者で同15位)。スアレスにはまだ強烈な打力が残されており、マリナーズの優勝の野望に貢献できるだろう。

パイレーツ:岡本和真

 パイレーツはここ1週間、ブランドン・ラウとのトレードを成立させ、FAのライアン・オハーンとの契約に合意するなど、攻撃面の弱点を補うのに忙しくしてきた。だが、パイレーツがさらに多額の出費をいとわない限り、2025年にMLBで5番目に少ない失点数ながら最も得点数が低かったチームがそこで止まる理由はない。もしパイレーツがポール・スキーンズ率いる投手陣にチームを10月まで導く最高のチャンスを与えたいのであれば、2023年には41本塁打を放つなど、NPBで安定した打撃力を発揮した29歳の岡本を獲得するのは全く理にかなっている。岡本がもし打線の層を厚くしながら三塁を守ることができれば、ジャレッド・トリオロを便利屋として起用し続けられるだろう。また、オハーンとスペンサー・ホーウィッツの左打者コンビが担う一塁・指名打者の保険にもなる。

ロッキーズ:ルイス・アライズ

 誰もが目にしたい光景だろう。クアーズフィールドは、単打を打つには断然最高の球場だ(二塁打でもほぼ最高だ)。そして、アライズは単打の達人だ。81試合を通して、その実力がどのように発揮されるかを見るのは、きっと面白いだろう。2025年、ロッキーズはエンゼルスに次ぐどのチームよりも三振を喫し、バットでボールを捉えられる選手を必要としている。そして、アライズは誰よりもその能力に優れている。コロラドの新しいフロントは、次世代の強力なロッキーズを築くことに注力する必要があるが(アライズはおそらくその時にはチームにいないでしょう)、アライズを短期契約で獲得し、うまくいけば将来有望株と交換するチャンスを与えても、それほど問題にはならないだろう。

ブレーブス:ザック・ギャレン

 ブレーブスの先発ローテは健康面の問題から2025年に崩壊し、優勝候補だったチームが89勝から76勝に転落する大きな要因となった。ブレーブスは未だに強力なチームだが、先発ローテの面々は健康状態に問題を抱えていたり、MLBでの実績が限られていたり、不安定だ。2019年途中にMLBに定着し、高い安定感を発揮してきたギャレンは、魅力的な候補だ。ギャレンは今季、防御率が4.83に急上昇し、懸念材料を残したものの、終盤は比較的好調だった。近年、投手育成で成果を残しているブレーブスへの移籍は、双方にとってプラスに働くかもしれない。

フィリーズ:JT・リアルミュート

 3月に35歳になり、衰えの兆候が顕著な捕手との契約にフィリーズが慎重な理由はいくつかある。しかし、リアルミュートをフィラデルフィアで8年目のシーズンに復帰させるには、さらに明確な理由がある。このチームは優勝のチャンスを活かすため、明らかに焦りを感じている。そして、リアルミュートがいない現状のフィリーズ捕手陣はリーグ最下位レベルと見込まれている。FA市場にはリアルミュート以上の選択肢はなく、トレードによる解決策は獲得が困難で、才能の面でもかなりの費用がかかるだろう。球界、そしてFA市場にも確実なことは何もないが、フィラデルフィアがリアルミュートを引き留めるのは時間の問題だろう。

パドレス:クリス・バシット

 マイケル・キングを復帰させた後も、パドレスは2026年シーズンを乗り切るためのイニングを組み立てるだけでなく、プレーオフを争う方法を見つけ出さなければならない。シースがブルージェイズに流出し、昨夏にスティーブン・コレクとライアン・バーガートがロイヤルズにトレードされ、ダルビッシュ有も全休が決まっているため、2025年の先発した投手の約半分がいなくなってしまった。ジョー・マスグローブはトミー・ジョン手術から復帰に向けて準備を進めているが、高額のフリーエージェント獲得による解決策は考えにくいだろう。AJ・プレラーが大型トレードを成立させる可能性も否定できないが、バシットとの契約は代替案として非常に理にかなっている。 36歳の右腕は現時点では高額な契約を要求することはないだろうが、4年連続で170イニングの記録を達成し、 2018年以降は毎年ERA+でリーグ平均かそれ以上の成績を残している。バシットとの契約は良い保険になりそうだ。

レイズ:ルーカス・ジオリト

 ジオリトは2021年に3年連続となるサイ・ヤング賞レースでの投票を得てから、波乱の4シーズンを送ってきた。右肘の手術のため2024年シーズンを全休したが、今季はレッドソックスでやや復活を遂げた。しかし、スタットキャストのデータによると防御率3.41はxERA(打球の質も加味して算出される期待防御率)5.00と、水面下で懸念される多くの数字を覆すものだった。とはいえ、レイズでキャリアを再生させたベテラン投手はジオリトが初めてではないだろうし、レイズはバズをトレードに出したことで先発ローテーションの補強が必要になる。頼みの綱のシェーン・マクラナハンも長く続いたケガの離脱期間からの復帰を目指す段階にある。レイズが今夏優勝争いに加われなくても、復活したジオリトはトレードデッドラインで注目される物件になるだろう。

その他

ガーディアンズ:ハリソン・ベイダー

 ガーディアンズは常に外野手不足に喘いでいる。さらに今季のガーディアンズは歴史的水準で右打者がおらず、右打ちのベイダーは理想的な補強だ。

カージナルス:ザック・エフリン

 再建に舵を切ったカージナルスだが、人手不足かつ若手が多い先発ローテに指南役・保険となり得るベテランは必要だ。

アスレチックス:タイラー・マーリー

 マーリーは健康維持に苦労しているが、健康ならば戦力になる。アスレチックスが強力打線を誇る一方、先発ローテには疑問が残る。

タイガース:ジャスティン・バーランダー

 キャリアの終盤における選手とチームの再会にわれわれは弱いが、バーランダーはまだ実力を維持している。タイガースの先発ローテにとって良い補強となるだろう。

2025.12.26 13:52 Friday

14人の有力FA選手にフィットする球団 岡本&今井の行き先は

 クリスマスを迎えたこの日、ドジャースがワールドシリーズ第7戦でブルージェイズを破ってからほぼ2ヵ月が経った。そして、投手と捕手が2月にスプリングトレーニングを開始するまでも残り2ヵ月で、オフシーズンはちょうど折り返しに差し掛かっている。

