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「すごくホッとした」 ドジャースが負けられないWS第2戦に勝利
【ブルージェイズ1-5ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月25日(日本時間26日)
第2戦のウイニングボールを捕球した三塁手マックス・マンシーは、そのボールをトスするのではなく、山本由伸のグラブに直接手渡した。山本はトスで受け取ろうとしたが、マンシーは山本が成し遂げたことに敬意を表したのだ。
もしこのワールドシリーズをドジャースが制覇するならば、その理由は山本のパフォーマンスだろう。第1戦に大敗したドジャースは、山本の完投そして、七回にマンシーとウィル・スミスが放った2本塁打によって、第2戦に5-1で勝利。シリーズを1勝1敗のタイに持ち込んだ。
「初戦落としていたのはすごく大きかったですけど、落としただけに当然ですけど今日は絶対勝たないといけないなとすごく気持ちが入りました」と山本は語った。
この第2戦の完勝は、なぜドジャースが世界一の大本命と言われていたかを思い出させる試合だった。 確かにブルージェイズの層が厚く、忍耐強さを備え、強力な打線は、ドジャースのブルペン陣を圧倒する能力がある。しかし、ドジャースの先発投手が食い下がれば、そうはならない。
投手として史上最高額の契約を結んだ日本の剛腕・山本は、第1戦でドジャースを圧倒したブルージェイズ打線相手に、三回に犠牲フライで1点を失っただけで1失点完投。9回1失点、4安打、8三振、無四球の好投で、さらに最後の20打者をパーフェクトで打ち取った。ポストシーズンにおける2試合連続完投は、2001年のダイヤモンドバックスを球団初の世界一に導いた大投手カート・シリング以来の快挙だ。
「休養があったとはいえ、本当に素晴らしかった。山本はわれわれの打線を苦しめていた。ゾーンに投げ込めていたし、スプリットもゾーン内外に出し入れされていた。本当に素晴らしいパフォーマンスだった」 敵将ジョン・シュナイダーも脱帽した。
1993年ワールドシリーズ第6戦で連覇を決めるサヨナラ本塁打を放ったジョー・カーターを始球式に招き、その伝説の瞬間を再現する機運を高めていたブルージェイズ。しかし、それに対してドジャースは、スミスとマンシーが2本のソロで、ブルージェイズのエース右腕・ゴーズマンを打ち砕き、アンサーを返した。
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は「すごくホッとした」と勝ち越し劇について吐露。ドジャースにとっては、まさに安堵に次ぐ安堵だった。
アレックス・ベシアを失い、第1戦では崩壊したブルペン陣への信頼がさらに薄れる中、ロバーツ監督は山本の貢献を喜んだ。山本はテンポの速い、昔ながらの投手戦を演じ、見事に勝利した。
「第2戦の先発投手」という肩書きは、先発2番手という印象を与えがちだ。しかし、山本とゴーズマンはどちらとも、その役割には十分すぎるほどの実力を持っていた。
山本は今季、ドジャースの投手陣で誰より多い173回2/3を投げ、ERA+167(リーグ平均より67%優秀)をマーク。ゴーズマンは過去4シーズン、ブルージェイズの先発ローテーションの要として活躍し、その期間でMLB4位の733回2/3、同3位の793三振を挙げていた。レギュラーシーズン中はエースとしてチームを牽引した山本と、ア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦でリリーフ登板した影響で第2戦に回されたゴーズマンの投げ合いは、まさにエース同士の投げ合いと呼ぶに相応しかった。
そして、2投手はまさにエースの投球だった。
山本はブルージェイズ打線に持ち前の豊富なレパートリーで挑み、そのすべてが機能した。強烈なスプリット、ヨーヨーのように動くカーブ、猛烈なフォーシーム、カッター、スライダー、シンカー。すべてが軽快に、鋭く変化し、グルーヴを生み出していた。第1戦では先発ブレイク・スネルの制球が乱れる瞬間を狙いすましていたブルージェイズ打線に対し、山本は一切崩れなかった。
「初回にちょっとランナーをためたり、そのあとデッドボールから失点したりあったんですけど。しっかりと冷静にね、投げられたのでよかったと思います」と、山本は振り返る。
一方、ゴーズマンも素晴らしい投球で応じた。ドジャースは初回に先制点を奪ったが、ゴーズマンは初回の3アウト目から17人の打者を連続で打ち取った。
七回にスミスが打席に立つまでは。
シーズン終盤に右手の細骨を骨折し、痛みを抱えながらプレーしていたスミスにとって、七回の勝ち越し弾はポストシーズン初の長打だった。ゴーズマンに対してフルカウントと粘り、内角の直球をとらえ、レフトスタンド2階席へ運んだ。
ここでゴーズマンの快進撃は終わった。その後、ドジャースのポストシーズン通算本塁打王であるマンシーも、本塁打で続いた。奇しくも、カーターが放った有名のサヨナラ本塁打とほぼ同じ地点に着弾した。
「2人の本当に良い打者に対する、2球の良い投球だった。それが違いを生んだ」と、ゴーズマンは良いボールを本塁打にしたスミスとマンシーを称えた。
