【前半戦レビュー】ナ・リーグ東部地区
2017.7.14 15:21 Friday

2017年のレギュラーシーズンは前半戦が終了。昨日のア・リーグに続き、今日はナ・リーグ15球団の前半戦を簡単に振り返っていく。第4回はナ・リーグ東部地区だ。
アトランタ・ブレーブス(42勝45敗:地区2位)
チーム防御率4.68はリーグ12位の数字。ベテラン3投手を加えた先発陣ではR.A.ディッキー(6勝5敗、防御率4.23)がチーム最多の104.1イニングを投げるなど健闘したが、ハイメ・ガルシア(2勝7敗、防御率4.55)とバートロ・コローン(2勝8敗、防御率8.14)は期待外れ。コローンは解雇され、ツインズとマイナー契約を結んだ。エース格のフリオ・テーラン(7勝6敗、防御率4.79)も新本拠地に苦戦する中、マイク・フォルティネビッチ(7勝5敗、防御率3.77)が成長を遂げ、ショーン・ニューカム(1勝4敗、防御率4.26)も昇格当初は好投を続けた。ブルペン陣はクローザーのジム・ジョンソン(38試合、防御率4.23)が不安定だが、ホゼ・ラミレス(40試合、防御率2.70)とアローディス・ビスカイーノ(37試合、防御率2.38)の頑張りが光っている。
打線は主砲フレディ・フリーマン(打率.348、16本塁打、OPS1.201)が死球による骨折で長期離脱する中、穴埋めとしてカージナルスから獲得したマット・アダムス(打率.292、13本塁打、OPS.947)が予想以上の活躍を見せた。マット・ケンプ(打率.293、12本塁打、OPS.826)、ブランドン・フィリップス(打率.280、7本塁打、OPS.737)らベテランが及第点のパフォーマンスを見せ、エンダー・インシアーテ(打率.302、7本塁打、OPS.757)やタイラー・フラワーズ(打率.306、6本塁打、OPS.838)も好打を発揮したが、期待の新人ダンズビー・スワンソン(打率.221、6本塁打、OPS.620)は期待を裏切った。
メッツやマーリンズの不振もあり、前半戦を地区2位で終えたが、ポストシーズン進出は絶望的。7月末までに今オフFAのベテラン選手をどんどん放出し、後半戦は来季に向けたチーム作りを始めていくことになるだろう。
マイアミ・マーリンズ(41勝46敗:地区3位)
新加入のダン・ストレイリー(7勝4敗、防御率3.31)が計算できるスターターとして確立し、ホゼ・ウーレイナ(7勝3敗、防御率3.54)も急成長。ノーヒッターを達成したエディンソン・ボルケス(4勝8敗、防御率4.19)と合わせて先発3番手までは計算が立った。しかし、陳偉殷(2勝1敗、防御率4.33)の故障もあって4番手以降は人材不足。防御率7点台・8点台の投手を起用せざるを得ない状況に陥っていた。実績豊富なリリーバーを数名加えたブルペン陣は、新加入のブラッド・ジーグラー(34試合、防御率6.52)と田澤純一(23試合、防御率5.87)が予想外の大不振。それでもクローザーのAJラモス(34試合、防御率3.51)を筆頭にある程度のコマは揃っていた。
打線は三塁と遊撃が穴となり、リーグ7位の410得点と豊富なタレントを擁するわりには得点は伸びなかった。ジャンカルロ・スタントン(打率.277、26本塁打、OPS.933)、マーセル・オズーナ(打率.316、23本塁打、OPS.940)、ジャスティン・ボーア(打率.289、20本塁打、OPS.923)が20本塁打トリオを形成し、ディー・ゴードン(打率.295、0本塁打、OPS.701)もリーグ3位の32盗塁と持ち味を発揮。J.T.リアルミュート(打率.303、8本塁打、OPS.818)とクリスチャン・イェリッチ(打率.280、8本塁打、OPS.765)もそれなりの数字を残したが、マーティン・プラド(打率.262、2本塁打、OPS.666)の故障離脱が痛かった。
開幕前には躍進を期待する声も聞こえていたが、すでにポストシーズン進出は絶望的。今後は球団売却の行方ばかりが注目されることになりそうだ。球団売却にメドがつけば、主力選手放出に向けての動きが活発化していくかもしれない。
ニューヨーク・メッツ(39勝47敗:地区4位)
「強力先発投手陣」は今季も構想倒れに終わり、チーム防御率4.94はリーグ14位。打倒ナショナルズの1番手と目されながら、前半戦は地区4位に沈んだ。ノア・シンダーガード(1勝2敗、防御率3.29)やマット・ハービー(4勝3敗、防御率5.25)が次々に戦列を離れ、100イニング以上を投げたのはジェイコブ・デグロム(9勝3敗、防御率3.65)ただ一人。昨季好投したロバート・グセルマン(5勝5敗、防御率6.16)も通用しなかった。ブルペン陣もクローザーのジューリス・ファミリア(11試合、防御率3.86)が長期離脱。アディソン・リード(41試合、防御率2.53)が代理クローザーとして奮闘したが、彼以外に防御率2点台の投手は皆無。救援防御率5.03はリーグワーストを免れるのが精一杯だった。