 多くのチームが既に大型補強を行っているが、ストーブリーグ閉幕までにまだ多くの動きが起こるだろう。MLB.comのマーク・フェインサンドが選んだオフシーズンのフリーエージェント(FA)トップ30のうち、約半数の14人が未だ契約していない。

ブルージェイズ:カイル・タッカー

 ブルージェイズは、2025年の優勝にあと一歩のところまで迫った後、このオフシーズンにその目標達成に向けて全力を尽くしていることを隠そうとはしていない。ブルージェイズは迅速にディラン・シースとコディ・ポンセを先発ローテーションに、タイラー・ロジャースをブルペン陣に加えた。しかし、FAでボー・ビシェットを失い、外野陣を強化することはまだできていない。ブルージェイズは、ビシェットが二塁手への転向に前向きであることを考えれば、ビシェットを単純に復帰させるという選択肢もあるだろう。しかし、ブラディミール・ゲレーロJr.とコンビを組むためにタッカーのような左打者を獲得することは、さらに大きなインパクトを与える可能性がある。タッカーの稀有なスキルの組み合わせは、ブルージェイズの優勝への希望を後押しするものであり、彼の加入は、ブルージェイズがエリート選手を引きつけ(そして獲得し)ることができるフランチャイズとしての地位を間違いなく確立するだろう。

レッドソックス:アレックス・ブレグマン

 レッドソックスのクレイグ・ブレスロー編成部長は、月曜日に一塁手ウィルソン・コントレラスを獲得した後も、レッドソックスが打者の補強を模索していると明かした。それはほぼ確実に内野手を意味し、それはビシェットのような別のFA選手の獲得、あるいはケテル・マルテ(ダイヤモンドバックス)やブレンダン・ドノバン(カージナルス)のような選手のトレード獲得だろう。しかし、今季クラブハウスのリーダーとしての地位を確立し、すでに適任であることが分かっている選手をなぜ選ばないのか?ブレグマンの全体的な成績は好調で、レッドソックスは5月下旬に右大腿四頭筋を負傷するまで打率.299、出塁率.385、長打率.553を記録した際にブレグマンの最高の状態を見ることができた。ブレグマンをホットコーナーに留めることで、ボストンはマルセロ・マイヤーを二塁に留め、センターラインの守備も強化できる。

ジャイアンツ:ボー・ビシェット

 ジャイアンツは過去4シーズン、毎年79-81勝を挙げているが、勝率5割を超えた(プレーオフに出場した)シーズンはわずか1度しかない。三塁手マット・チャップマン、遊撃手ウィリー・アダメス、一塁手ラファエル・デバースを獲得したにもかかわらず、ジャイアンツはスター選手の獲得を切望している。タッカーやFA市場でトップの先発投手も選択肢に入るだろうが、ビシェットはジャイアンツの弱点である二塁を埋め、スター揃いの内野陣を完成させるだろう。ビシェットのコンタクト・ラインドライブ重視の打撃スタイルは、広大なオラクルパークでは本塁打が減るかもしれないが、多くの安打を生み出すだろう。

メッツ:コディ・ベリンジャー

 ベリンジャーがヤンキース、あるいはドジャースに復帰する可能性は十分に考えられる。しかし、ベリンジャーの持つ強みは、ピート・アロンソ、ジェフ・マクニール、ブランドン・ニモという3人の柱を失ったメッツのロースター(出場選手登録)にとって理想的な組み合わせと言えるだろう。ベリンジャーは、メッツが現在空席となっている3つのポジション、つまりセンター、レフト、そして一塁をカバーしてくれるだろう。また、打線に強打者が加わるだけでなく、2025年には明らかに平均以下の守備を強化するというメッツの目標達成にも貢献するだろう。ヤンキースからもう一人のキーマンを獲得することも、悪くないボーナスとなるだろう。

オリオールズ:レンジャー・スアレス

 オリオールズは今オフ、どの球団よりも積極補強を行っており、2025年の惨敗を過去のものにしようと躍起になている。ピート・アロンソとテイラー・ウォードを打線に加え、ライアン・ヘルスリーを守護神に迎え、大型トレードでシェーン・バズを獲得して、ウォードの対価として放出したグレイソン・ロドリゲスからのアップグレードを図った。しかし、先発ローテはケガに苦しんだ投手たちに依存しており、依然として手薄だ。スアレスはイニングを消化するタイプではなく(フルタイムの先発として4シーズンで平均147イニング)、そして典型的なエースのような投球をする投手でもない。しかし、スアレスは仕事をこなし、失点を抑えられる。ポストシーズンでも輝かしい実績を残した。

ヤンキース:今井達也

 2020年シーズン後に田中将大が退団してから、ヤンキースは日本人投手がプレーしていないが、今そのブランクにピリオドを打つ良い機会だ。ヤンキースは先発投手の補強が切実に必要というわけではないかもしれないが、肘の手術から復帰した3人の投手(カルロス・ロドン、ゲリット・コール、クラーク・シュミット)に頼っているのも事実。さらにコールとシュミットはトミー・ジョン手術からのリハビリ中だ。キャム・シュリトラーとウィル・ウォーレンは2025年には共に新人で経験が浅く、ルイス・ギルは防御率は堅調だったものの、11回の先発登板で不安定なパフォーマンスだった。NPBから移籍してくる選手にはリスクがないわけではないが、NPBでコンスタントに素晴らしい成績を残している27歳の今井は、マックス・フリードの次の2番手として、ローテーション崩壊を防ぐ保険となる。

