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アストロズ5連勝 新人キャム・スミスが古巣カブスを相手に活躍
【アストロズ7-4カブス】@ヒューストン/ダイキン・パーク、6月27日(日本時間28日)
トレードでアストロズからカブスへ移籍したカイル・タッカーが移籍後初めてダイキン・パークに戻ってきて注目を集めるなか、交換要員としてアストロズに移籍したキャム・スミスは、昨年12月にアストロズが自身を獲得したときに、なぜあれほどまでに興奮したのかを思い出させてくれた。
スミスは四回に6号3ランを放つなど、古巣カブスを相手に全4打席で出塁する見事な活躍を披露。22歳のスミスはもともと、2024年ドラフト1巡目(全体14位)指名でカブスに入団した有望株だった。しかし、1年も経たないうちにトレードでアストロズへ移籍。そして、古巣カブスと対戦した初めての試合でチームの勝利に貢献した。
22歳の有望株は「みんなが今回のシリーズに特に注目しているというのは周知の事実だと思う。正直に言って、楽しい試合になると思うし、僕も楽しみだよ」と試合前に話していたが、その試合で主役となったのは自分自身だった。
アストロズにとっては、間違いなく楽しい試合だった。カブスを7-4で破り、連勝を5に伸ばすとともに、今季のホーム成績は31勝13敗とさらに向上した。ちなみに、この5連勝のなかには地区首位のチームを相手とした4連勝が含まれており、アストロズは直前のフィリーズ3連戦をスイープ。そして、カブス3連戦の初戦も制した。
試合前には、アストロズはタッカーとライアン・プレスリーの凱旋を祝福するビデオを流した。プレスリーはアストロズの守護神として活躍した右腕で、2022年のワールドシリーズでは胴上げ投手になっている。このとき、最後の打者のファウルフライを捕球したのがタッカーだった。アストロズは昨年12月にスミス、イサーク・パレイデス、ヘイデン・ウェスネスキーとのトレードでタッカーを放出。その1カ月後にはプレスリーもトレードした。
なお、カブスの鈴木誠也は「3番・DH」でスタメン出場して4打数2安打1三振。3試合ぶりとなるヒットを放ち、今季の打撃成績は打率.259、出塁率.315、OPS.849となっている。
2025.6.28 13:16 Saturday
ドジャース逆転勝ち 登板前日の大谷が29号先頭弾&同点タイムリー三塁打
【ロイヤルズ4-5ドジャース】@カンザスシティ/カウフマン・スタジアム、6月27日(日本時間28日)
大谷翔平(ドジャース)が再び完全な二刀流のスーパースターになるまでには、ゆっくりとした段階的な道のりが待ち受けている。しかし、MVP3度受賞のスーパースターは、完全な状態に向けて着実に前進中だ。
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は28日(同29日)のロイヤルズ戦に先発する予定の大谷が2イニング目も投げる見込みであることを明かした。今季3度目の登板に臨む大谷だが、2イニング目も投げるのは2023年以来初めてとなる。指揮官の発表から数時間後、大谷は敵地カウフマン・スタジアムで行われたロイヤルズ戦で飛距離429フィート(約130.8メートル)の29号先頭打者アーチと打球速度112.4マイル(約180.9キロ)の同点タイムリー三塁打を放ち、チームの勝利に貢献した。
ドジャースは2023年シーズンオフに「歴史的選手」と10年7億ドルの超大型契約を結び、大谷が完全な二刀流選手に戻ることを待ち望んできた。ドジャースは大谷がどれくらいのイニングを投げられるか、まだ正確には把握していないものの、大谷が消化できるイニング数はタイラー・グラスナウ、ブレイク・スネル、佐々木朗希といった離脱中の投手たちの復帰時期の決定要因となる可能性がある。このうち、グラスナウはマイナーAAA級で2度目のリハビリ登板を終え、復帰が近づいている。ただし、ドジャースはまだ「投手・大谷」に関して具体的な契約や役割を決めていない。
ロバーツ監督は「ロースターがどんな構成であろうと、自分たちがやりたいことを何でもできるための選択肢があるということが重要なのだと思う。それがショウヘイの素晴らしいところだし、彼が投げられるということの素晴らしさなんだ」と語り、たとえ大谷が長いイニングを投げられなくても、チームにとって大きな戦力であるということを強調した。
