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マリナーズがALCS第1戦に勝利 悲願のWS進出へ気負いはなし
【ブルージェイズ1-3マリナーズ】トロント/ロジャースセンター、10月12日(日本時間13日)
タイガースとの地区シリーズ(ALDS)第5戦で延長15回の死闘を戦ってからわずか2日、マリナーズはまたしても終盤に粘りを見せた。カル・ローリーの同点弾とホルへ・ポランコの2本のタイムリーで起こした逆転劇、そして先発ブライス・ミラーの好投によって、マリナーズはア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)の第1戦に理想的な勝利を挙げ、激戦のALDSと国をまたぐ長時間のフライトの疲れを癒した。
「皆んなリラックスして、ただ一緒に楽しんでいた。きょうは手一杯だったのは分かっていた。プレーオフの野球はそういうものだ」、と主砲のローリー。疲労が溜まる中、値千金の勝利を挙げた。
2022年のワイルドカードシリーズで鮮やかな逆転勝利を挙げたのと同じ球場で、再びブルージェイズを破り、マリナーズの史上初のワールドシリーズ進出はより現実的になった。
大一番で今季最高の投球を見せたミラーは、「最高の気分だ。今年は個人的には思ったようにいかなかったし、期待していたとおりにもいかなかったけど、ALCSに出られた。先発してチームの雰囲気をもってくることができた。これ以上望むことはない」と手応えを語った。
当初、ダン・ウィルソン監督はミラーに4回を投げ抜いてほしいと述べていた。「これまでのキャリアで最大の先発」と意気込みを語っていたミラーはこのプランを知らされていなかったが、期待を上回るパフォーマンスを発揮した。
初回、1番スプリンガーに先頭打者本塁打を浴び、さらに2番ルークスには12球粘られ、27球を要した。しかし、そこから立ち直り、ブルージェイズ先発のエース右腕・ゴーズマンとわたり合う投手戦を繰り広げた。
27歳右腕の踏ん張りに打線が応えた。六回、ついにゴーズマンをとらえ、ローリーが同点弾。 「硬くなって、あまり力が入らなかった。とにかくバットに当てて、インプレーにしようと思っていた。良いところに当たったね。ゴーズマンは本当に難しいピッチャーなんだ」と、追い込まれてから決め球のスプリットに食らいついた。
打たれたゴーズマンは両手を頭に当てて、悲鳴を上げた。「本当に1球で仕留められた。ローリーは本当に良い打者。前の打席ではスプリットで打ち取っていた。あの場面は、良いボール過ぎたのだと思う。ワンバウンドになるような球を投げようとしていたから」と、絶対的な自信を持つ決め球のコントロールミスを嘆いた。
ローリーが同点弾の後、マリナーズはポランコのタイムリーで勝ち越し。さらにポランコは八回にもタイムリーを放って貴重な追加点をもたらした。ALDS第5戦ではサヨナラヒットで勝負を決めたポランコは「とにかくシンプルにしたい。今は大げさに考えすぎないようにしたい」と、チャンスで結果を残す心構えについて語った。
打線が鮮やかな逆転劇を演じ、投手陣は完ぺきな継投リレーで強力ブルージェイズ打線を抑え込んだ。ミラーが初めて6回1失点(76球)でブルペン陣にバトンをわたすと、スパイアー、ブラッシュ、ムニョスのトリオは合計わずか24球で無失点リレー。わずか100球で、ここまでのプレーオフで1試合平均8.5得点を挙げてきたブルージェイズ打線を料理した。
「ミラーは自分が何者かを知っている。本当にリラックスして、自信を持っているときに最高のパフォーマンスを発揮するんだ」と、第2戦の先発ローガン・ギルバートはミラーを称賛。
ウィルソン監督も「第1戦を制したのは、われわれにとって流れを変える大きな出来事だ。ブライス・ミラーの投球は驚異的だった。短い登板間隔(中3日)で登板し、初回に先制され、ルークス(2番打者)に粘られた。それ以降、ギアを上げ、球種を全て駆使して、打者を上回った。特に直球は素晴らしかった」と、賛辞を惜しまなかった。
史上初のワールドシリーズ進出という大きな期待を背負っているが、気負いはない。「この時期はどの投球も重要だと分かっている。プレーオフでは、ここだけでなく、他のどの試合でも、皆んな少しだけ特別なエネルギーを蓄えていると思う。それだけ試合が楽しくなるんだ」と、ローリーは語る。歴史を変えるリーグ優勝まで、あと3勝に迫った。
