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ドジャース有利の下馬評を覆す逆転勝利 猛打ブルージェイズが第1戦に勝利

【ブルージェイズ11-4ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月24日(日本時間25日)

 激戦区のア・リーグ東地区で久々に優勝し、第1シードをつかみ取ったにもかかわらず、ブルージェイズに対しては期待だけではなく、疑問も同時に投げかけられていた。

 しかし、ブルージェイズは総年俸4億ドル近いスター軍団・ドジャースにも弱点があることを知っていた。そしてその弱点をつく計画を完ぺきに実行し、疑問の声を払拭。44353人が詰め寄せた本拠地ロジャースセンターに熱狂を巻き起こした。

 ブルージェイズの強力打線は同点で迎えた六回、ドジャース先発のブレイク・スネルから無死満塁のチャンスを作り、スネルをマウンドから引きずり下ろした。そしてドジャースの弱点であるブルペン陣を攻め立て、一挙9得点の猛攻で、ワールドシリーズ第1戦に11-4で大勝した。

 「次の打者にバトンを渡す必要があることを意識しながら、ひたすら打席に立つこと。それが今年の私たちのやり方だ。そして、それを信じていた」と、四回に同点2ラン、そして六回には素晴らしい打席で死球を勝ち取ったドールトン・バーショは語る。

 バーショが死球をもぎとって満塁のチャンスを作り、2本のタイムリーと押し出し四球で勝ち越すと、代打アディソン・バージャーが満塁弾で続いた。バージャーの代打満塁弾はワールドシリーズ史上初の快挙。今夜最大のハイライトを飾り、ブルージェイズに対する疑問を覆す一打だった。

 最大7戦で行われるポストシーズンのシリーズにおいて、第1戦に勝利したチームは、過去64.8%(127/196)の割合でシリーズを制した。現行のフォーマット(上位シードの本拠で2戦、下位シードの本拠で3戦、上位シードの本拠で2戦)では、第1戦に勝利したチームの67.6%(69/102)がシリーズを制している。そして興味深いことに、ブルージェイズのようにリーグ優勝決定シリーズを7戦かけて制したチームは、ドジャースのようにリーグ優勝決定シリーズをスイープで勝ち上がったチームに対して無敗というデータもある(過去4度)。

 シーズン開幕前には史上最高のチームとも評されたドジャースは、ポストシーズンでついにその実力を遺憾無く発揮。特にスネル、山本由伸、タイラー・グラスナウ、大谷翔平からなる先発投手陣はここまで防御率1.40の快投で、わずか1敗でワールドシリーズまで駆け上がってきた。さらに打線も殿堂入り確実と言われるスター打者(大谷、ベッツ、フリーマン)らを擁し、全員が大舞台の戦い方を知り尽くしている。ドジャースはまさに世界一の大本命と言えた。

 しかし、もはや分からない。

 ブルージェイズ打線は初回からスネルをしつこく攻めた。四回まで無得点に終わったが、初回から29球を投げさせるなど、走者を出し続けた。

 2度のサイ・ヤング賞を獲得したスネルは、ブルージェイズと同地区のレイズなどに所属していたキャリア初期は、四球が多く、長いイニングを投げられなかった。しかし、投手として成熟した今、四球は滅多になくなり、特にこの10月は最高の調子を維持している。

 しかし、第1戦ではスネルはストライクゾーンに思うように投げ込めず、ブルージェイズ打線はスネルがマウンドから降りるときを虎視眈々と待ち続けた。 「ストライクを投げれば、彼ら(ブルージェイズ打線)は振ってくるだろう・・・。四球も出していたし、打者有利のカウントを作ってしまっていた。もっとコントロール良く投げなければいけなかった」と、スネルは振り返る。

 スネルを打線がじっくりと攻め立てる間、ブルージェイズは先発のトレイ・イェサベージが粘りの投球。22歳のイェサベージは二、三回に1点ずつを奪われた。これがまだMLBの舞台で7登板目のイェサベージは、武器とするスプリットの感覚がつかめていなかった。しかし、二回は1死満塁のピンチでパヘスから三振、大谷から内野ゴロでアウトを奪い、出血を最小限にとどめた。

 新人の粘りが生き、打線はついにスネルをとらえた。四回、バーショが甘く入った初球をとらえ、同点2ラン。これはスネルにとってレギュラーシーズン中の8月29日以来の被本塁打であり、シーズンを通して初めて左打者から打たれた本塁打だった。

 バーショの本塁打は、ブルージェイズにとってワールドシリーズでは32年ぶりの本塁打だった。その1993年のワールドシリーズ第6戦でジョー・カーターが放った、世界一を決める伝説のサヨナラ本塁打は、バーショにとって無関係の出来事ではない。その本塁打をブルージェイズの相手だったフィリーズの捕手として間近で眺めていたのはダレン・ドールトン。バーショの父であるゲイリー・バーショはその後、ドールトンとチームメートとなり、そのファミリーネームにちなんだ名前を自身の息子に付けることになる。

 「ちょっと非現実的な瞬間だった。大団円を迎えたって感じだね」と、バーショは語る。

 そして、バーショはその同点弾の次の打席で、再び試合の流れを変える。六回、ワールドシリーズから復帰したビシェットが先頭で四球を選び、その後単打でチャンスが広がり、バーショが打席に入る。

 バーショは息切れしてきたスネルから8球粘ってフルカウントとし、死球をもぎ取った。バーショは痛みに顔をしかめたが、痛手を負ったのはドジャースの方だっただろう。ドジャースはついにスネルを降板させ、2番手エメット・シーアンを投入。しかし、この継投は失敗した。

 続くアーニー・クレメントがシーアンからいきなりタイムリーを放って、この試合初めてのリードをブルージェイズにもたらすと、続く代打ネイサン・ルークスも素晴らしい打席で押し出し四球。さらに9番のアンドレス・ヒメネスもタイムリーで続き、5-2とリードした。

 このときには既にロジャースセンターは電話をしたり、瞑想したりするのに向かない場所になっていた。しかし、1死となってから3番手バンダと対したバージャーが、満塁弾を放ったとき、球場は熱狂の渦に巻き込まれた。1993年のワールドシリーズ第6戦でさえ、これより大きな歓声が響き渡ったとは考えにくい。

