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ブルワーズが3選手のオプションを破棄 コントレラスは年俸調停へ
4日(日本時間5日)、ブルワーズは一塁手リース・ホスキンスと左腕ホセ・キンタナの契約オプションを破棄し、両選手がフリーエージェント(FA)になることを発表した。正捕手ウィリアム・コントレラスの契約オプションも破棄したが、コントレラスに関しては、まだFA前の保有期間が残っており、ブルワーズはオールスター捕手をキープする方針だ。
コントレラスのオプション破棄は、ブルワーズにとってビジネス上の動きだ。ミットを持つ左手中指の骨折を抱えながらも捕手として128試合に出場した27歳のコントレラスのタフネスと耐久性は高評価に値する。しかし、ブルワーズとコントレラスは今年1月に年俸調停を回避し、年俸600万ドル(約9億円)+球団オプション1年で契約合意。オプションが行使されれば、コントレラスの来季の年俸は1200万ドル(約18億円)となるはずだったが、この契約が結ばれた時点で、球団と選手の双方がオプション破棄の可能性があることを認識していた。
ブルワーズがオプションを行使すれば、コントレラスとの年俸調停を回避することができた。しかし、ブルワーズは年俸調停のプロセスの中でコントレラスの年俸が1200万ドル未満になることに賭け、オプションを破棄するという選択をしたのだ。今季のコントレラスは打率.260、17本塁打、76打点、出塁率.355、長打率.399を記録し、オールスターゲームでスタメン出場を果たしたものの、指の痛みを抱えていた影響もあり、前年より成績が悪化。ブルワーズとしては、もし年俸調停が行われたとしても、コントレラスの来季の年俸が1200万ドル以上になることはないと判断したのだろう。
ブルワーズは昨年、守護神デビン・ウィリアムスに関して同様の決断を迫られた。ブルワーズは年俸1050万ドル(約15億7500万円)のオプションを破棄し、ウィリアムスをトレードでヤンキースへ放出。その後、ヤンキースはウィリアムスとの年俸調停を回避し、1年860万ドル(約12億9000万円)で契約を結んだ。
ただし、ウィリアムスとコントレラスには明確な違いが2点ある。1つ目は、ウィリアムスが背中のケガで2024年シーズンの最初の3カ月を欠場し、シーズンの約半分しかプレーできなかったこと。2つ目は、ウィリアムスがFA前のラストイヤーを迎えていたこと。クリスマスイブに28歳の誕生日を迎えるコントレラスは、FAまでの保有期間があと2年残っている。
コントレラスのケースと比較すると、ブルワーズが下したほかの決断は、はるかに単純なものだった。
ホスキンスの契約には2026年シーズンの年俸1800万ドル(約27億円)の相互オプションが含まれていた。ブルワーズはこれを破棄し、バイアウト(契約解除金)として400万ドル(約6億円)を支払う。ホスキンスはブルワーズでプレーした2年間で38本塁打を記録。これはジャクソン・チューリオ(42本)、コントレラス(40本)、クリスチャン・イェリッチ(40本)に次ぐチーム4位の数字だ。しかし、左手親指のケガで後半戦の大部分を欠場。ポストシーズンではロースターを外れていた。
キンタナの契約には2026年シーズンの年俸1500万ドル(約22億5000万円)の相互オプションが含まれていた。ホスキンス同様、ブルワーズはこれを破棄し、バイアウトとして200万ドル(約3億円)を支払う。キンタナは今季131回2/3を投げ、11勝7敗、防御率3.96を記録。左ふくらはぎのケガでレギュラーシーズンの最後の2週間を欠場したにもかかわらず、投球イニング数はフレディ・ペラルタ(176回2/3)、クイン・プリースター(157回1/3)に次ぐチーム3位だった。
4日(同5日)に行われた決断により、ブルワーズの契約オプション6つはすべて解決。年俸800万ドル(約12億円)のオプションが行使されたペラルタとコントレラスは来季もチームに残り、ホスキンス、キンタナ、ブランドン・ウッドラフ、ダニー・ジャンセンの4選手がFAとなる。
