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ゲーブ・キャプラーがマーリンズの6代目GMに就任 球団発表

 3日(日本時間4日)、マーリンズはフロントオフィスの人事異動を発表。ゲーブ・キャプラーをゼネラルマネージャー(GM)、フランキー・ピリアーをアマチュア予想および選手評価イニシアティブ担当の副社長、ビネッシュ・キャンサンを野球運営担当のシニアディレクターに任命した。

 ピーター・ベンディックス編成本部長は、発表した声明文の中で「この3人のリーダーはチームに加わって以来、それぞれがチームに意味のある影響を与えてきました。すなわち、チームのあらゆる分野で革新を推進し、前向きな姿勢でチームを率い、素晴らしいチームメイトとして周囲の人々を高めていく、という我々の文化を定義する価値観を体現してきたのです。彼らの昇進は、組織内における才能と人材の資質の証であると同時に、協力と卓越性を重んじる文化を築き続けるという継続的なコミットメントの証でもあります」と述べた。

 キャプラーは2024年1月にGM補佐としてマーリンズに加入して以来、選手・コーチ・スタッフの育成に尽力。その実績が評価され、球団史上6人目のGMに就任することが決まった。

 今季、マーリンズは傘下のマイナー4球団がポストシーズン進出を果たすという球団史上初の快挙を達成。その中には3Aジャクソンビルの優勝も含まれている。キャプラーはマーリンズ加入前、フィリーズ(2018~19年)とジャイアンツ(2020~23年)で監督を務め、2021年には最優秀監督賞を受賞。ドジャース時代の2015~17年には選手育成ディレクターを務めた経験もあり、クレイトン・マカラー監督とはドジャース時代から旧知の仲だ。また、現役時代はメジャーで12年間プレーし、レッドソックス時代の2004年にはワールドシリーズ制覇も経験している。

 キャプラーは、発表した声明文の中で「マーリンズの組織の一員として素晴らしい時間を過ごせることを大変うれしく思っています。ピーターや野球運営担当のスタッフ全員とともに、ここで成し遂げてきた素晴らしい仕事を継続していく準備ができています。我々が築き上げてきた成長と勢いは、明確なビジョン、強力なカルチャー、そして共通のゴールに向かってともに働く素晴らしいチームワークを反映しています。この進歩を継続し、球団の未来に貢献できることを誇りに思います」と述べた。

 ピリアーは2024年1月にアマチュアスカウト担当のディレクターに就任して以来、球団内のアマチュアスカウトを統括し、ドラフト戦略を主導してきた。マーリンズの球団トップ30有望株のうち9人は、ピリアーが主導した直近2年間のドラフトで獲得した選手だ。マーリンズに加入する前は、マリナーズに6年間在籍し、うち3年間はアマチュアスカウト担当のディレクター補佐を務めた。また、ガーディアンズとレンジャーズで働いた経験もある。さらに、FanGraphsやD1Baseball.comといったサイトで寄稿ライターやアナリストとして活動した経験も持っている。

 キャンサンは2024年1月に野球運営担当のディレクターとしてマーリンズに加入する前、レンジャーズで5シーズンを過ごし、最後の2年間は野球運営担当のディレクター補佐を務めた。レンジャーズ時代はロースター管理、事務管理、契約業務など、球団運営のあらゆる側面に携わり、スポーツサイエンスやパフォーマンスの分野でも存在感を発揮。MLBでのキャリアは2016年にスタートしており、地元球団のフィリーズでチケットサービスを担当したあと、2017~18年にはベンディックス編成本部長とともにレイズのフロントオフィスで球団運営に携わっていた。

2025.11.4 10:50 Tuesday

各賞ファイナリスト発表 大谷がMVP、山本がサイ・ヤング賞の最終候補に

 3日(日本時間4日)、全米野球記者協会(BBWAA)の投票で決まる主要4賞のファイナリストが発表された。日本人選手では大谷翔平(ドジャース)がナ・リーグのMVP、山本由伸(ドジャース)がナ・リーグのサイ・ヤング賞で最終候補入りした。

 各賞の投票はレギュラーシーズン終了時点で締め切られており、ポストシーズンの成績は選考対象に含まれない。また、今回発表されたファイナリストは投票結果の1~3位を発表したものであり、ファイナリスト3名を対象に改めて投票が行われるわけではない点にも留意が必要だ。

 大谷はエンゼルス時代の2021年と2023年、ドジャース移籍1年目の2024年にMVPを受賞しており、今回受賞すれば3年連続4度目。もし4度目の受賞となれば、バリー・ボンズ(7度)に次ぐ歴代単独2位に浮上する。

 各賞の投票結果は、新人王が10日(同11日)、最優秀監督賞が11日(同12日)、サイ・ヤング賞が12日(同13日)、そしてMVPが13日(同14日)に発表される予定だ。

 各賞のファイナリストは以下の通り。

アメリカン・リーグ

MVP アーロン・ジャッジ(ヤンキース) カル・ローリー(マリナーズ) ホセ・ラミレス(ガーディアンズ)

サイ・ヤング賞 ハンター・ブラウン(アストロズ) ギャレット・クローシェ(レッドソックス) タリック・スクーバル(タイガース)

新人王 ロマン・アンソニー(レッドソックス) ニック・カーツ(アスレチックス) ジェイコブ・ウィルソン(アスレチックス)

最優秀監督賞 ジョン・シュナイダー(ブルージェイズ) スティーブン・ボート(ガーディアンズ) ダン・ウィルソン(マリナーズ)

ナショナル・リーグ

MVP 大谷翔平(ドジャース) カイル・シュワーバー(フィリーズ) フアン・ソト(メッツ)

サイ・ヤング賞 クリストファー・サンチェス(フィリーズ) ポール・スキーンズ(パイレーツ) 山本由伸(ドジャース)

新人王 ドレイク・ボールドウィン(ブレーブス) ケイレブ・ダービン(ブルワーズ) ケイド・ホートン(カブス)