八回にもドジャースは2点を追加したが、山本には必要ない援護だったかもしれない。追加点をもらった八回は3者連続三振、九回も続投して三者凡退で締めくくった。
「(山本は)負けることは選択肢にないと言っていた。まさに、その言葉通りの投球だった」と、ロバーツ監督は称えた。
これでシリーズの行方は振り出しに戻った。
2025.10.26 15:28 Sunday
先発ゴーズマンの好投虚しく ブルージェイズがWS第2戦に敗れる
【ブルージェイズ1-5ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月25日(日本時間26日)
ワールドシリーズは過酷な戦いだ。それもドジャースが相手チームならば。
ケビン・ゴーズマンはワールドシリーズ初先発ながら第2戦で好投し、圧倒的な存在感を示した。しかしだからこそ、敗北はより残酷な結果となった。ドジャースを倒せるのは偉大な投手だけであり、第2戦に勝利するためには、ゴーズマンの好投は十分ではなかった。
レギュラーシーズンの5月か6月にこんなパフォーマンスだったら、チームは大喜びしただろう。おそらく勝利して球場を後にしていたはずだ。しかし、相手はドジャース。しかもマウンドには山本由伸がいた。山本はゴーズマンと6イニングにわたって激しい投手戦を繰り広げたが、山本の輝きは試合の最後まで続いた。
「ああ、ケヴ(ケビン・ゴーズマン)は本当に素晴らしかった」と、ジョン・シュナイダー監督はしゃがれた声でエースへの称賛を絞り出した。 「ケヴは山本と本当に1球1球戦っていたと思う。どちらも球数は少なかった。昔ながらの投手戦だった。そしてドジャースが試合を決めるスイングをした」
ゴーズマンから七回に勝ち越し弾を放ったスミスは「ゴーズマンは僕にすべて直球を投げた。彼のペースが少し落ちて、僕はカウントを戻すことができた。彼はミスを犯して、僕はその打球をフェアにとどめることができた」と、勝負を分けた打席を振り返った。
第2戦は紙一重の戦いだった。ブルージェイズがドジャースを倒すには、飛行機を針の穴に通すような技術が求められる。ドジャースに勝つには、ただ良い試合をするだけでは足りない。 「僕はもっと良い投球ができたはずだった。そして相手はそれを上回った」と、ゴーズマンは被弾を悔やんだ。
第1戦で、ブルージェイズは素晴らしい勝利を収めた。打線が爆発し、六回に9得点のビッグイニングを作り、11-4で大勝。しかし、この日の山本から9得点挙げるには、ブルージェイズにはあと10試合必要だったかもしれない。
「山本の夜だった。彼の夜だったんだ。素晴らしい仕事をされた」と、ブラディミール・ゲレーロJr.は通訳を介して語った。
ゴーズマンが肩を落とす必要はない。第2戦で見せた力強さと信念を次回の先発、おそらくトロントで行われる第6戦でも再現しなければいけない。そのときはおそらくゴーズマンはチームを救うためか、世界一を決めるために投げるだろう。
ゴーズマンがブルージェイズのブルペンから出てきた瞬間から、彼には普段は見られない鋭さが漂っていた。ブルペンからダグアウトまでの長い道のりを、カメラがゴーズマンと捕手のアレハンドロ・カークを追いかけ、ロジャースセンターのセンターフィールド上部に設置された巨大スクリーンに二人の顔を映し出した。カークは目を閉じ、首を左右に振りながら先発投手の傍らをのんびりと歩いていたが、ゴーズマンはただまっすぐ前を睨みつけていた。瞬きもせず、フィールドをぐるりと見渡していた。メジャーリーグで13年間投げ続けてきた彼が、ついにこのワールドシリーズで先発登板を果たすことができたのだ。
ゴーズマンはバランス感覚に長けた選手だ。彼は長年かけてそれを培ってきた。敗北のあとも、ゴーズマンはこの瞬間とそれに至るまでの道のりが何を意味するのかをはっきりと理解していた。 「本当に楽しかったよ。34歳で初めてのワールドシリーズだから、本当に楽しかった。ピッチングは最高だったよ。1回にゼロで投げられたらよかったのにと思ったけど、そこから抜け出して調子を上げた。ここは投げていて楽しい場所だ。試合前にファンの皆さんがどれだけ興奮しているか、よく分かったよ。さあ、ロサンゼルスへ行こう」
第3戦から最大で5戦までを戦う敵地ロサンゼルスでは、ブルージェイズは再び素晴らしい活躍を見せなければならない。第3戦先発のマックス・シャーザーは再び時計の針を戻し、全盛期の投球を再現しなければならない。第4戦先発のシェーン・ビーバーは、トレードデッドラインにおける大胆なトレードで彼を獲得したチームに対する信頼に応え、圧倒的な投球を見せなければならない。そして打線は、タイラー・グラスナウと大谷翔平から得点する方法を見つけなければならない。
これは大きな要求だ。しかし、ワールドシリーズを勝ち抜くハードルは高い。銀メダルはないのだ。第1、2戦はブルージェイズ打線と山本がそれぞれ素晴らしいパフォーマンスで、チームに勝利をもたらした。もしこれが6月だったら、ゴーズマンはもっと称えられていただろう。しかし、ワールドシリーズにそれはない。
And it looks like we have ourselves a Series.?