大谷が投げられるイニングが何イニングであろうと、その分だけチームにとってプラスになるというのがロバーツ監督の考え方だ。「彼が5~6イニングを投げられなかったとしても、ロースターの枠を圧迫するわけではない。1イニング、2イニング、3イニングと投げてくれれば、その分だけチームにとってプラスになる。正直に言って、1試合1試合を大切にして、次に何が起こるかを見極めることが大事だと思う」と指揮官は語った。
投手としての今後の見通しを決めるうえで、大谷が3度目の登板の試合中や試合後にどのように感じているかという部分が重要になってくるだろう。しかし、打席での状態に関しては、疑いの余地はない。すでにオールスター・ゲーム出場を決めている大谷は、本塁打(29)、長打率(.649)、OPS(1.045)といった部門でナショナル・リーグ1位の数字を残している。
では、投手を再開してからの打撃の調子はどうだろうか。大谷は直近11試合で4本塁打、13打点を記録し、ドジャース打線を牽引。完全な二刀流選手としてカムバックする瞬間は、刻一刻と近づいている。
2025.6.28 12:43 Saturday
ツインズの動向に注目 フォルビー球団社長は売り手に回ることを否定
2年ぶりのポストシーズン進出を目指しているツインズだが、今季ここまで39勝42敗でアメリカン・リーグ中地区3位となかなか波に乗れない状況が続く。地区首位のタイガースには11.5ゲーム差をつけられており、逆転は難しい状況。ワイルドカード圏内までは2.5ゲーム差だが、ワイルドカード獲得のためには5チームをごぼう抜きする必要がある。そうした状況のなかで、トレード・デッドラインに向けた動向が注目されるが、今のところ「売り手」に回るつもりはないようだ。
ツインズのデレック・フォルビー球団社長は、日本時間6月24日の試合前の時点で「それは今のところ、私がフォーカスしているものではない」と語り、トレード市場で主力選手を放出することを明確に否定。「自分たちが信じているチームがあり、選手たちが早く健康を取り戻して復帰すれば十分に戦えると考えているとき、主力の放出について考えるのは難しいものだ。もし放出のことを考える必要があるなら、それは後で考えればいい。とにかく今は放出のことは全く考えていない。チームをあるべき姿に戻すことだけを一生懸命に考えている」とあくまでもポストシーズン進出を目指す方針を強調した。
「ニューヨーク・ポスト」紙のジョエル・シャーマン記者も「ツインズが主力選手の売却を望んでいるという話は聞いていない」としている。その一方で「トレード候補になる可能性がある魅力的な選手が複数いるため、注目のチームとして見ているのだ」と述べ、ツインズが「売り手」に回った場合のプランを展望した。
シャーマン記者が特に魅力的なトレード候補として挙げたのは、バイロン・バクストンとカルロス・コレアの2選手だ。両者とも故障の多いスター選手として知られているが、バクストンは今季ここまで健康を維持しており、打率.279、17本塁打、48打点、13盗塁、OPS.898の好成績をマーク。球界屈指のスピードや守備力も錆び付いておらず、外野手補強を狙うチームにとって魅力的な補強ターゲットとなるだろう。ツインズとバクストンは7年1億ドルの長期契約を結んでおり、契約は2028年シーズンまで残っている。
コレアは70試合に出場して打率.262、6本塁打、26打点、OPS.691とやや低調なシーズンを過ごしている。遊撃の守備防御点は自己ワースト(-7)と攻守両面で精彩を欠くが、ポストシーズン通算18本塁打の実績はコンテンダーにとって魅力的だろう。ただし、6年2億ドル+球団オプション4年という大型契約がトレードの障壁となる可能性は否定できない。
ワイルドカード圏内まで2.5ゲーム差という状況を考えると、ツインズが早々に白旗をあげる可能性は低い。トレード期限までの残り1カ月の戦いがチームの動向を大きく左右することになるだろう。
2025.6.27 11:44 Friday
カブスのマイケル・ブッシュがブッシュ・スタジアムで本塁打を放つ
【カージナルス0-3カブス】@セントルイス/ブッシュ・スタジアム、6月26日(日本時間27日)
今永昇太(カブス)が戦列復帰を果たした敵地でのカージナルス戦。マイケル・ブッシュが二回に先制の13号ソロを放ち、今永を援護したが、これはカージナルスの本拠地ブッシュ・スタジアムで「ブッシュ」が打った初めてのホームランとなった。
記録マニアとして知られるMLB.comのサラ・ラングス記者は「球場名と選手名の組み合わせ」について、詳細なリサーチを敢行。1953年にスポーツマンズ・パークがブッシュ・スタジアムに改称されて以降、「ブッシュ」という名前を持つ選手がホームランを打ったのは、カブスのマイケル・ブッシュが初めてだった。
