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ブルージェイズの縁の下の力持ちが活躍 守備職人のバーショとクレメント

【ブルージェイズ13-7ヤンキース】トロント/ロジャースセンター、10月5日(日本時間6日)

 ポストシーズンは思いもよらぬヒーローが誕生する場である。ブルージェイズにはスター選手が不足しているわけではないが、このチームを支えているのは、重要な場面で次々と活躍する縁の下の力持ちたち。ポストシーズンではそういった選手たちに脚光が当たっている。

 ポストシーズン経験豊富なベテラン、ジョージ・スプリンガーは語る。 「昔はチーム全体を背負って、引っ張った選手がいた。濾過ールームの全員の力が必要な時もある。チームを毎試合勝利に導けるのは、たった一人の人間だけではないと思う。全員の力が必要なんだ。試合中、個々の選手の頑張りがチームの成功に貢献するんだ」

 13-7の快勝でヤンキースを下した地区シリーズ(ALDS)の第2戦、ブルージェイズの縁の下の力持ちの筆頭格であるドールトン・バーショは大活躍した。5打数4安打、2二塁打、2本塁打と爆発し、チームのポストシーズンの1試合塁打数記録を更新。この活躍にジョン・シュナイダー監督は「バーショの打席での活躍についてはあまり語っていないと思う。つまらない、二塁打が数本、本塁打が数本くらいじゃね」と、満足げに冗談を飛ばした。

 そして、シュナイダー監督は冗談のあと、この堅守の正センターの貢献度について熱弁。 「バーショは驚異的だ。負傷なく1年を過ごせば、桁外れに成績が伸びるだろう。マックス・フリード(ヤンキース先発)と対戦するのは厳しいけれど、アプローチにこだわって特定の球種を狙い、特定の球種に対して自分のスイングで何をできるかを知っている打者がいると、気分はマシになるよ」

 そしてバーショと合わせて7打点を挙げたのが、ユーティリティのアーニー・クレメントだった。クレメントは二回に先制2ランを放ち、新人右腕のトレイ・イェサベージを援護した。

 既にゴールドグラブ受賞歴のあるバーショと比べると、クレメントはさらに目立たない存在だ。現在29歳のクレメントは2023年にブルージェイズに加入するまで、通算打率.204、OPS.525、代替可能な選手と比べて何勝分上積みしたかを示すfWARでは-0.4を記録していた。まさに代替可能な平凡な選手だったが、ブルージェイズ加入後にキャリアが一転。打力が改善され、持ち前の守備力を発揮できる機会が増え、今や好守の便利屋として欠かせない存在になった。

 「何も覚えていない。完全に意識を失っていた。正直、自分が何をしていたのかも分からない。バカみたいに見えたけど、仕方ない。興奮しすぎて心臓がドキドキしていたから、クラブハウスに戻って気持ちを落ち着かせなければならなかった」 ポストシーズンでの本塁打はおろか、ヒットすら初めてだった。

 「全員が役割分担しているだけだと思う」と、試合後にバーショは語った。打撃が持ち味の選手もいれば、守備が持ち味の選手もいる。個性豊かで野手層が厚いのがブルージェイズの特徴だ。 「その夜、その夜、本当に活躍する選手が一人いるかもしれない。チームとして、ボー(ビシェット)、ブラディ(ゲレーロJr.)、ジョージ(スプリンガー)にシーズンを通して頼るわけにはいかない。シーズン全体を見れば、重要な場面を経験した選手はたくさんいた。全員が互いを信頼し、自分たちを信じて、毎試合、自分たちのやり方でプレーしようと決めたんだ」

2025.10.6 13:53 Monday

カブスのブルペン陣を支えるのは、既に解雇されたベテラン

 ポストシーズンを前にカブスの救援右腕ブラッド・ケラーはライアン・プレスリーにメッセージを送った。ケラーはポストシーズンの経験がなく、プレッシャーに押しつぶされないためにアドバイスを求めていた。

 現在36歳のプレスリーは7月を境にカブスの選手ではなくなった。メジャー12年のキャリアを誇り、今季はクローザー候補として加入したが、成績が振るわずに解雇された。しかし、プレスリーは退団後もチームに影響を与えている。長年にわたるキャリア、そしてポストシーズン経験は、今もなおカブスの財産となっている。

 「『どうやってこの状況に対処してるの? 不安にどう対処してるの?』って感じのメッセージを(プレスリーに)送ったんだ。すると長いメッセージをもらった。本当に心が解放されるようだったよ」とケラーは語る。

 ケラーはナ・リーグワイルドカードシリーズ(WCS)第1戦の最終回を抑え、カブスにとって8年ぶりのポストシーズンでの勝利をクロージング。ケラーがポストシーズンの初戦を締めくくったということは、今季のカブスを象徴した出来事だといえる。今季、カブスのブルペン陣は多くの選手が入れ替わり、素晴らしいブレイクアウトシーズンやキャリアの再生劇が見られた。

 地区シリーズ(NLDS)のロースターに登録された選手のうち、米国開幕戦のロースターに名を連ねていたのはケラー、コリン・レイ、ケイレブ・シールバーの3人のみ。ケラー(防御率2.07)はマイナー契約から、勝利の方程式の一員に成長した。レイは先発・リリーフを両方こなせる保険として契約し、負傷者続出の先発ローテを支えた。38歳のシールバー(防御率2.64)は2024年に不振に陥り、1年契約でカブスに加入した。

