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カブス、GM会議での5つの注目ポイント

 ワールドシリーズ終了後の最初の1週間は、これから始まるオフシーズンの土台を築く週だった。ドジャースが新たな優勝トロフィーを掲げ、パレードを催す一方で、カブスをはじめとする球団は、ロースター構成や移籍の可能性について、内部で真剣な議論を重ねていた。

 来週からラスベガスで開催されるGM会議の到来とともに、オフシーズンの動きはさらに加速するだろう。これは、オフシーズン初となる、全30球団の代表者と選手代理人が一堂に会し、今後数ヶ月で実現する(あるいは実現しない)契約について協議を始める機会となる。

GM会議中にカブスについて注目すべき5つのポイントは以下の通りだ。

今永昇太が残留する可能性は?

 カブスは今永との契約に含まれていた3年間の球団オプションを破棄。それによって与えられた1年1525万ドル(約23億円)の選手オプションを今永が拒否したことで、今永はフリーエージェント(FA)となった。FAとなった今永に対し、カブスは2202万5000ドル(約34億円)のクオリファイング・オファー(QO)を提示した。

 QOを受けた選手は11月18日までに諾否を決めなければならない。今永にとってはQOを受諾すれば、1年あたりの年俸は増額する。しかし、GM会議で他球団からどのような複数年契約のオファーがあるか、あるいはカブスが条件を見直した延長契約を提示する可能性があるかを早期に把握できる。

カイル・タッカーとの再契約は現実的か?

 今永はQO受諾の可能性があるが、タッカーのQO拒否は確実だ。タッカーは今冬のFA市場で間違いなくトップクラスの攻撃力を持ち、高額な長期契約を勝ち取る可能性が高い。ただ、QOを拒否されても、カブスはドラフト指名権の補償を得ることができる。

 カブスはタッカーとの再契約交渉に動くと予想されているが、流出の可能性は高いだろう。カブスはタッカーとの契約の成否にかかわらず、打線を強化する術を見つけなければならない。アレックス・ブレグマンと村上宗隆は興味深いFA候補だ。

先発ローテーションをどう整備するか

 今永のFA決定以前も、カブスは先発ローテーションの強化を必要としていた。FA市場で投手を探すのも一つの選択肢だ。ディラン・シース、フランバー・バルデス、レンジャー・スアレス、マイケル・キングなどが有力候補に挙がっている。日本のスター選手、今井達也が西武ライオンズからポスティングされれば、興味深い選択肢となるだろう。カブスは今季のトレードデッドラインでジョー・ライアン(ツインズ)、サンディ・アルカンタラ(マーリンズ)、エドワード・カブレラ(マーリンズ)、マッケンジー・ゴア(ナショナルズ)といった投手を検討していたこともあり、トレードの可能性も考えられる。

ブルペンをどう立て直すか

 今季終盤のカブスのブルペン陣の大半はもはやチームに残っていない。アンドリュー・キットリッジはオリオールズにトレードされ、ブラッド・ケラー、ケイレブ・シールバー、ドリュー・ポメランツはFAとなった。複数年契約で大物リリーフ投手を狙うのはカブスのやり方ではない(昨年のタナー・スコット争奪戦への参戦は稀な例外だった)。シカゴのフロントは、リリーフ陣の再構築に向けて、短期契約、小規模なトレードを模索し続けると予想される。

ケイド・ホートンは新人王を獲得するか

 10日(日本時間11日)はGM会議が始まるだけでなく、全米野球記者協会が毎年恒例の表彰式を開始する夜でもある。まずは新人王の発表が行われ、ホートンはナ・リーグのファイナリストの一人だ。彼は捕手のドレイク・ボールドウィン(ブレーブス)と内野手のケイレブ・ダービン(ブルワーズ)と競うことになる。

2025.11.9 14:18 Sunday

期待を上回る活躍ができそうな7人のFA選手

 注目すべきストーリーにあふれる2025-26オフシーズンが到来した。誰もが認めるフリーエージェント(FA)市場のNo.1選手カイル・タッカーはどこへ行くのか?どんな契約になるのか?優秀なFA市場の先発投手陣はどこへ行くのか?

 市場の大物の動向も興味深いが、それ以外の選手たちの行く先も注目すべきだ。この記事ではFA市場で期待以上の活躍を見せそうな選手を7人紹介。今回は、MLB.comのマーク・ファインサンド氏が選ぶFA選手ランキングトップ30にランクインしていないフリーエージェントのみを対象とした。

ブランドン・ウッドラフ、先発右腕

鍵を握る数字:xERA2.19、64回2/3で83三振14四球

 ウッドラフは肩の手術のため2024シーズンを全休し、2025年7月6日に復帰を果たした。ただ、その後も背筋の負傷によりレギュラーシーズン終盤の数週間とポストシーズン全試合を欠場したため、2025年シーズンの先発登板はわずか12試合にとどまった。

 しかし、この12度の先発登板でウッドラフは好投。64回2/3を投げて防御率3.20、83三振、14四球を記録した。さらに、 xERAという指標は、ウッドラフのパフォーマンスは見かけよりさらに良かったことを示唆している。被打球の質や三振、四球から算出されるxERA(期待防御率)はより客観的に投手の実力を測れる指標とされ、ウッドラフはそのxERAでリーグ上位1%をマークした。

 ただ、ウッドラフには紛れもないリスクがある。来季開幕時には33歳になり、2023年以降はケガの影響でわずか23試合しか先発していない。しかし、2026年に万全の体調を取り戻し、怪我前の球速(今季はピーク時に比べて3マイル球速が低下)を取り戻せば、再び第一線の先発投手として活躍できる可能性がある。また、ブルワーズがウッドラフに1年総額2202万5000ドル(約34億円)のクオリファイングオファー(QO)を提示したことで、ウッドラフがFA市場に出ない可能性もある。ウッドラフは11月18日までにQOの諾否を決断しなければならない。

ライアン・オハーン、一塁手

鍵を握る数字:wRC+127、xwOBA.350

 オハーンは2025年のオールスターゲームでア・リーグの指名打者として先発に選ばれ、6番打者でスタメン出場した。そしてトレードデッドラインでは目玉の一人となり、パドレスへ移籍したため、決して無名ではない。とはいえ、オハーンはピート・アロンソ(メッツからFA)やジョシュ・ネイラー(マリナーズからFA)ら有力な一塁手が揃うFA市場では目立たない存在となっており、フェインサンドのトップ30ランキングからは漏れ、ジ・アスレチックのリストでも27位にしか入っていない。

