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  • 第9週のMVPはスプリンガーとボルケス

    2017.6.6 10:07 Tuesday

     第9週(5月29日~6月4日)の週間最優秀選手が発表され、ア・リーグはジョージ・スプリンガー(アストロズ)、ナ・リーグはエディンソン・ボルケス(マーリンズ)が選出された。

     スプリンガーは打率.500(30打数15安打)、5本塁打、9打点、OPS1.565の大暴れでチームの10連勝に大きく貢献。安打、本塁打、OPSなどの部門でリーグトップの数字をマークした。「チームについてはとても満足している。この1ヶ月、チームの状態はとても良い。それに貢献することができて嬉しいよ」とスプリンガー自身もチーム状況に手応えを感じている様子。5月31日のツインズ戦では4打数4安打2本塁打2四球の大活躍で、A.J.ヒンチ監督は「信じられない1週間だったね」とスプリンガーの活躍を手放しで称賛した。

     ボルケスは6月3日のダイヤモンドバックス戦で今季メジャー初となるノーヒッターを達成。5月29日のフィリーズ戦でも6回1失点と好投して今季初勝利をマークしており、2先発で2勝0敗、防御率0.60と文句なしのパフォーマンスだった。ボルケスは「子供のとき、野球選手として、まずはメジャーリーガーになりたかった。そして、ノーヒッターを達成したり、オールスターに出場したりしたかった。夢が叶ったんだよ」と語り、ホゼ・フェルナンデスとヨーダノ・ベンチュラに捧げたノーヒッターを振り返っていた。

  • ナ・リーグ一塁手部門は大混戦!?

    2017.6.5 19:23 Monday

     日本時間7月12日にマイアミのマーリンズ・パークで開催される第88回オールスター・ゲーム。すでにファン投票は開始されており、日本時間5月31日にナ・リーグの第1回中間発表が行われた。得票数トップは90万79票を集めたブライス・ハーパー(ナショナルズ・外野手1位)。今回は激戦が予想されるナ・リーグ一塁手部門の行方を占ってみる。

     第1回中間発表で暫定スタメンの座を得たのはバスター・ポージー(ジャイアンツ・捕手)、アンソニー・リゾー(カブス・一塁手)、ダニエル・マーフィー(ナショナルズ・二塁手)、クリス・ブライアント(カブス・三塁手)、コリー・シーガー(ドジャース・遊撃手)、ハーパー、チャーリー・ブラックモン(ロッキーズ・外野手2位)、ジェイソン・ヘイワード(カブス・外野手3位)の8名。各ポジションでカブス勢が上位につける中、ハーパー以外にポージー、シーガー、ブラックモンがファン投票選出圏内に名を連ねた。

     マーフィーやブライアントがすでに60万を超える票を得ている一方で、一塁手部門トップのリゾーは約45万票、遊撃手部門トップのシーガーは約40万票。この2部門では2位以下の選手にも幅広く票が入っており、熾烈な争いが繰り広げられていることが窺える。特に一塁手部門は好成績を残している選手も多く、最後の最後まで激しい争いが続きそうだ。では、一塁手部門の有力選手をチェックしていこう。

    アンソニー・リゾー(カブス)

     第1回中間発表では一塁手部門最多の45万2620票を獲得。昨季もファン投票でオールスターに選出されており、現在のナ・リーグで最も人気のある一塁手と言っても過言ではないだろう(チームの人気を差し引く必要はあるかもしれないが)。今季は5月に打率.194のスランプに陥るなど、ここまで打率.236とあまり元気がない。しかし、三振(28)以上の四球(32)を選ぶなど、打撃の質自体は決して悪くなく、極端に低いBABIP(.221)が上向くにつれて打率も上昇するはずだ。

    ライアン・ジマーマン(ナショナルズ)

     全盛期の強打を失い、不良債権化したはずの男が今季まさかの復活。両リーグ断トツの打率.374をマークするなど、打撃各部門で好成績をマークし、第1回中間発表では一塁手部門2位となる35万9055票を獲得した。一時は打撃3部門を独占し、4月は打率.420、11本塁打の好成績で月間MVPを受賞。その勢いは衰えつつあるとはいえ、5月も打率3割をクリアしており、6月も3試合で6安打と決して「春の珍事」ではなさそうだ。

    フレディ・フリーマン(ブレーブス)

     チーム状況も影響して打点こそ伸び悩んでいるものの、出場37試合で打率.341、14本塁打、OPS1.209という驚異的な打棒を見せていたフリーマン。しかし、5月17日のブルージェイズ戦で受けた死球によって左手首を骨折し、痛恨の戦線離脱。前半戦での戦列復帰はほぼ絶望という状況になっている。第1回中間発表では一塁手部門3位の28万6389票を獲得していたが、試合に出場していないだけに、今後急激に得票数が伸びることはないだろう。なお、チームは穴埋め要員としてカージナルスからマット・アダムスを獲得。今のところ、アダムスは期待に応える活躍を見せている。

    ポール・ゴールドシュミット(ダイヤモンドバックス)

     走攻守3拍子揃った、一塁手には珍しいオールラウンドプレイヤー。昨季は24本塁打、32盗塁を記録し、今季もここまで13本塁打、12盗塁と「30-30」を狙えるペースで数字を積み上げている。ゴールドグラブ賞2回を誇る一塁守備に対する評価も高く、性格面も文句なし。打率.306、OPS.999と昨季やや物足りなかった打撃成績でも盛り返しており、第1回中間発表の一塁手部門4位(20万5828票)からさらなるランクアップも期待できそうだ。

    エリック・テームズ(ブリュワーズ)

     開幕直後の球界を席巻した「逆輸入スラッガー」。4月13日から5試合連続本塁打を記録するなど、開幕直後に本塁打を量産し、4月は打率.345、11本塁打の好成績をマーク。5月は打率.221と失速したものの、出塁率.375と優れた選球眼に狂いはなし。OPSも「10割超え」をキープしている。直近5試合で2本塁打とやや当たりが戻りつつあり、今後の活躍次第では第1回中間発表の一塁手部門5位(17万244票)からの大幅ランクアップも夢ではないだろう。

    ウィル・マイヤーズ(パドレス)

     昨季ついに開花し、初のオールスター出場を果たしたパドレスの看板選手。今季は4月10日のロッキーズ戦でサイクルヒットを達成するなど開幕から絶好調だったが、5月に入って打率.214と失速。ここまで打率.260、12本塁打、OPS.803とやや物足りない成績に落ち着いてしまった(それでもOPSは昨季を上回っているが)。16四球に対して70三振と打撃が粗くなっている点も心配。2年連続のオールスター出場に向けて6月以降の巻き返しに期待したい。

    ブランドン・ベルト(ジャイアンツ)

     昨季は最終枠の投票でオールスター初出場。自己最多の41二塁打、82打点、104四球、OPS.868を記録して一皮剥けた感もあったが、今季はここまで打率.234と低調なシーズンを送っている。本塁打は自己最多を更新するペースで放っており、自身初の20本塁打が現実味を帯びつつあるが、この調子では2年連続のオールスター出場はかなり難しいと言わざるを得ないだろう。

    マーク・レイノルズ(ロッキーズ)

     打者天国コロラドで輝きを取り戻した長距離砲。ダイヤモンドバックス時代の2009年には44本塁打、24盗塁、223三振というダイナミックな成績を残し、シーズン223三振は現在も歴代最多記録となっている。昨季は自己最高の打率.282を記録し、今季はマイナー契約でロッキーズと再契約。イアン・デズモンドの故障離脱もあって開幕ロースター入りを勝ち取り、5月5日から4試合連続本塁打を記録するなど、ここまで打率.295、14本塁打、OPS.901と昨季以上の好成績をマークしている。

    ジョーイ・ボットー(レッズ)

     メジャー最高級の選球眼を持つ男。打率.326、OPS.985を記録しながら「昨季のパフォーマンスに満足できなかった」とWBC出場を辞退して臨んだ今季は、打率こそ.286と物足りないものの、14本塁打、OPS.985を記録し、31三振に対して42四球と流石の数字をマーク。DRS-14まで悪化した一塁守備でも今季はDRS+5と本来の姿を取り戻している。昨季は内野フライを1本も打たなかったが、今季はすでに1本。2009年から8年連続で2本以下だが、今季はどうなるか。

    ジャスティン・ボーア(マーリンズ)

