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キケ、ロハスら137選手がFAに WS終了翌日、MLB選手会が発表

 激戦のワールドシリーズが終了し、MLBはオフシーズンに突入。2日(日本時間3日)、MLB選手会はフリーエージェント(FA)となった137選手のリストを公開した。

 21世紀初&球団史上初のワールドシリーズ連覇を成し遂げたドジャースからは、キケ・ヘルナンデス、ミゲル・ロハス、引退するクレイトン・カーショウら7選手がFAに。惜しくも32年ぶり3度目のワールドシリーズ制覇を逃したブルージェイズからは、ボー・ビシェット、マックス・シャーザーら6選手がFAとなった。

 最多はレンジャーズの12人。ツインズとカージナルスは1人だけで、マーリンズはFAとなった選手が1人もいなかった。また、日本人選手ではオリオールズの菅野智之が今回のリストに含まれている。

 なお、契約オプションの破棄、オプトアウト権の行使などにより、今後さらにFA選手が増える可能性がある。

 2日(同3日)時点でMLB選手会が発表したFA選手137人は以下の通り。

オリオールズ(3人) ザック・エフリン ゲーリー・サンチェス 菅野智之

レッドソックス(4人) スティーブン・マッツ ダスティン・メイ ロブ・レフスナイダー ジャスティン・ウィルソン

ヤンキース(8人) ポール・ブラックバーン ポール・ゴールドシュミット トレント・グリシャム アメッド・ロサリオ オースティン・スレイター ルーク・ウィーバー デビン・ウィリアムス ライアン・ヤーブロー

レイズ(2人) エイドリアン・ハウザー ココ・モンテス

ブルージェイズ(6人) クリス・バシット ボー・ビシェット セランソニー・ドミンゲス タイ・フランス アイザイア・カイナー=ファレファ マックス・シャーザー

ホワイトソックス(3人) タイラー・アレクサンダー ミゲル・カストロ マイケル・A・テイラー

ガーディアンズ(2人) ジェイコブ・ジュニス レーン・トーマス

タイガース(6人) アレックス・カッブ カイル・フィネガン トミー・ケインリー ラファエル・モンテロ クリス・パダック グレイバー・トーレス

ロイヤルズ(4人) アダム・フレイジャー ハンター・ハービー ルーク・メイリー マイク・ヤストレムスキー

ツインズ(1人) クリスチャン・バスケス

アスレチックス(3人) ホセ・レクラーク スコット・マクガフ ショーン・ニューカム

アストロズ(4人) ビクター・カラティニ クレイグ・キンブレル ブレンダン・ロジャース フランバー・バルデス

エンゼルス(10人) タイラー・アンダーソン アンドリュー・チェイフィン ルイス・ガルシア カイル・ヘンドリックス ケンリー・ジャンセン ヨアン・モンカダ ルイス・レンヒーフォ ハンター・ストリックランド クリス・テイラー ホセ・ウレーニャ

マリナーズ(4人) ケイレブ・ファーガソン ルーク・ジャクソン ジョシュ・ネイラー エウヘニオ・スアレス

レンジャーズ(12人) ショーン・アームストロング パトリック・コービン ダニー・クーロム ジョン・グレイ メリル・ケリー タイラー・マーリー クリス・マーティン フィル・メイトン ホビー・ミルナー ディラン・ムーア ドノバン・ソラーノ ラウディ・テレズ

ブレーブス(4人) ライセル・イグレシアス チャーリー・モートン マーセル・オズナ コナー・シーボルド

マーリンズ(0人)

メッツ(8人) グリフィン・キャニング ライアン・ヘルズリー スターリング・マルテ セドリック・マリンズ タイラー・ロジャース グレゴリー・ソト ライン・スタネック ジェシー・ウィンカー

フィリーズ(9人) ウォーカー・ビューラー マックス・ケプラー ティム・メイザ J・T・リアルミュート デービッド・ロバートソン ジョーダン・ロマノ カイル・シュワーバー レンジャー・スアレス ルー・トリビーノ

ナショナルズ(3人) ジョシュ・ベル ポール・デヨング デレック・ロー

カブス(10人) ライアン・ブレイジャー ウィリー・カストロ アーロン・シバーリ ブラッド・ケラー ドリュー・ポメランツ テイラー・ロジャース カルロス・サンタナ マイケル・ソロカ ケイレブ・シールバー カイル・タッカー

レッズ(5人) ミゲル・アンドゥハー ザック・リテル ニック・マルティネス ウェイド・マイリー エミリオ・パガン

ブルワーズ(2人) シェルビー・ミラー ジョーダン・モンゴメリー

パイレーツ(2人) アンドリュー・マカッチェン トミー・ファム

カージナルス(1人) マイルズ・マイコラス

ダイヤモンドバックス(3人) ジャレン・ビークス ザック・ギャレン ジェームス・マッキャン

ロッキーズ(2人) オーランド・アルシア ヘルマン・マルケス

ドジャース(7人) マイケル・コンフォート アンドリュー・ヒーニー キケ・ヘルナンデス クレイトン・カーショウ マイケル・コペック ミゲル・ロハス カービー・イェーツ

パドレス(6人) ルイス・アライズ ディラン・シース ネスター・コルテス ホセ・イグレシアス マーティン・マルドナード ライアン・オハーン

ジャイアンツ(3人) ウィルマー・フローレス ドミニク・スミス ジャスティン・バーランダー

2025.11.3 08:46 Monday

山本由伸の第6戦の好投を分析 強力打線を2度も抑えた理由

【ブルージェイズ1-3ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月31日(日本時間11月1日)

 ブルージェイズに王手をかけられて迎えたワールドシリーズ第6戦で、ドジャースは3-1で勝利。光ったのは山本由伸(27)の6回1失点の好投だった。「オプタスタッツ」によれば、ポストシーズンで3先発連続で5安打以下、1失点以下、1四球以下、5三振以上に抑え、そして勝利投手になったのは今ポストシーズンの山本が史上初だという。