2025.11.5 09:44 Wednesday
先発右腕フラハティが選手オプションを行使 タイガース残留が決定
ジャック・フラハティの残留が決まった。
タイガースの右腕は、今年2月に結んだ契約に2026年の契約オプションが盛り込まれており、そのオプションを行使して残留することを決断。4日(日本時間5日)、球団が発表した。これにより、2年連続のポストシーズン進出を果たしたタイガースは、先発ローテーションにある程度の変化がもたらされるオフシーズンに向けて、多少の確実性を得ることになった。
このオプションは、フラハティが2月に結んだ2年契約の重要な部分を占めており、厳密に言えば「2026年の選手オプションが付属した1年契約」だった。このオプションは当初、年俸1000万ドル(約15億円)だったが、今季フラハティが「15試合以上に先発する」という条件をクリアしたことによって倍増し、フラハティの来季の年俸は2000万ドル(約30億円)となる。
来季の年俸が1000万ドルであれば、フラハティは迷わずオプションを破棄しただろう。しかし、倍増したことにより、今季8勝15敗、防御率4.64と苦しいシーズンを過ごしたフラハティは、決断を迫られることになった。今季のフラハティは、ほとんどの主要項目で前年を下回ったものの、FIP(守備の影響を除外して算出する疑似防御率)は3.85を記録しており、これは投球内容が見た目の数字よりも良かったことを示唆している。好調時には素晴らしい投球を見せており、7月27日にはリーグ王者のブルージェイズを相手に6回無失点、7三振の快投。8月18日のアストロズ戦でも7回無失点、9三振と好投した。しかし、8月24日のロイヤルズ戦での黒星を含め、8失点を喫した登板も2度あった。
フラハティは9月10日にヤンキースタジアムで5回無失点、7三振と好投し、チームに重要な勝利をもたらした。次の3登板はいずれもガーディアンズ戦となり、レギュラーシーズンを連敗で終えたあと、ワイルドカードシリーズ第3戦では4回2/3を1失点に抑える力投を見せた。マリナーズとの地区シリーズ第3戦で負け投手となったが、第5戦では中2日でリリーフ登板し、2イニングを無失点に抑えた。
フラハティがオプトアウト(契約破棄)した場合、タイガースは年俸2202万5000ドル(約34億円)のクオリファイングオファーを提示してフラハティを引き留めることもできた。クオリファイングオファーが提示された場合、返答期限は16日(同17日)。フラハティがクオリファイングオファーを拒否し、他球団と契約した場合、タイガースは来年のドラフトで補償指名権を獲得できたが、フラハティが残留を選択したことで、こうした仮定の話は不要になった。
フラハティは契約のゴタゴタを回避することを選び、タイガースも先発ローテーションに大きな穴が開く事態を免れた。リース・オルソンが右肩を痛めてシーズンを終え、ジャクソン・ジョーブはトミー・ジョン手術後のリハビリ中のため、来季のタイガースの先発ローテーションはタリック・スクーバル、フラハティ、ケーシー・マイズ、トロイ・メルトンが中心となる。ブルペンで好投したカイダー・モンテロを先発に戻すか、ホセ・ウルキディの契約オプションを行使すれば、先発の頭数は揃うものの、1年後にスクーバルとマイズがフリーエージェント(FA)になることに備え、先発陣の層を厚くするためにベテラン投手の補強に動く可能性もありそうだ。
2025.11.5 08:58 Wednesday
各賞ファイナリスト発表 大谷がMVP、山本がサイ・ヤング賞の最終候補に
3日(日本時間4日)、全米野球記者協会(BBWAA)の投票で決まる主要4賞のファイナリストが発表された。日本人選手では大谷翔平(ドジャース)がナ・リーグのMVP、山本由伸(ドジャース)がナ・リーグのサイ・ヤング賞で最終候補入りした。