 「僕たちはみな、それぞれ違う性格なんだ。それぞれのキャリアが今の僕たちを形作ってきたんだと思う」とケラーは語る。

 リストはまだ続く。 ダニエル・パレンシア(防御率2.91、22セーブ)は今季3Aで開幕し、シーズン途中からクローザーに定着。36歳のドリュー・ポメランツ(防御率2.17)は2021年以降、MLBで登板していなかったが、マリナーズ傘下で復活の兆しを見せ、金銭トレードで加入した。アンドリュー・キットリッジのトレードデッドラインにおける獲得は、ほとんど注目を集めなかった。アーロン・シバーリは8月31日にウェーバーでホワイトソックスから加入した。

 カブスの球団編成部長ジェド・ホイヤーは、WCS突破後のシャンパンファイトで語った。「プロのスカウト陣とコーチ陣に多大なる称賛を送りたい。ケラーはマイナー契約だった。ポメランツは金銭トレードで獲得した。パレンシアは飛躍的に成長し、素晴らしい仕事をした。キットリッジも素晴らしい。シールバーは小規模な1年契約で復活した」

「ワイルドカードシリーズでブルペン陣は素晴らしかった。全員高額な選手ではない。獲得費用も高くなかった。本当に素晴らしい仕事だった。」

 先発ローテの一角を担ったベン・ブラウンは語る。「キャッチボールをしながら、その日の先発投手のウォーミングアップを見ることもある。『今はボールを投げることさえできない。すごく疲れているし、筋肉痛もひどい』なんて思うこともある。でも、その間、リリーフ投手たちは3日連続で全力投球している。上から下まで、ブルペンは素晴らしく、我々にとって大きな存在だ」

 8月上旬からレギュラーシーズン終了まで、カブスのブルペン陣は防御率3.60を記録し、ナ・リーグ3位にランクインした。パレンシアが9月上旬に右肩を負傷した後、カブスのクレイグ・カウンセル監督はクローザーを置かない体制に戻し、代わりに様々な状況で「アウトゲッター」を起用することに重点を置いた。

 パレンシアはこのアプローチに全面的に賛同し、WCSでは2度、試合中盤でイニングをまたいだ。パレンシアにどんな状況、どんな球数での登板も受け入れる積極性について尋ねると、プレスリーの影響を指摘した。 「プレスリーはここの父親みたいな存在だった。どこにでも連れて行ってくれて、いろんなことを教えてくれた。リラックスする方法、心を落ち着かせる方法など。『俺の仕事はアウトを取ることだ』っていつも言っていた。五回だろうが九回だろうが関係ない。俺たちの仕事はアウトを取ること、それだけだ」

 プレスリーはポストシーズンを前にパレンシアに長文メッセージを送った。

 「朝にメッセージを送ってきてくれた。『よう、あんまり考えすぎるな。準備するんだ。今こそチャンスだ。本当の自分を見せろ』みたいな感じで書いてあったんだ」

 パレンシアはそう言うと微笑んで、別のメッセージももらったことを明かした。罵り言葉も交えられながら、「(カブスのために)モンスターになれ」と言われたという。

 クレイグ・カウンセル監督はこう語る。「ライアン・プレスリーは良い人間だ。そういうことだ。野球界で、恩返しをするように教えられてきた。知識を喜んで伝授してくれた。そして、彼らが今でも声をかけているということは、プレスリーがまだ彼らを受け入れているということだ」

2025.10.6 12:05 Monday

マリナーズが第2戦に勝利 フリオが決勝タイムリー

【マリナーズ3-2タイガース】シアトル/T-モバイルパーク、10月5日(日本時間6日)

 0勝1敗でア・リーグ地区シリーズ(ALDS)第2戦を迎えたマリナーズが、フリオ・ロドリゲスの決勝タイムリーで勝利。難敵タリック・スクーバルと対した第2戦に勝利し、シリーズを1勝1敗のタイに戻した。

 レギュラーシーズン中も2度土をつけたスクーバルをマリナーズ打線が攻略した。四回、4番ポランコが甘く入ったスライダーを逃さず、レフトへ先制ソロ。

 そして六回、ポランコが再びスクーバルの甘く入ったシンカーをとらえ、レフトへ文句無しの本塁打で追加点。スクーバルからマルチ本塁打を放ったのは、2021年8月のポール・ゴールドシュミット以来。マリナーズの選手がポストシーズンでマルチ本塁打を放つのは、この日始球式に登場した1995年ア・リーグ優勝決定シリーズのジェイ・ビューナー以来の快挙だった。

 先発カスティーヨが粘りの投球でブルペン陣へつなぎ、マリナーズは逃げ切りを図ったが、八回にセットアッパーのブラッシュが誤算。先頭に四球を与え、味方のエラーで一、二塁とすると、トーケルソンに同点タイムリー二塁打を浴びた。

 しかし、同点に追いつかれた直後の攻撃でマリナーズ打線は勝ち越し。ローリーが二塁打で出塁すると、続く3番ロドリゲスは球場の「フリオ」コールに応え、勝ち越しのタイムリー二塁打を放った。その後も、

 

2025.10.6 11:54 Monday

タイガースが延長の末、第1戦を制す 不振のマッキンストリーに殊勲打

【マリナーズ2-3タイガース】シアトル/T-モバイルパーク、10月4日(日本時間5日)

 ア・リーグの第2シード・マリナーズと第6シード・タイガースにより地区シリーズ(ALDS)第1戦は、延長戦の末にタイガースが先勝。11回にザック・マッキンストリーが決勝タイムリーを放ち、勝負を決めた。マリナーズは本拠地T-モバイルパークでは2001年以来となる得点を入れ、同点に追いついたが、あと1点が遠かった。

 早めの継投策に出ると見られていたタイガースは、先発メルトンが4回1失点と好投。試合を作った新人の奮闘に応え、五回には2番カーペンターが逆転の2ランを放った。

 カーペンターはマリナーズ先発のカービーを得意としている。この日の本塁打を含め、通算成績は11打数5安打、その5安打はすべてが本塁打だ。この日は高めに外れたシンカーを完ぺきなタイミングでとらえ、ライトの中段まで運んだ。特定の投手に対して通算5安打以上をすべて本塁打で記録しているのは、現役選手の中でカーペンターだけだという。

