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ナショナルズ新監督に33歳ブテラ氏が就任か 53年ぶりの最年少監督に

 ナショナルズが次期監督を決定し、33歳のブレイク・ブテラ氏を任命すると見られている。球団はまだこの報道を認めていない。分寺は1992年8月7日生まれで、MLBでは1972年以来、最も若い監督となる。

 ブテラ氏はレイズで2023年10月に選手育成担当シニアディレクターに昇進。レイズのファーム組織のディレクターを務め、選手育成にかかわっていた。

 それ以前はレイズでアシスタントフィールドコーディネーターを1年間、マイナーリーグのコーチを1年間務めたあと、1Aのチャールストンと1A-ハドソンバレーでマイナーの監督を歴任。2018年には25歳でマイナーリーグ史上最年少の監督となった。

 ブテラは選手時代、ボストン大学から2015年ドラフト35巡目でレイズに入団。ブランドン・ラウやジェイク・クロネンワースと同期で入団し、マイナーで2シーズンプレーした経験がある。

 ナショナルズは10月、ポール・トボニを新たに球団編成部長に任命し、長年続いたマイク・リゾーGM体制から新時代へ移行した。

 トボニ編成部長は新監督にMLBでの監督経験が求められるかどうかについて「考慮すべき要素の一つではあるが、すべてではないのは確かだ。様々なスポーツで、初めての就任で成功を収めた監督やヘッドコーチは数多くいる。また、一度は失敗しても、二度目のチャンスを得て大成功を収めた監督やヘッドコーチもいる。だから、考慮すべき要素ではあるが、決してすべてではない」と、必ずしも経験にこだわるわけではないと明かしていた。

 ブテラ氏はボストン大でコミュニケーション学の学位を取得している。また、野球家系の出身で、父と兄もドラフト指名を受けている。

 そして、2023年ワールドベースボールクラシック(WBC)では、マイク・ピアッツァ監督の下、イタリア代表のベンチコーチを務めた。

 ピアッツァ氏は「素晴らしい採用だと思うし、本当に嬉しい。ブテラ氏は非常に忠実で、勤勉で、効率的で、献身的な野球人だ。その知識と物腰は尊敬を集めている。常に選手たちが成功できるよう尽力して​​くれるだろう。彼と一緒に仕事ができて光栄だった」と、ブテラ氏に太鼓判を押す。

 ナショナルズは新時代への転換期にあり、2019年の優勝監督デーブ・マルティネスを7月に解任。暫定監督を務めたミゲル・カイロとも契約を更新せず、新監督を探していた。

 ナショナルズは2025シーズンを66勝96敗で終え、過去6シーズンで5度目の最下位と辛酸を嘗めた。得点力はリーグワースト3位、防御率はMLBワースト2位と、投打ともに実力不足が否めない。

 一方で、将来性豊かなチームでもある。選手の平均年齢はMLBで2番目に若く、スター候補も多い。この数年間は世代交代を進めており、ブテラ新監督より年上の選手は右腕トレバー・ウィリアムズ(1992年4月生まれ)のみ。先日は小笠原慎之介(28)を40人枠から外すなど(アウトライト)、未来へ向けた舵取りを行っている。

 ブテラ新監督は、外野手ジェームズ・ウッド(23歳)、遊撃手CJ・エイブラムス(25歳)、左腕マッケンジー・ゴア(26歳)といった若い選手の才能を最大限に引き出し、再建を進めることが期待される。

 また、このニュースを受けてオリオールズの新監督に就任したクレイグ・アルバーナス氏もエールを送った。マイナーリーグではコーチとして同僚だったブテラ氏に対し、アルバーナス氏は「私の相棒!素晴らしい人間であり、友人であり、夫であり、そして師。リーグの他のメンバーもこの衝撃に備えてくれているといいな。兄弟、誇りに思うよ」と、Xに綴った。

2025.10.31 14:31 Friday

山本由伸、2試合連続完投の要因とは 多彩な武器とコントロールを活用

 先発投手がポストシーズンで完投するのは、現代では非常に珍しい。2試合連続となるとなおさらだ。

 しかし、完投から中1日で登板可能だったゴムのような右腕を持つ山本由伸は、それを成し遂げた。そしてワールドシリーズ敗退の瀬戸際に立つドジャースは、第6戦でも山本に3度目の快投を期待している。

 3試合連続完投の偉業を成し遂げられるとすれば、それは山本だ。山本が最後にこのような状況に置かれたとき、2023年の日本シリーズの第6戦では14三振、138球の完投劇を見せた。

 ここでは山本のポストシーズンの投球を分析。快投の要因は何だろうか。

山本は2つの決め球を完ぺきにコントロールしている

 山本の得意の変化球、スプリットとカーブはポストシーズンで最高のパフォーマンスを見せている。山本はまさに狙った場所にこの2球種を投げ込んでくる。

 山本のスプリットはストライクゾーンの端(左打者には外角、右打者には内角)に綺麗に集められている。ストライクゾーンの端に投げ込まれると、打者は思わず振りたくなるが、正確に投げ込まれると空振りかゴロに終わる。

 この2試合で、山本が投げたスプリットの56%はエッジゾーン(ストライクゾーンの境界線から野球ボール1球分の幅以内の位置)に投げられた。スプリットはストライクゾーンよりかなり下にボール球を追いかけさせるために投げられることが多いため、この割合は非常に高い。ポール・スキーンズ(パイレーツ)のスプリンカーのように、これほど頻繁にエッジにスプリットを投げる投手はごくわずかだ。山本でさえ、レギュラーシーズン中はエッジにスプリットを投げたのは「わずか」43%だった。