 オハーンは2025シーズンにキャリア最高のシーズンを送った。初のオールスターゲーム出場を果たし方ほか、出場試合数(144)、OPS(.803)、本塁打(17)、wRC+(127)、そして総合指標fWAR(3.0)でキャリアハイを記録。2025年のオハーンの打球の質などから攻撃貢献度を測るxwOBA (.350)も上位26%にランクインし、彼の打撃成績が正真正銘の実力だったことを証明した。

 オハーンは109打席で左腕に対してOPS.832(通算OPS.642)を記録しており、左に弱いイメージを払拭。一塁手や外野手も守れるため、プラトーンではなくレギュラーとして計算されるだろう。32歳のオハーンは遅咲きの選手だが、優勝候補チームの打線の中軸を担う真の選択肢となる可能性がある。

ジャスティン・バーランダー、先発右腕

鍵を握る数字:FIP3.85、fWAR2.2

 バーランダーは43歳となる来季も時の流れに逆らい続けられるだろうか。もし2025シーズンのパフォーマンスを継続できるならば、バーランダーはまだ数シーズン投げられるかもしれない。ジャイアンツで152イニングを投げ、防御率3.85、FIP3.85という成績は、バーランダーが運に助けられたわけではないことを示唆している。2024年の成績(防御率5.48、FIP4.78)は、キャリアが終わりに近づいていることを示唆していたかもしれないが、バーランダーは復活した。

 もちろん、40代半ばに差し掛かれば、パフォーマンスが完全に低下する可能性は誰にでもある。とはいえ、バーランダーには普通ではない部分もある。いつかクーパーズタウンに入る選手であり、2022年には39歳でサイ・ヤング賞を受賞した。バーランダーの直球の球速は依然として高く(2025年時点で93.9マイル)、先発投手としては堅実な空振り率(三振率20.7%)を維持している。

 バーランダーが圧倒的な強さを見せていた時代は過ぎ去ったが、150イニング以上を投げればリーグ平均並みの成績を残すことができ、多くのチームが喜んで獲得するだろう。この年齢では1年契約になる可能性が高いが、多くのチームにとって頼りになる選択肢となるだろう。

ザック・エフリン、先発右腕

鍵を握る数字:2023-24シーズンの59試合で防御率3.54、FIP3.37

 エフリンが2024年シーズン後にフリーエージェントになっていたら、おそらく市場で最高の先発投手の一人になっていただろう。しかし残念ながら、エフリンは2025年にキャリア最悪のシーズンの一つを経験した。腰痛に悩まされ、わずか71回1/3しか投げられず、防御率は5.93にとどまった。奪三振率は16.2%に低下し、xERAは4.54にまで急激に悪化した。

 それでも、今季まではエフリンは優秀な投手だった。2023-24の2シーズンで先発投手の中で上位20位に入る防御率(3.54)とFIP(3.37)を記録。この2年間、エフリンは2年連続でワイルドカードシリーズ第2戦の先発を任された。エフリンは、優れた制球力(与四球率3.5%)、高い三振率、そして弱い打球を誘う能力で、この時期に傑出した先発投手だった。

 エフリンの獲得を目指すチームは、2023-24シーズンの彼の活躍を、彼の復活の可能性を信じる根拠として見出すだろう。来年4月に32歳になるエフリンは、健康状態が万全であれば、あの調子を取り戻すことができるだろう。

マイク・ヤストレムスキー、外野手

鍵を握る数字:2023-25シーズンでfWAR5.8、wRC+107

 ヤストレムスキーはMLBで7シーズン連続で安定した成績を残している外野手だ。2019年のデビュー以降、ヤストレムスキーは毎シーズン1.5以上のWARを記録しており、OPSが.700を下回ったのは一度だけだ(2022年は.697)。短縮された2020年シーズンでは54試合に出場し、OPS.968、WAR.1.9を記録したが、それ以外は毎年.750前後のOPSと1.5~2のWARを稼いだ。

 特に35歳という年齢を考えると、ヤストレムスキーに伸びしろはないだろう。ヤストレムスキーはこれまで左腕相手には苦戦してきましたが(通算OPS.648)、右腕相手には通算OPS.809を誇り、プラトーン役にうってつけだ。また、耐久力も高く、毎シーズン少なくとも106試合に出場しており、ここ2年間はそれぞれ140試合以上に出場している。

 ヤストレムスキーは、堅実な左打ちの外野手をラインナップに加えたいコンテンダー(優勝候補チーム)を含め、どのチームにとっても歓迎される補強となるだろう。

タイラー・ロジャース、救援右腕

鍵を握る数字:2021-25シーズンで374登板、防御率2.71

 ロジャースは過去5年間、クローザー以外のリリーフ投手の中で屈指の実力者だった。2021年以降、ロジャースは374試合に登板し、いずれも70イニング以上を投げ、防御率2.71という優れた成績を残している。また、今季はジャイアンツとメッツで計81試合、77回1/3を投げ、自己最高の防御率1.98を記録し、自己最高のシーズンを送ったばかりだ。

 12月に35歳になるロジャースは、今日の球界においてまさに唯一無二の投手であり、極端なアームアングルを持つサブマリンピッチャーだ(2020年以降、マイナス61度のアームアングルはメジャーリーグで断トツの低さ)。ロジャースはシンカーとフリスビースライダーを完璧な精度で投げ分け(2025年の四球率は2.3%)、相手に長打を打たせない。これらの要素を総合的に考慮すると、右打者、左打者を問わず、相手に厳しい対戦を強いる他に類を見ない投手だと言える。

ウィリ・カストロ、ユーティリティ

鍵を握る数字:2023-24シーズンでwRC+107、WAR5.4

 カストロは2023年から2025年7月までツインズで出場した368試合で、打率.250、出塁率.335、長打率.398、wRC+107、WAR6.5を記録し、2024年にはオールスター選出も果たした。2025年にトレード移籍したカブスでは厳しい結果(34試合でOPS.485)に終わり、フリーエージェントになる前にアピールはできなかった。しかし、カストロは今でも文字通りフィールドのあらゆる場所でプレーできる便利屋だ。

 メジャーリーグでの7年間で、カストロは一塁と捕手を除く全てのポジションで出場している(そう、マウンドでは4回2/3を投げている)。2023年以降、平均以上の打撃成績を残しているカストロは、内野と外野の複数のポジションをこなせる能力を備えており、どの球団にとっても貴重な戦力となるでしょう。また、カストロは来年4月まで29歳にならないため、フリーエージェント市場で最も若い選手の一人です。

