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レイズが大勝で首位に0.5G差 オールスター候補のアランダが特大弾
【オリオールズ3-11レイズ】@ボルティモア/オリオールパーク・アット・カムデンヤーズ、6月28日(日本時間29日)
6月28日(日本時間29日)、レイズはオリオールズの11対3で快勝を挙げた。前日は22失点して大敗を喫したレイズは、その鬱憤を晴らすように打線が爆発。中でも飛距離約142メートルの特大弾を放ったジョナサン・アランダのオールスターゲーム選出を望む声が、レイズのチーム内では高まっているようだ。
アランダは初回、オリオールズ先発のザック・エフリンの直球を捉え、ライトスタンドへ特大の10号2ラン。この本塁打はライトスタンドを超え、その奥のユートー・ストリートまで届く特大弾に。2015年のスタットキャスト導入後では球団史上、そして球場史上3位の飛距離を記録した。
このアランダの一発でレイズはリードを3対0に拡大し、その後も打線が爆発。4回にはヤンディ・ディアスにも14号3ランが飛び出し、オリオールズ投手陣から11得点を挙げた。投げても先発のザック・リッテルが7回1失点の省エネ投球を見せ、7勝目をマーク。オリオールズとの3連戦を1勝1敗のタイに戻した。
「彼をアトランタ(今季のオールスターゲームの開催地)に連れていってくれないか?お願いだ」とレイズ外野手のジェイク・マンガムは試合後に言った。先発のリッテルも「彼は間違いなくオールスターに値する選手だ」と、称賛した。彼とはもちろん特大弾を放ったアランダのことだ。
アランダは今季レギュラーに定着し、打率.330、OPS.915と大ブレイクしている27歳。打率.330はアーロン・ジャッジとジェイコブ・ウィルソンに次ぐMLB3位、OPS.915は同8位と、MLB屈指の打撃成績を収めている。
しかし、オールスターのファン投票では惜しくも当選を逃した。ブラディミール・ゲレーロJr.、ポール・ゴールドシュミットの後塵を拝む3位に終わり、決選投票となる第2フェーズには進めず。ゲレーロJr.、ゴールドシュミットは共に打率、OPSではアランダより低かったが、MLB屈指のスター選手を相手にするのは売出し中の27歳には荷が重かった。「システムを理解しています。他の二人もスター選手だと知っています。自分がコントロールできることに集中する。それだけです」と、アランダは淡々と結果を受け止めている。ただ、選手間投票とコミッショナー事務局の指名でオールスターのメンバーに名を連ねる可能性は高いはずだ。
そして、きょうの勝利によってレイズは、再びア・リーグ東地区首位のヤンキースに0.5ゲーム差に迫った。ワイルドカードも1位を維持しており、2位へのリードを4.5ゲーム差に広げている。今のMLBで最も勢いがあるチームと言って良い。
この快進撃の原動力となっているのは、開幕前はウィークポイントと懸念された打線の奮起だろう。アランダなどに牽引され、チーム打率は.260でMLB2位、チームOPS.736はMLB8位だ。そして伝統的に強い投手力も健在。今のレイズはただ勢いに乗っているだけではなく、MLB屈指の隙がないチームとして完成されつつある。
2025.6.29 11:38 Sunday
オリオールズは売り手に回るのか 今後数週間が勝負と決断のとき
2025年シーズン開幕に際し、オリオールズがトレード期限前に売り手に回る可能性があると予想した人はほとんどいなかっただろう。ガナー・ヘンダーソン、アドリー・ラッチマンという若手スターを擁し、2年連続でプレーオフに進出。今季も地区優勝の筆頭候補とされたものの、オリオールズは35勝47敗と苦戦し、厳しい状況に立たされている。日本時間6月29日、オリオールズのマイク・イライアスGMがチームのトレードデッドラインにおける立ち位置について明かした。
GMのマイク・イライアスは「我々はまだ2025年に向けて戦い、プレーしている」と、勝負を諦めたわけではないとアピールした。しかし、「このチームには大きな期待を寄せていた。才能のある選手がいるのは分かっていたが、出だしで大きくつまずいて穴を掘ってしまった。それが今も我々を苦しめている。プレーは良くなり、物事は正しい方向に進んでいると思うが、期限が迫っており、来月中に戦略的な決断を下さなければならない」と、2桁の借金を抱える厳しい現実から目を逸らしているわけではない。
オリオールズは29日の時点で、ア・リーグのプレーオフ圏内に7ゲーム差の位置につけており、その座を獲得するには7チームを抜く必要がある。データサイト「ファングラフス」は、オリオールズのポストシーズン進出確率を3.6%としている。状況は厳しくともまだ逆転は不可能ではなく、「今のところは、好調を維持し、勝利を重ね、ワイルドカード争いに手が届く位置にいられることを願っている。しかし、今後数週間のうちに、現実的な判断を下さなければならないだろう」と、しばらくの間はチームの巻き返しに期待する方針だ。