カブス:フランバー・バルデス

 カブスがタッカーの引き止めや穴埋めをしないのならば、先発1・2番手級を補強する必要があるのは明らかだ。マシュー・ボイドは今季素晴らしい投球だったが、もうすぐ35歳になり、これまでもケガがちのキャリアを送ってきた。ケイド・ホートンはまだMLBで22先発の経験しかない。今永昇太は今季後半に痛恨の不振に陥った。ナ・リーグ中地区首位のブルワーズの牙城を崩すことができていないカブスにとって、この布陣は十分ではない。バルデスはFAの先発投手の中で、最も洗練された経歴(2022年から年間平均30先発、防御率3.21)を持ち、ダンズビー・スワンソンとニコ・ホーナーを筆頭に内野守備が強力なカブスと相性が良い、ゴロを打たせる投球スタイルが真骨頂だ。

マリナーズ:エウヘニオ・スアレス

 マリナーズに最初に在籍した2022-23年ではファンとクラブハウスに愛されたスアレスだが、今夏にトレードで復帰してからは目立たないパフォーマンスに終わった(53試合でOPS.682)。それでも、マリナーズにはスアレスを引き留める感情以上の理由がある。現在、マリナーズの正三塁手と予想されているのはベン・ウィリアムソン(1年目の今季はOPS.604)であり、トッププロスペクトのコルト・エマーソンがシーズン途中から定位置争いに加わると見られている。マリナーズは左腕キラーのロブ・レフスナイダーと1年契約を結んだばかりだが、それでもスアレスを指名打者に回す余裕がある(マリナーズは来季の三塁手の成績予測がMLB22位、指名打者で同15位)。スアレスにはまだ強烈な打力が残されており、マリナーズの優勝の野望に貢献できるだろう。

パイレーツ:岡本和真

 パイレーツはここ1週間、ブランドン・ラウとのトレードを成立させ、FAのライアン・オハーンとの契約に合意するなど、攻撃面の弱点を補うのに忙しくしてきた。だが、パイレーツがさらに多額の出費をいとわない限り、2025年にMLBで5番目に少ない失点数ながら最も得点数が低かったチームがそこで止まる理由はない。もしパイレーツがポール・スキーンズ率いる投手陣にチームを10月まで導く最高のチャンスを与えたいのであれば、2023年には41本塁打を放つなど、NPBで安定した打撃力を発揮した29歳の岡本を獲得するのは全く理にかなっている。岡本がもし打線の層を厚くしながら三塁を守ることができれば、ジャレッド・トリオロを便利屋として起用し続けられるだろう。また、オハーンとスペンサー・ホーウィッツの左打者コンビが担う一塁・指名打者の保険にもなる。

ロッキーズ:ルイス・アライズ

 誰もが目にしたい光景だろう。クアーズフィールドは、単打を打つには断然最高の球場だ(二塁打でもほぼ最高だ)。そして、アライズは単打の達人だ。81試合を通して、その実力がどのように発揮されるかを見るのは、きっと面白いだろう。2025年、ロッキーズはエンゼルスに次ぐどのチームよりも三振を喫し、バットでボールを捉えられる選手を必要としている。そして、アライズは誰よりもその能力に優れている。コロラドの新しいフロントは、次世代の強力なロッキーズを築くことに注力する必要があるが(アライズはおそらくその時にはチームにいないでしょう)、アライズを短期契約で獲得し、うまくいけば将来有望株と交換するチャンスを与えても、それほど問題にはならないだろう。

ブレーブス:ザック・ギャレン

 ブレーブスの先発ローテは健康面の問題から2025年に崩壊し、優勝候補だったチームが89勝から76勝に転落する大きな要因となった。ブレーブスは未だに強力なチームだが、先発ローテの面々は健康状態に問題を抱えていたり、MLBでの実績が限られていたり、不安定だ。2019年途中にMLBに定着し、高い安定感を発揮してきたギャレンは、魅力的な候補だ。ギャレンは今季、防御率が4.83に急上昇し、懸念材料を残したものの、終盤は比較的好調だった。近年、投手育成で成果を残しているブレーブスへの移籍は、双方にとってプラスに働くかもしれない。

フィリーズ:JT・リアルミュート

 3月に35歳になり、衰えの兆候が顕著な捕手との契約にフィリーズが慎重な理由はいくつかある。しかし、リアルミュートをフィラデルフィアで8年目のシーズンに復帰させるには、さらに明確な理由がある。このチームは優勝のチャンスを活かすため、明らかに焦りを感じている。そして、リアルミュートがいない現状のフィリーズ捕手陣はリーグ最下位レベルと見込まれている。FA市場にはリアルミュート以上の選択肢はなく、トレードによる解決策は獲得が困難で、才能の面でもかなりの費用がかかるだろう。球界、そしてFA市場にも確実なことは何もないが、フィラデルフィアがリアルミュートを引き留めるのは時間の問題だろう。

パドレス:クリス・バシット

 マイケル・キングを復帰させた後も、パドレスは2026年シーズンを乗り切るためのイニングを組み立てるだけでなく、プレーオフを争う方法を見つけ出さなければならない。シースがブルージェイズに流出し、昨夏にスティーブン・コレクとライアン・バーガートがロイヤルズにトレードされ、ダルビッシュ有も全休が決まっているため、2025年の先発した投手の約半分がいなくなってしまった。ジョー・マスグローブはトミー・ジョン手術から復帰に向けて準備を進めているが、高額のフリーエージェント獲得による解決策は考えにくいだろう。AJ・プレラーが大型トレードを成立させる可能性も否定できないが、バシットとの契約は代替案として非常に理にかなっている。 36歳の右腕は現時点では高額な契約を要求することはないだろうが、4年連続で170イニングの記録を達成し、 2018年以降は毎年ERA+でリーグ平均かそれ以上の成績を残している。バシットとの契約は良い保険になりそうだ。

レイズ:ルーカス・ジオリト

 ジオリトは2021年に3年連続となるサイ・ヤング賞レースでの投票を得てから、波乱の4シーズンを送ってきた。右肘の手術のため2024年シーズンを全休したが、今季はレッドソックスでやや復活を遂げた。しかし、スタットキャストのデータによると防御率3.41はxERA(打球の質も加味して算出される期待防御率)5.00と、水面下で懸念される多くの数字を覆すものだった。とはいえ、レイズでキャリアを再生させたベテラン投手はジオリトが初めてではないだろうし、レイズはバズをトレードに出したことで先発ローテーションの補強が必要になる。頼みの綱のシェーン・マクラナハンも長く続いたケガの離脱期間からの復帰を目指す段階にある。レイズが今夏優勝争いに加われなくても、復活したジオリトはトレードデッドラインで注目される物件になるだろう。