その他の選手

ニック・マルティネス(先発右腕)、ビクター・カラティーニ(捕手)、ライセル・イグレシアス(救援右腕)

2025.11.9 12:59 Sunday

ドジャースの外野手ディーンがジャイアンツに移籍 連覇に貢献

 ジャイアンツは外野手ジャスティン・ディーンをドジャースから、左腕レイバー・サンマーティンをレッズからそれぞれウエーバーで獲得。40人枠の空きを確保するため、右腕メイソン・ブラックがDFAされた。

 28歳のディーンは今季ドジャースの連敗に貢献。レギュラーシーズンの出場はわずか18試合にとどまったが、守備力と走塁力を買われてポストシーズンのロースター(出場選手登録)に名を連ねた。

 ワールドシリーズ第6戦では頭脳プレーで見せ場。2点リードの九回にセンターを守るディーンの頭上を二塁打が襲ったが、打球がフェンスに挟まったのを見て、ボールデッドをアピールした。打者、走者の進塁を機転によって防ぎ、ドジャースはその後リードを守り切って逆王手をかけた。

 また、3Aでは打力も発揮。90試合で打率.289、OPS.809、6本塁打、27盗塁を記録していた。

 ジャイアンツはエリオット・ラモスと李政厚(イ・ジョンフ)の2人がレギュラーとして確定。残り1つのポジションをドリュー・ギルバート、ルイス・マトス、ジラール・エンカルナシオンと、新加入のディーンらで争うと見られている。

 サンマーティンはレッズで4シーズンを過ごし、通算62登板で防御率5.66を記録。29歳の左腕は2023年7月にトミージョン手術を受け、昨季はMLBで登板なしに終わったが、今季はMLBの舞台に復帰した。

 MLBではわずか1登板のみだったが、3Aでは46登板(67回1/3)で防御率2.67、55三振と堅実な成績だった。サンマーティンの存在はジャイアンツの投手陣の層を厚くするだろう。

 代わりに25歳のブラックがロースターから外れた。ブラックは2021年のドラフト3巡目指名を受けたが、過去2年間ジャイアンツで10試合(先発8試合)登板し、防御率6.47と低迷。2025年には3Aで30試合登板し、防御率5.81を記録、最後の5試合からはブルペンに転向した。

2025.11.8 16:44 Saturday

マリナーズGM、ネイラーとの再契約は「最優先事項」 村上、岡本へ影響か

 マリナーズのジャスティン・ホランダーGMがMLBネットワークラジオのインタビューで大胆な発言をした。ホランダーGMはFAとなった一塁手ジョシュ・ネイラーについて、オフシーズンの「最優先事項」だと発言した。

 ホランダーGMは「素晴らしいフィットだったし、間違いなく今オフシーズンのわれわれの最優先事項だ。一つでなくても、他に何があるのか​​分からないが、ネイラーは今やナンバー1だ」と語った。

 ネイラーに関するコメントは、レギュラーシーズン最終盤にホランダーGMが述べていたことと同じだ。しかし、ワールドシリーズ進出まであと1勝に迫りながら痛恨の敗戦から一段落した今、ホランダーGMはネイラーとの再会への期待を高めている。マリナーズがネイラーと再契約したいと強く願っていることは明らかだ。

 来季29歳になるネイラーは、今季147試合に出場して打率.295、20本塁打、29二塁打、92打点、30盗塁を記録。7月のトレードデッドラインを前にダイヤモンドバックスからマリナーズへ移籍し、マリナーズのポストシーズンでの進撃を支えた。

 「ジョシュはわれわれのクラブハウスにぴったりで、ポジション的にも必要なポジションを担ってくれる。左打ちで、一塁を守り、走塁も上手い。多くのことをこなせる。ジョシュを長期的に獲得できれば、素晴らしいことだろう。チームにとてもフィットしているし、われわれの最優先事項だ」と、ホランダーGMはネイラーを称賛。ネイラー側も再契約に関心を持っていると伝えられており、実現の可能性はあるかもしれない。

 ネイラーの契約規模は4年から5年で年平均2000万ドル(30億円)程度と見込まれている。フリーエージェント(FA)市場ではピート・アロンソ(メッツからFA)に次ぐ有力な一塁手と見られている。アロンソはネイラーより高い打力を誇るが、ミドルマーケット球団のマリナーズにとっては、3歳近く若く、守備・走塁がアロンソより上手く、さらに契約が安く収まりそうなネイラーの方がよりふさわしい候補だ。

 仮にネイラーとの再契約が成立すれば、ホランダーGMが2016年末にジェリー・ディポト球団編成部長が率いるマリナーズに加入してから、野手として最高額の契約になるだろう。2017年からの野手最高額はミッチ・ガーバーと結んだ2年2400万ドル(37億円)、投手最高額はロビー・レイとの5年1億1500万ドル(176億円)だ。

 マリナーズの予算状況から判断すると、今オフはディポト/ホランダー体制以降では最大規模の資金的余裕があるとされる。その額はフロントの発言から推測するに3000~3500万ドルと考えられる。

 「これは常に目標だった。計画的に、これまでやってきたことを着実に積み重ねていくこと。与えられたリソースがあれば、チャンピオンシップレベルのチームを編成するのに十分な能力があると確信している。そして、ここ数年のように、適切な位置に立てば、次のことに積極的に取り組めると確信している」と、ディポト編成部長は語る。

 ネイラーの他にはマリナーズは2人の主軸野手がFAとなる。三塁手のエウヘニオ・スアレスの復帰の可能性は低いが、ポストシーズンで大活躍したホルヘ・ポランコとの再契約はまだ可能性が残される。ポランコは2026年の選手オプションを破棄し、長期契約を求めてFAとなった。

 編成トップはディポト氏とはいえ、ホランダーGMはNo.2として近年のマリナーズの契約やトレードの一部を指揮し、成功に導いてきた。カル・ローリーやルイス・カスティーヨとの契約延長、レイとガーバーとの契約、そして今夏にスアレスとネイラーのトレードを主導したのもホランダーGMだった。だからこそ、ホランダーGMのネイラーに対する発言は、ネイラーとの交渉において誰より大きな影響力を持つであろう意思決定者から発せられたものととらえることもできる。

