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ダルビッシュを第3戦まで温存した理由とは?

2017.10.27 10:54 Friday

 ドジャースは今ポストシーズン、クレイトン・カーショウ、リッチ・ヒル、ダルビッシュ有の順で先発ローテーションを形成している。エース左腕・カーショウに次ぐ右のエースと称されるダルビッシュがなぜ2番手でなく3番手に回っているのか。その理由をMLB.comのマイク・ペトリエロが分析している。

 ナ・リーグ西部地区の首位を独走していたドジャースが若手有望株を放出してまでダルビッシュの獲得に動いたのは、ある種のサプライズだった。なぜならドジャースはポストシーズン進出をほぼ確実なものにしていたからである。しかし、ドジャースはカーショウだけではポストシーズンを勝ち抜けないことを昨季までの経験から学んでいた。ドジャースのダルビッシュ獲得はあくまでもポストシーズンを見据えたものであり、29年ぶりのワールドシリーズ出場を成し遂げた今、その判断は間違っていなかったと言えるだろう。

 では、ドジャースはなぜ今ポストシーズンにおいてダルビッシュを先発ローテーションの3番手として起用しているのだろうか。ワールドシリーズ第3戦はアストロズの本拠地ミニッツメイド・パークで行われるが、ダルビッシュはこの球場で通算6試合に先発し、防御率2.16という好成績を残している。ただ、これをダルビッシュが3番手に回っている理由に挙げるのは安易すぎる。これだけではNLDSとNLCSでダルビッシュが第3戦に回ったことの説明がつかないからだ。

 これを説明するためにはダルビッシュやアストロズよりも、ヒルに注目する必要がある。デーブ・ロバーツ監督はポストシーズン開幕前、「ヒルをホームで投げさせたい。彼はホームで何度も良い投球をしているからね。ダルビッシュはホームでもアウェイでも良い投球をしてくれている」と話していた。ヒルは今季ホームでの14先発で防御率2.77をマークした一方、アウェイでの11先発では防御率4.06。また、ヒルはフライ性の打球が多いフライボール・ピッチャーであり、投手有利のドジャー・スタジアムと相性が良い投手なのだ。そのため、ロバーツ監督はダイヤモンドバックスとのNLDSでヒルを本拠地での第2戦、ダルビッシュを敵地での第3戦に先発させる決断をした。

 ヒルをホームで投げさせたいという指揮官の思惑はその後も変わっていないが、NLCS以降のローテ順については「上手くいっている状態を維持したい。(ローテ順を変えなければ)投手たちは準備のスケジュールやルーティーンを守ることができる」という指揮官の配慮も働いている。NLDSで決めたローテ順をわざわざ変更してまで投手たちのルーティーンを狂わせる必要はないというわけだ。仮にワールドシリーズでヒルとダルビッシュの順番を入れ替えると、ヒルの登板間隔は2週間近くも空いてしまうことになる。登板間隔が空きすぎることを避けようとするのは当然の判断だろう。

 最後に、ダルビッシュのミニッツメイド・パークでの通算成績を額面通りに受け取るのも危険である。通算6先発のうちの4試合は2014年以前のものであり、ジョージ・スプリンガーやカルロス・コレアはまだアストロズのラインナップにいなかったのだ。とはいえ、昨季はミニッツメイド・パークで7回無失点、今季も6月12日の登板で7回1失点と好投しており、相性が良い球場であることは間違いない。日本時間10月28日に行われるワールドシリーズ第3戦。ダルビッシュの好投に期待したい。


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