 25歳で初のポストシーズンを戦うバージャーにとって、ワールドシリーズのデビューとしては悪くない結果だった。 「おそらくこれ以上ないほど素晴らしい結果だったよ」、とバージャーは笑顔を見せた。

 代打満塁弾はワールドシリーズ史上初の快挙。バージャーの本塁打は歴史に名を刻んだだけではなく、両チームのミスマッチを露呈させた。ドジャースがブルペン陣の層の薄さを完全に露呈した一方、代打攻勢で猛攻をかけたブルージェイズの野手層の厚さが誇示された。ジョン・シュナイダー監督も語る。 「それがわれわれのやり方だ。打線全体、全員が試合に臨む準備を整えてくれて本当に良かった。…あのイニングの打席はボーの四球で始まり、続いて(スネルの)ノックアウト。そして、そのまま調子が続いた。打線全体、全員が本当に素晴らしい打席だった」

 バージャーの満塁弾に続き、アレハンドロ・カークも2ランを放ってブルージェイズは大量リードを奪った。七回に大谷が放った2ランは、焼け石に水だった。

 大谷が最終回に打席に立ったとき、ブルージェイズファンは「お前は必要ない(We don’t need you)」と大合唱した。大谷が2024年にドジャースと巨額の10年契約を結ぶ前、ブルージェイズは大谷獲得に近づいており、一時は契約間近との報道(誤報)も出たほどだった。その合唱は大谷の打席が終わったあとも「あいつは必要ない(We don’t need him)」と変わって響き続けた。

 そしてこの夜、ブルージェイズファンは正しかった。ブルージェイズに必要だったのは、ただ彼らのゲームプランを遂行することだけだった。

2025.10.25 15:15 Saturday

ブルージェイズがワールドシリーズ第1戦に勝利 強力打線が爆発

【ブルージェイズ11-4ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月24日(日本時間25日)

 ブルージェイズが持ち前の強力打線の活躍でドジャースを破り、ワールドシリーズ第1戦に勝利。同点で迎えた六回に2本のタイムリーと押し出し四球で勝ち越すと、代打アディソン・バージャーがダメ押しの満塁本塁打を放ち、試合を決定づけた。一方のドジャースは大谷翔平(31)にワールドシリーズ通算1号が飛び出したが、反撃及ばず、ブルージェイズに大敗を喫した。

 ドジャースがポストシーズン無敗のブレイク・スネル、ブルージェイズが22歳のトレイ・イェサベージの両先発で始まった第1戦で、先手を取ったのはドジャースだった。1死一、二塁のチャンスを作り、7番キケ・ヘルナンデスが先制タイムリー。続く三回も先頭からの2連続四球で走者を出し、4番ウィル・スミスがタイムリーで2点目をもたらした。

 しかし、強力ブルージェイズ打線も反撃。ポストシーズン絶好調のスネルに対し、三回まで毎回走者を出し、四回にはついに6番ドールトン・バーショが同点2ランを放った。

 2-2で迎えた六回、ブルージェイズは2つの四死球と単打で無死満塁とし、ついにここでスネルをノックアウト。代わった2番手エメット・シーアンに対して、7番アーニー・クレメントがタイムリー、代打ネイサン・ルークスが押し出し四球、9番アンドレス・ヒメネスがタイムリーを放ち、5-2と一気に勝ち越した。

 なおもブルージェイズの攻勢は止まらず、1死満塁で3番手アンソニー・バンダから、代打アディソン・バージャーが右中間へ飛び込むグランドスラム。ワールドシリーズでの代打満塁本塁打は史上初だった。そしてブルージェイズはその後、5番アレハンドロ・カークにも2ランが飛び出し、六回に一挙9得点。11-2と大量リードを奪った。

 ドジャースはその後、七回に大谷翔平がワールドシリーズでの自身初アーチとなる2ランを放った。しかし、反撃もそこまで。ブルージェイズは大量リードを守り抜き、11-4でワールドシリーズ第1戦に勝利した。ワールドシリーズでは第1戦に勝利したチームが63%の確率で世界一を掴み取っている。

 コンタクト力とパワーを両立するブルージェイズ打線の持ち味が発揮された第1戦の猛攻だった。ポストシーズンではほぼ無敵の快投を続けてきたスネルに対し、初回から25球を投げさせ、喫した空振りはゼロ。その後も持ち前のコンタクト力を発揮し、試合を通して三振はわずか4度だった(五回以降はゼロ)。奪三振率リーグ1位のドジャース投手陣にとって、4三振は今季2番目に少なかった(レギュラーシーズン、ポストシーズン合わせて)。その一方で軽打だけではなく、3本塁打で戦局を決定付けた。

2025.10.25 12:33 Saturday

識者がワールドシリーズの勝敗予想! MVPは誰? ドジャースが64%

 2025シーズンのフィナーレ、ワールドシリーズがついにあす24日(日本時間25日)から開幕する。25年ぶりの連覇を目指すナ・リーグ王者のドジャース、そして32年ぶりの世界一を目指すア・リーグ王者のブルージェイズが激突。MLB.comはワールドシリーズの勝者、ワールドシリーズMVPなどを識者に予想してもらった。

ドジャース(ナ第3シード) vs. ブルージェイズ(ア第1シード)

予想:ドジャース(56票中36票、64%)

 ア・リーグの第1シードを獲得したブルージェイズは、地区シリーズでヤンキースを、リーグ優勝決定シリーズでマリナーズを撃破した。

 史上最高のペースで打ちまくるブラディミール・ゲレーロJr.に率いられる強力打線は、ブルージェイズの原動力となっている。しかし、これからブルージェイズが対するのは、最高の先発投手陣を擁し、ポストシーズンで10試合のうち9勝しているチームだ。

 ブレイク・スネル、山本由伸、タイラー・グラスナウ、そして大谷翔平の4人は、ポストシーズンではほぼ打たれておらず、合わせて防御率1.40を記録している。山本以外の3人はレギュラーシーズン中は長期離脱していたが、ポストシーズンになってようやく足並みが揃い、本来の実力を発揮している。