各賞の投票はレギュラーシーズン終了時点で締め切られており、ポストシーズンの成績は選考対象に含まれない。また、今回発表されたファイナリストは投票結果の1~3位を発表したものであり、ファイナリスト3名を対象に改めて投票が行われるわけではない点にも留意が必要だ。
大谷はエンゼルス時代の2021年と2023年、ドジャース移籍1年目の2024年にMVPを受賞しており、今回受賞すれば3年連続4度目。もし4度目の受賞となれば、バリー・ボンズ(7度)に次ぐ歴代単独2位に浮上する。
各賞の投票結果は、新人王が10日(同11日)、最優秀監督賞が11日(同12日)、サイ・ヤング賞が12日(同13日)、そしてMVPが13日(同14日)に発表される予定だ。
各賞のファイナリストは以下の通り。
アメリカン・リーグ
MVP アーロン・ジャッジ(ヤンキース) カル・ローリー(マリナーズ) ホセ・ラミレス(ガーディアンズ)
サイ・ヤング賞 ハンター・ブラウン(アストロズ) ギャレット・クローシェ(レッドソックス) タリック・スクーバル(タイガース)
新人王 ロマン・アンソニー(レッドソックス) ニック・カーツ(アスレチックス) ジェイコブ・ウィルソン(アスレチックス)
最優秀監督賞 ジョン・シュナイダー(ブルージェイズ) スティーブン・ボート(ガーディアンズ) ダン・ウィルソン(マリナーズ)
ナショナル・リーグ
MVP 大谷翔平(ドジャース) カイル・シュワーバー(フィリーズ) フアン・ソト(メッツ)
サイ・ヤング賞 クリストファー・サンチェス(フィリーズ) ポール・スキーンズ(パイレーツ) 山本由伸(ドジャース)
新人王 ドレイク・ボールドウィン(ブレーブス) ケイレブ・ダービン(ブルワーズ) ケイド・ホートン(カブス)
最優秀監督賞 テリー・フランコーナ(レッズ) パット・マーフィー(ブルワーズ) ロブ・トムソン(フィリーズ)
2025.11.4 09:49 Tuesday
時代委員会の殿堂入り投票 ボンズ、クレメンスら8名が候補者に
3日(日本時間4日)、アメリカ野球殿堂は今年の時代委員会の殿堂入り投票の対象となる8名の候補者を発表。バリー・ボンズとロジャー・クレメンスの両レジェンドもノミネートされた。
今年の時代委員会の殿堂入り投票は「現代野球の選手」が対象となり、主に1980年以降に活躍した選手の中から選ばれている。候補者8名はボンズ、クレメンス、カルロス・デルガド、ジェフ・ケント、ドン・マティングリー、デール・マーフィー、ゲーリー・シェフィールド、フェルナンド・バレンズエラという顔ぶれだ。
時代委員会による投票で殿堂入りを果たすためには、16名で構成される委員会から75%以上の得票率を獲得することが必要(つまり12票以上)。委員会のメンバーは後日発表され、投票結果はアメリカ東部時間の12月7日午後7時半(=日本時間12月8日午前9時半)にMLBネットワークの番組内で発表される予定だ。
以下では、今回の投票対象となった8名の選手たちを簡単に紹介していく。
バリー・ボンズ(外野手)
MLB史上最高の野手との呼び声も高いボンズは、史上最多となる通算762本塁打を記録した。2001年の73本塁打はシーズン最多記録だ。通算2558四球も史上最多で、Baseball-Referenceが算出する総合指標WARも野手トップの162.8を記録。史上最多となる7度のMVPに輝き、2001~04年には4年連続で受賞した。その4年間では打率.349、出塁率.559、長打率.809という驚異的な成績をマーク。首位打者2度のほか、出塁率も10度、長打率も7度、リーグトップに立った。
キャリア通算ではオールスター選出14度、シルバースラッガー賞12度のほか、左翼手として高い守備力を発揮し、8度のゴールドグラブ賞を受賞。シーズン30盗塁以上を9度マークし、通算514盗塁を記録したほか、1996年には40本塁打&40盗塁も達成した。
ロジャー・クレメンス(先発投手)