     今季急成長を遂げたマーリンズの正一塁手。昨季までは左投手を苦手としており、なかなかフルでの出場機会を得られずにいたが、今季はここまで打率.350、5本塁打、OPS1.197と苦手の左投手を完全に克服。シーズントータルでも打率.295、16本塁打、OPS.959の好成績をマークし、16本塁打はすでに昨季を上回っている。5月以降だけで12本塁打とここにきて調子を急激に上げており、地元開催でのオールスターに選出される可能性も十分にありそうだ。

  • 第9週の最優秀ブルペンはマーリンズ

    2017.6.5 16:00 Monday

     MLB公式サイトでは今季から週ごとに独自の計算方法で「週間最優秀ブルペン」を選出している。5月が終わり6月に突入した開幕第9週の最優秀ブルペンにはマーリンズが選出された。

     計算方法は至ってシンプル。以下のルールに従ってポイントを加減していくだけである(合計100ポイントで優秀だと考えられている)。
    ・1アウト=+1.5ポイント
    ・1奪三振=+1.5ポイント
    ・1セーブ=+5ポイント
    ・1被安打=-2ポイント
    ・1自責点=-4ポイント
    ・1非自責点=-2ポイント
    ・1与四球=-1ポイント
    ・1セーブ失敗=-5ポイント

     第9週のマーリンズは24.2回(=74アウト)で33奪三振、3セーブを記録し、被安打10、自責点4、与四球10、セーブ失敗1回で合計124.5ポイントを獲得。最近10試合で8勝2敗と好調なチームを安定したブルペンが支えている。最近7試合に限ればジャーリン・ガルシア、デービッド・フェルプス、A.J.ラモス、ニック・ウィットグレン、ブラッド・ジーグラーの5人が無失点。ダスティン・マゴーワンも防御率1.50と安定している。

     若きエース、ホゼ・フェルナンデスをボート事故で失ったマーリンズは今季、ジーグラー、田澤純一らを補強して弱体化した先発投手陣を強力ブルペンで支える方針を選択した。開幕から不安定な戦いが続いていたものの、ここにきてブルペンが安定。ナショナルズが独走しているナ・リーグ東部地区を、6月以降はマーリンズが盛り上げてくれるかもしれない。

    各週の最優秀ブルペン
    第1週 ロッキーズ(98ポイント)
    第2週 レッズ(119.5ポイント)
    第3週 アストロズ(132.5ポイント)
    第4週 エンゼルス(100.5ポイント)
    第5週 インディアンス(125ポイント)
    第6週 エンゼルス②(80.5ポイント)
    第7週 アストロズ②(106ポイント)
    第8週 ドジャース(126ポイント)
    第9週 マーリンズ(124.5ポイント)
    (丸印は受賞回数)

  • 【戦評】ベニンテンディがスランプ脱出の2ホーマー

    2017.6.5 15:22 Monday

     開幕前、各媒体で球界ナンバーワン・プロスペクト(若手有望株)に挙げられ、「新人王間違いなし」との声さえあったアンドリュー・ベニンテンディ(レッドソックス)。昨年8月にメジャーへ昇格し、34試合で打率.295、OPS.835と結果を残した若き好打者は、今年4月も打率.333、OPS.870の好成績をマークし、一時は4番に据えられていた。

     ところが、5月10日から昨日までの73打数で打率.123、OPS.358、長打は二塁打1本のみというスランプに陥り、先月末に4番を外され、開幕時の打順である2番に戻されていた。「大本命」に挙げられていた新人王レースでも猛打爆発のアーロン・ジャッジ(ヤンキース)に水をあけられる苦しい展開。しかし、球界ナンバーワン・プロスペクトはこのまま終わるようなヤワな人間ではなかった。

     敵地ボルティモアでのオリオールズ4連戦の最終戦。「2番・レフト」で先発出場したベニンテンディは1点ビハインドの3回表に右中間へ今季6号となる同点ソロを放つと、7回表にはライトスタンドへこの日2本目となる7号ソロ。9回表にもダメ押しとなるタイムリーヒットを放ち、この日は2本塁打を含む3安打3打点の大活躍でチームを勝利に導いた。

     レッドソックスの先発クリス・セールはベニンテンディの活躍にも助けられ、6回6安打9奪三振3失点で今季7勝目をマーク。「言うまでもなく、俺たちは彼の活躍を必要としていた。今日は彼がスランプから立ち直るために大きな一日になったね」とベニンテンディのスランプ脱出を歓迎した。ア・リーグ東部地区の「本命」と見られながらもやや出遅れた感のあったレッドソックスだが、今日の勝利によって首位ヤンキースまで2ゲーム差。球界ナンバーワン・プロスペクトの復調とともに、「本命」の快進撃が幕を開けるかもしれない。

  • 【戦評】ジェイの決勝打でカブスが3連勝

    2017.6.5 12:53 Monday

     開幕からなかなか調子が上がらず苦しんでいたカブスが本拠地リグリー・フィールドでの宿敵カージナルス3連戦をスイープ。先月28日以来7日ぶりに貯金を1とした。

     カブスがカイル・ヘンドリックス、カージナルスがマイケル・ワカの先発で始まったこの試合。3回裏に新人イアン・ハップの3号ソロでカブスが先制すると、直後の4回表にカージナルスがスティーブン・ピスコッティの3号スリーラン、新人ポール・デヨングのタイムリーで4点を奪い、逆転に成功する。しかし、4回裏にアルバート・アルモーラのタイムリー、ハップのこの日2本目となる4号スリーランが飛び出してカブスがあっという間に逆転。昨日までの2試合と同様、ライバル対決らしい白熱した試合が展開される。

     6回表、カージナルスはカブスの3番手ヘクター・ロンドンを攻め立て、アレドミス・ディアスのタイムリーツーベースなどで同点に追いつき、6-6の同点のまま試合は終盤へ。7回裏、カージナルスは4番手マット・ボーマンをマウンドへ送るが、3番アンソニー・リゾーと5番ジェイソン・ヘイワードにヒットを浴びて二死一、二塁のピンチを迎える。ここでカブスのジョー・マドン監督は代打打率.421(19打数8安打)を誇る代打の切り札ジョン・ジェイを起用。ジェイはベンチの起用に見事に応え、アウトハイに外れたスプリッターをセンター前へ弾き返して貴重な1点がスコアボートに刻まれた。

     8回表を防御率0点台のカール・エドワーズJr.、9回表を上原浩治がピシャリと抑え、試合終了。好救援を見せたペドロ・ストロップが2勝目(2敗)、最後を締めた上原が先月18日以来の2セーブ目をマークした。これでカブスは宿敵カージナルスに3連勝。首位ブリュワーズとの1ゲーム差をキープし、いよいよ「本命」の首位浮上が見えてきた。

     一方のカージナルスは貯金1として迎えたライバル対決に痛恨の3連敗を喫し、借金生活に逆戻り。現時点では外部からの補強に動くつもりはなく、主力選手の復調を待ち続ける方針を明らかにしているが、宿敵カブスの復調次第では手遅れになりかねない。ジョン・モゼリアックGMの今後の動きにも注目だ。

  • 【戦評】ナショナルズ打線爆発も不安の残るリリーフ陣

    2017.6.5 11:31 Monday

     ナ・リーグ東部地区の首位を快走するナショナルズは、6回表にトレイ・ターナーの2点タイムリースリーベースで逆転し、8回表にはライアン・ジマーマンが今季16号となる勝ち越しスリーラン。さらに、9回表にはマット・ウィータースとマイケル・テイラーの2者連続本塁打などで5点を追加し、9回表終了時点で11-4と大量7点をリード。ところが、試合は簡単には終わらなかった。

     昨日の時点でチーム打率.278、303得点、83本塁打、OPS.825はいずれもリーグトップ。先発投手陣も10先発以上の4投手がいずれも防御率3点台以下で3つ以上の貯金を作り、特にマックス・シャーザー(6勝3敗、防御率2.56)とスティーブン・ストラスバーグ(7勝1敗、防御率2.91)の二枚看板はその実力を遺憾なく発揮している。今季のナショナルズの弱点はただ1つ。防御率4.84と不安定なパフォーマンスが続いているリリーフ陣だ。