 しかし、連続の完投勝利を挙げた過去2試合と比べ、第6戦では走者を背負う場面も多かった。しかし、山本は素晴らしい粘りを見せ、強力ブルージェイズ打線をわずか1失点に封じ、ドジャースをがけっぷちから救った。この日の山本の投球について、データも交えて振り返る。

 第6戦で山本は1巡目からすべての球種を満遍なく投じた。これは完投勝利を挙げた過去2戦とは全く異なる傾向だ。

 過去2戦の完投勝利では、1巡目から4巡目まで中心として組み立てる球種を変え、打順ごとに違う投手のように変貌していた。

 ブルワーズ戦では1巡目を3つのファストボール主体で組み立てた。フォーシームを全球種中最多の33%の割合で投じ、日頃は第4、5球種のカットボールとシンカーも合わせて30%に増やし、速球系だけで63%と力で押した。しかし、2巡目からは得意のスプリットを前面に押し出し、最多の37%を投じた反面、レギュラーシーズン中最も多くの割合で投げたフォーシームは1巡目から17%に半減。カットボールも17%の割合で投げた。

 打者の目が慣れてくる3巡目は再びフォーシームを復活させ、最多の34%に増やし、スプリットとカーブの3球種で攻めるレギュラーシーズン中と同様のスタイルに回帰した。そして試合を締めくくる4巡目ではフォーシームを減らし、決め球のスプリットとカーブだけで70%の割合を占めた。そしてそれまで全く投じていなかったスライダーを12%の割合で投げ始め、一転して変化球主体のスタイルになった。

 一方のブルージェイズとのワールドシリーズ第2戦では、1巡目でスプリットを52%の割合で投じる大胆な配球を見せた。そして2巡目はフォーシームを最多の36%で投じ、カットボール、スライダー、シンカーの割合も増やし、6球種すべてを投げた。

 さらに3巡目になると、投球の主体となったのはなんと33%の割合で投げたカットボールで、一方でスプリットは13%まで減らした。試合の終盤に差し掛かる4巡目では、最も頼れるスプリットを再び増やし、35%の割合で投げた。

 シーズン中は用いなかったカットボール、スライダー、シンカーを多投する打順も作る一方で、ポストシーズンから最も多く投げているスプリットでここぞの場面を乗り切る。それが山本の過去2戦の傾向だった。

 しかし、第6戦では3巡の対戦すべてで6球種をバランスよく投じた。過去2戦において、6球種すべてを用いたのは8巡の対戦のうち、わずか1巡(ブルージェイズ戦の2巡目)しかなかった。

 第6戦における各打順の投球割合を見てみよう。

 1~3巡すべての打順で、山本が最も多投したのはスプリットだった。そして2番目がフォーシーム、3番目がカーブと、主要3球種の投球割合は変わらなかった。

 つまり、山本はこの第6戦では、自分が最も得意とする球種構成で常にブルージェイズ打線に挑み続けていた。ただ、第6戦では1巡目に41球(ブルージェイズとの第2戦では33球、ブルワーズ戦では24球)を要していた。つまり、長いイニングを投げることを狙って配球にバリエーションをつける余裕がなかった可能性も考えられる。しかし、自分が最も得意とするスプリット主体の球種構成で挑む配球は、試合の随所で垣間見えた。

 「困ったらスプリット」。それが第6戦の山本の特徴であり、その狙いはまさに的中していた。山本は走者を背負った場面では51.6%の割合でスプリットを投じていた。そのうち、10度のスイングを誘って空振り5度、ファウルが2度、凡打が3度と、効果は絶大だった。

 象徴的だったのが最後の対戦だった六回2死一、二塁でのドールトン・バーショとの対戦だ。山本は4球すべてスプリットで挑み、見事に空振り三振に抑えた。 山本自身も「前回に続いての対戦だったので、相手の待ち方だったり、どういう球を狙ってくるかとか、多少探りながら投げた配球も多かったです。探りながらになったので、ちょっと迷った時はスプリットを行くことが多かったです。結果的に最少失点で抑えられたので良かったと思います」と振り返った。

 そして、スプリット主体のスタイルを貫いたこと以外で印象的だったのは、初球の入りだ。山本は初球から仕掛ける積極打法で戦局を変えてきたブルージェイズ打線に対し、語った通り「探りながら」も、大胆に初球から攻めた。

 この第6戦で山本は初球ストライク率74%を記録。これは過去2度の完投勝利を挙げた試合よりも高く(ブルワーズ戦が69%、ブルージェイズ戦が63%)、レギュラーシーズンと合わせた今季の全35先発の中でも3番目に高い割合だった。

 とはいえ、山本は第6戦でストライク先行で投げられたわけではなかった。ストライク率は66%と、70%を超えた過去2戦と比べて低下。過去2戦では3ボールまでカウントがもつれたのはわずか4打席しかなかったが、第6戦だけでも6打席も3ボールまでもつれた。特に、見逃しストライクを取る大きな武器となっていたカーブが18球投げて見逃しストライク3度、空振りもわずか1度とやや精細を欠いていたのが響いていたかもしれない。

 しかし、コマンドが過去2戦に比べて低下していたからこそ、初球のストライクがもたらした意味は大きかったと言えるだろう。

 山本は積極的なブルージェイズ打線に対し、初球ストライクを奪う上で慎重を期していた。ブルージェイズと対戦した第2、6戦では、打席の初球で6つの球種すべてを用いた。レギュラーシーズン中、打席の初球で6球種すべてを用いたのは、30先発中5先発にとどまる。ブルワーズ戦でも初球では得意のスプリットとカーブを多投し、実に75%をその2球種だけで占めていた。

 しかし、ブルージェイズとの2戦では、より読まれにくいように予想外の球種を投じる割合が増加。スプリットとカーブを初球に投じた割合は50%に、レギュラーシーズン中は最も初球に多く投じたフォーシームも18%に抑えた一方で、主要3球種以外の3球種(カットボール、シンカー、スライダー)を30%に増やした。

 このポストシーズンにおいてブルージェイズ打線と対した山本以外の先発投手の防御率は、実に9.00(53回、53自責点)に上る。一方で山本の防御率は1.20で、ブルージェイズと対戦した12人の先発投手の中でも最も低く、ブルージェイズ打線を手玉に取った唯一の投手だったと言える。