その他

ガーディアンズ:ハリソン・ベイダー

 ガーディアンズは常に外野手不足に喘いでいる。さらに今季のガーディアンズは歴史的水準で右打者がおらず、右打ちのベイダーは理想的な補強だ。

カージナルス:ザック・エフリン

 再建に舵を切ったカージナルスだが、人手不足かつ若手が多い先発ローテに指南役・保険となり得るベテランは必要だ。

アスレチックス:タイラー・マーリー

 マーリーは健康維持に苦労しているが、健康ならば戦力になる。アスレチックスが強力打線を誇る一方、先発ローテには疑問が残る。

タイガース:ジャスティン・バーランダー

 キャリアの終盤における選手とチームの再会にわれわれは弱いが、バーランダーはまだ実力を維持している。タイガースの先発ローテにとって良い補強となるだろう。

2025.12.26 12:53 Friday

大学野球とMLBはいかに密接になったか ドラフト即活躍の新人が増える理由

 トニー・ヴィテロは最初の男かもしれない。しかし、彼は運命を決める男でもある。

 今オフ早々にジャイアンツは、史上初めて大学野球の現職監督をMLBの監督として採用し、ヴィテロを新監督に任命した。当然ながら、人々はそれを衝撃的で、状況を大きく変える出来事と評した。テネシー大学で全米選手権とSECトーナメント2回制覇を果たしたヴィテロ氏が、メジャーリーグのクラブハウスを魅了できるかどうか、人々の関心は当然ながら高まっている。

 しかし、ジャイアンツがヴィテロを雇用したことは奇妙に思えるかもしれないが、プロ・アマの密着が進み、データを取り入れた選手育成環境が急速に加速している野球業界においては、それは避けられない結果だったとも言える。 「もっと髪を短い、もっと評判の良い人が、大学野球とメジャーリーグがより緊密に結びつくべきだと言ってくれるといいのだが。最終的に、一緒に協力することでメジャーリーグはより良いものになり、ファンにとっても素晴らしいことだと思う」と、ヴィテロ新監督はウィンターミーティングで語った。

 ヴィテロが去った大学野球と、彼が参入するMLBは、かつてないほど密接に絡み合っている。

 ヴィテロは慣習を打ち破って監督に採用されたが、これまでも大学野球での指導経験がある監督はいた。ブルワーズで2年連続最優秀監督賞に輝いているパット・マーフィーは、ノートルダム大学とアリゾナ州立大学で長年監督を務めてから、MLBの世界に入った(最初は特別補佐、次にマイナーの監督、そしてMLBでベンチコーチを歴任)。そして、ツインズも2019年にアーカンソー大学から投手コーチのウェス・ジョンソンを引き抜き、ジョンソンは2022年に大学野球へと戻り、ルイジアナ州立大学の投手コーチに就任した。また、タイガースは2020年にかつてミシガン大学で投手コーチを務めたクリス・フェッターを採用している。

 大学野球とMLBを結びつけているのは、指導者だけではない。テクノロジーと施設の充実により、より洗練された大学野球出身のドラフト指名選手がマイナーリーグへ送り込まれ、中には即座にMLBでスターダムを駆け上がる選手もいる。

 パイレーツのサイ・ヤング賞右腕ポール・スキーンズは、その最たる例だ。ルイジアナ州立大学でカレッジワールドシリーズの先発を務めた翌年には、MLBのオールスターでナ・リーグの先発投手を任された。

 アスレチックスの一塁手ニック・カーツは2024年にウェイクフォレスト大学で活躍。そして、2025年にはいきなりMLBで活躍し、ア・リーグ新人王を満票受賞した。

 トレイ・イェサベージはイーストカロライナ大学からプロ入りし、ワールドシリーズの舞台で勝利投手になるまで、マイナーで25試合の下積みしか積んでいなかった。

 その3人は特別な才能であり、極端な例だろうか?確かにそうかもしれない。しかし、2024年まで大学でプレーしていた選手で2025年にメジャーデビューを果たした選手は8人、23年まで大学でプレーしていた選手が18人いた。つまり、ここでは何か重大なことが起こっているのだ。

 カーツを指導するアスレチックスのマーク・コッツェイ監督は言う。 「大学の試合は、マイナーリーグの非常に高いレベルにどんどん近づいてきている。ルイジアナ州立大学の投手陣の中には、メジャーリーグのブルペンに投入しても1イニングを投げ切れる選手がいる。彼らは全員時速97マイル(156キロ)以上の球を投げているのだから」

 エンゼルスのペリー・ミナシアンGMはこう付け加える。 「SEC(アメリカ大学野球の強豪カンファレンス)のどの大学に行っても、トップレベルの先発投手が登板するのは金曜日だけではないよね。土曜日も日曜日もそうだ。リリーフ陣からは、直球だけでなく変化球もかなりの球速で投げてくる選手たちが出てくる。だから、(大学野球とMLBにおける)試合のスピードの違いは以前ほど劇的ではないかもない」

 大学野球の選手たちがMLBの舞台にすぐに駆け上がっている一因、大学野球で利用できるツールが改善されたことにある。結局は、お金の問題でもあるのだ。

 一つには、大学が指導者への投資をかつてないほど増やしていることが挙げられる。ベースボール・アメリカによれば、大学野球の指導者の年俸上位15人はいずれも年間100万ドル(約1億5000万円)をはるかに上回る。そして、ルイジアナ州立大学のジェイ・ジョンソン監督に至っては、年間300万ドル(約4億6000万円)を超える画期的な新契約を締結したばかりだ。