では、決断のときはいつだろうか。イライアスは「最後の1、2日まで待つことはできないと思う。取引を進めるには時間が必要だし、買い手にとっても売り手にとっても、市場が過度に活性化するのは望ましくない。それよりも早い時期にそうなると思う」と、決断のときはデッドライン直前ではないことを示唆。だとすれば、オリオールズにとって今季を諦めて売り手に回るか否かの決断は、向こう1、2週間の戦いぶりに左右される可能性が高い。
巻き返しの可能性はゼロではないが、状況は厳しい。オールスター・ブレイクまでの対戦カードはレンジャーズ、ブレーブス、メッツ、マーリンズ。勝率5割を超えるチームはメッツのみだが、レンジャーズとブレーブスはまだプレーオフ争いにとどまっており、実力は十分だ。
さらに悪いことに、ここにきて大黒柱のラッチマンが故障者リストに入った。さらにイライアスはラッチマン負傷の緊急事態によって、AAAに控える強打の捕手有望株サミュエル・バサヨの昇格を焦らせることはないとコメントしている。オリオールズは捕手という強みをこの佳境で失ってしまった。
仮にオリオールズが売り手に回るとなれば、菅野智之のようなベテランの放出は避けられない。16先発で防御率4.06と安定感を示す菅野、ベテラン先発のザック・エフリン、好守の中堅手セドリック・マリンズ、打撃好調のベテラン勢3人(ライアン・オハーン、ラモン・ローレアーノ、ゲーリー・サンチェス)、そしてベテラン救援投手3人(アンドリュー・キットリッジ、セランソニー・ドミンゲス、グレゴリー・ソト)。このように、今季限りで契約が切れるめぼしいベテラン選手が、今のオリオールズには多い。
オリオールズが売り手に回るのか、それとも巻き返してプレーオフ争いに舞い戻るのか。多くの“商品”を抱えるオリオールズの決断は、今夏のトレードデッドラインの趨勢を大きく左右するだろう。
2025.6.29 09:33 Sunday
カージナルス・グレイ 89球&11Kの無四球完封で「マダックス」達成
【ガーディアンズ0-5カージナルス】@クリーブランド/プログレッシブ・フィールド、6月27日(日本時間28日)
ソニー・グレイ(カージナルス)は初球を投げる前に、マウンドのプレートの後ろに立ち、ガーディアンズのダグアウトに目をやった。ガーディアンズのスティーブン・ボート監督は、グレイにとってマイナーAAA級でバッテリーを組んだ間柄であり、一緒にメジャーのオールスター・ゲームに出場した関係性でもあり、そして球界において、家族ぐるみの付き合いをしている最も親しい友人の一人でもある。
グレイは頷き、ボート監督も意味ありげに頷き返した。そしてグレイはピッチングを開始し、息をのむほど圧倒的なパフォーマンスを披露。10年前に彼らがまだチームメイトだったとき、ボートがクリーブランドのプログレッシブ・フィールドで目にしたような、素晴らしいピッチングだった。
試合が始まってからの9イニングのうち、グレイは最初の4回2/3をパーフェクトに抑えた。わずか89球で9イニングを投げ抜き、打たれたヒットは五回の単打1本だけ。今季最多の11三振を奪い、カージナルスはボート監督が率いるガーディアンズを5-0で破った。
グレイは効率的かつ支配的なピッチングを展開し、「マダックス」を達成。「マダックス」とは100球未満での完封勝利を意味するが、グレイが投じた球数は90球にすら満たなかった。グレイはかつてバッテリーを組んだボート監督の存在が自身のピッチングに好影響を及ぼしたことを否定しない。
「初回のウォーミングアップを終えたあと、スティーブン・クワンが打席に入り、少しだけ時間があったから、ボートが立っている場所を見つめたんだ。すると、彼もこちらを見ていて、お互いに少し見つめ合った」とグレイ。両者は家族ぐるみの付き合いがあり、お互いの子供が一緒に育ってきたというほどの間柄。「彼のことを尊敬しているから、軽く頷いたんだよ」と投球前の動作の意味を明かした。
「このゲーム(野球)はときどきそういうことが起こるんだ。スティーブン・ボートとバッテリーを組んで完封してから10年が経った。あれは前半戦の最終戦で、ボートがホームランを打ち、試合後に僕たちは車に乗り込んで、オールスター・ゲームの開催地であるシンシナティまでドライブしたんだ」とグレイは当時の思い出を語った。