2025.10.13 14:58 Monday
マリナーズがALCS第1戦に逆転勝利 先発ミラーが6回1失点と好投
【ブルージェイズ1-3マリナーズ】トロント/ロジャースセンター、10月12日(日本時間13日)
第1シード・ブルージェイズと第2シード・マリナーズによるア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS=7回戦制)が開幕。第1戦は先発ブライス・ミラーの好投に助けられ、マリナーズが逆転勝利を挙げた。
初回、ブルージェイズは1番ジョージ・スプリンガーの先頭打者本塁打で先制。スプリンガーはポストシーズン通算21本目のアーチでデレク・ジーターを抜き、ポストシーズン通算本塁打ランキングで歴代5位に躍り出た。
マリナーズ先発のミラーは先制弾を浴びた後も2四球でピンチを招いたが、後続を抑えて1失点にとどめた。二回以降は立ち直り、1安打1四球しか許さない好投。地区シリーズ(ALDS)第5戦で延長15回を戦い、疲弊した投手陣を救うパフォーマンスを見せた。
一方のブルージェイズ先発ケビン・ゴーズマンも五回までわずか2安打と好投。六回も2死までこぎ着けたが、カル・ローリーに決め球スプリットをとらえられ、同点弾を浴びた。
ローリーの同点弾でマリナーズは勢いづき、続くフリオ・ロドリゲスが四球を選び、ここでゴーズマンを降板させる。暴投で2死二塁のチャンスを作ると、続くホルヘ・ポランコが2番手リトルからタイムリーを放って勝ち越しに成功した。
2-1とリードしたマリナーズは、六回までミラーが投げ抜き、継投に以降。ALDSでも4登板をこなしたゲーブ・スパイアー、マット・ブラッシュ、アンドレス・ムニョスが無失点リレーでつなぎ、ブルージェイズを振り切った。
3年目の27歳ミラーの好投が光った。マリナーズはタイガースとのALDS第5戦で延長15回を戦い、ALCS第1戦の先発候補だったローガン・ギルバートとルイス・カスティーヨの両右腕もリリーフとして登板した。ブルペン陣も疲弊する中、レギュラーシーズンでは5番手のミラーがALDS第4戦から中3日で先発を任された。
中3日での先発はレギュラーシーズンを通してキャリア初めてだったが、ミラーは疲労を感じさせるどころか、この大一番でギアを上げた。直球の平均球速はレギュラーシーズンの平均より1.4マイル速い96.2マイル(約154.8キロ)で、今季最速をマーク。地区シリーズで出場チーム中ダントツの攻撃力(チームOPS.974)を記録したブルージェイズ打線を沈黙させた。
打ってはALDS第5戦でサヨナラヒットを放ったポランコが再び勝負強い活躍。六回の決勝点を生むタイムリーに加え、八回にもタイムリーで貴重な追加点をもたらした。
ブルージェイズのエース右腕・ゴーズマンと5番手ミラーの不利なマッチアップを制し、マリナーズは第1戦に勝利。
2025.10.13 11:55 Monday
剛速球を封印 裏をかく配球で怪物ミジオロウスキーが好投
【ブルワーズ3-1カブス】ミルウォーキー/アメリカンファミリーフィールド、10月11日(日本時間12日)
ジェイコブ・ミジオロウスキーは100マイルを超える剛速球でルーキーながら大注目を浴びた。カブスとの地区シリーズ(NLDS)第2戦でも、その剛速球を武器に好投。チームに勝利をもたらした。
しかし、「勝てばシリーズ突破、負ければシーズン終了」のNLDs第5戦では、ミジオロウスキーは変化球主体の投球でカブス打線を手玉に取った。レギュラーシーズンを通しても最も多く変化球を投じ、4回1失点。投手戦を制してナ・リーグ優勝決定シリーズ進出を決めたチームの原動力となった。
ブルワーズは第5戦にブルペンデーで挑み、先発にはなんと守護神のトレバー・メギルを送り込んだ。初回を無失点に抑えたメギルの後を受けたのが、ミジオロウスキーだった。ミジオロウスキーは2回に鈴木誠也(31)に101.4マイル(約163.1キロ)の直球を弾き返され、同点弾を被弾。しかし、その後は変化球主体に切り替えた。
代名詞の剛速球は17球に制限した一方で、スライダーは23球、カーブは14球を投げ込んだ。レギュラーシーズンでは46.2%の割合で直球に頼ったが、この試合ではわずか31.5%。ただ、直球を封印したわけではなく、この日奪った9度の空振りのうち5度、3三振のうち2三振を直球で奪った。17球のうち、10球が100マイルを超えるなど球速も健在。カブス打線の裏をかく配球が見事にハマった。
