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【2017ASG】カノーの決勝弾でア・リーグが延長戦を制す

2017.7.12 16:17 Wednesday

 両リーグの豪華投手陣によるロースコアの投手戦が繰り広げられた今年のオールスター・ゲーム。史上最多ペースで本塁打が量産されている2017年シーズンを象徴するかのように、試合を決めたのは延長10回表に飛び出したロビンソン・カノー(マリナーズ)の一発だった。

 ア・リーグがクリス・セール(レッドソックス)、ナ・リーグがマックス・シャーザー(ナショナルズ)の先発で始まったマイアミ初開催のオールスター・ゲーム。1回表にシャーザー対アーロン・ジャッジ(ヤンキース)という注目の対決が実現したが、フルカウントからの6球目、シャーザーの渾身のスライダーにジャッジのバットは空を切った(動画は画像をクリック)。

 一方のセールも、地元マーリンズ・パークの大歓声を浴びたジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)を空振り三振に斬って取るなど、2イニングを無失点。史上初となる「異なる2チームで2年連続オールスター・ゲームの先発投手」という大役をしっかり果たしてみせた。

 ナ・リーグは3回からカルロス・マルティネス(カージナルス)が登板。時速100マイル(約160.9km/h)の速球を低めにコントロールし、3回表は二死二塁のピンチでジャッジをショートゴロに抑えた。続く4回表にはジャスティン・スモーク(ブルージェイズ)に四球を与えたものの、アウト3つをすべて三振で奪い、2回4奪三振無失点という見事なピッチングを披露した。

 4回裏、ナ・リーグは先頭のノーラン・アレナード(ロッキーズ)がア・リーグの3番手ジェイソン・バルガス(ロイヤルズ)からレフト前ヒットを放って出塁。次打者ライアン・ジマーマン(ナショナルズ)がセンターへ大飛球を放つと、ムーキー・ベッツ(レッドソックス)が捕球したのを確認してアレナードは二塁へのタッチアップを試みたが、ベッツからのワンバウンドのストライク返球によりダブルプレイが成立。4回まで両チーム無得点の緊迫した投手戦が展開された。

 5回表、ナ・リーグは4番手アレックス・ウッド(ドジャース)がマウンドへ。わずか3球でサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)とベッツを打ち取ったが、ジョナサン・スコープ(オリオールズ)にレフトへの二塁打を浴び、二死二塁のピンチを背負う。ア・リーグはここでミゲル・サノー(ツインズ)がライト線にポトリと落ちる先制タイムリーを放ち、ようやくスコアボードに「0」以外の数字が刻まれた。

 6回表二死一塁の場面で、ア・リーグのブラッド・ミルズ監督はネルソン・クルーズ(マリナーズ)を代打に起用。するとクルーズはユニフォームの後ろポケットからスマートフォンを取り出し、捕手のヤディアー・モリーナ(カージナルス)に「写真を撮ってくれ」とお願い。クルーズ本人の話によると、クルーズは球審を務めたベテラン審判員ジョー・ウエスト氏のファンであり、ツーショットを撮りたかったものの、打撃用グローブを着用していたため自分では撮れず、モリーナにお願いしたとのこと。オールスター・ゲームらしい、微笑ましい一幕だった。

 そのモリーナは金ピカのキャッチャーマスクとプロテクターで場内の注目を集めていたが、6回裏の第1打席でアービン・サンタナ(ツインズ)の速球を捉え、右中間へ同点ホームランを叩き込んだ。各球団の投手を好リードし、9回裏の第2打席ではクレイグ・キンブレル(レッドソックス)から四球を選ぶなど、オールスター選出8度を誇る名捕手がその実力を存分に発揮したオールスター・ゲームとなった。

 7回以降は両リーグの投手陣が安定したピッチングを続け、なかなか勝ち越し点が生まれない。9回表、ア・リーグは先頭のヨンダー・アロンゾ(アスレチックス)がライト前ヒットで出塁し、二盗を成功させて無死二塁のチャンスを作ったものの、後続がケンリー・ジャンセン(ドジャース)の前に三者連続三振。9回裏のナ・リーグもキンブレルから2つの四球を選び、二死一、三塁としたが、マイケル・コンフォート(メッツ)が空振り三振に倒れ、サヨナラのチャンスを生かせなかった。

 そして試合は延長戦に突入。10回表、ナ・リーグのジョー・マドン監督は自軍の守護神ウェイド・デービス(カブス)をマウンドへ送ったが、先頭のカノーがナックルカーブを見事に捉え、ライトスタンドへ突き刺さる勝ち越しホームランを放つ。その裏、ア・リーグはアンドリュー・ミラー(インディアンス)を投入。ミラーはジャスティン・アップトン(タイガース)とフランシスコ・リンドーア(インディアンス)の好守にも助けられ、最初の2打者から2アウトを奪うと、ジョーイ・ボットー(レッズ)を歩かせたものの、最後はコディ・ベリンジャー(ドジャース)を空振り三振に斬って取り、2017年のオールスター・ゲームを締めくくった。

 MVP(テッド・ウィリアムス賞)には決勝弾を放ったカノーが選出された。好投手が次々に出てくることもあってなかなか得点が生まれず、やや物足りなさを感じたファンも少なくないかもしれないが、随所に好プレイもあり、楽しそうにプレイする選手たちの姿も印象的で、オールスター・ゲームらしい「夢」がたくさん詰まった好ゲームとなったのではないだろうか。ワールドシリーズのホーム・アドバンテージがオールスター・ゲームの勝敗と無関係になり、「お祭り」らしさがオールスターに戻ってきた。そんな印象を受けた一戦だった。


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