     この試合では2点差に迫られた8回二死の場面でクローザーの新人コーダ・グローバーがマウンドへ。3番ジェッド・ラウリーを一塁ゴロに打ち取ると、9回表に味方打線が5点を追加したこともあり、ベンチには楽勝ムードが漂っていた。9回表の攻撃が長引いたものの、ナショナルズのダスティ・ベイカー監督はグローバーの続投を決断。しかし、9回裏の先頭から3連打を浴び、あっという間に無死満塁の大ピンチ。ここで7番スティーブン・ボートが三塁前へボテボテの打球を転がし、チャレンジの末、タイムリー内野安打となってアスレチックスが1点を返す。さらに、代打マット・オルソンにはカウント0-2と追い込みながらも押し出しの四球を与え、ベイカー監督はここでグローバーを諦める。

     マウンドに上がったのは開幕時に新クローザーとして期待されながらも、不振によりその座を剥奪されていたショーン・ケリー。9番ラジェイ・デービスを浅いセンターフライに打ち取って1アウトを取ったものの、1番マット・ジョイスにカウント1-1からの3球目、真ん中高めに甘く入ったスライダーをライトスタンドに叩き込まれ、試合はついに1点差。アスレチックスの本拠地オークランド・コロシアムの盛り上がりは最高潮に達したが、その後はケリーが2番チャド・ピンダーと3番ラウリーを打ち取り、なんとか1点差を守り抜いた。

     試合後、ベイカー監督は「どの得点が試合を決めるかなんて誰にもわからない。だから私たちは選手たちに懸命にプレイし続けるように言っているんだよ。今日の試合でも彼らはやってくれた」と語り、9回表に大量5得点を挙げた打線を称賛した。しかし、相変わらずリリーフ陣の不安は解消されていない。球団史上初のワールドシリーズ出場へ向けて、今後ナショナルズがどのようにリリーフ陣を整備していくのか。マイク・リゾーGMの手腕が問われるシーズンとなりそうだ。

  • 【戦評】アストロズ10連勝 驚異の116勝ペース

    2017.6.5 10:13 Monday

     ア・リーグ西部地区の首位を快走するアストロズが敵地グローブライフ・パーク・イン・アーリントンでライバル・レンジャーズをスイープ。連勝を10に伸ばし、57試合消化時点で41勝16敗は、2001年に歴代最多タイの116勝を記録したマリナーズが45勝12敗を記録して以来の好成績となっている。

     アストロズがブラッド・ピーコック、レンジャーズがマーティン・ペレスの先発で始まったこの試合。1回表、アストロズは1番ジョージ・スプリンガーの今季6本目となる先頭打者本塁打で先制すると、二死後に5番カルロス・ベルトランがレフトへのタイムリーツーベースを放って2点目。その後もカルロス・コレア、ユリエスキー・グリエルの本塁打などで5回まで毎回得点を挙げ、5回表終了時点で7-0と大量リード。自慢の強力打線がこの試合でも爆発し、アストロズが試合を優位に進めていく。

     打線の援護を受けたピーコックは連打を許さない危なげないピッチングで、6回を投げて4安打9奪三振2失点の好投。7回以降はトニー・シップ、マイケル・フェリース、ルーク・グレガーソンが無失点で繋ぎ、盤石の試合運びで同地区ライバルのレンジャーズを圧倒した。レンジャーズのチュ・シンスは「僕たちが悪いわけじゃない。この3試合、彼らのほうが守備面でも、攻撃面でも、そして投手力でも僕たちを上回っていただけさ」と、自軍との力の差を認めざるを得なかった。

     10連勝によりアストロズの勝率は.719まで上昇。162試合に換算すると116.5勝という驚異的なペースで勝利を積み重ねている。絶好調のアストロズは今後どこまで連勝を伸ばし、シーズン終了後にはいくつの白星を積み重ねているのか。まずは明日から始まる敵地カンザスシティでのロイヤルズ4連戦での戦いぶりに注目したい。

  • アルバート・プーホルスが史上9人目の600本塁打

    2017.6.4 13:13 Sunday

     21世紀を代表する強打者アルバート・プーホルス(エンゼルス)がついに通算600本塁打を達成した。

     日本時間6月4日に行われた本拠地エンゼル・スタジアム・オブ・アナハイムでのツインズ戦。「3番・DH」で先発出場したプーホルスは1回裏の第1打席で四球を選ぶと、3回裏の第2打席こそ見逃し三振に倒れたものの、4回裏に回ってきた第3打席でツインズの先発アービン・サンタナから左翼ポール際へ今季9号となる満塁本塁打。史上9人目となる通算600本塁打に到達した。

     2001年にカージナルスでメジャーデビューを果たしたプーホルスはこの年、打率.329、37本塁打、130打点、OPS1.013という驚異的な成績をマークし、満票でナ・リーグの新人王に選出。その後、2010年まで10年連続で「打率3割、30本塁打、100打点」をクリアし、「The Machine」の称号を与えられた。プーホルスはMVP3回(2005、2008、2009)、首位打者1回(2003)、本塁打王2回(2009、2010)、打点王1回(2010)の輝かしい実績を引っ提げて2011年オフに10年2億4000万ドルという超大型契約でエンゼルスへ移籍。2011年以降、打率3割は一度もなく、全盛期のハイレベルな打撃成績と比べると物足りないシーズンが続いているが、本塁打のペースが大きく落ちることはなく、2015年に40本塁打、昨季は31本塁打を記録。昨季終了時点で通算591本塁打とし、大記録まであと9本に迫っていた。

     エンゼルスとの契約は今季を含めてあと5年残っており、史上4人目となる700本塁打、そして歴代最多本塁打記録の更新も視野に入る。「The Machine」が通算本塁打、通算打点の記録をどこまで伸ばしていくのか、球史に残るスラッガーの今後から目が離せない。

    通算本塁打ランキング(600本塁打以上)
    1位 バリー・ボンズ 762
    2位 ハンク・アーロン 755
    3位 ベーブ・ルース 714
    4位 アレックス・ロドリゲス 696
    5位 ウィリー・メイズ 660
    6位 ケン・グリフィーJr. 630
    7位 ジム・トーメイ 612
    8位 サミー・ソーサ 609
    9位 アルバート・プーホルス 600

  • 【戦評】ボルケスがベンチュラに捧げるノーヒッター

    2017.6.4 09:15 Sunday

     現地時間6月3日。今年1月に交通事故で命を落としたヨーダノ・ベンチュラは今日、26歳の誕生日を迎えるはずだった。「エース」の愛称でチームメイトから愛されたベンチュラ。そのベンチュラとともに2年間(2015-2016)プレイし、今季からマーリンズへ移籍したエディンソン・ボルケスがベンチュラに捧げる、「エース」級の見事なピッチングを披露した。

     1回表、ダイヤモンドバックスの1番レイ・フエンテスを一塁ゴロに打ち取ったボルケスはベースカバーに入った際に、一塁ベース上で打者走者のフエンテスと交錯。なんとかアウトは成立したものの、着地した際に右足首を痛めたようにも見え、この時点ではその後の快投を予想したファンは1人もいなかったに違いない。実際、ボルケス自身も試合後に「足首が壊れたかと思ったよ」と話していた。しかし――

     この日のボルケスはコマンド(=狙ったところへ投げる能力)が非常に安定し、4回まで1人の走者も許さない、素晴らしい立ち上がり。5回表、この回先頭の4番ジェイク・ラムに四球を与え、この日初めての走者を許したものの、続く5番クリス・ハーマンを真ん中低めへのチェンジアップで空振り三振、6番ブランドン・ドルーリーをショートへの併殺打に打ち取り、この回もダイヤモンドバックスの攻撃を打者3人で退けた。

     6回以降もボルケスの好投は続き、8回表一死からハーマンに四球を与えたものの、ドルーリーを今度は三塁への併殺打に打ち取ってノーヒッター達成まであと3アウトに迫る。ここまで打者24人に対して86球。球数的には全く問題ない。登板前に自身のインスタグラムでベンチュラとのツーショットを投稿し、「エース」の死を惜しんでいたボルケスは球団史上6度目の快挙へ向けて9回表のマウンドに上がった。

     9回表のピッチングは圧巻だった。この回先頭の7番ニック・アーメッドを簡単に追い込むと、アーメッドへの4球目、低めのチェンジアップを振らせて空振り三振。1アウト。続く代打ダニエル・デズカルソへはボールが先行したものの、見逃しストライクとファウルでカウント2-2と追い込み、またしても低めのチェンジアップで空振り三振。快挙達成まであと1つ。この日27人目の打者は代打クリス・オーウィングス。初球は高めへのカーブで見逃しストライク。2球目はアウトローへのチェンジアップでファウル。あっという間にオーウィングスを追い込んだボルケスは再び低めへのチェンジアップを投じ、オーウィングスのバットは空を切った。