 一方、ドジャースのブルペン陣は不安要素だ。レギュラーシーズン終盤では不安定さを露呈し、リーグ優勝決定シリーズではほぼ出番がなかった。もし先発投手陣が奮闘してブルペン陣の出番を少なくするようであれば、ブルージェイズにとって厳しい展開だろう。

 しかし、ブルージェイズ打線が持ち前のパワーとコンタクト力の融合を発揮すれば、ア・リーグ優勝決定シリーズのようなドラマチックな展開になるかもしれない。

ドジャースが勝つ理由

・「ドジャースは止められないほどの強大な力を持つ。先発投手陣が健康で万全の状態でプレーしていれば、このシリーズは比較的楽に勝ち上がるはずだ。」(マーク・ファインサンド、全国記者) ・「彼らの先発ローテーションは、全員が健康で試合終盤まで投げられる時は圧倒的。ナ・リーグ優勝決定シリーズでスネル、山本、グラスナウ、大谷が見せたように。ブルージェイズは多くの点で非常に優れており、ブラディ(ゲレーロJr.)が次のシリーズも支配する可能性は十分にあるが、ドジャースのトップクラスの才能と優勝経験が彼らに優位性を与えています。」(アダム・ベリー、シニアクラブ記者) ・「ドジャースは間違いなく勝ちそうだ。ブルージェイズはどんな困難も乗り越えられるような雰囲気がある。シリーズは五分五分になりそうだが、私の直感では大谷翔平を擁するチームに賭ける」(ダン・チチャルスキー、コンテンツオペレーション担当シニアマネージャー)

ブルージェイズが勝つ理由

・「トロントは層の厚さがあり、ホームでは素晴らしい成績を収めている(レギュラーシーズン54勝27敗、10月は4勝2敗)。第6戦と第7戦をトロントで戦えることが、勝利への鍵となるだろう」(マット・マイヤーズ、コンテンツ担当次長) ・「簡単ではないだろう。しかし、ボー・ビシェットが本当に復帰すれば…ブルージェイズがホームでの最初の2試合のうち1試合を『奪う』ことができれば…ドジャースの先発投手を早めに登板させてリリーフ陣の弱点を突くことができれば…マックス・シャーザーがアメリカンリーグ優勝決定シリーズでの魔法を再現できれば…ブラディミール・ジュニアが大谷翔平の重みに匹敵するパンチ力を維持できれば…彼らは必ずや勝利を掴むことができるだろう。」(アンディ・ワーレ、編集員) ・「ドジャースが絶好調で連覇の最有力候補であることは否定できないが、ブルージェイズには言葉では言い表せない魅力と決して諦めない姿勢がある」(クリス・ベグリー、編集員)

シリーズ予想

ドジャース(5試合):21票 ドジャース(6試合):12票 ブルージェイズ(6試合):9票 ドジャース(7試合):3票 ブルージェイズ(7試合):11票

シリーズMVP予想

大谷翔平(ドジャース):25票 ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ):13票 ムーキー・ベッツ(ドジャース):4票 ジョージ・スプリンガー(ブルージェイズ):3票 ブレイク・スネル(ドジャース):3票 ボー・ビシェット(ブルージェイズ):1票 テオスカー・ヘルナンデス(ドジャース):1票 アレハンドロ・カーク(ブルージェイズ):1票 山本由伸(ドジャース):1票 アディソン・バージャー(ブルージェイズ):1票 マックス・マンシー(ドジャース):1票

 最も優れた打者2人が、シリーズMVP予想で最多得票ワンツーフィニッシュを飾った大谷とゲレーロJr.が選ばれたのは、当然のことだ。前者は世界最高の才能を持つ野球選手であり、後者はポストシーズンで他の誰より活躍している。

 大谷は中でもほぼ半数の票を得た。ナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦(6回無失点10三振、打席では3本塁打)を考えれば、ワールドシリーズMVPに推すのは当然だろう。

 「ナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦を見た後では、この野球史上最高の個人パフォーマンスを披露した人物以外を選ぶのは全く愚かなことだ!」と、シニアクラブ記者のジョン・デントンは書いている。 また、監修編集者のレン・ホックバーグ氏は簡潔にこう述べた。 「彼は大谷翔平だからだ」

2025.10.24 13:13 Friday

ドジャースの左腕ベシアのワールドシリーズ出場が不透明に

 リリーフ左腕アレックス・ベシアのワールドシリーズ出場が不透明になっていると、ドジャースは23日(日本時間24日)の声明で発表した。

 「アレックス・ベシアが妻ケイラと共に、非常に個人的な家族の問題を抱えているため、チームを離れることを大変残念に思います。ドジャース球団一同、ベシア家に心よりお見舞い申し上げます。後日、最新情報をお伝えいたします」と、声明全文に記されている。

 ベシアはあすから行われるワールドシリーズ第1戦を前に、トロントでチームに帯同していなかった。ベシア夫妻は第一子の誕生を待ち望んでいたという。

 デーブ・ロバーツ監督は、ドジャースがベシアの穴を埋める選択肢を検討していると認めた。また、ベシアのシリーズ後半の復帰は不透明だとした。「正直に言うと、毎日様子を見て決めないといけないと思う。何の想定もできない」

 ワールドシリーズのロースターは第1戦当日の午前10時に発表される。ドジャースはベシアが復帰できないと判断した場合、ロースター(出場選手登録)から完全に外す可能性もある。あるいは、ベシアを家族の緊急医療リストに登録し、3日から7日間の離脱を経て、復帰させる可能性もある。 「今は、プロセスやルールを理解し、ロースターをどう運営していくか模索している段階だ。ロースターを最終決定するまでに少し時間があると思う。ただ、そうだね、私たちは彼の代役を立てるプロセスを進めている」

 ベシアは不安定なドジャースブルペン陣の中で、最も安定した投手だった。レギュラーシーズンでは68試合で防御率3.02を記録し、ポストシーズンでは10試合中7試合に登板。佐々木朗希と並んで最も信頼できる投手として活躍した。

