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【前半戦レビュー】ナ・リーグ中部地区

2017.7.14 16:54 Friday

 2017年のレギュラーシーズンは前半戦が終了。昨日のア・リーグに続き、今日はナ・リーグ15球団の前半戦を簡単に振り返っていく。第5回はナ・リーグ中部地区だ。

シカゴ・カブス(43勝45敗:地区2位タイ)

 チーム防御率4.10はリーグ5位。しかし、先発投手に限ればリーグ8位の防御率4.66と昨季の安定感はすっかり影を潜めてしまった。ジョン・レスター(5勝6敗、防御率4.25)をはじめ、先発投手の防御率は軒並み4点台。ジョン・ラッキー(5勝9敗、防御率5.20)や新加入のブレット・アンダーソン(2勝2敗、防御率8.18)も打ち込まれ、エディ・バトラー(4勝3敗。防御率3.88)が一番まともという深刻な状況だった。一方、ブルペン陣はリーグ2位の救援防御率3.26をマーク。守護神ウェイド・デービス(31試合、防御率1.80)を筆頭に、カール・エドワーズJr.(38試合、防御率2.29)、上原浩治(33試合、防御率2.73)、ペドロ・ストロップ(39試合、防御率3.00)らが安定したピッチングを続けていた。

 打線は打率.239(リーグ14位)、399得点(リーグ11位)と低迷。カイル・シュワーバー(打率.178、13本塁打、OPS.694)の不振が大誤算で、リードオフマンを固定できず、アンソニー・リゾー(打率.259、20本塁打、OPS.894)、ベン・ゾブリスト(打率.214、7本塁打、OPS.673)、新人イアン・ハップ(打率.257、13本塁打、OPS.870)など様々なオプションを試すことになった。リゾーとともにクリス・ブライアント(打率.269、18本塁打、OPS.928)も30本塁打以上を狙えるペースだが、リードオフマン不在の影響で38打点どまり。昨季ポイントゲッターとなっていたアディソン・ラッセル(打率.226、7本塁打、OPS.678)も精彩を欠いた。

 ワールドシリーズ制覇による「燃え尽き症候群」では、という話も浮上したが、それだけでは説明がつかないほどの低迷ぶり。ホゼ・キンターナ獲得を起爆剤として、なんとか昨季の姿に近付いていきたいところだ。

シンシナティ・レッズ(39勝49敗:地区5位)

 チーム防御率5.05はリーグ唯一の5点台。防御率7点台のブロンソン・アローヨ(3勝6敗、防御率7.35)とアミール・ギャレット(3勝6敗、防御率7.41)に12試合以上先発を任せなければならない台所事情ではどうしようもなかった。すでに13人の投手を先発に起用。先発ローテーションが完全に崩壊する中、開幕投手を務めたスコット・フェルドマン(7勝6敗、防御率3.94)だけは好投を続けており、ルイス・カスティーヨ(1勝1敗、防御率3.13)の台頭も明るい材料となっている。先発防御率5.91(リーグワースト)に対して救援防御率3.97はリーグ5位とブルペン陣は健闘。クローザーのライセル・イグレシアス(36試合、防御率1.69)、マイケル・ローレンゼン(37試合、防御率2.93)、ドリュー・ストーレン(37試合、防御率2.80)らが安定したピッチングを披露した。

 打線はリーグ6位の424得点となかなか強力。ジョーイ・ボットー(打率.315、26本塁打、68打点)がリーグトップクラスの好成績を残し、アダム・デュバル(打率.278、20本塁打、OPS.878)、スコット・シェブラー(打率.254、22本塁打、OPS.856)とともに20本塁打トリオを形成。ザック・コザート(打率.316、9本塁打、OPS.941)やスクーター・ジェネット(打率.311、15本塁打、OPS.966)も意外な活躍を見せた。35盗塁のビリー・ハミルトン(打率.242、2本塁打、OPS.617)と15盗塁のホゼ・ペラザ(打率.254、4本塁打、OPS.612)の存在もあって75盗塁はリーグトップタイの数字だが、両選手には出塁率アップを求めたい。

 打線はボットーとコザート以外は20代という布陣ながら、なかなかの得点力を発揮。再建に向けての課題は明らかに投手陣である。カスティーヨを除く新人投手がことごとく打ち込まれていることを考えると、強力打線の一角を崩してでも投手の補強に動く必要がありそうだ。

ミルウォーキー・ブリュワーズ(50勝41敗:地区1位)

 誰もが驚いたブリュワーズの快進撃。投手陣は先発・救援ともまずまずのパフォーマンスを見せた。先発陣ではチェイス・アンダーソン(6勝2敗、防御率2.89)とジミー・ネルソン(8勝4敗、防御率3.30)がエース級の活躍。ザック・デイビーズ(10勝4敗、防御率4.90)は勝ち運に恵まれ、早くも2桁勝利に到達した。ブルペン陣では新クローザーとして期待されたネフタリ・フェリース(29試合、防御率6.00)の不振こそ誤算だったが、コリー・クネーベル(43試合、防御率1.70)がブレイクを果たし、開幕から43試合連続奪三振のメジャー新記録を樹立。ジェイコブ・バーンズ(42試合、防御率3.63)やジャレッド・ヒューズ(39試合、防御率2.92)も健闘した。