     ボルケスは打者27人に対して僅か98球で、2013年9月29日のヘンダーソン・アルバレス以来、球団史上6度目のノーヒッターを達成。また、マーリンズの投手による完投は2014年6月3日のアルバレス以来3年ぶりとなり、380試合連続完投なしの不名誉な記録にも終止符を打った。ベンチュラに捧げるノーヒッター達成にマーリンズのチームメイトだけでなく、ロイヤルズ時代のチームメイトたちもTwitterなどで続々と祝福の声を投稿し、ボルケス自身も「この試合をホゼ・フェルナンデスとベンチュラに捧げるよ。今日はベンチュラの誕生日だし、この試合は彼らのためのものだ。彼らは今日起きたことを見て、喜んでいるはずさ。ベンチュラは最高の友人の1人だった。彼は亡くなってしまったけど、この瞬間を楽しんでくれていると思うよ」と語った。ベンチュラにとってこの上ない、最高の「誕生日プレゼント」となったに違いない。

    マーリンズの歴代ノーヒッター
    1996年5月11日 アル・ライター
    1997年6月10日 ケビン・ブラウン
    2001年5月12日 A.J.バーネット
    2006年9月6日 アニバル・サンチェス
    2013年9月29日 ヘンダーソン・アルバレス
    2017年6月3日 エディンソン・ボルケス

  • 5月の各賞受賞者が発表

    2017.6.3 12:53 Saturday

     歴代2番目に多い1060本塁打が飛び出した今年5月。日本時間6月3日に、5月の各賞受賞者(月間最優秀選手、月間最優秀投手、月間最優秀新人、月間最優秀リリーバー)が発表された。受賞者の活躍を簡単に振り返ってみたい。

    ア・リーグ月間最優秀選手:カルロス・コレア(アストロズ)

     打率.386(101打数39安打)、24得点、8二塁打、7本塁打、26打点の大活躍で初受賞。打率と打点はリーグトップ、得点は同2位、出塁率.457は同3位、長打率.673は同4位の好成績だった。通算298試合目で322安打、50本塁打を記録し、キャリア最初の300試合で300安打と50本塁打をクリアしたのは球団ではランス・バークマン以来史上2人目となる快挙。自身のバットで好調アストロズを牽引し、チームはア・リーグ西部地区の首位を快走中。チームへの貢献度という点から見ても、文句なしの初受賞となった。

    ナ・リーグ月間最優秀選手:チャーリー・ブラックモン(ロッキーズ)

     打率.359(117打数42安打)、24得点、6二塁打、5三塁打、6本塁打、29打点の大活躍で初受賞。打率、安打、三塁打はリーグトップ、得点と長打率.650は同3位、打点は同5位と、1番打者らしからぬ強打を発揮した。23日のフィリーズ戦では2本のツーランを放ち、47試合で40打点に到達。1920年以降、1番打者が47試合で40打点に到達したのは史上最速だった(従来の記録は2009年イアン・キンズラーと2016年ムーキー・ベッツの52試合)。なお、打率.344、11本塁打、21打点の好成績を残したジャスティン・ボーア(マーリンズ)は惜しくも受賞を逃した。

    ア・リーグ月間最優秀投手:ランス・マカラーズJr.(アストロズ)

     6先発で36.1回を投げ、4勝0敗、防御率0.99、37奪三振という見事な成績をマークして初受賞。防御率は両リーグトップの数字であり、36.1回で自責点は僅かに4。21安打しか許さなかった。4月のダラス・カイケルに続いてアストロズから2ヶ月連続の受賞となったが、これはア・リーグでは2012年ホワイトソックス(4月ジェイク・ピービー、5月クリス・セール)以来の快挙。23日のタイガース戦では5回1安打無失点の好投を見せ、24回連続無失点はこの時点で今季メジャー最長の数字となった。また、本拠地では初先発以来26先発連続で3失点以下を継続しており、ア・リーグ史上最長記録となっている(ナ・リーグ記録は2013年から2015年にかけてクレイトン・カーショウが記録した30先発連続)。

    ナ・リーグ月間最優秀投手:アレックス・ウッド(ドジャース)

     5先発で28.1回を投げ、5勝0敗、防御率1.27、7四球に対して41奪三振という見事な成績をマークして初受賞。勝利数と防御率はリーグトップの数字で、28.1回で許した安打は僅か22本。本塁打は1本も打たれなかった。8日と13日の登板では「2試合連続6回以下で10奪三振以上」という史上3人目となる珍記録を達成。2試合連続10奪三振以上は自身初でもあった。8日の登板から4先発連続で失点がなく、25.2回連続無失点を継続中。現在は左胸鎖関節の炎症で故障者リスト入りしているが、戦列復帰後、快投がどこまで続くか注目したい。

    ア・リーグ月間最優秀新人:アーロン・ジャッジ(ヤンキース)

     打率.347(95打数33安打)、17得点、5二塁打、7本塁打、17打点、15四球の活躍で2ヶ月連続の受賞。2ヶ月連続受賞は昨年6月と7月に連続受賞したタイラー・ネークイン(インディアンス)以来となった。また、4月と5月の2ヶ月連続受賞は昨年のノマー・マザーラ(レンジャーズ)に続いて2年連続。安打、得点、本塁打、打点、四球、出塁率.441はいずれもリーグ新人トップの数字だった。5月末までに17本塁打を放った新人は1987年に19本塁打を放ったマーク・マグワイア(当時アスレチックス)以来史上2人目。黄金時代からの過渡期にあったヤンキースを自慢の強打で牽引し、ア・リーグ東部地区の首位を走るチームに大きく貢献している。

    ナ・リーグ月間最優秀新人:コディー・ベリンジャー(ドジャース)

     打率こそ.245(106打数26安打)止まりながら、22得点、5二塁打、9本塁打、27打点を記録して初受賞。得点、安打、本塁打、打点はリーグ新人トップ、長打率.566は同3位の数字だった。6日のパドレス戦では9回にキャリア初の満塁弾を放ち、チームの勝利に貢献。キャリア最初の11試合で5本塁打を放ったのは1900年以降では球団初、また、同じくキャリア最初の11試合で5本塁打かつ14打点以上を叩き出したのは1999年マーク・クイン(当時ロイヤルズ)以来史上2人目となった。32試合で11本塁打は球団最速記録を更新するなど、4月25日にメジャーデビューを果たしたばかりの若きスラッガーは記録づくめのシーズンを送っている。なお、父クレイ(元ヤンキースなど)は通算12本塁打。早くも「父超え」が見えてきた。

    ア・リーグ月間最優秀リリーバー:クレイグ・キンブレル(レッドソックス)

     12試合に登板して1勝0敗7セーブ(セーブ成功率100%)、防御率0.00、12.2回で25奪三振、1四球、被打率.025、WHIP0.16という驚異的な成績をマークし、ブレーブス時代の2013年8月以来自身4度目の受賞となった。現時点で自己最長となる31打者連続無安打を継続中で、その間18奪三振とまさしく「アンヒッタブル」な投球を続けている。今季まだ右打者に1本もヒットを許しておらず、また、25日のレンジャーズ戦では1回4奪三振を記録。ブレーブス時代の2012年にも同記録を達成しており、複数回の達成は史上4人目となった。アレックス・コロメイ(レイズ)も10セーブ、防御率1.26と素晴らしい1ヶ月を過ごしたが、キンブレルの圧倒的なパフォーマンスを上回ることはできなかった。

    ナ・リーグ月間最優秀リリーバー:グレッグ・ホランド(ロッキーズ)

     9試合に登板して8セーブ(セーブ成功率100%)、防御率1.17の好成績をマークし、4月に続いて2ヶ月連続の受賞。キャリア通算では4度目の受賞となった。トミー・ジョン手術の影響で昨季を全休し、カムバック・イヤーとなった今季は好調ロッキーズの守護神として開幕から好投を続け、6月1日の試合で早くも今季20セーブ目を記録。チーム56試合目で20セーブはシーズン57セーブペースであり、2002年ジョン・スモルツ(当時ブレーブス)と2003年エリック・ガニエ(当時ドジャース)が記録した55セーブのナ・リーグ記録を更新する勢いでセーブを積み重ねている(メジャー記録は2008年フランシスコ・ロドリゲスの62セーブ)。ホランドのセーブ数がどこまで伸びるか、ロッキーズの今後の戦いから目が離せない。