グレイのピッチングで印象的だったのは、支配力よりも効率性だ。10球未満でガーディアンズ打線を三者凡退に抑えたイニングが3度もあった。3ボールになったのは2度だけ。三回の球数が最も多かったが、それでもわずか12球だった。今季3度目・通算20度目となる2ケタ奪三振を達成し、わずか2時間11分でガーディアンズ打線を完封した。
10度のゴールドグラブ賞を誇る名三塁手ノーラン・アレナドは「自分が守備に就いたなかで最高のピッチングだった。走って守備位置まで行き、またすぐにダグアウトに戻ったような感じだったよ」と語る。「彼はすべてのボールを狙い通りに投げていた。ゾーンを支配していたし、まさにピッチングの完成形だよ」とグレイの好投を絶賛したが、アレナド自身も六回にタイムリー二塁打を放つなど、2安打2打点の活躍で勝利に貢献した。
グレイが最後に完封を記録したのは2015年8月7日のこと。10年ぶりとなる完封勝利を挙げた一戦で許した唯一のヒットは、五回2死からノーラン・ジョーンズに打たれたもので、カウント1-2からボール気味のスイーパーをライト前に弾き返された。しかし、難しい球を上手く打たれたため、特に動揺することはなかったという。
グレイは「イニングが進んでいき、五回途中までパーフェクトに抑えていることもわかっていた。ヒットを打たれた球もいいボールだったし、それに関しては満足しているよ」とコメント。「イニングが進むなかで、何回まで投げたかをあまり気にしないようにしていた。今、五回なのか六回なのか、途中でわからなくなった。でも気にすることなく投げ続けることができた。九回になったときはわかっていたけれど、ただの1イニングと考えることができたし、それが良かったんだと思う」と無心で投げ続けた結果の快投だった。
グレイにノーヒッター達成のポテンシャルがあることを誰よりも知っているのがボートだった。ボートは誰よりも多くグレイとバッテリーを組んだからだ(通算45試合・272回1/3)。グレイのピッチングは素晴らしく、16個の空振りを奪い、そのうち10個は最大の武器であるスイーパーで記録したものだった。
ボート監督は「彼はすべてを思い通りにやっていたね。コマンドも素晴らしかったし、すべての球種が機能していた。上下左右のコーナーを突きながら、6つの球種を投げ分け、狙い通りの場所に投げていた。信じられないようなパフォーマンスだったよ」とグレイの快投を素直に称賛。これほど支配的なグレイのピッチングを見たことがあるかと尋ねられ、「2015年にクリーブランドで見たよ。あのときは2安打完封だった」と10年前にバッテリーを組んだ試合を挙げた。
なお、90球未満での「マダックス」達成は、2021年のアダム・ウェインライト(カージナルス)以来メジャー4年ぶり。グレイが奪った11三振は、90球未満の「マダックス」では史上最多となった。
2025.6.28 14:57 Saturday
ニック・マルティネスがノーヒッターに迫る快投 スティアーは3本塁打
【レッズ8-1パドレス】@シンシナティ/グレートアメリカン・ボールパーク、6月27日(日本時間28日)
球団史上最高の2年間、1975~76年のビッグ・レッド・マシンのメンバーたちがワールドシリーズ制覇50周年の記念式典に出席した夜、2025年のレッズのメンバー2人が最上級のパフォーマンスを見せた。
先発のニック・マルティネスは八回までパドレス打線をノーヒットに抑える快投。一方、スペンサー・スティアーは第1打席から3打席連続で本塁打を放つ大活躍を見せ、チームの勝利に大きく貢献した。
初回2死からジャクソン・メリルに四球を与えたマルティネスだったが、そこから22人連続でアウトにする安定感抜群のピッチング。九回先頭のトレントン・ブルックスに四球を与えたあと、次打者エリアス・ディアスに右中間フェンス直撃の二塁打を浴び、レッズでは2021年5月7日のウェイド・マイリー以来となるノーヒッターを達成することはできなかった。
マルティネスは自己最多タイの112球を投げていたため、テリー・フランコーナ監督は初安打を打たれた時点で交代を決断。8回0/3を投げて1安打、6三振、2四球という快投を見せたマルティネスは、本拠地に集まった2万6746人の観衆からスタンディングオベーションを受けた。
スティアーは2点リードの二回にパドレス先発のディラン・シースが投じた97マイル(約156.1キロ)の直球をとらえ、右中間への7号ソロ。四回にはシースのスライダーを打ち返し、レフトスタンドに2打席連発の8号ソロを叩き込んだ。
パドレスは五回から2番手の松井裕樹を投入したが、レッズは先頭のエリー・デラクルーズがヒットを放ち、オースティン・ヘイズのタイムリー二塁打とギャビン・ラックスのタイムリーで2点を追加。1死後、スティアーが松井のスプリッターをとらえて3打席連発となる9号2ランを放ち、レッズは8-0と大きくリードを広げた。