 山本のカーブはそれと少し変わっている。彼のカーブは、カウント序盤にゾーンに投じてストライクを取り、カウントが整うとコーナーからボールゾーンに追いかけさせるために投げられている。

 山本が2試合で投げたカーブの半分以上、58%はストライクゾーンに入っていた。スプリットがエッジゾーンへの投球率が異例に高かったのと同様に、ゾーン内投球率もカーブとしては非常に高い(対照的な例として、山本のチームメイトであるブレイク・スネルを見てみよう。スネルのカーブは打者にボールの上を振らせるため、ほとんどの場合、ゾーン外の低めのカーブを投げている)。

 山本のカーブは鋭い変化ゆえにゾーン内で機能している。カーブの変化量は、横変化が12インチ(30センチ)、縦変化が16インチ(41センチ)あり、平均より横変化が3インチ(8センチ)、縦変化が6インチ(15センチ)も大きい。

 山本のカーブはスプリットと同様に三振とゴロの両方を狙える。三振はブルージェイズのような危険な打線をローリスクに抑える手段であり、ゴロは少ない球数で試合を進める手段となる。

 山本は2度の完投で15三振のうち8三振をカーブとスプリットで奪った。ゴロによるアウトも16度を数えた。山本は今季、ゴロで2桁のアウトを記録した試合が3度あり、そのうち2試合は直近2試合の完投だった。これは主にスプリットとカーブのおかげだった。

山本は配球パターンを変えられる

 ただ、完投するためには、相手打線と少なくとも3巡、場合によっては4巡打ち取らなければならない。そして同じ球種を何度も投げ続けていれば、それは不可能だ。

 現代野球では、対戦回数が増えるほどに投手が不利になっていくことが分かっている。対戦回数が増えるほど、打者は目を慣らし、投手を打てるように鳴っていく。昨今のポストシーズンでは先発投手が早く降板することが当たり前になっている。

 山本はスプリットとカーブに頼り切りにならず、バリエーションを増やしている。ブルワーズとの試合では、

・序盤はフォーシーム、カーブ、スプリット、カットボール、シンカーをバランスよく組み合わせた。 ・3巡目は序盤に多用しなかったフォーシーム、スプリット、カーブに頼った。 ・試合終盤にはこれまで使っていなかったスライダーを織り交ぜた。 ・相手の打順ごとに最も多く投げた球種を変えた。フォーシーム、スプリットをそれぞれ交互に多用。

 一方で、ブルージェイズとの試合では、

・危険なブルージェイズ打線に対し、序盤は最も得意なスプリットを多用。 ・2巡目はフォーシーム主体だったが、唯一6球種すべて織り交ぜた。 ・3巡目はそれまでほとんど投げなかったカッターを用い、ブルージェイズ打線を驚かせた。 ・中盤でスプリットを減らしたあと、終盤でスプリットを復活させた。ただ多用した序盤よりバランスよく投じた。

 山本は打順ごとにレパートリーを組み替えた。第6戦でも同様の戦略で挑むだろう。

予測不可能なストライクとアウトを奪う

 山本の6球種を織り交ぜるスタイルは、多くの球種を織り交ぜる昨今のトレンドと一致しており、有利に働いている。

 6球種をバランスよく織り交ぜれば、試合が進むにつれて打者の目が慣れるという弊害を軽減できる。

 しかし、山本はどんなカウントでもすべての球種を投げられることで、打者をより効果的に攻められている。

 ポストシーズンでは浅いカウントで幅広い球種を投じ、ストライクやアウトを奪うことができている。

 山本は最初から最後まで最高の球種だけで打席を乗り切っているわけではない。カウント序盤からすべての球種を投げ込んでいる。

 例えば、カッターを投げることで、山本は左打者を寄せ付けず、あるいは右打者をカウント序盤に弱い打球をゴロに仕留めることができた。山本は2度の完投でカットボールで6度のゴロアウトを誘った。そのうち5度は打席の最初の2球以内に生まれたものだった。

 山本はカウント序盤から多彩な球を投げるため、フォーシームばかり投げているわけではない。ブルワーズとブルージェイズに対して初球でフォーシームを投じたのは合計9度のみで、打席開始から2球目までのフォーシーム投球率はわずか18%だった。打者はカウント序盤から山本のカッター、カーブ、スプリットといっ​​た球種にも備えなければならないため、フォーシームに狙いを定めることができなくなる。そのため、山本はカウント後半でもフォーシームで相手を仕留めることができるのだ。

 山本はすべての球種をストライクとして投げることができるため、カウントを有利にすることも、素早く打者を打ち取ることもできる。直近2試合では、初球のストライク率は66%、打席の40%以上はカウントが有利な状況で決しており、対戦した64打者のうち、3ボールまでもつれたのはわずか4打者のみだ。

 つまり、山本の勝利の公式とは、9イニング連続で投げても相手に有利に立てる多彩な武器と、それを操るコントロールにある。第6戦でも同様にブルージェイズ打線を抑えられるだろうか。

2025.10.31 14:08 Friday

ベッツ不振の原因はスイングにあり? コンパクトな振りが大振りに

 ワールドシリーズを5試合終えた時点で、ドジャースの打線は打率.201、出塁率.296、長打率.354と低迷している。第3戦で9度出塁した大谷翔平でさえ、他の4試合では2安打2四球と苦しんでいる。デーブ・ロバーツ監督は打線を組み換え、第5戦ではウィル・スミスを2番に上げ、ポストシーズン史上最低レベルの打撃成績を収めているセンターのアンディ・パヘスをスタメン落ちさせた。