 ベシアの穴を埋めるのは困難だ。

 代役候補はタナー・スコットとウィル・クラインと見られる。左腕スコットは下半身の腫瘍治療のため、地区シリーズとナ・リーグ優勝決定シリーズを欠場。右腕クラインも2つのシリーズを欠場したが、右打者が多いブルージェイズ打線に相性が良いかもしれない。

2025.10.24 12:41 Friday

22歳イェサベージがワールドシリーズ第1戦に先発 シンデレラストーリー続く

 トレイ・イェサベージは今季、スーツケースの荷解き以外のことはすべて経験した。4月8日(日本時間9日)に1A・ダニーデンでプロデビューを果たした22歳は、10月24日(同25日)にワールドシリーズ第1戦に先発する。

 イェサベージはこれまで5つの都市、数十のホテルに滞在。今もロジャースセンターの地下駐車場にある愛車のトヨタ・タンドラには、荷物の残りが詰め込まれている。 「今の僕のトラックを見てほしい。トレーラーハウスみたいなんだ」

 22歳88日のイェサベージは、ワールドシリーズ第1戦の先発投手として史上2番目に若い投手となる(史上最年少は1947年ドジャースのラルフ・ブランカが当時21歳267日で先発)。

 その記念すべき先発は、難しいことに大谷翔平から始まる。まず大谷、そしてムーキー・ベッツ、フレディー・フリーマン。イェサベージは大谷について問われると、「特別な選手だ。投打両方で相手にダメージを与えられる。だが、われわれが今ワールドシリーズにいるのには理由がある。だから、とにかく自分たちらしくプレーすることが重要だ。彼を無力化するために調整が必要なら、それを調整する」と返した。

 イェサベージ最大の武器はスプリットだ。スプリットが威力を、そしてイェサベージが投手としての自我を発揮できるとき、最高のパフォーマンスとなる。それがイェサベージのシンデレラストーリーを生み出した。

 イェサベージには他の22歳には真似できない静かな自信がある。まだ自分のカリスマ性に気づいていない、若者イェサベージのありのままの姿がそこにはある。

 イェサベージはシンプルさを好む。ある程度のデータは考慮するだろうが、ダグアウトでタブレット端末をスクロールする姿を見かけることはほぼない。 「僕はかなり基本に忠実なんだ。とにかく基本に忠実で。マウンドで考えすぎたくない。だって、何も考えずに意識を失っている時が一番調子がいいんだから」

 ブルージェイズが仮に球団史上3度目の世界一になれば、イェサベージの物語は永遠に語り継がれ、トリビアクイズのネタになるだろう。他の29球団のファンは球団のトップ有望株を速く昇格させたいと思ったときに、イェサベージの名前を挙げるだろう。ほらきっとうまくいくから、と。

 イェサベージは1Aからシーズンを始め、マイナーリーグの4つのフルシーズンレベルすべてを経験してMLBに昇格した。これは稀有なケースだが、前例がないわけではない。

 イェサベージは、ディラン・スミス(2025年)、エドガルド・エンリケス(24年)、オリオン・カークリング(23年)、スペンサー・ストライダー(21年)、AJ・ミンター(17年)、ケンドール・グレイブマン(14年)、アディソン・リード(11年)、ダン・ランズラー(09年)、ダニエル・ハドソン(09年)らに加わった。驚くべきことに、これらの投手はいずれもワールドシリーズに出場することはなかったが、ストライダーを擁したブレーブスとエンリケスを擁したドジャースは、後に優勝を果たした。

 イェサベージを第1戦に先発させる決断は、ブルージェイズにとって容易ではなかった。

 エースのケビン・ゴーズマンはア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)の第5戦に先発し、第7戦でもリリーフ登板をこなしていた。ゴーズマンは1日長い休養を得て、第2戦の先発に臨む。

 「われわれは選手全員と話し合い、彼らの身体的な状態、これまでの休息の取り方、シリーズ後半での特定の選手の状態、そして各選手がドジャースに対してどのような戦い方をするのかを確認しようとした。全員のフィードバック、全員の意見を聞きたかった。コーチ、メディカルスタッフ、ゲームプランナーなど、全員の意見を聞きたかった。でも、彼らの意見も聞きたかった。彼らと話し合った結果、ケビンを1日休ませるのは理にかなっていると感じた」

 イェサベージはトロントで真の「唯一無二」の投手になれるかもしれない。確かに世界一になった1993年のブルージェイズにはパット・ヘントゲンのような若い投手もいたが、ヘントゲンは当時24歳でメジャーリーグで216回1/3を投げ、マイナーリーグでもプロスペクトとして600回以上を投げていた。イェサベージは、かつてない速さで到来する新時代の投手だ。4月にはワールドシリーズ第1戦は想像を絶するものだったが、この驚異の新人はあらゆる試練を乗り越え続けている。

2025.10.24 12:00 Friday

強打者ビシェットがワールドシリーズで急造セカンドに?

 ブルージェイズのボー・ビシェットはワールドシリーズに出場する準備を整えている。問題はどのポジションで出場するかだ。

 ワールドシリーズを2日前に控えた22日(日本時間23日)、ビシェットは本拠地ロジャースセンターで行われた練習で、セカンドとしてノックを受けた。

 ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督は23日(同24日)、ビシェットが本職ショート、セカンド、あるいはDHとしてワールドシリーズに出場する可能性があると述べた。 「いよいよ最終盤を迎えている。正直に言うと、その3つ全てが実現する可能性はある。きょうの練習後にビシェットと話し、全てをこなせるかどうかを確認して、最善の判断を下す必要がある」

 ビシェットはレギュラーシーズン139試合に出場し、打率.311、18本塁打、94打点を記録。しかし、左膝の捻挫で9月上旬から欠場し、地区シリーズとア・リーグ優勝決定シリーズではロースター(出場選手登録)漏れした。

 ビシェットはワールドシリーズに出場する準備ができていると語るが、その役割は依然として不透明なままだ。

 ビシェットの負傷に伴い、ブルージェイズはセカンドのアンドレス・ヒメネスをショートへコンバート。セカンドにはユーティリティのアーニー・クレメントを起用していた。ポストシーズンに入ってからはクレメントが打撃好調となった一方で、レフトのアンソニー・サンタンデールが負傷。クレメントをサードに、サードのアディソン・バージャーを外野に回し、セカンドには控えのアイザイア・カイナー=ファレファが入っている。