 継投に出たタイガースは3番手ラファエル・モンテロがフリオ・ロドリゲスにこの日2打点目のタイムリーを浴び、同点に追いつかれる。しかし、それ以降はブルペン陣が奮起。5人の投手が6回無失点、2安打、4三振、無四球の無失点リレーで11回までつないだ。

 そして、11回の攻撃では先頭のトーケルソンが四球で出塁し、暴投で進塁。そこから2者連続三振に倒れたが、マッキンストリーがセンター前にタイムリーを放って勝ち越し点をもたらした。マッキンストリーはレギュラーシーズンの9月25日以来、17打数無安打の不振に陥っていたが、「シンカーを狙っていた」と初球に反応した。

 エースのカービーを立てたマリナーズ相手に、4番手メルトンで挑んだタイガースが金星を上げた。あす行われる第2戦では、絶対的エースのタリック・スクーバルが先発。3戦先勝のALDSを突破するためには残り2勝が必要だが、スクーバルは第5戦を含めて残り2度先発が可能であり、タイガースは有利な立場に躍り出た。 殊勲打のマッキンストリーは語る。 「スクーバルがマウンドに立つ第2戦が、すごく楽しみだ。(スクーバルは)全力で戦うだろう。エネルギッシュで、このゲームでも屈指の選手だ。あしたはバックでプレーするのがすごく楽しみだ」 絶対的エースを中心に士気の高いタイガースが一気にシリーズの流れを手にするかもしれない。

2025.10.5 14:37 Sunday

逆転弾浴びたストラームは「ショック」 フィリーズは切り替え図る

【フィリーズ3-5ドジャース】フィラデルフィア/シチズンズバンクパーク、10月4日(日本時間5日)

 マット・ストラームは信じられない思いだった。1点リードの七回のピンチで登板し、大谷とベッツを打ち取って2死。しかし、続くテオスカーに逆転3ランを浴びると、首を横に振った。数分後にマウンドを降りる際、グラブに頭を突っ込みながら叫んだ。

 「2球ミスしたことにショックを受けた」 初球、ストラームはカッターを外してしまった。2球目は内角への直球を要求されたが、外角へ甘く入ってしまった。それをテオスカーは逃さず、右中間への見事な3ランにした。その本塁打が勝負を分け、フィリーズは地区シリーズ(NLDS=5回戦制)の第1戦を落とした。

 一、二塁のピンチでストラームに引き継いだ2番手のロバートソンも「ストラームをひどい状況に追い込んでしまった。僕のピッチングが悪かっただけだ。ストラームはほどんど考えられないようなことをして(大谷とベッツを連続凡退)して、抜け出しかけた」と、肩を落とした。

 試合後、二塁走者だったパヘスがサインを盗み、テオスカーに球種を伝えていたのではないかと噂が流れた。ただ、ストラームはこの説を否定した。ストラームは指を揃えてボールを握り、唯一変わるのは、縫い目に沿ってボールを握る位置だ。二塁走者からでもそれを確認することはできない。

 おそらく、パヘスはリアルミュートがどこに構えているかについて何かを合図していたのだろう。

 しかし、関係ない。フィリーズはただリードを守ることができなかった。

 フィリーズはあすの休養日であさって6日(日本時間7日)に控える第2戦に向け、切り替えなければならない。

 捕手のリアルミュートもそれを承知している。 「最大5戦のシリーズだ。良いプレーをする機会はまだたくさんある。あすは集中力を切らさず、ビデオを見て、何が違った形でできたのかを考えて、月曜日にはもっと良いプレーをしないといけない」

 かつて対戦相手のコーチが「地獄の4時間」とまで評した、フィリーズのホームフィールドアドバンテージは最近では影を潜めている。熱狂的な雰囲気に包まれる本拠地シチズンズバンクパークでは、2023年のナ・リーグ優勝決定シリーズの第6戦以降、なんと5戦4敗。力を発揮できていない。

 「調整を行い、試合に出て、勝利に近づくために、自分たちにできるすべてのことをしていると感じられるかどうかは、私たち次第だ」とシュワーバーは語る。

 第1戦で痛かったのは、自慢の上位打線の停滞だ。下位打線がつながってドジャース先発の大谷から3点を奪ったが、ターナー、シュワーバー、ハーパーの1-3番トリオが11打数1安打、6三振と不発だった。

 「ボール球を追いかけ、ストライクゾーンの球にも空振りしてしまった。もっと相手にダメージを与えられた」とハーパーは悔やむ。

 しかし、スター軍団のフィリーズはどの選手も経験豊富だ。「大丈夫だよ。これはたった1試合。ポストシーズンなんだ。個人的な問題じゃない。チーム全体の問題だ。そして今は月曜日のことに集中している。また練習に戻り、チームのために勝負強い打席を組むという気持ちで臨む」、無安打3三振に終わったシュワーバーは既に気持ちを切り替えている。

2025.10.5 14:34 Sunday

ジャッジが絶好機で沈黙 ヤンキースがALDS初戦を落とす

【ブルージェイズ10-1ヤンキース】トロント/ロジャースセンター、10月4日(日本時間5日)

 ヤンキースは5回に及ぶ拙攻の後、待望のチャンスを手にした。六回無死満塁で打席に立ったアーロン・ジャッジは、ポストシーズンに弱いという汚名を挽回するチャンスだった。しかし、ジャッジはケビン・ゴーズマンのスプリットに空振り三振に打ち取られ、ヤンキースは1点を返しただけにとどまった。その後ヤンキースはブルージェイズに突き放され、地区シリーズ(ALDS)初戦に大敗した。