「ロケット」の愛称で知られるクレメンスは、史上最多となる7度のサイ・ヤング賞を受賞。最初の受賞は1986年で、24歳のレッドソックスの若きエースとしてMVPも同時受賞した。最後のサイ・ヤング賞はアストロズ時代の2004年で、当時42歳。1999年と2000年にはヤンキースの一員としてワールドシリーズ制覇も経験した。
オールスター選出11度のほか、最優秀防御率のタイトルを7度獲得し、ブルージェイズ時代の1997年と1998年には投手三冠を達成。そして、忘れてはならないのが三振奪取能力の高さだ。最多奪三振のタイトルを5度獲得し、2度の1試合20奪三振を記録。24シーズンにわたる現役生活で史上3位となる通算4672奪三振をマークした。
ボンズとクレメンスはMLB史上トップクラスの選手だが、全米野球記者協会による殿堂入り投票では、現役時代の薬物使用疑惑が影響し、殿堂入りを果たすことができなかった。
カルロス・デルガド(一塁手)
デルガドは17年間のキャリアで通算473本塁打を放ち、ブルージェイズ時代に放った336本塁打は球団記録となっている。最初の12シーズンはブルージェイズで過ごし、2度のオールスター選出のほか、シルバースラッガー賞を3度受賞。2003年には42本塁打、メジャー最多の145打点という活躍を見せ、MVP投票2位となった。100打点以上を9度記録し、MVP投票では10位以内に4度ランクイン。メッツ時代の2006年にはロベルト・クレメンテ賞を受賞している。
ジェフ・ケント(二塁手)
ケントは間違いなく史上屈指の攻撃力を持つ二塁手であり、通算377本塁打は主に二塁手としてプレーした選手の中で最多。通算1518打点は同3位、長打率.500も同2位にランクインしている。キャリア序盤はメッツで活躍していたが、1997年にジャイアンツへ移籍してからブレイク。ジャイアンツで過ごした6年間は毎年100打点以上を記録し、打率.297、175本塁打、出塁率.368、長打率.535をマークした。
5度のオールスター選出のうち3度、シルバースラッガー賞4度のうち3度がジャイアンツ時代で、2000年にはMVPも受賞。ポストシーズンでも安定した活躍を見せ、通算49試合で9本塁打、OPS.840を記録した。
ドン・マティングリー(一塁手)
マティングリーは14年間のキャリアをヤンキース一筋で過ごし、1980年代を代表する打者の1人だった。1980年代の10年間では、オールスターに6度選出され、首位打者とMVPに各1度輝いたほか、リーグ最多安打を2度記録し、シルバースラッガー賞も3度受賞。キャリア後半はケガに悩まされたものの、通算打率.307を誇り、通算9度のゴールドグラブ賞を受賞した。
1995年限りで引退したあと、コーチに転身し、ドジャース(2011~15年)とマーリンズ(2016~22年)で合計12シーズンにわたって監督を務めた。ドジャース時代には5年間で3度の地区優勝を達成。マーリンズ時代の2020年には最優秀監督賞を受賞した。
デール・マーフィー(外野手)
Baseball-Referenceが算出する総合指標WARにおいて、1980年代の野手トップ13人のうち、唯一殿堂入りを果たしていないのがマーフィーだ。1980年代に記録したWARは47.1で、これは野手10位にランクインしている。1980年代に記録した2796塁打はメジャートップで、308本塁打は同2位。1982年と1983年にはそれぞれ36本塁打を放ち、2年連続でMVPに輝いた。
18年間の現役生活の大部分をブレーブスで過ごし、オールスター選出7度、ゴールドグラブ賞5度、シルバースラッガー賞4度。さらに、1988年にはロベルト・クレメンテ賞を受賞した。
ゲーリー・シェフィールド(外野手)
球界屈指の強打者として活躍したシェフィールドは、22年間のキャリアで通算509本塁打、1676打点を記録。30本塁打&100打点を8度マークし、シーズン300塁打も6度達成した。パドレス時代の1992年にはメジャートップの323塁打を記録。この年は首位打者のタイトルも獲得した。