 これらは妥当な選択ではある。しかし、結局のところ、チーム次第のスター選手の一人が打てていなければ、できることは限られている。3度の世界一、8度のオールスター選出、そして前代未聞のコンバートを成功させたムーキー・ベッツが、本来の姿を見失っている。ドジャースの1、2番を担ってきたベッツは第5戦で4年ぶりに3番に降格。ただ、それでも現状は変わらず、4打数無安打に終わった。 「とにかくずっと酷い。努力不足が原因だったらよかったのに、そうじゃないんだ」と、ベッツは胸中を明かした。

 ベッツは5試合でわずか3安打、すべて単打で、長打は1本だけだ。ブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズ(NLCS)ではわずか2安打、フィリーズとの地区シリーズ(NLDS)では4安打だったが、それとは対照的だ。ワイルドカードシリーズ(WCS)の2試合ではレッズ相手に6安打を放ったが、それは今から1ヶ月前のことだ。第6戦が行われる10月31日(日本時間11月1日)には、彼が最後に本塁打を打ってから6週間が経つことになる。今ポストシーズン、各チームがベッツを打席に立たせるために大谷の故意四球を積極的に選んでいるのは、まさにこのためだ。

 ベッツの不調の理由を明確に言うのは難しい。それは、2025年シーズン全体の見通しを明確に把握するのが難しかったのとほぼ同じだ。シーズン序盤は低調で、最初の100試合でOPSが.674だったものの、7月に予定外の休養を取って「リセット」し、その後、最後の50試合でOPSが.846と好調に転じた(シーズン序盤には、深刻なウイルス感染症で開幕を棒に振ったこと、5月に左足の指を骨折したこと、そして7月下旬に義父が他界したことでチームを離れたことなど、個人的な問題があったことは指摘できる。色々な意味で長い1年だった)。

 ベッツのシーズン全体の調子を把握するのは難しいとしても、スイングの調子を見る方がずっと簡単だ。少なくとも、そこには興味深い調査対象がある。ワールドシリーズでのベッツのスイングは、ポストシーズン序盤と比べてもかなり異なっているのだ。

 ベッツのスイングデータは、ワールドシリーズでのスイングは長くなっており、一発狙いのようなスイングになっていることを示している。

 ワールドシリーズでのスイングのアタックアングルは13度と、シーズン中の9度、そしてMLB平均の10度よりかなり上がっている。ボールに当たる瞬間のバットの(垂直)角度を示すアタックアングルの値が大きいということは、より打球を打ち上げる志向のスイングになっていることを示している。事実、13度という数字は、マット・ウォールナー(ツインズ)やサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)といった「三振か本塁打か」の傾向が強いパワーヒッターに近い。

 さらにボールに対するバットの(水平)角度を示し、引っ張り/流し傾向の強さが分かるアタックディレクションも激変。NLCS以前は7度から4度だったのに対し、ワールドシリーズでは12度と、かなり極端になっている。MLB平均は0度にもかかわらず、MLB屈指のプルヒッターとして知られるイーサック・パレイデス(アストロズ)の15度に次ぐ数字となっている。

 ベッツのスイングは打球を打ち上げ、引っ張ることを狙ったような大振りとなってしまっているが、実際に本塁打にはつながっていない。ただ、三振にもつながっていない。ほとんどがポップフライと弱い外野フライにつながっている。ベッツのフライ数は10度を数え、ワールドシリーズではトミー・エドマンと並んで最多記録だ。弱いフライは幸運でヒットになることも、相手守備の乱れを誘うこともほとんどない。よって、ベッツの打率は.143に低迷するのも頷ける。

 ただ、ベッツのスイングスピードは驚くべきことにわずかに上がっている。これは、パワーを生み出そうと強振しているか、それともスイングスピードのピーク時にボールを前で捌こうとしているからなのかは分からない。しかし、いずれにせよ、ベッツのスイングスピードはこの不振を紐解く鍵ではない。

 「ベッツは(自分に)プレッシャーをかけていると思う。少し不安な気持ちがあるのがわかると思う」と、ロバーツ監督は言う。ドジャース打線全体の苦戦を考えれば、自分にプレッシャーをかけてしまうのも理解できる。

 チームの打撃コーチ、そして元チームメートのJD・マルティネスに指導を受けたベッツが、後半戦から調子を上げたのはスイングの変更によるものだった。

 その要因は、引っ張った本塁打に頼らず、コンパクトなスイングでラインドライブを打っていたことだ。確かに完ぺきな打球が本塁打になったこともあったが、それは本質ではない。今ワールドシリーズでベッツが見せているのは、改善された後半戦のスイングではない。上位10%のスイングスピードと打ち上げるスイングを両立させるのは難しいのだ。

 皮肉なことに、これは昨今のMLBでよく耳にする、打者がスイングスピードを向上させ、打球を打ち上げて本塁打を狙う話とは正反対だ。このトレンドに則るには最低限のスイングスピードが必要だ。ただ、ベッツはもともとスイングスピードが速いタイプではない。

 「少しはメカニクスの問題もあるし、いい投球をされているのもある。ベッツは一生懸命頑張っている。今はとにかく、打席に立って4、5打席いい打席に立つことが大事だ」とロバーツは言った。

 ここで忘れてはならないのは、ベッツを抑えた投手側の功績だ。ブルージェイズの投手陣、特に若手のトレイ・イェサベージを称賛しないのは職務怠慢と言えるで。22歳の右腕は6打席でベッツを無安打、1四球に抑えた。