2025.10.12 12:41 Sunday
カナダを背負うブルージェイズ 愛と責任を実感
ブルージェイズの選手やコーチ陣が何度も聞かれる質問がある。その質問はスプリングトレーニングでも、開幕戦でも、赤いユニフォームを身にまとう毎年7月1日のカナダデーでも聞かれる。遠征先の都市の記者からも何度も聞かれる、他の29チームには分からない質問。 「一つの都市を代表しているだけではなく、国全体を代表しているというのはどのような気持ちですか?」
長年にわたり、一部の選手たちは抜け目のない政治家のように、その戦略を駆使する術を学んできた。ブルージェイズは球界で唯一無二のチームだ。
ブルージェイズのユニフォームを着る選手は、すぐにその影響を実感する。しかし、数年間にわたってプレーする選手は、カナダを代表するという意味を深く理解していく。マリナーズとのア・リーグ優勝決定シリーズ(ALCS)でも、すぐにその影響は感じ取れるだろう。
「今なら分かるよ。国全体を一つのチームとして支えるということは、色々なことを伴う。プレッシャーも大きいが、もしかしたら直接試合を見ることさえないかもしれないファンからの愛情も大きい。それが、国全体を一つのチームとして支えるという、私たちの強みだ」 在籍4年目のエース、ケビン・ゴーズマンは語る。
そのプレッシャーに適切に対処できれば、責任のように感じられるだろう。ジョン・シュナイダー監督が知る限り、このプレッシャーを背負う監督は他にいない。「自分の決断には必ず世界の重みを感じるが、国のことを思うと、少し危うくなる時がある。例えば、六回表満塁でアーロン・ジャッジが打席に入っている時などは、ノバスコシアの人たちが殺しに来る気満々な気分になるよ。少し誇張されてしまうかもしれないが、それが私が身をもって体験してきたことだ。決して軽視できるものではない」 カナダ最大の州から来た素晴らしい人々に対するシュナイダーの懸念はさておき、これはMLBで最もユニークな組織でプレーする選手とコーチにとって正しい考え方だ。
しかし、その重い責任感こそ、トロントを特別なものにしている。球界もそれを急速に悟りつつある。ブルージェイズがカナダを本当に、本当に虜にしたとき、これほど素晴らしいことはない。地元放送局の統計によれば、ヤンキースとの地区シリーズ第4戦はカナダ国内で平均380万人の視聴者数を記録し、約4100万のカナダ国民のうち1150万人が地区シリーズを視聴した。
アメリカの他の市場ではありえないことだ。ブルージェイズは他の市場にはない強みがある。
「チームを1年を通して信じてくれない人もいるかもしれないが、僕たちは国全体が信じてくれているということをいつもみんなに言い聞かせている。ワールドシリーズをカナダに持ち帰れることを願っている」と、ブラディミール・ゲレーロJr.は語る。
トロントからシアトルまでは飛行機で5時間以上かかるが、ブルージェイズはカナダ西部にもファンが多い。長年「カナディアン・インベイジョン(カナダ人の侵攻)」と呼ばれてきた毎年恒例のT-モバイルパークへの遠征では、球場はブルージェイズファンで満員になる。
ブルージェイズファンは再びポストシーズンの勝利を目の当たりにしたいと願っている。シアトルからデトロイト、ミネアポリスといったカナダに近い都市、そして国境から車で行ける距離にある他の都市まで、ファンは多く駆けつけ、敵地をホームに変えてしまう。
「シアトルにはかなりの数のファンが来ると聞いていたけど、まさかあんなに来るとは思わなかった。信じられないよ。ブルージェイズがこのシリーズでホームゲームを7試合やるかもしれないって噂を耳にしていたから、それはすごいことだと思う」と、マイルズ・ストローは言う。
「僕たちはブルージェイズという組織のために、そしてこの国全体のためにプレーしているんだ。そう言えるチームは他にない。本当に、本当に特別なことだ」 地区シリーズ突破の立役者アーニー・クレメントも語った。
今週、選手たちはあと100回同じ質問をされるだろう。いつものように笑顔で答えるだろう。彼らはただワールドシリーズで優勝したいだけではない。カナダにタイトルを持ち帰りたいのだ。
2025.10.12 12:04 Sunday
猛打ブルージェイズの秘密 三振とパワーの多さを両立