2025.10.26 15:28 Sunday
第1戦のヒーロー、バージャーは再び同僚のソファで就寝
ブルージェイズのアディソン・バージャーは今朝もデービス・シュナイダーの部屋のソファで目を覚ました。
第1戦でワールドシリーズ史上初の代打満塁弾を放ち、ブルージェイズの勝利に貢献した試合後、シュナイダーは長年のチームメートであり友人のバージャーが、部屋に泊まりに来たことを明かした。
「バージャーはマイルズ(・ストロー)と泊まっていたんだけど、昨晩は僕の部屋に泊まっていたよ。僕の彼女もいたんだけど、彼は『君たちと一緒に寝ていい?』と言っていたんだ。だから僕は『ダメ。ソファで寝て』って。広げられるタイプのソファで、一晩中ギシギシ鳴ってたよ。真夜中に彼がそこで寝ているのを見て、めっちゃおかしかった。彼は頭がおかしいんだけど、面白い人なんだよね」
第1戦の前夜、ロジャースセンターのフィールドを見下ろすホテルの部屋で3人が眠っていた時、窓から奇妙な音が聞こえた。フィールドでは、ファレル・ウィリアムズとヴォイシズ・オブ・ファイア合唱団が、ワールドシリーズ開幕戦前のパフォーマンス(国歌斉唱を含む)のリハーサルを行っていた。フィールドのあちこちでパフォーマーたちが踊り、体を揺らしていた。シュナイダーは目をこすり、バージャーは引き出し式のソファに座り直していた。
当初、バージャーがソファに寝たのは、彼が自分の個人部屋を手に入れるまでの一晩だけのことのようだったが、野球選手は迷信深いものだ。そのため、バージャーは第1戦の後、すぐにまたソファに戻った。
「バージャーは自分の部屋をもらうと思っていたんだけど、『また一緒に寝てもいい?』って言われたんだ。だから『もちろん、いいよ』って答えた」
ただ、シュナイダーの彼女にとっては、これは難しいお願いだったのではないだろうか?彼女は本当にバージャーをまたソファに眠らせたかったのだろうか。 「彼女はそれで良いと思っている。それに相手はバージャーだしね。そもそも彼は口数があまり多くないからね」と、シュナイダーは言う。
バージャーは少しいびきをかいていたが、シュナイダーは気にしていなかった。第1戦の活躍が続くなら、いくらいびきをかいても構わない。
ブルージェイズは第2戦に敗れ、1勝1敗で敵地ロサンゼルスに乗り込み、第3戦から最大で第5戦までを戦う。シュナイダーは、次トロントに戻ってくるときは第6、7戦のためではなく、優勝パレードのときであることを望んでいる。
ただ、ロサンゼルスへの遠征の前に一つだけ明確にしておいたことがある。 「バージャーはロサンゼルスで私と一緒に泊まるつもりはないよ。ブルージェイズがホテル代を払ってくれるから、彼は私と一緒に泊まるつもりはないんだ」
2025.10.26 14:15 Sunday
山本由伸が2試合連続の完投 ドジャースがWS第2戦に勝利
【ブルージェイズ1-5ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月25日(日本時間26日)
山本由伸(27)が圧巻の1失点完投で、ドジャースをワールドシリーズ第2戦勝利に導いた。先発の山本は三回に1点を失って同点に追いつかれたが、四回から一人も走者を許さない快投。打線もウィル・スミス、マックス・マンシーが七回にブルージェイズ先発のケビン・ゴーズマンから本塁打を放ち、勝ち越した。ワールドシリーズは両チーム1勝1敗で舞台をロサンゼルスに移し、27日(日本時間28日)に第3戦が行われる。
初回、ドジャースは2死からフリーマンが二塁打を放ち、続くスミスのタイムリーでブルージェイズ先発のゴーズマンから先制。初回の守備では、先発の山本が無死一、三塁のピンチを招いたが、2三振で無失点で切り抜けた。
山本も三回、1死一、三塁からカークに犠牲フライを浴び、同点に追いつかれた。
1-1の同点となってからは、山本、ゴーズマンの両投手が圧巻の投手戦を展開。山本は四回からパーフェクト投球を続け、第1戦で猛打を振るったブルージェイズ打線を沈黙させた。一方のゴーズマンも初回の3死目から一人の走者も許さなかった。
しかし七回、ドジャース打線がついにゴーズマンをとらえた。1死から先制タイムリーのスミスがレフトスタンドへ勝ち越しソロ。さらに2死となってから、マンシーもレフトスタンドにソロ本塁打を放って3点目を挙げ、ゴーズマンを降板させた。
八回にも援護点を受けた山本は、八回の守備で三者連続三振。それまで93球を投じていたが、九回も続投。九回も三人で抑え、9回1失点、8三振、4安打、無四球で完投勝利を挙げた。 ポストシーズンにおける2試合連続完投は、2001年のカート・シリング(ダイヤモンドバックス)以来の快挙。伝説のエース投手に並ぶ快投で、山本がドジャースを勝利に導いた。
2025.10.26 12:33 Sunday
前夜は同僚宅のソファで寝泊まり 居候バージャーがWS史上初の代打満塁弾
【ブルージェイズ11-4ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月24日(日本時間25日)