 ブルージェイズ投手陣のアプローチも効いている。ベッツに対する104球の中で、オフスピードピッチ(チェンジアップ、スプリットを含む球種分類)はわずか1球。イェサベージやケビン・ゴーズマンといったスプリットを武器とする投手とも対戦しているにもかかわらず、これは10月にベッツが対戦した4つのチームの中で、圧倒的に低い割合だ。

 もちろん、ただ不振のタイミングが巡っているだけということも考えられる。どんな偉大な打者にも不振の時期はある。たとえば、ドジャースはワールドシリーズでOPS.651と苦しんでいるが、レギュラーシーズンでも5試合のスパンでOPS.651未満と苦しんだ時期は22度もあった。

 ドジャースはまだ逆転を狙える。第2戦と第3戦で同じ連勝を収めたドジャースに、再び連勝を求めるのは無理な話ではない。まだ終わりではない。ただ、ベッツにはこれまで以上に多くのことが求められる。しかし、それは今のようなパワー重視のスイングではないかもしれない。

2025.10.31 13:02 Friday

ドジャースの救援投手が帽子に“51”と刻んでいるワケ

 過去3試合、ドジャースのリリーフ投手は全員、ワールドシリーズのロゴの横に小さな刺繍が施された帽子をかぶっている。その刺繍とは、小さくあしらわれた51の数字だ。

 これは、背番号51の左腕アレックス・ベシアとともに戦う意思を示すものだ。ブルペン陣の切り札だったベシアは、妻ケイラと家族の事情でワールドシリーズからロースター(出場選手登録)を外れた。ドジャースは第1戦以降、ベシアに関する追加情報を発表していないが、ワールドシリーズ期間中の復帰は見込まれていない。

 「トロントにいた頃から、私たちはベシアと彼の家族への愛とサポートを示すために、様々な方法を考えてきた。ただ、私たちは本当に彼らがいなくて寂しいし、彼らが今経験していることに比べれば、野球など全く関係ないと思っている」と、エバン・フィリップスは語る。

 野球という枠を超えた大きな状況において、ベシアはまさに必要な場所にいる。シーズンを通してブルペン陣で幾度となく活躍したベシアに続き、他のブルペン陣も残り1、2試合で同じように活躍しようと、彼の背番号をキャップに刻み、敬意を表している。

 ブルージェイズとのワールドシリーズでは、ベシアの不在が様々な意味で顕著だった。ジャック・ドライヤーはシーズンを通して深い絆を築いてきたキャッチボール相手を失った。ドジャースは頼れる火消し役を失い、わずかなリードを許した試合が大敗につながった。しかし、最終的に最も痛い喪失は、投手という以上にベシアという人物だった。

 「ベシアは、自分のパフォーマンスやチームの成績、曜日に関係なく、毎日同じ人だ。彼はいつも同じエネルギーを持った人だ。それはスタッツシートで測ったり見たりできるものではないが、チームに多くのものをもたらし、大きな助けになっている。彼がいないのは寂しいけど、彼とケイラが元気でいてくれることを願っている」と、ドライヤーは語る。

 ドジャースのブルペン陣が最も力を発揮したのは、ベシアを称える帽子を初めて被った夜だった。歴史に残る死闘となった第3戦では、ドジャースのブルペン陣が9人全員を投入し、13回1/3をわずか1失点に抑えた。期待されていなかったドジャースのブルペン陣が輝いた瞬間。全員が帽子のベシアの51番を背負っていた。

 「ベシアはブルペンにとって大きな存在だ。彼はリーダーだ。この役割に慣れるだけでも、本当に助けになってくれた。彼がいないのは辛い。彼のことを考えて、私たちはただそうした。そして、それは彼のためだった」と、ポストシーズンからブルペンに転向したエメット・シーアンは言う。

 大ベテランのカーショウもこう語った。 「ブルペンに入ったのは初めてだ。でも、ベスは私たち全員にとって大切な存在。彼はこのチーム、そしてブルペンにとって大きな存在だ。彼に敬意を表すために何かしたかった」

 ベシアの離脱はさておき、ドジャースのワールドシリーズにおけるブルペン陣は、連覇を目指して構築した強力なブルペンとは程遠い。昨オフに大型フリーエージェント(FA)として獲得したタナー・スコットとカービー・イェーツはロースターに名を連ねていない。フィリップス、ブルスダー・グラテロル、マイケル・コペック、そしてトレード期限前に獲得した唯一のリリーフ投手であるブロック・スチュワートもロースターに名を連ねていない。

 不振からケガに至るまで、今季のドジャースの苦境の多くはブルペンが中心となってきた。その間ずっと、リリーフ投手陣は互いに支え合ってきた。新人のドライヤーは語る。 「ブルペンとして、私たちは本当に家族だと思っている。チームの誰かが何か問題を抱えている時はいつでも、フィールド内外で彼らを支えるんだ」

2025.10.31 12:21 Friday

がけっぷちに追い込まれたドジャース 「何の問題もない」

【ドジャース1-6ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月29日(日本時間30日)

 ドジャースが本拠地での今季最後のイニングをプレーしているとき、試合中は満員だった観客の中から「シリーズはまだ終わっていない!」とチャントを生み出そうとする声が聞こえた。

 散発的に続く声はあったが、すぐにそれは消え、球場はずっと前から広がっていた諦めの雰囲気に戻った。

 ドジャースは2024年の地区シリーズ以来初めて、「あと1敗でシリーズ終了」の瀬戸際に置かれている。 「まだ可能性はあると思う。もっと可能性はあると確信している。2勝はしたが、結局は1試合の結果にかかっている。これまで何度も負ければ終わりの試合を経験してきたが、その逆境を乗り越える方法を見つけたと思う」