マーリンズ時代の1997年にはポストシーズンで打率.320、OPS1.061の活躍を見せ、ワールドシリーズ制覇に大きく貢献。1999~2005年はドジャース、ブレーブス、ヤンキースでプレーし、7年間で打率.307、247本塁打、出塁率.408、長打率.558をマークした。
フェルナンド・バレンズエラ(先発投手)
バレンズエラは1980年に19歳でメジャーデビューを果たし、翌1981年に大旋風を巻き起こした。メキシコ出身の左腕は、新人王とサイ・ヤング賞を同時受賞し、各地に「フェルナンドマニア」と呼ばれる熱狂的なファンが誕生。この年、25度の先発登板で11度の完投を記録し、うち8度は完封勝利だった。また、1981年と1988年にはドジャースの一員としてワールドシリーズ制覇も経験している。
メジャーで17年間プレーし、1981~90年にはドジャースで平均233回1/3を投げて防御率3.34を記録。オールスター選出6度のほか、サイ・ヤング賞投票ではトップ5に4度ランクインし、シルバースラッガー賞を2度、ゴールドグラブ賞も1度受賞した。
2025.11.4 09:23 Tuesday
激戦の2025年ワールドシリーズで生まれた様々な記録を振り返る
なんという試合。なんというワールドシリーズ。なんというシーズン。
ワールドシリーズ第7戦は、ポストシーズンも含めて2025年の2477試合目。これは過去最多より5試合多く、史上最多試合数を更新した。そして、2025年シーズンの最終戦は「伝説」の試合となった。
ドジャースが21世紀初&球団史上初のワールドシリーズ連覇を達成した最終戦は、延長11回までもつれる熱戦に。ワールドシリーズ最終戦が少なくとも11イニング以上の試合となったのは、1924年(12イニング)と1997年に続いて史上3度目だった。
両チームの合計投球回は146イニングに及び、これは1912年のワールドシリーズ(147回2/3)に次ぐ2番目の数字。ただし、この年は引き分けが1試合あったため、ワールドシリーズは8試合行われた。
ここではドジャースが最終的に5-4で勝利した一戦にまつわる、11個の「記録」と「事実」を紹介していく。
山本由伸とミゲル・ロハスが作った伝説
【1】第6戦で6イニングを投げた翌日、山本は第7戦を締めくくり、ポストシーズンの「伝説」にその名を刻んだ。MLBの公式記録を扱うエライアス・スポーツ・ビューロー社によると、ポストシーズンで6イニングを投げた翌日に登板した投手は山本が9人目。ただし、過去70年間では1988年NLCSのオーレル・ハーシュハイザー(第3~4戦)と2001年ワールドシリーズのランディ・ジョンソン(第6~7戦)だけ。山本は連投した2試合目に2回2/3を投げ、これは9人の中で最多イニングとなった。
【2】山本は2001年のジョンソン以来となるワールドシリーズ3勝を達成。ただし、山本は敵地で3勝を挙げており、これはワールドシリーズ史上初の快挙となった。
【3】ワールドシリーズ第6戦と第7戦で勝利投手になったのは、1925年のレイ・クレーマー、1946年のハリー・ブレキーン、2001年のジョンソンに続いて山本が4人目。第6戦と第7戦がともに敵地だったのは山本が史上初だ。
【4】山本が第7戦でこれほど多くのイニングを投げることになったのは、ロハスの活躍(九回に起死回生の同点本塁打)があったからこそだ。ワールドシリーズ最終戦の九回以降に同点・勝ち越し・逆転の本塁打を放ったのは史上2人目。1960年にビル・マゼロスキーがサヨナラ本塁打を放って以来の快挙だった。
ウィル・スミスにまつわる記録
【5】ロハスの一発で試合は延長戦に突入し、新たなヒーローが生まれた。延長11回にスミスが勝ち越し本塁打を放ったのだ。ワールドシリーズ最終戦の延長イニングで本塁打が飛び出したのは史上初めてだった。