 また、マリナーズとネイラーの動きは日本人選手にも影響を与えるだろう。今オフ、日本球界から村上宗隆(25)と岡本和真(29)の2選手がポスティングでメジャー挑戦を目指す。共に一塁・三塁を守る2選手にとって、内野のコーナーに穴を抱え、かつ日本人選手とのつながりも強いマリナーズは有力な移籍先と考えられていた。しかし、マリナーズがネイラーとの再契約に成功すれば、日本人の大砲との契約に乗り出す可能性が下がるだろう。

2025.11.8 13:30 Saturday

レイズが守護神フェアバンクスの球団オプションを破棄 

 レイズのオフシーズンのやることリストに新たな項目が加わった。守護神ピート・フェアバンクスの穴埋めだ。

 レイズは二塁手ブランドン・ラウの球団オプションを行使し、テイラー・ウォールズの契約に新たなオプションを追加するなど、忙しく補強に動いた。一方、クローザーのフェアバンクスの来季の球団オプション(1100万ドル)を破棄し、100万ドルのバイアウトを支払った。フェアバンクスはフリーエージェント(FA)となっている。

 レイズにとって、フェアバンクスがブルペンに与えた影響と、タンパベイのクラブハウスとコミュニティにもたらした独特の個性を考えると、これは決して軽々しく下した決断ではなかった。2019年7月に加入したフェアバンクスは、レイズの5年連続ポストシーズン進出(2019年から2023年)に貢献し、三振(2位)、セーブ数(3位)、登板数(4位)、投球回数(7位)において、チーム歴代リリーフランキングの上位に名を連ねている。

 「フェアバンクスはフィールド上で多くの特別な出来事に関わってきた。地域社会への貢献、そして彼ならではの、ユニークで記憶に残る方法でファンと交流してきたことなど、本当に感謝すべき点がたくさんある。だからこそ、このような決断は難しい。それら全てがなかったとしても、それは依然として難しい決断だったが、冬を迎えるにあたり、柔軟性を持たせるためには、この決断をする必要があると感じた」と、球団編成部長のエリック・ニアンダー氏は語った。

 レイズは選択肢をすべて理解せずにこの動きをしたわけではない。このシナリオでは、レイズは100万ドルを支払いましたが、見返りは何も得られなかった。もしレイズが球団オプションを行使した上でフェアバンクスを放出し、トレードで見返りを得られるならばそうしたはずだろう。

 しかし、限られた予算、ブルペンの層の厚さ、そしてオフシーズンに取り組まなければならないその他の分野(外野、捕手、遊撃手、ローテーション)を考慮した上で、レイズはそう決断せざるを得ないと感じたのだ。

 「われわれは市場についての考えや、自分たちにできる様々なことを把握していたが、同時に、早い段階で十分な機動性を確保し、球団内で支援や改善が必要な他の分野にも目を向けられるようにしたいとも思っていた」とニアンダー氏は語った。

 レイズはフェアバンクスの穴をどう埋めるだろうか。最終的にはクローザーを固定せず状況に応じて最終回を任せる「クローザーコミッティー」を導入するだろう。

 キャッシュ監督はこれまでも、役割を固定せずにブルペンを運用することを好んできた。これは、有利なマッチアップを模索し、投手を成功に導くための最適なポジションを確保できるためだ。しかし、レイズはフェアバンクスに対してアプローチを変え、セーブシチュエーションで1イニングを投げる伝統的なクローザーに起用したが、来季は状況が変わる可能性がある。

 レイズは、左右のセットアッパー(ギャレット・クレビンジャー、エドウィン・ウセタ)の2人を擁する。ウセタは前半戦こそ苦戦したものの、後半戦は圧倒的な活躍を見せ、2024年シーズンの調子を取り戻した。さらに、7月にはトレードデッドラインを前にグリフィン・ジャックス(ツインズから)とブライアン・ベイカー(オリオールズから)という剛腕を獲得している。

 「今年の夏、われわれは今季以降もチームに残せるリリーフ投手を数人獲得したので、ブルペンには厚みができた」とネアンダーは語った。

 さらに剛腕ハンター・ビギー、セットアップ役も担ったマニュエル・ロドリゲスも負傷者リストから復帰。それ以外にも才能豊かな投手が揃い、加えて得意のマイナー契約からの才能発掘にも期待がかかる。

 2025シーズンの7月は、チームが失速する中でブルペン陣が問題となった。しかし、ブルペン陣の巻き返しに期待できるデータもある。

 レイズのブルペン陣は昨季、三振率が26%でMLB2位だった。四球率は8.1%で、カブスの7.9%に次いでMLBで2番目に低かった。また、ブルペン陣の中ではxFIP(フライ率、三振、四球などから算出される疑似防御率)が最も低かった。多くの点で好成績を残していたものの、肝心な場面で失速してしまった。

 「ブルペン陣を見ていく上で、直近の成果を無視したくはない。しかし、将来や将来のパフォーマンスを予測する上で、どの部分が最も影響力を持つのかを常に把握しようとしている。このブルペン陣の面々については、かなり良い感触を持っている。もちろん、今後も改善策を模索していくつもりだ」と、ニアンダー氏は語った。

2025.11.8 12:55 Saturday

ジャッジの再来? 元中日ブランコの息子が有望株の見本市で売り出し中

 トニー・ブランコJr.はたしかにそれらしく見える。身長6フィート7インチ(201センチ)、体重243ポンド(110キロ)の巨躯に背番号は99。アーロン・ジャッジ(ヤンキース)を彷彿とさせるが、ジャッジではない。ブランコJr.が打席に入ると、まるで「ボールの皮をえぐるほどかっ飛ばす」という古い格言を体現しているかのようだ。そしてボールがバットに当たると、どんなレベルの打者でもほとんど出せないような音が鳴り響く。

 パイレーツ傘下に所属する20歳のブランコJr.は、有望株の見本市とされる「アリゾナ・フォールリーグ」に参加している。2週目では464フィート(141メートル)の特大弾と、打球初速120.4マイル(194キロ)の二塁打を連日放ち、持ち前のパワーを発揮した。

 「野球のプレーだけでなく、ブランコJr.は素晴らしい人間で、一生懸命努力するいい子だ。彼の才能は本当に大きい。勤勉さも並外れている。毎日準備万端で球場にやって来ますし、特にリーグの中でも若い選手の一人であることを考えると、この瞬間は彼にとって大きすぎるものではないと思う」と、ブランコJr.が所属するソルトリバ・ラフターズのエリック・パターソン監督(パイレーツ3Aのベンチコーチ)は語った。