最優秀監督賞 テリー・フランコーナ(レッズ) パット・マーフィー(ブルワーズ) ロブ・トムソン(フィリーズ)

2025.11.4 09:49 Tuesday

時代委員会の殿堂入り投票 ボンズ、クレメンスら8名が候補者に

 3日(日本時間4日)、アメリカ野球殿堂は今年の時代委員会の殿堂入り投票の対象となる8名の候補者を発表。バリー・ボンズとロジャー・クレメンスの両レジェンドもノミネートされた。

 今年の時代委員会の殿堂入り投票は「現代野球の選手」が対象となり、主に1980年以降に活躍した選手の中から選ばれている。候補者8名はボンズ、クレメンス、カルロス・デルガド、ジェフ・ケント、ドン・マティングリー、デール・マーフィー、ゲーリー・シェフィールド、フェルナンド・バレンズエラという顔ぶれだ。

 時代委員会による投票で殿堂入りを果たすためには、16名で構成される委員会から75%以上の得票率を獲得することが必要(つまり12票以上)。委員会のメンバーは後日発表され、投票結果はアメリカ東部時間の12月7日午後7時半(=日本時間12月8日午前9時半)にMLBネットワークの番組内で発表される予定だ。

 以下では、今回の投票対象となった8名の選手たちを簡単に紹介していく。

バリー・ボンズ(外野手)

 MLB史上最高の野手との呼び声も高いボンズは、史上最多となる通算762本塁打を記録した。2001年の73本塁打はシーズン最多記録だ。通算2558四球も史上最多で、Baseball-Referenceが算出する総合指標WARも野手トップの162.8を記録。史上最多となる7度のMVPに輝き、2001~04年には4年連続で受賞した。その4年間では打率.349、出塁率.559、長打率.809という驚異的な成績をマーク。首位打者2度のほか、出塁率も10度、長打率も7度、リーグトップに立った。

 キャリア通算ではオールスター選出14度、シルバースラッガー賞12度のほか、左翼手として高い守備力を発揮し、8度のゴールドグラブ賞を受賞。シーズン30盗塁以上を9度マークし、通算514盗塁を記録したほか、1996年には40本塁打&40盗塁も達成した。

ロジャー・クレメンス(先発投手)

「ロケット」の愛称で知られるクレメンスは、史上最多となる7度のサイ・ヤング賞を受賞。最初の受賞は1986年で、24歳のレッドソックスの若きエースとしてMVPも同時受賞した。最後のサイ・ヤング賞はアストロズ時代の2004年で、当時42歳。1999年と2000年にはヤンキースの一員としてワールドシリーズ制覇も経験した。

 オールスター選出11度のほか、最優秀防御率のタイトルを7度獲得し、ブルージェイズ時代の1997年と1998年には投手三冠を達成。そして、忘れてはならないのが三振奪取能力の高さだ。最多奪三振のタイトルを5度獲得し、2度の1試合20奪三振を記録。24シーズンにわたる現役生活で史上3位となる通算4672奪三振をマークした。

 ボンズとクレメンスはMLB史上トップクラスの選手だが、全米野球記者協会による殿堂入り投票では、現役時代の薬物使用疑惑が影響し、殿堂入りを果たすことができなかった。

カルロス・デルガド(一塁手)

 デルガドは17年間のキャリアで通算473本塁打を放ち、ブルージェイズ時代に放った336本塁打は球団記録となっている。最初の12シーズンはブルージェイズで過ごし、2度のオールスター選出のほか、シルバースラッガー賞を3度受賞。2003年には42本塁打、メジャー最多の145打点という活躍を見せ、MVP投票2位となった。100打点以上を9度記録し、MVP投票では10位以内に4度ランクイン。メッツ時代の2006年にはロベルト・クレメンテ賞を受賞している。

ジェフ・ケント(二塁手)

 ケントは間違いなく史上屈指の攻撃力を持つ二塁手であり、通算377本塁打は主に二塁手としてプレーした選手の中で最多。通算1518打点は同3位、長打率.500も同2位にランクインしている。キャリア序盤はメッツで活躍していたが、1997年にジャイアンツへ移籍してからブレイク。ジャイアンツで過ごした6年間は毎年100打点以上を記録し、打率.297、175本塁打、出塁率.368、長打率.535をマークした。

 5度のオールスター選出のうち3度、シルバースラッガー賞4度のうち3度がジャイアンツ時代で、2000年にはMVPも受賞。ポストシーズンでも安定した活躍を見せ、通算49試合で9本塁打、OPS.840を記録した。

ドン・マティングリー(一塁手)

 マティングリーは14年間のキャリアをヤンキース一筋で過ごし、1980年代を代表する打者の1人だった。1980年代の10年間では、オールスターに6度選出され、首位打者とMVPに各1度輝いたほか、リーグ最多安打を2度記録し、シルバースラッガー賞も3度受賞。キャリア後半はケガに悩まされたものの、通算打率.307を誇り、通算9度のゴールドグラブ賞を受賞した。

 1995年限りで引退したあと、コーチに転身し、ドジャース(2011~15年)とマーリンズ(2016~22年)で合計12シーズンにわたって監督を務めた。ドジャース時代には5年間で3度の地区優勝を達成。マーリンズ時代の2020年には最優秀監督賞を受賞した。

デール・マーフィー(外野手)

 Baseball-Referenceが算出する総合指標WARにおいて、1980年代の野手トップ13人のうち、唯一殿堂入りを果たしていないのがマーフィーだ。1980年代に記録したWARは47.1で、これは野手10位にランクインしている。1980年代に記録した2796塁打はメジャートップで、308本塁打は同2位。1982年と1983年にはそれぞれ36本塁打を放ち、2年連続でMVPに輝いた。

 18年間の現役生活の大部分をブレーブスで過ごし、オールスター選出7度、ゴールドグラブ賞5度、シルバースラッガー賞4度。さらに、1988年にはロベルト・クレメンテ賞を受賞した。