ブルージェイズ打線の真骨頂は多くの投球をバットに当て、インプレーにすることだ。今季、ブルージェイズのチーム三振率はMLBでベスト(17.8%)。さらにポストシーズンでも三振率は最も低い(14.9%)だ。その打撃スタイルは成功しており、レギュラーシーズンでは総得点がMLB4位、そしてポストシーズンでも34得点は全チーム中最多。ブルージェイズ打線は素晴らしい攻撃力を持っている。
しかし、三振率が低いのは昨季のブルージェイズも同じだった。チーム三振率はMLBベスト5に入っていた。ただ、昨季のブルージェイズはただ三振が少ないだけだった。得点力には結びつかず、総得点は23位に低迷した。
コンタクト(ボールをバットに当てる)の重要性は、多少誇張されているとはいえ、確かに価値がある。ただ、ブルージェイズ打線がヤンキースとの地区シリーズ(ALDS)4試合で9本塁打を量産し、ポストシーズンのシリーズ史上3位の長打率.601をマークしたことも忘れてはならない。ただボールをバットに当てるだけではなく、価値のあるコンタクトが重要なのだ。
「より多くのコンタクトを生み出すこと」、そして「価値のあるコンタクトを生み出すこと」。その両立がブルージェイズの成功につながっている。
まずは「より多くのコンタクトを生み出すこと」に着目しよう。
ブルージェイズの地区シリーズでの三振率は、わずか15%だった。地区シリーズに出場したチームの中では最も優秀な数字であり、平均の23%を優に下回っている。とはいえ、三振率ワーストのドジャースもまた勝ち進んでいる。現代野球、そしてポストシーズンになれば、昨今では三振率が高いのは当たり前になっている(もちろん、投手の球速がポストシーズンでは上昇することも関係している)。
三振率が高くて当然の現代では、ブルージェイズが相対的にどれほど三振が少ないチームなのかが分かりづらい。ポストシーズン全体の三振率と比較した際の三振率は、1913年から数えて今季のブルージェイズが史上2番目に優秀だ。
ポストシーズン平均と比較したポストシーズンにおけるチーム三振率(100が平均、低いほうが優秀)
・63 // 2006 ツインズ ・66 // 2025 ブルージェイズ <<-- ・72 // 1976 フィリーズ ・73 // 1976 ヤンキース ・74 // 1980 アストロズ
ブルージェイズはまだ地区シリーズしか戦っていないため、まだサンプルは少ない(シリーズ平均との比較では歴代7位)。さらに歴代最高のツインズもスイープ(3連敗)でポストシーズンを敗退している。
レギュラーシーズン平均と比較したレギュラーシーズンにおけるチーム三振率(100が平均、低いほうが優秀)
・75 // 1986 レッドソックス ・77 // 1969 ブレーブス ・78 // 2024 パドレス ・78 // 2002 エンゼルス ・78 // 1982 クリーブランド ・79 // 2025 ブルージェイズ <<--
これらの数字を見れば、ブルージェイズが三振の多い現代の基準のみならず、歴史的に見ても三振が少ないチームだと分かる。しかし、いくらコンタクトが多くても、ポストシーズンを勝ち進めるわけではない。
・試合中に相手より多くの本塁打を放ったチームの勝率は.823 ・相手より三振が少ないチームの勝率は.640
これを両方兼ね備え、より多くの本塁打を放ち、より三振が少ないチームの勝率は.900にのぼる。
つまり、「三振の少なさ」そして「長打の多さ」を両立させれば、10回に9回勝てるほどには効果的だ。
「われわれはボールを前に飛ばし、インプレーにする。シーズン通してそれをやってきた。本塁打はこの時期に特にギアを上げている投手に対して、本当に良いアプローチをしてきたことの副産物だと思う」と語るのはジョン・シュナイダー監督だ。
監督が語る「本当に良いアプローチ」は、圧勝した地区シリーズだけでなく、これから控えるリーグ優勝決定シリーズやワールドシリーズでも発揮できるだろうか。
ブルージェイズ打線が地区シリーズで取ったアプローチ
第一にブルージェイズ打線はストライクを積極的に振っていた。非常に積極的に。ブルージェイズ打線はストライクゾーンに投じられたボールの71.1%にスイングしていた。この割合は地区シリーズに進出したチームの中では最多で、過去の地区シリーズに出場した全152チーム中でも6番目に高い数字だった。
しかし、ただストライクを積極的に振っただけでは、必ずしても得点に結びつくわけではない。レギュラーシーズン中でストライクゾーンの投球に対して最もスイングを仕掛けたのはMLB最低勝率のロッキーズで、最もスイングが少なかったのは最高勝率のブルワーズだった。
