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前半戦を10のトピックで振り返る

2017.7.13 11:43 Thursday

 開幕前、ブリュワーズがナ・リーグ中部地区の首位を走ることを予想した人はいるだろうか?アーロン・ジャッジ(ヤンキース)がア・リーグMVP最有力候補となる活躍を見せることを予想した人はいるだろうか?ツインズがポストシーズン争いに絡むことを予想した人はいるだろうか?あっという間に開幕から3ヶ月が経過した2017年のレギュラーシーズン。その前半戦を10のトピックで振り返ってみよう。

1.アーロン・ジャッジが大活躍

 昨季メジャーデビューを果たし、95打席で42三振を喫したジャッジ。今季は8番打者として開幕を迎えたように、主力選手として大きな期待を背負っていたわけではなかった。ところが、4月から3ヶ月連続で月間最優秀新人に選出される大活躍。前半戦で放った30本塁打は両リーグ最多の数字であり、すでに球団の新人記録を更新してしまった。先日行われたホームラン・ダービーでも圧倒的なパワーを見せつけて優勝。苦戦が予想されたヤンキースが地区優勝争いに顔を出す原動力となっている。

2.アストロズの快進撃

 オフの間に戦力補強に成功したアストロズの前評判は高かった。しかし、前半戦を60勝29敗で終え、地区2位に16.5ゲーム差をつけるなどいったい誰が予想しただろうか。ホゼ・アルトゥーベ、カルロス・コレア、ジョージ・スプリンガーの3人を中心に、驚異的な得点力を誇る強力打線が最大の武器。後半戦には開幕9連勝中のエース、ダラス・カイケルも復帰する予定であり、どこまで快進撃を続けるか注目である。

3.シャーザーとカーショウのサイ・ヤング賞争い

 ナ・リーグのサイ・ヤング賞争いはこの2人に絞られたと言ってもいいだろう。オールスター・ゲームでナ・リーグの先発投手を務めたマックス・シャーザー(ナショナルズ)は10勝5敗、防御率2.10、173奪三振の好成績で防御率と奪三振はリーグトップの数字。一方、クレイトン・カーショウ(ドジャース)も例年通りの質の高いピッチングを続けており、防御率2.18と159奪三振ではシャーザーの後塵を拝しているものの、14勝(2敗)は両リーグトップの数字となっている。どちらが栄冠を手にするのか、極めてハイレベルな争いとなりそうだ。

4.ベリンジャーら若手選手の活躍

 4月25日にメジャーデビューを果たしたコディ・ベリンジャー(ドジャース)。そこからの70試合でなんと25本塁打を放ち、リーグトップと1本差の3位で前半戦を終えた。ベリンジャーの昇格後、ドジャースは52勝18敗の快進撃。ダイヤモンドバックスとロッキーズに後れを取っていたが、気付けば2位ダイヤモンドバックスとの差は7.5ゲームに広がっていた。ベリンジャーのほかにもレッドソックスのアンドリュー・ベニンテンディやムーキー・ベッツ、ヤンキースのジャッジ、アストロズのコレア、メッツのマイケル・コンフォート、ベリンジャーの同僚であるコリー・シーガーなど若手選手の活躍が目立った2017年の前半戦。後半戦も彼らの活躍に期待したい。

5.ダイヤモンドバックス、ロッキーズ、ツインズの健闘

 前年のリーグ王者であるインディアンスが所属するア・リーグ中部地区。地区4連覇中の本命・ドジャースが所属するナ・リーグ西部地区。「地区優勝間違いなし」と見られる強豪を差し置いてダイヤモンドバックスやロッキーズ、ツインズが地区首位を走ると予想した人はそれほど多くなかったはずだ。最終的にはインディアンスとドジャースが地区首位で前半戦を終えたものの、ダイヤモンドバックスとロッキーズはそれぞれリーグ2位、リーグ4位の勝率をマークしており、ワイルドカード獲得が有力。ツインズも首位と2.5ゲーム差の地区2位につけており、ワイルドカードだけでなく地区優勝も十分に狙える位置にいる。「伏兵」たちの戦いぶりも後半戦の注目ポイントの1つだろう。

6.逆輸入された大砲・テームズの衝撃

 昨季の本塁打王であるクリス・カーターをノンテンダーFAとし、韓国球界で大活躍していたエリック・テームズを3年契約で獲得したブリュワーズのデービッド・スターンズGM。この決断は吉と出た。テームズは4月13日から5試合連続本塁打を記録するなど、4月に打率.345、11本塁打の大暴れ。その後、急激にペースを落としたものの、23本塁打はリーグ4位タイ、OPS.936は同13位と期待以上の成績をマークした。テームズの活躍がブリュワーズの予想外の快進撃に寄与したことは間違いないだろう。リーグトップとは3本塁打差であり、タイトル獲得の可能性もまだ消えていない。

7.ロイヤルズの「V字回復」

 4月を7勝16敗で終え、その間のチーム打率が.210とまったく打てなかったロイヤルズ。今季終了後にFAとなる主力選手を多く抱えており、トレード・デッドラインまでに主力選手の大半を放出することが濃厚と見られていた。ところが、5月1日から7月5日までの61試合で37勝24敗と復調。前半戦の最後はドジャース3連戦でスイープを喰らったものの、地区優勝ないしワイルドカードを狙える位置で前半戦を終えた。デイトン・ムーアGMもトレード・デッドラインで「買い手」に回ることを示唆。2015年のワールド・チャンピオンが2年ぶりの頂点を目指すことになりそうだ。

8.レイズが予想を上回る健闘

 ジョー・マドン監督がカブス、アンドリュー・フリードマンGMがドジャースへ流出し、「魔法」が解けてしまったかに思われたレイズだが、ケビン・キャッシュ監督とマット・シルバーマン野球部門社長のコンビが限られた予算の中でポストシーズン進出を狙えるチーム作りを進めている。前半戦は2位ヤンキースとゲーム差なしの地区3位。ワイルドカード争いでもヤンキースに次ぐ2位につけており、4年ぶりのポストシーズン進出が見えてきた。チーム得点はリーグ6位、チーム防御率はリーグ5位と例年の「投高打低」から抜け出し、投打のバランスが整いつつあることにも注目だ。

9.トラウトを欠くエンゼルスの健闘

 今季はマイク・ソーシアが名監督であることを思い出させるシーズンとなっている。球界最高のスター選手であるマイク・トラウト、エース格のギャレット・リチャーズらを故障で欠きながら、他球団を戦力外となった選手などを上手く組み合わせ、地区2位で前半戦を終了。地区優勝は絶望的な状況だが、ワイルドカード圏内まで3ゲーム差の好位置につけている。後半戦からトラウトが復帰してくるだけに、ワイルドカードを狙う他球団にとっては嫌な存在になりそうだ。

10.戦力均衡の実現

 アストロズとドジャースが100勝超のペースで白星を積み重ねてはいるものの、ア・リーグの東部地区と中部地区、ナ・リーグの中部地区はまだまだ地区優勝の行方がわからない混戦が続いている。ア・リーグは全球団がワイルドカード圏内から7.5ゲーム差と、どの球団にもポストシーズン進出の可能性が残っている状況。このままいけばシーズン終盤まで熱いポストシーズン争いが繰り広げられることは確実で、戦力均衡に向けての取り組みは正しい方向へ向かっていると言えそうだ。


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