 山本の好投に救われたドジャースが第7戦を制して連覇を成し遂げれば、ワールドシリーズMVPが誰かという議論はそう長くかからないはずだ。山本はこのポストシーズンでの活躍で、タリック・スクーバル(タイガース)やポール・スキーンズ(パイレーツ)といった球界トップクラスの投手に引けを取らない実力の持ち主であることを完全に証明したように映る。

2025.11.1 19:06 Saturday

第6戦を決着させたダブルプレー 数字で見るキケのスーパープレー

【ブルージェイズ1-3ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月31日(日本時間11月1日)

 ドジャースは九回、2点のリードを保っていた。1死二、三塁で打席にはワールドシリーズ制覇を決める決勝点の走者となるヒメネスが入った。ヒメネスはグラスナウの直球を逆方向に飛ばすと、二塁走者バージャーはハーフウェイで待機し、もしボールが落ちれば同点打を狙えると踏んだ。

 「落ちるな」ドジャースのデーブ・ロバーツ監督がそのとき考えていたのは、それだけだったと記憶している。「落ちるな」

 ボールは落ちなかった。そしてバージャーは二塁に戻れなかった。そしてドジャースはワールドシリーズ第6戦に3-1で勝利し、フォールクラシックは第7戦へと突入する。

 キケ・ヘルナンデスはポストシーズンで最高の瞬間を演出することで名声を博してきた。そして第6戦でも最も記憶に残る瞬間の一つを演出した。

 ヘルナンデスはヒメネスのライナーをジャンプして捕球し、そのままワンモーションで二塁へ送球。ショートバウンドになった送球を二塁手ミゲル・ロハスが巧みに捕球した。

 そしてバージャーはアウトになり、ドジャースが勝利。送球の勢いのまま内野に到着したヘルナンデスは、遊撃手のムーキー・ベッツに飛びつかれた。 「かなり壮大な結末だ」と、ロハスは言った。

 冗談ではなく、これはまさにヘルナンデスの活躍による史上最高のエンディングだった。まずは完ぺきなポジショニングから見ていこう。

・ヘルナンデスはヒメネスと272フィートの深さで対戦したが、これは今季左打者に対してレフトが守る平均よりもなんと26フィートも浅い。 ・これはある程度、パワーが脅威ではないヒメネスのせいだ。ヒメネスに対するレフトの守備位置は平均で285フィートで(158人中151位の浅さ) ・ヘルナンデス自信は浅く守ることを好む。平均の左打者に対する守備位置は285フィート(119人中107位の浅さ)。 ・それでもヘルナンデスは平均よりさらに浅く守った。ヘルナンデスはワールドシリーズでヒメネスに対して平均273フィートの位置で守っている。ドジャースの他のレフトに比べると、24フィートも浅い。

 「グラスナウの持ち球からすると、左側に打球が飛んでくると予想していた。二塁に同点の走者がいたから、浅めに守っていた。ショートを抜けるヒットを打たれたら、二塁の同点の走者を三塁にとどめられるくらいに浅く守っていたかった」と、ヘルナンデスは振り返る。

 ヘルナンデスのポジショニングは完ぺきだった。プレーそのものも完ぺきだった。ヘルナンデスはそれでもかなりの距離を、正確には3.4秒で52フィートを走破する必要があった。バットを振った瞬間の読みは絶妙だった。ヘルナンデスは想像を絶する最高のスタートを切り、バージャーが予想だにしなかったキャッチを決めた。

 「彼(ヘルナンデス)がボールにたどり着いたことには本当に驚いた。最初はショートの頭上を越えるだろうと思った。まさかあんなに飛ぶとは思わなかった。読みが悪かったんだ。明らかにベースから離れすぎていた。・・・攻めすぎていた」と、バージャーは語る。

 スタットキャストによれば、ヘルナンデスの「ジャンプ」はリーグ平均より7.3フィート優れていた(「ジャンプ」とは、ボールが打たれてから最初の3フィート以内に正しい方向に足を踏み出した距離と定義)。もしヘルナンデスの「ジャンプ」がこれより劣っていても捕球自体は成功していたかもしれないが、それではバージャーを間一髪でダブルプレーにすることはできなかっただろう。

 そして、このプレーの最後の場面に移ろう。これは決して見逃せない部分だ。ヘルナンデスはできるだけ早くボールを持ち替えようとした。送球は正確だったが、途中でバウンドしてしまった。 「全速力で走っていたから、あまり強く投げたくなかった。おそらく頭上に投げてしまうと思ったから」、とヘルナンデスは振り返る。

 しかし、送球を受けたロハスはこう言った。 「ヘルナンデスがボールを二塁に投げたとき、私は『このボールは絶対に逸らさない』と言ったんだ」

 実際、ロハスの巧みな捕球が第6戦の勝利を決定づけた。左足でベースを踏み、グラブを出すのを我慢したことで、ボールの跳ね方を読む時間を稼いだ。バージャーの左手がベースに触れるほんの一瞬前に、ロハスはグラブの中でボールを握りしめた。

 ロジャースセンターが静まり返る中、ドジャースの選手たちがダグアウトから続々と出てきた。審判団がリプレイ確認中を告げると、球場のファンに一瞬の希望が蘇った。間もなく、バックスクリーンに決定的な映像が映し出された。球場から観客が減り始めると、ドジャースの選手たちは次々と抱擁と握手を交わした。

 「素晴らしいワールドシリーズだ。第7戦までもつれ込むのは当然だ」と、ヘルナンデスは言う。それは主にヘルナンデス自身のおかげだ。

 「すごい選手だ。すごいプレーだった」と、ロバーツ監督。勝負はあすの第7戦に持ち込まれた。

2025.11.1 17:13 Saturday

ドジャースがWS第6戦を取る 山本が6回1失点、劇的な幕切れで逆王手

【ブルージェイズ1-3ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月31日(日本時間11月1日)