ゲーリー・シェフィールド(外野手)

 球界屈指の強打者として活躍したシェフィールドは、22年間のキャリアで通算509本塁打、1676打点を記録。30本塁打&100打点を8度マークし、シーズン300塁打も6度達成した。パドレス時代の1992年にはメジャートップの323塁打を記録。この年は首位打者のタイトルも獲得した。

 マーリンズ時代の1997年にはポストシーズンで打率.320、OPS1.061の活躍を見せ、ワールドシリーズ制覇に大きく貢献。1999~2005年はドジャース、ブレーブス、ヤンキースでプレーし、7年間で打率.307、247本塁打、出塁率.408、長打率.558をマークした。

フェルナンド・バレンズエラ(先発投手)

 バレンズエラは1980年に19歳でメジャーデビューを果たし、翌1981年に大旋風を巻き起こした。メキシコ出身の左腕は、新人王とサイ・ヤング賞を同時受賞し、各地に「フェルナンドマニア」と呼ばれる熱狂的なファンが誕生。この年、25度の先発登板で11度の完投を記録し、うち8度は完封勝利だった。また、1981年と1988年にはドジャースの一員としてワールドシリーズ制覇も経験している。

 メジャーで17年間プレーし、1981~90年にはドジャースで平均233回1/3を投げて防御率3.34を記録。オールスター選出6度のほか、サイ・ヤング賞投票ではトップ5に4度ランクインし、シルバースラッガー賞を2度、ゴールドグラブ賞も1度受賞した。

2025.11.4 09:23 Tuesday

激戦の2025年ワールドシリーズで生まれた様々な記録を振り返る

 なんという試合。なんというワールドシリーズ。なんというシーズン。

 ワールドシリーズ第7戦は、ポストシーズンも含めて2025年の2477試合目。これは過去最多より5試合多く、史上最多試合数を更新した。そして、2025年シーズンの最終戦は「伝説」の試合となった。

 ドジャースが21世紀初&球団史上初のワールドシリーズ連覇を達成した最終戦は、延長11回までもつれる熱戦に。ワールドシリーズ最終戦が少なくとも11イニング以上の試合となったのは、1924年(12イニング)と1997年に続いて史上3度目だった。

 両チームの合計投球回は146イニングに及び、これは1912年のワールドシリーズ(147回2/3)に次ぐ2番目の数字。ただし、この年は引き分けが1試合あったため、ワールドシリーズは8試合行われた。

 ここではドジャースが最終的に5-4で勝利した一戦にまつわる、11個の「記録」と「事実」を紹介していく。

山本由伸とミゲル・ロハスが作った伝説

【1】第6戦で6イニングを投げた翌日、山本は第7戦を締めくくり、ポストシーズンの「伝説」にその名を刻んだ。MLBの公式記録を扱うエライアス・スポーツ・ビューロー社によると、ポストシーズンで6イニングを投げた翌日に登板した投手は山本が9人目。ただし、過去70年間では1988年NLCSのオーレル・ハーシュハイザー(第3~4戦)と2001年ワールドシリーズのランディ・ジョンソン(第6~7戦)だけ。山本は連投した2試合目に2回2/3を投げ、これは9人の中で最多イニングとなった。

【2】山本は2001年のジョンソン以来となるワールドシリーズ3勝を達成。ただし、山本は敵地で3勝を挙げており、これはワールドシリーズ史上初の快挙となった。

【3】ワールドシリーズ第6戦と第7戦で勝利投手になったのは、1925年のレイ・クレーマー、1946年のハリー・ブレキーン、2001年のジョンソンに続いて山本が4人目。第6戦と第7戦がともに敵地だったのは山本が史上初だ。

【4】山本が第7戦でこれほど多くのイニングを投げることになったのは、ロハスの活躍(九回に起死回生の同点本塁打)があったからこそだ。ワールドシリーズ最終戦の九回以降に同点・勝ち越し・逆転の本塁打を放ったのは史上2人目。1960年にビル・マゼロスキーがサヨナラ本塁打を放って以来の快挙だった。

ウィル・スミスにまつわる記録

【5】ロハスの一発で試合は延長戦に突入し、新たなヒーローが生まれた。延長11回にスミスが勝ち越し本塁打を放ったのだ。ワールドシリーズ最終戦の延長イニングで本塁打が飛び出したのは史上初めてだった。

【6】スミスはワールドシリーズで捕手として全試合フル出場した。7試合合計で73イニングとなり、これはワールドシリーズ史上最多。エライアス・スポーツ・ビューロー社によると、従来の最多記録は1903年の第1回ワールドシリーズでボストン・アメリカンズ(現レッドソックス)のルー・クライガーが記録した71イニングだった。ただし、当時のワールドシリーズは5勝先取の最大9試合制で、クライガーの71イニングは8試合での記録である。7試合制のワールドシリーズにおける最多記録は、1924年にマディ・ルールが記録した67イニングだった。

【7】スミスは2020年、2024年に続いて自身3度目となるワールドシリーズ制覇を果たした。これにより非常に風変わりな記録が継続され、「ウィル・スミス」という名前の選手がワールドシリーズ制覇を成し遂げるのは6年連続に。2021~23年はリリーフ左腕のウィル・スミスがワールドシリーズ優勝チームに所属していた。

ワールドシリーズの歴史に残る逆転劇

【8】2024年と同様に、ドジャースは逆転勝利でワールドシリーズ優勝を決めた。ワールドシリーズ優勝決定試合で3点差以上の逆転勝利を収めたのは今年のドジャースが10チーム目で、最大の逆転劇は2024年ドジャースの5点差逆転(第5戦)。3点差逆転は3位タイの記録となった。ドジャースが昨年、5点差逆転勝利でワールドシリーズ優勝を決めるまで、ワールドシリーズ優勝決定試合で3点差以上を逆転したのは1986年メッツが最後だったが、ドジャースは2年連続で3点差以上を逆転してワールドシリーズ優勝を決めた。

