English Español 韓国語

【前半戦レビュー】ナ・リーグ西部地区

2017.7.14 18:46 Friday

 2017年のレギュラーシーズンは前半戦が終了。昨日のア・リーグに続き、今日はナ・リーグ15球団の前半戦を簡単に振り返っていく。第6回はナ・リーグ西部地区だ。

アリゾナ・ダイヤモンドバックス(53勝36敗:地区2位)

 シェルビー・ミラー(2勝2敗、防御率4.09)がトミー・ジョン手術を受けるというアクシデントはあったが、ザック・グレインキー(11勝4敗、防御率2.86)が昨季の不振を脱し、ロビー・レイ(8勝4敗、防御率2.97)、ザック・ゴッドリー(3勝3敗、防御率2.58)と合わせて先発ローテーションに防御率2点台の投手が3人。欠員が出た際にスポット・スターターを務めたランドール・デルガド(25試合、防御率3.05)の力投も忘れてはいけない。ブルペン陣ではリリーフ本格転向の元有望株アーチー・ブラッドリー(33試合、防御率1.10)が開花。アンドリュー・チェイフィン(40試合、防御率1.80)とT.J.マクファーランド(21試合、防御率2.39)の両左腕も好投し、フェルナンド・ロドニー(34試合、防御率5.58)は不安定ながらも5月と6月は自責点ゼロだった。

 リーグ2位の防御率3.41をマークした投手陣をリーグ5位の446得点を叩き出した打線がしっかり援護。バランスの取れた投打がリーグ2位の勝率.596に繋がった。主砲ポール・ゴールドシュミット(打率.312、20本塁打、OPS1.005)はMVP有力候補に挙がる活躍を見せ、ジェイク・ラム(打率.279、20本塁打、OPS.922)もパワーを発揮。デービッド・ペラルタ(打率.312、8本塁打、OPS.837)の好打やクリス・オーウィングス(打率.290、12本塁打、OPS.807)のパンチ力も光った。

 首位ドジャースとは7.5ゲーム差がついてしまったが、少なくともワイルドカードでのポストシーズン進出は確実。トレード・デッドラインでどのような補強を展開するか、興味深いチームの一つである。

コロラド・ロッキーズ(52勝39敗:地区3位)

 チームの快進撃を支えたのは新人投手たちの奮闘だ。カイル・フリーランド(9勝7敗、防御率3.77)とアントニオ・センザテラ(9勝3敗、防御率4.63)がチームの勝ち頭となり、ヘルマン・マルケス(6勝4敗、防御率4.36)とジェフ・ホフマン(5勝1敗、防御率4.15)も先発ローテーション入り。この「新人カルテット」でチーム52勝の約56%にあたる29勝をマークした。ブルペンではグレッグ・ホランド(35試合、防御率1.62)がトミー・ジョン手術から華麗な復活を遂げ、両リーグトップの28セーブを記録。ジェイク・マギー(38試合、防御率2.70)とクリス・ラシン(33試合、防御率2.30)も持ち味を発揮してチームに貢献した。

 打線はリーグ3位の461得点を叩き出したが、104本塁打はリーグ9位どまり。今季のロッキーズ打線は「しっかり繋いでいく打線」という印象が強い。主砲ノーラン・アレナード(打率.301、17本塁打、OPS.905)は例年通りの勝負強さを発揮し、チャーリー・ブラックモン(打率.319、20本塁打、OPS.955)が「強打の一番打者」として活躍。ベテランのマーク・レイノルズ(打率.284、19本塁打、OPS.892)もかつてのパワーを取り戻し、カルロス・ゴンザレス(打率.221、6本塁打、OPS.637)の不振があまり目立たなかった。新加入のイアン・デズモンド(打率.283、5本塁打、OPS.709)は故障がちなうえにパワー欠乏症に陥ったが、ヘラルド・パーラ(打率.335、6本塁打、OPS.864)が好成績でカバー。ライメル・タピア(打率.323、2本塁打、OPS.865)の活躍も光った。

 快進撃を支えてきた新人投手たちに疲れが見えるのは懸念材料。実際に、チームも大きく失速している。戦列復帰を果たしたエース格のジョン・グレイ(2勝0敗、防御率3.75)が活躍するのはもちろんのこと、新人投手たちの負担を軽減できる投手の獲得に動きたいところだ。

ロサンゼルス・ドジャース(61勝29敗:地区1位)

 先発防御率3.24と救援防御率2.99はともにリーグトップの数字。先発投手陣に故障者が相次ぐのは例年通りだが、大黒柱のクレイトン・カーショウ(14勝2敗、防御率2.18)が絶対的エースとして君臨し、アレックス・ウッド(10勝0敗、防御率1.67)も驚異的な好成績をマーク。ブランドン・マッカーシー(6勝3敗、防御率3.12)やリッチ・ヒル(5勝4敗、防御率3.69)も健康でさえあればピッチング自体は安定しており、前田健太(7勝4敗、防御率4.38)も最低限の役割は果たした。ブルペン陣はケンリー・ジャンセン(36試合、防御率0.96)とペドロ・バイエズ(38試合、防御率1.43)で試合終盤は鉄壁。ジョシュ・フィールズ(30試合、防御率2.93)やブランドン・モロウ(14試合、防御率1.93)も好投したが、先発陣とは対照的に信頼できる左腕の不在に苦しんだ。