他の球場も見ていくと、たとえばダイヤモンドバックスの本拠地チェイス・フィールドでは、チェイス・アトリーが4本、チェイス・ヘッドリーが3本のホームランを放っている。オリオールズの本拠地オリオール・パーク・アット・カムデンヤーズでは、「カムデン」や「キャム」といった名前の選手はホームランを打っていないが、名前に「Cam」が含まれる選手まで広げると、キャメロン・メイビンとマイク・キャメロンが各2本、ケン・カミニティが1本打っている。
ブリュワーズの本拠地アメリカンファミリー・フィールドは、2020年までミラー・パークと呼ばれていたが、ここではダミアン・ミラーが10本、ブラッド・ミラーとビル・ミラーが各3本のホームランを記録。ジャイアンツの本拠地オラクル・パークは、2000~03年にパシフィック・ベル・パークという名称だったが、その期間中にデービッド・ベルが7本、ジェイ・ベルも2本のアーチを放った。
現在使われていない球場に目を向けると、ブレーブスの前本拠地ターナー・フィールドでは、トレイ・ターナー(5本)、クリス・ターナー(1本)、ジャスティン・ターナー(1本)が本塁打を放っている。
ちなみに、ホワイトソックスには若手左腕のカイ・ブッシュがいるが、ラングス記者は「カイ・ブッシュがセントルイスのブッシュ・スタジアムで本塁打を打つ可能性は極めて低いだろう」としている。カブスのマイケル・ブッシュは「ブッシュ・スタジアムで本塁打を放った史上初のブッシュ」として、その名をメジャーリーグの歴史に残すことになった。
2025.6.27 10:48 Friday
レイズの快進撃が続く ア・リーグ東地区首位のヤンキースと0.5差に
【ロイヤルズ0-4レイズ】@カンザスシティ/カウフマン・スタジアム、6月26日(日本時間27日)
レイズの先発投手ドリュー・ラスムッセンは、ロイヤルズを相手に4-0で勝利を収めたあと、「今、(チーム状況について)文句を言うのは難しい」と語った。この言葉が現在のレイズの状況を象徴していると言えるだろう。
レイズはレギュラーシーズンのちょうど半分、81試合を消化。2年ぶりのポストシーズン進出に向けて快進撃を続けており、今季5度目となる同一カードのスイープを達成し、アメリカン・リーグ東地区の首位ヤンキースまで0.5ゲーム差に迫った。
レイズの現状、そして上手くいっている点は以下の通りだ。
順位表で急上昇
レイズの前半81試合については、直近の34試合に集約される。5月19日の時点では21勝26敗で5つの借金を抱えていたが、それ以降の34試合では25勝9敗を記録し、シーズンの展望を一変させた。
しかも、この快進撃を強豪相手に成し遂げている。レイズはタイガース、アストロズ、ブルージェイズ、レンジャーズ、ツインズ、ロイヤルズを相手にカード勝ち越しを記録し、メッツをスイープ。すべてポストシーズン進出を狙うチームだ。低迷するチームを相手に白星を稼いでいるわけではないという点は注目に値する。
ケビン・キャッシュ監督は「この1カ月ほどで、チームの勢いは高まってきたと思う。本当に良い成果をたくさん上げてきたし、選手たちがこれを継続していきたいと思っていることを私は知っている」とチームの現状に手応えを感じている。
現在、レイズはトレード・デッドラインで「買い手」に回る可能性が高い。ただし、具体的にどのポジションを補強するかは、故障からのリハビリを行っているキム・ハソンやシェーン・マクラナハンの状態、そして2度目のメジャー昇格を果たしたチャンドラー・シンプソンの成長にかかっているだろう。
現在46勝35敗ので地区2位につけているレイズ。5月28日の時点では7ゲーム差をつけられていたが、首位ヤンキースとのゲーム差は0.5まで縮まった。また、メジャー最高勝率を誇るタイガースにも4.5ゲーム差に迫っている。
先発投手のライアン・ペピオは「このチームの粘り強さを誇りに思う。僕たちは昨季の終わり方に満足できなかったからこそ、今年は高い期待と目標を持ってシーズンに臨んだ。望んでいたようなスタートではなかったけれど、状況を好転させることができた。今は貯金11。この状況には満足しているよ」と語った。
では、レイズはどのようにして状況を好転させたのだろうか。
打撃陣の活躍
ジョナサン・アランダ(打率.329、OPS.898)の台頭と、ヤンディ・ディアス(直近14試合で打率.476)の安定した活躍もあり、上位打線が強化された。その結果、様々な方法で得点することができる打線が形成されている。