【9】昨年の5点差逆転は第5戦だったが、今年の3点差逆転は第7戦だ。エライアス・スポーツ・ビューロー社によると、4勝先取制のシリーズの最終戦での3点差逆転は史上3位タイ。1925年ワールドシリーズでパイレーツ、2003年ALCSでヤンキースが4点差逆転を成し遂げている。3点差逆転はほかに3度あり、いずれもワールドシリーズで1960年パイレーツ、1975年レッズ、1986年メッツが達成した。

【10】ドジャースは九回が始まった時点で1点のビハインドを背負っていた。「勝てば世界一、負ければ敗退」のワールドシリーズ最終戦において、ビハインドで九回を迎えたチームは通算3勝33敗。今年のドジャースのほかに、1997年マーリンズと2001年ダイヤモンドバックスしか勝利していない。この3チームのうち、敵地で勝利したのは今年のドジャースだけだ。

【11】敵地での勝利に関連した記録としては、敵地で行われたワールドシリーズ第6戦と第7戦に勝利したのは、今年のドジャースが史上9チーム目。1926年カージナルス、1934年カージナルス、1952年ヤンキース、1958年ヤンキース、1968年タイガース、1979年パイレーツ、2016年カブス、2019年ナショナルズに続く快挙となった。

2025.11.3 12:50 Monday

ゴールドグラブ賞の受賞者が決定 クワンはデビューから4年連続の受賞

 ワールドシリーズが終了し、アワード受賞者の発表も本格化していく。ワールドシリーズ終了の翌日、2日(日本時間3日)にはゴールドグラブ賞の受賞者が発表された。

 ゴールドグラブ賞は1957年に設立され、各リーグの各ポジションで最も優れた守備を見せた選手を表彰する。伝統的な9ポジションに加え、2022年からはユーティリティ(UT)部門の表彰もスタート。事前に各ポジションのファイナリスト3名が選出され、その中から受賞者が決定する。

 受賞者はMLB各球団の監督・コーチの投票を75%、セイバーメトリクスの守備指標を25%の割合で合算して決定。監督・コーチは自軍の所属リーグの選手のみ投票可能で、自軍の選手には投票できない。

 アメリカン・リーグはロイヤルズの三遊間コンビ、マイケル・ガルシアとボビー・ウィットJr.が受賞。同一球団の三遊間コンビが選出されるのは史上18度目、2013年オリオールズのマニー・マチャドとJ・J・ハーディ以来となった。

 また、ガーディアンズのスティーブン・クワンはメジャー1年目から4年連続4度目の受賞。メジャー記録はイチロー氏とノーラン・アレナド(カージナルス)の10年連続で、この記録にどこまで迫れるか注目される。

 ナショナル・リーグはジャイアンツのバッテリー、ローガン・ウェブとパトリック・ベイリーが受賞。同一球団のバッテリーが選出されるのは史上8度目、2013年カージナルスのアダム・ウェインライトとヤディアー・モリーナ以来となった。

 遊撃手部門はわずか3失策、OAA(Outs Above Average=平均よりどれだけ多くアウトを奪ったかを表す守備指標)+21という素晴らしい守備を見せたカージナルスのメイソン・ウィンが初受賞。ドジャースのムーキー・ベッツはファイナリスト入りしたものの、惜しくも受賞を逃した。

 今季の受賞者は以下の通り。8人が初受賞となった。

アメリカン・リーグ 投手:マックス・フリード(ヤンキース)3年ぶり4度目 捕手:ディロン・ディングラー(タイガース)初受賞 一塁手:タイ・フランス(ツインズ/ブルージェイズ)初受賞 二塁手:マーカス・セミエン(レンジャーズ)4年ぶり2度目 三塁手:マイケル・ガルシア(ロイヤルズ)初受賞 遊撃手:ボビー・ウィットJr.(ロイヤルズ)2年連続2度目 左翼手:スティーブン・クワン(ガーディアンズ)4年連続4度目 中堅手:セダン・ラファエラ(レッドソックス)初受賞 右翼手:ウィルヤー・アブレイユ(レッドソックス)2年連続2度目 UT:マウリシオ・デュボン(アストロズ)2年ぶり2度目

ナショナル・リーグ 投手:ローガン・ウェブ(ジャイアンツ)初受賞 捕手:パトリック・ベイリー(ジャイアンツ)2年連続2度目 一塁手:マット・オルソン(ブレーブス)6年ぶり3度目 二塁手:ニコ・ホーナー(カブス)2年ぶり2度目 三塁手:キブライアン・ヘイズ(パイレーツ/レッズ)2年ぶり2度目 遊撃手:メイソン・ウィン(カージナルス)初受賞 左翼手:イアン・ハップ(カブス)4年連続4度目 中堅手:ピート・クロウ=アームストロング(カブス)初受賞 右翼手:フェルナンド・タティスJr.(パドレス)2年ぶり2度目 UT:ハビアー・サノーハ(マーリンズ)初受賞

 なお、マイナーリーグのゴールドグラブ賞も発表され、以下の選手たちが受賞した。

投手:ロビー・スネリング(マーリンズ) 捕手:レオナルド・バーナル(カージナルス) 一塁手:トレイ・モーガン(レイズ) 二塁手:カイル・デバージ(ツインズ) 三塁手:ペドロ・ラミレス(カブス) 遊撃手:コナー・グリフィン(パイレーツ) 外野手:ルイス・ララ(ブルワーズ) 外野手:ドリュー・ジョーンズ(ダイヤモンドバックス) 外野手:ホーマー・ブッシュJr.(レイズ)