 「過度に緊張していたとは言わない。打席全体を見れば、確かに難しい球もあった。でも、結局は仕事をやり遂げられなかった。自分の仕事を全うできなかっただけなんだ」と、試合後にジャッジは語った。ジャッジは8球に及ぶ勝負の末、フルカウントから外角低めに外れたスプリッターに空振り三振を喫した。

 「もちろん、あそこから試合の流れを変えたいところだった。でも、それは叶わなかった。ゴースマンがいい投球をしたんだ」、ジャッジの後に打席に立ち、押し出し四球を選んだベリンジャーは言った。

 ジャッジは今季のポストシーズンで15打数6安打(打率.400)と好調だが、印象的な活躍はまだない。2019年以降、ジャッジはポストシーズンで打率.202(168打数34安打)、9本塁打、20打点と苦戦している。

 ヤンキースのアーロン・ブーン監督は最近、ジャッジが「狂乱する瞬間が来る」とポストシーズンでの活躍を予想していた。しかし、ALDS第1戦はそうはならなかった。

 ゴーズマンはこう振り返る。「直前の球のおかげで外角低めのスプリットを振らせやすくなったと思う。正直に言うと、あの場面だったら四球でも良かった。ジャッジは一振りで試合の流れを一気に変えられるからね」

 ベリンジャーが四球を選んだ後、続くライスはインフィールドフライに打ち取られた。2死満塁となり、スタントンは2番手バーランドに三振を喫した。

 攻撃のみならず、守備でもブルージェイズに主導権を握られた。ゲレーロJr.とカークに被弾し、ヒルは2回2/3限りで降板。ブーン監督は負傷から復帰後、空振りをなかなか奪えない昨季の新人王を早々に見切った。「そんな展開は予想外だった。ブーニーは監督だから、そういう判断を下すのは当たり前だ。これはポストシーズンだからレギュラーシーズンとは違う」と、ヒルは試合後に語った。

 満塁のチャンスで1得点に終わっても、ヤンキースは1-2の僅差を終盤まで維持した。しかし、4番手ウィーバーが再び乱調。ワイルドカードシリーズ(WCS)同様、1死も奪えずに降板した。ウィーバーはポストシーズン最初の2試合で3人以上の打者と対戦してアウトを記録できなかった史上2人目の投手となった。

 ウィーバーは投球時の「クセ」が露見している可能性を考慮したフォームの調整に苦労していると語っていた。この登板の結果を受け、シーズン終盤に行ったそのフォーム変更を取りやめるかもしれない。 「本当に自分らしくない。相手打者を責められるほど、頭が完全にクリアになっている気がしない」

 ウィーバー降板後もブルージェイズ打線の猛攻は続き、ヤンキースは2桁失点を喫した。 「きょうは明らかに最悪だったけど、あしたシリーズをタイにしてホームに戻るチャンスがある」と、ショートのボルピーは前を向く。

 ただ、過去の戦績では初戦を落としたチームは不利だ。ポストシーズンの歴史において、最大5戦のシリーズで第1戦に勝利したチームは、156回中113回(72.4%)の確率でシリーズを勝ち上がっている。現在の2-2-1(上位シードの本拠地2戦-下位シードの本拠地2戦-上位シードの本拠地1戦)のフォーマットでは、ホームで第1戦に勝利したチームが54回中40回(74.1%)の確率でシリーズを勝ち上がっている。

 「シーズン中からずっと変わらず、その日に集中し続けるという精神を貫くよ。この試合はもう終わりだ。手に負えなくなってしまい、挽回はできなかったが、(日曜日には)大事な試合が控えている。とにかく、しっかりやっていくだけだ」と、ジャッジは語った。

2025.10.5 12:29 Sunday

投手・大谷が6回3失点9三振 佐々木が締めくくってドジャース先勝

【フィリーズ3-5ドジャース】フィラデルフィア/シチズンズバンクパーク、10月4日(日本時間5日)

 大谷翔平(31)がナ・リーグ優勝決定シリーズ(NLCS)の第1戦に「1番・投手」として先発出場。投手としてはポストシーズンデビューを飾り、6回3失点、9三振と好投したが、打者としては第1打席から4打席連続三振に抑えられた。試合は七回にテオスカー・ヘルナンデスの3ランでドジャースが逆転。2点差の九回を佐々木朗希(23)が締めくくり、5-3で先勝した。

 二回、大谷は四球と単打で無死一、二塁のピンチを背負い、続く6番リアルミュートにタイムリーを浴びた。この打球にライトのテオスカー・ヘルナンデスが追いつけず、2点タイムリー三塁打となってしまう。さらに後続に犠牲フライを打たれ、この回3点を失った。

 そこから大谷は立ち直り、三回は2番シュワーバーと3番ハーパーからスプリットで連続三振に抑え、四回も三者凡退。五回は一死一、二塁のピンチで上位打線を迎えたが、1番ターナーをショートライナー、2番シュワーバーをカーブで三振に押さえて切り抜けた。六回も2三振を奪って三者凡退に抑え、「投手・大谷」はここで御役御免。6回3失点、9三振、1四球、3安打と堂々たる投手としてのポストシーズンデビュー戦だった。

 この日、大谷はシーズン最多23度の空振りを量産。最速101.4マイル(約163.1キロ)をマークした。そして、メジャーリーグ史上、ポストシーズン中に投手として1試合、投手以外で1試合ずつ先発出場した唯一の選手であるだけでなく、8番より上位の打順で先発出場した投手としても2人目の選手となった。もう1人は、1918年のワールドシリーズ第4戦でレッドソックスの6番打者として出場したベーブ・ルースだ。