アディソン・バージャーがワールドシリーズ史上初の代打満塁弾を放ち、トロントの本拠地ロジャースセンターを揺らした。
ブルージェイズがこの勢いを維持し、1992年と1993年の連覇以来となる世界一を成し遂げれば、名場面が次々と生まれるはずだ。その時が来れば、ワールドシリーズ第1戦で9得点を挙げた六回の攻撃は、「ザ・イニング」と呼ばれるようになるかもしない。
バージャーの満塁弾は、ブルージェイズの下位打線が総力を挙げて3点を勝ち越し、さらにアレハンドロ・カークの2ランでダメ押しに成功する間に生まれた。その本塁打は32年前にジョー・カーターが連覇を決めるサヨナラ本塁打を放った時以来の熱狂の渦をロジャースセンターに巻き起こした。バージャーにとっては野球人生最大の瞬間だった。目を大きく見開いてベースを回り、球場にいた全員と同じように衝撃を受けていた。 「足の感覚さえなかった。まるで意識を失っているようだった」 素晴らしい瞬間、素晴らしいイニング。ブルージェイズはワールドシリーズ制覇にあと3勝に迫った。
「マックス(・シャーザー)と話していたんだけど、基本的にすべてを経験してきた彼でさえ、ワールドシリーズであんなイニングを経験したことがないと言っていたよ。本当にクールな光景だった」と、ジョン・シュナイダー監督は話した。
ワールドシリーズの歴史上、ブルージェイズが六回に挙げた9得点を上回る1イニングの攻勢は、1968年のタイガースと1929年のフィラデルフィア・アスレチックスのみ(両チームとも10得点)。また、ブルージェイズはこの試合で11得点を挙げ、第1戦史上4位タイの記録を成し遂げた。
「あれはまさにうちの攻撃の真髄だ。チーム全体の努力の賜物で、全員が自分の仕事をこなしているだけだ」 ポストシーズンで打率.435と驚異の打棒を振るっているアーニー・クレメントは語った。
デービス・シュナイダーは、ブルージェイズのファンが「2025年ワールドシリーズ第1戦でアディソン・バージャーが満塁本塁打を打った時、誰の代打だったんだ?」と尋ねる数年後のクイズのネタになるかもしれない。シュナイダー監督は左腕スネルが先発したこの日、バージャーをベンチスタートさせ、代打のタイミングを窺っていた。
ここで驚くべきことは、ドジャースが左腕のアンソニー・バンダを投入したことだ。バージャーは今季右腕から20本塁打を放ったのに対し、左腕からはわずか1本塁打と左腕には相性が悪い。しかし、次の打順には右の強打者ブラディミール・ゲレーロJr.が控えていた。
シュナイダー監督の狙いはバージャーを代打に送ることでドジャースに左腕を起用させ、ゲレーロJr.により有利なマッチアップを仕組むことだった。左腕に対して相性が悪いバージャーに対しては、シュナイダー監督は犠牲フライを期待していた。本塁打を打つのは、次のゲレーロJr.と想定していた。 「・・・われわれが期待していた以上の結果だったね」と、シュナイダー監督は語った。
この六回の猛攻はすべてを覆した。それまでの5回の攻防は、まさに予想通りの一進一退の展開。ブルージェイズはギリギリで粘り、強豪ドジャース相手に反撃の機会を狙っていた。しかし、打者一巡の猛攻によって、一気に試合をものにした。
バージャーの本塁打の背景には、さらに衝撃的なことがある。バージャーはこの第1戦の前夜、なんとチームメートのデービス・シュナイダーの家のソファで寝泊まりしていたのだ。
居候を泊めたシュナイダーはこう語った。 「バージャーはマイルズ(・ストロー)と泊まっていたんだけど、昨晩は僕の家に泊まっていたよ。僕の彼女もいたんだけど、彼は『君たちと一緒に寝ていい?』と言っていたんだ。だから僕は『ダメ。ソファで寝て』って。広げられるタイプのソファで、一晩中ギシギシ鳴ってたよ。真夜中に彼がそこで寝ているのを見て、めっちゃおかしかった。彼は頭がおかしいんだけど、面白い人なんだよね」
2025年のブルージェイズの姿を象徴する出来事とも言えるだろう。気骨のあるベテラン、スーパースター、そしてまるで両親が同じ週末に出かけたかのような生活を送っている20代の若者たちがいる。それでも、なぜかうまく機能している。これは、どんなに努力しても作り出せないクラブハウスのケミストリーだ。自然に、そして意外な形で生まれる必要がある。今季のほとんど全てが、自然に、そして意外な形で起こった。そう思えてくる。
バージャーのスパイクは今、野球殿堂入りすることになった。彼はワールドシリーズ史上唯一の代打満塁本塁打という、唯一無二の瞬間を刻み、この街にとって忘れられない瞬間を刻んだ。この街にとって忘れられないチームとなったブルージェイズは、あと3勝に迫っている。
2025.10.25 18:14 Saturday
第1戦で発揮されたブルージェイズの真骨頂 積極打法が奏功
【ブルージェイズ11-4ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月24日(日本時間25日)
