【戦評】連日のドラマ 延長10回ピアースのサヨナラ満塁弾
2017.7.28 16:00 Friday

「切れるな!入ってくれ!」そんな声が聞こえてきそうな表情で、スティーブ・ピアースは打球の行方を見つめていた。打球は切れることなく、レフトポール際へスタンドイン。ブルージェイズが二日連続で劇的なサヨナラ勝ちを収めた瞬間だった。
2点差を最終回にひっくり返した前日に続き、この日もブルージェイズは常に追う展開を強いられた。初回に3点を先制され、その裏にジョシュ・ドナルドソンの10号ソロでまず1点。5回裏にはケンドリズ・モラレスの19号ソロで1点差に迫り、6回裏にジャスティン・スモークのタイムリーでようやく同点に追い付いた。ところが8回表にマーカス・セミエンにタイムリーを打たれて勝ち越しを許し、1点ビハインドで9回裏の攻撃を迎えていた。
アスレチックスは前のイニングからブレイク・トライネンが続投。しかし、先頭打者のモラレスが低めのシンカーを見事に捉え、センターへ20号同点ソロを叩き込んだ。前日の試合でサヨナラ本塁打を放ったヒーローが連日の殊勲打。「彼はまさにクラッチヒッターだよ。1球目に空振りしたボールとほとんど同じボールだったのに。彼は昨日も、そして今日も僕たちをやっつけたんだ」と打たれたトライネンもモラレスの勝負強さを褒め称えるしかなかった。
10回表のアスレチックスの攻撃を守護神ロベルト・オスーナが三者凡退に抑え、10回裏のブルージェイズの攻撃。アスレチックスはトライネンに替えてリアム・ヘンドリックスをマウンドへ送り出した。ところが、二死を取ったとはいえ、3四球を与えて満塁。ここでこの試合4打数ノーヒットのピアースに打順が回ってきた。ファウル→ボール→ファウルでカウント1-2と追い込まれた後、ボールを2球見送ってフルカウント。ピアースは6球目のやや高めに浮いた速球を見逃さなかった。ピアースが捉えた打球は失速することなくグングン伸びていき、大歓声に包まれながらレフトポール際に着弾。ピアースのこの試合の初安打は延長戦に決着をつける9号サヨナラ満塁本塁打となった。
ジョン・ギボンズ監督、マーカス・ストローマン、ラッセル・マーティンが退場処分となるハプニングもあったこの試合だが、「僕たちはみんなで力を合わせたんだ。ブルペンは素晴らしい仕事をしてくれた。そしてそれが勝利に繋がったんだ。素晴らしい一日になったね」とピアースが語ったように、ブルペンが粘り、打線が勝負強さを発揮し、チーム一丸となって勝ち取った勝利だった。なお、2試合連続でサヨナラ本塁打が飛び出したのは球団史上初の快挙である。
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