今回のロイヤルズ3連戦を最新の例として挙げると、第2戦の二回に3点を奪ったが、外野に届いた打球は1本だけ。ホセ・カバイェロとダニー・ジャンセンのバントを絡めて得点を奪い、3-0で勝利した。最終戦では六回にブランドン・ラウとジュニア・カミネロが連続ホームランを放ち、ロイヤルズを突き放した。
ラウが「今は相手にダメージを与える方法がたくさんあり、とても楽しくプレーできている。一緒にいて楽しいグループだし、一緒にプレーしていて楽しいチームだ」とチームの雰囲気の良さについて語る。
最終戦開始前の時点で、レイズが5月20日以降に記録した1試合平均得点(5.97)、打率(.281)、出塁率(.351)、長打率(.462)、OPS(.813)、打点(184)、盗塁(43)はいずれもメジャートップ。長打(110)もメジャー最多タイの数字である。
好守のテイラー・ウォールズは「シーズン序盤はなかなか勝てなかったけれど、シーズンを通して良い野球をすることができていると思う。(勝てなかった時期も)得点を奪うチャンスはあった。今は以前よりもそうした機会を生かすことができている。塁上にランナーがいる状況でヒットが出るようになったんだ」とチームが好調な理由を分析した。
投手陣の活躍
打撃陣の活躍は投手陣にも好影響を与えている。最終戦開始前の時点で、5月20日以降の防御率(3.00)、WHIP(1.10)、1試合平均失点(3.33)、被打率(.220)、得失点差(+87)はいずれもメジャートップだ。
ロイヤルズ3連戦でも投手陣は安定感を見せ、初戦ではタジ・ブラッドリーが6回2/3を無失点に抑える好投。第2戦ではラスムッセンが五回無失点、そして最終戦ではシェーン・バズが八回無失点と自己ベスト級の好投を見せ、3試合でロイヤルズに1点しか与えなかった。
今季8勝目を挙げたバズは「これは、僕たちが助け合うことができるということを示していると思う。選手同士で助け合い、質問し合い、責任感を持ちながら、全員がベストを尽くしてプレーしている。本当に素晴らしいグループだと思う。本当に、その一員でいられてラッキーだよ」と語る。
先発陣だけでなく、ブルペンも強力だ。最終戦開始前の時点で救援防御率3.31はメジャー4位。15セーブを挙げている守護神ピート・フェアバンクスのほか、ギャレット・クレビンジャー(防御率2.64)、エリック・オージー(防御率1.91)らがブルペンを牽引している。
強力な攻撃陣と支配的な投手陣のコンビネーションにより、レイズの快進撃は生み出されている。これは数カ月前に実行に移された「真のチームを作る」という計画の成果である。
ジョシュ・ロウは「どうすればチームとしてもっと団結することができるか、オフシーズン中も、シーズンが始まってからも、ずっと考えてきた。一緒にチームとしてプレーすること。それを昨季は少し失っていたように思う。でも、今年はシーズンを通して素晴らしい成果を上げることができている。お互いを支え合い、エネルギーを注ぎ合うんだ。そうした状況に到達するまで、少し時間がかかったかもしれないけれど、今は本当にいいチーム状況だし、フィールドで自分たちの力を発揮することができている」と語った。チームとして完成されつつあるレイズの快進撃は、まだまだ続いていきそうだ。
2025.6.27 09:59 Friday
元西武・エンスが4年ぶりのメジャー復帰 五回1安打無失点で白星
【タイガース8-0アスレチックス】@デトロイト/コメリカ・パーク、6月26日(日本時間27日)
ディートリック・エンス(タイガース)が過去にメジャーリーグで先発したのは1試合だけ。2017年8月10日のブリュワーズ戦、エンスは当時ツインズに所属しており、一塁には名打者ジョー・マウアー、相手打線にはライアン・ブラウンやドミンゴ・サンタナがいた。この試合、メジャー初安打を記録したエンスだったが、本業のピッチングでは三回途中5安打2失点(自責点1)で勝敗つかずに終わった。
エンスは当時のことを振り返り、「打撃練習とか、いろいろやらないといけなかったんだ。直前にヤンキースからトレードされたばかりだったから、チームのこともよくわからなかったし、少し変わった感じだったことを覚えている」と語った。
また、エンスがメジャーリーグで最後の白星を手にしたのは、2021年9月16日にトロピカーナ・フィールドで行われた試合。当時レイズに所属していたエンスは、ジェイマー・キャンデラリオ、エリック・ハース、ダスティン・ガーノーから三振を奪うなど、四回3安打1失点の好リリーフを見せ、タイガース先発のタイラー・アレクサンダーに投げ勝った。