スティアーが1試合3本塁打を記録するのは初めて。レッズでは2021年6月6日のカージナルス戦でジェシー・ウィンカーが達成して以来となった。
マルティネスは六回までに81球を投じていたが、七回をわずか9球で抑えたことにより、ノーヒッター達成のチャンスが生まれた。八回2死からジェイク・クロネンワースを低めのチェンジアップで空振り三振に仕留め、ノーヒッターを継続。惜しくも快挙達成こそ逃したが、チームを快勝に導く見事なピッチングだった。
2025.6.28 13:54 Saturday
アストロズ5連勝 新人キャム・スミスが古巣カブスを相手に活躍
【アストロズ7-4カブス】@ヒューストン/ダイキン・パーク、6月27日(日本時間28日)
トレードでアストロズからカブスへ移籍したカイル・タッカーが移籍後初めてダイキン・パークに戻ってきて注目を集めるなか、交換要員としてアストロズに移籍したキャム・スミスは、昨年12月にアストロズが自身を獲得したときに、なぜあれほどまでに興奮したのかを思い出させてくれた。
スミスは四回に6号3ランを放つなど、古巣カブスを相手に全4打席で出塁する見事な活躍を披露。22歳のスミスはもともと、2024年ドラフト1巡目(全体14位)指名でカブスに入団した有望株だった。しかし、1年も経たないうちにトレードでアストロズへ移籍。そして、古巣カブスと対戦した初めての試合でチームの勝利に貢献した。
22歳の有望株は「みんなが今回のシリーズに特に注目しているというのは周知の事実だと思う。正直に言って、楽しい試合になると思うし、僕も楽しみだよ」と試合前に話していたが、その試合で主役となったのは自分自身だった。
アストロズにとっては、間違いなく楽しい試合だった。カブスを7-4で破り、連勝を5に伸ばすとともに、今季のホーム成績は31勝13敗とさらに向上した。ちなみに、この5連勝のなかには地区首位のチームを相手とした4連勝が含まれており、アストロズは直前のフィリーズ3連戦をスイープ。そして、カブス3連戦の初戦も制した。
試合前には、アストロズはタッカーとライアン・プレスリーの凱旋を祝福するビデオを流した。プレスリーはアストロズの守護神として活躍した右腕で、2022年のワールドシリーズでは胴上げ投手になっている。このとき、最後の打者のファウルフライを捕球したのがタッカーだった。アストロズは昨年12月にスミス、イサーク・パレイデス、ヘイデン・ウェスネスキーとのトレードでタッカーを放出。その1カ月後にはプレスリーもトレードした。
なお、カブスの鈴木誠也は「3番・DH」でスタメン出場して4打数2安打1三振。3試合ぶりとなるヒットを放ち、今季の打撃成績は打率.259、出塁率.315、OPS.849となっている。
2025.6.28 13:16 Saturday
ドジャース逆転勝ち 登板前日の大谷が29号先頭弾&同点タイムリー三塁打
【ロイヤルズ4-5ドジャース】@カンザスシティ/カウフマン・スタジアム、6月27日(日本時間28日)
大谷翔平(ドジャース)が再び完全な二刀流のスーパースターになるまでには、ゆっくりとした段階的な道のりが待ち受けている。しかし、MVP3度受賞のスーパースターは、完全な状態に向けて着実に前進中だ。
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は28日(同29日)のロイヤルズ戦に先発する予定の大谷が2イニング目も投げる見込みであることを明かした。今季3度目の登板に臨む大谷だが、2イニング目も投げるのは2023年以来初めてとなる。指揮官の発表から数時間後、大谷は敵地カウフマン・スタジアムで行われたロイヤルズ戦で飛距離429フィート(約130.8メートル)の29号先頭打者アーチと打球速度112.4マイル(約180.9キロ)の同点タイムリー三塁打を放ち、チームの勝利に貢献した。
ドジャースは2023年シーズンオフに「歴史的選手」と10年7億ドルの超大型契約を結び、大谷が完全な二刀流選手に戻ることを待ち望んできた。ドジャースは大谷がどれくらいのイニングを投げられるか、まだ正確には把握していないものの、大谷が消化できるイニング数はタイラー・グラスナウ、ブレイク・スネル、佐々木朗希といった離脱中の投手たちの復帰時期の決定要因となる可能性がある。このうち、グラスナウはマイナーAAA級で2度目のリハビリ登板を終え、復帰が近づいている。ただし、ドジャースはまだ「投手・大谷」に関して具体的な契約や役割を決めていない。
ロバーツ監督は「ロースターがどんな構成であろうと、自分たちがやりたいことを何でもできるための選択肢があるということが重要なのだと思う。それがショウヘイの素晴らしいところだし、彼が投げられるということの素晴らしさなんだ」と語り、たとえ大谷が長いイニングを投げられなくても、チームにとって大きな戦力であるということを強調した。