【6】スミスはワールドシリーズで捕手として全試合フル出場した。7試合合計で73イニングとなり、これはワールドシリーズ史上最多。エライアス・スポーツ・ビューロー社によると、従来の最多記録は1903年の第1回ワールドシリーズでボストン・アメリカンズ(現レッドソックス)のルー・クライガーが記録した71イニングだった。ただし、当時のワールドシリーズは5勝先取の最大9試合制で、クライガーの71イニングは8試合での記録である。7試合制のワールドシリーズにおける最多記録は、1924年にマディ・ルールが記録した67イニングだった。
【7】スミスは2020年、2024年に続いて自身3度目となるワールドシリーズ制覇を果たした。これにより非常に風変わりな記録が継続され、「ウィル・スミス」という名前の選手がワールドシリーズ制覇を成し遂げるのは6年連続に。2021~23年はリリーフ左腕のウィル・スミスがワールドシリーズ優勝チームに所属していた。
ワールドシリーズの歴史に残る逆転劇
【8】2024年と同様に、ドジャースは逆転勝利でワールドシリーズ優勝を決めた。ワールドシリーズ優勝決定試合で3点差以上の逆転勝利を収めたのは今年のドジャースが10チーム目で、最大の逆転劇は2024年ドジャースの5点差逆転(第5戦)。3点差逆転は3位タイの記録となった。ドジャースが昨年、5点差逆転勝利でワールドシリーズ優勝を決めるまで、ワールドシリーズ優勝決定試合で3点差以上を逆転したのは1986年メッツが最後だったが、ドジャースは2年連続で3点差以上を逆転してワールドシリーズ優勝を決めた。
【9】昨年の5点差逆転は第5戦だったが、今年の3点差逆転は第7戦だ。エライアス・スポーツ・ビューロー社によると、4勝先取制のシリーズの最終戦での3点差逆転は史上3位タイ。1925年ワールドシリーズでパイレーツ、2003年ALCSでヤンキースが4点差逆転を成し遂げている。3点差逆転はほかに3度あり、いずれもワールドシリーズで1960年パイレーツ、1975年レッズ、1986年メッツが達成した。
【10】ドジャースは九回が始まった時点で1点のビハインドを背負っていた。「勝てば世界一、負ければ敗退」のワールドシリーズ最終戦において、ビハインドで九回を迎えたチームは通算3勝33敗。今年のドジャースのほかに、1997年マーリンズと2001年ダイヤモンドバックスしか勝利していない。この3チームのうち、敵地で勝利したのは今年のドジャースだけだ。
【11】敵地での勝利に関連した記録としては、敵地で行われたワールドシリーズ第6戦と第7戦に勝利したのは、今年のドジャースが史上9チーム目。1926年カージナルス、1934年カージナルス、1952年ヤンキース、1958年ヤンキース、1968年タイガース、1979年パイレーツ、2016年カブス、2019年ナショナルズに続く快挙となった。
2025.11.3 12:50 Monday
ゴールドグラブ賞の受賞者が決定 クワンはデビューから4年連続の受賞
ワールドシリーズが終了し、アワード受賞者の発表も本格化していく。ワールドシリーズ終了の翌日、2日(日本時間3日)にはゴールドグラブ賞の受賞者が発表された。
ゴールドグラブ賞は1957年に設立され、各リーグの各ポジションで最も優れた守備を見せた選手を表彰する。伝統的な9ポジションに加え、2022年からはユーティリティ(UT)部門の表彰もスタート。事前に各ポジションのファイナリスト3名が選出され、その中から受賞者が決定する。
受賞者はMLB各球団の監督・コーチの投票を75%、セイバーメトリクスの守備指標を25%の割合で合算して決定。監督・コーチは自軍の所属リーグの選手のみ投票可能で、自軍の選手には投票できない。
アメリカン・リーグはロイヤルズの三遊間コンビ、マイケル・ガルシアとボビー・ウィットJr.が受賞。同一球団の三遊間コンビが選出されるのは史上18度目、2013年オリオールズのマニー・マチャドとJ・J・ハーディ以来となった。
また、ガーディアンズのスティーブン・クワンはメジャー1年目から4年連続4度目の受賞。メジャー記録はイチロー氏とノーラン・アレナド(カージナルス)の10年連続で、この記録にどこまで迫れるか注目される。