 ドジャースにとって、歴史は不利な状況を示している。最大7戦のシリーズで2勝2敗のタイとなった場合、第5戦の勝者は68回中48回(67.6%)でシリーズを制している。現行のフォーマットでは、アウェイで第5戦に勝利して3勝2敗のリードを奪い、その後ホームに戻って第6戦以降に挑んだチームは、27回中20回(74.1%)シリーズを制している。

 しかし、結局オッズはオッズに過ぎない。ドジャースは依然もオッズを覆している。とはいえ、彼らが第5戦に敗れたのは、ワールドシリーズの歴史において間違った側に立っていたことが大きな要因だった。

 試合の最初の3球が、その夜の試合の流れを大きく決定づけた。ブレイク・スネルは、デービス・シュナイダーへの初球をとらえられ、レフトへ先制ソロを被弾。スネルはその2球後にも同様のミスを犯し、ブラディミール・ゲレーロJr.に痛恨の2本目のソロを浴びた。試合開始から2者連続本塁打はワールドシリーズ史上初だった。

 「試合の初球、内角高めの直球。98マイル(約157.7キロ)出ていた。不運だった。そしてそれからブラッド(ゲレーロJr.)。あれはただの悪いボールだった」と、スネルは振り返った。

 スネルと対したトレイ・イェサベージは7回1失点、12三振の快投。76年間破られなかったワールドシリーズ新人記録を塗り替え、ドン・ニューカム(1949年、ブルックリン・ドジャース)が成し遂げた11三振を更新した。

 ドジャースのブルペン陣はまたしても不安定なパフォーマンスだったが、打線がそれ以上に振るわなかったため、問題にはならなかった。ドジャースはより良いパフォーマンスを発揮できると分かっているが、それを見極める時間は限られている。

 ドジャースが最後に「負ければシーズン終了」に追い込まれた2024年の地区シリーズから何かを学ぶとすれば、それは粘り強く戦い続けることだ。特に第6戦では山本由伸がマウンドに立つことを考えると、第7戦まで持ち込める可能性は高い。

 「今年は何度も窮地に立たされた。怪我と戦い、期待と戦い、そしてその他もろもろ。このチームはタフで、2試合勝つことに何の問題もない」と、ウィル・スミスは自信を口にした。

 準備ができているのは山本だけではない。第6戦から大谷翔平がリリーフとして起用される可能性があり、第7戦にはタイラー・グラスナウが先発予定だ。

 今季のドジャースの強みは先発投手陣だった。しかし、ブルージェイズ打線に攻略され、ドジャースは2勝3敗とリードされている。それでも先発ローテには最高の投手が揃っており、第6、7戦ではさらに柔軟な起用が可能になる。

 「昨年よりも才能豊かなチームになったと思う。昨年はやり方を見つけることができた。昨年は投手陣の状況がもっと深刻な状況だったと思う。第6戦では由伸を絶好のタイミングでマウンドに送り込める。私たち、そして攻撃陣が、今こそ本領を発揮すべき時だ」と、キケ・ヘルナンデスは意気込みを語った。

2025.10.31 11:19 Friday

歴史的快投の新人イェサベージ ベテランも舌を巻く22歳がブルージェイズをあと1勝に導く

【ドジャース1-6ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月29日(日本時間30日)

 ブルージェイズのベテラン選手たちがトレイ・イェサベージの名前を聞いたのは、2025シーズンもかなり進んだ頃だった。イェサベージのような立ち位置の選手は、通常は球団の将来を担う存在と考えられる。そして、目先の勝利を目指すMLBチームにとってそういった選手は、トレードデッドラインで重要な選手を獲得するための対価に過ぎない。

 しかし、ワールドシリーズ制覇まであと1勝に迫るア・リーグ王者は、今やトレイ・イェサベージの名前を間違いなく知っている。そして球界で最も資金力のあるチームも、そしてその他のチームも。

 ブルージェイズはワールドシリーズ第5戦に、イェサベージの快投で勝利。打線もデービス・シュナイダーとブラディミール・ゲレーロJr.の先頭からの2者連続本塁打などもあり、ドジャースを6-1で破り、世界一に王手をかけた。

 1Aでシーズンをスタートし、9月15日に3Aバッファローからブルージェイズに昇格。22歳のイェサベージは今やチームを優勝の瀬戸際へと導いている。そのシンデレラストーリーの最新にして最高の場面について、 「ハリウッドでもこれほど素晴らしいものは作れなかっただろうね」と、イェサベージは語る。

 最大7戦のシリーズで2勝2敗のタイとなった場合、第5戦の勝者は68回中48回(67.6%)でシリーズを制している。現行のフォーマットでは、アウェイで第5戦に勝利して3勝2敗のリードを奪い、その後ホームに戻って第6戦以降に挑んだチームは、27回中20回(74.1%)シリーズを制している。

 イェサベージは7イニングを投げ、わずか1失点、12三振(ワールドシリーズにおける新人記録)、無四球と好投。ワールドシリーズにおいて、これほど多くの三振を奪いながら無四球だったのはイェサベージが初めてであり、しかもMLB8戦目の先発、そしてポストシーズン初のアウェイでの先発で達成した。

 「イェサベージは本当に落ち着いている。彼にとって、この瞬間は大したことではない。あの若さで信じられないくらいだ。だから、彼を指導し、育ててくれた人に敬意を表するよ。プレッシャーの中でも本当に、本当に冷静なんだ。信じられないよ」と、ベテラン右腕のクリス・バシットは語った。