 ビシェットはカイナー=ファレファに代わってスタメンに復帰するだろう。問題はどのポジションを守るのか。

 本職のショートに戻るには、守備面の懸念がある。ビシェットの遊撃守備は悪く、守備指標OAAでは-13を記録。代役ショートのヒメネスは本職セカンドで圧倒的な守備力を持ち、ショートとしての起用でも堅実な数字を残している。

 また、DHとして復帰する場合も、守備力に不安を残す。ビシェットがDHに入る場合、これまでDHを務めてきたジョージ・スプリンガーを外野に回す必要がある(バージャーをサードに戻し、クレメントがセカンド)。スプリンガーの外野守備は衰えており、さらにア・リーグ優勝決定シリーズでは膝に死球も受けた。

 セカンドとして復帰するのは、シュナイダー監督も認めたように「大胆な話」だ。ビシェットはMLB7シーズンでセカンドを守った経験はなく、マイナーでの20試合の経験しかない。「ビシェットは自分がどう感じているか、そしてもし出場したらどう感じるかについて、かなり現実的な考えを持っている。だから、これは私たちが引き続き検討していく必要がある問題だ。もし彼が二塁手としてプレーすることに抵抗がなければ、私は選手たちの意見に耳を傾け、彼らを信頼するつもりだ」と、シュナイダー監督は述べた。

2025.10.24 10:38 Friday

ア・リーグのシルバースラッガー賞ファイナリストが発表

 23日(日本時間24日)、ルイビルスラッガーは2025年度シルバースラッガー賞の前日のナ・リーグに続き、ア・リーグファイナリストを発表。ナ・リーグ受賞者の発表は11月6日(日本時間7日)、ア・リーグ受賞者は7日(同8日)に発表される。

 ポジションごとのファイナリストと受賞者は、ナ・リーグの監督とコーチによる投票によって決定される。全30球団に4票(監督とチームが選んだコーチ3人)が与えられる。投票は、OPS、OPS+、本塁打、打点、打率、総塁数、得点などの攻撃面のスタッツに加え、監督とコーチによる選手の攻撃面の総合的な評価に基づいて行われる。

 ファイナリストは以下の通り。

ファースト:ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)、ニック・カーツ(アスレチックス)、ビニー・パスカンティーノ(ロイヤルズ)

セカンド:ジャズ・チザムJr.(ヤンキース)、ブランドン・ラウ(レイズ)、ホルヘ・ポランコ(マリナーズ)

サード:アレックス・ブレグマン(レッドソックス)、ジュニア・カミネロ(レイズ)、ホセ・ラミレス(ガーディアンズ)

ショート:ボー・ビシェット(ブルージェイズ)、ジェレミー・ペーニャ(アストロズ)、ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)

外野手:コディ・ベリンジャー(ヤンキース)、バイロン・バクストン(ツインズ)、ライリー・グリーン(タイガース)、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)、フリオ・ロドリゲス(マリナーズ)、ジョージ・スプリンガー(ブルージェイズ)

キャッチャー:シェイ・ランゲリアーズ(アスレチックス)、サルバドール・ペレス(ロイヤルズ)、カル・ローリー(マリナーズ)

DH:ヤンディ・ディアス(レイズ)、ブレント・ルーカー(アスレチックス)、ジョージ・スプリンガー(ブルージェイズ)

ユーティリティ:マイケル・ガルシア(ロイヤルズ)、ザック・マッキンストリー(タイガース)、ベン・ライス(ヤンキース)

チーム:ニューヨーク・ヤンキース、シアトル・マリナーズ、トロント・ブルージェイズ

2025.10.24 09:50 Friday

「なりたい自分になれる」吃音症の子どもにスプリンガーが贈るメッセージ

 ジョージ・スプリンガーに新たなレガシーが加わった。これまでワールドチャンピオン、ワールドシリーズMVP、4度のオールスター選出など華々しい実績を積み上げ、今度はブルージェイズ史上最高の瞬間の一つを生み出した。スプリンガーはア・リーグ優勝決定シリーズの第7戦で決勝点を生む逆転3ランを放ち、ブルージェイズを1993年以来のワールドシリーズに導いたのだ。

 またしてもヒーローとなったスプリンガーが知られているのは、その大舞台での強さだけではない。スプリンガーは吃音のある子どもたちの支援活動を行っていることでも知られる。

 スプリンガー自身も子どもの頃から吃音症に悩まされていた。今やMLBのスター選手となり、その影響力を活用して吃音のある子どもたちを励ましている。10月22日は国際吃音啓発デーであり、スプリンガーがSAY(子どものための吃音協会)などの団体で行ってきた活動に光を当てる機会となっている。

 「チームメートやコーチに聞いてくれたら分かるよ。僕は話すのが好きなんだ。望まれていなくても一日中話し続けるよ。でも昔はそうじゃなかった。吃音のある子ども、あるいはそういったお子さんを持つ親、吃音を持つ人に出会ったことがある人に、物事は楽になっていくと証明できればいいなと思う。やりたいことをできる。言いたいことを言える。なりたい自分になれるんだ」と、スプリンガーは語る。

 ブルージェイズの本拠地ロジャースセンターの隣にそびえ立ち、トロント市内からどこでも見えるCNタワーは、国際吃音啓発デーを記念して緑色にライトアップされた。

 吃音症は世界人口の約1%が抱えていると推定されている。アメリカでは300万人以上、カナダでは40万人に相当する。全米吃音協会によれば、最大5%の子どもが吃音の時期を経験し、その時期は2歳から5歳の間に始まることがおおという。幼少期に吃音症だった子どもの多くは最終的に無おるが、スプリンガーを含め成人になっても吃音に悩まされる人も少なくない。

 スプリンガーは毎年恒例のチャリティイベントを主催する際、そこで出会う子どもたちに話を戻して、彼らがどれほど自分を助けてくれたかを語ってきた。それに、スプリンガー自身もまだ36歳の若者なのだ。