 一方で、「打者・大谷」は苦戦。フィリーズ先発サンチェスの巧みな出し入れに苦しみ、3打席連続三振を喫した。さらに1点差で迎えた七回無死一、二塁のチャンスでも、2番手ストラームから見逃し三振を奪われた。

 そして、大谷がこの日4個目の三振に倒れたあと、ドジャースは2死一、二塁となってから、テオスカーが3ランを放って逆転。名誉回復の一発でドジャースに5-3とリードをもたらした。

 リードを得たドジャースは、グラスナウ、ベシアとつなぎ、最終回を佐々木に託した。佐々木は1安打を浴びながら無失点で締めくくった。

2025.10.5 10:41 Sunday

ブルワーズは運が良かった? パワーなしで総得点メジャー3位の理由

 「われわれはほぼすべてのエラー、守備のミス、そして投球のミスをうまく利用してきた。それがわれわれの哲学であり、アイデンティティだ。相手にプレーさせ、その過程で相手を地獄に引きずり込みたい」 ブルワーズの打撃コーチ、コナー・ドーソンはブルワーズの哲学についてこう語った。

 今季のブルワーズはチーム本塁打数でメジャー22位、ハードヒット率で同25位、「スタットキャスト」の打球の質を測る指標で同27位タイ、ゴロ率で4位に終わった。確かに三振数は平均より少し少なく、四球数も平均より少し多かったが、どちらの数字も飛び抜けて優れているわけではない。実際、これらのチーム成績は得点力に優れた攻撃陣の特徴より、ホワイトソックスのようなチームを彷彿とさせる。

 それでも、ブルワーズは806得点を挙げた。これはメジャー3位の得点数で、ヤンキースとドジャースに次ぐ数字だった。ホワイトソックスよりは159得点多く、1試合あたりの平均では1得点多い。ただ、9月に限れば、30チーム中22位に低迷した。

 これらすべてを踏まえると、2つの疑問が浮かび上がる。ブルワーズはレギュラーシーズン最初の5ヵ月間で本来の実力から予想される以上の得点をどのように生み出したのか?さらに重要なのは、あす4日(日本時間5日)から始まるポストシーズンで、再び同じことを成し遂げられるか?

 ブルワーズの得点はすべて魔法で入ったわけではないが、大きな本塁打によって入ったわけではない。ブルワーズは101点の非自責点を奪い、これはメジャーでダントツの数字だった(マーリンズが83非自責点で2位)。これはシーズン総得点の8分の1に相当する。また、非自責点は延長戦のオートマチックランナーの得点も含められるが、ブルワーズは延長戦での得点数は中堅クラスだった。

 そもそも自責点という用語は、投手のために存在する。バックの守備のミスによって投手の成績が不当に悪くならないように生み出された。つまり、相手打線にとっては全く関係がない要素だ。しかし、今季のブルワーズが非自責点を意図的に多く生み出せていたとしたら?

 MLBのデータシステム「スタットキャスト」には、「フィールディング・ラン・バリュー」という守備力を測る上で最も有用な指標がある。これはあらゆる守備の要素を同じ土俵で表すことができる。

 この「フィールディング・ラン・バリュー」は、その打線と対したときの相手チームの守備力も測ることができる。そして、結論から言えば、今季ブルワーズ打線と対したときの相手チームの守備力は、メジャーで最も悪かった。

2025年、打撃時の相手の内野守備が最も悪い打線

-26 // ブルワーズ -22 // アスレチックス -20 // タイガース -18 // オリオールズ -17 // ガーディアンズ

 守備の不調に最も助けられたチーム(ブルワーズ)と、守備の好調に最も苦しめられたチーム(パイレーツ)の間には、58点の差があった。「10点取れば勝ち」という短絡的な表現からすると、極端な場合では6勝、平均より3勝近く多いと言えるかもしれない。

 これは単に運が良かっただけだと言う人もいるだろう。ブルワーズを貶すつもりはないが、確かにある程度は正しい。この守備のマイナスには、太陽と打球が重なって落球したようなケースも含まれ、それらはバットをボールに当てたという点を除けば、それほど技術が絡んでいるとは思えない。

 ただ、ここにブルワーズの戦略が隠されているかもしれない。ブルワーズは他のどのチームよりスイングが少ない一方、ボール球を振ってしまう確率も他のどのチームより低い。スイングをすれば、他のどのチームよりコンタクトが多い。

 ブルワーズはより多くのボールをバットに当てられる。そしてブルワーズのチーム平均のスプリントスピード(脚の速さ)はメジャー2位あり、打席から一塁への平均到達タイムは最速。今季のブルワーズがダントツで内野安打が多く、さらに直近10年で見ても最多だった。

2015年以降、チーム内野安打数

174 // 2015レッドソックス 164 // 2025ブルワーズ 162 // 2015アスレチックス 161 // 2018カブス

 「プレッシャーをかけることで、良いものが生まれると思う」とドーソン打撃コーチは語る。相手にプレッシャーをかけるとは、例えばこのようなプレーだ。ブライス・トゥランは4.04秒で打席から一塁へ到達した。これはトゥランによる今季のベストハッスルプレイの一つだ。このプレーにより、オリオールズの遊撃手ガナー・ヘンダーソンは「スタットキャスト」が80%の確率でアウトにすると評価した内野ゴロを内野安打にしてしまった。

 さらに塁に出たあとでも、走力の脅威は続く。ブルワーズの走塁得点指標はメジャートップの+15であり、これは1.5勝分に相当する。個人ではこの走塁指標でトップ40に入る選手が一人もいなかっただけに、そのチーム力の高さは注目に値する(平均を下回ったのは捕手のウィリアム・コントレラスのみ)。ブルワーズは盗塁数でもメジャー2位に入っている。