まさにブルージェイズ打線の真骨頂が発揮された第1戦だった。ブルージェイズ打線はコンタクト力(バットをボールに当てる能力)と長打力の両方を兼ね備えている。長打力が重視され、三振を許容する風潮が強い現代野球において、長打と三振の少なさを両立させるのは至難の業だ。しかし、ブルージェイズはレギュラーシーズンではMLBベストの三振率(17.8%)を記録する一方、OPSでもMLB3位、総得点MLB4位と、パワーも発揮できる。
そして、もう一つの特徴が「積極打法」だ。ブルージェイズ打線はポストシーズンにおいて、ストライクに積極的にスイングを仕掛ける。ストライクゾーンに投じられた投球に対するスイング率71.0%は、今ポストシーズンに進出したチームの中でダントツ(唯一の70%超え)であり、2015年以降でポストシーズンに進出した全124チーム中でも歴代15位に入る。
ただ積極的にスイングを仕掛けられても、長打を打たれないならば投手としてはリスクが低い。しかし、ブルージェイズ打線は今ポストシーズンでダントツの長打率.523(2位のドジャースでも.430)を誇る。ブルージェイズ打線に対する投手は、打席を有利に進める上でストライクが必要だが、ストライクゾーンに投げ込むのはリスクが伴い、そこにジレンマを抱える羽目になる。
今ポストシーズンではほぼ無敵の快投を続けていたブレイク・スネルでさえ、そのジレンマに囚われた。スネルはこれまでのポストシーズンで3先発をこなし、21回でわずか2失点、28三振と絶好調。これまでの3先発では初球ストライク率65.8%と、積極的にストライクを投じてきた。
しかし、ブルージェイズ打線と対したワールドシリーズ第1戦では、初球ストライク率は45.4%にとどまった。スネルはストライク先行の投球ができず、真綿で首を締められるようにブルージェイズ打線に追い詰められていった。
初回、スネルは2四球と単打で3人の走者を許し、3死目を奪うまで29球を要した。二回も2安打を打たれ、三回も安打を許しながら併殺で無失点で抑えた。初回は5打者との対戦のすべてでボール球を投じ、序盤ではストライクを満足に投げられていなかった。
しかし、四回は不用意な初球の入りが裏目に出た。無死1塁でバーショに甘く入った初球のフォーシームを完ぺきに捉えられ、同点2ランを浴びた。
五回も先頭に安打を許しながら、なんとか併殺で切り抜けたが、その時点で球数は84球。決して調子が良いとは言えず、交代も考えられる状況だったが、ドジャースはブルペン陣に不安を抱える。切り札アレックス・ベシアがワールドシリーズを欠場し、信頼が置ける投手は佐々木朗希のみという状況では、六回までエースを引っ張らざるを得なかった。
しかし、スネルはついに六回に決壊。先頭から四球、単打を与え、続くバーショには8球粘られた末に死球を当てた。デーブ・ロバーツ監督はここでスネル降板を決断し、2番手シーアンを投入する。
試合後にスネルはこう語った。 「ストライクを投げれば、彼ら(ブルージェイズ打線)は振ってくるだろう・・・。四球も出していたし、打者有利のカウントを作ってしまっていた。もっと良いスポットに投げないといけなかった」 ストライクを投げれば積極的にスイングを仕掛けられ、しかも長打もありえる。そのプレッシャーがエースの制球を乱していた。
2番手のシーアンはスネルとは異なり、ストライク先行の投球を実践した。しかし、それでも結果は変わらなかった。
シーアンは4打者との対戦ですべて初球をストライクゾーンに投じた。しかし、代わりばなのクレメントには初球ファウルのあと、2球目でタイムリーを献上。続く代打ルークスは初球で空振りを奪ったものの、9球粘られて押し出し四球を与えた。さらに9番ヒメネスとの対戦でも、1、2球目はファウルで追い込んだものの、追い込んでからのチェンジアップをタイムリーにされた。1番スプリンガーにも初球を打たれたが、これがショートゴロとなり、シーアンはこの日最初にして最後のアウトを奪った。
そもそも無死満塁の場面で本来は先発投手のシーアンを投入した判断は、決して間違ってはいない。レギュラーシーズン中、シーアンの奪三振率30.6%はMLB上位9%、空振り率32.9%は上位7%に入る高水準。制球が不安定なブレイク・トライネンより、ローリスクな選択肢だったと言える。
今はブルージェイズ打線を称えるほかないだろう。MLBで最も三振が少ないブルージェイズ打線は、奪三振力が高いシーアンをものともせず打ち砕いた。早めのカウントで仕掛けて打者不利のカウントとなっても、決して三振せずに打球をインプレーにする。そのコンタクト力が鮮やかな攻勢を生み出した。
勝ち越し打を放ったクレメントは、ヤンキースを下した地区シリーズ後に、ブルージェイズの積極打法についてこう語っていた。 「僕たちは1打数無安打に終わるくらいなら、1ストライク0ボールになっても構わない。もし相手にやられたとしても、スイングを仕掛けて残りの打席を全力で戦う。でもこれは考え方の問題だ。ど真ん中に来た初球を振ってアウトになっても仕方ない。これが僕の考え方だ。ただ、外角に2球分外れたボールを振って内野ゴロに倒れたら、誰にとっても良いことにならない」 まさにその言葉通りのアプローチをブルージェイズの打者は実践していた。
第1戦で猛攻を浴びたドジャースは、山本由伸が先発する第2戦では是が非でも連敗を避けたいだろう。