 監督と同様に、投手コーチや打撃コーチにもより多くの資金が投入され、国内トップクラスの指導者が大学生を指導するようになった。 「僕がサンタバーバラ大学にいたときは打撃コーチはいなかったよ。一人もいなかったんだ。ましてや3人なんて」と、レンジャーズのスキップ・シューメイカー新監督は笑いながら語る。 レッズのテリー・フランコーナ監督も「SECでは、コーチ陣の給料は私たちのコーチ陣より多い」と付け加えた。

 つまり、大学野球の指導者は以前よりも優秀になり、施設も同様に良くなった。

 ブルージェイズがフロリダ州ダニーデンに、今では傑作として知られる春季トレーニング施設を建設する計画を立てていたとき、ブルージェイズは強豪大学の施設を視察。動作パターン、投球フォーム、スイングのメカニクスに関する客観的なデータを提供するイノベーションを最も効果的に導入する方法についてのアイデアを得るため、ウェイクフォレスト大学やヴァンダービルト大学を訪れた。 「多くの点で大学のプログラムをモデルにしていた。(球団社長の)マーク(シャパイロ)と彼のチームは、大学やサッカー、フットボールの施設を回って、『さて、何が足りないのか?』と自問自答していた。ですから、その点では、われわれもそれに追いつこうとしていたのだ。大学から多くの若い選手がわれわれの最新鋭の施設にやってきているけど、彼らにとってはそれが当たり前の環境なんだ。競争におけるわれわれ優位性は、まさにそこにあると思う」と、ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督は言う。

 イェサベージのような投手は、長年にわたって自分の球速と回転数を評価できるツールを活用していた。同様に、カーツのような打者もスイング軌道が分かるデータにアクセスできていた。したがって、彼らは特別な素質を持っているかもしれないが、同時にMLBのレベルの早く適応できるだけの最先端の知識を十分に持ち合わせていた。 「彼らは即戦力として活躍したね」と、コッツェイ監督は語る。

 2026年のMLBドラフトでは、UCLAの遊撃手ロック・チョロウスキーが絶対的な全体1位候補と目されている。

 「大学のプログラムでは、コーチ陣が選手たちに独自の技術を身につけさせるために、試行錯誤的な取り組みをもっと多く行うことができる。そして、選手たちが真剣に取り組めば、それをある程度スケールアップしていくことができる。以前ほどの障壁はなくなったと言えるでしょう。まさにその成果が表れていると思う」と、ガーディアンズのマイク・チャーノフGMは語った。

 近年のMLBにおける選手層、特に野手の若返りも、選手たちの適応を容易にしている。ベースボール・レファレンスによれば、今世紀初頭のMLBにおける野手の平均年齢は29.1歳だった。しかし、今季は27.9歳にまで下がった。2008年以降では、2008年には30歳未満の打者が立った打席数は全体の59%だったが、今季は66.2%にまで割合が上昇した。

 そのため、ダッグアウトやクラブハウスは若返り、一般化して言えば、おそらく以前よりもエネルギッシュで歓迎的な場所になっている。 「昔ながらの新人が受け入れられるための風習は減ったね。そういうナンセンスなことは減った」と、マーフィー監督は言う。

 オリオールズのクレイグ・アルバーナズ新監督は、2025年時点でロースター(出場選手登録)の平均年齢が27.2歳だったガーディアンズでベンチコーチを務めていた。 「クリーブランドのダッグアウトは大学のダッグアウトみたいだ。すごく楽しいよ。だって、野球って楽しいでしょ?それが一番いいところだと思う。それに、自チームの選手たちにも責任感を持たせられる。みんなが楽しくて、お互いに(悪態を)つき合う文化がある。みんなを統制しているんだ。結局のところ、野球をしに来たら、楽しくあるべきだからね」

 こういったことを考えれば、ジャイアンツのヴィテロの採用は革命的な決断というよりは、進化の延長線上にもあるもののようだ。

 マーフィー監督は2010年にMLBの世界に入ったとき、アリゾナ州立大学から直接MLBの監督に就任する準備はできていなかったと語った。しかし、彼は球界が今、全く違った状況にあると考えている。同氏はヴィテロ新監督の採用について「それは全く問題にならないと思う」と語っている。

 2026年のサンフランシスコ・ジャイアンツでのシーズンは、大学野球とMLBのつながりがどれほど強いのか、より多くのことを教えてくれるかもしれない。しかし、ヴィテロ監督はそのつながりがさらに深まることを望んでおり、自身の監督就任以外でもそれが実現できると考えている。 「私よりも賢く責任感のある人たちが集まって、アイデアをまとめることもできる。彼らは互いに刺激し合うことができると本当に信じている」

2025.12.25 13:21 Thursday

マリナーズが三塁手スアレスとの再契約に興味

 2021-22シーズンまでシアトルでプレーしていたエウヘニオ・スアレスにとって、今夏のマリナーズ復帰は必ずしも大成功とは言えなかった。チームはア・リーグ優勝まであと1勝というところまで迫ったものの、スアレスはトレードデッドラインで加入以降、53試合で打率.189、OPS.683と不振だった。

 それでも、スアレスはマリナーズファンから人気が高く、今季もトレードされる前はダイヤモンドバックスで106試合に出場し36本塁打を放つなど実力は確かなものだ。マリナーズのジャスティン・ホランダーGMは21日(日本時間22日)、MLBネットワークラジオで、マリナーズがスアレスを呼び戻す可能性があると語った。 「確かにチャンスはある。ジーノ(スアレスの愛称)の担当者とは連絡を取り合っている。ジーノのことは大好きだ。彼はフィールド上での活躍だけでなく、49本のホームランや勝負強い一打といった目に見えるものだけでなく、フィールド外でも、安定した存在感や素晴らしいチームワークなど、多くのものをもたらしてくれる。彼が毎日クラブハウスにもたらすものを真似するのは本当に難しい。だから、冬の間ずっとジーノの担当者と連絡を取り合ってきたんだ」

 現時点でマリナーズの三塁手は、若手のベン・ウィリアムソンか、MLBパイプラインのランキングによれば球団1位の有望株であるコルト・エマーソンのどちらかが務めることになりそうだ。三塁守備に衰えが見られるスアレスは、仮に復帰すれば指名打者を任される可能性もあるだろう。