 ブルージェイズが3勝2敗と王手をかけて迎えたワールドシリーズ第6戦は、山本由伸(27)が粘りの好投でドジャースを勝利に導いた。山本は走者を背負いながらも要所を締め、6回1失点をマーク。その後もドジャースのブルペン陣はピンチを招きながらも決定打を許さず、最後は佐々木朗希(23)が6アウトセーブを挙げた。ドジャースとブルージェイズは3勝3敗に並び、あす運命の第7戦を迎える。

 ブルージェイズ先発のケビン・ゴーズマンは序盤から絶好調で、二回までに6三振。三回も先頭を三振に仕留めたが、続くエドマンに二塁打を浴び、2死二塁で大谷を迎えた。ゴーズマンは大谷翔平を申告敬遠したが、続くスミスにタイムリー二塁打を浴びて1点を失った。そして二、三塁からフリーマンを歩かせると、不振のベッツにも2点タイムリーを打たれ、0-3とリードされた。

 一方のブルージェイズ打線も、直後の三回の攻撃でスプリンガーがタイムリーを放ち、ドジャース先発の山本由伸から1点を返した。

 ドジャースが3-1とリードした三回以降は、山本とゴーズマンが好投。ゴーズマンは3点を失った三回以外はすべて三者凡退に抑え、6回3失点、8三振、2四球とクオリティスタート。三回までに奪った8三振は、ワールドシリーズ記録タイに並ぶなど、大一番で実力を発揮した。

 しかし、山本が粘りの投球でまたしてもゴーズマンを上回った。三回から毎回走者を背負ったが、ピンチの場面ではスプリットを多投して失点を1にとどめた。最後のイニングとなった六回には、2死からゲレーロJr.に二塁打を浴び、四球で一、二塁のピンチを背負ったが、バーショを全球スプリットで空振り三振に仕留めた。山本は6回1失点、6三振、1四球で降板。がけっぷちのチームを救う好投を見せた。

 試合は3-1のまま終盤に突入し、ドジャースは2番手ロブレスキーが七回を抑えたあと、八回から佐々木朗希を投入。佐々木は先頭のスプリンガーに不運な安打を許し、1死からゲレーロJr.に四球を与えて、一、二塁のピンチを招いた。しかし、後続のビシェットとバーショを打ち取って無失点。

 しかし九回は先頭から死球と二塁打を与え、無死二、三塁のピンチを背負ったところで佐々木は交代となり、第7戦先発予定だったタイラー・グラスナウが4番手として登場した。グラスナウはクレメントをファーストフライ、続くヒメネスもレフトライナーも打ち取った。ここで二塁走者バージャーが飛び出したのを見逃さず、レフトのキケ・ヘルナンデスが素早い送球でダブルプレーを奪い、ゲームセット。劇的な幕切れでドジャースは逃げ切り、連覇に望みをつないだ。

2025.11.1 14:04 Saturday

エンゼルスがマダックス投手コーチをレンジャーズから引き抜き

 新監督カート・スズキを迎えたエンゼルスが、新たな投手コーチを見つけた。エンゼルスは31日(日本時間11月1日)、バリー・エンライト前投手コーチの後任として、マイク・マダックス氏がレンジャーズから就任すると発表した。

 マダックス氏はレンジャーズに3シーズン在籍し、2023年に球団初のワールドシリーズ制覇に貢献。64歳のマダックス氏は、ブルワーズ(2003~2008年)、レンジャーズ(2009~2015年、2023~2025年)、ナショナルズ(2016~2017年)、カージナルス(2018~2022年)で投手コーチを務めており、豊富な経験を持つ。また、殿堂入り投手グレッグ・マダックスの兄である本人も、MLBで投手として15年のキャリアを誇る。

 名伯楽として知られ、今季指導したレンジャーズの先発投手陣はMLBトップの防御率3.41を記録。ブルペン陣も短期契約の投手が大半を占めながら、MLB5位の防御率を残した。

 マダックス氏の新たな課題は、MLBワースト3位の防御率4.89を記録したエンゼルス投手陣の再建だ。K/BB(三振率と四球率の比率)も10.6%と、ロッキーズしか下がいないMLBワースト2位を記録している。

 右腕のホセ・ソリアーノ、左腕の菊地雄星、リード・デトマーズだけが先発ローテーションの確実なメンバーであり、ベテランクローザーのケンリー・ジャンセンもフリーエージェント(FA)で流出することが予想され、その陣容は固まっていない。マダックス氏は、チームに多くいる若手投手のケイデン・デイナ、ジョージ・クラッセン、サム・アルデゲリ、ライアン・ジョンソン、クリス・コルテス、そして今季のドラフト全体2位指名のタイラー・ブレムナーらの育成を担う。

 しかし、マダックス氏のこれまでの実績を考えれば、特にブルース・ボウチー監督の下で3年間の成功を収めたあと、ライバルチームから引き抜いたのはエンゼルスにとっては大きな採用だ。

2025.11.1 11:08 Saturday

ナショナルズ新監督に33歳ブテラ氏が就任か 53年ぶりの最年少監督に

 ナショナルズが次期監督を決定し、33歳のブレイク・ブテラ氏を任命すると見られている。球団はまだこの報道を認めていない。分寺は1992年8月7日生まれで、MLBでは1972年以来、最も若い監督となる。

 ブテラ氏はレイズで2023年10月に選手育成担当シニアディレクターに昇進。レイズのファーム組織のディレクターを務め、選手育成にかかわっていた。

 それ以前はレイズでアシスタントフィールドコーディネーターを1年間、マイナーリーグのコーチを1年間務めたあと、1Aのチャールストンと1A-ハドソンバレーでマイナーの監督を歴任。2018年には25歳でマイナーリーグ史上最年少の監督となった。

 ブテラは選手時代、ボストン大学から2015年ドラフト35巡目でレイズに入団。ブランドン・ラウやジェイク・クロネンワースと同期で入団し、マイナーで2シーズンプレーした経験がある。