 ブランコの飛距離は間違いなく驚異的だ。しかし、この20歳(リーグでも8番目に若い)を特に稀有な存在にしているのは、打球の速度だ。10月17日に放った打球初速120.4マイル(194キロ)の二塁打によって、スタットキャスト導入(2015年)以降で打球初速120.4マイル以上の打球を放ったわずか7人の打者の1人となった。

ジャンカルロ・スタントン(16本) オニール・クルーズ(6本) アーロン・ジャッジ ブラディミール・ゲレーロJr. ロナルド・アクーニャJr. ゲーリー・サンチェス

 上記の6人の強打者は全員がアリゾナ・フォールリーグを経験している。

 ブランコJr.はわずか45打席(68位)にしか立っていないが、打球速度ランキング上位50位のうち、他のどの選手よりも多い5本のランクインを誇っている。レギュラーシーズンでも1Aブレイデントンでリーグの打球速度ランキングの上位6位の打球すべてをブランコJr.が記録していた。

 パイレーツで同僚の有望株エズメルリン・バルデスは「すごいよ」と、ブランコJr.のパワーを簡潔に称賛した。

 現役時代にはエイドリアン・ベルトレ、デービッド・オルティス、フランク・トーマスといった殿堂入り選手とプレーしたパターソン監督も「バットの音が違う」と語る。

 「打った時は、何も感じない。手には何も感じない。ただ打ったという感覚だけで、それだけなんだ」とブランコJr.は涼しい顔だ。

 ブランコJr.のパワーの秘密の一つには優秀なDNAもある。父トニー・ブランコは20年前にアリゾナ・フォールリーグに参加した有望株で、2008年から日本球界へ移籍。日本で大砲としてのキャリアを築き上げた。

 しかし、父は4月にドミニカ共和国で事故によって他界。今季は前半戦はケガに苦しむなど、試練も味わった。

 2005年に父が成し遂げたようにメジャーリーグに昇格し、そして父も成し遂げられなかったメジャーの舞台での活躍という究極の目標のためには、パワーだけでは足りないとブランコJr.は自覚している。マイナーでの通算打席数は362で、好成績を残しているもののまだ技術は未熟だ。

 「どんな球種でも打てる練習に集中している。年初は少し苦労したから、神様にとても感謝している。でも、今はうまくいっている」と、ブランコJr.。

 「ブランコJr.は自由にプレーしていて、思い切り打つことを恐れない。彼には明らかに驚異的なパワーのポテンシャルがある。でも、本当に良い打者になる可能性もあると思う。ホームランだけじゃない。完璧な打者になる可能性もあると思う」と、パターソン監督はブランコJr.の将来に大きな期待を寄せる。

 結局のところ、プロスペクトが秋季リーグに選出されるのはそのためだ。マイナー下級でプレーした打者は、レギュラーシーズンで直面するよりも、球速が速く、変化球が鋭く、そして打席で相手を攻めるための総合的なアプローチが優れている上位レベルの投手と対戦することになる。ブランコは、対戦してきた投手陣に感銘を受けていると述べている。彼らの投球を次々と打ち返してきたにもかかわらずだ。

 前述の464フィートの本塁打は、ストライクにはならないはずのスライダーを左中間まで引っ張って打ったものだった。これは一つの結果に過ぎないが、パイレーツのNo.30有望株である彼の今後の活躍を暗示している。

 「彼は自分が何をしているのか、本当によく分かっている。もちろん、微調整が必​​要な部分はあるが、間違いなく正しい方向に進んでいる」と、パターソン監督は語った。

2025.11.8 11:50 Saturday

名将ブルース・ボウチーが古巣ジャイアンツのアドバイザーに就任へ

 元ジャイアンツ監督、ブルース・ボウチーのサンフランシスコ復帰に向けた動きが進んでいるようだ。

 地元紙「サンフランシスコ・クロニクル」が4日(日本時間5日)に報じた通り、ジャイアンツはワールドシリーズ制覇4度の実績を誇る名将ボウチーをアドバイザー職でチームに復帰させようとしており、交渉は最終段階に突入しているという。

 現在70歳のボウチーは、2007~19年にジャイアンツの監督を務め、2010年、2012年、2014年と3度のワールドシリーズ制覇を達成。球団の歴史上、最も愛される人物の1人となった。

 ボウチーは2019年シーズン限りで一時的に引退したものの、レンジャーズのクリス・ヤング編成本部長の説得で引退を撤回し、2022年10月にレンジャーズの監督に就任した。

 就任1年目の2023年、ボウチーはレンジャーズを球団史上初のワールドシリーズ制覇に導いたが、今季限りで3年契約が満了。9月29日(同30日)、球団とボウチーが互いに合意し、今季限りでの退任が決まった。ボウチーの退任決定がジャイアンツのボブ・メルビン監督の解任と同日だったため、「ボウチーが再びジャイアンツの監督に就任するのではないか」との憶測がたちまち広がった。

 ジャイアンツのバスター・ポージー編成本部長は、メジャー生活12シーズンのうち11シーズンをボウチーのもとでプレーしたが、10月1日(同2日)に行われたシーズン終了後の記者会見で「ボウチーが監督に就任する」との噂を否定。ただし、ボウチーがほかの役職でジャイアンツに復帰する可能性については否定しなかった。

 ボウチーが戻ってくるのは、就任2年目のシーズンを迎えるポージー編成本部長だけでなく、大学野球のヘッドコーチからMLBの監督という異例のステップアップを遂げたトニー・ビテロ新監督にとっても大きい。経験豊富なボウチーはチームの大きな助けとなるはずだ。

 ポージー編成本部長は新監督の選定にあたり、ボウチーとダスティ・ベイカー(=ジャイアンツの特別アドバイザー)にビテロとの面談を依頼したという。2人のベテラン監督はテネシー大学のヘッドコーチだったビテロとの面談で好印象を持ち、ポージー編成本部長に採用を進言したようだ。

 ビテロを新監督に採用したことについて、ポージー編成本部長は「もちろん、私はダスティとボウチーを大いに尊敬しています。彼らは(ビテロの)人物像について、非常にポジティブな印象を持っていました。どんな人材採用にも不確実性やリスクは付き物です。今回の採用は、おそらく過去のどんな採用よりも高リスクでしょう。しかし、私は(ビテロに)賭けることを決めました」と話していた。