2025.11.3 11:40 Monday

各球団の新監督が続々決定 監督不在はパドレス、ブレーブス、ロッキーズのみ

 ワールドシリーズで最終戦までもつれる熱い戦いが繰り広げられた一方、ワールドシリーズに出場できなかった各球団は2026年シーズンに向けた準備に取りかかっている。

 パイレーツは5月にデレック・シェルトン監督が解任されたあと、暫定監督を務めていたドン・ケリーとの契約を延長し、正式に監督とすることを決定。ブルース・ボウチー監督が退任したレンジャーズはスキップ・シューマッカー、ロン・ワシントン監督が退任したエンゼルスはカート・スズキ、ボブ・メルビン監督を解任したジャイアンツはトニー・ビテロ、ロッコ・バルデリ監督を解任したツインズはシェルトンが新監督に就任した。

 また、オリオールズはトニー・マンソリーノ暫定監督の続投ではなく、クレイグ・アルバーナスが新監督に就任することが決定。ナショナルズもミゲル・カイロ暫定監督の続投ではなく、33歳のブレイク・ビュテラを新監督として採用した。

 こうして新監督探しを必要としていた10球団中7球団の監督が決定し、2日(日本時間3日)時点で監督不在はパドレス、ブレーブス、ロッキーズの3球団だけとなった。

 マイク・シルト監督が退任したパドレスは、すでに新監督探しが最終段階に突入していることが明らかになっている。投手コーチのルーベン・ニエブラのほか、アルバート・プホルスとニック・ハンドリーが最終候補として残り、ほかにも1~2人の候補がいるようだ。「ニューヨーク・ポスト」のジョン・ヘイマン記者は、通算703本塁打の名打者プホルスが「真剣な候補として検討されている」ことを報じている。

 ブライアン・スニッカー監督の退任が決まったブレーブスは、ドジャースのベンチコーチを務めるダニー・レーマンを新監督の第1候補としているようだ。ワールドシリーズが終了したため、今後ブレーブスとレーマンの交渉が本格化していくとみられる。MLB.comでブレーブスの番記者を務めるマーク・ボーマンによると、レーマン以外の候補として、ジョージ・ロンバード(タイガース・ベンチコーチ)、ライアン・フラハティ(カブス・ベンチコーチ)、クリス・ウッドワード(ドジャース・一塁ベースコーチ)の名前も挙がっているという。

 ロッキーズは5月にバド・ブラック監督を解任し、それ以降はウォーレン・シェーファーが暫定監督を務めた。ビル・シュミットGMが辞任したため、現在は新たなGM探しを進めており、新監督は新GMのもとで決定されることになる。よって、新GMが決まるまで、新監督探しに大きな動きはなさそうだ。

2025.11.3 09:29 Monday

キケ、ロハスら137選手がFAに WS終了翌日、MLB選手会が発表

 激戦のワールドシリーズが終了し、MLBはオフシーズンに突入。2日(日本時間3日)、MLB選手会はフリーエージェント(FA)となった137選手のリストを公開した。

 21世紀初&球団史上初のワールドシリーズ連覇を成し遂げたドジャースからは、キケ・ヘルナンデス、ミゲル・ロハス、引退するクレイトン・カーショウら7選手がFAに。惜しくも32年ぶり3度目のワールドシリーズ制覇を逃したブルージェイズからは、ボー・ビシェット、マックス・シャーザーら6選手がFAとなった。

 最多はレンジャーズの12人。ツインズとカージナルスは1人だけで、マーリンズはFAとなった選手が1人もいなかった。また、日本人選手ではオリオールズの菅野智之が今回のリストに含まれている。

 なお、契約オプションの破棄、オプトアウト権の行使などにより、今後さらにFA選手が増える可能性がある。

 2日(同3日)時点でMLB選手会が発表したFA選手137人は以下の通り。

オリオールズ(3人) ザック・エフリン ゲーリー・サンチェス 菅野智之

レッドソックス(4人) スティーブン・マッツ ダスティン・メイ ロブ・レフスナイダー ジャスティン・ウィルソン

ヤンキース(8人) ポール・ブラックバーン ポール・ゴールドシュミット トレント・グリシャム アメッド・ロサリオ オースティン・スレイター ルーク・ウィーバー デビン・ウィリアムス ライアン・ヤーブロー

レイズ(2人) エイドリアン・ハウザー ココ・モンテス

ブルージェイズ(6人) クリス・バシット ボー・ビシェット セランソニー・ドミンゲス タイ・フランス アイザイア・カイナー=ファレファ マックス・シャーザー

ホワイトソックス(3人) タイラー・アレクサンダー ミゲル・カストロ マイケル・A・テイラー

ガーディアンズ(2人) ジェイコブ・ジュニス レーン・トーマス

タイガース(6人) アレックス・カッブ カイル・フィネガン トミー・ケインリー ラファエル・モンテロ クリス・パダック グレイバー・トーレス

ロイヤルズ(4人) アダム・フレイジャー ハンター・ハービー ルーク・メイリー マイク・ヤストレムスキー

ツインズ(1人) クリスチャン・バスケス

アスレチックス(3人) ホセ・レクラーク スコット・マクガフ ショーン・ニューカム

アストロズ(4人) ビクター・カラティニ クレイグ・キンブレル ブレンダン・ロジャース フランバー・バルデス

エンゼルス(10人) タイラー・アンダーソン アンドリュー・チェイフィン ルイス・ガルシア カイル・ヘンドリックス ケンリー・ジャンセン ヨアン・モンカダ ルイス・レンヒーフォ ハンター・ストリックランド クリス・テイラー ホセ・ウレーニャ

マリナーズ(4人) ケイレブ・ファーガソン ルーク・ジャクソン ジョシュ・ネイラー エウヘニオ・スアレス

レンジャーズ(12人) ショーン・アームストロング パトリック・コービン ダニー・クーロム ジョン・グレイ メリル・ケリー タイラー・マーリー クリス・マーティン フィル・メイトン ホビー・ミルナー ディラン・ムーア ドノバン・ソラーノ ラウディ・テレズ