 ナショナルズは10月、ポール・トボニを新たに球団編成部長に任命し、長年続いたマイク・リゾーGM体制から新時代へ移行した。

 トボニ編成部長は新監督にMLBでの監督経験が求められるかどうかについて「考慮すべき要素の一つではあるが、すべてではないのは確かだ。様々なスポーツで、初めての就任で成功を収めた監督やヘッドコーチは数多くいる。また、一度は失敗しても、二度目のチャンスを得て大成功を収めた監督やヘッドコーチもいる。だから、考慮すべき要素ではあるが、決してすべてではない」と、必ずしも経験にこだわるわけではないと明かしていた。

 ブテラ氏はボストン大でコミュニケーション学の学位を取得している。また、野球家系の出身で、父と兄もドラフト指名を受けている。

 そして、2023年ワールドベースボールクラシック(WBC)では、マイク・ピアッツァ監督の下、イタリア代表のベンチコーチを務めた。

 ピアッツァ氏は「素晴らしい採用だと思うし、本当に嬉しい。ブテラ氏は非常に忠実で、勤勉で、効率的で、献身的な野球人だ。その知識と物腰は尊敬を集めている。常に選手たちが成功できるよう尽力して​​くれるだろう。彼と一緒に仕事ができて光栄だった」と、ブテラ氏に太鼓判を押す。

 ナショナルズは新時代への転換期にあり、2019年の優勝監督デーブ・マルティネスを7月に解任。暫定監督を務めたミゲル・カイロとも契約を更新せず、新監督を探していた。

 ナショナルズは2025シーズンを66勝96敗で終え、過去6シーズンで5度目の最下位と辛酸を嘗めた。得点力はリーグワースト3位、防御率はMLBワースト2位と、投打ともに実力不足が否めない。

 一方で、将来性豊かなチームでもある。選手の平均年齢はMLBで2番目に若く、スター候補も多い。この数年間は世代交代を進めており、ブテラ新監督より年上の選手は右腕トレバー・ウィリアムズ(1992年4月生まれ)のみ。先日は小笠原慎之介(28)を40人枠から外すなど(アウトライト)、未来へ向けた舵取りを行っている。

 ブテラ新監督は、外野手ジェームズ・ウッド(23歳)、遊撃手CJ・エイブラムス(25歳)、左腕マッケンジー・ゴア(26歳)といった若い選手の才能を最大限に引き出し、再建を進めることが期待される。

 また、このニュースを受けてオリオールズの新監督に就任したクレイグ・アルバーナス氏もエールを送った。マイナーリーグではコーチとして同僚だったブテラ氏に対し、アルバーナス氏は「私の相棒!素晴らしい人間であり、友人であり、夫であり、そして師。リーグの他のメンバーもこの衝撃に備えてくれているといいな。兄弟、誇りに思うよ」と、Xに綴った。

2025.10.31 14:31 Friday

山本由伸、2試合連続完投の要因とは 多彩な武器とコントロールを活用

 先発投手がポストシーズンで完投するのは、現代では非常に珍しい。2試合連続となるとなおさらだ。

 しかし、完投から中1日で登板可能だったゴムのような右腕を持つ山本由伸は、それを成し遂げた。そしてワールドシリーズ敗退の瀬戸際に立つドジャースは、第6戦でも山本に3度目の快投を期待している。

 3試合連続完投の偉業を成し遂げられるとすれば、それは山本だ。山本が最後にこのような状況に置かれたとき、2023年の日本シリーズの第6戦では14三振、138球の完投劇を見せた。

 ここでは山本のポストシーズンの投球を分析。快投の要因は何だろうか。

山本は2つの決め球を完ぺきにコントロールしている

 山本の得意の変化球、スプリットとカーブはポストシーズンで最高のパフォーマンスを見せている。山本はまさに狙った場所にこの2球種を投げ込んでくる。

 山本のスプリットはストライクゾーンの端(左打者には外角、右打者には内角)に綺麗に集められている。ストライクゾーンの端に投げ込まれると、打者は思わず振りたくなるが、正確に投げ込まれると空振りかゴロに終わる。

 この2試合で、山本が投げたスプリットの56%はエッジゾーン(ストライクゾーンの境界線から野球ボール1球分の幅以内の位置)に投げられた。スプリットはストライクゾーンよりかなり下にボール球を追いかけさせるために投げられることが多いため、この割合は非常に高い。ポール・スキーンズ(パイレーツ)のスプリンカーのように、これほど頻繁にエッジにスプリットを投げる投手はごくわずかだ。山本でさえ、レギュラーシーズン中はエッジにスプリットを投げたのは「わずか」43%だった。

 山本のカーブはそれと少し変わっている。彼のカーブは、カウント序盤にゾーンに投じてストライクを取り、カウントが整うとコーナーからボールゾーンに追いかけさせるために投げられている。

 山本が2試合で投げたカーブの半分以上、58%はストライクゾーンに入っていた。スプリットがエッジゾーンへの投球率が異例に高かったのと同様に、ゾーン内投球率もカーブとしては非常に高い(対照的な例として、山本のチームメイトであるブレイク・スネルを見てみよう。スネルのカーブは打者にボールの上を振らせるため、ほとんどの場合、ゾーン外の低めのカーブを投げている)。

 山本のカーブは鋭い変化ゆえにゾーン内で機能している。カーブの変化量は、横変化が12インチ(30センチ)、縦変化が16インチ(41センチ)あり、平均より横変化が3インチ(8センチ)、縦変化が6インチ(15センチ)も大きい。

 山本のカーブはスプリットと同様に三振とゴロの両方を狙える。三振はブルージェイズのような危険な打線をローリスクに抑える手段であり、ゴロは少ない球数で試合を進める手段となる。

 山本は2度の完投で15三振のうち8三振をカーブとスプリットで奪った。ゴロによるアウトも16度を数えた。山本は今季、ゴロで2桁のアウトを記録した試合が3度あり、そのうち2試合は直近2試合の完投だった。これは主にスプリットとカーブのおかげだった。

山本は配球パターンを変えられる

 ただ、完投するためには、相手打線と少なくとも3巡、場合によっては4巡打ち取らなければならない。そして同じ球種を何度も投げ続けていれば、それは不可能だ。

 現代野球では、対戦回数が増えるほどに投手が不利になっていくことが分かっている。対戦回数が増えるほど、打者は目を慣らし、投手を打てるように鳴っていく。昨今のポストシーズンでは先発投手が早く降板することが当たり前になっている。

