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【前半戦レビュー】ア・リーグ中部地区

2017.7.13 16:41 Thursday

 2017年のレギュラーシーズンは前半戦が終了。試合が行われない今日、明日の2日間を利用して、全30球団の前半戦を簡単に振り返っていく。第2回はア・リーグ中部地区だ。

シカゴ・ホワイトソックス(38勝49敗:地区5位)

 クリス・セール(レッドソックス)に代わるエースとして期待されたホゼ・キンターナ(4勝8敗、防御率4.49)が予想外の不振。ただし、6月以降は防御率2.70と立ち直っており、後半戦の巻き返しに期待したい。その他、デレク・ホランド(5勝9敗、防御率5.01)、ミゲル・ゴンザレス(4勝8敗、防御率5.15)らも安定感を欠き、出遅れたジェームス・シールズ(2勝1敗、防御率4.95)も36.1イニングで10本塁打を浴びるなど今一つ。先発防御率4.95はリーグ13位に沈んだ。ブルペン陣はアンソニー・スウォーザック(35試合、防御率2.41)とトミー・ケインリー(35試合、防御率2.65)の予想外の好投もあり、意外な健闘。クローザーのデービッド・ロバートソン(29試合、防御率2.87)には放出の噂が絶えない。

 打線はアダム・イートン(ナショナルズ)の穴が埋まらず、397得点はリーグ10位。ホゼ・アブレイユ(打率.299、16本塁打、OPS.871)、トッド・フレイジャー(打率.213、16本塁打、OPS.779)、メルキー・カブレラ(打率.286、10本塁打、OPS.748)らは期待外れとまではいかないものの、期待値を考えると物足りなさは否めない。そんな中、アビサイル・ガルシア(打率.310、11本塁打、OPS.850)がブレイクし、オールスター初選出。マット・デービッドソン(打率.245、18本塁打、OPS.799)が長打力を開花させた一方、ティム・アンダーソン(打率.240、9本塁打、OPS.632)は87三振に対して9四球と課題のアプローチは改善されず。出塁率.263ではレギュラー失格である。

 前半戦はリーグ最低勝率。リック・ハーンGMは今後、マイナーの若手有望株を積極的に起用していくことを示唆しており、ヨアン・モンカダ、ルーカス・ジオリト、カーソン・フルマー、レイナルド・ロペスらに出場機会が与えられることになりそうだ。

クリーブランド・インディアンス(47勝40敗:地区1位)

 防御率3.78はリーグトップ。特にアンドリュー・ミラー(37試合、防御率1.42)、コディ・アレン(35試合、防御率2.62)、ブライアン・ショウ(42試合、防御率2.81)らを擁するブルペン陣はリーグ唯一の2点台となる救援防御率2.84を記録しており、リーグ連覇を目指すチームの大きな強みとなっている。先発陣では一時故障者リスト入りしていたコリー・クルーバー(7勝3敗、防御率2.80)が完全復調し、カルロス・カラスコ(10勝3敗、防御率3.44)も好成績を残しているが、ジョシュ・トムリン(5勝9敗、防御率5.90)とトレバー・バウアー(7勝7敗、防御率5.24)の防御率5点台コンビが悩みの種。なるべく早い段階で先発ローテーションの立て直しを図りたいところだ。

 打線は「可もなく不可もなく」といった状況。ホゼ・ラミレス(打率.332、17本塁打、OPS.988)の活躍が光る一方、開幕直後に好調だったフランシスコ・リンドーア(打率.252、14本塁打、OPS.767)はその後失速。逆に開幕からなかなかエンジンがかからなかったエドウィン・エンカーナシオン(打率.263、18本塁打、OPS.855)は徐々にコンディションを上げてきた。復活したマイケル・ブラントリー(打率.304、5本塁打、OPS.807)が相変わらずの巧打を発揮し、ロニー・チゼンホール(打率.305、12本塁打、OPS.953)も好調。あとはカルロス・サンタナ(打率.238、10本塁打、OPS.749)とジェイソン・キプニス(打率.232、8本塁打、OPS.693)の復調に期待したい。

 昨季の快進撃を支えたブルペン陣は健在だが、ポストシーズン以降の戦いを考えると現状の先発投手陣では心許ない。バウアーやダニー・サラザー(3勝5敗、防御率5.40)の復調状況次第ではトレード・デッドラインで補強に動く必要があるかもしれない。

デトロイト・タイガース(39勝48敗:地区4位)

 昨季の新人王マイケル・フルマー(9勝6敗、防御率3.19)が先発の柱として好投を続けているが、昨季復活したジャスティン・バーランダー(5勝6敗、防御率4.73)が精彩を欠き、その他の投手は軒並み防御率5点台。フルマーが投げる試合でしか勝ちを計算できない状況となっている。ブルペン陣はもっと深刻で、救援防御率5.04はリーグワースト(唯一の5点台)。クローザーのフランシスコ・ロドリゲス(28試合、防御率7.82)は滅多打ちを喰らった挙句、6月下旬に解雇され、ジャスティン・ウィルソン(36試合、防御率2.36)が代理クローザーとして奮闘している。ワーウィック・サポールド(18試合、防御率1.99)もロングリリーフで好投しているが、信頼できるリリーバーの頭数が明らかに足りない。