 しかし、ブルージェイズが過去2日間でドジャースに対して成し遂げたことも信じられないことだ。

 ブルージェイズは第3戦、延長18回の壮絶な死闘に破れ、疲弊した。それは球団を壊滅させるほどの敗北であり、隅っこで丸まって親指をしゃぶりたくなるような苦痛だった。

 しかし、第4、5戦は見事に立ち直り、ドジャースを圧倒。ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、「気分は良くない。ブルージェイズの選手たちがヒットを打ったり、球団を前進させたりする方法を模索しているのは明らかだ。だが、われわれはそれをうまくやっていない」と語る。

 第4、5戦では、ブルージェイズの球団の顔であるゲレーロが2本塁打を放ち、投手陣はドジャース打線を.161(62打数10安打)に抑え、観客を完全に静まり返らせた。

 特に第5戦では、あっという間に主導権を握った。多くのファンがロサンゼルスならではの渋滞に巻き込まれ、まだドジャースタジアムに入れてもいない時間帯に、2本の本塁打をドジャース先発のブレイク・スネルに浴びせた。

 負傷したジョージ・スプリンガーに代わってリードオフを務めたシュナイダーとゲレーロJr.は、内角のフォーシームを同じようなスイングでとらえた。わずか3球、本塁打が2本、ブルージェイズは2-0とリードした。

 「ブルージェイズ打線は僕を攻略できたわけではなかったと思う。試合の初球、内角高めの直球。98マイル(約157.7キロ)出ていた。不運だった。そしてそれからブラッド(ゲレーロJr.)。あれはただの悪いボールだった。それ以降は順調に投げられたと思う」と、スネルは振り返った。

 しかし、本当にただの不運だったのか。シュナイダーはブルージェイズはスネルの直球を待っていたと言う。 「第1戦では直球がなかなか定まらなかったけど、それでもチェンジアップは効果的に投げていた。だから直球でストライクを狙ってから、そこから緩急をつけてくると予想した」

 これは他に類を見ない奇襲だった。ワールドシリーズで試合開始直後に連続ホームランを打ったことはかつてなかったからだ(ポストシーズンの試合開始直後に連続ホームランを打ったのは、他に2002年のアスレチックスが地区シリーズで放ったものだけである)。ブルージェイズが試合開始直後に連続本塁打を打ったことも、あるいはドジャースが打たれたことも、そしてスネルが打たれたこともなかった。

 援護をもらったイェサベージは好調だった。第1戦ではスプリットの感覚をつかむのに苦労したが、今回は問題なかった。三回にはポストシーズン男として知られるキケ・ヘルナンデスに本塁打を浴びたが、それでも試合を支配し続けた。ポストシーズンで新人が複数回の登板で2桁三振を記録したのは史上初、ワールドシリーズで5イニング目までに2桁三振を奪ったのはこの試合を観戦していたドジャースのレジェンド、サンディ・コーファックス以来2人目だった。

 「早めにゾーンに投げて、自分のカウントにして、追い込んでから好きなように投げるだけだ」と、イェサベージは語る。

 イェサベージのチームメートの中には、殿堂入り間違いなしのキャリアを送る選手もいるが、このパフォーマンスに畏敬の念を抱いていた。

 「メジャーリーグに来た時のことを思い出すよ。2008年のシーズンには、ワールドシリーズに投げるなんて想像もできなかった。本当にクレイジーな話だったよ…イェサベージは本物だ。今の彼は誰とでも戦える」と、マックス・シャーザーは語る。

 そんなイェサベージにはある楽しみがある。メジャー昇格がシーズン終盤だったため、給料はこれまで多くはなかった。しかし、ポストシーズンに進出したことで、配当金をもらえることになった。 「プレーオフの配当金はいつ入ってくるにせよ嬉しいものだろうね」と、イェサベージ。

 チャンピオンリングも良いものだろう。

2025.10.30 16:42 Thursday

WS第5戦から何を学んだか 第6戦の見どころは

【ドジャース1-6ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月29日(日本時間30日)

 勝った方が王手をかけるワールドシリーズ第5戦は、トレイ・イェサベージが12三振の快投で、ブルージェイズを勝利に導いた。ドジャース有利の下馬評を覆し、ブルージェイズは世界一にあと1勝に迫った。31日(日本時間11月1日)に行われる第6戦を前に、第5戦の注目ポイントを抑えておこう。

ブルージェイズはドジャースの先発投手陣を追い込んでいる。ドジャースは最大の試練に直面。

 第5戦では、試合開始からわずか3球でブルージェイズは2-0とリードしていた。デービス・シュナイダーがブレイク・スネルから初球を本塁打、ブラディミール・ゲレーロJr.が2球目を本塁打としていた。ワールドシリーズで先頭から2者連続本塁打は史上初だった。

 「それが試合前に決めたアプローチだった。打つ準備を整えること」、とジョン・シュナイダー監督は振り返る。

 ブルージェイズ打線はまたしてもハイレベルな先発投手を平凡な投手に見せてしまった。ブルージェイズ打線はこの日七回途中5失点のスネル、大谷翔平、タイラー・グラスナウ、マックス・フリード、カルロス・ロドン、そしてマリナーズの先発投手陣に対しても、同じことをしてきた。

 しかし、第6戦で待ち受けるのは、今ポストシーズン最高の投手である山本由伸。ロジャースセンターで行われた第2戦を含め、2試合連続で完投中だ。 「いいチームだなと思いましたし、最高の準備をして、100%の自分で挑めたらなと思います」と山本は意気込みを語る。

 もしブルージェイズが山本を攻略できるならば、あるいは少なくとも序盤から彼を苦しめられれば、32年ぶりのワールドシリーズ制覇が見えてくる。しかし、その難易度は高いだろう。

