オールスター終了はトレード市場オープンの合図だ!
2017.7.13 12:38 Thursday
2017年のオールスター・ゲームはロビンソン・カノー(マリナーズ)が延長10回表に放った決勝本塁打により、ア・リーグの勝利で幕を閉じた。昨年、オールスター・ゲーム終了から48時間も経過しないうちにドリュー・ポメランツがパドレスからレッドソックスへトレードされたことを覚えているファンもいることだろう。そう、オールスター・ゲーム終了は同時に後半戦以降の戦いを見据えたトレード市場オープンの合図でもあるのだ。ここでは今夏のトレード市場を俯瞰してみたい。
MLB.comのコラムニストであるジム・デュケットは今回のトレード・デッドラインで動く可能性があるビッグネーム15選手を紹介している。放出される可能性の高さを1~5の5段階でランク付けしており、放出可能性が最も高い「5」には5選手の名前が挙がっている。ランクの内訳は以下の通り。
5:デービッド・ロバートソン(ホワイトソックス)、J.D.マルティネス(タイガース)、ジェレミー・ヘリクソン(フィリーズ)、ブラッド・ハンド(パドレス)、パット・ニーシェック(フィリーズ)
4:ホゼ・キンターナ(ホワイトソックス)、ジェイ・ブルース(メッツ)、マルコ・エストラーダ(ブルージェイズ)、アディソン・リード(メッツ)、ジャスティン・ウィルソン(タイガース)、サンティアゴ・カシーヤらブルペン陣(アスレチックス)
3:ソニー・グレイ(アスレチックス)、ホゼ・バティースタ(ブルージェイズ)、ザック・ブリットンらブルペン陣(オリオールズ)
2:ダルビッシュ有(レンジャーズ)
1:該当者なし
唯一の「2」となったダルビッシュは「トレードされる可能性はそれほど高くないものの、他球団にとっては魅力的な選手であり、レンジャーズがダルビッシュを放出すれば十分な交換要員を手に入れられるだろう。また、昨年のアロルディス・チャップマンのようにトレードで放出後、オフに再契約する可能性もあるだろう」と評価されている。
では、放出確実と見られる「5」の選手について見ていこう。ロバートソンにはブルペンに難を抱えるナショナルズが強い関心を示している。3年連続34セーブ以上の実績を誇るロバートソンの加入はブルペン崩壊に苦しむナショナルズにとって大きな戦力となるはずだ。右打ちの強打者・マルティネスにはドジャースやカージナルスが興味を持っているようだ。今季もOPS.991と好成績を残しており、獲得にはかなりの対価を要求されることになるだろう。ヘリクソンは昨オフの再契約時点から今季途中の放出が有力視されていた。今季は5勝5敗、防御率4.49と今一つの成績に終わっているが、先発ローテーションの底上げを目指すチームが獲得に動くことになりそうだ。左投げのリリーバーであるハンドにはアストロズを筆頭に数えきれないほどの球団が興味を示している。42試合に登板して防御率2.30、奪三振率11.49のリリーフ左腕を欲しがらないチームはないだろう。サイドハンドのベテラン右腕・ニーシェックもポストシーズン進出を目指すチームにとって非常に魅力的な存在だ。38試合に登板して防御率1.27の好成績をマークしているが、メジャー最低勝率のフィリーズに彼をキープし続ける理由はなく、放出されることは間違いない。
また、同じくMLB.comのコラムニストであるジョン・ポール・モロシはポジションごとにトレード候補選手(打者)をリストアップし、各ポジションの補強に動くであろうチームを紹介・分析している。
ヤンキースの大きな穴となっている一塁手では、ヨンダー・アロンゾ(アスレチックス)、トミー・ジョセフ(フィリーズ)、ブランドン・ベルト(ジャイアンツ)、ホゼ・アブレイユ(ホワイトソックス)らの名前が挙げられている。オールスター初出場を果たしたばかりのアロンゾが最有力候補、有望株リズ・ホスキンスに押し出される形でジョセフが放出される可能性もあるようだ。
三塁手では2015年のア・リーグMVPであるジョシュ・ドナルドソン(ブルージェイズ)の名前が挙げられている。ブルージェイズはまだポストシーズン進出の可能性を残しているが、今後2週間でチーム状態が上向かないようであれば、主力選手の放出に踏み切る可能性もある。ドナルドソン獲得にはジャイアンツやカージナルスが興味を示しているという報道も出ている。また、ワールドシリーズ制覇を目指すレッドソックスは三塁手がチーム最大の弱点となっており、トッド・フレイジャー(ホワイトソックス)、マイケル・フランコ(フィリーズ)といったトレード候補選手の獲得に動くことになりそうだ。
外野手の注目株はアンドリュー・マカッチェン(パイレーツ)だろう。今季は開幕から2ヶ月ほどは低迷していたものの、そこから完全復活を遂げ、前半戦は打率.294、17本塁打、OPS.909の好成績をマーク。来季の球団オプションを残しているのも魅力であり、若手有望株を豊富に抱える球団が獲得を目指すことになるかもしれない。その他にはカーティス・グランダーソン(メッツ)、ランドール・グリチック(カージナルス)、ハンター・ペンス(ジャイアンツ)といった選手の名前も挙げられている。
ウエーバーを介さないトレードの期限は7月末。今季は特にア・リーグで混戦が続いており、多くのチームがポストシーズン進出の可能性を残している。それだけに、後半戦開始からの2週間での戦いぶりが「売り手」と「買い手」を大きく分けることになる。どのチームが「売り手」に回るのか。そしてどの選手がトレード市場に出てくるのか。メジャーリーグファンにとって楽しみな2週間が、いよいよ幕を開けようとしている。
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