 これらの要素すべてが結果につながっている。出塁した走者が得点した確率33%は、メジャートップだ。

 「私たちが一年を通してやってきたこと全てが、この試合にどう臨むべきかということと合致している。誰も信じてくれないかもしれないけど、これは私たちにとって大きなプラスになると思う。なぜなら、私たちは一年を通してこういう野球をやっているからだ」と、パット・マーフィー監督は語る。

 ナ・リーグ東地区のスカウトもこう語った。 「今のチームには、本当のアイデンティティってものがない。私にとって、ブルワーズは最も深いアイデンティティを持つチームであり、どんな野球をしたいのかを分かっている」

 しかし、ブルワーズの前には歴史的な逆風が直接立ちはだかっている。もしポストシーズンにおいて、決して揺るぎない真実があるとすれば、それはパワーがなければプレーオフで勝利することはできないということだ。スモールボールは10月まで持ちこたえるには役立つかもしれないが、世界一にはつながらない。近年のガーディアンズが証明しているように。過去10年のポストシーズンで、対戦相手に本塁打数で勝ったチームは、82%の勝率を誇っている。

 少なくとも、ポストシーズンには守備が良いチームしか出られないという理由もある。(驚くことではない。今年の守備指標上位5チームはいずれもプレーオフに進出したが、下位9チームのうち、マリナーズしかプレーオフに進出できなかった)

 そのため、インプレー打球の打率(BABIP)は、レギュラーシーズンの比べてポストシーズンでは大きく低下するということが証明されている。過去10年ではレギュラーシーズンのBABIPが.296(BABIPは長い目で見れば.300前後に収束する)なのに対し、ポストシーズンでは.277に下がる。

 同時に三振率も上昇し、レギュラーシーズンでは22.3%だった三振率は、ポストシーズンでは25%に上がる。

 フェアゾーンに打球を飛ばしてもヒットになる確率は低く、さらに三振も増える。ポストシーズンで本塁打が重要視されるのは当然だと言える。

 「どんなチームでもポストシーズンで得点するのは難しい。ブルワーズでもドジャースでも、どんなチームでもね。僕らの攻撃は塁に出れば機能する。必ずしも長打を打つ必要はないが、長打を打てる可能性は間違いなくある。それが僕らにはあるんだ」と、主砲のクリスチャン・イェリッチは語る。

 実際、ブルワーズは長打を量産する期間もあった。ブルワーズはレギュラーシーズン最初の2ヵ月間では、長打率は下位10チームに位置していたが、次の2ヵ月では平均レベルに上昇。そして8月にはメジャー2位の長打率.480(チームとしても2008年以来の高水準)を記録した。

 しかし、9月には長打率、得点ともにメジャー23位に低迷。8月の長打攻勢を牽引したトゥランは月間本塁打を10から2に減らし、シーズン途中にブレイクしたアンドリュー・ボーンは119打席連続本塁打なしでシーズン終了。さらにコントレラスも左手の打撲に悩まされた。

 仮に長打力が戻ってこないならば、ポストシーズンでの成功は相手守備を苦しめることにかかってくる。それは起こり得る。昨季、ワールドシリーズ第5戦ではヤンキースの守乱が勝負を分けた。ただ、ポストシーズンで対するのは優秀な守備力を持つチームばかりだ。

 ナ・リーグ最強の守備を誇るカブスとの地区シリーズで、メジャー最高勝率を記録したブルワーズの真価が測られることになるだろう。

2025.10.4 15:07 Saturday

上位シードの第1ラウンド免除は有利?不利? 過去のデータから紐解く

 2025年ポストシーズンは、ワイルドカードシリーズが終わり、地区シリーズへと突入する。毎年のように囁かれるのが、ワイルドカードシリーズで勢いをつけた下位シードのチームの方が、ワイルドカードシリーズが免除され実戦間隔が空いている上位シードのチームより優位という言説だ。

 果たしてこれは本当なのだろうか?答えは常に「もちろん、そんなことはない」だ。ワイルドカードシリーズを免除されたチームは、まずワイルドカードシリーズで敗退する可能性が0%であり、さらに地区シリーズでは初戦から自由に投手を運用できる(ガーディアンズを破るために主力先発投手3人全員を起用しなければならなかったタイガースは、マリナーズとのALDS第1戦をブルペンゲームから始めなければならない。ワイルドカードシリーズが免除されていれば、タリック・スクーバルらを順に登板させられたはずだ)。

 恐らく何より重要なのは、最大5戦の地区シリーズまだたどり着ける実力を持つ2チーム間の勝負の結果を、番狂わせと呼ぶのは難しいということだ。ロナルド・アクーニャJr.のようなスター選手が、ワイルドカードシリーズでマーリンズと戦う必要があったフィリーズ相手に、2023年のNLDSで14打数2安打と苦しんだように、優秀な投手陣を擁していれば下位シードが勝利することはごく普通で、よくあることだ。

 しかし、その年の夏にフィリーズが快進撃を遂げていたことを考えれば、それほど大きな番狂わせではなかったにもかかわらず、104勝を挙げたブレーブスが90勝のフィリーズに敗れたことから、この「地区シリーズでは下位シードの方が有利」の言説は存続した。

 ポストシーズンが現行のフォーマットになってから3年。

 これまで12度の地区シリーズが行われ、そのうち6度は休養を取った上位シードが勝利し、6度は勢いをつけた下位シードが勝利した。2024年は上位シードが4シリーズ中3シリーズで勝利し、2023年は下位シードが4シリーズ中3シリーズで勝利した。2022年は五分五分で終わった。ここからわれわれは何を学んだだろうか。

ワイルドカードシリーズ免除による悪影響があると言えるだけの十分な証拠はあるか?