 山本はスプリットとカーブに頼り切りにならず、バリエーションを増やしている。ブルワーズとの試合では、

・序盤はフォーシーム、カーブ、スプリット、カットボール、シンカーをバランスよく組み合わせた。 ・3巡目は序盤に多用しなかったフォーシーム、スプリット、カーブに頼った。 ・試合終盤にはこれまで使っていなかったスライダーを織り交ぜた。 ・相手の打順ごとに最も多く投げた球種を変えた。フォーシーム、スプリットをそれぞれ交互に多用。

 一方で、ブルージェイズとの試合では、

・危険なブルージェイズ打線に対し、序盤は最も得意なスプリットを多用。 ・2巡目はフォーシーム主体だったが、唯一6球種すべて織り交ぜた。 ・3巡目はそれまでほとんど投げなかったカッターを用い、ブルージェイズ打線を驚かせた。 ・中盤でスプリットを減らしたあと、終盤でスプリットを復活させた。ただ多用した序盤よりバランスよく投じた。

 山本は打順ごとにレパートリーを組み替えた。第6戦でも同様の戦略で挑むだろう。

予測不可能なストライクとアウトを奪う

 山本の6球種を織り交ぜるスタイルは、多くの球種を織り交ぜる昨今のトレンドと一致しており、有利に働いている。

 6球種をバランスよく織り交ぜれば、試合が進むにつれて打者の目が慣れるという弊害を軽減できる。

 しかし、山本はどんなカウントでもすべての球種を投げられることで、打者をより効果的に攻められている。

 ポストシーズンでは浅いカウントで幅広い球種を投じ、ストライクやアウトを奪うことができている。

 山本は最初から最後まで最高の球種だけで打席を乗り切っているわけではない。カウント序盤からすべての球種を投げ込んでいる。

 例えば、カッターを投げることで、山本は左打者を寄せ付けず、あるいは右打者をカウント序盤に弱い打球をゴロに仕留めることができた。山本は2度の完投でカットボールで6度のゴロアウトを誘った。そのうち5度は打席の最初の2球以内に生まれたものだった。

 山本はカウント序盤から多彩な球を投げるため、フォーシームばかり投げているわけではない。ブルワーズとブルージェイズに対して初球でフォーシームを投じたのは合計9度のみで、打席開始から2球目までのフォーシーム投球率はわずか18%だった。打者はカウント序盤から山本のカッター、カーブ、スプリットといっ​​た球種にも備えなければならないため、フォーシームに狙いを定めることができなくなる。そのため、山本はカウント後半でもフォーシームで相手を仕留めることができるのだ。

 山本はすべての球種をストライクとして投げることができるため、カウントを有利にすることも、素早く打者を打ち取ることもできる。直近2試合では、初球のストライク率は66%、打席の40%以上はカウントが有利な状況で決しており、対戦した64打者のうち、3ボールまでもつれたのはわずか4打者のみだ。

 つまり、山本の勝利の公式とは、9イニング連続で投げても相手に有利に立てる多彩な武器と、それを操るコントロールにある。第6戦でも同様にブルージェイズ打線を抑えられるだろうか。

2025.10.31 14:08 Friday

ベッツ不振の原因はスイングにあり? コンパクトな振りが大振りに

 ワールドシリーズを5試合終えた時点で、ドジャースの打線は打率.201、出塁率.296、長打率.354と低迷している。第3戦で9度出塁した大谷翔平でさえ、他の4試合では2安打2四球と苦しんでいる。デーブ・ロバーツ監督は打線を組み換え、第5戦ではウィル・スミスを2番に上げ、ポストシーズン史上最低レベルの打撃成績を収めているセンターのアンディ・パヘスをスタメン落ちさせた。

 これらは妥当な選択ではある。しかし、結局のところ、チーム次第のスター選手の一人が打てていなければ、できることは限られている。3度の世界一、8度のオールスター選出、そして前代未聞のコンバートを成功させたムーキー・ベッツが、本来の姿を見失っている。ドジャースの1、2番を担ってきたベッツは第5戦で4年ぶりに3番に降格。ただ、それでも現状は変わらず、4打数無安打に終わった。 「とにかくずっと酷い。努力不足が原因だったらよかったのに、そうじゃないんだ」と、ベッツは胸中を明かした。

 ベッツは5試合でわずか3安打、すべて単打で、長打は1本だけだ。ブルワーズとのリーグ優勝決定シリーズ(NLCS)ではわずか2安打、フィリーズとの地区シリーズ(NLDS)では4安打だったが、それとは対照的だ。ワイルドカードシリーズ(WCS)の2試合ではレッズ相手に6安打を放ったが、それは今から1ヶ月前のことだ。第6戦が行われる10月31日(日本時間11月1日)には、彼が最後に本塁打を打ってから6週間が経つことになる。今ポストシーズン、各チームがベッツを打席に立たせるために大谷の故意四球を積極的に選んでいるのは、まさにこのためだ。

 ベッツの不調の理由を明確に言うのは難しい。それは、2025年シーズン全体の見通しを明確に把握するのが難しかったのとほぼ同じだ。シーズン序盤は低調で、最初の100試合でOPSが.674だったものの、7月に予定外の休養を取って「リセット」し、その後、最後の50試合でOPSが.846と好調に転じた(シーズン序盤には、深刻なウイルス感染症で開幕を棒に振ったこと、5月に左足の指を骨折したこと、そして7月下旬に義父が他界したことでチームを離れたことなど、個人的な問題があったことは指摘できる。色々な意味で長い1年だった)。

 ベッツのシーズン全体の調子を把握するのは難しいとしても、スイングの調子を見る方がずっと簡単だ。少なくとも、そこには興味深い調査対象がある。ワールドシリーズでのベッツのスイングは、ポストシーズン序盤と比べてもかなり異なっているのだ。