しかし、この積極打法はブルージェイズの選手たちがまさに心がけているものだ。
地区シリーズでも活躍したアーニー・クレメントは語る。 「僕たちは1打数無安打に終わるくらいなら、1ストライク0ボールになっても構わない。もし相手にやられたとしても、スイングを仕掛けて残りの打席を全力で戦う。でもこれは考え方の問題だ。ど真ん中に来た初球を振ってアウトになっても仕方ない。これが僕の考え方だ。ただ、外角に2球分外れたボールを振って内野ゴロに倒れたら、誰にとっても良いことにならない」
ブルージェイズ打線はボール球スイング率が悪かったため、アプローチについて過度に評価はできない。ポストシーズンではネイサン・ルークスだけボール球を4度も安打にしている。
しかし、ここにブルージェイズ打線のプランがある。コンタクト率は82%で、過去10年の地区シリーズでは歴代3位の高水準。一方で、四球率は今季の地区シリーズに進出した8チーム中、5%でワーストだった。
四球を捨ててでも積極的にスイングを仕掛けるブルージェイズの姿勢は、幸運を生み出している。本塁打と三振などを除いたインプレー打球の打率(BABIP)は、2021年以降の地区シリーズで最高の.347をマークした。さらにストライクゾーン外のボールを打って記録した16安打、打率.364は驚異的な水準だ(ブルージェイズはレギュラーシーズンでもボール球打率でMLBベストを記録したが、それでも打率は.189に過ぎなかった。いかにこの数字が並外れているか分かる)。
しかし、その幸運にも数字の裏付けがある。ブルージェイズ打線が仕掛けるスイングは速く、放つ打球は強烈なのだ。
昨季、チーム本塁打数がMLBワースト5位だったブルージェイズは、平均バットスピードがMLBで最も遅かった。球界で最もスイングが鋭いブラディミール・ゲレーロJr.を抱えながらも、チームで見ればスイングは最も鈍かったのだ。
リーグ有数の得点力を放った今季も、序盤はスイングも得点力も鈍いままだった。4月のチーム総得点はワースト5位で、バットスピードもMLBで最も遅かった。
しかし、シーズンが進むにつれてバットスピードは向上した。6月から8月にかけてのファストスイング率(75マイル以上のバットスピードを記録した割合)は平均レベルだったが、9月にはMLB5位に躍り出た。これは今季ツインズから加わった新打撃コーチであるデービッド・ポプキンスの指導が、ラーニングカーブを描いて成功につながった結果かもしれない。
そしてポストシーズンにおける平均バットスピード72.6マイル(約116.8キロ)は、最もスイングが鋭かったヤンキースやレッドソックスと同水準だ。さらにファストスイング率37%も、4月に記録した20%からほぼ倍増。MLB最高の水準に向上した。
バットスピード向上の部分的要因は、スイングが鋭い選手の出場時間が増えたことにある。バットスピードがリーグ上位7%に位置するアディソン・バージャーが定位置を獲得し、上位8%の鋭いスイングを誇るドールトン・バーショも負傷から復帰した。
しかし、主な要因は、出場し続けていた主力選手のバットスピードが向上したことにある。アレハンドロ・カーク、ジョージ・スプリンガー、デービス・シュナイダー、ネイサン・ルークス、そしてマイルズ・ストローといった選手たちは、シーズン終盤からポストシーズンにかけてバットスピードを上げた。偶然と言うには、あまりに多くの打者がバットスピードを上げている。
「選手たちに意図を持ってスイングさせて、フィールドの中央を突破させれば、その後起こることは起こるべくして起こったことだ」と、ポプキンス打撃コーチは7月に地元メディアに語っている。
約10年前、当時クリーブランド傘下に所属していたシェーン・ビーバー(現ブルージェイズ)は投球改革の最前線にいた。何十年もの間、球界は剛腕に投球術を教えようとしてきたが、投球術を心得た投手を剛腕に生まれ変わらせることが可能だと明らかになった。
そして、打撃コーチたちは1世紀もの間、パワーヒッターにボールをバットに当てる方法を教えようとしてきた。しかし、投球改革で起こったことと同じようなことが起きているとしたらどうだろうか。つまり、コンタクトが上手い打者のスイングを鋭くさせ、パワーを身に着けさせることが可能になっているのかもしれない。
2025.10.12 11:26 Sunday