エンスは2021年シーズンを最後にメジャーリーグの舞台から姿を消し、2022~23年は日本プロ野球の埼玉西武ライオンズ、2024年は韓国プロ野球のLGツインズでプレーした。そして、昨年12月にタイガースとマイナー契約を結び、米球界へ復帰。前回のメジャー登板から1371日が経過していたが、アスレチックス戦の先発に起用されると、五回1安打無失点の好投を見せ、チームの勝利に貢献した。
前回の先発登板から2877日が経過しているが、これは「先発間の日数」として今世紀で最も長い記録の一つである。ちなみに、オリオールズのクローザーとして活躍したジム・ジョンソンが2006年7月29日に先発したあと、2018年9月11日に再び先発のマウンドに立ち、この間の日数は4427日だった。「誰が数えているんだろうね」とエンスは笑った。
海外のリーグでプレーしていたときも、エンスにとってはメジャー復帰が常に目標だったという。たとえどれだけ時間がかかっても、どれだけ遠い場所でプレーしていても、エンスはメジャーの舞台に戻りたいと思っていた。今春のスプリング・トレーニングでタイガースの投手陣から様々なことを学んだのと同じように、エンスは海外でも多くのことを学んだ。
マウンドに上がると、地元のイリノイ州フランクフォートから車で駆け付けた数十人の友人や家族、大学時代のチームメイトたちがお祭り騒ぎになるなか、エンスは普段通りのルーティーンで感情を抑えようとした。
弟のダニエルは地元メディアの取材に対して「とても興奮しています。でも、僕たちはここに来ることをずっと待っていたけれど、兄にとってはただの一日に過ぎません。今季が始まってからずっと、(マイナーAAA級の)トレドで頑張っていましたから」とコメントしている。
タイガースはリース・オルソンの戦列復帰が迫るなか、谷間の先発要員としてエンスを昇格させた。エンスは今季マイナーAAA級で14試合に先発し、防御率2.89、奪三振率10.25、与四球率2.17と安定したピッチングを披露。速球系(4シームやシンカー)とチェンジアップのコンビネーションに加え、カーブも巧みに操り、若手が並ぶアスレチックス打線を相手に見事なピッチングを見せた。アスレチックスのスタメン9人のうち、エンスがデビューした2017年に現役メジャーだったのは4人だけ。タイガースの守備陣にも、エンスが最後にメジャーでプレーした2021年にまだ現役メジャーではなかった選手が4人含まれていた。
エンスとバッテリーを組んだジェイク・ロジャースは「試合前、彼に『最初から球種を上手くミックスできれば、本当にいい一日になる』と言ったんだ。そして、彼はすべての球種でゾーン内を攻め、僕にリードの主導権を与えてくれた。内角、外角、高め、低め、ストライクゾーンを上手く使いながら、相手打者のバランスを崩していた。すべての球種でストライクを取ることができるから、捕手としても楽だったよ」とエンスのピッチングを称えた。
チェンジアップはタイガース入団後に改良を加えたものであり、「キックチェンジ」とも呼ばれる。従来のチェンジアップの回転と、スプリッターの動きを組み合わせた球種だ。マイナーAAA級では「キックチェンジ」で空振り率40%を記録しており、今日の試合でも14回のスイングに対して5回の空振りを奪った。このほか、4シームで7回、シンカーでも1回空振りを奪っている。
「スプリング・トレーニングの早い段階で『これを試してみて』と言われたんだ。(ピッチング・ディレクターの)ゲーブ・リバスがこれを提案してきて、僕は取り組みを始めた。すぐにこの球種のことが気に入ったし、自信をもって投げられるようになった。本当に助かっているよ」とエンスは「キックチェンジ」を取り入れた効果を語っている。
三回先頭のマックス・シューマンが放った内野安打が唯一の被安打。このあと、デンゼル・クラークに四球を与え、ピンチを招いたエンスだったが、ジェイコブ・ウィルソンをライトフライ、ブレント・ルーカーをサードゴロ併殺打に仕留め、ピンチを切り抜けた。外野まで飛ばされたのはウィルソンのライトフライ2本だけ。それ以外はすべての打球を内野にとどめ、平均打球速度は81マイルに過ぎなかった。
タイガースのA・J・ヒンチ監督は「素晴らしかった。彼にとって良い結果だっただけでなく、チームにとっても、組織にとっても良かった。多くの人々の貢献による結果だが、そのなかでもディートリックは冷静さを保ち、興奮を抑え、本当に必要なときに素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた」とエンスの好投を絶賛した。
今回の好投により、エンスはメジャーに残る可能性が出てきた。予定通りにオルソンが復帰した場合、エンスはロングリリーフ要員としてブルペンに回ることになるだろう。