 ベッツのスイングデータは、ワールドシリーズでのスイングは長くなっており、一発狙いのようなスイングになっていることを示している。

 ワールドシリーズでのスイングのアタックアングルは13度と、シーズン中の9度、そしてMLB平均の10度よりかなり上がっている。ボールに当たる瞬間のバットの(垂直)角度を示すアタックアングルの値が大きいということは、より打球を打ち上げる志向のスイングになっていることを示している。事実、13度という数字は、マット・ウォールナー(ツインズ)やサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)といった「三振か本塁打か」の傾向が強いパワーヒッターに近い。

 さらにボールに対するバットの(水平)角度を示し、引っ張り/流し傾向の強さが分かるアタックディレクションも激変。NLCS以前は7度から4度だったのに対し、ワールドシリーズでは12度と、かなり極端になっている。MLB平均は0度にもかかわらず、MLB屈指のプルヒッターとして知られるイーサック・パレイデス(アストロズ)の15度に次ぐ数字となっている。

 ベッツのスイングは打球を打ち上げ、引っ張ることを狙ったような大振りとなってしまっているが、実際に本塁打にはつながっていない。ただ、三振にもつながっていない。ほとんどがポップフライと弱い外野フライにつながっている。ベッツのフライ数は10度を数え、ワールドシリーズではトミー・エドマンと並んで最多記録だ。弱いフライは幸運でヒットになることも、相手守備の乱れを誘うこともほとんどない。よって、ベッツの打率は.143に低迷するのも頷ける。

 ただ、ベッツのスイングスピードは驚くべきことにわずかに上がっている。これは、パワーを生み出そうと強振しているか、それともスイングスピードのピーク時にボールを前で捌こうとしているからなのかは分からない。しかし、いずれにせよ、ベッツのスイングスピードはこの不振を紐解く鍵ではない。

 「ベッツは(自分に)プレッシャーをかけていると思う。少し不安な気持ちがあるのがわかると思う」と、ロバーツ監督は言う。ドジャース打線全体の苦戦を考えれば、自分にプレッシャーをかけてしまうのも理解できる。

 チームの打撃コーチ、そして元チームメートのJD・マルティネスに指導を受けたベッツが、後半戦から調子を上げたのはスイングの変更によるものだった。

 その要因は、引っ張った本塁打に頼らず、コンパクトなスイングでラインドライブを打っていたことだ。確かに完ぺきな打球が本塁打になったこともあったが、それは本質ではない。今ワールドシリーズでベッツが見せているのは、改善された後半戦のスイングではない。上位10%のスイングスピードと打ち上げるスイングを両立させるのは難しいのだ。

 皮肉なことに、これは昨今のMLBでよく耳にする、打者がスイングスピードを向上させ、打球を打ち上げて本塁打を狙う話とは正反対だ。このトレンドに則るには最低限のスイングスピードが必要だ。ただ、ベッツはもともとスイングスピードが速いタイプではない。

 「少しはメカニクスの問題もあるし、いい投球をされているのもある。ベッツは一生懸命頑張っている。今はとにかく、打席に立って4、5打席いい打席に立つことが大事だ」とロバーツは言った。

 ここで忘れてはならないのは、ベッツを抑えた投手側の功績だ。ブルージェイズの投手陣、特に若手のトレイ・イェサベージを称賛しないのは職務怠慢と言えるで。22歳の右腕は6打席でベッツを無安打、1四球に抑えた。

 ブルージェイズ投手陣のアプローチも効いている。ベッツに対する104球の中で、オフスピードピッチ(チェンジアップ、スプリットを含む球種分類)はわずか1球。イェサベージやケビン・ゴーズマンといったスプリットを武器とする投手とも対戦しているにもかかわらず、これは10月にベッツが対戦した4つのチームの中で、圧倒的に低い割合だ。

 もちろん、ただ不振のタイミングが巡っているだけということも考えられる。どんな偉大な打者にも不振の時期はある。たとえば、ドジャースはワールドシリーズでOPS.651と苦しんでいるが、レギュラーシーズンでも5試合のスパンでOPS.651未満と苦しんだ時期は22度もあった。

 ドジャースはまだ逆転を狙える。第2戦と第3戦で同じ連勝を収めたドジャースに、再び連勝を求めるのは無理な話ではない。まだ終わりではない。ただ、ベッツにはこれまで以上に多くのことが求められる。しかし、それは今のようなパワー重視のスイングではないかもしれない。

2025.10.31 13:02 Friday

ドジャースの救援投手が帽子に“51”と刻んでいるワケ

 過去3試合、ドジャースのリリーフ投手は全員、ワールドシリーズのロゴの横に小さな刺繍が施された帽子をかぶっている。その刺繍とは、小さくあしらわれた51の数字だ。

 これは、背番号51の左腕アレックス・ベシアとともに戦う意思を示すものだ。ブルペン陣の切り札だったベシアは、妻ケイラと家族の事情でワールドシリーズからロースター(出場選手登録)を外れた。ドジャースは第1戦以降、ベシアに関する追加情報を発表していないが、ワールドシリーズ期間中の復帰は見込まれていない。

 「トロントにいた頃から、私たちはベシアと彼の家族への愛とサポートを示すために、様々な方法を考えてきた。ただ、私たちは本当に彼らがいなくて寂しいし、彼らが今経験していることに比べれば、野球など全く関係ないと思っている」と、エバン・フィリップスは語る。

 野球という枠を超えた大きな状況において、ベシアはまさに必要な場所にいる。シーズンを通してブルペン陣で幾度となく活躍したベシアに続き、他のブルペン陣も残り1、2試合で同じように活躍しようと、彼の背番号をキャップに刻み、敬意を表している。

 ブルージェイズとのワールドシリーズでは、ベシアの不在が様々な意味で顕著だった。ジャック・ドライヤーはシーズンを通して深い絆を築いてきたキャッチボール相手を失った。ドジャースは頼れる火消し役を失い、わずかなリードを許した試合が大敗につながった。しかし、最終的に最も痛い喪失は、投手という以上にベシアという人物だった。