先発陣のシンダーガード、ブルペン陣のファミリアと同様、打線からは主砲ヨエニス・セスペデス(打率.265、9本塁打、OPS.822)が故障離脱。マイケル・コンフォート(打率.284、14本塁打、OPS.945)がオールスターに選出される活躍を見せ、ジェイ・ブルース(打率.266、23本塁打、OPS.872)やT.J.リベラ(打率.299、4本塁打、OPS.783)も健闘したが、ニール・ウォーカー(打率.270、9本塁打、OPS.820)も故障で離脱し、406得点はリーグ8位どまりだった。チームの顔であるデービッド・ライト(出場なし)は開幕から欠場中。不振のホゼ・レイエス(打率.215、8本塁打、OPS.655)を使い続けざるを得ない状況は寂しい限りだった。
投打に故障者が続出している状況を踏まえ、抜本的なチーム改革に乗り出す必要がある。特に先発陣はいつまで経っても看板倒れ。「強力先発投手陣」の完成という夢物語はそろそろ諦めたほうが良さそうだ。
フィラデルフィア・フィリーズ(29勝58敗:地区5位)
先発防御率4.68はリーグ9位と意外な健闘を見せた。高額年俸のジェレミー・ヘリクソン(5勝5敗、防御率4.49)は開幕4連勝後に急失速して冴えない成績に終わったが、アーロン・ノラ(6勝6敗、防御率3.59)、ニック・ピベッタ(2勝4敗、防御率4.73)、ベン・ライブリー(1勝4敗、防御率3.80)ら若手投手が力投。先発ローテーションの崩壊を食い止めた。ブルペン陣はクローザーのジェンマー・ゴメス(18試合、防御率7.25)が大誤算。ゴメスに代わってクローザーに昇格したヘクター・ネリス(39試合、防御率3.52)も安定感を欠き、チーム全体の11セーブはリーグで最も少なかった。中継ぎではパット・ニーシェック(38試合、防御率1.27)が好投してトレード市場の目玉となり、ルイス・ガルシア(30試合、防御率2.55)も期待以上のピッチングを披露したが、エドゥブレイ・ラモス(0勝7敗、防御率5.52)のように使い物にならない投手のほうが多かった。
リーグ14位の332得点と打線も期待外れだった。アーロン・アルテール(打率.284、14本塁打、OPS.886)が強打を発揮してレギュラーに定着したが、トミー・ジョセフ(打率.252、15本塁打、OPS.779)とマイケル・フランコ(打率.217、13本塁打、OPS.657)は粗い打撃に終始。新戦力のマイケル・ソーンダース(打率.205、6本塁打、OPS.617)とハウィー・ケンドリック(打率.349、2本塁打、OPS.879)は明暗が分かれた。オドゥベル・ヘレーラ(打率.256、6本塁打、OPS.685)は一時期二塁打を量産したが、トータルで見れば低調。その他ではダニエル・ナバ(打率.299、3本塁打、OPS.800)の活躍が目立った。
前半戦30勝未満は両リーグで唯一。ニーシェックらベテラン選手のみならずフランコ、ジョセフといった20代中盤の若手選手にも放出論が出ており、今後はチームの長期構想から外れた選手をどんどん放出し、マイナーから若手有望株を登用していくことになりそうだ。
ワシントン・ナショナルズ(52勝36敗:地区1位)
先発防御率3.71はリーグ3位。マックス・シャーザー(10勝5敗、防御率2.10)、スティーブン・ストラスバーグ(9勝3敗、防御率3.43)、ジオ・ゴンザレス(7勝4敗、防御率2.86)の三本柱はしっかり結果を残した。しかし、タナー・ロアーク(6勝6敗、防御率5.27)とジョー・ロス(5勝3敗、防御率5.01)は防御率5点台と期待外れ。後半戦は彼らの復調が望まれる。大物クローザーの獲得に失敗して不安視されていたブルペン陣は完全に崩壊。救援防御率5.20はリーグワーストの数字であり、各投手の不振や故障により、最後まで勝ちパターンを形成できなかった。そんな中でマット・アルバース(33試合、防御率1.93)が好投。エニー・ロメロ(37試合、防御率3.63)も成長を感じさせた。
打線はアダム・イートン(打率.297、2本塁打、OPS.854)の大ケガというアクシデントはあったものの、各打者が実力を発揮し、リーグトップの486得点を叩き出した。ブライス・ハーパー(打率.325、20本塁打、OPS1.021)は文句なしの働き。ライアン・ジマーマン(打率.330、19本塁打、OPS.969)は奇跡的な復活を遂げ、ダニエル・マーフィー(打率.342、14本塁打、OPS.966)も流石の安定感だった。1試合10打点をきっかけに復調したアンソニー・レンドン(打率.304、16本塁打、OPS.960)やイートンの穴を埋めたマイケル・テイラー(打率.278、12本塁打、OPS.831)も強打を発揮。故障離脱中のトレイ・ターナー(打率.279、7本塁打、OPS.746)が復帰すれば、打線に死角はない。
同地区他球団の不振もあって地区首位を独走しているが、ポストシーズンを勝ち抜くためにはブルペン陣の整備は絶対条件。可能であれば先発三本柱に続く、信頼できるスターターも加えておきたいところだ。地区優勝は間違いないだけに、トレード市場で戦力を整備して球団初のワールドシリーズ出場を目指したい。
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