 スプリンガーはブルージェイズ最大の個性だ。ポストシーズンは緊張感が高まり、10月が進むにつれてよりシリアスな展開になるが、スプリンガーは常にパーティーの中心人物であり、あらゆる会場を音とエネルギーで満たしてくれる。

 スプリンガーは言う。 「自分でコントロールできない何かに、なりたい自分になることを諦めさせてはいけない。この世には、助けてくれる本当に良い人もたくさんいるし、吃音を気にしない本当に良い人もたくさんいる。皆んなにわかってほしい最も重要なことの一つは、ただ受け入れる必要があるということだ。ありのままの自分を受け入れ、自分の話し方を受け入れてほしい」

 スプリンガーは、吃音に悩む人々、特に子供たちにとって、重要な人物だ。長年にわたり吃音について公に語ってきただけでなく、それを自分の一部として受け入れてきたMLBスターは、彼らにとって尊敬すべき存在だ。そして今、スプリンガーはブルージェイズにとって32年ぶりのワールドシリーズ優勝を目指し、野球界最大の舞台に立っている。

2025.10.23 17:32 Thursday

シルバースラッガー賞のナ・リーグファイナリストが発表

 22日(日本時間23日)、ルイビルスラッガーは2025年度シルバースラッガー賞のナ・リーグファイナリストを発表。ア・リーグはあす発表される。ナ・リーグ受賞者の発表は11月6日(日本時間7日)に行われる。

 ポジションごとのファイナリストと受賞者は、ナ・リーグの監督とコーチによる投票によって決定される。全30球団に4票(監督とチームが選んだコーチ3人)が与えられる。投票は、OPS、OPS+、本塁打、打点、打率、総塁数、得点などの攻撃面のスタッツに加え、監督とコーチによる選手の攻撃面の総合的な評価に基づいて行われる。

 ファイナリストは以下の通り。

ファースト:ピート・アロンソ(メッツ)、フレディー・フリーマン(ドジャース)、マット・オルソン(ブレーブス)

セカンド:ニコ・ホーナー(カブス)、ケテル・マルテ(ダイヤモンドバックス)、ブライス・トゥラング(ブルワーズ)

サード:マット・チャップマン(ジャイアンツ)、マニー・マチャド(パドレス)、マックス・マンシー(ドジャース)、オースティン・ライリー(ブレーブス)

ショート:フランシスコ・リンドーア(メッツ)、ヘラルド・ペルドモ(ダイヤモンドバックス)、トレイ・ターナー(フィリーズ)

外野手:コービン・キャロル(ダイヤモンドバックス)、ピート・クロウ=アームストロング(カブス)、フアン・ソト(メッツ)、カイル・スタワーズ(マーリンズ)、カイル・タッカー(カブス)、ジェームズ・ウッド(ナショナルズ)

キャッチャー:ウィリアム・コントレラス(ブルワーズ)、ハンター・グッドマン(ロッキーズ)、ウィル・スミス(ドジャース)

DH:大谷翔平(ドジャース)、カイル・シュワーバー(フィリーズ)、クリスチャン・イェリッチ(ブルワーズ)

ユーティリティ:アレック・バーレソン(カージナルス)、ジェイク・クロネンワース(パドレス)、ブレンダン・ドノバン(カージナルス)

チーム:アリゾナ・ダイヤモンドバックス、シカゴ・カブス、ロサンゼルス・ドジャース

2025.10.23 16:31 Thursday

2025-26オフシーズンのFA選手ランキング! 村上7位、岡本30位

 ワールドシリーズが目前に迫り、他の28チームはすでに2026年に向けて計画を進めている。そこで、MLB.comは2025-26のオフシーズンに向けて、フリーエージェント(FA)選手30人をランク付け。中にはオプトアウト権(契約破棄条項)を持ち、まだ正式にFAになっていない選手も含まれている。

1)カイル・タッカー、ライト、カブス(28歳)

 タッカーはカブスに移籍した今季、6月までに17本塁打、52打点、20盗塁、OPS.931を記録した。しかし、右手骨折の影響で夏場に低迷。それでも2021年以降は毎年4.0以上のfWARを残すなど安定感は抜群で、今冬のFA市場でもNo.1の選手であることは間違いない。

フィットするチーム:カブス、ドジャース、ジャイアンツ

2)アレックス・ブレグマン、サード、レッドソックス(32歳)

 ブレグマンは昨オフ、レッドソックスと3年1億2000万ドルの契約を結んだ。ただ、その契約にはオプトアウト権が含まれており、ブレグマンはそれを行使する予定だ。ブレグマンは今季114試合の出場にとどまったが、OPS.822、18本塁打と変わらぬ活躍を見せた。

フィットするチーム:フィリーズ、レッドソックス、タイガース

3)カイル・シュワーバー、外野手/DH、フィリーズ(33歳)

 33歳のシーズンを迎える選手がランキングの上位に来ることは稀だが、シュワーバーは例外だ。今季162試合に出場して56本塁打、132打点でリーグ二冠を獲得。bWAR(4.7)とfWAR(4.9)で自己ベストを更新した。

フィットするチーム:フィリーズ、レンジャーズ、レッズ

4)ボー・ビシェット、ショート、ブルージェイズ(28歳)

 2021年から2年連続でリーグ最多安打、2023年には2度目のオールスター選出を果たしたビシェットにとって、2024年は悪夢のようなシーズンだった。しかし、今季はかつての輝きを取り戻し、139試合で18本塁打、94打点、OPS.840を記録した。守備力は低いものの、人手不足のショート市場では人気になるだろう。

フィットするチーム:ブルージェイズ、ブレーブス、タイガース

5)コディ・ベリンジャー、ファースト/外野手、ヤンキース(30歳)

 2024年からカブスと3年間の再契約を結んだが不安定な成績に終わり、ベリンジャーは昨オフにヤンキースへ放出された。今季はヤンキースで152試合に出場し、29本塁打、98打点、OPS.814を記録し、ナ・リーグMVPに輝いた2019年(8.7)以来最高のbWAR(5.0)を稼いだ。ベリンジャーは古巣ヤンキースに完璧にフィットしているが、長期のオファーで引き抜きを狙う球団も現れるかもしれない。