 ボウチーはパドレス、ジャイアンツ、レンジャーズで合計28シーズンにわたって監督を務め、通算2252勝2266敗を記録。通算勝利数は歴代6位の大記録である。ボウチーを上回る5人(コニー・マック、トニー・ラルーサ、ジョン・マグロー、ボビー・コックス、ジョー・トーレ)はいずれもアメリカ野球殿堂入り。ボウチーも間違いなく、近いうちに殿堂入りを果たすことになるだろう。

2025.11.7 11:56 Friday

今永昇太を含む13人のFA選手がクオリファイングオファーの提示を受ける

 6日(日本時間7日)、MLBはクオリファイングオファーの提示期限を迎え、13人のフリーエージェント(FA)選手に対してクオリファイングオファー(年俸2202万5000ドル=約33億円の1年契約)が提示された。

 クオリファイングオファーの返答期限は東部時間の18日午後4時(=日本時間19日午前6時)。受諾した選手は1年2202万5000ドルの契約で元の所属球団に残留する。拒否した選手は引き続きFAとなり、元の所属球団と再契約することも可能。別の球団と契約した場合、元の所属球団にはドラフトの補償指名権が与えられる。

 ちなみに、クオリファイングオファーの制度が導入された2012年以降、受諾した選手はわずか14人しかいない。

 ここでは、クオリファイングオファーの提示を受けた13人のFA選手のほか、提示を受けなかった主な選手、さらに提示を受ける資格がなかった選手について見ていく。

◆クオリファイングオファーの提示を受けた選手 ※2025年のWARの順に紹介(総合指標WARはFanGraphsのものを使用)

カイル・シュワーバー(指名打者/フィリーズ) 2025年fWAR:4.9

 シュワーバーにとって、フィリーズとの契約最終年はこれ以上ないほど素晴らしいシーズンとなった。全162試合に出場してリーグ最多の56本塁打を放ち、メジャー最多の132打点を記録。OPS+は自己最高の150をマークし、フィリーズとの4年契約を華々しく締めくくった。契約期間中、シュワーバーの187本塁打を上回るのはメジャー全体でアーロン・ジャッジ(ヤンキース)だけ。ポストシーズンでも見事な活躍を見せ、通算23本塁打は歴代3位タイにランクインしている。

カイル・タッカー(外野手/カブス) 2025年fWAR:4.5

 今オフのFA市場の目玉として注目されるタッカーは、2021年以降にWAR23.4(FanGraphsより)、OPS+145を記録。アストロズからカブスへ移籍した今季は右手の亀裂骨折、左ふくらはぎ痛とケガに悩まされたが、それでも136試合に出場し、自身3度目となる20本塁打&20盗塁を達成(22本塁打、25盗塁)しただけでなく、OPS+143と例年通りの好成績を残した。

レンジャー・スアレス(先発投手/フィリーズ) 2025年fWAR:4.0

 スアレスはフィリーズの先発ローテーションに加わった2021年以降、116試合に先発して防御率3.39を記録。これは同期間に100試合以上先発した投手の中で13位の好成績である。また、ポストシーズンでも素晴らしい成績を残しており、通算42回2/3を投げて防御率1.48をマークしている。

フランバー・バルデス(先発投手/アストロズ) 2025年fWAR:4.0

「真のエース」が不足しているFA市場において、おそらく最高の先発投手であると思われるバルデスは、アストロズで継続的な成功を収めてきた。2020年以降、973イニングを投げて防御率3.23を記録。奪三振とゴロ率を両立させたピッチングで先発ローテーションを牽引してきた。

ボー・ビシェット(遊撃手/ブルージェイズ) 2025年fWAR:3.8

 2024年はケガに悩まされ、81試合でOPS.598に終わったビシェットにとって、今季はFA前に自身の価値を証明するための重要なシーズンだった。かつての輝きを取り戻し、打率.311、18本塁打、94打点、OPS.840の好成績をマーク。見事な復活を遂げた。

ディラン・シース(先発投手/パドレス) 2025年fWAR:3.4

 成績は安定していないものの、シースは素晴らしい球威を持ち、非常に頑丈な投手であることを証明している。今季は全先発投手の中でトップの空振り率33.8%(1000スイング以上)を記録。5年連続で32試合以上に先発し、214個以上の三振を奪っている。

トレント・グリシャム(外野手/ヤンキース) 2025年fWAR:3.2

 今季最大のサプライズの1つであるグリシャムは、本塁打(34)、打点(74)、四球(82)、OPS(.811)など多くの部門でキャリアハイを更新。2022~24年は合計381試合で打率.191、39本塁打、出塁率.298、長打率.353と低迷していたが、大きな飛躍を遂げた。

グレイバー・トーレス(二塁手/タイガース) 2025年fWAR:2.6

 トーレスは昨オフにFAとなった際、ヤンキースがクオリファイングオファーを提示しなかったため、今オフ、タイガースからクオリファイングオファーの提示を受ける資格がある。1年契約でタイガースに加入した今季はオールスター選出を果たしたが、後半戦にOPS.659と失速。シーズントータルでは16本塁打、74打点、OPS.745、OPS+108にとどまり、前年とほぼ同水準の成績だった。

エドウィン・ディアス(救援投手/メッツ) 2025年fWAR:2.0

 ディアスは2022年シーズン終了後にFAとなった際、メッツからクオリファイングオファーの提示を受けなかった。クオリファイングオファーの提示期限前に5年契約で残留したからだ。今季は防御率1.63をマークし、9イニングあたり13.30奪三振と三振奪取能力の高さも健在。オプトアウトの権利を行使し、5年契約の残り2年を破棄してFAとなった。

ブランドン・ウッドラフ(先発投手/ブルワーズ) 2025年fWAR:1.8

 ウッドラフはキャリアを通してケガに悩まされており、昨季は右肩の手術で全休。しかし、2019年以降、健康時にはメジャー屈指のパフォーマンスを続けている。今季途中にケガから復帰し、12度の先発登板で防御率3.20、K/BB(奪三振と与四球の比率)5.93を記録。シーズン終盤に右広背筋を痛めて離脱したが、復活をアピールした。

ザック・ギャレン(先発投手/ダイヤモンドバックス) 2025年fWAR:1.1

 ダイヤモンドバックスは今季、シーズン終了後にFAとなる予定の選手を夏場に次々と放出したが、ギャレンはチームに残した。今季は33試合に先発し、自己ワーストの防御率4.83。2019~24年には防御率3.29をマークしていたが、今季は本来の実力を発揮できなかった。