大谷が投げられるイニングが何イニングであろうと、その分だけチームにとってプラスになるというのがロバーツ監督の考え方だ。「彼が5~6イニングを投げられなかったとしても、ロースターの枠を圧迫するわけではない。1イニング、2イニング、3イニングと投げてくれれば、その分だけチームにとってプラスになる。正直に言って、1試合1試合を大切にして、次に何が起こるかを見極めることが大事だと思う」と指揮官は語った。
投手としての今後の見通しを決めるうえで、大谷が3度目の登板の試合中や試合後にどのように感じているかという部分が重要になってくるだろう。しかし、打席での状態に関しては、疑いの余地はない。すでにオールスター・ゲーム出場を決めている大谷は、本塁打(29)、長打率(.649)、OPS(1.045)といった部門でナショナル・リーグ1位の数字を残している。
では、投手を再開してからの打撃の調子はどうだろうか。大谷は直近11試合で4本塁打、13打点を記録し、ドジャース打線を牽引。完全な二刀流選手としてカムバックする瞬間は、刻一刻と近づいている。
2025.6.28 12:43 Saturday
ツインズの動向に注目 フォルビー球団社長は売り手に回ることを否定
2年ぶりのポストシーズン進出を目指しているツインズだが、今季ここまで39勝42敗でアメリカン・リーグ中地区3位となかなか波に乗れない状況が続く。地区首位のタイガースには11.5ゲーム差をつけられており、逆転は難しい状況。ワイルドカード圏内までは2.5ゲーム差だが、ワイルドカード獲得のためには5チームをごぼう抜きする必要がある。そうした状況のなかで、トレード・デッドラインに向けた動向が注目されるが、今のところ「売り手」に回るつもりはないようだ。
ツインズのデレック・フォルビー球団社長は、日本時間6月24日の試合前の時点で「それは今のところ、私がフォーカスしているものではない」と語り、トレード市場で主力選手を放出することを明確に否定。「自分たちが信じているチームがあり、選手たちが早く健康を取り戻して復帰すれば十分に戦えると考えているとき、主力の放出について考えるのは難しいものだ。もし放出のことを考える必要があるなら、それは後で考えればいい。とにかく今は放出のことは全く考えていない。チームをあるべき姿に戻すことだけを一生懸命に考えている」とあくまでもポストシーズン進出を目指す方針を強調した。
「ニューヨーク・ポスト」紙のジョエル・シャーマン記者も「ツインズが主力選手の売却を望んでいるという話は聞いていない」としている。その一方で「トレード候補になる可能性がある魅力的な選手が複数いるため、注目のチームとして見ているのだ」と述べ、ツインズが「売り手」に回った場合のプランを展望した。
シャーマン記者が特に魅力的なトレード候補として挙げたのは、バイロン・バクストンとカルロス・コレアの2選手だ。両者とも故障の多いスター選手として知られているが、バクストンは今季ここまで健康を維持しており、打率.279、17本塁打、48打点、13盗塁、OPS.898の好成績をマーク。球界屈指のスピードや守備力も錆び付いておらず、外野手補強を狙うチームにとって魅力的な補強ターゲットとなるだろう。ツインズとバクストンは7年1億ドルの長期契約を結んでおり、契約は2028年シーズンまで残っている。
コレアは70試合に出場して打率.262、6本塁打、26打点、OPS.691とやや低調なシーズンを過ごしている。遊撃の守備防御点は自己ワースト(-7)と攻守両面で精彩を欠くが、ポストシーズン通算18本塁打の実績はコンテンダーにとって魅力的だろう。ただし、6年2億ドル+球団オプション4年という大型契約がトレードの障壁となる可能性は否定できない。
ワイルドカード圏内まで2.5ゲーム差という状況を考えると、ツインズが早々に白旗をあげる可能性は低い。トレード期限までの残り1カ月の戦いがチームの動向を大きく左右することになるだろう。
2025.6.27 11:44 Friday
カブスのマイケル・ブッシュがブッシュ・スタジアムで本塁打を放つ
【カージナルス0-3カブス】@セントルイス/ブッシュ・スタジアム、6月26日(日本時間27日)
今永昇太(カブス)が戦列復帰を果たした敵地でのカージナルス戦。マイケル・ブッシュが二回に先制の13号ソロを放ち、今永を援護したが、これはカージナルスの本拠地ブッシュ・スタジアムで「ブッシュ」が打った初めてのホームランとなった。
記録マニアとして知られるMLB.comのサラ・ラングス記者は「球場名と選手名の組み合わせ」について、詳細なリサーチを敢行。1953年にスポーツマンズ・パークがブッシュ・スタジアムに改称されて以降、「ブッシュ」という名前を持つ選手がホームランを打ったのは、カブスのマイケル・ブッシュが初めてだった。