フィットするチーム:メッツ、タイガース、ヤンキース

6)ピート・アロンソ、ファースト、メッツ(31歳)

 ブレグマンと同様、アロンソも昨オフの市場で長期契約を結び損ねた。メッツにオプトアウト権付きの2年契約で復帰した今季は162試合に出場し、38本塁打、126打点、OPS.871と華々しい復活。クオリファイングオファーを受けることもなく、昨季より多くの関心を集めるだろう。

フィットするチーム:ジャイアンツ、メッツ、レッドソックス

7)村上宗隆、ファースト/サード(26歳)

 村上はスカウトに「本物のパワー」と評されるほどのパワーヒッター。日本での8シーズンでは246本塁打を放ち、2022年には王貞治氏を超えるシーズン56本塁打を記録。村上はヤクルトスワローズからポスティングされる見込みで、松井秀喜以来の日本人スラッガーとなる。

フィットするチーム:ドジャース、マリナーズ、ヤンキース

8)マイケル・キング、先発投手、パドレス(30歳)

 キングはブルペンから先発への転向、さらにパドレス移籍を機にトップクラスの先発投手として頭角を現した。昨季はエース級の活躍だったものの、今季は負傷もあって15先発にとどまった。しかし、来季の相互オプションを破棄してFAとなる見込みだ。

フィットするチーム:ブルージェイズ、パドレス、ヤンキース

9)フランバー・バルデス、先発投手、アストロズ(32歳)

 バルデスはもともと、今オフのFA市場でトップクラスの先発投手と期待されていた。シーズン最初の21先発では11勝4敗、防御率2.62を記録したが、最後の10先発では2勝7敗、防御率6.05と低迷。また被弾後にキャッチャーに意図的に投球を当てた疑惑も出た。それでも、バルデスのイニングイーターぶりは市場で高評価されるだろう。

フィットするチーム:アストロズ、ブルージェイズ、カージナルス

10)ディラン・シース、先発投手、パドレス(30歳)

 シースは今季32先発で8勝12敗、防御率4.55と振るわなかった。球速、空振り率、奪三振率は依然として優秀だが、四球や被弾の多さに苦しめられた。5年連続で32先発以上をこなし、200以上の三振を奪っている耐久性と奪三振力は、投手不足の球団から注目を集めるだろう。

フィットするチーム:エンゼルス、メッツ、オリオールズ

11)レンジャー・スアレス、先発投手、フィリーズ(30歳)

 スアレスは2024年に初めてオールスターに選出され、今季はさらにステップアップ。先発投手として4シーズン連続で振る稼働し、防御率3.59と堅実な成績を残している。先発2番手、あるいは3番手として好条件の契約を得るだろう。

フィットするチーム:ブルージェイズ、ジャイアンツ、フィリーズ

12)エウヘニオ・スアレス、サード、マリナーズ(34歳)

 スアレスは前半戦106試合で36本塁打を放ち、トレード市場の目玉となったが、マリナーズに移籍後はOPS.683と低迷した。シュワーバー、アロンソより年齢と三振率が高いスアレスは、その2人よりリーズナブルな契約で済む大砲だ。

フィットするチーム:エンゼルス、マリナーズ、パイレーツ

13)トレント・グリシャム、外野手、ヤンキース(29歳)

 2024オフにフアン・ソトがヤンキースへトレードされた際、グリシャムはおまけにすぎなかったが、今季はソトが抜けた穴を埋める存在になった。自己ベストの34本塁打、74打点、OPS.811、OPS+125を記録。安定したセンター守備に加え、四球率やボール球スイング率も優秀だ。ヤンキースはクオリファイングオファーを出す可能性があるが、ベリンジャーとの再契約や若手選手との兼ね合いで決断は変わるだろう。

フィットするチーム:メッツ、レンジャーズ、ロイヤルズ

14)エドウィン・ディアス、救援投手、メッツ(32歳)

 チームメートのアロンソとは異なり、ディアスはまだオプトアウト権の行使を表明していない(契約は残り2年3700万ドル)。ディアスは今季66回1/3で防御率1.63、28セーブ、98三振をマークした。膝蓋腱断裂から復帰2年目でかつての輝きを取り戻した。

フィットするチーム:メッツ、オリオールズ、ヤンキース

15)ジョシュ・ネイラー、ファースト、マリナーズ(29歳)

 ネイラーはトレード移籍を挟んで好調を維持し、今季20本塁打30盗塁、OPS.815を記録。ファースト守備の堅実さ、三振率の低さも魅力的だ。ただ、選球眼は良くない。

フィットするチーム:マリナーズ、ナショナルズ、ロッキーズ

16)ルイス・アライズ、ファースト、パドレス(29歳)

 アライズは2022年から3年連続で首位打者を獲得し、3度オールスターに選出された。しかし、今季は打率.292、OPS.719とやや成績が落ちた。ただ、依然として空振り率、三振率、スクエアアップ率でリーグトップの成績を残すトップクラスのコンタクトヒッターだ。守備力は平均以下(OAA-9)だが、打線で存在感を発揮できるだろう。

フィットするチーム:エンゼルス、ジャイアンツ、レンジャーズ

17)ロベルト・スアレス、救援投手、パドレス(35歳)

 2年連続でオールスターに選出されたスアレスは、残り2年間のプレイヤーオプション(選手側に選択権のある契約)を辞退してFA市場に出ると予想される。今季のセーブ王は剛速球を武器に三振の多さと四球の少なさを両立している。

フィットするチーム:ブレーブス、ドジャース、オリオールズ

18)ザック・ギャレン、先発投手、ダイヤモンドバックス(30歳)

 2020年から2024年にかけて、ギャレンはリーグで最も安定した先発投手の一人だった。128先発で50勝31敗、防御率3.34を記録し、エースとして活躍した。しかし、今季は13勝15敗、防御率4.83と不振。決め球のナックルカーブが被長打率.438(2024年は.230)と打ち込まれた。耐久性に優れるギャレンは、短い契約で再びFA市場に出ることを狙うのが既定路線で、人気物件となるだろう。