エンスは「タイガースと契約したとき、こういう可能性があることを想像していた。それが実現して本当に嬉しい」と4年ぶりのメジャー復帰を喜んだ。
2025.6.27 08:53 Friday
カブス・今永昇太が復帰戦を勝利で飾る 五回1安打無失点の好投
【カージナルス0-3カブス】@セントルイス/ブッシュ・スタジアム、6月26日(日本時間27日)
7週間前、今永昇太(カブス)は一塁のベースカバーでダッシュした際に左ハムストリングを痛め、戦線離脱を強いられることになった。カブスは戦力としても、人間的にも、大きな存在を失ったのだ。当然のことながら、今永は待望の復帰登板でも一塁のベースカバーという仕事を担うことになった。
今永の2球目だった。カージナルスの先頭打者ブレンダン・ドノバンが一塁へのゴロを放ち、今永は余裕をもって一塁のベースカバーへ。マイケル・ブッシュからの送球を受け、復帰後最初のアウトを取った。それ以降、今永はスムーズなピッチングを続け、カブスは同地区ライバルのカージナルスを相手に3-0で完封勝利を収めた。
カブスのトミー・ホットビー投手コーチは、今永について「彼は一緒にいて本当に楽しい人なんです。彼のような選手がいないときは、チームの一部が失われてしまったように感じます」とチームにおける今永の存在感の大きさについて話していた。
今永の欠場期間中、カブスの先発ローテーションは健闘を見せたものの、やはりメジャーデビュー以降の今永のパフォーマンスの安定感は光っている。昨季はナショナル・リーグのサイ・ヤング賞と新人王の候補となり、今季は東京シリーズで自身初の開幕投手を務め、チームに勢いをもたらした。
今永は5月4日のブリュワーズ戦で左ハムストリングを痛めたあと、メジャーリーグの打者と対戦していなかったが、そうとは思えないほどのピッチングを披露。カージナルスを相手に5イニングを無失点に抑え、今季の防御率を2.54まで向上させた。
カージナルス打線に許した唯一のヒットは、一回1死からメイソン・ウィンに打たれたもの。ダンズビー・スワンソンが鋭いゴロをバックハンドで処理しきれず、レフト前ヒットとなった。しかし、今永はそれ以降、四球1つを除いてカージナルス打線をパーフェクトに封じ、3つの三振を奪うなど、77球で5イニングを投げ抜いた。
カブス打線は二回にブッシュが13号ソロを放ち、今永に先制点をプレゼント。2死走者なしの場面でカージナルス先発のアンドレ・パランテから放ったこの一発は、Statcastで初速109.6マイルを計測した。四回には2死満塁のチャンスでイアン・ハップが押し出し四球を選び、追加点をゲット。八回にはピート・クロウ=アームストロングとスワンソンの連打でチャンスを作り、スワンソンが一、二塁間に挟まれて盗塁死となる間に、クロウ=アームストロングが3点目のホームを踏んだ。
カージナルスは七回にカブス3番手のブラッド・ケラーから2つの四球を選び、1死一、二塁のチャンスを迎えたが、カブスはノーラン・ゴーマンが放った右中間への打球をピート・クロウ=アームストロングが好捕するなどピンチを脱出。九回にはカブス5番手のダニエル・パレンシアから無死一、二塁のチャンスを作ったカージナルスだが、パレンシアは後続3人をいずれも三振に仕留め、試合を締めくくった。
なお、カブスの鈴木誠也は「3番・右翼」でスタメン出場したが、3打数ノーヒット1四球。2試合連続のノーヒットに終わり、今季の打撃成績は打率.256、出塁率.313、OPS.847となっている。
2025.6.27 07:38 Friday
ロイヤルズ・ウィットJr.が2大会連続のWBCアメリカ代表入りを表明
2023年3月、当時22歳のボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)は堅実なルーキーイヤーを終え、未来のスター候補として注目されていた。球界最高の選手たちが名を連ねる、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のアメリカ代表チームの最年少メンバーに選ばれたことで、その注目度は高まった。
現在、ウィットJr.は球界を代表するスター選手の一人である。そして、アメリカ代表を牽引する存在として、再びWBCの舞台に戻ってくる予定だ。
日本時間6月27日、ウィットJr.はアメリカ代表の一員として2026年のWBCに出場することを発表した。おそらく正遊撃手を務めることになるだろう。昨季アメリカン・リーグのMVP投票で2位となった若きスター遊撃手は、その才能を国際舞台で発揮するチャンスを再び得ることになる。