  • 【戦評】グレインキーがリーグトップタイの7勝目

    2017.6.2 18:10 Friday

     ドジャース時代の2015年に32先発で19勝3敗、防御率1.66という歴史的なシーズンを過ごし、6年2億650万ドルという大型契約でダイヤモンドバックスへ迎え入れられたメジャー屈指の右腕、ザック・グレインキー。大型契約1年目の昨季は3年ぶりに故障者リスト入りして規定投球回にすら届かず、26先発で13勝7敗、防御率4.37と期待を大きく裏切ったものの、今季は以前の安定した投球を取り戻し、大型契約に相応しいピッチングを続けている。

     勝てば約1ヶ月ぶりの首位浮上となる敵地マーリンズ・パークでのマーリンズ4連戦の初戦。ダイヤモンドバックスはグレインキーを今季12度目となる先発のマウンドへ送り込んだ。対するマーリンズは左肩腱炎で開幕から故障者リスト入りしていた新戦力ジェフ・ロックが今季初先発。両投手の好投により、終盤まで試合の行方がわからない好ゲームとなった。

     先手を取ったのはマーリンズ。3回裏、一死から8番J.T.リドルがライトへのツーベースを放ってチャンスを作ると、二死後に1番ディー・ゴードンが四球を選んで一、二塁。ここで打席には5月23日から2番打者として起用され、復調のきっかけを掴んでいるジャンカルロ・スタントン。グレインキーが真ん中低めに投じた初球のツーシームをライト前に弾き返し、クリス・オーウィングスの後逸も重なって一塁から俊足ゴードンが長駆ホームイン。マーリンズが2点を先制した。

     一方のダイヤモンドバックスは5回までロックにほぼ完璧に封じ込まれ、安打は4回表にニック・アーメッドが放った三塁打の1本だけ。しかし、6回表一死から2013年シルバースラッガー受賞者のグレインキーがヒットで出塁すると、二死後にアーメッドがこの日2本目のヒットを放って二死一、二塁のチャンスを作る。ここでマーリンズは好投を続けていたロックに代えてデービッド・フェルプスをマウンドへ送ったが、主砲ポール・ゴールドシュミットがフルカウントからの6球目をライト前に弾き返し、1-2と1点差に詰め寄った。

     グレインキーは4回以降、完全に立ち直り、最終的に7回を投げて打たれたヒットは僅か4本。「今日は大部分が良かった。失点したイニングにも良いボールはたくさんあった。スタントンには失投してしまったけど、あれ以降は良くなったと思うよ」と本人が語るように、8奪三振2四球2失点(自責点1)の安定した投球で先発の役割をしっかりと果たした。エースの力投に応えたい打線は8回表、先頭の代打クリス・ハーマンが四球で出塁すると、続くダニエル・デズカルソの打席で今季初盗塁を決め、無死二塁のチャンスを作る。デズカルソも四球で続き、マーリンズは慌てて投手をカイル・ベアクロウからブラッド・ジーグラーへとスイッチしたものの、レイ・フエンテスがしっかり送りバントを決めてチャンス拡大。そして、ここまで2安打のアーメッドがジーグラーのシンカーをライト方向へ弾き返し、この日3本目のヒットはグレインキーに勝利投手の権利をもたらす逆転2点タイムリーとなった。

     ダイヤモンドバックスはその後、8回裏をアンドリュー・チェイフィンとアーチー・ブラッドリー、9回裏を守護神フェルナンド・ロドニーが無失点に抑えて試合終了。緊迫した1点差ゲームを見事に制し、グレインキーの古巣ドジャースを抜いて、ロッキーズと同率で約1ヶ月ぶりの地区首位へと浮上した。グレインキーは元同僚クレイトン・カーショウ(ドジャース)、同地区ライバルの新人アントニオ・センザテラ(ロッキーズ)と並んでリーグトップタイの7勝目(3敗)。平均球速の低下が騒がれているものの、フォーシームの被打率は.208と昨季から劇的に改善されている。また、K/BB5.75はキャリアハイの2015年(5.00)を上回る数字をマークしており、球界きっての好投手が健在であることを自身のピッチングでしっかり証明。失意の2016年を経て、地区優勝争いを繰り広げるチームを牽引するグレインキーのピッチングに今後も注目したい。

  • 開幕から2ヶ月 地区優勝争いの行方は?

    2017.6.2 16:53 Friday

     開幕から2ヶ月が経過した2017年のメジャーリーグ。混戦が続いている地区があれば、首位が独走している地区もある。地区ごとの現状を簡単におさらいしておこう。

    ア・リーグ東部地区:例年通りハイレベルな混戦状態


    ア・リーグ東部地区順位表:6月2日時点

     「メジャーリーグで最もレベルが高い地区」との声もあるア・リーグ東部地区。今季はクリス・セールの獲得に成功したレッドソックスの独走を予想する声もあったが、アーロン・ジャッジら若手選手の活躍もあり、ヤンキースが予想外の快進撃。現時点で2位レッドソックスに3ゲーム差をつけて首位を走っている。オリオールズはやや失速気味だが、2位と0.5ゲーム差の3位。昨季地区最下位のレイズは貯金2で4位。開幕ダッシュに失敗したブルージェイズは地区最下位に沈んでいるものの、最近10試合で8勝2敗と盛り返し、借金を2まで減らして上位勢を猛追している。首位から最下位まで6.5ゲーム差。今季もこの地区では最後まで激しい地区優勝争いが続きそうだ。

    ア・リーグ中部地区:現時点では混戦も最終的には独走か


    ア・リーグ中部地区順位表:6月2日時点

     首位ツインズから最下位ロイヤルズまでが6ゲーム差の中にひしめき、ア・リーグで最も混戦となっている中部地区。アービン・サンタナ、ミゲル・サノーらの活躍でツインズが首位を走っているものの、ゲーム差なしで本命インディアンスが後を追っている。インディアンスはここにきて大黒柱コリー・クルーバーの戦列復帰など明るい材料もあり、今後は地力に勝るインディアンスが一気に首位を独走し始める展開も十分に考えられる。対抗馬の一番手と見られていたタイガースは借金3で3.5ゲーム差の3位。再建期真っ只中の4位ホワイトソックスはともかく、主力選手の多くが今季終了後にFAとなることもあって「最後の勝負イヤー」となるはずだった一昨年の王者ロイヤルズは借金8で地区最下位に沈んでおり、7月末のトレード・デッドラインまでに主力選手を放出してしまう可能性が高まっている。

    ア・リーグ西部地区:ほぼ終戦。116勝に迫るアストロズ


    ア・リーグ西部地区順位表:6月2日時点

     現在7連勝中のアストロズが2位エンゼルスに11.5ゲーム差をつけて首位を独走しているア・リーグ西部地区。アストロズは2001年マリナーズ以来となる快進撃を続けており、現時点での勝率は驚異の.704(シーズン114勝ペース)。1906年カブスと2001年マリナーズが打ち立てたシーズン116勝の歴代最多記録に迫るペースで勝利を重ねており、2位以下とのゲーム差を考えると、この地区はほぼ「終戦」と言っても過言ではないだろう。2位から最下位までの4チームは4ゲーム差の中にひしめく混戦。アストロズの背中を追い続けるのか、それとも来季以降に向けたチーム作りを始めるのか、各球団のGMは難しい選択・舵取りを迫られることになりそうだ。

    ナ・リーグ東部地区:メッツの自滅でナショナルズが独走状態


    ナ・リーグ東部地区順位表:6月2日時点

     昨季地区優勝のナショナルズに強力先発投手陣を擁するメッツが対抗する展開が予想されていたナ・リーグ東部地区。しかし、マット・ハービーが出場停止処分を受け、ノア・シンダーガードが故障で長期離脱するなどトラブル続きのメッツが半ば自滅する形となり、地区2位とはいえ借金6と期待外れ。リーグトップ、メジャー2位の勝率.635を記録しているナショナルズに独走を許してしまっている。ブルペン陣を補強し「台風の目になるのでは?」と期待されたマーリンズは借金10で地区4位に沈み、ブレーブスにすら先を行かれる苦しい展開。なお、地区最下位のフィリーズは借金17を抱え、勝率.333は両リーグワースト。2018年ドラフト全体1位指名権争いの先頭を走っている。