他の球場も見ていくと、たとえばダイヤモンドバックスの本拠地チェイス・フィールドでは、チェイス・アトリーが4本、チェイス・ヘッドリーが3本のホームランを放っている。オリオールズの本拠地オリオール・パーク・アット・カムデンヤーズでは、「カムデン」や「キャム」といった名前の選手はホームランを打っていないが、名前に「Cam」が含まれる選手まで広げると、キャメロン・メイビンとマイク・キャメロンが各2本、ケン・カミニティが1本打っている。
ブリュワーズの本拠地アメリカンファミリー・フィールドは、2020年までミラー・パークと呼ばれていたが、ここではダミアン・ミラーが10本、ブラッド・ミラーとビル・ミラーが各3本のホームランを記録。ジャイアンツの本拠地オラクル・パークは、2000~03年にパシフィック・ベル・パークという名称だったが、その期間中にデービッド・ベルが7本、ジェイ・ベルも2本のアーチを放った。
現在使われていない球場に目を向けると、ブレーブスの前本拠地ターナー・フィールドでは、トレイ・ターナー(5本)、クリス・ターナー(1本)、ジャスティン・ターナー(1本)が本塁打を放っている。
ちなみに、ホワイトソックスには若手左腕のカイ・ブッシュがいるが、ラングス記者は「カイ・ブッシュがセントルイスのブッシュ・スタジアムで本塁打を打つ可能性は極めて低いだろう」としている。カブスのマイケル・ブッシュは「ブッシュ・スタジアムで本塁打を放った史上初のブッシュ」として、その名をメジャーリーグの歴史に残すことになった。
2025.6.27 10:48 Friday
レイズの快進撃が続く ア・リーグ東地区首位のヤンキースと0.5差に
【ロイヤルズ0-4レイズ】@カンザスシティ/カウフマン・スタジアム、6月26日(日本時間27日)
レイズの先発投手ドリュー・ラスムッセンは、ロイヤルズを相手に4-0で勝利を収めたあと、「今、(チーム状況について)文句を言うのは難しい」と語った。この言葉が現在のレイズの状況を象徴していると言えるだろう。
レイズはレギュラーシーズンのちょうど半分、81試合を消化。2年ぶりのポストシーズン進出に向けて快進撃を続けており、今季5度目となる同一カードのスイープを達成し、アメリカン・リーグ東地区の首位ヤンキースまで0.5ゲーム差に迫った。
レイズの現状、そして上手くいっている点は以下の通りだ。
順位表で急上昇
レイズの前半81試合については、直近の34試合に集約される。5月19日の時点では21勝26敗で5つの借金を抱えていたが、それ以降の34試合では25勝9敗を記録し、シーズンの展望を一変させた。
しかも、この快進撃を強豪相手に成し遂げている。レイズはタイガース、アストロズ、ブルージェイズ、レンジャーズ、ツインズ、ロイヤルズを相手にカード勝ち越しを記録し、メッツをスイープ。すべてポストシーズン進出を狙うチームだ。低迷するチームを相手に白星を稼いでいるわけではないという点は注目に値する。
ケビン・キャッシュ監督は「この1カ月ほどで、チームの勢いは高まってきたと思う。本当に良い成果をたくさん上げてきたし、選手たちがこれを継続していきたいと思っていることを私は知っている」とチームの現状に手応えを感じている。
現在、レイズはトレード・デッドラインで「買い手」に回る可能性が高い。ただし、具体的にどのポジションを補強するかは、故障からのリハビリを行っているキム・ハソンやシェーン・マクラナハンの状態、そして2度目のメジャー昇格を果たしたチャンドラー・シンプソンの成長にかかっているだろう。
現在46勝35敗ので地区2位につけているレイズ。5月28日の時点では7ゲーム差をつけられていたが、首位ヤンキースとのゲーム差は0.5まで縮まった。また、メジャー最高勝率を誇るタイガースにも4.5ゲーム差に迫っている。
先発投手のライアン・ペピオは「このチームの粘り強さを誇りに思う。僕たちは昨季の終わり方に満足できなかったからこそ、今年は高い期待と目標を持ってシーズンに臨んだ。望んでいたようなスタートではなかったけれど、状況を好転させることができた。今は貯金11。この状況には満足しているよ」と語った。
では、レイズはどのようにして状況を好転させたのだろうか。
打撃陣の活躍
ジョナサン・アランダ(打率.329、OPS.898)の台頭と、ヤンディ・ディアス(直近14試合で打率.476)の安定した活躍もあり、上位打線が強化された。その結果、様々な方法で得点することができる打線が形成されている。