 恐らくない。 ポストシーズン進出可能な実力を持つチーム同士が、最大5戦の直接対決を12度行うと、そのほとんどが勝率.540程度に収まる。最近の調査によれば、ポストシーズンの序盤から最大7戦のシリーズが行われるNBAと同等の「レギュラーシーズン中の勝率が高いチームの突破確率」を出すためには、MLBでは最大75戦のシリーズを行わなければならないという。

 野球は小規模なサンプルでは予測不可能であり、最大3戦や最大5戦の形式ではどのチームが優れているかは分からない。数週間前、シーズン91敗のパイレーツがドジャースをスイープ(3連勝)したのはその好例だ。仮にワイルドカードシリーズ免除による悪影響があるなら、ブルージェイズは地区優勝とワイルドカードシリーズ免除を懸けたレギュラーシーズン最終戦に、エースのケビン・ゴーズマンを先発させなかっただろう。負けてワイルドカードシリーズをプレーしなければならなくなったら、ゴーズマンはそこで投げることはできなかった。ブルージェイズがシード権を望んだのにはこの理由がある。

第1ラウンド免除を得たチームの内、ワイルドカードシリーズでシーズンが終了したチームはない

 ワイルドカードシリーズ免除を獲得したチームは、地区シリーズへの進出確率が100%だ。これは球界で唯一、予測可能なことだ。もちろん冗談半分だが、重要なことでもある。「第1ラウンドを免除されたチームが地区シリーズで負けたかどうか」だけに注目するなら、ワイルドカードシリーズでも負けたチームが全くいないという事実も無視できない。

 ランディ・アロザレーナ(マリナーズ)はまさにその通りだと発言した。「地区優勝してバイウィークを獲得できたのは間違いなくプラスだと思う。レギュラーシーズンが終わって、そのままプレーし続けるよりずっといい」

その番狂わせは本当に番狂わせだったのか?

 この問は非常に難しい。「レギュラーシーズンの勝利数が多く、シード順が高い」ということは、どちらかのチームが優れていることを示すはずだが、これらの栄誉はレギュラーシーズンの半年間にわたって集められたものだ。ポストシーズンではせいぜい4日間でそれが決まる。

 それを確認する一つの方法が、データサイト「ファングラフス」のシリーズ前の突破確率を確認することだ。この突破確率は、単に「チームの成績を評価する」だけではなく、より多くの要素を考慮しようとしている。10月のロースターは年間を通したロースターと顔ぶれが異なる可能性があり、これは非常に重要だ。

 過去の12の地区シリーズのうち、上位シードのチームには平均60%の突破確率が与えられていた。つまり、「上位シードは7度勝つと予想されていた」ということだ。しかし、実際には上位シードのチームは6度しか勝利できなかった。もしそれが納得できないなら、答えは「野球によくあること」だ。(その1度は2023年の地区シリーズ。ドジャースのクレイトン・カーショウは負傷を抱えており、初戦をわずか1/3回で降板し、ダイヤモンドバックスに下剋上を許した)

では、上位シードのチームが突破する確率はどのくらいか?

 ドラマと番狂わせが見たい。そうでなければ、試合をする意味がない。だったら、上位シードのチームがワールドシリーズまで進出すればいい。上位シードのチームの進出率が0%なのも、100%なのも望まれないだろう。

 2012年から2024年まで、1試合勝負で行われたワイルドカードゲームを除くと、ポストシーズンでは111度のシリーズがあった。そのうち2度はレギュラーシーズンの成績が同じだったチーム同士の対戦だったため、それを除くと109度になる。

 ここで、上位シードの成績は59勝52敗だった。すべての試合における勝率は.531で、レギュラーシーズンにおけるホームアドバンテージの.543とほぼ同じだった。つまり、少なくともある意味では予想通りの成果を挙げていると言えるだろう。

 ただ、現行のポストシーズンのフォーマットが、完璧で変更不可能だというわけではない。結局のところ、上位シードに「休養」や「本拠地開催」よりも大きなアドバンテージを与えるために調整を加えたり、第1ラウンド後にシードを変更したり、上位シードの勝率を52%以上にしたりしたいと考えるかもしれない。また、この休養期間が打者に影響を与えないことを証明するのは容易ではない。少なくとも、「ポストシーズン進出チームの最高の投手と対戦する」ことよりも影響が大きいことを証明するのは容易ではない。

 しかし、各リーグの上位2シードが、第1ラウンドからプレーするか、第2ラウンドからプレーするか選択肢を与えられていたとしたらどうだろう。それぞれのチームがどのような選択をするかは、ほぼ予想がつく。ワイルドカードシリーズでシーズンを終えるリスクを冒すような選択はしないだろう。第1ラウンド突破が保証されること以上に価値のあるものはないのだ。

2025.10.4 13:47 Saturday

マリナーズはローリーをどう発掘したのか 低評価を覆した理由

 2024年にプラチナグラブ賞を受賞し、さらにシーズン60本塁打を捕手として初めて達成した選手が、なぜ2018年ドラフトの全体90位まで残っていたのだろうか。当時、フロリダ州立大学に所属していたカル・ローリーには選手としての素質に多くの疑問が投げかけられていた。幸運なことに、マリナーズにはその疑問を解消してくれる地域スカウトがいた。

 ローリーは両打席でパワーを発揮していたが、ケープコッドリーグ(有望な大学生が参加するサマーリーグ)では木製バットで好成績を残せず、2年次には打撃不振に陥った。3年生になると、打率.326、出塁率.447。長打率.583、13本塁打と復活したが、守備の評価は依然として賛否両論だった。「MLBパイプライン」のドラフト候補選手ランキングでは150位にとどまり、指名後に契約できるかどうかも懸念されていた。