 「ベシアは、自分のパフォーマンスやチームの成績、曜日に関係なく、毎日同じ人だ。彼はいつも同じエネルギーを持った人だ。それはスタッツシートで測ったり見たりできるものではないが、チームに多くのものをもたらし、大きな助けになっている。彼がいないのは寂しいけど、彼とケイラが元気でいてくれることを願っている」と、ドライヤーは語る。

 ドジャースのブルペン陣が最も力を発揮したのは、ベシアを称える帽子を初めて被った夜だった。歴史に残る死闘となった第3戦では、ドジャースのブルペン陣が9人全員を投入し、13回1/3をわずか1失点に抑えた。期待されていなかったドジャースのブルペン陣が輝いた瞬間。全員が帽子のベシアの51番を背負っていた。

 「ベシアはブルペンにとって大きな存在だ。彼はリーダーだ。この役割に慣れるだけでも、本当に助けになってくれた。彼がいないのは辛い。彼のことを考えて、私たちはただそうした。そして、それは彼のためだった」と、ポストシーズンからブルペンに転向したエメット・シーアンは言う。

 大ベテランのカーショウもこう語った。 「ブルペンに入ったのは初めてだ。でも、ベスは私たち全員にとって大切な存在。彼はこのチーム、そしてブルペンにとって大きな存在だ。彼に敬意を表すために何かしたかった」

 ベシアの離脱はさておき、ドジャースのワールドシリーズにおけるブルペン陣は、連覇を目指して構築した強力なブルペンとは程遠い。昨オフに大型フリーエージェント(FA)として獲得したタナー・スコットとカービー・イェーツはロースターに名を連ねていない。フィリップス、ブルスダー・グラテロル、マイケル・コペック、そしてトレード期限前に獲得した唯一のリリーフ投手であるブロック・スチュワートもロースターに名を連ねていない。

 不振からケガに至るまで、今季のドジャースの苦境の多くはブルペンが中心となってきた。その間ずっと、リリーフ投手陣は互いに支え合ってきた。新人のドライヤーは語る。 「ブルペンとして、私たちは本当に家族だと思っている。チームの誰かが何か問題を抱えている時はいつでも、フィールド内外で彼らを支えるんだ」

2025.10.31 12:21 Friday

がけっぷちに追い込まれたドジャース 「何の問題もない」

【ドジャース1-6ブルージェイズ】ロサンゼルス/ドジャースタジアム、10月29日(日本時間30日)

 ドジャースが本拠地での今季最後のイニングをプレーしているとき、試合中は満員だった観客の中から「シリーズはまだ終わっていない!」とチャントを生み出そうとする声が聞こえた。

 散発的に続く声はあったが、すぐにそれは消え、球場はずっと前から広がっていた諦めの雰囲気に戻った。

 ドジャースは2024年の地区シリーズ以来初めて、「あと1敗でシリーズ終了」の瀬戸際に置かれている。 「まだ可能性はあると思う。もっと可能性はあると確信している。2勝はしたが、結局は1試合の結果にかかっている。これまで何度も負ければ終わりの試合を経験してきたが、その逆境を乗り越える方法を見つけたと思う」

 ドジャースにとって、歴史は不利な状況を示している。最大7戦のシリーズで2勝2敗のタイとなった場合、第5戦の勝者は68回中48回(67.6%)でシリーズを制している。現行のフォーマットでは、アウェイで第5戦に勝利して3勝2敗のリードを奪い、その後ホームに戻って第6戦以降に挑んだチームは、27回中20回(74.1%)シリーズを制している。

 しかし、結局オッズはオッズに過ぎない。ドジャースは依然もオッズを覆している。とはいえ、彼らが第5戦に敗れたのは、ワールドシリーズの歴史において間違った側に立っていたことが大きな要因だった。

 試合の最初の3球が、その夜の試合の流れを大きく決定づけた。ブレイク・スネルは、デービス・シュナイダーへの初球をとらえられ、レフトへ先制ソロを被弾。スネルはその2球後にも同様のミスを犯し、ブラディミール・ゲレーロJr.に痛恨の2本目のソロを浴びた。試合開始から2者連続本塁打はワールドシリーズ史上初だった。

 「試合の初球、内角高めの直球。98マイル(約157.7キロ)出ていた。不運だった。そしてそれからブラッド(ゲレーロJr.)。あれはただの悪いボールだった」と、スネルは振り返った。

 スネルと対したトレイ・イェサベージは7回1失点、12三振の快投。76年間破られなかったワールドシリーズ新人記録を塗り替え、ドン・ニューカム(1949年、ブルックリン・ドジャース)が成し遂げた11三振を更新した。

 ドジャースのブルペン陣はまたしても不安定なパフォーマンスだったが、打線がそれ以上に振るわなかったため、問題にはならなかった。ドジャースはより良いパフォーマンスを発揮できると分かっているが、それを見極める時間は限られている。

 ドジャースが最後に「負ければシーズン終了」に追い込まれた2024年の地区シリーズから何かを学ぶとすれば、それは粘り強く戦い続けることだ。特に第6戦では山本由伸がマウンドに立つことを考えると、第7戦まで持ち込める可能性は高い。

 「今年は何度も窮地に立たされた。怪我と戦い、期待と戦い、そしてその他もろもろ。このチームはタフで、2試合勝つことに何の問題もない」と、ウィル・スミスは自信を口にした。

 準備ができているのは山本だけではない。第6戦から大谷翔平がリリーフとして起用される可能性があり、第7戦にはタイラー・グラスナウが先発予定だ。

 今季のドジャースの強みは先発投手陣だった。しかし、ブルージェイズ打線に攻略され、ドジャースは2勝3敗とリードされている。それでも先発ローテには最高の投手が揃っており、第6、7戦ではさらに柔軟な起用が可能になる。

 「昨年よりも才能豊かなチームになったと思う。昨年はやり方を見つけることができた。昨年は投手陣の状況がもっと深刻な状況だったと思う。第6戦では由伸を絶好のタイミングでマウンドに送り込める。私たち、そして攻撃陣が、今こそ本領を発揮すべき時だ」と、キケ・ヘルナンデスは意気込みを語った。

2025.10.31 11:19 Friday

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