 スアレスにはレッドソックスも興味を示していると報じられている。レッドソックスは22日(同23日)にカージナルスから一塁手ウィルソン・コントレラスを獲得したばかりだが、引き続き打線の強化を目指している。

2025.12.25 11:41 Thursday

ヤンキース、ロイヤルズ、メッツが外野手ヘイズに興味示す

 フリーエージェント(FA)市場で最も実力が高い外野手カイル・タッカーとコディ・ベリンジャーの話題が少ない中、もう1人の外野手が非常に人気を集めている。MLBネットワークのジョン・ヘイマン記者によれば、ヤンキース、メッツ、ロイヤルズがオースティン・ヘイズに興味を示しているという。

 現在30歳のヘイズは、2023年にオリオールズでオールスター選出経験のあるベテラン外野手。今季は1月にレッズと1年500万ドル(約7億8000万円)の契約を結び、わずか103試合の出場ながら15本塁打、OPS.768をマークした。特に左腕に対してはOPS.949と相性が良かった。

 同記者によれば、ヤンキースは最優先事項と位置づけているベリンジャーとの再契約に失敗した場合、ヘイズをより現実的なターゲットと設定する可能性があるという。また、メッツも短期の契約で獲得できる右打ちの外野手を求めており、ヘイズはうってつけの存在だ。

 一方のロイヤルズは、既にFA市場で同じ右打ちの外野手であるレーン・トーマスと1年契約を結び、ブルワーズからは好守のアイザック・コリンズを獲得。球界ワーストレベルだった外野陣に補強を行ったが、まだ補強は終わっていない。。ジ・アスレチックによれば、レッドソックスの外野手ジャレン・デュランとのトレードにも依然興味を示しているという。

2025.12.25 11:11 Thursday

ゴルフ中にトレードを知る マクニールがアスレチックス移籍を語る

 ジェフ・マクニールは22日(日本時間23日)の朝、TPCモンテレイの14番ホールに近づいているとき、彼の携帯がメッツのデービッド・スターンズGMと彼の代理人からのテキストメッセージと不在着信の集中砲火に遭っているのを見た。

「スターンズから『電話をくれ』というメッセージが来た。『100%トレードされたな』って感じだった。可能性は分かっていた。電話に出たんだ。短い時間だったけど、彼に全てに感謝を伝え、彼も全てに感謝してくれた。…本当にクレイジーな一日だったよ」と、マクニールは振り返る。

 マクニールの世界は一変した。2013年に彼をドラフト指名した球団であり、MLBにおける8シーズンで唯一プレーした球団でもあるメッツが、彼をマイナーッリーグでプレーする右腕ヨーダン・ロドリゲスとのトレードでアスレチックスに放出したのだ。

 マクニールのゴルフは続き、73というまずまずのスコアでラウンドを終えると、トレードを消化するために帰宅した。そして約24時間後、マクニールは既に若手の成長著しいアスレチックスで、ア・リーグ新人王のニック・カーツ、ジェイコブ・ウィルソン、ブレント・ルーカー、シェイ・ランゲリアーズ、タイラー・ソダーストロム、ローレンス・バトラーといった質の高い打者を擁する打線に貢献する姿を思い描いていた。

「見ていて本当に楽しいチームだ。ニューヨークで彼らの試合をかなり見ていた。とにかくすごく楽しくて、若いチームだ。素晴らしい若手選手が中心になっている。私も彼らを助けるために自分の役割を果たしたいと思っている。チームの一員になれることをとても楽しみにしている。きっと良いチームになると思う」と、マクニールはZoom会見で語った。

 マクニールはアスレチックスにとって大きなアップグレードになる。アスレチックスはシーズンを通して複数人の二塁手を起用したが、彼らが残したfWARは-1.6だった(代替可能な選手に比べて何勝分上積みできたかを示すWARでマイナスということは、アスレチックスが代替可能な選手より悪い選手を二塁で起用していたことを意味する)。一方で、マクニールは122試合に出場して打率.243、OPS.746、12本塁打、54打点と本調子ではなかったにもかかわらず、fWAR2.1を記録した。

 基本的な成績以外でも、マクニールは根本的な成績から今季が良いシーズンだったと考えている。その成績は、2022年に首位打者を獲得した年と似ているという。 「分析の数字を見るのが好きだけど、打撃タイトルを獲得したときとかなり似ていた。今季はBABIP(インプレー打球における打率)がかなり低かった。不運に見舞われた部分が多かったけど、ボールを強く打って、自分のスイングはまさに思い通りにできたと感じている」

 さらに、マクニールは今季、特にシーズン終盤に打席で時折支障を来していた肩の負傷にも悩まされていた。オフに入ってすぐに胸郭出口症候群と診断され、軽度の手術を受けている。 「投げるのもスイングするのも少し痛かった。もう大丈夫。何も制限はない。100%の状態に戻った。軽症だったけど、とにかく大事を取って、今年中に健康でいられることが一番だと思った。体調はいい。春季キャンプでは何も制限はないよ」

 アスレチックスはマクニールの汎用性を生かし、一塁と外野3ポジションでも出場機会を得る可能性があるが、マクニールは正二塁手として想定されている。カーツに次いで新人王投票2位に入ったウィルソンと二遊間を組む予定だ。

 マクニールは長年、優れたコンタクトスキルを持つ、相手投手にとって厄介な存在として知られてきた。マクニールとウィルソンは共に優れたコンタクトスキルを兼ね備え、今季は2人合わせて985打席でわずか94三振にとどまっている。だからこそ、マクニールは、アーロン・ジャッジに次ぐMLB2位タイの打率(.311)を記録し、新人スターとして頭角を現したウィルソンを遠くから見守っていた。

 マクニールとウィルソンを組み合わせれば、球界で最も厄介なワンツーパンチを形成できるかもしれない。マクニールは語る。 「ウィルソンとの二遊間は、おそらくリーグで最小の三振しか喫しないだろうね。彼はフリースインガーだ。彼の打撃が好きだよ。すごく面白い選手だ。僕たちは両方ともフリースインガーで、ボールをすぐに前に打ち返し、何かを起こすことを好んでいる。彼とプレーするのが待ちきれないよ」