イェサベージが大舞台で強心臓を発揮

 イェサベージが第5戦の先発マウンドに立つことに、多少の不安を感じたのも無理はなかった。第1戦は不安定な先発でわずか4イニングしか投げられず、それも慣れ親しんだロジャースセンターでのことだった。今回は、敵地ドジャースタジアムに足を踏み入れなければならなかった。

 しかし、イェサベージは12三振と快投。代名詞のスプリットの投球割合が少なかった第1戦と比べ、スプリットとスライダーのコンビネーションを生かし、21度の空振りを奪った。ワールドシリーズでは新人の1試合最多三振であり、無四球で12三振は史上最多だった。

 「あのステージと彼の記録を考えると、歴史的な出来事だ。スライダーとスプリットは衝撃的だった」と、シュナイダー監督も称賛。しかし、22歳右腕は既に次を見据えている。 「精神的には、第6戦に向けて準備は万端だ。でも、とにかく次に何が起こっても準備はできている。もし次があるならの話だけどね」

ドジャースの実力を試すときが来た

 今ポストシーズンで初めて、ドジャースは窮地に立たされている。直近18イニングで得点はわずか3と、打線が湿っている(しかも、第3戦では延長9イニングでわずか1得点しか挙げられていない)。

 第6戦は山本が、第7戦はグラスナウもしくは大谷を起用する可能性もあるため、理論上はドジャースが投手マッチアップでじゃ優位に立っている。しかし、攻撃陣が目覚めなければ、それも意味をなさないかもしれない。 デーブ・ロバーツ監督は言う。 「とにかくフレッシュな状態で臨むしかない。この中心メンバーで敗退が決まる試合を何度も戦ってきた。勝つ方法を見つけなければならない。それだけだ」

 ドジャースにとって、昨季のポストシーズンにおける決定的な瞬間は、地区シリーズ(NLDS)でパドレスに1勝2敗とリードされた時だった。サンディエゴの厳しい環境の中、第4戦を力強い勝利で取り返し、ロサンゼルスでの第5戦にも勝利した。今季もそれを再現できるか。再現するならば、ドジャースは2試合ともアウェイで勝利しなければいけない。

2025.10.30 14:45 Thursday

ブルージェイズが世界一に王手 新人イェサベージが歴史的快投

【ドジャース1-6ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月29日(日本時間30日)

 勝った方が世界一に王手をかけるワールドシリーズ第6戦は、ブルージェイズが勝利。先発の22歳トレイ・イェサベージが7回1失点、12三振、無四球の記録的好投でチームを牽引し、打線も6点を奪って援護した。ブルージェイズは3勝2敗とリードし、世界一に王手をかけた。

 初回、ブルージェイズは先頭のデービス・シュナイダーが初球をとらえて先制ソロ。さらに続くブラディミール・ゲレーロJr.も2球目をとらえてソロを放ち、ドジャース先発のブレイク・スネルに対してわずか3球で2点を奪った。ゲレーロJr.は今ポストシーズンで8本目の本塁打で大谷翔平と並び、ポストシーズン本塁打記録の10本に迫った。

 しかし三回、ブルージェイズ先発のトレイ・イェサベージに対し、ドジャースも反撃。1人の走者も許さず、5者連続三振を奪っていた22歳右腕から、キケ・ヘルナンデスが本塁打を放ち、1点差に迫った。一方のブルージェイズもすぐに反撃し、四回にドールトン・バーショの三塁打から犠牲フライで1点を追加し、再びリードを広げた。

 ブルージェイズが3-1とリードしたまま中盤を迎え、試合は両先発の好投で均衡状態に陥った。

 しかし七回、ついにブルージェイズがスネルをとらえた。先頭のアディソン・バージャーが安打を放ち、暴投で二塁へ進塁。1死後に四球でチャンスを広げ、再び暴投で1死一、三塁となった。

 スネルがシュナイダーを三振に仕留めて2死二、三塁となり、ゲレーロJr.を迎える場面で、ドジャースは2番手エドガード・エンリケスに継投。エンリケスは暴投で三塁走者をかえし(ゲレーロJr.は四球)、さらに続くボー・ビシェットにタイムリーを浴びた。ドジャースの継投策が失敗し、ブルージェイズは貴重な追加点を入れた。

 援護点をもらったイェサベージはなおも快投を続けた。自己最長の7回(104球)を投げ、1失点、12三振、無四球、3安打と、ドジャース打線を圧倒。1つのポストシーズンで複数回の2桁三振を記録した新人はイェサベージが史上初、ワールドシリーズにおいて最初の5イニングで2桁三振を奪ったのは1963年のサンディ・コーファックス(ドジャース)以来2人目、さらに12三振でワールドシリーズの1試合における新人奪三振記録を更新するなど、まさに歴史的なパフォーマンスだった。

 ブルージェイズは八回にも安打と暴投を絡めて追加点を入れ、6-1とリードを広げ、そのまま逃げ切り。第5戦に勝利し、3勝2敗で世界一に王手をかけた。移動日を挟んで31日(日本時間11月1日)に行われる第6戦では、第2戦で投手戦を演じたケビン・ゴーズマンと山本由伸が再び投げ合う予定だ。

2025.10.30 12:53 Thursday

ブルージェイズ・ゴーズマンが第6戦に先発 本拠地の大歓声に期待

 ワールドシリーズ第6戦は31日(日本時間11月1日)に行われる。ブルージェイズはその第6戦を世界一に王手をかけて迎えるか、それとも王手をかけられて背水の陣で迎えるか。そのいずれにせよ、先発のケビン・ゴーズマンの右肩に全てを賭ける。

