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カージナルス・スタントンが誕生する可能性はあるのか

2017.11.9 18:42 Thursday

 今オフの注目選手といえばナ・リーグ二冠王のジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)である。スタントンはフリーエージェントではないが、新オーナーグループのもとで年俸総額削減を目指すマーリンズから放出されるのは確実と見られており、他球団にとっては獲得可能な選手の一人。なかでもカージナルスがスタントン獲得に動く可能性がさかんに取り沙汰されているが、スタントンのカージナルス移籍が実現する可能性はあるのだろうか。

 まず、スタントンが「入手可能」であることに疑いの余地はない。マーリンズの新オーナーグループは年俸総額の削減に動くことを明言しており、スタントン、ディー・ゴードン、マーティン・プラドの3名が放出候補として具体的に名前を挙げられている。特にスタントンには巨額の契約が残っており、スタントンを放出しないことには年俸総額削減の目標を達成するのは不可能だ。

 次に、スタントンの契約状況はどのようになっているのだろうか。スタントンは3年前に13年3億2500万ドルというメジャーリーグ史上最高額の契約を結んだ。その契約がまだ10年分残っており、残り契約の総額は2億8500万ドルにも上る。2018年からは年俸が2500万ドルに跳ね上がり、2023年からの3年間は3200万ドルとなる。さらに2028年は年俸2500万ドルの球団オプションとなっており、球団がオプションを破棄する場合にはバイアウトとして1000万ドルが支払われる。また、2020年シーズン終了後にはオプトアウトが可能となっており、スタントンがより好条件の契約を求めて現行の契約を破棄する可能性も残されている。

 そして、マーリンズがスタントンを放出する際には年俸負担は不可避であるとの見方が多い。残り10年2億8500万ドルという巨額の契約をそのまま受け入れる球団など存在しないからだ。実際、今年8月にスタントンがウエーバーにかけられた際、獲得を希望する球団は現れなかった。

 では、マーリンズはスタントンの対価として何を求めるのだろうか。スタントンは現在のメジャーリーグにおいてトップクラスのスラッガーの一人であり、獲得に際しては相当なパッケージが必要になることは間違いない。ただし、そのパッケージの質についてはマーリンズがスタントンの年俸をどれだけ負担するかに左右されるはずだ。マーリンズが年俸の負担を嫌がれば、その分だけ交換要員の質は落ちることになる。カージナルスとトレード交渉をする際には、有望な若手投手とスタントンの代わりとなる外野手を要求するに違いない。その要求に応えるだけの選手層がカージナルスにはある。

 仮にカージナルスがスタントン獲得に成功すれば、「打線の中軸を担える打者」という今オフの補強ポイントを見事にクリアしたことになる。レフトにデクスター・ファウラー、センターにトミー・ファム、ライトにスタントンが入る形が基本となり、スティーブン・ピスコッティやランドール・グリチックはポジションを失う。この2選手のうち少なくとも片方はスタントンの交換要員に含まれる可能性が高い。スタントンの交換要員にならなくとも、もう一つの課題である投手補強のために放出されることになるだろう。

 カージナルスはアレックス・レイエスを筆頭にルーク・ウィーバー、ジャック・フラハティなど多数の若手有望株(投手)を抱えており、先発投手の補強が急務となっているマーリンズにとってはうってつけのトレード相手である。カージナルス側に獲得の意思があればトレードを成立させることは不可能ではなさそうだが、スタントン獲得は多数の有望株を失うことを意味する。耐久性に不安が残るスタントンに対してカージナルスがどれだけの価値を見出しているかがトレード実現に向けてのポイントとなりそうだ。カージナルス以外にもスタントン獲得を検討している球団は多数あり、どのようなビッグ・トレードが成立するのか、今後の動きに注目だ。


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