2025.12.24 12:36 Wednesday

村上の加入はホワイトソックスを刺激的な新境地へ誘う

 村上宗隆が2年3400万ドル(約54億円)でホワイトソックスに加入すると聞いたときの、ホワイトソックスの1年目の打撃コーチ、デレク・ショモンの反応はファンの反応を代表するものだ。 「とても興奮している。電話を受けていたときは作業中だったので、少しの間、お祝いするために中断した。近い内に彼(村上)と連絡を取り、何か動き出すのを楽しみにしている」

 25歳の村上は22日(日本時間23日)、本拠地レートフィールドで行われた記者会見で、正式にホワイトソックスファンにお披露目された。アンドリュー・ベニンテンディが2023年1月に5年7500万ドルの契約で加入してから、サウスサイドでこういった選手記者会見が行われるのは初めてのことだった。

 村上との契約は、今回のチーム再建における他のどの補強とも一線を画す。2022年に22歳で史上最年少の三冠王に輝き、56本塁打、134打点、打率.318を記録した村上は、ホワイトソックスでプレーする4人目の日本人選手となる。日本での村上の絶大な人気と、その才能への期待は、2005年の世界一に貢献した井口資仁や高津臣吾と比べても、類を見ないものだ。

「これほどの実力を持つ選手はこれまでいなかった。これほどの人気を持つ選手もいなかった。彼らは20年前、つまりインスタグラム、ツイッター、フェイスブック、ティックトックなど、どんなプラットフォームでも瞬時に情報が伝わる時代よりずっと前に活躍していた。今では世界中の人々に情報やハイライトを瞬時に届けられる。これは私たちにとって、国際的なマーケティング活動、ホワイトソックスブランドを国際的に成長させる絶好の機会であり、彼と彼のチームメイトの個人ブランドの成長を支援する機会でもある。ビジネス面でも非常に楽しみにしている」と、ホワイトソックスの球団副社長で収益・マーケティング部門トップのブルックス・ボイヤーは語る。

 ボイヤーはいかにカブスが今永昇太と鈴木誠也を、ドジャースが大谷翔平、佐々木朗希、山本由伸を戦略的に売り込んでいるかを指摘した。 「やるべきことはたくさんあるが、まずは彼に野球に集中してほしい。マーケティングやスポンサー契約など、他のことはフィールドで成功すれば、すべて上手くいくはずだ」

「このような選手の存在は、野球界の成長に貢献してくれる。日本のファンが、自国の選手がメジャーリーグで活躍するのを見たいと願うのと同じくらい、ホワイトソックスのファンも、ホワイトソックスがメジャーリーグでより競争力を発揮する姿を見たいと願っている。彼の成功を応援するファン層は多岐に渡る」

 クリス・ゲッツGM率いるフロントは、村上のフィールド内外のニーズのすべてに対応するため、必要なインフラを整備している。村上はシカゴでの生活について、鈴木と今永に既に相談しているという。ショモン打撃コーチは、村上と攻撃面で練習を始める準備が出来ている。 「常に、そして永遠に、取り組まなければならないことはある。年が変われば状況は変わる。一つの問題を解決すれば、リーグ全体がそれに適応し、今度はまた別の問題を解決しなければならない。常に追いかけっこをしているようなものだ。彼には仕事に対する倫理観があり、情熱もある。彼は挑戦を強く望んでいる。だからこそ、彼がここに来て、戦いの場に加われば、こうした面で一歩先を行く大きなチャンスがある。三冠王、WBCでの勝負強いヒットなど、彼には確かな実力がある」

 本物の才能である村上は、ホワイトソックスが密かに獲得を進める中、既に新しいチームメートの興味をそそっていた。

 「何人かの選手から『これって本当?』と言われたよ。僕は親指を上げたよ。それはまた少し前のことだと思う。未だにずっと噂が立たなかったことが信じられないよ」と、ゲッツGMは語った。

2025.12.24 11:48 Wednesday

カブスがブルペン補強を継続 右腕ウェブと1年契約

 カブスはオフシーズンを通してブルペン陣の補強を着実に進めており、その補強は今後も続いていく見込みだ。シカゴのサウスサイドに位置するホワイトソックスも活発に動く中、ノースサイドのカブスが新たに補強したのは、今季レンジャーズのブルペン陣で密かに活躍していた優秀な選手だ。カブスは23日(日本時間24日)、救援右腕ジェイコブ・ウェブと2027年の球団オプション(球団側に選択権のある1年契約)を含む1年契約で合意したと発表した。

 この契約を最初に報じた「ジ・アスレチック」によれば、ウェブのサラリーは1年150万ドル(約2億3000万円)+出来高だという。そして、2027年の球団オプションは250万ドル(約3億8000万円)に出来高が付くと報じられている。

 今オフ、カブスはレンジャーズのブルペン陣から多くの投手を引き抜いており、ウェブの前にもフィル・メイトン(球団オプション付きの2年契約)、ホビー・ミルナー(1年契約)を獲得していた。それ以外にも救援左腕ケイレブ・シールバー、そしてスイングマンのコリン・レイとも再契約を結び、さらにマイナー契約でも実績のある救援右腕コリン・スナイダーを補強した。

 ウェブは今季、レンジャーズで55試合(66イニング)を投げ、防御率3.00をマーク。これまでブレーブス、エンゼルス、オリオールズ、レンジャーズを渡り歩き、MLBでの6シーズンで通算防御率2.99、ERA+138を残している。2021年にはブレーブスで世界一も経験した。

 32歳の右腕は平均93.4マイル(150キロ)のフォーシーム、80マイル半ば(135キロ前後)のチェンジアップ、そして平均82マイル(131キロ)のスイーパーを投じる。今季、ウェブの被打率は.202を記録し、最も頻繁に投げるフォーシームでは被打率.186、被長打率.289とさらに優秀な数字だった。