今永昇太(先発投手/カブス) 2025年fWAR:0.9

 今永はメジャー最初の2年間で54試合に先発し、防御率3.28、K/BB5.39を記録したが、カブスは3年契約のオプションを破棄。今永も1年契約でカブスに残留するオプションを破棄したため、FAとなった。

マイケル・キング(先発投手/パドレス) 2025年fWAR:0.8

 キングは昨季、フルタイムの先発投手への転向を成功させ、サイ・ヤング賞投票で7位にランクイン。今季も好成績を残していたが、ケガに泣き、シーズンの約半分を欠場した。

◆クオリファイングオファーの提示を受けなかった主な選手

ルイス・アライズ(パドレス) ザック・エフリン(オリオールズ) ルーカス・ジオリト(レッドソックス) ホルヘ・ポランコ(マリナーズ) デビン・ウィリアムス(ヤンキース)

◆クオリファイングオファーの提示を受ける資格がなかった選手

 FA選手全員がクオリファイングオファーの対象となるわけではない。過去にクオリファイングオファーの提示を受けたことがある選手は対象外となる。つまり、以下のFA選手たちはクオリファイングオファーを受ける資格がない。

ピート・アロンソ(メッツ)、タイラー・アンダーソン(エンゼルス)、クリス・バシット(ブルージェイズ)、コディ・ベリンジャー(ヤンキース)、アレックス・ブレグマン(レッドソックス)、アレックス・カッブ(タイガース)、マイケル・コンフォート(ドジャース)、パトリック・コービン(レンジャーズ)、ジェイソン・ヘイワード(パドレス)、ライセル・イグレシアス(ブレーブス)、ケンリー・ジャンセン(エンゼルス)、ニック・マルティネス(レッズ)、マーティン・ペレス(ホワイトソックス)、マーセル・オズナ(ブレーブス)、J・T・リアルミュート(フィリーズ)、デービッド・ロバートソン(フィリーズ)、カルロス・サンタナ(カブス)、マックス・シャーザー(ブルージェイズ)、クリス・テイラー(エンゼルス)、ジャスティン・ターナー(カブス)、ジャスティン・バーランダー(ジャイアンツ)

 また、メジャー/マイナーにかかわらず、レギュラーシーズン開幕日から最終日まで、同じ球団に所属していなかった選手も対象外となる。このカテゴリーに該当する主なFA選手は以下の通り。

ハリソン・ベイダー(フィリーズ)、ライアン・ヘルズリー(メッツ)、メリル・ケリー(レンジャーズ)、キム・ハソン(ブレーブス)、ジョシュ・ネイラー(マリナーズ)、ライアン・オハーン(パドレス)、タイラー・ロジャース(メッツ)、エウヘニオ・スアレス(マリナーズ)、マイク・ヤストレムスキー(ロイヤルズ)

2025.11.7 11:06 Friday

ナ・リーグのシルバースラッガー賞発表 大谷はキャリア4度目の受賞

 6日(日本時間7日)、ナショナル・リーグのシルバースラッガー賞が発表された。アメリカン・リーグの受賞者はあす7日(同8日)に発表される予定だ。

 MLB各球団の監督・コーチの投票により決定されるシルバースラッガー賞は、各リーグの各ポジションにおいて、攻撃面で最も優れたパフォーマンスを見せた選手を表彰する。各リーグで捕手・一塁手・二塁手・三塁手・遊撃手・指名打者が1名、外野手が3名、ユーティリティプレーヤーが1名選出され、各リーグの「年間最優秀攻撃チーム」も決定される。

 2025年シーズンのナ・リーグのシルバースラッガー賞は以下の通り。

一塁手:ピート・アロンソ(メッツ)初受賞

 アロンソほど多くのホームランを打つ選手がシルバースラッガー賞を初受賞というのは驚きだ。しかし、今季38本塁打、126打点、リーグ最多の41二塁打を記録し、OPS.871をマークしたアロンソは、ついにこの栄誉を手にすることになる。本塁打、打点、OPSはいずれも一塁手でリーグトップ。メッツの一塁手がシルバースラッガー賞を受賞するのは1984年のキース・ヘルナンデス以来となった。

二塁手:ケテル・マルテ(ダイヤモンドバックス)2年連続2度目

 2年連続の受賞となったマルテは、今季ナ・リーグ最多の3人の受賞者を輩出したダイヤモンドバックスから選ばれた選手の1人だ。今季は打率.283、28本塁打、72打点、OPS.893を記録。OPSはナ・リーグのほかの二塁手より約100ポイント高く(2位はブライス・トゥラングの.794)、本塁打数でも10本差をつけた(2位は同じくトゥラングの18本)。ダイヤモンドバックスの選手が2年連続で受賞するのは、ポール・ゴールドシュミットが一塁手部門で2017~18年に受賞して以来だ。

三塁手:マニー・マチャド(パドレス)2年連続3度目

 マチャドは2年連続、2020年も含めてキャリア3度目の受賞となった。シルバースラッガー賞を3度以上受賞したパドレスの選手はトニー・グウィン以来(グウィンは7度受賞、最後の受賞は1997年)。今季は打率.275、27本塁打、95打点を記録し、7度目のオールスター選出を果たした。

遊撃手:ヘラルド・ペルドモ(ダイヤモンドバックス)初受賞

 ペルドモの攻撃面での成長は、今季最大のサプライズの1つだった。過去3シーズンは1175打数でわずか14本塁打、OPS.654にとどまり、OPS+は83と平均以下(平均は100)。しかし、今季は597打数で20本塁打、100打点をマークし、OPS+も136と平均を大幅に上回った。さらに、自己最多の27盗塁を記録し、ダイヤモンドバックスの遊撃手として初めて20本塁打&20盗塁を達成。ダイヤモンドバックスの遊撃手がシルバースラッガー賞を受賞したのも今回が初めてだ。

外野手:フアン・ソト(メッツ)6年連続6度目

 ソトは26歳のシーズンで6度目のシルバースラッガー賞を受賞。これは、過去にマイク・トラウトとアレックス・ロドリゲスしか達成していない快挙である。また、6年連続の受賞となり、うち5度はナ・リーグ、昨季のみア・リーグでの受賞となっている。ナショナルズ、パドレス、ヤンキース、メッツと異なる4チームで受賞しているのもソトの特徴だ。今季ナ・リーグで複数人の受賞者を輩出したのは、3人が受賞したダイヤモンドバックスのほかに、ソトとアロンソが選ばれたメッツだけ。ソトは自己最多の43本塁打を放ち、38盗塁で盗塁王のタイトルも獲得。メジャー最多の127四球を選び、OPS.921をマークした。