 地域スカウトはチームの選手選びにおいて大きな役割を果たしている。2001年に現役を引退し、マリナーズでスカウトを始めたロブ・ムンマウは、2018年にはチームにとって非常に貴重な存在になっていた。

 たとえば、2018年のドラフト1巡目ローガン・ギルバートの獲得にも、ムンマウは貢献した。ギルバートはドラフトイヤーが始まるときには全体5位以内で指名されると予想されていたが、春に診断未確定の単核球症に悩まされ、直球の球速が低下。他球団が指名を見送る中、ムンマウの情報で病気の懸念を払拭できていたマリナーズが全体14位で指名した。その後のギルバートの活躍は周知の通りだろう。

 マリナーズは2018年のドラフトでこれまで以上にデータを活用した。従来のスカウティングに依拠しつつも、初めて様々な定量化可能な要素を考慮したモデルを導入したのだ。そして、そのモデルはローリーに低い評価を与えていた。当時スカウティング担当部門の次長だったトム・アリソンは、そのモデルがローリーをドラフト候補選手の中で全体379位にランク付けしたことを覚えている。

 しかし、ムンマウはローリーが不振に陥った2年次にケガを抱えながらプレーしていたことを知っていた。ムンマウはシステムの低評価の原因となった2年次の不振について説明し、チーム分析担当ディレクターのジェシー・スミスをはじめとするスタッフ全員の安心感を高めた。

 マリナーズはローリーを3巡目で指名する計画を立てた。3巡目指名権を持っていなかったブレーブスが4巡目で100万ドル以上の契約金を約束していたという噂もあったが、マリナーズにはそれだけの契約金を払う余裕がなかった。マリナーズはムンマウとローリーの良好な関係、そしてローリーがプロの世界に入りたいと思っており、最終的に契約するだろうというムンマウの直感を信じていた。

 現在ドジャースの特別アシスタントを務めるアリソンは語った。 「鍵となったのは、ロブがドラフト1巡目のローガン・ギルバートの時のように、選手の空白を埋めることができたことだ。カルの2年目はひどい成績だったが、ロブはフロリダ州立大学のコーチ陣と非常に緊密な関係にあり、たとえそれが目に見えなくても、彼が怪我をしていることを把握していた。ロブは空白を埋めることができた。それが優秀なスカウトのすることだ」

 2016年9月からマリナーズのスカウト部長を務めているスコット・ハンターは、自分のチームがローリーについて好意的な報告をしていたが、その中でもムンマウの報告ほど高評価なものはなかったことを覚えている。 「最初のスカウティングレポートは2017年秋に届いた。ロブは彼のパワーに高い評価を与えていた。70(20~80評価、50はメジャーリーグ平均)だった。ひどい2年目を終えたにもかかわらず。他の皆は55か60だと思っていた。彼にはパワーはありましたが、守備の評価はどれも45~50程度でした。肩も45~50程度で、純粋な打撃能力は、人によっては軽視されていた。しかし、ロブは彼をより高く評価し、60から70の評価を与えていた」

 ムンマウは、ローリーの父トッドが同校のアシスタントコーチを務める数年前、ジェームズ・マディソン大学で大学時代を過ごし、その家族と親しかった。2015年、1年生になる前の秋季練習で初めてローリーを見学し、多くの魅力を感じたという。 「カルはすぐに頭角を現した。大柄で体格に恵まれ、両打席から力強い打球を放つ選手だった。キャッチングも良く、肩も強かった。彼について私が注目したのは、様々な角度からボールを​​投げられることだ。『この選手は他のキャッチャーよりも運動能力が高い』と思った」

 他のマリナーズ内部の評価では、ローリーは控え捕手が既定路線で、レギュラー獲得の可能性もあるというものだった。ムンマウはローリーがスタメン捕手になれると想定していたが、メジャーで最高の守備力を持ち、シーズン60本塁打を打つような選手になるとは思っていなかった。

 ローリーとの契約交渉はギリギリまで緊迫し、7月6日の期限直前に85万4000ドル(契約金を22万1300ドル上回る)で契約した。プロ1年目で29本塁打を放ち、2Aに昇格すると、マリナーズは予想以上に実力があるかもしれないと気づき始めた。2021年にメジャーデビューを果たし、翌年には代打サヨナラ本塁打を放ち、シアトルの21年ぶりのプレーオフ進出を決めた。レギュラーとして4シーズンで通算151本塁打を放つ一方、フレーミング・盗塁阻止など守備力も際立っている。

 アリソンは語る。「彼が今のようなパワーを持つとは誰も思っていなかった。カルに会っての考え方や、体を鍛えて投球やゲームプランを磨きたいという熱意を知ると、『ああ、彼には特別な選手になれるチャンスがあるんだ』と思った。彼の資質は本当に素晴らしかった」

 ローリーの資質こそが、この成功の最大の要因かもしれない。ローリーはほぼ毎日プレーし続けるタフさと情熱、そして常に向上しようとする意欲と勤勉さを持っている。

 ローリーがマイナーリーグに在籍していた頃、彼は自宅の部屋でブロッキングの練習ができるように、テニスボールを投げるマシンを使っていた。コーチ陣は、ウェイトボールを使ったトレーニングや、リリースと肩の筋力向上のための投球練習、そして投手陣とのゲームプランニングに時間をかけるために他の選手より何時間も早く球場に到着して練習を終わらせていることを常に注目していた。

 ハンターは語る。「カル・ローリーについては、我々は皆間違っていた。ローリーをチームに迎え入れ、そのまま任せた。大学時代と比べて、成績は2、3段上がった。我々は正しい理由で、正しい人間、そして正しい選手を獲得した。そして、そこに至るまでには皆で力を合わせた努力があった」

2025.10.4 12:23 Saturday

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