ナショナル・リーグはジャイアンツのバッテリー、ローガン・ウェブとパトリック・ベイリーが受賞。同一球団のバッテリーが選出されるのは史上8度目、2013年カージナルスのアダム・ウェインライトとヤディアー・モリーナ以来となった。
遊撃手部門はわずか3失策、OAA(Outs Above Average=平均よりどれだけ多くアウトを奪ったかを表す守備指標)+21という素晴らしい守備を見せたカージナルスのメイソン・ウィンが初受賞。ドジャースのムーキー・ベッツはファイナリスト入りしたものの、惜しくも受賞を逃した。
今季の受賞者は以下の通り。8人が初受賞となった。
アメリカン・リーグ 投手:マックス・フリード(ヤンキース)3年ぶり4度目 捕手:ディロン・ディングラー(タイガース)初受賞 一塁手:タイ・フランス(ツインズ/ブルージェイズ)初受賞 二塁手:マーカス・セミエン(レンジャーズ)4年ぶり2度目 三塁手:マイケル・ガルシア(ロイヤルズ)初受賞 遊撃手:ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)2年連続2度目 左翼手:スティーブン・クワン(ガーディアンズ)4年連続4度目 中堅手:セダン・ラファエラ(レッドソックス)初受賞 右翼手:ウィルヤー・アブレイユ(レッドソックス)2年連続2度目 UT:マウリシオ・デュボン(アストロズ)2年ぶり2度目
ナショナル・リーグ 投手:ローガン・ウェブ(ジャイアンツ)初受賞 捕手:パトリック・ベイリー(ジャイアンツ)2年連続2度目 一塁手:マット・オルソン(ブレーブス)6年ぶり3度目 二塁手:ニコ・ホーナー(カブス)2年ぶり2度目 三塁手:キブライアン・ヘイズ(パイレーツ/レッズ)2年ぶり2度目 遊撃手:メイソン・ウィン(カージナルス)初受賞 左翼手:イアン・ハップ(カブス)4年連続4度目 中堅手:ピート・クロウ=アームストロング(カブス)初受賞 右翼手:フェルナンド・タティスJr.(パドレス)2年ぶり2度目 UT:ハビアー・サノーハ(マーリンズ)初受賞
なお、マイナーリーグのゴールドグラブ賞も発表され、以下の選手たちが受賞した。
投手:ロビー・スネリング(マーリンズ) 捕手:レオナルド・バーナル(カージナルス) 一塁手:トレイ・モーガン(レイズ) 二塁手:カイル・デバージ(ツインズ) 三塁手:ペドロ・ラミレス(カブス) 遊撃手:コナー・グリフィン(パイレーツ) 外野手:ルイス・ララ(ブルワーズ) 外野手:ドリュー・ジョーンズ(ダイヤモンドバックス) 外野手:ホーマー・ブッシュJr.(レイズ)
2025.11.3 11:40 Monday
キケ、ロハスら137選手がFAに WS終了翌日、MLB選手会が発表
激戦のワールドシリーズが終了し、MLBはオフシーズンに突入。2日(日本時間3日)、MLB選手会はフリーエージェント(FA)となった137選手のリストを公開した。
21世紀初&球団史上初のワールドシリーズ連覇を成し遂げたドジャースからは、キケ・ヘルナンデス、ミゲル・ロハス、引退するクレイトン・カーショウら7選手がFAに。惜しくも32年ぶり3度目のワールドシリーズ制覇を逃したブルージェイズからは、ボー・ビシェット、マックス・シャーザーら6選手がFAとなった。
最多はレンジャーズの12人。ツインズとカージナルスは1人だけで、マーリンズはFAとなった選手が1人もいなかった。また、日本人選手ではオリオールズの菅野智之が今回のリストに含まれている。
なお、契約オプションの破棄、オプトアウト権の行使などにより、今後さらにFA選手が増える可能性がある。
2日(同3日)時点でMLB選手会が発表したFA選手137人は以下の通り。
オリオールズ(3人) ザック・エフリン ゲーリー・サンチェス 菅野智之
レッドソックス(4人) スティーブン・マッツ ダスティン・メイ ロブ・レフスナイダー ジャスティン・ウィルソン