外野手:コービン・キャロル(ダイヤモンドバックス)初受賞

 キャロルは昨季、打率.231、OPS.750と低調で、OPS+も107にとどまったが、今季は素晴らしいシーズンを過ごして復活を遂げた。自己最多の31本塁打を放ち、32盗塁と合わせて球団史上初の30本塁打&30盗塁を達成。打率.259、OPS.884を記録し、OPS+は140に達した。300塁打を達成した今季13人のうちの1人でもある。リーグ最多の17三塁打を放ち、三塁打王はこれで3年連続。長打80本はメジャー5位タイだった。ダイヤモンドバックスの外野手がシルバースラッガー賞を受賞するのは2018年のデービッド・ペラルタ以来である。

外野手:カイル・タッカー(カブス)2年ぶり2度目

 ケガの影響で後半戦はパフォーマンスを落としたものの、シーズントータルで見れば、攻撃面で素晴らしい成績を残した。直近4年間で3度目となる20本塁打&20盗塁を達成し、打率.266、出塁率.377、長打率.464を記録。今オフのフリーエージェント(FA)市場の目玉として注目されているタッカーは、2023年以来2年ぶり2度目のシルバースラッガー賞に輝き、カブスの外野手による受賞は2002年のサミー・ソーサ以来となった。

捕手:ハンター・グッドマン(ロッキーズ)初受賞

 今季ロッキーズから唯一オールスターに選ばれたグッドマンは、31本塁打、91打点、281塁打、OPS.843の好成績をマーク。グッドマンの本塁打と塁打を上回った捕手はカル・ローリー(マリナーズ)しかいない。ロッキーズの捕手がシルバースラッガー賞を受賞するのは初めて。ポジションに関係なく、ロッキーズの選手が選ばれるのは2019年のトレバー・ストーリー以来となった。

指名打者:大谷翔平(ドジャース)3年連続4度目

 2年連続の50本塁打&50盗塁を達成することはできなかったが、大谷は今季も攻撃面で歴史を作った。55本塁打は自己記録と球団記録を更新し、メジャー最多の146得点は20世紀以降の球団新記録に。20盗塁も決して悪くない数字だ。長打率(.622)、OPS(1.014)、OPS+(179)、塁打(380)は3年連続でリーグトップ。3年連続4度目のシルバースラッガー賞に輝き、同じく3年連続4度目となるMVPの受賞も確実視されている。

ユーティリティ:アレック・バーレソン(カージナルス)初受賞

 シルバースラッガー賞でユーティリティ部門の表彰が始まってから今年で4年目。ナ・リーグではブランドン・ドルーリー、コディ・ベリンジャー、ムーキー・ベッツに続く4人目の受賞者としてバーレソンが選ばれた。今季は打率.290、18本塁打、69打点、OPS.801を記録。カージナルスの選手がシルバースラッガー賞を受賞するのは2022年のゴールドシュミットとノーラン・アレナド以来だ。

チーム:ドジャース(2年連続2度目)

 今季のドジャースは得点(825)、本塁打(244)、四球(580)、OPS(.768)、塁打(2415)など多くの部門でリーグトップを記録。本塁打数は球団史上3番目に多かった。フレディ・フリーマン、ベッツ、ウィル・スミス、そして大谷らの活躍によりワールドシリーズ連覇を果たしたドジャースは、2年連続でナ・リーグの「年間最優秀攻撃チーム」に選出された。

2025.11.7 09:52 Friday

マネーボールの再来か デポデスタがロッキーズの編成トップに就任へ

 関係者によると、ロッキーズは新たな編成トップにポール・デポデスタを招聘する方針を固めたようだ。デポデスタは長年、MLB球団の幹部を務め、現在はNFLクリーブランド・ブラウンズの最高戦略責任者(CSO=チーフ・ストラテジー・オフィサー)を務めている。

 球団はまだ公式発表を行っていないが、早ければ7日(日本時間8日)にも決定する見込み。ロッキーズは今季終了後にビル・シュミットGMが辞任しており、52歳のデポデスタがその後任となる。デポデスタは「マネーボール」時代のアスレチックスにおいて、ビリー・ビーンGM(当時)のもとでGM補佐を務めたことで知られており、2004~05年にはドジャースのGMを務めた。ロッキーズはフロントオフィスを強化する方針で、デポデスタが編成トップに就任することが正式に決まったあと、さらなる人材採用を行うと予想されている。

 10日(同11日)からラスベガスでMLBのGM会議が始まる予定で、ロッキーズはそれに間に合うように編成トップの選定を進めたとみられる。

 デポデスタは2016年にNFLブラウンズへ移籍。それまではMLBの複数のチームに在籍して長いキャリアを過ごしており、スカウティングや選手育成の分野で経験豊富だ。

 1996年にインディアンス(現ガーディアンズ)でインターンとしてキャリアをスタート。のちにロッキーズのGMに就任するダン・オダウドがインディアンスGM(当時)のジョン・ハートとともにメンターとなり、デポデスタはアドバンススカウトやGM特別補佐として選手育成に携わった。

 1999年からアスレチックスに加わり、ビーンGMのもとで存在感を発揮。2003年まで在籍し、データ分析の分野における革新者とみなされていた。アスレチックスは2000~03年に4年連続でポストシーズン進出を果たしている。その後、ドジャースのフランク・マッコート・オーナー(当時)のもとでGMに就任したが、成功を収めることはできなかった。

 それ以降は、パドレスの野球運営担当特別補佐(2006~10年)、メッツの選手育成・アマチュアスカウト担当の副社長(2011~15年)を歴任し、NFLブラウンズへ移籍した。

 MLBの世界に戻ってくるデポデスタは、ロッキーズの球団史上5人目の「編成トップ」となる。ナ・リーグ加盟の前年、1992年にボブ・ゲブハードが初代GMに就任し、1999年途中まで務めた。後任のオダウドは2014年シーズン終了まで、3代目のジェフ・ブリディッチは2021年途中までGMを務め、4代目としてシュミットが就任。また、オダウド政権の後期にはビル・ガイベットとGMの職務を分担していた時期があり、1999年途中にゲブハードが辞任したあと、トニー・シーグルが暫定GMを務めた時期もあった。

「マネーボール」で一世を風靡した手腕で、低迷するロッキーズを立て直すことができるのか、大きな注目が集まりそうだ。

2025.11.7 08:51 Friday

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