    ナ・リーグ中部地区:伏兵が首位を走るも最終的には予想通りの展開か


    ナ・リーグ中部地区順位表:6月2日時点

     王者カブスにライバル・カージナルスが対抗する展開が予想されていたナ・リーグ中部地区。しかし、現在首位を走っているのは再建期真っ只中だったはずのブリュワーズである。デービッド・スターンズGMは「再建のペースが速まっているのは良いことだが、そのことが我々の計画を変えるわけではない」と着実に再建を進める方針を明確にしており、欲を出して補強に走る可能性は低そうだ。ブリュワーズから1.5ゲーム差の2位カージナルス、さらにそこから1.5ゲーム差の3位カブスが最終的には地区優勝を争うことになるのではないだろうか。とはいえ、首位から最下位までメジャー最小の5ゲーム差という混戦地区なだけに、再建中の4位レッズはともかく、5位パイレーツにもまだまだ上位浮上のチャンスはあるだろう。

    ナ・リーグ西部地区:上位3チームが勝率6割台の最強地区


    ナ・リーグ西部地区順位表:6月2日時点

     ここ数年、ドジャースとジャイアンツの一騎打ちが続いていたナ・リーグ西部地区。ところが、ジャイアンツが大黒柱マディソン・バムガーナーの長期離脱もあってパドレスと同率で地区最下位に沈んでおり、地区優勝争いはここ数年とは異なった様相を呈している。本命ドジャースは首位と0.5ゲーム差の3位。勝率.600を記録しており、決して出遅れているわけではない。そのドジャースに0.5ゲーム差をつけて首位を走っているのがダイヤモンドバックスとロッキーズだ。両チームとも強力打線を擁し、前者はザック・グレインキーの復活やロビー・レイの成長、後者はアントニオ・センザテラ、カイル・フリーランド、ヘルマン・マルケスの新人トリオの頑張りによって投手陣が予想以上に健闘中。この両チームがどこまで本命ドジャースに食らいついていけるか、今後の展開に注目したい。

  • 【戦評】エース復活!インディアンス投手陣が圧巻の奪三振ショー

    2017.6.2 15:47 Friday

     ア・リーグ連覇、そしてその先にある栄光を目指すインディアンスに頼れるエースが戻ってきた。腰痛により5月3日に故障者リスト入りしていたコリー・クルーバーが約1ヶ月ぶりに戦列復帰。本拠地プログレッシブ・フィールドでのアスレチックス戦に先発し、エースの名に相応しい圧巻のピッチングを披露した。

     まずは1回表。復帰後の初球は1番マット・ジョイスへ投じた147km/hのシンカー。これをジョイスが打ち上げて、セカンドフライで1アウト。そしてここからクルーバーの奪三振ショーが幕を開ける。2番マーク・キャナに対してはカウント1-1からアウトローへのカーブを2球続けて空振り三振。3番ライオン・ヒーリーに対してはカウント1-2と追い込んだ後、真ん中低めへのカーブを投じて2者連続の空振り三振に斬って取った。続く2回表はクリス・デービス、ヨンダー・アロンゾ、チャド・ピンダーの3人からいずれもカットボールで空振り三振を奪い、なんと5者連続の空振り三振。本拠地プログレッシブ・フィールドに詰め掛けたファンの目の前でエース復活を強烈にアピールした。

     3回表は8番ラジェイ・デービスの内野安打と盗塁、1番ジョイスへの四球で二死一、三塁のピンチを迎えたものの、2番キャナを再びアウトローへのカーブで空振り三振に斬って取り、無失点。4回表、5回表は各1奪三振で三者凡退に抑え、6回表は先頭の9番アダム・ロサレスにヒットを許したものの、続く1番ジョイスを三振ゲッツーに抑えた後、2番キャナにはカーブを3球続けて3球三振を奪い、「彼のボールはよく動いていた。今日は何をやっても彼に対する解決策が見つからなかったよ」とキャナはすっかりお手上げ状態。故障明けということもあって6回限りでお役御免となったが、6回77球を投げて2安打10奪三振無失点と復帰戦を見事なピッチングで飾った。

     エースを援護したいインディアンス打線は3回裏に相手先発ジャーレル・コットンの暴投で1点を先制すると、6回裏に打線がつながり、一挙4得点。なお、6回裏にはレフトのスプリンクラーが誤作動するアクシデントが発生した。7回裏にもフランシスコ・リンドーアとマイケル・ブラントリーのタイムリーに相手のエラーが絡んで3点を追加し、8-0となって勝負あり。7回以降はブライアン・ショウ、ニック・グッディー、ダニー・サラザーの3人が計7奪三振とクルーバーに勝るとも劣らない奪三振ショーを披露し、チーム合計17奪三振で完封リレーを完成させた。開幕からなかなかエンジンがかからなかったインディアンスだが、現時点でア・リーグ中部地区首位のツインズとゲーム差なしの2位に肉薄。女房役のロベルト・ペレスが「彼が試合に戻ってきてくれたのは良いことだ。今日のピッチングは素晴らしかったね」と語ったように、エース復活がリーグ王者の快進撃スタートの狼煙となるかもしれない。

     なお、この試合が終わった時点でインディアンスのチーム奪三振率(9回あたりの奪三振数)は10.20となり、両リーグトップを快走中。ここ数年の三振増の傾向により、昨季ドジャースが奪三振率の歴代最高記録を更新(9.35)したものの、今季はインディアンス以外にもアストロズ、レッドソックスなど複数のチームが昨季のドジャースを上回る奪三振率を記録しており、2年連続での記録更新となりそうな気配が漂っている。メジャー全体の本塁打数と同様に、こちらの記録にも注目していきたいところだ。

  • 王者カブスに何が起きているのか

    2017.6.2 12:34 Friday

     「ヤギの呪い」を解き、108年ぶりのワールドシリーズ制覇を成し遂げた昨季のカブス。今季も開幕前の評価は高く、「カブス帝国を築くのではないか」との声すらあったほどだ。しかし、その王者が苦しんでいる。6月2日の時点で25勝27敗の借金2(ナ・リーグ中部地区3位)。カブスにいったい何が起きているのか。

    問題点1:先発投手陣の不振

     昨季のカブス先発投手陣は162試合のうち152試合をジョン・レスター(19勝5敗、防御率2.44)、ジェイク・アリエタ(18勝8敗、防御率3.10)、カイル・ヘンドリックス(16勝8敗、防御率2.13)、ジョン・ラッキー(11勝8敗、防御率3.35)、ジェイソン・ハメル(15勝10敗、防御率3.83)の5人で回し、両リーグベストの先発防御率2.96を記録していた。今季はそこからハメルが抜け(ロイヤルズへ移籍)、5番手候補としてドジャースから「故障さえなければ実力者」のブレット・アンダーソンが加入。しかし、アンダーソンは6先発で防御率8.18と期待を裏切り、5月7日には腰痛で故障者リスト入りしてしまった。その他の先発投手も軒並み精彩を欠いており、防御率2点台どころか3点台前半の投手すらいない状況。先発防御率は両リーグ22位の4.64まで落ち込んでしまっている。

    問題点2:カイル・シュワーバーの大不振

     2014年ドラフト全体4位指名で入団し、翌2015年に早くもメジャー昇格を果たして69試合で16本塁打、OPS.842を記録したシュワーバー。昨季は開幕直後に左膝前十字靭帯断裂の重傷を負って長期離脱したものの、ワールドシリーズで打棒健在をアピールして今季は「長打力と出塁能力を兼ね備えた1番打者」として大きな期待を背負っていた。ところが、開幕からなかなか調子が上がらず、4月は打率.204、3本塁打、OPS.677と低調な成績。5月は本塁打こそ5本放ったものの、打率.120、OPS.569とさらに成績は悪化し、マイナー降格を提案する声すら出始めている状況だ。「ベン・ゾブリストをレフトに固定する」、「クリス・ブライアントのレフトでの出場機会を増やす」など、チーム内には様々なオプションが存在するだけに、シュワーバーへの処遇に注目が集まっている。

    問題点3:守備力の低下

     昨季のカブスは両リーグ断トツとなるDRS(守備防御点)+82を記録。強固なディフェンスが強力投手陣をバックから支えていた。今季は現時点で両リーグ6位タイのDRS+10にとどまっており、ここでもシュワーバー(レフトでDRS-5)が大きな穴となっている。同じ外野では主にジョン・ジェイらが起用されているセンターのDRSも悪化しており、ライトでメジャー屈指の守備力を発揮しているジェイソン・ヘイワードをセンターで起用しなければならないという悪循環にもつながっている。ヘイワードをライトに固定できる状況がベストではあるものの、ベテランのゾブリストや三塁が本職のブライアントに外野の両翼はまだしも、常時センターを任せるわけにもいかず、ジョー・マドン監督は日々頭を悩ませていることだろう。