今回のロイヤルズ3連戦を最新の例として挙げると、第2戦の二回に3点を奪ったが、外野に届いた打球は1本だけ。ホセ・カバイェロとダニー・ジャンセンのバントを絡めて得点を奪い、3-0で勝利した。最終戦では六回にブランドン・ラウとジュニア・カミネロが連続ホームランを放ち、ロイヤルズを突き放した。
ラウが「今は相手にダメージを与える方法がたくさんあり、とても楽しくプレーできている。一緒にいて楽しいグループだし、一緒にプレーしていて楽しいチームだ」とチームの雰囲気の良さについて語る。
最終戦開始前の時点で、レイズが5月20日以降に記録した1試合平均得点(5.97)、打率(.281)、出塁率(.351)、長打率(.462)、OPS(.813)、打点(184)、盗塁(43)はいずれもメジャートップ。長打(110)もメジャー最多タイの数字である。
好守のテイラー・ウォールズは「シーズン序盤はなかなか勝てなかったけれど、シーズンを通して良い野球をすることができていると思う。(勝てなかった時期も)得点を奪うチャンスはあった。今は以前よりもそうした機会を生かすことができている。塁上にランナーがいる状況でヒットが出るようになったんだ」とチームが好調な理由を分析した。
投手陣の活躍
打撃陣の活躍は投手陣にも好影響を与えている。最終戦開始前の時点で、5月20日以降の防御率(3.00)、WHIP(1.10)、1試合平均失点(3.33)、被打率(.220)、得失点差(+87)はいずれもメジャートップだ。
ロイヤルズ3連戦でも投手陣は安定感を見せ、初戦ではタジ・ブラッドリーが6回2/3を無失点に抑える好投。第2戦ではラスムッセンが五回無失点、そして最終戦ではシェーン・バズが八回無失点と自己ベスト級の好投を見せ、3試合でロイヤルズに1点しか与えなかった。
今季8勝目を挙げたバズは「これは、僕たちが助け合うことができるということを示していると思う。選手同士で助け合い、質問し合い、責任感を持ちながら、全員がベストを尽くしてプレーしている。本当に素晴らしいグループだと思う。本当に、その一員でいられてラッキーだよ」と語る。
先発陣だけでなく、ブルペンも強力だ。最終戦開始前の時点で救援防御率3.31はメジャー4位。15セーブを挙げている守護神ピート・フェアバンクスのほか、ギャレット・クレビンジャー(防御率2.64)、エリック・オージー(防御率1.91)らがブルペンを牽引している。
強力な攻撃陣と支配的な投手陣のコンビネーションにより、レイズの快進撃は生み出されている。これは数カ月前に実行に移された「真のチームを作る」という計画の成果である。
ジョシュ・ロウは「どうすればチームとしてもっと団結することができるか、オフシーズン中も、シーズンが始まってからも、ずっと考えてきた。一緒にチームとしてプレーすること。それを昨季は少し失っていたように思う。でも、今年はシーズンを通して素晴らしい成果を上げることができている。お互いを支え合い、エネルギーを注ぎ合うんだ。そうした状況に到達するまで、少し時間がかかったかもしれないけれど、今は本当にいいチーム状況だし、フィールドで自分たちの力を発揮することができている」と語った。チームとして完成されつつあるレイズの快進撃は、まだまだ続いていきそうだ。
2025.6.27 09:59 Friday
元西武・エンスが4年ぶりのメジャー復帰 五回1安打無失点で白星
【タイガース8-0アスレチックス】@デトロイト/コメリカ・パーク、6月26日(日本時間27日)
ディートリック・エンス(タイガース)が過去にメジャーリーグで先発したのは1試合だけ。2017年8月10日のブリュワーズ戦、エンスは当時ツインズに所属しており、一塁には名打者ジョー・マウアー、相手打線にはライアン・ブラウンやドミンゴ・サンタナがいた。この試合、メジャー初安打を記録したエンスだったが、本業のピッチングでは三回途中5安打2失点(自責点1)で勝敗つかずに終わった。
エンスは当時のことを振り返り、「打撃練習とか、いろいろやらないといけなかったんだ。直前にヤンキースからトレードされたばかりだったから、チームのこともよくわからなかったし、少し変わった感じだったことを覚えている」と語った。
また、エンスがメジャーリーグで最後の白星を手にしたのは、2021年9月16日にトロピカーナ・フィールドで行われた試合。当時レイズに所属していたエンスは、ジェイマー・キャンデラリオ、エリック・ハース、ダスティン・ガーノーから三振を奪うなど、四回3安打1失点の好リリーフを見せ、タイガース先発のタイラー・アレクサンダーに投げ勝った。
エンスは2021年シーズンを最後にメジャーリーグの舞台から姿を消し、2022~23年は日本プロ野球の埼玉西武ライオンズ、2024年は韓国プロ野球のLGツインズでプレーした。そして、昨年12月にタイガースとマイナー契約を結び、米球界へ復帰。前回のメジャー登板から1371日が経過していたが、アスレチックス戦の先発に起用されると、五回1安打無失点の好投を見せ、チームの勝利に貢献した。