ヤンキース(8人) ポール・ブラックバーン ポール・ゴールドシュミット トレント・グリシャム アメッド・ロサリオ オースティン・スレイター ルーク・ウィーバー デビン・ウィリアムス ライアン・ヤーブロー
レイズ(2人) エイドリアン・ハウザー ココ・モンテス
ブルージェイズ(6人) クリス・バシット ボー・ビシェット セランソニー・ドミンゲス タイ・フランス アイザイア・カイナー=ファレファ マックス・シャーザー
ホワイトソックス(3人) タイラー・アレクサンダー ミゲル・カストロ マイケル・A・テイラー
ガーディアンズ(2人) ジェイコブ・ジュニス レーン・トーマス
タイガース(6人) アレックス・カッブ カイル・フィネガン トミー・ケインリー ラファエル・モンテロ クリス・パダック グレイバー・トーレス
ロイヤルズ(4人) アダム・フレイジャー ハンター・ハービー ルーク・メイリー マイク・ヤストレムスキー
ツインズ(1人) クリスチャン・バスケス
アスレチックス(3人) ホセ・レクラーク スコット・マクガフ ショーン・ニューカム
アストロズ(4人) ビクター・カラティニ クレイグ・キンブレル ブレンダン・ロジャース フランバー・バルデス
エンゼルス(10人) タイラー・アンダーソン アンドリュー・チェイフィン ルイス・ガルシア カイル・ヘンドリックス ケンリー・ジャンセン ヨアン・モンカダ ルイス・レンヒーフォ ハンター・ストリックランド クリス・テイラー ホセ・ウレーニャ
マリナーズ(4人) ケイレブ・ファーガソン ルーク・ジャクソン ジョシュ・ネイラー エウヘニオ・スアレス
レンジャーズ(12人) ショーン・アームストロング パトリック・コービン ダニー・クーロム ジョン・グレイ メリル・ケリー タイラー・マーリー クリス・マーティン フィル・メイトン ホビー・ミルナー ディラン・ムーア ドノバン・ソラーノ ラウディ・テレズ
ブレーブス(4人) ライセル・イグレシアス チャーリー・モートン マーセル・オズナ コナー・シーボルド
マーリンズ(0人)
メッツ(8人) グリフィン・キャニング ライアン・ヘルズリー スターリング・マルテ セドリック・マリンズ タイラー・ロジャース グレゴリー・ソト ライン・スタネック ジェシー・ウィンカー
フィリーズ(9人) ウォーカー・ビューラー マックス・ケプラー ティム・メイザ J・T・リアルミュート デービッド・ロバートソン ジョーダン・ロマノ カイル・シュワーバー レンジャー・スアレス ルー・トリビーノ
ナショナルズ(3人) ジョシュ・ベル ポール・デヨング デレック・ロー
カブス(10人) ライアン・ブレイジャー ウィリー・カストロ アーロン・シバーリ ブラッド・ケラー ドリュー・ポメランツ テイラー・ロジャース カルロス・サンタナ マイケル・ソロカ ケイレブ・シールバー カイル・タッカー
レッズ(5人) ミゲル・アンドゥハー ザック・リテル ニック・マルティネス ウェイド・マイリー エミリオ・パガン
ブルワーズ(2人) シェルビー・ミラー ジョーダン・モンゴメリー
パイレーツ(2人) アンドリュー・マカッチェン トミー・ファム
カージナルス(1人) マイルズ・マイコラス
ダイヤモンドバックス(3人) ジャレン・ビークス ザック・ギャレン ジェームス・マッキャン
ロッキーズ(2人) オーランド・アルシア ヘルマン・マルケス
ドジャース(7人) マイケル・コンフォート アンドリュー・ヒーニー キケ・ヘルナンデス クレイトン・カーショウ マイケル・コペック ミゲル・ロハス カービー・イェーツ
パドレス(6人) ルイス・アライズ ディラン・シース ネスター・コルテス ホセ・イグレシアス マーティン・マルドナード ライアン・オハーン
ジャイアンツ(3人) ウィルマー・フローレス ドミニク・スミス ジャスティン・バーランダー
2025.11.3 08:46 Monday