 ブルージェイズは連覇を果たした1993年以来、最も重要な一戦を誰に託したいだろうか?過去4シーズンにわたってブルージェイズのユニフォームを着てきたゴーズマンは、このポストシーズンで重要な先発を任されてきた。

 ロジャースセンターは敵地で勝利して本拠地へ戻ってきたブルージェイズの選手たちを温かく迎えるだろう。ブルージェイズは今季、本拠地で54勝27敗の成績を残している。アウェイのロサンゼルスで行われる試合でも、本拠地のロジャースセンターはパブリックビューイングで満員となる。ホームフィールドアドバンテージの効果は数字では測りにくいが、ブルージェイズが得るアドバンテージは紛れもなく大きい。

 「ロジャースセンターは楽しい場所になるだろう。熱狂の渦になるだろう。ここ1ヶ月間と全く同じ、いや、それ以上の盛り上がりになるはずだ。またあの場所に戻れるのが待ちきれない。もちろん、ホームでは本当に強いから自信がある。特に最近は、ロジャースセンターのファンの皆さんが本当に素晴らしい。彼らはエネルギーをもたらしてくれて、必要な時に私たちを元気づけてくれる」と、ゴーズマンは語る。

 ゴーズマンは第2戦で素晴らしい投球だった。七回途中までドジャース打線を4安打3失点に抑え、スミスとマンシーに本塁打を打たれるまで圧倒的なパフォーマンスで、山本由伸と投げ合った。

 第6戦でも再び相手は山本。ブルージェイズで過ごした4年間で全幅の信頼を得たゴーズマンにとっては、非常に手強い相手だ。

2025.10.30 11:34 Thursday

ワールドシリーズ第4戦の見どころ 大谷の投打のパフォーマンスが鍵

 ワールドシリーズ第3戦は今まで見た中でも最高の、そして最長の試合の一つだった。

 6時間39分、18イニングの攻防で19人の投手が登場、大谷翔平は2本塁打、4長打、5四球(うち申告敬遠4つ)を記録した。残塁は実に37を数え、走塁でアウトになる選手も続出した。クレイトン・カーショウの満塁のピンチを抜け出す好リリーフを見せ、最後はフレディー・フリーマンがまたしてもサヨナラ本塁打を放って決着させた。

 ドジャースが2勝1敗で迎えるあすの第4戦はどうなるだろうか。3つの注目ポイントから、第4戦を展望する。

翔平が投げる!(そして打つ!)

 ナ・リーグ優勝決定シリーズでは、大谷は野球史上最高の個人パフォーマンスを見せた。ワールドシリーズ第3戦でも大谷は4長打、5四球、2本塁打で記録を作り続けた。

 そしてついに大谷はマウンドに立つ。ワールドシリーズで先発投手が打席に立つことは、両リーグにDH制が導入されるまで120年間起こり続けてきたことだが、それでも大谷がやることなすことどれも前例がないように感じられる。第4戦では投打両方で素晴らしい活躍が求められる。

 ドジャースは第3戦でブルペン投手全員を起用せざるを得なかった。そして第4戦、そしてその翌日にある第5戦を見据えるならば、大谷に求められるのはただの好投ではなく、ある程度のイニングの消化だ。彼はポストシーズンでの2登板を含め、過去3登板でいずれも6イニングを投げている。ドジャースはその再現を必要としている。そして打席では本塁打も1、2本必要だろう。

第4戦で誰が投げられる?

 MLB.comのマイク・ペトリエロが指摘したように、第3戦の前でも両軍のブルペン陣は好調ではなかった。そして第3戦では合わせて26イニングを投げなければいけなかった。ドジャースは9人、ブルージェイズは8人のリリーフ投手を起用し、そしてあすもあさっても試合をしなければいけない。

 ドジャースが第4戦で大谷を長いイニングまで引っ張る可能性は低いだろう。一方で、ビーバーは今年8月にトミージョン手術から復帰し、2023年7月から6イニング以上投げていない。両軍のブルペン陣に再び負担がかかる展開もありえる。

 第3戦ではブルージェイズがジェフ・ホフマン、ドジャースが佐々木朗希と、それぞれのブルペン陣の切り札を複数イニング投げさせている。彼ら以外でもイニングをまたいだ投手は多く、合計9人のリリーフ投手が3アウト以上を記録した。試合は乱打戦になるかもしれない。

ジョージ・スプリンガーは復帰できるか?

 ジョージ・スプリンガーはポストシーズンに強い選手として知られてきた。今年のワールドシリーズで再びMVPを受賞すれば、その名声はさらに高まるだろう。アストロズでは毎年のように出場したポストシーズンで毎年のように活躍し、ブルージェイズでもア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦で逆転の決勝3ランを放った。

 スプリンガーは今季、レギュラーシーズンから絶好調だった。キャリアワーストだった昨季から復活し、今季はチーム最高の打者だったと言っても過言ではない。2017年の悔しさを未だに拭えないドジャースファンはブーイングを浴びせているかもしれないが、私たちファンにとってはスプリンガーを応援せずにはいられない。しかし、2025年シーズンでの彼の活躍は見納めなのだろうか、と疑問に思う人もいるだろう。

 スプリンガーは既に膝の怪我に悩まされていたが、 七回にファウルボールを打った後、右脇腹を押さえ込み、すぐに交代させられた。FOXの中継で解説者のジョン・スモルツが言った言葉はまさに正鵠を射ていた。「ブルージェイズがこのシリーズで残しているであろう時間よりも、回復に長い時間を要するタイプの怪我のように見えた」と。試合後、ジョン・シュナイダー監督はスプリンガーが「右脇腹に違和感」を感じているとしてMRI検査を受け、結果は未定だと述べた。

2025.10.28 18:19 Tuesday

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