 打線はリーグ2位の463得点をマークし、強力投手陣に十分な援護を与えた。新人コディ・ベリンジャー(打率.261、25本塁打、OPS.961)が予想を上回る強打で打線の軸となり、コリー・シーガー(打率.298、13本塁打、OPS.897)、ジャスティン・ターナー(打率.377、10本塁打、OPS1.056)らと強力な中軸を形成。クリス・テイラー(打率.285、10本塁打、OPS.844)、エンリケ・ヘルナンデス(打率.215、8本塁打、OPS.760)、オースティン・バーンズ(打率.283、5本塁打、OPS.935)らの活躍も打線に厚みを加えた。故障離脱中のエイドリアン・ゴンザレス(打率.255、1本塁打、OPS.643)が復帰した際にポジションに困るくらいの選手層となり、昨季大苦戦した左投手を克服したのも明るい材料だ。

 序盤はダイヤモンドバックスとロッキーズに後れを取ったものの、終わってみれば両リーグ最高勝率で前半戦を終えた。投打とも選手層は厚く、リリーフ左腕さえ補強できれば大きな穴はなくなる。欲を言えば計算できる先発右腕も加えたいところ。今季こそ1988年以来のワールドシリーズ制覇を成し遂げたい。

サンディエゴ・パドレス(38勝50敗:地区4位)

 防御率4.64はリーグ11位だったが、先発陣ではクレイトン・リチャード(5勝8敗、防御率4.66)とヨーリス・チャシン(8勝7敗、防御率4.32)が100イニング以上を投げ、防御率4点台とまずまず。ルイス・ペルドモ(4勝4敗、防御率4.54)とトレバー・ケーヒル(3勝3敗、防御率3.38)もある程度計算の立つピッチングを見せた。ブルペン陣ではブラッド・ハンド(42試合、防御率2.30)が47イニングで60三振を奪う力投を見せ、チームから唯一のオールスター出場。カービー・イエーツ(30試合、防御率1.93)も予想外の活躍を見せた。クローザーのブランドン・マウアー(38試合、防御率5.60)は防御率ほどピッチングの内容は悪くなく、ライアン・バクター(37試合、防御率2.94)も安定。投手陣は全体的に健闘したと言っていいだろう。

 打線はさっぱり。312得点、打率.227、出塁率.294はいずれもリーグワースト、長打率.383と840三振はリーグ14位の数字だった。ウィル・マイヤーズ(打率.255、16本塁打、OPS.796)は穴が多く、前半戦だけで109三振。同じく三振を量産していたライアン・シンプ(打率.158、14本塁打、OPS.709)はマイナー降格となった。ハンター・レンフロー(打率.231、16本塁打、OPS.737)やオースティン・ヘッジス(打率.218、13本塁打、OPS.677)も一発の魅力こそあるものの粗い打撃から脱却できず、チームで唯一安定した打撃を見せていたヤンハービス・ソラーテ(打率.268、10本塁打、OPS.775)の故障離脱も痛かった。意外なところではシーズン途中にメジャー昇格を果たしたホゼ・ピレラ(打率.286、4本塁打、OPS.821)がなかなかの活躍を見せた。

 オフに掻き集めた先発投手陣が健闘したが、中長期的なチーム構想に入っている選手はほとんどおらず、需要があるのであれば7月末までに放出してしまうべきだろう。ジャイアンツの大不振があったとはいえ、「30球団最弱」と言われながらも地区4位で前半戦を終えた点は評価できる。後半戦は来季以降に繋がる戦いを期待したい。

サンフランシスコ・ジャイアンツ(34勝56敗:地区5位)

 大黒柱マディソン・バムガーナー(0勝3敗、防御率3.00)の長期離脱が影響したわけではないだろうが、先発投手陣は揃って不振。10試合以上先発した投手の中に防御率3点台は一人もいなかった。ジェフ・サマージャ(4勝10敗、防御率4.58)はFIP3.44と投球内容自体は決して悪くなかったものの結果に繋がらず、マット・ムーア(3勝9敗、防御率6.04)はとことん打ち込まれた。ブルペン陣では新加入のマーク・マランソン(22試合、防御率4.35)が2度にわたって故障者リスト入り。コリー・ギアリン(35試合、防御率2.13)、ハンター・ストリックランド(36試合、防御率2.01)らが好投したが、彼らの好投だけではどうにもならなかった。

 打線はリーグワーストの75本塁打と相変わらず長打力不足が深刻で、354得点はリーグ13位に沈んだ。バスター・ポージー(打率.324、10本塁打、OPS.904)は好成績を残したが、ブランドン・ベルト(打率.243、16本塁打、OPS.820)は打率が上がらず、ブランドン・クロフォード(打率.225、8本塁打、OPS.635)も低調。俊足巧打のエドゥアルド・ヌニェス(打率.299、4本塁打、OPS.737)の故障離脱も痛かった。なかなかベストメンバーが揃わない中、穴埋めとして起用された選手も活躍できず。一時的な活躍を見せる選手はいても、その活躍が長続きすることはなかった。

 トレード・デッドラインで売り手に回ることは確実。バムガーナー、ポージー、クロフォードの3人以外は放出候補と言われており、8月以降はチームの顔ぶれが大きく変わることになりそうだ。とにかく打線の軸となるスラッガーの育成(獲得)が急務である。


 関連ニュース

  7月14日 【前半戦レビュー】ナ・リーグ西部地区

  7月14日 【前半戦レビュー】ナ・リーグ中部地区

  7月14日 【前半戦レビュー】ナ・リーグ東部地区

  7月13日 【前半戦レビュー】ア・リーグ西部地区

  7月13日 【前半戦レビュー】ア・リーグ中部地区

  7月13日 【前半戦レビュー】ア・リーグ東部地区

spotvnow