ブレーブス(4人) ライセル・イグレシアス チャーリー・モートン マーセル・オズナ コナー・シーボルド

マーリンズ(0人)

メッツ(8人) グリフィン・キャニング ライアン・ヘルズリー スターリング・マルテ セドリック・マリンズ タイラー・ロジャース グレゴリー・ソト ライン・スタネック ジェシー・ウィンカー

フィリーズ(9人) ウォーカー・ビューラー マックス・ケプラー ティム・メイザ J・T・リアルミュート デービッド・ロバートソン ジョーダン・ロマノ カイル・シュワーバー レンジャー・スアレス ルー・トリビーノ

ナショナルズ(3人) ジョシュ・ベル ポール・デヨング デレック・ロー

カブス(10人) ライアン・ブレイジャー ウィリー・カストロ アーロン・シバーリ ブラッド・ケラー ドリュー・ポメランツ テイラー・ロジャース カルロス・サンタナ マイケル・ソロカ ケイレブ・シールバー カイル・タッカー

レッズ(5人) ミゲル・アンドゥハー ザック・リテル ニック・マルティネス ウェイド・マイリー エミリオ・パガン

ブルワーズ(2人) シェルビー・ミラー ジョーダン・モンゴメリー

パイレーツ(2人) アンドリュー・マカッチェン トミー・ファム

カージナルス(1人) マイルズ・マイコラス

ダイヤモンドバックス(3人) ジャレン・ビークス ザック・ギャレン ジェームス・マッキャン

ロッキーズ(2人) オーランド・アルシア ヘルマン・マルケス

ドジャース(7人) マイケル・コンフォート アンドリュー・ヒーニー キケ・ヘルナンデス クレイトン・カーショウ マイケル・コペック ミゲル・ロハス カービー・イェーツ

パドレス(6人) ルイス・アライズ ディラン・シース ネスター・コルテス ホセ・イグレシアス マーティン・マルドナード ライアン・オハーン

ジャイアンツ(3人) ウィルマー・フローレス ドミニク・スミス ジャスティン・バーランダー

2025.11.3 08:46 Monday

山本由伸の第6戦の好投を分析 強力打線を2度も抑えた理由

【ブルージェイズ1-3ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月31日(日本時間11月1日)

 ブルージェイズに王手をかけられて迎えたワールドシリーズ第6戦で、ドジャースは3-1で勝利。光ったのは山本由伸(27)の6回1失点の好投だった。「オプタスタッツ」によれば、ポストシーズンで3先発連続で5安打以下、1失点以下、1四球以下、5三振以上に抑え、そして勝利投手になったのは今ポストシーズンの山本が史上初だという。

 しかし、連続の完投勝利を挙げた過去2試合と比べ、第6戦では走者を背負う場面も多かった。しかし、山本は素晴らしい粘りを見せ、強力ブルージェイズ打線をわずか1失点に封じ、ドジャースをがけっぷちから救った。この日の山本の投球について、データも交えて振り返る。

 第6戦で山本は1巡目からすべての球種を満遍なく投じた。これは完投勝利を挙げた過去2戦とは全く異なる傾向だ。

 過去2戦の完投勝利では、1巡目から4巡目まで中心として組み立てる球種を変え、打順ごとに違う投手のように変貌していた。

 ブルワーズ戦では1巡目を3つのファストボール主体で組み立てた。フォーシームを全球種中最多の33%の割合で投じ、日頃は第4、5球種のカットボールとシンカーも合わせて30%に増やし、速球系だけで63%と力で押した。しかし、2巡目からは得意のスプリットを前面に押し出し、最多の37%を投じた反面、レギュラーシーズン中最も多くの割合で投げたフォーシームは1巡目から17%に半減。カットボールも17%の割合で投げた。

 打者の目が慣れてくる3巡目は再びフォーシームを復活させ、最多の34%に増やし、スプリットとカーブの3球種で攻めるレギュラーシーズン中と同様のスタイルに回帰した。そして試合を締めくくる4巡目ではフォーシームを減らし、決め球のスプリットとカーブだけで70%の割合を占めた。そしてそれまで全く投じていなかったスライダーを12%の割合で投げ始め、一転して変化球主体のスタイルになった。

 一方のブルージェイズとのワールドシリーズ第2戦では、1巡目でスプリットを52%の割合で投じる大胆な配球を見せた。そして2巡目はフォーシームを最多の36%で投じ、カットボール、スライダー、シンカーの割合も増やし、6球種すべてを投げた。

 さらに3巡目になると、投球の主体となったのはなんと33%の割合で投げたカットボールで、一方でスプリットは13%まで減らした。試合の終盤に差し掛かる4巡目では、最も頼れるスプリットを再び増やし、35%の割合で投げた。

 シーズン中は用いなかったカットボール、スライダー、シンカーを多投する打順も作る一方で、ポストシーズンから最も多く投げているスプリットでここぞの場面を乗り切る。それが山本の過去2戦の傾向だった。

 しかし、第6戦では3巡の対戦すべてで6球種をバランスよく投じた。過去2戦において、6球種すべてを用いたのは8巡の対戦のうち、わずか1巡(ブルージェイズ戦の2巡目)しかなかった。

 第6戦における各打順の投球割合を見てみよう。

 1~3巡すべての打順で、山本が最も多投したのはスプリットだった。そして2番目がフォーシーム、3番目がカーブと、主要3球種の投球割合は変わらなかった。

 つまり、山本はこの第6戦では、自分が最も得意とする球種構成で常にブルージェイズ打線に挑み続けていた。ただ、第6戦では1巡目に41球(ブルージェイズとの第2戦では33球、ブルワーズ戦では24球)を要していた。つまり、長いイニングを投げることを狙って配球にバリエーションをつける余裕がなかった可能性も考えられる。しかし、自分が最も得意とするスプリット主体の球種構成で挑む配球は、試合の随所で垣間見えた。