    問題点4:リーグワーストの得点圏打率.209

     昨季はリーグ2位の808得点を叩き出したカブス打線だが、今季は得点力がリーグ平均レベルまで落ちている(リーグ8位の240得点)。チーム打率がリーグ13位の.235と低迷していることが主な原因であることは間違いないが、リーグ2位の208四球を選ぶなど決してチャンスの数が少ないわけではなく、「あと一本」がなかなか出ないことが得点力の低下に繋がっていることも否めない。ただし、昨季の得点圏打率も両リーグ21位の.252にすぎず、得点圏打率の低迷をチーム低迷の要因に挙げるのはやや誇張しすぎかもしれない。

    問題点5:頼れる1番打者の不在

     昨季はデクスター・ファウラーが不動の1番打者として活躍していたため、チーム全体として1番打者は出塁率.381、OPS.815の好成績を残していた。ところが、今季は新たな1番打者として期待されていたシュワーバーが大不振に喘ぎ、ここ最近はゾブリストにその座を譲ることが多くなっている。シュワーバーの大不振の影響もあり、チーム全体の1番打者の成績は打率.210、出塁率.315、OPS.721と昨季から大幅に悪化。1番打者の不振がチームの得点力低下に繋がっていることは間違いないだろう。今後はゾブリスト以外にもヘイワード、ジェイ、ハビアー・バイエズ、新人イアン・ハップなど様々なオプションを試していくことになりそうだ。

     上記以外にも主砲アンソニー・リゾーや昨季95打点を叩き出したアディソン・ラッセルらが打率.230にすら満たない不振に苦しむなど、チーム全体として元気がない状態が続いている。しかし、幸運なことにナ・リーグ中部地区では低レベルなペナントレースが続いており、経験豊富なマドン監督が率いる才能豊かなチームは、実績のある主力選手の復調や余剰戦力をコマにした戦力補強によって、遅かれ早かれ地区優勝争いに加わってくるのではないだろうか。

  • 【戦評】ウェインライトの投打にわたる活躍で貯金1

    2017.6.2 10:33 Friday

     カルロス・マルティネスの好投で勝率を5割に戻したカージナルスは本拠地ブッシュ・スタジアムでの対ドジャース4連戦、最終戦のマウンドに通算139勝を誇るベテラン右腕アダム・ウェインライトを送り込んだ。一方のドジャースはここまで8先発で5勝1敗、防御率3.28と安定した投球を続けているブランドン・マッカーシーが先発のマウンドへ。所属地区の上位につける両チームの対戦は、前日に続く投手戦となった。

     1回表、ウェインライトは先頭のクリス・テイラーから三振を奪うと、続くコリー・シーガーとコディー・ベリンジャーを内野ゴロに打ち取り、上々の立ち上がり。対するマッカーシーは2安打を許して二死一、三塁のピンチを背負ったものの、5番ヤディアー・モリーナをインハイへの速球でキャッチャーへのファウルフライに打ち取って事なきを得た。

     試合が動いたのは2回裏。カージナルスは一死から好調の新人ポール・デヨングがセンターへのヒットで出塁し、続くアレドミス・ディアスは投手ゴロに倒れたものの、二死二塁のチャンスを迎える。ここで打席に立ったのがウェインライト。カウント2-2と追い込まれたあとの5球目、真ん中低めのカーブをしっかり捉え、セントルイスの野球ファンの大歓声の中、打球はレフトスタンドに吸い込まれた。今季2本目となるウェインライトの先制ツーランは通算10本目となる記念の一発。昨季18打点でDH制導入後の投手による最多打点記録を更新した男が、自慢のバットで貴重な先制点を叩き出した。

     3回以降もウェインライトはドジャース打線に連打を許さない安定したピッチングを続け、101球を投げて6回4安打6奪三振無失点。5月14日から4先発連続でクオリティー・スタートを達成し、その間26.1回で1失点(防御率0.34)と抜群の安定感を見せている。開幕直後に7点台まで跳ね上がった防御率も3.79まで向上。一時は限界説も囁かれたベテラン右腕が自身の健在ぶりを見せつけた、見事なピッチングだった。

     カージナルスは毎回のように走者を出しながら追加点を奪えなかったものの、7回表をマット・ボーマン、8回表をトレバー・ローゼンタール、そして最終回を守護神オ・スンファンが無失点で繋ぎ、4投手による完封リレーでドジャースに連勝。貯金を1として、ナ・リーグ中部地区の首位を走るブリュワーズとの1.5ゲーム差をキープした。一方、敗れたドジャースはこの日勝利したロッキーズに抜かれ、ナ・リーグ西部地区首位の座から陥落。右手人差し指のまめで降板したマッカーシーのあとを受けたブルペン陣が4回無失点と好投したものの、その頑張りに打線が応えることができなかった。

  • 歴代最多ペースで本塁打量産中

    2017.6.1 16:30 Thursday

     昨季は歴代2位となる5610本塁打が飛び出し、歴代最多記録である5693本塁打(2000年)を超えるのではないかと騒がれたが、開幕から2ヶ月が経過した今季は歴代最多記録の更新どころか、6000本塁打に迫ろうかというペースで本塁打が量産されている。

     4月は延べ738試合で863本塁打が飛び出し、2000年4月の931本塁打に次ぐ歴代2番目となる本塁打数を記録。復活を遂げたライアン・ジマーマン(ナショナルズ)、韓国球界から逆輸入されたエリック・テームズ(ブリュワーズ)、2015年の後半戦から本塁打量産を続けているクリス・デービス(アスレチックス)、若き大砲アーロン・ジャッジ(ヤンキース)の4選手が早くも2桁本塁打に到達した。

     5月に入ると本塁打量産のペースはさらに上がり、延べ842試合で1060本塁打が飛び出した。キャリア最多が9本塁打(2012年)だったヨンダー・アロンゾ(アスレチックス)は今季すでに14本塁打を放ち、マイク・トラウト(エンゼルス)、ブライス・ハーパー(ナショナルズ)といった実力者のみならず、ジャッジ、ジョーイ・ギャロ(レンジャーズ)、コディー・ベリンジャー(ドジャース)ら新鋭やスコット・シェブラー(レッズ)、マーウィン・ゴンザレス(アストロズ)ら伏兵たちも本塁打を量産。歴代月間最多本塁打記録は2000年5月の1069本塁打だが、もう少しで2017年5月は「メジャーリーグ史上で最も本塁打が多かった月」になるところだったのである。

    5月の特大本塁打集

    今年5月は歴代2番目に多い1060本塁打が飛び出した

     再び「打高投低」の時代に突入したのかというと決してそのようなことはなく、むしろ平均球速の上昇などによって打率は低下し、三振は増加している。本塁打増の傾向は昨季から始まっているが、その中で目を引くのがHR/FB(フライの打球に占める本塁打の割合)とHard%(強い打球の割合)の上昇である。160km/hを超える速球を投げる投手が珍しくなくなり、150km/h台の変化球を投げる投手も登場する中、ヒットを打つのが難しくなり、三振も増加した。投手のレベルアップが「つなぐ攻撃」を困難なものとし、その結果、打者たちは「三振を恐れず、強い打球を打つことを心掛けるようになった」ということがこれらのデータから推測できる。アロンゾやジェッド・ジョーコ(カージナルス)のように適切な角度で強い打球を打つことを意識していることを明言している打者もおり、投手のレベルアップに対応するために各打者が打撃のアプローチに何らかの変更・修正を加えていることは間違いなさそうだ。そして、それがメジャー全体の本塁打増につながっているのである。

     2000年は5月末までに2000本を超える本塁打が飛び出したものの、空気の乾燥やセプテンバー・コールアップの影響によって本塁打が増えるはずの夏場以降に失速。最終的には5693本塁打にとどまった。一方、昨季は夏場にペースが上がり、8月以降に2000本以上の本塁打が飛び出して2000年の歴代最多記録に迫った。今季は現時点でシーズン5900本塁打を超えるペースとなっており、もし昨季同様に夏場に本塁打量産のペースが上がるようなことがあれば、シーズン6000本塁打という大台すら見えてくる。優勝争い、タイトル争いの行方はもちろんのこと、今季のメジャーリーグは歴代最多本塁打記録更新の可能性からも目が離せなくなりそうだ。