しかし、スネルのように慎重に入れば球数がかさみ、シーアンのようにストライク先行でも悪い結果に終わり、ドジャースは苦い記憶を植え付けられたはずだ。MLB屈指の強力打線に対して、あすの山本由伸はどう対抗するだろうか。
2025.10.25 17:46 Saturday
弱点のブルペン陣が不安を露呈 ドジャースがワールドシリーズ第1戦を落とす
【ブルージェイズ11-4ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月24日(日本時間25日)
ドジャースは先発投手の好投に慣れてしまっていたかもしれない。今季のポストシーズンにおいて、ドジャースの先発投手陣は防御率1.40のパフォーマンスで、チームをワールドシリーズまでわずか1敗で導いてきた。
しかし、毎試合のように歴史的な好投を期待できるわけではない。ドジャースは弱点のブルペン陣が一皮剥けなければ、ワールドシリーズ終盤で苦戦を強いられるだろう。
先発のブレイク・スネルはこの日、調子が悪く、六回にブルージェイズ打線につかまった。悪夢のような六回で、スネルはノックアウトされ、リリーフしたエメット・シーアンとアンソニー・バンダは9点を失った。そして、ドジャースはワールドシリーズ第1戦に4-11で大敗した。
「マウンドに立てば、常に仕事を果たそうとする。ただ、ブルペン陣に関して言えば、きょうはそれができなかった。それができれば、あとは完ぺきだった。とにかく自信をつけることが大事だと思う。でも、今夜は本当に酷かった」と、バンダは振り返る。
ドジャースは今ポストシーズンで初めて劣勢に立たされている。これまで最大7戦のポストシーズンシリーズでは、ホームで第1戦に勝利したチームは、67.6%(69/102)の割合でシリーズを制している。
「厳しい試合だったけど、その後は相手が勢いづいて、より良い試合を展開した。4試合ある。4試合勝たないと」、六回途中5失点を喫したスネルは語った。
今ポストシーズンでのドジャースの勝ち方は、概ね固まっている。まずは先発投手がクオリティスタート、もしくはそれ以上の好投をする。打線が必要最低限の得点を重ねる。そして最後に、ブルペン陣の数少ない信頼できる投手にボールを託す。
ドジャースはここまで9勝1敗でポストシーズンを勝ち上がり、このパターンは機能していた。しかし、ブルペン陣で数少ない信頼できる投手だったアレックス・ベシアがワールドシリーズを欠場する見込みで、暗雲が垂れこめた。
デーブ・ロバーツ監督は既に84球を投じ、調子が悪い中で2失点にまとめていたスネルを引っ張った。しかし、スネルは先頭から2四死球、1安打で無死満塁のピンチを招き、その試みは失敗。
無死満塁で右打者のクレメントを迎える場面で、右腕シーアンを投入した。レギュラーシーズンでは先発投手を務めたシーアンは、今ポストシーズンではリリーフに回っている。ただ、ピンチの場面でのリリーフはおろか、走者なしの場面でも苦戦していた。
ただ、ロバーツ監督には選択肢が限られていた。ブルペン陣の右腕には他にブレイク・トライネンがいたが、トライネンのパフォーマンスは予測できない。エドガード・エンリケスとウィル・クラインはワールドシリーズからロースターに加わったばかり。守護神の佐々木朗希は決して九回専門の投手ではないが、リードしていない状況の六回では投入できなかった。
残された選択肢はシーアンだった。しかし、シーアンは最初の3打者に2安打、1四球で3点を許した。
シーアンが1死を奪い、ドジャースは代打バージャーに合わせて左腕バンダを投入。しかし、バンダは左打者のバージャーを抑えられず、ワールドシリーズ史上初の代打満塁弾を献上した。さらにカークにも2ランを浴び、9失点を喫した悪夢の六回は終わった。
七回に大谷翔平が2ランを放ったが、ブルージェイズの流れは変えられなかった。
「ブルペン陣の構成を考えると、シーアンとバンダの力は必要だ。まだ道のりは長いし、良い投球をしてもらう必要がある」と、ロバーツ監督は打たれた2投手をフォローした。
一方で、打線も振るわなかった。得点圏では7打数3安打だったが、7残塁は理想的な結果ではない。
「1試合で10、11得点する力がわれわれにはある。ただポストシーズンでそれをやるのは難しい」と、ムーキー・ベッツは語る。
しかし、攻撃力がどんなに高くても、ブルペン陣が9失点したのを埋め合わせることはできない。ドジャースは不安定なブルペン陣を抱えながら、ここまで勝ち進んできた。もしあと4勝を挙げるならば、ドジャースは今季を通して直面してきた最大の疑問に対して、答えを出さなければいけない。
2025.10.25 15:49 Saturday
ドジャース有利の下馬評を覆す逆転勝利 猛打ブルージェイズが第1戦に勝利
【ブルージェイズ11-4ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月24日(日本時間25日)
激戦区のア・リーグ東地区で久々に優勝し、第1シードをつかみ取ったにもかかわらず、ブルージェイズに対しては期待だけではなく、疑問も同時に投げかけられていた。