 打線は豪華な名前が並ぶわりに、得点力はリーグ中位(リーグ8位の409得点)。故障で出遅れたJ.D.マルティネス(打率.299、14本塁打、OPS.991)は復帰後、強打を発揮しているものの、主砲ミゲル・カブレラ(打率.264、11本塁打、OPS.796)のコンディションがいつまで経っても上がってこない。ジャスティン・アップトン(打率.265、15本塁打、OPS.841)は例年通りの成績だが、イアン・キンズラー(打率.240、9本塁打、OPS.710)、ビクター・マルティネス(打率.253、6本塁打、OPS.687)らも揃って低調で、ベテラン依存の打線に一気にガタがきてしまった印象だ。そんな中、アレックス・アビラ(打率.299、11本塁打、OPS.958)が意外な活躍を見せている。

 ポストシーズン進出の可能性はゼロではないが、かなり難しい状況。しかし、主力選手は高齢&高年俸でトレードをまとめるのもなかなか難しい。この状況をどのように打破していくのか、アビラの父であるアル・アビラGMの手腕に注目したい。

カンザスシティ・ロイヤルズ(44勝43敗:地区3位)

 契約最終年を迎えたジェイソン・バルガス(12勝3敗、防御率2.62)がオールスター・ゲームでの先発も取り沙汰されるほどの好成績をマークし、先発ローテーションの柱に。しかし、新加入のジェイソン・ハメル(4勝8敗、防御率5.04)が期待を裏切り、ダニー・ダフィー(5勝5敗、防御率3.76)が故障者リスト入りするなど、バルガスの活躍がありながらも全体的には苦しい状況が続いている。ブルペン陣もマイク・マイナー(35試合、防御率1.87)が華麗な復活を遂げたが、ケルビン・ヘレーラ(36試合、防御率4.50)とホアキム・ソリア(39試合、防御率3.41)のクローザー&セットアッパーコンビが不安定で、新加入のトラビス・ウッド(26試合、防御率6.06)は大不振。投手陣の立て直しは後半戦に向けての大きな課題である。

 スタートダッシュ失敗の原因となったのは極度の貧打。362得点はリーグワーストの数字である。球団の前半戦記録を更新したマイク・ムスターカス(打率.270、25本塁打、OPS.863)、サルバドール・ペレス(打率.290、18本塁打、OPS.850)らの活躍により本塁打数はリーグ中位となっているが、フリースインガーが多く、出塁率が低い(出塁率.300はリーグワースト)ため、本塁打がなかなか大量得点に繋がらない。アルシデス・エスコバー(打率.226、2本塁打、OPS.548)、アレックス・ゴードン(打率.195、5本塁打、OPS.592)とOPS.600未満がレギュラーに2人もおり、新加入のブランドン・モス(打率.193、10本塁打、OPS.657)とホルヘ・ソレアー(打率.159、2本塁打、OPS.537)も打率1割台の体たらくである。当然ながら彼らはいずれも出塁率.300未満。出塁率軽視の戦略を根本的に見直す必要がありそうだ。

 スタートダッシュ失敗から巻き返し、貯金1で前半戦を終了。デイトン・ムーアGMはトレード・デッドラインでの補強に動く可能性を示唆しているが、補強すべきポイントが多すぎる。今季終了後に主力選手の多くがFAになることを考えると、勝ちに行くのであれば中途半端な補強はやめて、今季にすべてをかけるくらいの意気込みが必要になってくるだろう。

ミネソタ・ツインズ(45勝43敗:地区2位)

 先発投手陣はアービン・サンタナ(10勝6敗、防御率2.99)とホゼ・ベリオス(8勝2敗、防御率3.53)の二本柱が確立。新人アダルベルト・メヒア(4勝4敗、防御率4.43)も健闘しているが、カイル・ギブソン(5勝7敗、防御率6.31)、ヘクター・サンティアゴ(4勝8敗、防御率5.63)、フィル・ヒューズ(4勝3敗、防御率5.50)が期待を裏切り、二本柱に依存する状況となっている。ブルペン陣もクローザーのブランドン・キンツラー(39試合、防御率2.29)が安定した投球でセーブを積み重ね、左腕テイラー・ロジャース(39試合、防御率2.14)も好投。しかし、その他の投手は軒並み防御率5点台で、チーム防御率4.89はリーグ14位とポストシーズン争いをしていることが不思議なくらいである。

 打線もひいき目に見て平均レベルといったところ。ミゲル・サノー(打率.276、21本塁打、OPS.906)がようやくブレイクを果たしたが、彼に次ぐスラッガーが不在。エディ・ロサリオ(打率.287、10本塁打、OPS.784)、マックス・ケプラー(打率.266、10本塁打、OPS.788)、エドゥアルド・エスコバー(打率.274、8本塁打、OPS.759)らは決して悪い成績ではないが、中軸を任せるには物足りない。ジョー・マウアー(打率.286、5本塁打、OPS.763)とブライアン・ドージャー(打率.242、13本塁打、OPS.745)の両スター選手の奮起に期待したいところだ。

 403得点、463失点と前半戦の得失点差は大きなマイナス。得失点差から導かれるピタゴラス勝率は.432に過ぎず、前半戦は明らかに出来過ぎである。ポストシーズン進出を目指すには、とにかく投手陣の立て直し・補強が急務である。


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