 エリック・テームズ(打率.248、23本塁打、OPS.936)が好スタートを切ってチームを牽引すると、トラビス・ショウ(打率.299、19本塁打、OPS.938)やドミンゴ・サンタナ(打率.291、15本塁打、OPS.881)も成長を見せ、リーグ4位となる451得点をマーク。主砲ライアン・ブラウン(打率.259、10本塁打、OPS.887)の離脱中も、彼の不在をあまり感じさせなかった。オーランド・アルシア(打率.283、8本塁打、OPS.740)、ヘスス・アギラー(打率.294、9本塁打、OPS.911)、エリック・ソガード(打率.331、3本塁打、OPS.924)といった脇役たちも好成績を残し、138本塁打と75盗塁はともにリーグトップの数字(盗塁はトップタイ)。リーグワーストの874三振を喫するなど粗削りな打線だが、若手選手たちが思い切りよくプレイしたことの裏返しだろう。

 カブスとカージナルスの不振に助けられた部分もあるが、この快進撃は決してフロックではない。優勝争いの経験が少ない選手たちが体力的にも精神的にも夏場のキツい時期を乗り切れるかどうかが、今後の戦いにおけるカギとなりそうだ。

ピッツバーグ・パイレーツ(42勝47敗:地区4位)

 先発陣は有望株タイラー・グラスナウ(2勝6敗、防御率7.45)が期待を裏切ったものの、6人で全試合を賄った。イバン・ノバ(9勝6敗、防御率3.21)が安定感抜群のピッチングで先発ローテーションの軸となり、ジェイムソン・タイオン(5勝2敗、防御率2.73)も好投。一方で、エース格のゲリット・コール(7勝7敗、防御率4.43)はやや物足りないパフォーマンスに終始した。ブルペン陣はトニー・ワトソン(40試合、防御率3.86)が不振でクローザーの座を剥奪されたが、若手左腕のフェリペ・リベロ(44試合、防御率0.76)が圧巻のパフォーマンスで穴を埋めた。フアン・ニカシオ(43試合、防御率2.50)も好投を続け、救援防御率3.93はリーグ4位の数字。投手陣全体としてまずまず健闘したと言えるだろう。

 打線はスターリング・マーテイ(打率.241、2本塁打、OPS.659)の出場停止が大誤算。グレゴリー・ポランコ(打率.258、8本塁打、OPS.721)もなかなか調子が上がらず、リーグ12位の378得点に終わるなど得点力不足に陥った。そんな中、チーム随一のスター選手であるアンドリュー・マカッチェン(打率.294、17本塁打、OPS.909)は開幕からしばらくの間こそ不振だったものの、5月末から絶好調。完全復活と呼べるくらいの大活躍を見せている。新人ジョシュ・ベル(打率.239、16本塁打、OPS.793)やジョシュ・ハリソン(打率.280、10本塁打、OPS.797)もまずまず。リーグ14位の87本塁打とパワー不足が顕著で、20本塁打を計算できる姜正浩(出場なし)の不在が響いた格好だ。

 首位ブリュワーズとは7ゲーム差。地区優勝を完全に諦めてしまうような状況ではないが、逆転は難しい。交換要員次第では投打の主力であるコール、ワトソン、マカッチェンの放出に向けて動くことになるだろう。

セントルイス・カージナルス(43勝45敗:地区2位タイ)

 ダブルヘッダーで先発したマルコ・ゴンザレス(0勝0敗、防御率13.50)を除き、88試合中87試合を5人で賄った先発陣はリーグ4位の先発防御率3.90と安定。防御率5点台と打ち込まれたアダム・ウェインライト(10勝5敗、防御率5.20)は打線との巡り合わせがよく、チーム唯一の2桁勝利をマークした。安定していた先発陣とは対照的に、ブルペン陣は不安定。呉昇桓(38試合、防御率3.54)に昨季ほどの安定感がなく、シーズン途中から複数人クローザー体制を敷くことに。しかし、トレバー・ローゼンタール(37試合、防御率4.05)らその他の投手にも安定感はなく、ブルペン陣が試合を壊してしまうことも少なくなかった。

 打線は全体的に迫力不足。ジェッド・ジョーコ(打率.300、13本塁打、OPS.882)が攻守に孤軍奮闘したが、マット・カーペンター(打率.237、14本塁打、OPS.827)や新加入のデクスター・ファウラー(打率.248、14本塁打、OPS.824)は低打率に喘ぎ、アレドミス・ディアス(打率.260、7本塁打、OPS.688)やランドール・グリチック(打率.215、9本塁打、OPS.678)はマイナー降格を経験した。トミー・ファム(打率.299、11本塁打、OPS.895)やポール・デヨング(打率.313、9本塁打、OPS.932)の活躍がなければどうなっていたことか。好調のコルテン・ウォン(打率.301、1本塁打、OPS.838)が故障がちだったのも痛かった。

 昨年までの安定した戦いぶりは影を潜め、不安定な戦いに終始。勝ちにいくのか、来季を見据えるのか、フロントは難しい判断を迫られることになるが、まずは7月末までに本来の安定した戦いぶりを取り戻したいところ。そうすればブリュワーズとの5.5ゲーム差は決して追い付けない差ではないはずだ。


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