 さらに、弱い打球を打たせるのも得意で、今季のハードヒット率34.6%(通算でも34.7%)はMLBの上位11%に入る高水準だった。加えて、平均打球速度86.6マイル(139キロ)はMLBの上位5%に値する。

 また、カブスはベテラン捕手クリスチャン・べ三コートをマイナー契約で復帰させることに合意した(正式発表はしていない)。カーソン・ケリー、ミゲル・アマヤ、モイゼス・バレステロス(球団No.2有望株、球界No.53有望株)を擁するカブスの捕手陣にとって、経験豊富なバックアップとなるだろう。ベサンコートはこれまで8シーズンで6球団を渡り歩き、カブスには2024年に在籍経験がある。

2025.12.24 11:07 Wednesday

ホワイトソックスがまた補強 左腕ニューカムと1年契約

 ホワイトソックスのクリス・ゲッツGMは休暇の直前まで働いている。23日(日本時間24日)に発表されたように、ホワイトソックスは救援左腕ショーン・ニューカムと1年450万ドル(約7億円)で合意した。

 村上宗隆と2年3400万ドル(約54億円)で契約し、22日(同23日)には記者会見も行ったホワイトソックスが、続けて補強に動いた。休暇前にも忙しく動き回るゲッツGMはこう言う。 「正直言って、休みが好きかどうかさえ分からない。とにかく仕事に没頭するのが好きだ。早朝や深夜、真夜中に連絡を取るので、家族や従業員の中にはきっと腹を立てる人もいるだろう。でも、私はこの仕事が大好きだし、チームをより良くするための方法を追求するのが大好きだ」

 村上の補強により、ホワイトソックス打線の中軸には左の強打者が加わってチームの戦力は大きく充実した。先発・リリーフをどちらも経験しながら、リリーフとして好成績を残したニューカムも、ホワイトソックスのブルペン陣に同様の効果をもたらす。

 32歳のニューカムは今季、開幕をレッドソックスで迎えたが5月27日にアスレチックスへ金銭トレードされたため、2球団でシーズンを過ごした。48登板(5先発)で92回1/3を投げ、2勝5敗、防御率2.73、2セーブ、4ホールド、91三振をマーク。左のリリーフ投手の中で、MLB5位に入る防御率2.19を残し、7位タイに入る70イニングを投じた。

 特にアスレチックス加入後は調子が上がり、36登板で51回1/3を投げ、2勝1敗、防御率1.75、被打率.214、50三振をマーク。5月29日以降の防御率1.75という数字は、MLBのリリーフ投手(45イニング以上)の中で7位に入る。

 かつて2014年ドラフトでエンゼルスに1巡目指名されたニューカムは、通算65先発で防御率4.41に対し、通算158救援登板で防御率3.84をマークしている。起用法は確定していないものの、ホワイトソックスの40人枠ではブランドン・アイサート、タイラー・ギルバート、ブライアン・ハドソン、アンソニー・ケイ、クリス・マーフィーらと共に、健康なサウスポー陣の一員となる見込みだ。ケイは2年1200万ドル(約18億円)で今オフ加入し、上記のサウスポーの中では唯一先発ローテーションが確約されている。

 ニューカムの枠を空けるため、ホワイトソックスは左腕ライアン・ロリソンを40人枠からDFA。40人枠は依然として40人のままだ。

2025.12.24 10:38 Wednesday

コントレラス獲得のレッドソックス 今後も打線強化を継続へ

 レッドソックスのチーフベースボールオフィサー(CBO)を務めるクレイグ・ブレスローは今オフ、打線強化の方法を模索しており、21日(日本時間22日)にはカージナルスとのトレードを成立させ、右打ちの一塁手ウィルソン・コントレラスの獲得に成功した。レッドソックスがトレードでカージナルスの主力選手を獲得するのは、右腕ソニー・グレイに続いて今オフ2人目だ。

 MLB.comでレッドソックスを担当するイアン・ブラウン記者によると、レッドソックスはコントレラス獲得後も打線強化を継続する方針だという。また、ジ・アスレチックのジェン・マカフリー記者も関係者から得た情報として同様の内容を伝えており、「アレックス・ブレグマンとの再契約が最優先事項であることは変わらない」と付け加えた。

 しかし、レッドソックスはブレグマンと再契約するために、他球団との争奪戦に勝利する必要がある。ジ・アスレチックのケン・ローゼンタール記者は関係者から得た情報をもとに、ブレグマンの移籍先の有力候補としてブルージェイズとダイヤモンドバックスの名前を挙げている。ローゼンタール記者によると、カブスもブレグマン争奪戦に加わっているようだ。

 もしブレグマンとの再契約に失敗した場合、レッドソックスは代替案を考えなければならない。レッドソックスはブレグマン以外にも、フリーエージェント(FA)市場とトレード市場の両方で多くの野手に興味を持っていることが明らかになっており、すでに契約が決まったカイル・シュワーバー(フィリーズ)、ピート・アロンソ(オリオールズ)、ホルヘ・ポランコ(メッツ)、村上宗隆(ホワイトソックス)らにも関心を示していた。

 FA市場に残っている選手の中では、強打のスター遊撃手ボー・ビシェットを筆頭に、エウヘニオ・スアレス、岡本和真らが候補に挙がる。ただし、岡本はポスティング制度による移籍のため、交渉期限が1月4日(同5日)に迫っており、その時点ではまだブレグマンの去就がハッキリしていない可能性もある。

 トレード市場では、ケテル・マルテ(ダイヤモンドバックス)、ブレンダン・ドノバン(カージナルス)、イサーク・パレイデス(アストロズ)、コリー・シーガー(レンジャーズ)らの名前が挙がる。ただし、レンジャーズはシーガー放出の可能性を否定しており、マルテに関してはレッドソックスが争奪戦から撤退したとの報道も出ている。

 一方、コントレラスの加入により、レッドソックスでの立場が不透明になった選手もいる。若手一塁手のトリストン・カサスだ。トレードの噂が絶えないジャレン・デュランとともに、今後有力なトレード候補となっていくかもしれない。

2025.12.23 11:26 Tuesday

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