しかし、ブルージェイズは総年俸4億ドル近いスター軍団・ドジャースにも弱点があることを知っていた。そしてその弱点をつく計画を完ぺきに実行し、疑問の声を払拭。44353人が詰め寄せた本拠地ロジャースセンターに熱狂を巻き起こした。
ブルージェイズの強力打線は同点で迎えた六回、ドジャース先発のブレイク・スネルから無死満塁のチャンスを作り、スネルをマウンドから引きずり下ろした。そしてドジャースの弱点であるブルペン陣を攻め立て、一挙9得点の猛攻で、ワールドシリーズ第1戦に11-4で大勝した。
「次の打者にバトンを渡す必要があることを意識しながら、ひたすら打席に立つこと。それが今年の私たちのやり方だ。そして、それを信じていた」と、四回に同点2ラン、そして六回には素晴らしい打席で死球を勝ち取ったドールトン・バーショは語る。
バーショが死球をもぎとって満塁のチャンスを作り、2本のタイムリーと押し出し四球で勝ち越すと、代打アディソン・バージャーが満塁弾で続いた。バージャーの代打満塁弾はワールドシリーズ史上初の快挙。今夜最大のハイライトを飾り、ブルージェイズに対する疑問を覆す一打だった。
最大7戦で行われるポストシーズンのシリーズにおいて、第1戦に勝利したチームは、過去64.8%(127/196)の割合でシリーズを制した。現行のフォーマット(上位シードの本拠で2戦、下位シードの本拠で3戦、上位シードの本拠で2戦)では、第1戦に勝利したチームの67.6%(69/102)がシリーズを制している。そして興味深いことに、ブルージェイズのようにリーグ優勝決定シリーズを7戦かけて制したチームは、ドジャースのようにリーグ優勝決定シリーズをスイープで勝ち上がったチームに対して無敗というデータもある(過去4度)。
シーズン開幕前には史上最高のチームとも評されたドジャースは、ポストシーズンでついにその実力を遺憾無く発揮。特にスネル、山本由伸、タイラー・グラスナウ、大谷翔平からなる先発投手陣はここまで防御率1.40の快投で、わずか1敗でワールドシリーズまで駆け上がってきた。さらに打線も殿堂入り確実と言われるスター打者(大谷、ベッツ、フリーマン)らを擁し、全員が大舞台の戦い方を知り尽くしている。ドジャースはまさに世界一の大本命と言えた。
しかし、もはや分からない。
ブルージェイズ打線は初回からスネルをしつこく攻めた。四回まで無得点に終わったが、初回から29球を投げさせるなど、走者を出し続けた。
2度のサイ・ヤング賞を獲得したスネルは、ブルージェイズと同地区のレイズなどに所属していたキャリア初期は、四球が多く、長いイニングを投げられなかった。しかし、投手として成熟した今、四球は滅多になくなり、特にこの10月は最高の調子を維持している。
しかし、第1戦ではスネルはストライクゾーンに思うように投げ込めず、ブルージェイズ打線はスネルがマウンドから降りるときを虎視眈々と待ち続けた。 「ストライクを投げれば、彼ら(ブルージェイズ打線)は振ってくるだろう・・・。四球も出していたし、打者有利のカウントを作ってしまっていた。もっとコントロール良く投げなければいけなかった」と、スネルは振り返る。
スネルを打線がじっくりと攻め立てる間、ブルージェイズは先発のトレイ・イェサベージが粘りの投球。22歳のイェサベージは二、三回に1点ずつを奪われた。これがまだMLBの舞台で7登板目のイェサベージは、武器とするスプリットの感覚がつかめていなかった。しかし、二回は1死満塁のピンチでパヘスから三振、大谷から内野ゴロでアウトを奪い、出血を最小限にとどめた。
新人の粘りが生き、打線はついにスネルをとらえた。四回、バーショが甘く入った初球をとらえ、同点2ラン。これはスネルにとってレギュラーシーズン中の8月29日以来の被本塁打であり、シーズンを通して初めて左打者から打たれた本塁打だった。
バーショの本塁打は、ブルージェイズにとってワールドシリーズでは32年ぶりの本塁打だった。その1993年のワールドシリーズ第6戦でジョー・カーターが放った、世界一を決める伝説のサヨナラ本塁打は、バーショにとって無関係の出来事ではない。その本塁打をブルージェイズの相手だったフィリーズの捕手として間近で眺めていたのはダレン・ドールトン。バーショの父であるゲイリー・バーショはその後、ドールトンとチームメートとなり、そのファミリーネームにちなんだ名前を自身の息子に付けることになる。
「ちょっと非現実的な瞬間だった。大団円を迎えたって感じだね」と、バーショは語る。
そして、バーショはその同点弾の次の打席で、再び試合の流れを変える。六回、ワールドシリーズから復帰したビシェットが先頭で四球を選び、その後単打でチャンスが広がり、バーショが打席に入る。
バーショは息切れしてきたスネルから8球粘ってフルカウントとし、死球をもぎ取った。バーショは痛みに顔をしかめたが、痛手を負ったのはドジャースの方だっただろう。ドジャースはついにスネルを降板させ、2番手エメット・シーアンを投入。しかし、この継投は失敗した。