 「困ったらスプリット」。それが第6戦の山本の特徴であり、その狙いはまさに的中していた。山本は走者を背負った場面では51.6%の割合でスプリットを投じていた。そのうち、10度のスイングを誘って空振り5度、ファウルが2度、凡打が3度と、効果は絶大だった。

 象徴的だったのが最後の対戦だった六回2死一、二塁でのドールトン・バーショとの対戦だ。山本は4球すべてスプリットで挑み、見事に空振り三振に抑えた。 山本自身も「前回に続いての対戦だったので、相手の待ち方だったり、どういう球を狙ってくるかとか、多少探りながら投げた配球も多かったです。探りながらになったので、ちょっと迷った時はスプリットを行くことが多かったです。結果的に最少失点で抑えられたので良かったと思います」と振り返った。

 そして、スプリット主体のスタイルを貫いたこと以外で印象的だったのは、初球の入りだ。山本は初球から仕掛ける積極打法で戦局を変えてきたブルージェイズ打線に対し、語った通り「探りながら」も、大胆に初球から攻めた。

 この第6戦で山本は初球ストライク率74%を記録。これは過去2度の完投勝利を挙げた試合よりも高く(ブルワーズ戦が69%、ブルージェイズ戦が63%)、レギュラーシーズンと合わせた今季の全35先発の中でも3番目に高い割合だった。

 とはいえ、山本は第6戦でストライク先行で投げられたわけではなかった。ストライク率は66%と、70%を超えた過去2戦と比べて低下。過去2戦では3ボールまでカウントがもつれたのはわずか4打席しかなかったが、第6戦だけでも6打席も3ボールまでもつれた。特に、見逃しストライクを取る大きな武器となっていたカーブが18球投げて見逃しストライク3度、空振りもわずか1度とやや精細を欠いていたのが響いていたかもしれない。

 しかし、コマンドが過去2戦に比べて低下していたからこそ、初球のストライクがもたらした意味は大きかったと言えるだろう。

 山本は積極的なブルージェイズ打線に対し、初球ストライクを奪う上で慎重を期していた。ブルージェイズと対戦した第2、6戦では、打席の初球で6つの球種すべてを用いた。レギュラーシーズン中、打席の初球で6球種すべてを用いたのは、30先発中5先発にとどまる。ブルワーズ戦でも初球では得意のスプリットとカーブを多投し、実に75%をその2球種だけで占めていた。

 しかし、ブルージェイズとの2戦では、より読まれにくいように予想外の球種を投じる割合が増加。スプリットとカーブを初球に投じた割合は50%に、レギュラーシーズン中は最も初球に多く投じたフォーシームも18%に抑えた一方で、主要3球種以外の3球種(カットボール、シンカー、スライダー)を30%に増やした。

 このポストシーズンにおいてブルージェイズ打線と対した山本以外の先発投手の防御率は、実に9.00(53回、53自責点)に上る。一方で山本の防御率は1.20で、ブルージェイズと対戦した12人の先発投手の中でも最も低く、ブルージェイズ打線を手玉に取った唯一の投手だったと言える。

 山本の好投に救われたドジャースが第7戦を制して連覇を成し遂げれば、ワールドシリーズMVPが誰かという議論はそう長くかからないはずだ。山本はこのポストシーズンでの活躍で、タリック・スクーバル(タイガース)やポール・スキーンズ(パイレーツ)といった球界トップクラスの投手に引けを取らない実力の持ち主であることを完全に証明したように映る。

2025.11.1 19:06 Saturday

第6戦を決着させたダブルプレー 数字で見るキケのスーパープレー

【ブルージェイズ1-3ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月31日(日本時間11月1日)

 ドジャースは九回、2点のリードを保っていた。1死二、三塁で打席にはワールドシリーズ制覇を決める決勝点の走者となるヒメネスが入った。ヒメネスはグラスナウの直球を逆方向に飛ばすと、二塁走者バージャーはハーフウェイで待機し、もしボールが落ちれば同点打を狙えると踏んだ。

 「落ちるな」ドジャースのデーブ・ロバーツ監督がそのとき考えていたのは、それだけだったと記憶している。「落ちるな」

 ボールは落ちなかった。そしてバージャーは二塁に戻れなかった。そしてドジャースはワールドシリーズ第6戦に3-1で勝利し、フォールクラシックは第7戦へと突入する。

 キケ・ヘルナンデスはポストシーズンで最高の瞬間を演出することで名声を博してきた。そして第6戦でも最も記憶に残る瞬間の一つを演出した。

 ヘルナンデスはヒメネスのライナーをジャンプして捕球し、そのままワンモーションで二塁へ送球。ショートバウンドになった送球を二塁手ミゲル・ロハスが巧みに捕球した。

 そしてバージャーはアウトになり、ドジャースが勝利。送球の勢いのまま内野に到着したヘルナンデスは、遊撃手のムーキー・ベッツに飛びつかれた。 「かなり壮大な結末だ」と、ロハスは言った。

 冗談ではなく、これはまさにヘルナンデスの活躍による史上最高のエンディングだった。まずは完ぺきなポジショニングから見ていこう。

・ヘルナンデスはヒメネスと272フィートの深さで対戦したが、これは今季左打者に対してレフトが守る平均よりもなんと26フィートも浅い。 ・これはある程度、パワーが脅威ではないヒメネスのせいだ。ヒメネスに対するレフトの守備位置は平均で285フィートで(158人中151位の浅さ) ・ヘルナンデス自信は浅く守ることを好む。平均の左打者に対する守備位置は285フィート(119人中107位の浅さ)。 ・それでもヘルナンデスは平均よりさらに浅く守った。ヘルナンデスはワールドシリーズでヒメネスに対して平均273フィートの位置で守っている。ドジャースの他のレフトに比べると、24フィートも浅い。