    《歴代月間最多本塁打記録》
    1位 2000年5月 1069本塁打
    2位 2017年5月 1060本塁打
    3位 2016年8月 1053本塁打
    4位 2015年9/10月 1034本塁打
    5位 2004年8月 1033本塁打

    《5月の月間最多本塁打記録》
    1位 2000年 1069本塁打
    2位 2017年 1060本塁打
    3位 1999年 980本塁打
    4位 2016年 965本塁打
    5位 2006年 911本塁打

  • 【戦評】復帰初戦でパクストンが快投を披露

    2017.6.1 15:19 Thursday

     開幕から23イニング連続無失点を記録し、5月2日までの6先発で3勝0敗、防御率1.43と好スタートを切ったマリナーズのジェームズ・パクストン。5月5日に左前腕痛で故障者リスト入りし、約4週間にわたって戦列を離れていたが、「ブレイク候補」として期待される大型左腕が久々に先発のマウンドに戻ってきた。

     マリナーズは好調ロッキーズとの4連戦中。敵地クアーズ・フィールドで連勝し、パクストンは舞台を本拠地セーフコ・フィールドに移しての3戦目に先発した。復帰戦の初球は155km/hのフォーシームで見逃しストライク。初回はチャーリー・ブラックモンをレフトフライ、DJルマイユを空振り三振、ノーラン・アレナドをライトフライに打ち取り、三者凡退の順調な立ち上がりとなった。2回以降も好投を続け、5回までに打たれたヒットは3回表にトニー・ウォルターズに許した一本のみ。6回表に一死からウォルターズとブラックモンに連打を浴びてスティーブ・シシェクにマウンドを譲ったものの、復帰初戦は74球を投げて5.1イニングを3安打6奪三振無失点の見事なピッチング。離脱前の最終先発では5.1イニングで5四球を与えたが、この日は無四球と制球も安定し、完全復活を予感させるのに十分なピッチングとなった。

     復帰初戦のパクストンを援護したいマリナーズ打線はここまでナ・リーグ最多タイの7勝を挙げている新人右腕アントニオ・センザテラを攻略し、2回裏にダニー・バレンシアとマイク・ズニーノのタイムリーツーベースで3点を先制。5回裏にはベン・ギャメルがレフトへタイムリーを放って4点目。7回裏にも2番手ジョーダン・ライルズからギャメルが犠牲フライを放って5-0とし、快投を披露したパクストンに十分な援護点をプレゼントした。

     マリナーズはパクストン、シシェクのあと、8回表をジェームズ・パゾス、9回表をニック・ビンセントが無失点に抑え、4投手による完封リレーで4連勝。首位アストロズに独走を許しているマリナーズだが、今後はフェリックス・ヘルナンデスや岩隈久志の戦列復帰も見込まれており、徐々に追撃態勢を整えつつあるマリナーズの反攻に期待したい。

  • 【戦評】ファウラーの決勝弾でカージナルスが連敗ストップ

    2017.6.1 12:41 Thursday

     一時は地区首位に立ちながら、直近13試合でわずか3勝。昨日まで3連敗で借金生活に突入するなど、なかなか波に乗れないカージナルス。本拠地ブッシュ・スタジアムにドジャースを迎えた4連戦の第3戦は、エースのカルロス・マルティネスが連敗脱出をかけて先発のマウンドに上がった。

     先頭のローガン・フォーサイスに四球を与え、続くコリー・シーガーにセンター前ヒットを浴びていきなり無死一・二塁のピンチを背負うなど、やや不安定な立ち上がりとなったマルティネスだが、3番ヤスマニ・グランダルを空振り三振、4番エイドリアン・ゴンザレスをショートへの併殺打に打ち取って勢いに乗る。6回表に一死一、三塁からゴンザレスの犠牲フライで1点こそ失ったものの、8回まで連打を許さず、8回4安打9奪三振1失点の見事なピッチング。これで5月は全6先発でクオリティー・スタートを記録し、月間防御率2.03とエースの重責をしっかり果たした1ヶ月となった。

     マルティネスの好投に応えたい打線は2回裏に売り出し中の新人ポール・デヨングがセンター後方へタイムリーツーベースを放ち1点を先制したものの、その後はドジャースの先発リュ・ヒョンジンを打ち崩すことができず、なかなか勝ち越し点を奪えない。しかし、8回裏、不振に苦しむ新戦力デクスター・ファウラーがドジャースの2番手ロス・ストリップリングの甘く入ったスライダーを豪快にライトスタンドへ叩き込み、8回を投げ切ったマルティネスもベンチ前で大はしゃぎ。カージナルスが待望の勝ち越し点を手にした。

     最後は守護神オ・スンファンが締めて試合終了。カージナルスが接戦を制し、連敗を3でストップして勝率を5割に戻した。好投したマルティネスは4勝目(4敗)、オ・スンファンは12セーブ目を記録。一方、決勝弾を浴びたストリップリングは3敗目(0勝)を喫し、ドジャースの連勝は6でストップした。

  • エイドリアン・ベルトレ レイズ戦で今季初出場

    2017.5.30 11:30 Tuesday

     メジャーリーグが開幕して約2ヶ月が経とうとしている。去る春季キャンプやWBCなどで故障し、戦列を離れていた選手達が徐々に戻ってくるようになった。現在、ア・リーグ西地区3位のレンジャーズでは右ふくらはぎを痛めていたエイドリアン・ベルトレが日本時間30日のレイズ戦で4番・三塁手として出場している。

     ベルトレは通算2942安打を記録している球界を代表する打者の1人で38歳のベテラン。3月に開催されたWBCではドミニカ共和国代表として参加したものの4試合に出場し、打率.067 1安打1得点と不振だった。その後、右ふくらはぎを痛めて故障者リスト入りしていた。

     ふくらはぎのケガも癒え、迎えたレイズ戦。今季初打席は1回表、無死二塁のチャンスの場面で回ってきた。対するは前日のブルージェイズ戦でセーブを挙げたエラスモ・ラミレスで先発とリリーフを両方こなす投手だ。カウント1-2で迎えた5球目、91マイルのツーシームを捉えて右安を記録した。ちなみにベルトレ自身の「開幕戦」では3年ぶりとなる安打となった。

     その後は3回の第二打席では投ゴロ、5回の打席では右飛に倒れて6回時点で3打数1安打の成績だ。試合は初回、レイズがエバン・ロンゴリアの遊ゴロの間に1点を先制するもその裏にレンジャーズが3点を取って逆転。2回にジョーイ・ギャロの16号本塁打などで3点をリードするが先発のマーティン・ペレスが5回までマウンドに上がるも5失点と試合をつくることができなかった。

     現在、5対5の同点で試合は続いている。

  • マディソン・バムガーナー 6月から投球再開へ

    2017.5.29 07:30 Monday

     ナ・リーグ西地区に所属するジャイアンツは現在4位と本来の調子ではない。この要因として考えられるのはマディソン・バムガーナーの離脱だろう。それでも先発防御率は4.42とナ・リーグ7位と中間の位置にいる。またチームとしても彼が抜けた時点では地区最下位だったが、今では順位を1つ上げて1日でも早いエースの帰還を待っている。そのような中、バムガーナーが日本時間6月3日から投球練習を再開する予定だ。

     これはブルース・ボウチー監督が明らかにしたもの。バムガーナーは日本時間4月21日、遠征先のコロラド州デンバーで休暇を満喫していたところバイク事故に遭い、左肩を痛めて故障者リスト入りをした。完治までに6週間ほどでオールスター明けには復帰できる見込みだという。その前にマイナーリーグでリハビリを兼ねて5試合に登板する。

     ボウチー監督は「すべてはバムガーナーのケガの回復具合次第だ」として明確な復帰日については言及しなかった。ガムガーナーは今季、4試合に登板して3敗 防御率3.00とまだ白星はついていない。開幕戦となった日本時間4月3日のダイヤモンドバックス戦では投手として勝利はならなかったものの、1試合2本塁打とバットでファンを魅了した。

     現在、地区4位のジャイアンツ。エースの穴を選手全員で埋めており、バムガーナーが復帰するまではどれだけ巻き返しができるのかチームの底力が試されている。

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