現在25歳のウィットJr.は、主将を務めるアーロン・ジャッジ(ヤンキース)、剛腕ポール・スキーンズ(パイレーツ)に続き、WBCアメリカ代表入りを表明した3人目の選手となる。この3人は、前回大会で日本に次ぐ準優勝に終わったリベンジを目指すアメリカ代表を牽引する存在となるだろう。前回大会は大谷翔平がマイク・トラウトを三振に仕留めるという、球史に残るような最高の形で幕を閉じた。
ウィットJr.は再びWBCに出場することについて「光栄です。前回大会では(優勝に)惜しくも及びませんでした。だから、チームと国が金メダルを獲得するのを手助けしたいと思っていたんです」と語っている。
ウィットJr.は2023年に行われた前回大会では控え選手という位置づけであり、2打数1安打を記録。日本との決勝戦では九回に代走として出場したが、ムーキー・ベッツの併殺打で二塁フォースアウトとなり、2死走者なしで大谷とトラウトが対戦するクライマックスを迎えることになった。
ロイヤルズの看板選手であるウィットJr.は「あの雰囲気のなかに、あれだけの選手たちと一緒にいるだけで、このゲームについて本当にたくさんのことを学ぶことができます。なぜ彼らがこれほど素晴らしい選手なのか、といったことを学べるんです」とWBC出場の意義を力説。「たとえ3週間であっても、最高の選手たちと一緒にいられることで、たくさんのことを学ぶことができます。それがシーズンに向けた準備になるんです」とWBC出場のメリットを語った。
ウィットJr.は前回大会に出場したあと、急激な成長を遂げている。昨季は打率.332、32本塁打、109打点という素晴らしい活躍で首位打者のタイトルを獲得し、fWARは10.4に達した。所属するロイヤルズとはすでに長期大型契約を結んでおり、昨季はチームのポストシーズン進出にも大きく貢献した。
今季のロイヤルズは昨季ほど順調ではないものの、ウィットJr.は今季もリーグ上位の好成績を残しており、打率.282、10本塁打、出塁率.338、長打率.484を記録。fWARはメジャー全体で6位となる3.8をマークし、これは遊撃手ではアストロズのジェレミー・ペーニャ(4.0)に次ぐ数字である。
ウィットJr.は2023年のWBC以前にもアメリカ代表としてのプレー経験があり、2018年にはU-18アメリカ代表の一員としてパンアメリカン選手権に出場。打率.576、3三塁打、3本塁打という大活躍を見せただけでなく、パナマと対戦した決勝戦ではサイクル安打を達成し、大会MVPに輝いた。
また、元メジャーリーガーである父ボビー・ウィットSr.も1984年のロサンゼルス五輪にアメリカ代表の一員として出場し、銀メダルを獲得している。
さて、ウィットJr.は赤、白、青のユニフォームに再び袖を通し、金メダルを目指すことになる。
「この偉大な国を代表できるだけでも光栄です。それは本当に名誉なことです。胸にUSAの文字を掲げられることには本当に大きな意味があるんです」と謙虚な気持ちを忘れず、自身初となるWBCでの優勝を目指す。
2025.6.27 06:50 Friday
恵みの雨でドジャースが大勝 山本は5回無失点で7勝目
【ロッキーズ1-8ドジャース】@デンバー/クアーズ・フィールド
日本時間6月26日、ドジャースはロッキーズに大勝し、ロッキーズ3連戦の勝ち越しを決めた。クアーズ・フィールド上空を襲った突然の嵐は、ドジャースのエース山本由伸の快投を途中で終わらせてしまったが、ドジャースにとって勝利をもたらす恵みの雨となった。
試合はドジャースが山本、ロッキーズがチェイス・ドーランダーの両先発でスタート。両先発とも素晴らしい投球を見せ、得点圏に走者が進んだのは五回まででわずか1度のみだった。山本はわずか1安打、1四球しか与えず、5回6三振無失点の好投。対するドーランダーも、五回まではドジャース打線を1安打1四球に抑えきった。
流れを変えたのは雨だった。6回、ドーランダーが先頭のダルトン・ラッシングに四球を与え、続く大谷翔平に安打を浴びると、球場には「悪天候」を警告するメッセージが表示された。程なくして雨が降り始め、2死二、三塁で打席にマックス・マンシーを迎えた頃には、雨は激しくなっていた。
マンシーが一塁手の定位置に平凡なポップフライを打ち上げると、誰もが3死目が記録されると思ったが、一塁手も二塁手も雨の中で完全に打球を見失ってしまった。ボールが一塁手の目の前に落ちたときには、2塁走者の大谷も生還しており、ドジャースは2点の先取点を得た。