続くアーニー・クレメントがシーアンからいきなりタイムリーを放って、この試合初めてのリードをブルージェイズにもたらすと、続く代打ネイサン・ルークスも素晴らしい打席で押し出し四球。さらに9番のアンドレス・ヒメネスもタイムリーで続き、5-2とリードした。
このときには既にロジャースセンターは電話をしたり、瞑想したりするのに向かない場所になっていた。しかし、1死となってから3番手バンダと対したバージャーが、満塁弾を放ったとき、球場は熱狂の渦に巻き込まれた。1993年のワールドシリーズ第6戦でさえ、これより大きな歓声が響き渡ったとは考えにくい。
25歳で初のポストシーズンを戦うバージャーにとって、ワールドシリーズのデビューとしては悪くない結果だった。 「おそらくこれ以上ないほど素晴らしい結果だったよ」、とバージャーは笑顔を見せた。
代打満塁弾はワールドシリーズ史上初の快挙。バージャーの本塁打は歴史に名を刻んだだけではなく、両チームのミスマッチを露呈させた。ドジャースがブルペン陣の層の薄さを完全に露呈した一方、代打攻勢で猛攻をかけたブルージェイズの野手層の厚さが誇示された。ジョン・シュナイダー監督も語る。 「それがわれわれのやり方だ。打線全体、全員が試合に臨む準備を整えてくれて本当に良かった。…あのイニングの打席はボーの四球で始まり、続いて(スネルの)ノックアウト。そして、そのまま調子が続いた。打線全体、全員が本当に素晴らしい打席だった」
バージャーの満塁弾に続き、アレハンドロ・カークも2ランを放ってブルージェイズは大量リードを奪った。七回に大谷が放った2ランは、焼け石に水だった。
大谷が最終回に打席に立ったとき、ブルージェイズファンは「お前は必要ない(We don’t need you)」と大合唱した。大谷が2024年にドジャースと巨額の10年契約を結ぶ前、ブルージェイズは大谷獲得に近づいており、一時は契約間近との報道(誤報)も出たほどだった。その合唱は大谷の打席が終わったあとも「あいつは必要ない(We don’t need him)」と変わって響き続けた。
そしてこの夜、ブルージェイズファンは正しかった。ブルージェイズに必要だったのは、ただ彼らのゲームプランを遂行することだけだった。
2025.10.25 15:15 Saturday
ブルージェイズがワールドシリーズ第1戦に勝利 強力打線が爆発
【ブルージェイズ11-4ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月24日(日本時間25日)
ブルージェイズが持ち前の強力打線の活躍でドジャースを破り、ワールドシリーズ第1戦に勝利。同点で迎えた六回に2本のタイムリーと押し出し四球で勝ち越すと、代打アディソン・バージャーがダメ押しの満塁本塁打を放ち、試合を決定づけた。一方のドジャースは大谷翔平(31)にワールドシリーズ通算1号が飛び出したが、反撃及ばず、ブルージェイズに大敗を喫した。
ドジャースがポストシーズン無敗のブレイク・スネル、ブルージェイズが22歳のトレイ・イェサベージの両先発で始まった第1戦で、先手を取ったのはドジャースだった。1死一、二塁のチャンスを作り、7番キケ・ヘルナンデスが先制タイムリー。続く三回も先頭からの2連続四球で走者を出し、4番ウィル・スミスがタイムリーで2点目をもたらした。
しかし、強力ブルージェイズ打線も反撃。ポストシーズン絶好調のスネルに対し、三回まで毎回走者を出し、四回にはついに6番ドールトン・バーショが同点2ランを放った。
2-2で迎えた六回、ブルージェイズは2つの四死球と単打で無死満塁とし、ついにここでスネルをノックアウト。代わった2番手エメット・シーアンに対して、7番アーニー・クレメントがタイムリー、代打ネイサン・ルークスが押し出し四球、9番アンドレス・ヒメネスがタイムリーを放ち、5-2と一気に勝ち越した。
なおもブルージェイズの攻勢は止まらず、1死満塁で3番手アンソニー・バンダから、代打アディソン・バージャーが右中間へ飛び込むグランドスラム。ワールドシリーズでの代打満塁本塁打は史上初だった。そしてブルージェイズはその後、5番アレハンドロ・カークにも2ランが飛び出し、六回に一挙9得点。11-2と大量リードを奪った。
ドジャースはその後、七回に大谷翔平がワールドシリーズでの自身初アーチとなる2ランを放った。しかし、反撃もそこまで。ブルージェイズは大量リードを守り抜き、11-4でワールドシリーズ第1戦に勝利した。ワールドシリーズでは第1戦に勝利したチームが63%の確率で世界一を掴み取っている。
コンタクト力とパワーを両立するブルージェイズ打線の持ち味が発揮された第1戦の猛攻だった。ポストシーズンではほぼ無敵の快投を続けてきたスネルに対し、初回から25球を投げさせ、喫した空振りはゼロ。その後も持ち前のコンタクト力を発揮し、試合を通して三振はわずか4度だった(五回以降はゼロ)。奪三振率リーグ1位のドジャース投手陣にとって、4三振は今季2番目に少なかった(レギュラーシーズン、ポストシーズン合わせて)。その一方で軽打だけではなく、3本塁打で戦局を決定付けた。
2025.10.25 12:33 Saturday