 「グラスナウの持ち球からすると、左側に打球が飛んでくると予想していた。二塁に同点の走者がいたから、浅めに守っていた。ショートを抜けるヒットを打たれたら、二塁の同点の走者を三塁にとどめられるくらいに浅く守っていたかった」と、ヘルナンデスは振り返る。

 ヘルナンデスのポジショニングは完ぺきだった。プレーそのものも完ぺきだった。ヘルナンデスはそれでもかなりの距離を、正確には3.4秒で52フィートを走破する必要があった。バットを振った瞬間の読みは絶妙だった。ヘルナンデスは想像を絶する最高のスタートを切り、バージャーが予想だにしなかったキャッチを決めた。

 「彼(ヘルナンデス)がボールにたどり着いたことには本当に驚いた。最初はショートの頭上を越えるだろうと思った。まさかあんなに飛ぶとは思わなかった。読みが悪かったんだ。明らかにベースから離れすぎていた。・・・攻めすぎていた」と、バージャーは語る。

 スタットキャストによれば、ヘルナンデスの「ジャンプ」はリーグ平均より7.3フィート優れていた(「ジャンプ」とは、ボールが打たれてから最初の3フィート以内に正しい方向に足を踏み出した距離と定義)。もしヘルナンデスの「ジャンプ」がこれより劣っていても捕球自体は成功していたかもしれないが、それではバージャーを間一髪でダブルプレーにすることはできなかっただろう。

 そして、このプレーの最後の場面に移ろう。これは決して見逃せない部分だ。ヘルナンデスはできるだけ早くボールを持ち替えようとした。送球は正確だったが、途中でバウンドしてしまった。 「全速力で走っていたから、あまり強く投げたくなかった。おそらく頭上に投げてしまうと思ったから」、とヘルナンデスは振り返る。

 しかし、送球を受けたロハスはこう言った。 「ヘルナンデスがボールを二塁に投げたとき、私は『このボールは絶対に逸らさない』と言ったんだ」

 実際、ロハスの巧みな捕球が第6戦の勝利を決定づけた。左足でベースを踏み、グラブを出すのを我慢したことで、ボールの跳ね方を読む時間を稼いだ。バージャーの左手がベースに触れるほんの一瞬前に、ロハスはグラブの中でボールを握りしめた。

 ロジャースセンターが静まり返る中、ドジャースの選手たちがダグアウトから続々と出てきた。審判団がリプレイ確認中を告げると、球場のファンに一瞬の希望が蘇った。間もなく、バックスクリーンに決定的な映像が映し出された。球場から観客が減り始めると、ドジャースの選手たちは次々と抱擁と握手を交わした。

 「素晴らしいワールドシリーズだ。第7戦までもつれ込むのは当然だ」と、ヘルナンデスは言う。それは主にヘルナンデス自身のおかげだ。

 「すごい選手だ。すごいプレーだった」と、ロバーツ監督。勝負はあすの第7戦に持ち込まれた。

2025.11.1 17:13 Saturday

ドジャースがWS第6戦を取る 山本が6回1失点、劇的な幕切れで逆王手

【ブルージェイズ1-3ドジャース】トロント/ロジャースセンター、10月31日(日本時間11月1日)

 ブルージェイズが3勝2敗と王手をかけて迎えたワールドシリーズ第6戦は、山本由伸(27)が粘りの好投でドジャースを勝利に導いた。山本は走者を背負いながらも要所を締め、6回1失点をマーク。その後もドジャースのブルペン陣はピンチを招きながらも決定打を許さず、最後は佐々木朗希(23)が6アウトセーブを挙げた。ドジャースとブルージェイズは3勝3敗に並び、あす運命の第7戦を迎える。

 ブルージェイズ先発のケビン・ゴーズマンは序盤から絶好調で、二回までに6三振。三回も先頭を三振に仕留めたが、続くエドマンに二塁打を浴び、2死二塁で大谷を迎えた。ゴーズマンは大谷翔平を申告敬遠したが、続くスミスにタイムリー二塁打を浴びて1点を失った。そして二、三塁からフリーマンを歩かせると、不振のベッツにも2点タイムリーを打たれ、0-3とリードされた。

 一方のブルージェイズ打線も、直後の三回の攻撃でスプリンガーがタイムリーを放ち、ドジャース先発の山本由伸から1点を返した。

 ドジャースが3-1とリードした三回以降は、山本とゴーズマンが好投。ゴーズマンは3点を失った三回以外はすべて三者凡退に抑え、6回3失点、8三振、2四球とクオリティスタート。三回までに奪った8三振は、ワールドシリーズ記録タイに並ぶなど、大一番で実力を発揮した。

 しかし、山本が粘りの投球でまたしてもゴーズマンを上回った。三回から毎回走者を背負ったが、ピンチの場面ではスプリットを多投して失点を1にとどめた。最後のイニングとなった六回には、2死からゲレーロJr.に二塁打を浴び、四球で一、二塁のピンチを背負ったが、バーショを全球スプリットで空振り三振に仕留めた。山本は6回1失点、6三振、1四球で降板。がけっぷちのチームを救う好投を見せた。

 試合は3-1のまま終盤に突入し、ドジャースは2番手ロブレスキーが七回を抑えたあと、八回から佐々木朗希を投入。佐々木は先頭のスプリンガーに不運な安打を許し、1死からゲレーロJr.に四球を与えて、一、二塁のピンチを招いた。しかし、後続のビシェットとバーショを打ち取って無失点。

 しかし九回は先頭から死球と二塁打を与え、無死二、三塁のピンチを背負ったところで佐々木は交代となり、第7戦先発予定だったタイラー・グラスナウが4番手として登場した。グラスナウはクレメントをファーストフライ、続くヒメネスもレフトライナーも打ち取った。ここで二塁走者バージャーが飛び出したのを見逃さず、レフトのキケ・ヘルナンデスが素早い送球でダブルプレーを奪い、ゲームセット。劇的な幕切れでドジャースは逃げ切り、連覇に望みをつないだ。

2025.11.1 14:04 Saturday

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