フィットするチーム:アストロズ、ダイヤモンドバックス、メッツ

19)JT・リアルミュート、捕手、フィリーズ(35歳)

 リアルミュートはフィリーズとの5年契約を満了し、7年を過ごしたフィラデルフィアを去るかもしれない。かつて捕手として屈指の水準にあった打力はかげり、今季は134試合でOPS.700。守備面もブロッキング、フレーミングの数値は低いが、盗塁阻止は依然として優秀だ。かつての実力はないが、捕手不足のFA市場では最良の選択肢となるだろう。

フィットするチーム:フィリーズ、レンジャーズ、ツインズ

20)シェーン・ビーバー、先発投手、ブルージェイズ(31歳)

 トミージョン手術から復帰したビーバーは、ブルージェイズで7先発、防御率3.57と好投。安定した制球力は相変わらずだった。来季はトミージョン手術からの本格復帰を目指すシーズンになる。

フィットするチーム:ブルワーズ、カブス、レンジャーズ

21)デビン・ウィリアムズ、救援投手、ヤンキース(31歳)

 2022年から2024年はブルワーズで防御率1.66を記録し、リーグ屈指のクローザーとして君臨。しかし、ヤンキースに加入した今季は不安定なパフォーマンスだった。来季は短期の契約を結び、FA市場に出直すことが予想される。ウィリアムズはクローザーへのこだわりを表明している。

フィットするチーム:ブルージェイズ、ブレーブス、タイガース

22)ジャック・フラハティ、先発投手、タイガース(30歳)

 フラハティは残り1年2000万ドルの契約を破棄してFA市場に出るかは不透明だ。今季は8勝15敗、防御率4.64と、昨季と比べると成績を落とした。ただ、今回はクオリファイングオファーの対象ではないため、市場はある程度加熱するかもしれない。

フィットするチーム:ブレーブス、メッツ、オリオールズ

23)ホルヘ・ポランコ、内野手、マリナーズ(32歳)

 ポランコは今季138試合で26本塁打、OPS.821、OPS+134と好成績を残した。さらにポストシーズンでは3試合連続で決勝打を放ち、マリナーズをワールドシリーズまであと1勝のところまで導いた。ポランコはプレイヤーオプションを破棄し、FA市場に出るだろう。

フィットするチーム:エンゼルス、ロッキーズ、ツインズ

24)メリル・ケリー、先発投手、ダイヤモンドバックス(37歳)

 このランキングで最年長のケリーは、30代後半に差し掛かっても堅実なローテ投手として活躍している。2022年から108先発をこなし、防御率は3.47。今季もトレード移籍を挟んで12勝9敗、防御率3.52、さらにMLB14位の184イニングを投じた。奪三振力は平均以下だが、その制球力は年々磨きがかかっている。

フィットするチーム:ダイヤモンドバックス、パドレス、パイレーツ

25)グレイバー・トーレス、セカンド、タイガース(29歳)

 トーレスはFA市場への出直しを狙ってタイガースと1年契約を結び、前半戦は狙い通り復活を遂げた。2019年以来となる3度目のオールスターに選出されたが、後半戦からは成績を落とした。それでもトータルの打撃成績は優秀で、アプローチの良さが際立った。一方で、守備力には不安を抱える。

フィットするチーム:カージナルス、ガーディアンズ、ツインズ

26)ライアン・ヘルスリー、救援投手、メッツ(31歳)

 カージナルスでは絶対的クローザーとして活躍し、トレード市場でも人気物件だったが、メッツへのトレード後に暗転。22登板で防御率7.20と打ち込まれ、ポストシーズン逸の一因ともなった。しかし、その2ヵ月の不調がヘルスリーの価値に傷をつけることはないだろう。ヘルスリーは過去3シーズンで防御率1.83、82セーブを挙げている。

フィットするチーム:カブス、ジャイアンツ、レンジャーズ

27)ルーク・ウィーバー、救援投手、ヤンキース(32歳)

 ウィーバーは今季最初の2ヵ月は24登板で防御率1.05を記録したが、負傷者リスト入りを境に成績が低迷。最後の40登板では防御率5.31と苦しんだ。ポストシーズンでも苦戦したが、直近2シーズンのパフォーマンスは優秀で、多くの球団の関心を呼ぶだろう。また、ブルペン転向前は先発投手としてプレーしてきたウィーバーは、再転向の可能性も示唆している。

フィットするチーム:アスレチックス、ダイヤモンドバックス、ヤンキース

28)クリス・バシット、先発投手、ブルージェイズ(37歳)

 ベテランのバシットは30代後半に差し掛かってもイニングイーターとして活躍し、4シーズン連続で170イニング以上を投じている。三振率は平均程度だが、複数の変化球を織り交ぜて弱い打球を打たせるのが真骨頂。ゴロ率と四球率も優秀だ。1年あるいは2年契約で先発3、4番手を務めることになりそうだ。

フィットするチーム:ブルワーズ、ナショナルズ、オリオールズ

29)ルーカス・ジオリト、先発投手、レッドソックス(31歳)

 トミージョン手術を受けて2024年を全休したジオリトは、今季レッドソックスで10勝4敗、防御率3.41と復活。しかし、右肘の違和感でポストシーズンを欠場したため、コンディションは依然として懸念される。

フィットするチーム:エンゼルス、アストロズ、ダイヤモンドバックス

30)岡本和真、内野手(29歳)

 日本で数々の輝かしい実績を持つスラッガー、岡本は今オフにポスティングされる。2018年にレギュラーを獲得してからオールスターに6度選出、3度の本塁打王を獲得した。MLBのより球速がある投手への対応力、守備位置の問題は不透明だ。

フィットするチーム:カブス、メッツ、ヤンキース

その他の選手:セドリック・マリンズ、ハリソン・ベイダー、ウォーカー・ビューラー、ザック・エフリン、ポール・ゴールドシュミット、リース・ホスキンス、ダスティン・メイ、ライアン・オハーン、マーセル・オズナ、ジャスティン・バーランダー、ブランドン・ウッドラフ

2025.10.23 15:37 Thursday

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