マンシーは「あの時点ではメガネがかなり水であふれて、ボールが打てるようになることを祈るばかりだった」と語り、打つ方にとっても守る方にとっても過酷な状況だったようだ。そして、思わぬ雨の恩恵を受けて先制に成功したドジャースは、1時間半に及ぶ雨天中断明けに本領を発揮。
七回にはマンシーの満塁本塁打、八回にはマイケル・コンフォートのソロ本塁打が飛び出し、リードを8点に拡大。そのまま8対1でロッキーズに大勝した。
山本は5回無失点の好投で7勝目をマークしたが、雨天中断がなければ圧倒的な登板になったかもしれない。ある意味、26歳の右腕は、リーグで2番目に少ない得点を記録している18勝62敗のロッキーズ相手に、ただひたすら仕事をこなしていただけだった。しかし、山本は6月の先発4試合で防御率5.23と低迷しており、好投を必要としていた。
さらに、打者天国クアーズ・フィールドでの投球は決して容易なことではない。クアーズ・フィールドで5回以上を投げて無失点に抑えたのは、ドジャースの投手として史上14人目、直近では2023年のクレイトン・カーショウ以来だった。
デーブ・ロバーツ監督は「彼は素晴らしかった。いい投球だった。カーブをうまく使い分けていた。スプリットも本当に良かった。そして速球も。ヨシはまさに今夜、我々が必要としていた選手だと思った」とコメント。
6月に入ってから4失点以上許した登板が2回、クオリティスタートを記録しながらも援護不足に泣いた登板が2回あり、山本は勝ち星を挙げられていなかった。きょうは好投を雨に遮られたものの、その雨のおかげで大きな援護点が入り、やっと今月初勝利。この登板をきっかけに、サイ・ヤング賞レースに復帰できるだろうか。
なお、ドジャースの大谷翔平は「1番・DH」でスタメン出場し、2打数1安打2四球2得点の活躍。今季成績は打率.291、OPS1.017となっている。
2025.6.26 16:09 Thursday
カブスが投打噛み合って快勝 首位を脅かすカージナルスを下す
【カージナルス0-8カブス】@セントルイス/ブッシュ・スタジアム
日本時間6月26日、イアン・ハップの先頭打者弾で勢いづいたカブスがカージナルスに大勝した。ハップの本塁打を皮切りに数イニングにわたって猛攻が続き、先発のマシュー・ボイドも6回を無失点に抑える好投。投打が噛み合ったカブスは8対0で勝利し、2位に迫っていたカージナルスとのゲーム差を3.5に広げた。
カブスは直近6試合で5敗と苦戦中。開幕から地区首位をキープしてきたが、ついに2位のブリュワーズやカージナルスに2.5ゲーム差に迫られていた。前日も7対8で敗れたカブスだったが、きょうは序盤からカージナルスを寄せ付けずに圧倒した。
初回にハップが試合の初球を捉えて先頭打者本塁打を放つと、二回にはリース・マグワイアの2ラン本塁打、三回にはカイル・タッカーのソロ本塁打が飛び出すなど、カブスは五回までに8点のリードを築いた。
そしてきょうは先発のボイドが好投。ボイドはシーズン防御率を2.65にまで下げ、3三振、散発の3安打、無四球という好投でチームトップの今季11度目のクオリティスタートを達成した。
カブスは、ボイドの降板後もブルペンが相手打線を寄せ付けず、大量の8点リードを維持して逃げ切った。クレイグ・カウンセル監督は「我々が必要としていた勝利だった。最高の、最高の勝利だった」ときょうばかりは手放しでチームを絶賛した。
ここ1週間のカブスは投打が噛み合っていなかった。直近7試合では打線が平均5.9得点、チームOPS.865を記録しているにもかからず、その期間はわずか2勝。それ以前の19試合では平均3.4得点、チームOPS.650だったにもかかわらず、12勝を記録していた。
特に、先発投手陣のクオリティはカブスにとって大きな課題となっている。今永昇太、ジャスティン・スティールの両エースを欠くカブスの先発ローテは健闘を重ねてきたものの、最近は失速。直近3試合では、ジェイムソン・タイオン、ベン・ブラウン、コリン・レイは合計14回1/3を投げて23失点を喫した。その中でボイドは直近6先発で防御率は1.49と調子を上げ、チームを救っている。
ボイドは「シーズン中はこういう小さなトラブルも時々あるけど、自分たちの実力は分かっている。今日は楽しかったよ」とコメント。ブリュワーズ、カージナルスの猛追は続くが、あすはついに今永が故障者リストから復帰し、ライバルを突き放しにかかる。
なお、カブスの鈴木誠也は「3番・DH」でスタメン出場して4打数無安打1四球に終わった。今季成績は打率.258、OPS.853となっている。
2025.6.26 15:07 Thursday