前回の先発登板から2877日が経過しているが、これは「先発間の日数」として今世紀で最も長い記録の一つである。ちなみに、オリオールズのクローザーとして活躍したジム・ジョンソンが2006年7月29日に先発したあと、2018年9月11日に再び先発のマウンドに立ち、この間の日数は4427日だった。「誰が数えているんだろうね」とエンスは笑った。
海外のリーグでプレーしていたときも、エンスにとってはメジャー復帰が常に目標だったという。たとえどれだけ時間がかかっても、どれだけ遠い場所でプレーしていても、エンスはメジャーの舞台に戻りたいと思っていた。今春のスプリング・トレーニングでタイガースの投手陣から様々なことを学んだのと同じように、エンスは海外でも多くのことを学んだ。
マウンドに上がると、地元のイリノイ州フランクフォートから車で駆け付けた数十人の友人や家族、大学時代のチームメイトたちがお祭り騒ぎになるなか、エンスは普段通りのルーティーンで感情を抑えようとした。
弟のダニエルは地元メディアの取材に対して「とても興奮しています。でも、僕たちはここに来ることをずっと待っていたけれど、兄にとってはただの一日に過ぎません。今季が始まってからずっと、(マイナーAAA級の)トレドで頑張っていましたから」とコメントしている。
タイガースはリース・オルソンの戦列復帰が迫るなか、谷間の先発要員としてエンスを昇格させた。エンスは今季マイナーAAA級で14試合に先発し、防御率2.89、奪三振率10.25、与四球率2.17と安定したピッチングを披露。速球系(4シームやシンカー)とチェンジアップのコンビネーションに加え、カーブも巧みに操り、若手が並ぶアスレチックス打線を相手に見事なピッチングを見せた。アスレチックスのスタメン9人のうち、エンスがデビューした2017年に現役メジャーだったのは4人だけ。タイガースの守備陣にも、エンスが最後にメジャーでプレーした2021年にまだ現役メジャーではなかった選手が4人含まれていた。
エンスとバッテリーを組んだジェイク・ロジャースは「試合前、彼に『最初から球種を上手くミックスできれば、本当にいい一日になる』と言ったんだ。そして、彼はすべての球種でゾーン内を攻め、僕にリードの主導権を与えてくれた。内角、外角、高め、低め、ストライクゾーンを上手く使いながら、相手打者のバランスを崩していた。すべての球種でストライクを取ることができるから、捕手としても楽だったよ」とエンスのピッチングを称えた。
チェンジアップはタイガース入団後に改良を加えたものであり、「キックチェンジ」とも呼ばれる。従来のチェンジアップの回転と、スプリッターの動きを組み合わせた球種だ。マイナーAAA級では「キックチェンジ」で空振り率40%を記録しており、今日の試合でも14回のスイングに対して5回の空振りを奪った。このほか、4シームで7回、シンカーでも1回空振りを奪っている。
「スプリング・トレーニングの早い段階で『これを試してみて』と言われたんだ。(ピッチング・ディレクターの)ゲーブ・リバスがこれを提案してきて、僕は取り組みを始めた。すぐにこの球種のことが気に入ったし、自信をもって投げられるようになった。本当に助かっているよ」とエンスは「キックチェンジ」を取り入れた効果を語っている。
三回先頭のマックス・シューマンが放った内野安打が唯一の被安打。このあと、デンゼル・クラークに四球を与え、ピンチを招いたエンスだったが、ジェイコブ・ウィルソンをライトフライ、ブレント・ルーカーをサードゴロ併殺打に仕留め、ピンチを切り抜けた。外野まで飛ばされたのはウィルソンのライトフライ2本だけ。それ以外はすべての打球を内野にとどめ、平均打球速度は81マイルに過ぎなかった。
タイガースのA・J・ヒンチ監督は「素晴らしかった。彼にとって良い結果だっただけでなく、チームにとっても、組織にとっても良かった。多くの人々の貢献による結果だが、そのなかでもディートリックは冷静さを保ち、興奮を抑え、本当に必要なときに素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた」とエンスの好投を絶賛した。
今回の好投により、エンスはメジャーに残る可能性が出てきた。予定通りにオルソンが復帰した場合、エンスはロングリリーフ要員としてブルペンに回ることになるだろう。
エンスは「タイガースと契約したとき、こういう可能性があることを想像していた。それが実現して本当に嬉しい」と4年ぶりのメジャー復帰を喜んだ。
2025.6.27 08:53 Friday